(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164478
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】パネル製造装置及びパネル製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 7/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B29D7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069993
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】福田 章雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 清嘉
(72)【発明者】
【氏名】仙入 克也
(72)【発明者】
【氏名】高桑 義直
(72)【発明者】
【氏名】三宅 孝之
(72)【発明者】
【氏名】相川 勝英
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC03
4F213AD17
4F213AG01
4F213AG03
4F213AP05
4F213AR06
4F213WA15
4F213WA84
4F213WA97
4F213WB02
(57)【要約】
【課題】2つのフェイスプレートとコア部材とからなるパネルを好適に製造する。
【解決手段】パネル製造装置は、熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材と、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材の一方側の面に接合される第1のフェイスプレートと、を有するパネルを、搬送方向に搬送する搬送部と、前記コア部材の他方側の面へ向け、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレートを供給する供給部と、前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱する加熱部と、前記パネルの前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとを加圧して溶着させる加圧部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材と、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材の一方側の面に接合される第1のフェイスプレートと、を有するパネルを、搬送方向に搬送する搬送部と、
前記コア部材の他方側の面へ向けて、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレートを供給する供給部と、
前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱する加熱部と、
前記パネルの前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとを加圧して溶着させる加圧部と、を備えるパネル製造装置。
【請求項2】
前記加熱部は、溶着される前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとの間へ向かって先細りとなる楔形状、または、溶着される前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとの間へ向かって延在する平板形状となっている請求項1に記載のパネル製造装置。
【請求項3】
前記加熱部により加熱された被加熱部の温度を計測する第1の温度センサと、
前記第1の温度センサの計測結果に基づいて、前記加熱部による加熱を制御する制御部と、をさらに備える請求項1または2に記載のパネル製造装置。
【請求項4】
溶着した前記パネルと前記第2のフェイスプレートとを冷却する冷却部を、さらに備える請求項1から3のいずれか1項に記載のパネル製造装置。
【請求項5】
前記冷却部により冷却された被冷却部の温度を計測する第2の温度センサと、
前記第2の温度センサの計測結果に基づいて、前記冷却部による冷却を制御する制御部と、をさらに備える請求項4に記載のパネル製造装置。
【請求項6】
前記パネルは、前記コア部材と前記第1のフェイスプレートとにより区画される空間に設けられる発泡材を、さらに有する請求項1から5のいずれか1項に記載のパネル製造装置。
【請求項7】
前記コア部材と前記第1のフェイスプレートとの接合前において、前記コア部材と前記第1のフェイスプレートとにより区画される空間に、前記発泡材を供給する発泡材供給部を、さらに備える請求項6に記載のパネル製造装置。
【請求項8】
熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材と、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材の一方側の面に接合される第1のフェイスプレートと、を有するパネルを、搬送方向に搬送するステップと、
前記コア部材の他方側の面へ向けて、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレートを供給するステップと、
前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱するステップと、
前記パネルの前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとを加圧して溶着させるステップと、を備えるパネル製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル製造装置及びパネル製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに重ね合わせた第1シート及び第2シートを、超音波振動により融着する複合シートの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。第1シートは、第1ロールによりコルゲート形状に形成され、プレート形状となる第2シートに融着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合シート等のパネルとして、例えば、2枚のフェイスプレートの間にコルゲート状のコア部材を配置した、いわゆるサンドイッチパネルが考えられている。特許文献1では、第1シートとなるコア部材と、第2シートとなる一方側のフェイスプレートとを融着させて複合シートを製造している。一方で、複合シート等のパネルと、他方側のフェイスプレートとの融着について、特許文献1に記載や示唆はなく、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、2つのフェイスプレートとコア部材とからなるパネルを好適に製造することができるパネル製造装置及びパネル製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のパネル製造装置は、熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材と、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材の一方側の面に接合される第1のフェイスプレートと、を有するパネルを、搬送方向に搬送する搬送部と、前記コア部材の他方側の面へ向けて、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレートを供給する供給部と、前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱する加熱部と、前記パネルの前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとを加圧して溶着させる加圧部と、を備える。
【0007】
本開示のパネル製造方法は、熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材と、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材の一方側の面に接合される第1のフェイスプレートと、を有するパネルを、搬送方向に搬送するステップと、前記コア部材の他方側の面へ向けて、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレートを供給するステップと、前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱するステップと、前記パネルの前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとを加圧して溶着させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、2つのフェイスプレートとコア部材とからなるパネルを好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るパネルを表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るパネル製造装置を表す概略構成図である。
【
図3】
図3は、シングルフェーサを表す概略構成図である。
【
図4】
図4は、ダブルフェーサを表す概略構成図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係るパネル製造装置のシングルフェーサを表す概略構成図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係るパネル製造装置のダブルフェーサを表す概略構成図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の変形例に係るパネル製造装置のダブルフェーサを表す概略構成図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係るパネル製造装置を表す概略構成図である。
【
図11】
図11は、実施形態4に係るパネル製造装置を表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0011】
[実施形態1]
実施形態1に係るパネル製造装置10は、コルゲート形状となるコア部材5の両面に、プレート形状となるフェイスプレート6,7を接合して、シート状のサンドイッチパネル(以下、単にパネル1という)を製造するものである。パネル製造装置10の説明に先立ち、パネル1について説明する。
【0012】
(パネル)
図1は、実施形態1に係るパネルを表す斜視図である。
図1に示すように、パネル1は、幅方向及び長さ方向に延びる平板となるシート状のパネルである。なお、パネル1の長さ方向は、後述するパネル製造装置10における搬送方向となっている。パネル1は、コア部材5と、第1のフェイスプレート6と、第2のフェイスプレート7と、を備える。コア部材5、第1のフェイスプレート6及び第2のフェイスプレート7は、熱可塑性樹脂を含んで構成されている。なお、コア部材5、第1のフェイスプレート6及び第2のフェイスプレート7は、熱可塑性樹脂の他、強化繊維を含む複合材であってもよい。また、コア部材5、第1のフェイスプレート6及び第2のフェイスプレート7に用いられる熱可塑性樹脂は、異なる種類の熱可塑性樹脂であってもよい。
【0013】
コア部材5は、コルゲート形状に形成されている。具体的に、コア部材5は、長さ方向において、山と谷とが交互に連続して形成される波形形状となっており、山の頂部及び谷の底部が幅方向に延在して形成されている。なお、コルゲート形状は、上記の形状に特に限定されず、例えば、凹凸が千鳥状に形成されるエンボス形状であってもよい。つまり、後述するパネル製造装置10において、搬送方向に連続的に形成可能な形状であれば、何れの形状であってもよい。
【0014】
第1のフェイスプレート6は、コア部材5の一方側(
図1の上側)の面に接合されている。第1のフェイスプレート6は、プレート形状に形成されている。第1のフェイスプレート6は、コア部材5の山の頂部と接合される一方で、コア部材5の谷の底部と離れている。
【0015】
第2のフェイスプレート7は、コア部材5の他方側(
図1の下側)の面に接合されている。第2のフェイスプレート7は、プレート形状に形成されている。第2のフェイスプレート7は、コア部材5の谷の底部と接合される一方で、コア部材5の山の頂部と離れている。第2のフェイスプレート7は、コア部材5と接合する部位となる被接合部としての溶着部9が設けられる。
【0016】
上記のパネル1は、先ず、コア部材5と第1のフェイスプレート6とが接合されて、パネル1aが形成され、この後、パネル1aと第2のフェイスプレート7とが接合されることで、
図1に示すサンドイッチパネルとなる。
【0017】
(パネル製造装置)
次に、
図2から
図4を参照して、パネル製造装置10について説明する。
図2は、実施形態1に係るパネル製造装置を表す概略構成図である。
図3は、シングルフェーサを表す概略構成図である。
図4は、ダブルフェーサを表す概略構成図である。
図2に示すように、パネル製造装置10は、シングルフェーサ11と、ダブルフェーサ12と、制御装置15とを備えている。
【0018】
(シングルフェーサ)
シングルフェーサ11は、コア部材5と第1のフェイスプレート6とを接合して、パネル1aを形成する装置である。シングルフェーサ11は、ベルトロール41と、張力ロール42と、加圧ベルト43と、上段ロール44と、下段ロール45を備える。
【0019】
ベルトロール41は、図示しない駆動装置により駆動回転可能である。張力ロール42は、ベルトロール41と所定間隔を空けて回転自在に支持される。加圧ベルト43は、無端のベルトであって、ベルトロール41と張力ロール42との間に掛け回される。上段ロール44は、図示しない駆動装置により駆動回転可能であり、外周面が波形状に形成される。上段ロール44は、ベルトロール41と張力ロール42との間で、加圧ベルト43の鉛直方向における下方に配置され、波形状の外周面が加圧ベルト43の下面に加圧状態で当接する。下段ロール45は、上段ロール44と同様に、外周面が波形状に形成され、上段ロール44の鉛直方向における下方で、この上段ロール44の外周面に噛み合う。
【0020】
シングルフェーサ11に供給される第1のフェイスプレート6は、上流側のガイドロール47に巻き付けられた後、下流側のガイドロール46に巻き付けられる。この後、第1のフェイスプレート6は、ベルトロール41により案内される加圧ベルト43と共に、加圧ベルト43と上段ロール44との間に挟み込まれて加圧される。一方、コア部材5は、賦形前となるプレート形状のものが、上段ロール44と下段ロール45との噛み合い部で波形状に賦形された後、上段ロール44により案内されて加圧ベルト43と上段ロール44との間に供給される。
【0021】
また、シングルフェーサ11は、第1のフェイスプレート6とコア部材5とを接合する、図示しない接合装置を備える。接合装置は、コア部材5の山の頂部を加熱により溶融させる。シングルフェーサ11は、山の頂部が溶融したコア部材5を、加圧ベルト43と上段ロール44との間に移送し、加圧ベルト43と上段ロール44との間において第1のフェイスプレート6と共に加圧することで、コア部材5とて第1のフェイスプレート6とを接合する。シングルフェーサ11は、コア部材5と第1のフェイスプレート6とを接合することでパネル1aを形成し、形成したパネル1aをダブルフェーサ12へ向けて搬送する。
【0022】
(ダブルフェーサ)
ダブルフェーサ12は、パネル1aと第2のフェイスプレート7とを接合して、サンドイッチパネルとなるパネル1を形成する装置である。ダブルフェーサ12は、搬送部51と、供給部52と、加熱部62と、加圧部61とを備えている。
【0023】
搬送部51は、パネル1aを搬送方向に搬送する装置である。搬送部51は、パネル1aに第2フェイスプレート7を接合した後のパネル1を両側から挟み込んで、搬送方向に送出することで、パネル1aを搬送している。搬送部51は、複数の搬送ローラを用いて構成してもよいし、シングルフェーサ11の加圧ベルト43のように、無端のベルトを用いて構成してもよい。
【0024】
供給部52は、パネル1aのコア部材5の他方側の面へ向けて、第2のフェイスプレート7を供給する装置である。供給部52は、第2のフェイスプレート7を挟み込んで、加圧部61へ向けて送出する一対の搬送ローラ57を有している。
【0025】
加熱部62は、コア部材5と第2フェイスプレート7とが対向する面を加熱して、熱溶着が可能な温度まで上昇させるものとなっている。具体的に、加熱部62は、例えば、加熱ヒータ、レーザまたは加熱ランプ等であり、加圧部61の搬送方向における上流側に位置して設けられている。加熱部62は、コア部材5と第2フェイスプレート7との間に形成される空間に設けられ、コア部材5の他方側の面を加熱すると共に、第2のフェイスプレート7のコア部材5と対向する面を加熱している。具体的に、加熱部62は、溶着されるコア部材5と第2のフェイスプレート7との間へ向かって先細りとなる楔形状となっている。このため、加熱部62は、コア部材5と第2のフェイスプレート7とが溶着される直前まで加熱することが可能となる。なお、加熱部62は、楔形状に特に限定されず、コア部材5と第2のフェイスプレート7との間へ向かって延在する平板形状であってもよい。ここで、加熱部62は、コア部材5の谷の底部との距離が、コア部材5の山の頂部との距離に比して近いことから、コア部材5の谷の底部に対して温度を上昇させることが可能となっている。また、加熱部62は、コア部材5の山の頂部との距離が、コア部材5の谷の底部と距離に比して遠いことから、コア部材5の山の頂部を含む他の部位における不要な昇温を抑えることができ、これにより、パネル1全体の変形を抑制しつつ溶着を行うことができる。
【0026】
加圧部61は、加熱されたパネル1aと第2フェイスプレート7とを加圧して接合することにより、溶着部9を形成するものとなっている。加圧部61は、加圧ローラ65を有している。加圧ローラ65は、第2のフェイスプレート7の外表面に転接している。加圧ローラ65は、コア部材5と第2のフェイスプレート7との接合に寄与するように、図示しない加熱源により加熱されていてもよい。
【0027】
シングルフェーサ11からダブルフェーサ12に移送されるパネル1aは、搬送部51により加圧ローラ65へ向けて供給される。また、ダブルフェーサ12に供給される第2のフェイスプレート7は、搬送ローラ57により加圧ローラ65へ向けて供給される。このとき、第2のフェイスプレート7は、パネル1aのコア部材5の他方側の面に供給される。
【0028】
ダブルフェーサ12は、加熱部62により、コア部材5と第2フェイスプレート7とが対向する面をそれぞれ加熱して、熱溶着が可能な温度まで上昇させる。この後、ダブルフェーサ12は、加圧ローラ65により、供給されたパネル1a及び第2のフェイスプレート7を加圧して、パネル1aのコア部材5の谷の底部と第2のフェイスプレート7とを溶着する。
【0029】
ダブルフェーサ12は、パネル1aと第2のフェイスプレート7とが接合されたパネル1を排出する。排出後のパネル1は、そのまま排出してもよいし、裁断を行って枚葉のシートとしてもよく、特に限定されない。
【0030】
制御装置15は、シングルフェーサ11及びダブルフェーサ12に接続されており、これらの駆動を制御する。具体的に、ダブルフェーサ12において、制御装置15は、加熱部62に接続されており、加熱部62による加熱を制御している。
【0031】
(パネル製造方法)
次に、上記のパネル製造装置10を用いてパネル1を製造するパネル製造方法について説明する。
図3に示すように、パネル製造装置10は、シングルフェーサ11において、コルゲート形状のコア部材5を賦形し、賦形したコア部材5と第1のフェイスプレート6を接合してパネル1aを形成する。そして、パネル製造装置10は、形成したパネル1aをシングルフェーサ11からダブルフェーサ12へ向けて搬送する。
【0032】
図4に示すように、パネル製造装置10は、ダブルフェーサ12において、搬送部51によりパネル1aを搬送方向(長さ方向)に搬送し、加圧ローラ65へ向けて供給する。また、パネル製造装置10は、供給部52の搬送ローラ57により、コア部材5の他方側の面へ向けて第2のフェイスプレート7を供給する。パネル製造装置10は、加圧ローラ65にパネル1a及び第2のフェイスプレート7が供給されると、加圧される前に、加熱部62により、パネル1aと第2のフェイスプレート7とが加熱される。具体的に、パネル製造装置10は、加熱部62によりコア部材5と第2フェイスプレート7とが対向する面をそれぞれ加熱して、熱溶着が可能な温度まで上昇させる。この後、パネル製造装置10は、加圧ローラ65により、供給されたパネル1a及び第2のフェイスプレート7を加圧して、パネル1aのコア部材5の谷の底部と第2のフェイスプレート7とを溶着する。
【0033】
[実施形態2]
次に、
図5及び
図6を参照して、実施形態2に係るパネル製造装置70について説明する。なお、実施形態2では、重複した記載を避けるべく、実施形態1と異なる部分について説明し、実施形態1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
図5は、実施形態2に係るパネル製造装置のシングルフェーサを表す概略構成図である。
図6は、実施形態2に係るパネル製造装置のダブルフェーサを表す概略構成図である。
【0034】
(パネル製造装置)
図5及び
図6に示すように、実施形態2のパネル製造装置70は、実施形態1のパネル製造装置10におけるシングルフェーサ11に、発泡材供給部73をさらに備えたものとなっている。
【0035】
発泡材供給部73は、コア部材5と第1のフェイスプレート6との接合前において、コア部材5と第1のフェイスプレート6とにより区画される空間に、発泡材71を供給する装置となっている。発泡材供給部73は、上段ロール44と下段ロール45とにより賦形された後のコア部材5であって、第1のフェイスプレート6に接合される前のコア部材5に対して、発泡材71を供給可能な位置に設けられる。
【0036】
発泡材供給部73は、一対のプーリ76,77と、一対のプーリ76,77に掛け回された無端の搬送ベルト78とを有している。搬送ベルト78上には、発泡材71が配置されており、一対のプーリ76,77が回転することで、搬送ベルト78上の発泡材71を、コア部材5へ向けて供給する。
【0037】
なお、発泡材供給部73は、上記の装置構成に特に限定されず、コア部材5と第1のフェイスプレート6とにより区画される空間に、発泡材71を供給可能な装置構成であれば、何れの装置構成であってもよい。
【0038】
そして、
図6に示すように、ダブルフェーサ12には、発泡材71が内包されたパネル1aが供給される。ダブルフェーサ12は、パネル1aと第2のフェイスプレート7との接合時において、加圧ローラ65による加圧を行う。このとき、コア部材5と第1のフェイスプレート6との間には発泡材71が内包されていることから、加圧ローラ65による加圧に対して、発泡材71からの反力が得られる。つまり、発泡材71によってコア部材5の形状を維持することができるため、パネル1aに対する加圧を大きくできる。これにより、加圧部61は、発泡材71から反力が得られる分、パネル1aと第2のフェイスプレート7との接合時における加圧を高めることができる。
【0039】
なお、実施形態2の発泡材供給部73に代えて、または、実施形態2の発泡材供給部73に加えて、
図7に示す構成としてもよい。
図7は、実施形態2の変形例に係るパネル製造装置のダブルフェーサを表す概略構成図である。
図7に示すように、パネル製造装置70のダブルフェーサ12は、コア部材5と第2のフェイスプレート7との接合前において、コア部材5と第2のフェイスプレート7とにより区画される空間に、発泡材71を供給する発泡材供給部75をさらに備える。
【0040】
パネル製造装置70のダブルフェーサ12は、発泡材供給部75によりコア部材5と第2のフェイスプレート7とにより区画される空間に、発泡材71を供給する。この後、ダブルフェーサ12は、パネル1aと第2のフェイスプレート7との接合時において、加圧ローラ65による加圧を行う。このとき、パネル1aと第2のフェイスプレート7との間には発泡材71が内包されていることから、加圧ローラ65による加圧に対して、発泡材71からの反力が得られる。つまり、発泡材71によってコア部材5の形状を維持することができるため、パネル1aに対する加圧を大きくできる。これにより、加圧部61は、発泡材71から反力が得られる分、パネル1aと第2のフェイスプレート7との接合時における加圧を高めることができる。
【0041】
[実施形態3]
次に、
図8から
図10を参照して、実施形態3に係るパネル製造装置80について説明する。なお、実施形態3では、重複した記載を避けるべく、実施形態1及び2と異なる部分について説明し、実施形態1及び2と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
図8は、実施形態3に係るパネル製造装置を表す概略構成図である。
図9及び
図10は、溶着部の一例を表す説明図である。
【0042】
(パネル製造装置)
図8に示すように、実施形態3のパネル製造装置80は、実施形態1のパネル製造装置10における加熱部62に代えて、加熱部82を設けている。また、実施形態3のパネル製造装置80は、実施形態1のパネル製造装置10における加圧部61に代えて、加圧部83を設けている。さらに、実施形態3のパネル製造装置80は、第1の温度センサ84と、第2の温度センサ85とを設けている。
【0043】
図8に示すように、加熱部82は、レーザを照射するレーザ照射装置86と、レーザを屈曲させると共に走査させる走査部87と、を有している。加熱部82は、コア部材5を加熱して、熱溶着が可能な温度まで上昇させるものとなっている。具体的に、加熱部82は、加圧部83の搬送方向における上流側に位置して設けられている。加熱部82は、コア部材5と第2フェイスプレート7との間に形成される空間に設けられ、第2のフェイスプレート7と対向するコア部材5の面を加熱している。ここで、加熱部82は、レーザの照射タイミングと走査部87による走査とが制御されることにより、コア部材5の谷の底部に対して温度を上昇させている。
【0044】
ここで、
図9及び
図10を参照して、加熱部82により形成される溶着部9の一例について説明する。
図9及び
図10は、その左右方向がパネル1の幅方向となっている。
図9に示す溶着部9aは、レーザを照射することにより形成される円形状のスポット溶着部となっている。
図10に示す溶着部9bは、幅方向に連続する幅広の溶着部となっている。
図10では、レーザを幅方向に拡散させることにより、溶着部9bを形成してもよいし、溶着部9bを形成してもよい。
【0045】
加圧部83は、実施形態1の単一の加圧ローラ65に代えて、加熱側となる一対の加圧ローラ65aと、冷却側となる一対の加圧ローラ65bと、を有している。つまり、冷却側となる一対の加圧ローラ65bは、冷却部として機能している。
【0046】
一対の加圧ローラ65aは、搬送方向において一対の加圧ローラ65bの上流側に設けられ、実施形態1の加圧ローラ65と同様の位置に設けられている。一対の加圧ローラ65aは、加熱ローラとなっており、コア部材5と第2のフェイスプレート7との接合に寄与するように、図示しない加熱源により加熱されている。なお、加圧ローラ65aは、制御装置15に接続されており、制御装置15によって加熱温度が制御される。
【0047】
一対の加圧ローラ65bは、搬送方向において一対の加圧ローラ65bの下流側に設けられている。一対の加圧ローラ65bは、冷却ローラとなっており、コア部材5と第2のフェイスプレート7との溶着部9における変性を抑制するために、図示しない冷却源により冷却されている。なお、加圧ローラ65bは、制御装置15に接続されており、制御装置15によって冷却温度が制御される。
【0048】
第1の温度センサ84は、加熱部82により加熱された溶着部9となる被加熱部の温度を計測する温度センサとなっている。第1の温度センサ84は、制御装置15に接続されており、制御装置15は、第1の温度センサ84の計測結果に基づいて、加熱部82による加熱を制御したり、加圧部83の加圧ローラ65aによる加熱を制御したりする。
【0049】
第2の温度センサ85は、加圧ローラ65bにより冷却された溶着部9の温度を計測する温度センサとなっている。第2の温度センサ85は、制御装置15に接続されており、制御装置15は、第2の温度センサ85の計測結果に基づいて、加圧部83の加圧ローラ65bによる冷却を制御する。
【0050】
[実施形態4]
次に、
図11を参照して、実施形態4に係るパネル製造装置90について説明する。なお、実施形態4では、重複した記載を避けるべく、実施形態1から3と異なる部分について説明し、実施形態1から3と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
図11は、実施形態4に係るパネル製造装置を表す概略構成図である。
【0051】
図11に示すように、実施形態4のパネル製造装置90は、コア部材5に対して、第1のフェイスプレート6と、第2のフェイスプレート7とを同時に接合するものとなっている。つまり、実施形態4のパネル製造装置90は、実施形態3のパネル製造装置80において、シングルフェーサ11でのコア部材5と第1のフェイスプレート6との接合を省いたものとなっており、ダブルフェーサ12においてコア部材5と第1のフェイスプレート6との接合を行うものとなっている。
【0052】
実施形態4のパネル製造装置90のダブルフェーサ12において、供給部92は、コア部材5の一方側の面へ向けて、第2のフェイスプレート6を供給すると共に、コア部材5の他方側の面へ向けて、第2のフェイスプレート7を供給する装置となっている。供給部92は、第1のフェイスプレート6を挟み込んで、加圧部83へ向けて送出する一対の搬送ローラ57aを有している。また、供給部92は、第2のフェイスプレート7を挟み込んで、加圧部83へ向けて送出する一対の搬送ローラ57bを有している。
【0053】
加熱部82は、レーザを照射する2つのレーザ照射装置86a,86bと、レーザを屈曲させると共に走査させる2つの走査部87a,87bと、を有している。加熱部82は、コア部材5を加熱して、熱溶着が可能な温度まで上昇させるものとなっている。具体的に、加熱部82は、加圧部83の搬送方向における上流側に位置して設けられている。加熱部82は、レーザ照射装置86a及び走査部87aが、コア部材5と第1のフェイスプレート6との間に形成される空間に設けられ、第1のフェイスプレート6と対向するコア部材5の面を加熱している。また、加熱部82は、レーザ照射装置86b及び走査部87bが、コア部材5と第2のフェイスプレート7との間に形成される空間に設けられ、第2のフェイスプレート7と対向するコア部材5の面を加熱している。なお、レーザ照射装置86a,86b及び走査部87a,87bについては、実施形態3と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
なお、実施形態3及び実施形態4のレーザ照射装置を用いた加熱では、コア部材5の他、第1のフェイスプレート6及び第2のフェイスプレート7を加熱するものであってもよい。
【0055】
また、実施形態1から4では、連続的なシート状となるコア部材5、第1のフェイスプレート6及び第2のフェイスプレート7を、連続的に供給していたが、コア部材5、第1のフェイスプレート6及び第2のフェイスプレート7を、枚葉とし、間欠的に供給する構成としてもよい。
【0056】
以上のように、実施形態に記載のパネル製造装置10,70,80,90、パネル製造方法及びパネル1は、例えば、以下のように把握される。
【0057】
第1の態様に係るパネル製造装置10,70,80,90は、熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材5と、熱熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材5の一方側の面に接合される第1のフェイスプレート6と、を有するパネル1aを、搬送方向に搬送する搬送部51と、前記コア部材5の他方側の面へ向けて、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレート7を供給する供給部52,92と、前記コア部材5と前記第2のフェイスプレート7とが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱する加熱部62,82と、前記パネル1aの前記コア部材5と前記第2のフェイスプレート7とを加圧して溶着させる加圧部61,83と、を備える。
【0058】
この構成によれば、加熱部62,82により、コア部材5と第2のフェイスプレート7とが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱することにより、加圧部61,83による加圧によってコア部材5を変形させることなく、コア部材5と第2のフェイスプレート7とを好適に溶着させることができる。
【0059】
第2の態様として、前記加熱部62,82は、溶着される前記コア部材5と前記第2のフェイスプレート7との間へ向かって先細りとなる楔形状、または、溶着される前記コア部材5と前記第2のフェイスプレート7との間へ向かって延在する平板形状となっている。
【0060】
この構成によれば、加熱部62は、コア部材5と第2のフェイスプレート7とが溶着される直前まで加熱することができるため、コア部材5と第2のフェイスプレート7との溶着を好適に行うことができる。
【0061】
第3の態様として、前記加熱部62,82により加熱された被加熱部(溶着部9)の温度を計測する第1の温度センサ84と、前記第1の温度センサ84の計測結果に基づいて、前記加熱部62,82による加熱を制御する制御部(制御装置15)と、をさらに備える。
【0062】
この構成によれば、パネル1aのコア部材5と第2のフェイスプレート7との接合に際して、被加熱部の加熱温度を適切な温度とすることができる。
【0063】
第4の態様として、溶着した前記パネル1aと前記第2のフェイスプレート7とを冷却する冷却部(加圧ローラ65b)を、さらに備える。
【0064】
この構成によれば、パネル1aのコア部材5と第2のフェイスプレート7との溶着部9を冷却することができるため、溶着部9の変性を抑制することができる。
【0065】
第5の態様として、前記冷却部により冷却された被冷却部の温度を計測する第2の温度センサ85と、前記第2の温度センサ85の計測結果に基づいて、前記冷却部による冷却を制御する制御部(制御装置15)と、をさらに備える。
【0066】
この構成によれば、溶着部9の冷却温度を適切な温度とすることができる。
【0067】
第6の態様として、前記パネル1aは、前記コア部材5と前記第1のフェイスプレート6とにより区画される空間に設けられる発泡材71を、さらに有する。
【0068】
この構成によれば、発泡材71により加圧部61による加圧時において、パネル1aから反力を得ることができるため、コア部材5の変形を抑制し、加圧を好適に行うことができる。
【0069】
第7の態様として、前記コア部材5と前記第1のフェイスプレート6との接合前において、前記コア部材5と前記第1のフェイスプレート6とにより区画される空間に、前記発泡材を供給する発泡材供給部73を、さらに備える。
【0070】
この構成によれば、発泡材供給部73により、発泡材71が内包されたパネル1aを製造して供給することができる。
【0071】
第8の態様に係るパネル製造方法は、熱可塑性樹脂を含んでコルゲート形状に形成されるコア部材と、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成されると共に前記コア部材の一方側の面に接合される第1のフェイスプレートと、を有するパネルを、搬送方向に搬送するステップと、前記コア部材の他方側の面へ向けて、熱可塑性樹脂を含んでプレート形状に形成される第2のフェイスプレートを供給するステップと、前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱するステップと、前記パネルの前記コア部材と前記第2のフェイスプレートとを加圧して溶着させるステップと、を備える。
【0072】
この構成によれば、コア部材5と第2のフェイスプレート7とが対向するそれぞれの面の少なくとも一方の面を加熱することにより、加圧によってコア部材5を変形させることなく、コア部材5と第2のフェイスプレート7とを好適に溶着させることができる。なお、コア部材5の山の頂部を断続的に加熱することにより、コア部材5を変形させることなく、コア部材5と第2のフェイスプレート7の溶着を行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
1 パネル
1a パネル
5 コア部材
6 第1のフェイスプレート
7 第2のフェイスプレート
9 溶着部
10 パネル製造装置
11 シングルフェーサ
12 ダブルフェーサ
15 制御装置
51 搬送部
52 供給部
61 加圧部
62 加熱部
65 加圧ローラ
70 パネル製造装置(実施形態2)
71 発泡材
73 発泡材供給部
75 発泡材供給部
80 パネル製造装置(実施形態3)
82 加熱部
83 加圧部
84 第1の温度センサ
85 第2の温度センサ
86 レーザ照射装置
87 走査部
90 パネル製造装置(実施形態4)
92 供給部