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特開2022-164476パネル構造体の製造装置、およびパネル構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164476
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】パネル構造体の製造装置、およびパネル構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20221020BHJP
   B29C 65/32 20060101ALI20221020BHJP
   E04C 2/20 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B29C65/08
B29C65/32
E04C2/20 B
E04C2/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069991
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 清嘉
(72)【発明者】
【氏名】仙入 克也
(72)【発明者】
【氏名】高桑 義直
(72)【発明者】
【氏名】三宅 孝之
(72)【発明者】
【氏名】相川 勝英
【テーマコード(参考)】
2E162
4F211
【Fターム(参考)】
2E162CD05
2E162CD09
4F211AD08
4F211AD21
4F211AG18
4F211TA01
4F211TC03
4F211TD05
4F211TH17
4F211TH18
4F211TJ15
4F211TN16
4F211TN22
4F211TQ03
(57)【要約】
【課題】パネル構造体を熱融着で適切に製造すること。
【解決手段】パネル構造体の製造装置は、熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成する賦形装置とコア部材の表面を選択的に加熱する加熱装置と、加熱装置が加熱したコア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧してコア部材と、フェイスプレートとを融着する加圧装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成する賦形装置と
前記コア部材の表面を選択的に加熱する加熱装置と、
前記加熱装置が加熱した前記コア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧して前記コア部材と、前記フェイスプレートとを融着する加圧装置と、
を備える、パネル構造体の製造装置。
【請求項2】
前記加熱装置の加熱のタイミングを制御する制御装置を備える、
請求項1に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項3】
前記賦形装置は、前記熱可塑性樹脂を波形状に賦形する、
請求項1または2に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項4】
前記加熱装置は、前記コア部材に形成された凹凸形状の頂点部を加熱する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項5】
前記加熱装置は、前記賦形装置に設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項6】
前記賦形装置は、歯車であり、
前記歯車は、歯部の山部および谷部に孔部を有し、
前記加熱装置は、前記孔部を用いて前記コア部材を加熱する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項7】
前記加熱装置は、前記孔部を通過する電熱線または前記孔部を通過する蒸気を用いて、前記歯車を加熱させて前記コア部材を加熱する、
請求項6に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項8】
前記賦形装置は、歯車であり、
前記加熱装置は、前記歯車の外部に磁場を発生させ、誘導抵抗を用いて、前記コア部材を加熱する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項9】
前記コア部材と、前記フェイスプレートとの融着を補助する融着補助装置を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項10】
前記融着補助装置は、超音波加熱装置である、
請求項9に記載のパネル構造体の製造装置。
【請求項11】
熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成するステップと
前記コア部材の表面を選択的に加熱するステップと、
前記コア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧して前記コア部材と、前記フェイスプレートとを融着するステップと、
を含む、パネル構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル構造体の製造装置、およびパネル構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波融着機を用いて、複数のシートを融着させることで複合シートを製造することのできる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-188802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
段ボールを製造する従来のコルゲータを用いて、自動車、電車、他のモビリティ製品、および建築材料などに用いられる、熱可塑性樹脂を含むサンドイッチパネルを融着して製造することが検討されており、2つの熱可塑性樹脂を融着させるためには、熱可塑性樹脂に適切な熱および圧力を付与する必要がある。しかしながら、熱可塑性樹脂の樹脂材料の種類および昇温状態によっては圧力が不足してしまい、パネル構造体を適切に製造することができない可能性がある。
【0005】
本開示は、パネル構造体を融着で適切に製造することのできるパネル構造体の製造装置、およびパネル構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るパネル構造体の製造装置は、熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成する賦形装置と前記コア部材の表面を選択的に加熱する加熱装置と、前記加熱装置が加熱した前記コア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧して前記コア部材と、前記フェイスプレートとを融着する加圧装置と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るパネル構造体の製造方法は、熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成するステップと前記コア部材の表面を選択的に加熱するステップと、前記加熱装置が加熱した前記コア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧して前記コア部材と、前記フェイスプレートとを融着するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、パネル構造体を熱融着で適切に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係るパネル構造体を熱融着で製造する製造装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る製造装置の構成を模式的に示す図である。
図3A図3Aは、第1実施形態に係るコア部材の凹凸形状の一例を説明するための図である。
図3B図3Bは、第1実施形態に係るコア部材の凹凸形状の一例を説明するための図である。
図3C図3Cは、第1実施形態に係るコア部材の凹凸形状の一例を説明するための図である。
図4A図4Aは、第1実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明するための図である。
図4B図4Bは、第1実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係るパネル構造体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態に係る製造装置の構成を模式的に示す図である。
図7図7は、第2実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係るパネル構造体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
図1を用いて、第1実施形態に係るパネル構造体を熱融着で製造する製造装置について説明する。図1は、第1実施形態に係るパネル構造体を熱融着で製造する製造装置の構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、パネル構造体の製造装置1は、搬送装置10と、賦形装置12と、加熱装置14と、搬送装置16と、加圧装置18と、制御装置20と、を備える。製造装置1は、コア部材と、フェイスプレートとを適切に融着させて、パネル構造体を適切に製造することのできる装置である。
【0013】
搬送装置10は、賦形装置12にパネル構造体のコア部材となる熱可塑性樹脂のシートを搬送する。搬送装置10が搬送する熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリフェニレンサルファイドなどが例示されるが、これらに限定されない。熱可塑性樹脂は、強化繊維を含んだ熱可塑性の強化繊維プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)であることが好ましい。強化繊維プラスチックは、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、および炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)であることが好ましい。
【0014】
賦形装置12は、搬送装置から搬送された熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して、コア部材を生成する。凹凸形状には、片面のみに凸部が形成された片面凸型、両面に凸部が形成された両面凸型、および両面が波形状(コルゲート形状)に形成された波型の各種の形状を含み得る。賦形装置12は、熱可塑性樹脂の表面をその他の形状に賦形してコア部材を形成してもよい。
【0015】
図3Aと、図3Bと、図3Cとを用いて、賦形装置12が賦形するコア部材の凹凸形状について説明する。図3Aから図3Cは、第1実施形態に係るコア部材の凹凸形状の一例を説明するための図である。
【0016】
図3Aに示すように、コア部材Cは、樹脂シート22の片面に凸部24が複数形成された形状であり得る。この場合、賦形装置12は、樹脂シート22の片面に凸部24を形成することで、コア部材Cを形成する。
【0017】
図3Bに示すように、コア部材Caは、樹脂シート22の片面に凸部24が複数形成された形状であり得る。この場合、賦形装置12は、樹脂シート22の両面に凸部24を形成することで、コア部材Caを形成する。
【0018】
図3Cに示すように、コア部材Cbは、樹脂シート22の表面に波形状の波部26が形状であり得る。この場合、賦形装置12は、樹脂シート22の両面に波部26することで、コア部材Cbを形成する。
【0019】
加熱装置14は、賦形装置12が賦形した熱可塑性樹脂の表面を加熱する。加熱装置14は、例えば、熱可塑性樹脂の表面に形成された凹凸部の頂点を加熱する。加熱装置14は、例えば、熱可塑性樹脂の表面に形成された凹凸部の頂点を選択的に加熱してもよい。加熱装置14は、例えば、150℃から350℃の範囲で加熱し得るが、加熱する温度はこれに限定されない。加熱装置14は、例えば、賦形装置12の内部に設けられる。加熱装置14は、加熱した熱可塑性樹脂を加圧装置18に搬送する。
【0020】
搬送装置16は、加圧装置18にパネル構造体のフェイスプレートとなる熱可塑性樹脂のシートを搬送する。搬送装置16が搬送する熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリフェニレンサルファイドなどが例示されるが、これらに限定されない。熱可塑性樹脂は、強化繊維を含んだ熱可塑性の強化繊維プラスチックであることが好ましい。強化繊維プラスチックは、例えば、ガラス繊維強化プラスチック、および炭素繊維強化プラスチックであることが好ましい。搬送装置16が搬送する熱可塑性樹脂のシートの材料は、搬送装置10が搬送する熱可塑性樹脂のシートの材料と同じであってよいし、異なっていてもよい。
【0021】
加圧装置18は、賦形装置12から搬送されたパネル構造体のコア部材となる熱可塑性樹脂のシートと、搬送装置16から搬送されたパネル構造体のフェイスプレートとなる熱可塑性樹脂のシートとを加圧して、融着させる。加圧装置18は、例えば、加熱装置14により加熱された部分を選択的に加圧することで、賦形装置12から搬送されたパネル構造体のコア部材となる熱可塑性樹脂のシートと、搬送装置16から搬送されたパネル構造体のフェイスプレートとなる熱可塑性樹脂のシートとを融着する。加圧装置18により、片面にフェイスプレートを有するパネル構造体が製造される。
【0022】
制御装置20は、製造装置1の各部を制御する。制御装置20は、例えば、加熱装置14を制御して、熱可塑性樹脂を加熱するタイミングを制御する。制御装置20は、例えば、加圧装置18を制御して、賦形装置12から搬送された熱可塑性樹脂のシートと、搬送装置16から搬送された熱可塑性樹脂のシートとを、加圧するタイミングを制御する。
【0023】
図2を用いて、第1実施形態に係る製造装置の詳細について説明する。図2は、第1実施形態に係る製造装置の構成を模式的に示す図である。
【0024】
図2に示すように、製造装置1は、ベルトロール30と、張力ロール32と、加圧ベルト34と、第1ロール36と、第2ロール38と、第1ガイドロール40と、加熱部42と、第3ロール44と、第2ガイドロール46と、を備える。
【0025】
ベルトロール30と、張力ロール32と、加圧ベルト34と、第1ロール36と、第2ロール38とは、片面パネル構造体を形成するシングルフェーサとも呼ばれ得る。第3ロール44と、後段の図示しない加圧装置は、両面パネル構造体を形成するダブルフェーサとも呼ばれ得る。
【0026】
ベルトロール30は、図示しない駆動装置により駆動回転可能である。張力ロール32は、ベルトロール30と所定間隔を空けて回転自在に支持される。加圧ベルト34は、無端のベルトであって、ベルトロール30と張力ロール32との間に掛け回される。
【0027】
第1ロール36は、図示しない駆動装置により駆動回転可能であり、外周面が波形状に形成される。言い換えれば、第1ロール36は、歯車であり得る。第1ロール36は、ベルトロール30と張力ロール32との間で、加圧ベルト34のZ方向における下方に配置され、波形状の外周面が加圧ベルト34の下面に加圧状態で当接する。ベルトロール30と、張力ロール32と、加圧ベルト34とは、図1に示す、加圧装置18の一種であり得る。ベルトロール30と、張力ロール32と、加圧ベルト34とは、加圧機構とも呼ばれ得る。
【0028】
第2ロール38は、外周面が波形状に形成される。すなわち、第2ロール38は、歯車であり得る。第2ロール38は、外周面が第1ロール36と噛み合うような波形状に形成される。第2ロール38は、第1ロール36のZ方向における下方で、第1ロール36の外周面に噛み合う。
【0029】
第1ガイドロール40には、パネル構造体のフェイスプレートとなる熱可塑性樹脂の樹脂シートS1が巻き付けられる。樹脂シートS1は、ベルトロール30が回転することにより、加圧ベルト34と共に、加圧ベルト34と、第1ロール36との間の隙間に搬送される。ここで、樹脂シートS1は、樹脂シートS2と融着するための所定温度以上に加熱された状態で、搬送されることが好ましい。所定温度は、樹脂の種類などに応じて、任意に変更し得る。ベルトロール30と、第1ガイドロール40とは、図1に示す、搬送装置10の一種であり得る。
【0030】
パネル構造体のコア部材となる熱可塑性樹脂の樹脂シートS2は、図示しない搬送装置などにより、第1ロール36と、第2ロール38との隙間に搬送される。第1ロール36と、第2ロール38とは、噛み合い部で表面を波形状に賦形する。第1ロール36と、第2ロール38とは、図1に示す賦形装置12であり得る。
【0031】
第1ロール36は、加熱部42を備える。表面が波形状に賦形された樹脂シートS2は加熱部42により加熱されながら、第1ロール36により加圧ベルト34と、第1ロール36との間の隙間に搬送される。
【0032】
図4Aと、図4Bとを用いて、第1実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明する。図4Aと、図4Bとは、第1実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明するための図である。
【0033】
図4Aは、第1ロール36の外径に形成された波形状の一つである歯部60を示している。図4Aに示すように、歯部60は、先端部62に孔部64を有する。図4Aにおいて、孔部64の数は「3」であるが、孔部64の数は「3」よりも多くてもよいし、少なくてもよい。孔部64の数、位置、および大きさは、設計に応じて任意に変更し得る。
【0034】
加熱部42は、例えば、図示しない電熱線を有する発熱装置であり得る。例えば、孔部64に電熱線を通して電熱線を発熱させることで、先端部62の少なくとも一部を加熱する。この場合、加熱部42は、電熱線により加熱された先端部62により、樹脂シートS2を加熱する。
【0035】
加熱部42は、例えば、高温の蒸気を噴出する蒸気発生装置であり得る。この場合、加熱部42は、高温の蒸気を孔部64から噴出することにより、先端部62の少なくとも一部を加熱する。この場合、加熱部42は、高温蒸気により加熱された先端部62により、樹脂シートS2を加熱する。
【0036】
加熱部42は、例えば、励磁コイルを有する磁場加熱装置であり得る。この場合、加熱部42は、例えば、歯部60の外部に磁場を発生させ、誘導抵抗を用いて、樹脂シートS2を加熱する。加熱部42は、例えば、歯部60の先端部62に磁場を印加することで、誘導抵抗により先端部62を発熱させることで、樹脂シートS2を加熱する。なお、加熱部42は、樹脂シートS1が所定温度以に加熱された状態で搬送されていない場合には、樹脂シートS2も加熱するとよい。
【0037】
図4Bに示すように、孔部64は、第1ロール36において、歯部60と、歯部60との間の、谷部66に形成されてもよい。具体的には、後述の樹脂シートS2と、樹脂シートS3とを融着する場合には、谷部66に形成された孔部64に電熱線または高温蒸気を通過させて、谷部66を加熱するとよい。
【0038】
加熱部42は、樹脂シートS2を選択的に加熱することが好ましい。加熱部42は、樹脂シートS2の表面の波形状の頂点部分を選択的に加熱することが好ましい。具体的には、加熱部42は、樹脂シートS2の表面の波形状の頂点部のうち、融着部分を選択して加熱することが好ましい。
【0039】
制御装置20は、加熱部42を制御して、樹脂シートS2を加熱させる。制御装置20は、例えば、第1ロール36の賦形が終わった直後の歯部60を加熱するように加熱部42を制御する。制御装置20は、加熱部42を制御して、樹脂シートS2の波形状の頂点部分を選択的に加熱させる。具体的には、制御装置20は、加熱部42を制御して、樹脂シートS2の表面の波形状の頂点部分のうち、融着部分を選択して加熱させる。制御装置20は、加熱部42を制御して、樹脂シートS1と、樹脂シートS2とが融着される直前に所望の温度となるように加熱部42を加熱させる。制御装置20は、融着後には速やかに冷却することが好ましいため、第1ロール36が1回転のうち、融着する直前の1/4から1/2周程度の範囲において加熱が完了するように、加熱部42を制御する。
【0040】
樹脂シートS2の加熱が完了すると、樹脂シートS1と、樹脂シートS2とは加圧ベルト34により加圧されることで融着する。樹脂シートS1と、樹脂シートS2との融着箇所が冷却することで融着部が形成される。これにより、フェイスプレートが片面のみに有する、片面パネル構造体P1が形成される。
【0041】
また、樹脂シートS1と、樹脂シートS2との融着後、樹脂シートS1と、樹脂シートS2とを冷却する図示しない冷却装置が設けられていてもよい。この場合、冷却装置は、樹脂シートS1と、樹脂シートS2との融着後に少なくとも融着箇所を冷却するように構成され得る。冷却装置は、冷却水を用いて冷却する水冷構造を有していてもよいし、冷却風を用いて冷却する空冷構造を有していてもよい。冷却装置を設けることで、樹脂シートS1と、樹脂シートS2とを適切に冷却することができるようになる。
【0042】
また、図示しないが、第1ロール36と加圧ベルト34との加圧力を調整可能な加圧力調整装置が設けられる。加圧力調整装置は、例えば、油圧シリンダを有し、駆動ロッドの先端部が張力ロール32の支持軸に連結される。そのため、ベルトロール30に対して、油圧シリンダにより張力ロール32を接近離反させることで加圧ベルト34の張力を調整し、第1ロール36と加圧ベルト34の間に搬送される樹脂シートS1と樹脂シートS2とに対する加圧力を調整することができる。
【0043】
図2に戻る。片面パネル構造体P1は、張力ロール32と、第3ロール44との間の隙間に搬送される。
【0044】
第3ロール44は、加熱部42を有する。第3ロール44は、外周面が波形状に形成される。すなわち、第3ロール44は、歯車であり得る。第3ロール44は、樹脂シートS2の表面の波形状と噛み合うように形成されている。片面パネル構造体P1は、樹脂シートS1が融着されていない表面が波形状に賦形された樹脂シートS2が加熱部42により加熱されながら、第3ロール44により図示しない加圧ベルトを含む加圧装置に搬送される。
【0045】
パネル構造体のフェイスプレートとなる熱可塑性樹脂の樹脂シートS3は、第2ガイドロール46に巻き付けられ、図示しない加圧装置に搬送される。
【0046】
片面パネル構造体P1は、樹脂シートS1が融着されていない表面が波形状に賦形された樹脂シートS2の加熱が完了すると、樹脂シートS2と、樹脂シートS3とを図示しない加圧装置により加圧することで融着する。樹脂シートS2と、樹脂シートS3との融着箇所が冷却することで融着部が形成される。これにより、コア部材の両面にフェイスプレートを有する、両面パネル構造体が形成される。
【0047】
また、樹脂シートS2と、樹脂シートS3との融着後、樹脂シートS2と、樹脂シートS3とを冷却する図示しない冷却装置が設けられていてもよい。この場合、冷却装置は、樹脂シートS2と、樹脂シートS3との融着後に少なくとも融着箇所を冷却するように構成され得る。冷却装置は、冷却水を用いて冷却する水冷構造を有していてもよいし、冷却風を用いて冷却する空冷構造を有していてもよい。冷却装置を設けることで、樹脂シートS2と、樹脂シートS3とを適切に冷却することができるようになる。
【0048】
[パネル構造体の製造方法]
図5を用いて、第1実施形態に係るパネル構造体の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態に係るパネル構造体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0049】
まず、ベルトロール30と、第1ガイドロール40とは、フェイスプレートとなる樹脂シートS1を加圧ベルト34と、第1ロール36との間の隙間に搬送する(ステップS10)。図示しない搬送装置などは、コア部材となる樹脂シートS2を第1ロール36と、第2ロール38との隙間に搬送する(ステップS12)。
【0050】
第1ロール36と、第2ロール38とは、噛み合い部で樹脂シートS2表面を波形状に賦形する(ステップS14)。第1ロール36に設けられた加熱部42は、樹脂シートS2の一方の面において、波形状の頂点部を選択的に加熱する(ステップS16)。
【0051】
加圧ベルト34は、樹脂シートS1と、樹脂シートS2の加熱された箇所とに圧力を加えて、樹脂シートS1と、樹脂シートS2とを融着する(ステップS18)。これにより、片面パネル構造体P1が形成される。
【0052】
加圧ベルト34と、第1ロール36とは、片面パネル構造体P1を張力ロール32と、第3ロール44との間の隙間に搬送する(ステップS20)。第3ロール44に設けられた加熱部42は、樹脂シートS2の他方の面において、波形状の頂点部を選択的に加熱する(ステップS22)。図示しない搬送装置などは、第2ガイドロール46に巻き付けられた、フェイスプレートとなる樹脂シートS3を図示しない加圧装置に搬送する(ステップS24)。
【0053】
図示しない加圧装置は、樹脂シートS2の加熱された箇所と、樹脂シートS3とに圧力を加えて、樹脂シートS2と、樹脂シートS3とを融着する(ステップS26)。これにより、両面パネル構造体が形成される。
【0054】
上述の通り、第1実施形態は、コア部材となる樹脂シートS2の波型形状の一部を選択的に加熱し、フェイスプレートとなる樹脂シートS1または樹脂シートS3と、樹脂シートS2とに圧力を加えて、融着する。これにより、第1実施形態は、パネル構造体を熱融着で適切に製造することができる。
【0055】
[第2実施形態]
図6を用いて、第2実施形態に係る製造装置の詳細について説明する。図6は、第2実施形態に係る製造装置の構成を模式的に示す図である。
【0056】
図6に示すように、製造装置1Aは、融着補助装置48を備える点で、図2に示す、製造装置1とは異なる。
【0057】
融着補助装置48は、ベルトロール30と、張力ロール32と、加圧ベルト34とを含む加圧機構に設けられる。融着補助装置48は、例えば、加圧ベルト34が圧力を加える箇所の近傍に設けられる。融着補助装置48は、例えば、加圧ベルト34が樹脂シートS1と、樹脂シートS2とを融着する際に、融着を補助する機能を有する。融着補助装置48は、例えば、超音波を対象に印加することで対象を加熱する超音波発生装置である。
【0058】
図7を用いて、第2実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明する。図7は、第2実施形態に係る樹脂シートを加熱する方法を説明するための図である。
【0059】
図7は、第1ロール36の外径に形成された波形状の一つである歯部60と、融着補助装置48とを示している。
【0060】
第2実施形態では、加熱部42は、歯部60の先端部62を発熱させて、樹脂シートS2の加熱箇所50を加熱する。融着補助装置48は、樹脂シートS2の加熱箇所50に対して超音波を照射して、加熱箇所50を加熱する。すなわち、第2実施形態では、加熱部42と、融着補助装置48とを用いて、樹脂シートS1と、樹脂シートS2とを加熱する。これにより、第2実施形態では加熱部42による発熱温度を低くすることができる。
【0061】
図6に戻る。融着補助装置48は、例えば、片面パネル構造体P1に樹脂シートS3を融着する図示しない加圧装置に設けられてもよい。この場合、融着補助装置48は、例えば、片面パネル構造体P1と、樹脂シートS2とを融着する際に、融着を補助する機能を有する。融着補助装置48が融着を補助する方法については、樹脂シートS1と、樹脂シートS2との融着を補助する方法と同じなので、説明を省略する。
【0062】
第2実施形態では、融着補助装置48は、超音波を照射する超音波発生装置であるものとして説明したが、これは例示であり、本開示を限定するものではない。融着補助装置48は、例えば、加圧ベルト34による圧力の付与を補助するように圧力を付与する、圧力付与装置であってもよい。
【0063】
[パネル構造体の製造方法]
図8を用いて、第2実施形態に係るパネル構造体の製造方法について説明する。図8は、第2実施形態に係るパネル構造体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS40からステップS46、ステップS50からステップS54、およびステップS58からステップS60は、それぞれ、ステップS10からステップS26の処理と同一の処理なので説明を省略する。
【0065】
ステップS46の後、融着補助装置48は、加熱部42が加熱した箇所と同一箇所を、補助的に加熱する(ステップS48)。ステップS46の処理と、ステップS48の処理とは、同時に行ってもよい。
【0066】
ステップS54の後、融着補助装置48は、加熱部42が加熱した箇所と同一箇所を、補助的に加熱する(ステップS56)。ステップS54の処理と、ステップS56の処理とは、同時に行ってもよい。
【0067】
上述の通り、第2実施形態は、コア部材となる樹脂シートS2の波型形状の一部を選択的に加熱する際に、加熱した箇所を融着補助装置48により補助的に加熱する。これにより、第2実施形態は、加熱部42のよる樹脂シートS2の加熱温度を低くすることができる。その結果、第2実施形態は、樹脂シートS2の加熱後の冷却が容易となるので、製品の品質を向上させることができる。
【0068】
[効果]
実施形態に記載のパネル構造体の製造装置、およびパネル構造体の製造方法は、例えば以下のように把握される。
【0069】
第1の態様のパネル構造体の製造装置は、熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成する賦形装置12とコア部材の表面を選択的に加熱する加熱装置14と、加熱装置14が加熱したコア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧してコア部材と、前記フェイスプレートとを融着する加圧装置18と、を備える。
【0070】
第1の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材の表面のうち、フェイスプレートとの融着箇所を選択的に加熱する。第1の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材の加熱箇所と、フェイスプレートとを加圧することで、コア部材と、フェイスプレートとを加熱する。これにより、第1の態様のパネル構造体の製造装置は、パネル構造体を熱融着で適切に製造することができる。
【0071】
第2の態様のパネル構造体の製造装置は、加熱装置14の加熱のタイミングを制御する制御装置20を備える。これにより。第2の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材と、フェイスプレートを融着する際の加熱のタイミングを適切に制御することができる。
【0072】
第3の態様のパネル構造体の製造装置は、賦形装置12は、熱可塑性樹脂を波形状に賦形する。これにより、第3の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材が波形状に形成された、パネル構造体を熱融着で製造することができる。
【0073】
第4の態様のパネル構造体の製造装置は、加熱装置14は、コア部材に形成された凹凸形状の頂点部を加熱する。これにより、第4の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材と、フェイスプレートとを融着する際に、コア部材を適切に加熱することができる。
【0074】
第5の態様のパネル構造体の製造装置は、加熱装置14は、賦形装置12に設けられている。これにより、第5の態様のパネル構造体の製造装置は、賦形装置12を用いて、コア部材を加熱することができる。その結果、第5の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材を容易に加熱することができる。
【0075】
第6の態様のパネル構造体の製造装置は、賦形装置12は、歯車であり、歯車は、歯部の山部および谷部に孔部を有し、加熱装置14は、孔部を用いてコア部材を加熱する。これにより、第6の態様のパネル構造体の製造装置は、賦形装置12と、波形状に形成されたコア部材とを噛み合わせながらコア部材を加熱することができる。その結果、第6の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材を適切に加熱することができる。
【0076】
第7の態様のパネル構造体の製造装置は、加熱装置14は、孔部を通過する電熱線または孔部を通過する蒸気を用いて、前記歯車を加熱させて前記コア部材を加熱する。これにより、第7の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材をより適切に加熱することができる。
【0077】
第8の態様のパネル構造体の製造装置は、賦形装置12は、歯車であり、加熱装置14は、歯車の外部に磁場を発生させ、誘導抵抗を用いて、コア部材を加熱する。これにより、第8の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材をより適切に加熱することができる。
【0078】
第9の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材と、フェイスプレートとの融着を補助する融着補助装置48を備える。これにより、第9の態様のパネル構造体の製造装置は、加圧装置18によるコア部材と、フェイスプレートとの融着を補助することができる。これにより、第9の態様のパネル構造体の製造装置は、パネル構造体を熱融着でより適切に製造することができる。
【0079】
第10の態様のパネル構造体の製造装置は、融着補助装置48は、超音波加熱装置である。これにより、第10の態様のパネル構造体の製造装置は、コア部材と、フェイスプレートを融着するために加熱装置14でコア部材を加熱する際に、融着補助装置48は、加熱装置14が加熱する箇所を補助的に加熱することができる。その結果、第10の態様のパネル構造体の製造装置は、パネル構造体を熱融着でより適切に製造することができる。
【0080】
第11の態様のパネル構造体の製造方法は、熱可塑性樹脂の表面を凹凸形状に賦形して板状のコア部材を形成するステップとコア部材の表面を選択的に加熱するステップと、コア部材の加熱箇所と、板状のフェイスプレートとを加圧してコア部材と、フェイスプレートとを融着するステップと、を含む。
【0081】
第12の態様のパネル構造体の製造方法は、コア部材の表面のうち、フェイスプレートとの融着箇所を選択的に加熱する。第11の態様のパネル構造体の製造方法は、コア部材の加熱箇所と、フェイスプレートとを加圧することで、コア部材と、フェイスプレートとを加熱する。これにより、第11の態様のパネル構造体の製造方法は、パネル構造体を熱融着で適切に製造することができる。
【0082】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0083】
10,16 搬送装置
12 賦形装置
14 加熱装置
18 加圧装置
20 制御装置
30 ベルトロール
32 張力ロール
34 加圧ベルト
36 第1ロール
38 第2ロール
40 第1ガイドロール
42 加熱部
44 第3ロール
46 第2ガイドロール
48 融着補助装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8