(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164479
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、食品盛り付け制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069994
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】三輪 保生
(72)【発明者】
【氏名】荻山 雅和
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
(72)【発明者】
【氏名】武智 賢治
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET08
3C707LS15
3C707LV06
3C707LV14
3C707NS02
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】食品の盛り付けを好適に行える食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、食品盛り付け制御装置を提供する。
【解決手段】ロボットアームの先端に装着可能に設けられたハンド装置は、採取部35を有する。採取部35は、相互に接近する閉位置と、相互に離間する開位置との間を移動自在に設けられた複数の指部44A、44Bと、指部44A、44Bを開位置及び閉位置に往復駆動するエアシリンダを有する。採取部35は、各指部44Bに設けられて、相互に接近する進出位置と、相互に離間した退出位置間を移動自在に設けられた爪部60を有する。採取部35は、各指部44A、44Bが閉位置に位置する際に、各爪部60を進出位置に移動させ、各指部44A、44Bが開位置に位置する際に、各爪部60を退出位置へ作動させるエアシリンダ57を備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンド装置に有する採取部にて、採取位置に位置する食品の中間部を支持して、両端部を垂れ下げる第1工程と、
前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる第2工程と、
前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を、下方向及び下方向と直交する方向へ移動させることにより、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせて前記採取部による支持を解除する第3工程を含む食品盛り付け方法。
【請求項2】
前記下方向と直交する方向は、前記ハンド装置が、前記第1工程の前記採取位置から、前記第2工程の前記盛り付け領域上へ移動する方向に対して、所定角度を有して設定される請求項1に記載の食品盛り付け方法。
【請求項3】
前記盛り付け領域には、前記食品を所定行数M及び所定列数Nのうち、少なくともいずれか一方で配置される目標載置ポイントが設定されて、列順または行順に並ぶ前記目標載置ポイント毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、前記食品が設定範囲内の重量で盛り付けられる請求項1または請求項2に記載の食品盛り付け方法。
【請求項4】
前記採取部は、相互に開閉自在に設けられた複数の指部と、各指部から進退可能に作動し、前記食品を支持する爪部を有し、
前記第1工程では、前記指部を閉状態へ移行させるとともに、前記爪部を進出させて、前記採取位置に位置する前記食品を該爪部にて支持した後に上方向に移動させてその両端部を垂れ下げし、
前記第3工程では、前記指部を開状態へ移行させるとともに、前記爪部を退出させることにより、前記食品の支持を解除する請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の食品盛り付け方法。
【請求項5】
前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、
前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、
前記コンベアによって搬送される食品を採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の食品盛り付け方法。
【請求項6】
前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による前記搬送面の移動状態と、
前記搬送面上の前記食品を採取するタイミングとを同期させる
請求項5に記載の食品盛り付け方法。
【請求項7】
前記コンベアによって搬送される採取対象の前記食品を撮像手段によって撮像し、
この撮像結果に基づいて、前記食品における支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する請求項5または請求項6に記載の食品盛り付け方法。
【請求項8】
前記食品に対する前記支持目標ポイントを、
前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置から偏倚した位置に変更設定可能とする
請求項7に記載の食品盛り付け方法。
【請求項9】
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、
前記採取部が、
相互に接近する閉位置と、相互に離間する開位置との間を移動自在に設けられた複数の指部と、
前記指部を開位置及び閉位置に往復駆動する指部駆動源と、
各指部に設けられて、相互に接近する進出位置と、相互に離間した退出位置間を移動自在に設けられた爪部と、
前記各指部が閉位置に位置する際に、各爪部を前記進出位置に移動させ、前記各指部が前記開位置に位置する際に、各爪部を前記退出位置へ作動させる爪部駆動源とを備えたハンド装置。
【請求項10】
複数の自由度を有するロボットアームの先端にハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、
前記ハンド装置が、相互に開閉自在に設けられた複数の指部と、前記指部を開位置及び閉位置に往復駆動する指部駆動源とを備える採取部を有し、
前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、
前記指部駆動源は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部を閉位置側へ移動させて、前記指部を介して前記食品を支持する構成とし、
前記ロボットアームは、前記ハンド装置にて支持した前記食品の端部を垂れ下げた状態で、該ハンド装置を前記採取位置から離間した盛り付け領域上に移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とし、
前記指部駆動源は、寝かせた状態の前記食品から指部を介した支持を解除させる構成とした食品盛り付け装置。
【請求項11】
請求項9に記載のハンド装置を複数の自由度を有するロボットアームの先端に備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、
前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、
前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源によって前記指部を閉位置に作動させるとともに、前記爪部駆動源によって前記爪部を前記退出位置から前記進出位置へ移動させて、前記指部の閉位置への作動と前記爪部の進出位置への移動との少なくともいずれか一方により、前記食品を支持する構成とし、
前記ロボットアームは、前記ハンド装置にて前記食品を支持してその端部を垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とし、
前記指部駆動源及び前記爪部駆動源は、前記指部及び前記爪部を開位置及び退出位置に移動させて寝かせた状態の前記食品の支持を解除させる構成とした食品盛り付け装置。
【請求項12】
請求項10に記載の食品盛り付け装置の制御を行う制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、
前記制御部には、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、
前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させ、
前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源を駆動制御して、前記指部を開位置から閉位置へ移動させて、該指部を介して前記食品を支持させ、
前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置にて前記食品を支持して垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせ、
前記第2制御機能によって、前記指部駆動源を駆動制御して、前記進出位置から前記退出位置へ移動させて寝かせた状態の前記食品から前記指部を介した支持を解除させる構成とした食品盛り付け制御装置。
【請求項13】
請求項11に記載の食品盛り付け装置の制御を行う制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、
前記制御部は、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、
前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、
前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させ、
前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源を駆動制御して、前記指部を閉位置に移動させるとともに、前記爪部を前記退出位置から進出位置へ移動させて前記食品を支持させ、
前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置にて前記食品を支持して垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせ、
前記第2制御機能によって、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源を駆動制御して、寝かせた状態の前記食品の支持を解除させる構成とした食品盛り付け制御装置。
【請求項14】
開状態及び閉状態への移行を可能とした複数の指部と、前記複数の指部の間に進入および退避自在に配置された掬い上げ部とを含む採取部を備えたハンド装置による食品盛り付け方法であって、
採取位置に位置する食品を、開状態の指部の間に進入する前記掬い上げ部により斜め上方へ掬い上げて、前記複数の指部を閉状態に移行させることにより前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させて支持する第1工程と、
前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動する第2工程と、
前記盛り付け領域において、前記食品を、その支持を解除して前記掬い上げ部にて斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する第3工程を含む食品盛り付け方法。
【請求項15】
前記指部には、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた複数の爪部を有し、
前記指部の開状態は、前記複数の爪部が前記進出位置に位置した状態と、前記複数の爪部が前記退出位置に位置した状態とを含み、
前記指部の閉状態では、前記第1工程において、前記掬い上げ部により斜め上方へ掬い上げられた前記食品の下部を前記爪部に載せて支持する請求項14の食品盛り付け方法。
【請求項16】
前記盛り付け領域には、前記食品を所定行数M及び所定列数Nのうち、少なくともいずれか一方で配置される目標載置ポイントが設定され、列順または行順に並ぶ前記目標載置ポイント毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、前記食品が設定範囲内の重量で盛り付けられる請求項14または請求項15に記載の食品盛り付け方法。
【請求項17】
前記第2工程では、前記ハンド装置を下方向と直交する方向へ捻り、その後の第3工程で、前記掬い上げ部にて前記食品を斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する請求項14乃至請求項16のうちいずれか1項に記載の食品盛り付け方法。
【請求項18】
前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、
前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、
前記コンベアによって搬送される食品を採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける請求項14乃至請求項17のいずれか1項に記載の食品盛り付け方法。
【請求項19】
前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による搬送面の移動状態と、
前記搬送面上の食品を採取するタイミングとを同期させる
請求項18に記載の食品盛り付け方法。
【請求項20】
前記コンベアによって搬送される採取対象の食品を撮像手段によって撮像し、
この撮像結果に基づいて、前記食品に対する前記掬い上げ部の支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する請求項18または請求項19に記載の食品盛り付け方法。
【請求項21】
前記食品に対する前記支持目標ポイントを、
前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置から偏倚した位置に変更設定可能とする請求項20に記載の食品盛り付け方法。
【請求項22】
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、
前記採取部が、
開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部と、
前記指部の前記開状態及び前記閉状態の移行を行わせる指部駆動源と、
前記複数の指部の間に進入および退避自在に配置されるとともに、食品を斜め上方に掬い上げ、該掬い上げた前記食品を前記斜め上方とは逆方向に降ろすように作動する掬い上げ部と、
前記掬い上げ部を作動させる第1駆動源と、
前記掬い上げ部を前記複数の指部の間への進入および退避の作動させる第2駆動源と、を備えたハンド装置。
【請求項23】
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、
前記採取部が、
開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部と、
前記指部の前記開状態及び前記閉状態の移行を行わせる指部駆動源と、
各指部に設けられ、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた爪部と、
前記各爪部を前記進出位置及び前記退出位置の間で往復駆動する爪部駆動源と、
前記指部の開状態において前記進出位置に位置した各爪部の間に形成される間隙に進入自在に配置されるとともに、食品を斜め上方に掬い上げ、掬い上げた食品を斜め下方に降ろす掬い上げ部と、
前記掬い上げ部を前記斜め上方及び斜め下方へ作動させる第1駆動源と、
前記掬い上げ部の前記間隙への進入および退避の作動を行う第2駆動源と、を備え、
前記指部が開状態で、かつ、前記各爪部が前記進出位置に位置している状態で、前記掬い上げ部が前記食品を斜め上方に掬い上げた後、前記指部を閉状態へ移行させることによって前記食品の下部を前記各爪部に載せて支持し、前記ハンド装置の移動によって前記食品を前記盛り付け領域上の位置まで移動させた後に、前記各爪部を退出位置へ移動させて該各爪部による前記食品の支持を解除する構成としたハンド装置。
【請求項24】
複数の自由度を有するロボットアームの先端に請求項22に記載のハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、
前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させ、
前記掬い上げ部は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に前記第2駆動源により開状態の指部の間に進入するとともに、前記第1駆動源により前記採取位置に位置する前記食品を斜め上方へ掬い上げる構成とし、
前記指部は、前記開状態で、該指部の間への前記掬い上げ部の進入と、前記食品の掬い上げ作動を許容するとともに、前記指部駆動源による前記閉状態への移行によって、前記掬い上げられた前記食品を平面視で略U字状に変形させる構成とし、
前記ロボットアームは、前記食品が変形された後に、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる構成とし、
前記指部は、前記ロボットアームによって前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動した後、前記指部駆動源により、開状態に移行して前記指部による前記食品の支持を解除する構成とし、
前記掬い上げ部は、前記第1駆動源により、支持が解除された前記食品を斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままで載置する構成とした食品盛り付け装置。
【請求項25】
複数の自由度を有するロボットアームの先端に請求項23に記載のハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、
前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させ、
前記掬い上げ部は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に前記第2駆動源により前記指部が開状態または閉状態で、かつ、前記爪部が進出位置に位置しているときの前記間隙に進入し、前記採取位置に位置する食品を前記第1駆動源により斜め上方へ掬い上げる構成とし、
前記指部が、前記指部駆動源により前記閉状態に移動することで前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させるとともに、前記進出位置に位置した爪部で前記掬い上げられた前記食品を支持し、
前記ロボットアームは、前記食品が前記爪部にて支持された後に、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させ、
前記爪部は、前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動する際、前記爪部駆動源により、前記退出位置に移動することにより前記食品の支持を解除し、
前記掬い上げ部は、前記爪部による支持が解除された前記食品を、前記第1駆動源により、斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままで載置する構成とした食品盛り付け装置。
【請求項26】
請求項25に記載の食品盛り付け装置を制御する制御部を備える食品盛り付け制御装置であって、
前記制御部は、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、
前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、
前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を前記待機位置から、前記採取位置に移動させ、
前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に、前記第2駆動源を制御して、前記指部が開状態または開状態で、かつ、前記爪部が進出位置に位置しているときの前記間隙に前記掬い上げ部を進入させるとともに、前記第1駆動源を制御して、前記採取位置に位置する前記食品を斜め上方へ掬い上げ、
前記第2制御機能によって、前記指部駆動源を制御して前記指部を閉じ方向へ移動させることで前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させるとともに、前記進出位置に位置した爪部で前記掬い上げられた前記食品を支持し、
前記第1制御機能によって、前記食品が前記爪部にて支持された後に、前記能動関節を制御して、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に前記ハンド装置を移動させ、
前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動した後、前記指部駆動源によって前記指部を開状態へ移行させる制御、及び前記爪部駆動源によって前記爪部を退出位置へ移動させる制御のうち、少なくとも前記爪部駆動源によって前記爪部を退出位置へ移動させる制御を行って、前記食品の支持を解除し、さらに、前記第1駆動源を制御して、前記掬い上げ部により、支持が解除された前記食品を斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該食品を平面視で略U字状のままで載置させる構成とした食品盛り付け制御装置。
【請求項27】
請求項26に記載の食品盛り付け制御装置において、
前記第1制御機能によって、前記能動関節を制御して、前記ロボットアームの先端を介して、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる際、前記盛り付け領域上、またはその近辺で、前記ハンド装置を下方向と直交する方向へ一旦捻り、その後、前記捻りを戻しながら、前記第2制御機能の前記第1駆動源の制御により、前記掬い上げ部にて前記食品を斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する構成とした食品盛り付け制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、食品盛り付け制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットにより食品を盛り付けする装置は、例えば特許文献1で公知である。また、特許文献2では、搬送コンベア上のパウチを、ロボットのエンドエフェクタが備える真空吸着装置により、ピッキングして、他の搬送コンベア上に移動載置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6650119号
【特許文献2】特開2019-10719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、食品をコンベア上の食品容器に対して盛り付けする具体的な態様は、開示されていない。
特許文献2では、パウチを前述のごとく、真空吸着装置でピッキングして、1つずつ他のコンベア上にそれぞれ離間して載置して、前記他のコンベアで移送するようにしている。ところで、従来、スライサーによりスライスされたスライス肉は、コンベアに載せられて移送され、この移送中に、作業者により手作業でトレイに盛り付けられている。この理由は、スライス肉は、厚みが薄く、しなやかさに富むため、中間部を持つと、両端が垂れてしまう食品である点にある。従来は、このような食品についての盛り付けの自動化は、し難いため、手作業で行っていたのである。
【0005】
なお、上記特許文献1、2では、食品を好適に盛り付ける方法、ハンド装置、盛り付け装置、盛り付け制御装置については、技術的に改良の余地がある。このため、このような食品について好適な盛り付けができる方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、食品盛り付け制御装置が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決して、柔らかい食品の盛り付けを好適に行える食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、食品盛り付け制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の第1の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、ハンド装置に有する採取部にて、採取位置に位置する食品の中間部を支持して、両端部を垂れ下げる第1工程と、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる第2工程と、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を、下方向及び下方向と直交する方向へ移動させることにより、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせて前記採取部による支持を解除する第3工程を含む。
【0008】
本発明の第2の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記下方向と直交する方向は、前記ハンド装置が、前記第1工程の前記採取位置から、前記第2工程の前記盛り付け領域上へ移動する方向に対して、所定角度を有して設定される。
【0009】
本発明の第3の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記盛り付け領域には、前記食品を所定行数M及び所定列数Nのうち、少なくともいずれか一方で配置される目標載置ポイントが設定されて、列順または行順に並ぶ前記目標載置ポイント毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、前記食品が設定範囲内の重量で盛り付けられる。
【0010】
本発明の第4の態様は、前記採取部は、相互に開閉自在に設けられた複数の指部と、各指部から進退可能に作動し、前記食品を支持する爪部を有し、前記第1工程では、前記指部を閉状態へ移行させるとともに、前記爪部を進出させて、前記採取位置に位置する前記食品を該爪部にて支持した後に上方向に移動させてその両端部を垂れ下げし、前記第3工程では、前記指部を開状態へ移行させるとともに、前記爪部を退出させることにより、前記食品の支持を解除する。
【0011】
本発明の第5の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、前記コンベアによって搬送される食品を採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける。
【0012】
本発明の第6の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による前記搬送面の移動状態と、前記搬送面上の前記食品を採取するタイミングとを同期させる。
【0013】
本発明の第7の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記コンベアによって搬送される採取対象の前記食品を撮像手段によって撮像し、この撮像結果に基づいて、前記食品における支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する。
【0014】
本発明の第8の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記食品に対する前記支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置から偏倚した位置に変更設定可能とする。
【0015】
本発明の第9の態様は、ハンド装置が提供される。このハンド装置は、ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、前記採取部が、相互に接近する閉位置と、相互に離間する開位置との間を移動自在に設けられた複数の指部と、前記指部を開位置及び閉位置に往復駆動する指部駆動源と、各指部に設けられて、相互に接近する進出位置と、相互に離間した退出位置間を移動自在に設けられた爪部と、前記各指部が閉位置に位置する際に、各爪部を前記進出位置に移動させ、前記各指部が前記開位置に位置する際に、各爪部を前記退出位置へ作動させる爪部駆動源とを備える。
【0016】
本発明の第10の態様は、食品盛り付け装置が提供される。この食品盛り付け装置は、複数の自由度を有するロボットアームの先端にハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ハンド装置が、相互に開閉自在に設けられた複数の指部と、前記指部を開位置及び閉位置に往復駆動する指部駆動源とを備える採取部を有し、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、前記指部駆動源は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部を閉位置側へ移動させて、前記指部を介して前記食品を支持する構成とし、前記ロボットアームは、前記ハンド装置にて支持した前記食品の端部を垂れ下げた状態で、該ハンド装置を前記採取位置から離間した盛り付け領域上に移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とし、前記指部駆動源は、寝かせた状態の前記食品から指部を介した支持を解除させる構成とした。
【0017】
本発明の第11の態様は、食品盛り付け装置が提供される。この食品盛り付け装置は、第10の態様のハンド装置を複数の自由度を有するロボットアームの先端に備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源によって前記指部を閉位置に作動させるとともに、前記爪部駆動源によって前記爪部を前記退出位置から前記進出位置へ移動させて、前記指部の閉位置への作動と前記爪部の進出位置への移動との少なくともいずれか一方により、前記食品を支持する構成とし、前記ロボットアームは、前記ハンド装置にて前記食品を支持してその端部を垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とし、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源は、前記指部及び前記爪部を開位置及び退出位置に移動させて寝かせた状態の前記食品の支持を解除させる構成とした。
【0018】
本発明の第12の態様は、食品盛り付け制御装置が提供される。この食品盛り付け制御装置は、第10の態様の食品盛り付け装置の制御を行う制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、前記制御部には、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源を駆動制御して、前記指部を開位置から閉位置へ移動させて、該指部を介して前記食品を支持させ、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置にて前記食品を支持して垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせ、前記第2制御機能によって、前記指部駆動源を駆動制御して、前記進出位置から前記退出位置へ移動させて寝かせた状態の前記食品から前記指部を介した支持を解除させる構成とした。
【0019】
本発明の第13の態様は、食品盛り付け制御装置が提供される。この食品盛り付け制御装置は、第11の態様の食品盛り付け装置の制御を行う制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、前記制御部は、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源を駆動制御して、前記指部を閉位置に移動させるとともに、前記爪部を前記退出位置から進出位置へ移動させて前記食品を支持させ、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置にて前記食品を支持して垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせ、前記第2制御機能によって、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源を駆動制御して、寝かせた状態の前記食品の支持を解除させる構成とした。
【0020】
本発明の第14の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、開状態及び閉状態への移行を可能とした複数の指部と、前記複数の指部の間に進入および退避自在に配置された掬い上げ部とを含む採取部を備えたハンド装置による食品盛り付け方法であって、採取位置に位置する食品を、開状態の指部の間に進入する前記掬い上げ部により斜め上方へ掬い上げて、前記複数の指部を閉状態に移行させることにより前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させて支持する第1工程と、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動する第2工程と、前記盛り付け領域において、前記食品を、その支持を解除して前記掬い上げ部にて斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する第3工程を含む。
【0021】
本発明の第15の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記指部には、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた複数の爪部を有し、前記指部の開状態は、前記複数の爪部が前記進出位置に位置した状態と、前記複数の爪部が前記退出位置に位置した状態とを含み、前記指部の閉状態では、前記第1工程において、前記掬い上げ部により斜め上方へ掬い上げられた前記食品の下部を前記爪部に載せて支持する。
【0022】
本発明の第16の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記盛り付け領域には、前記食品を所定行数M及び所定列数Nのうち、少なくともいずれか一方で配置される目標載置ポイントが設定され、列順または行順に並ぶ前記目標載置ポイント毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、前記食品が設定範囲内の重量で盛り付けられる。
【0023】
本発明の第17の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記第2工程では、前記ハンド装置を下方向と直交する方向へ捻り、その後の第3工程で、前記掬い上げ部にて前記食肉を斜め下方へ降ろし、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する。
【0024】
本発明の第18の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、前記コンベアによって搬送される食品を採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける
本発明の第19の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による搬送面の移動状態と、前記搬送面上の食品を採取するタイミングとを同期させる。
【0025】
本発明の第20の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記コンベアによって搬送される採取対象の食品を撮像手段によって撮像し、この撮像結果に基づいて、前記食品に対する前記掬い上げ部の支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する。
【0026】
本発明の第21の態様は、食品盛り付け方法が提供される。この食品盛り付け方法は、前記食品に対する前記支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置から偏倚した位置に変更設定可能とする。
【0027】
本発明の第22の態様は、ハンド装置が提供される。このハンド装置は、ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、前記採取部が、開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部と、前記指部の前記開状態及び前記閉状態の移行を行わせる指部駆動源と、前記複数の指部の間に進入および退避自在に配置されるとともに、食品を斜め上方に掬い上げ、該掬い上げた前記食品を前記斜め上方とは逆方向に降ろすように作動する掬い上げ部と、前記掬い上げ部を作動させる第1駆動源と、前記掬い上げ部を前記複数の指部の間への進入および退避の作動させる第2駆動源と、を備える。
【0028】
本発明の第23の態様は、ハンド装置が提供される。このハンド装置は、ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、前記採取部が、開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部と、前記指部の前記開状態及び前記閉状態の移行を行わせる指部駆動源と、各指部に設けられ、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた爪部と、前記各爪部を前記進出位置及び前記退出位置の間で往復駆動する爪部駆動源と、前記指部の開状態において前記進出位置に位置した各爪部の間に形成される間隙に進入自在に配置されるとともに、食品を斜め上方に掬い上げ、掬い上げた食品を斜め下方に降ろす掬い上げ部と、前記掬い上げ部を前記斜め上方及び斜め下方へ作動させる第1駆動源と、前記掬い上げ部の前記間隙への進入および退避の作動を行う第2駆動源と、を備え、前記指部が開状態で、かつ、前記各爪部が前記進出位置に位置している状態で、前記掬い上げ部が前記食品を斜め上方に掬い上げた後、前記指部を閉状態へ移行させることによって前記食品の下部を前記各爪部に載せて支持し、前記ハンド装置の移動によって前記食品を前記盛り付け領域上の位置まで移動させた後に、前記各爪部を退出位置へ移動させて該各爪部による前記食品の支持を解除する構成としている。
【0029】
本発明の第24の態様は、食品盛り付け装置が提供される。この食品盛り付け装置は、複数の自由度を有するロボットアームの先端に第22の態様のハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させ、前記掬い上げ部は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に前記第2駆動源により開状態の指部の間に進入するとともに、前記第1駆動源により前記採取位置に位置する前記食品を斜め上方へ掬い上げる構成とし、前記指部は、前記開状態で、該指部の間への前記掬い上げ部の進入と、前記食品の掬い上げ作動を許容するとともに、前記指部駆動源による前記閉状態への移行によって、前記掬い上げられた前記食品を平面視で略U字状に変形させる構成とし、前記ロボットアームは、前記食品が変形された後に、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる構成とし、前記指部は、前記ロボットアームによって前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動した後、前記指部駆動源により、開状態に移行して前記爪部による前記食品の支持を解除する構成とし、前記掬い上げ部は、前記第1駆動源により、支持が解除された前記食品を斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままで載置する構成としている。
【0030】
本発明の第25の態様は、食品盛り付け装置が提供される。この食品盛り付け装置は、複数の自由度を有するロボットアームの先端に第23の態様のハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させ、前記掬い上げ部は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に前記第2駆動源により前記指部が開状態または閉状態で、かつ、前記爪部が進出位置に位置しているときの前記間隙に進入し、前記採取位置に位置する食品を前記第1駆動源により斜め上方へ掬い上げる構成とし、前記指部が、前記指部駆動源により前記閉状態に移動することで前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させるとともに、前記進出位置に位置した爪部で前記掬い上げられた前記食品を支持し、前記ロボットアームは、前記食品が前記爪部にて支持された後に、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させ、前記爪部は、前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動する際、前記爪部駆動源により、前記退出位置に移動することにより前記食品の支持を解除し、前記掬い上げ部は、前記爪部による支持が解除された前記食品を、前記第1駆動源により、斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままで載置する構成としている。
【0031】
本発明の第26の態様は、食品盛り付け制御装置が提供される。この食品盛り付け制御装置は、第25の態様の食品盛り付け装置を制御する制御部を備える食品盛り付け制御装置であって、前記制御部は、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を前記待機位置から、前記採取位置に移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に、前記第2駆動源を制御して、前記指部が開状態または開状態で、かつ、前記爪部が進出位置に位置しているときの前記間隙に前記掬い上げ部を進入させるとともに、前記第1駆動源を制御して、前記採取位置に位置する前記食品を斜め上方へ掬い上げ、前記第2制御機能によって、前記指部駆動源を制御して前記指部を閉じ方向へ移動させることで前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させるとともに、前記進出位置に位置した爪部で前記掬い上げられた前記食品を支持し、前記第1制御機能によって、前記食品が前記爪部にて支持された後に、前記能動関節を制御して、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に前記ハンド装置を移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動した後、前記指部駆動源によって前記指部を開状態へ移行させる制御、及び前記爪部駆動源によって前記爪部を退出位置へ移動させる制御のうち、少なくとも前記爪部駆動源によって前記爪部を退出位置へ移動させる制御を行って、前記食品の支持を解除し、さらに、前記第1駆動源を制御して、前記掬い上げ部により、支持が解除された前記食品を斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該食品を平面視で略U字状のままで載置させる構成としている。
【0032】
本発明の第27の態様は、食品盛り付け制御装置が提供される。この食品盛り付け制御装置は、第26の態様の食品盛り付け制御装置において、前記第1制御機能によって、前記能動関節を制御して、前記ロボットアームの先端を介して、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる際、前記盛り付け領域上、またはその近辺で、前記ハンド装置を下方向と直交する方向へ一旦捻り、その後、前記捻りを戻しながら、前記第2制御機能の前記第1駆動源の制御により、前記掬い上げ部にて前記食品を斜め下方へ降ろし、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する構成としている。
【発明の効果】
【0033】
本発明の食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、食品盛り付け制御装置は、食品を変形させて好適に盛り付けできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1実施形態の食品盛り付け装置の概略側面図。
【
図2】第1実施形態の食品盛り付け装置の概略平面図。
【
図3】(a)は、第1実施形態のハンド装置の側面図、(b)は、エアシリンダ42の斜視図。
【
図4】(a)は第1実施形態のハンド装置における指部の一部を切り欠いた状態における退出位置の爪部の正面図、(b)は第1実施形態のハンド装置における指部の一部を切り欠いた状態における進出位置の爪部の正面図。
【
図5】第1実施形態の食品盛り付け制御装置のブロック図。
【
図6】第1実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図7】第1実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図8】第1実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図9】(a)は第1実施形態のハンド装置の軌道を側面視した説明図、(b)は第1実施形態のハンド装置の軌道を平面視した説明図。
【
図10】第1実施形態の盛り付け領域に配置されたトレイのスライス肉配置区画の説明図。
【
図11】(a)~(d)は、スライス肉の盛り付け領域における移動状態を示す説明図。
【
図12】(a)~(c)は、第1実施形態において、スライス肉が盛り付け領域において行列配置される状態を示す説明図。
【
図13】(a)は、指部によりスライス肉が把持される直前状態を正面視した説明図、(b)は、指部によりスライス肉が把持された直後の状態を背面視した説明図。
【
図14】(a)は、指部により把持されたスライス肉が上方へ移動されて、盛り付け領域に移送されている状態を側面視した説明図、(b)は同じく指部により把持されたスライス肉が上方へ移動されて、盛り付け領域に移送されている状態を背面視した説明図。
【
図15】第2実施形態の可撓性物品盛り付け装置の概略平面図。
【
図17】第2実施形態の掬い上げ部の機構ケースの側断面図。
【
図21】第2実施形態の食品盛り付け制御装置のブロック図。
【
図22】第2実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図23】第2実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図24】第2実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図25】第2実施形態のハンド装置の軌道を側面視した説明図。
【
図26】第2実施形態のハンド装置の軌道を平面視した説明図。
【
図27】(a)は、第2実施形態の盛り付け領域の説明図、(b)は第2実施形態のスライス肉の捻った状態の説明図。
【
図28】(a)~(c)は、第2実施形態においてスライス肉が盛り付け領域において、行列配置される状態を示す説明図。
【
図29】(a)~(f)は、第2実施形態においてスライス肉の盛り付け領域における移動状態を示す説明図。
【
図30】(a)は第2実施形態において、掬い上げ部及び指部によりスライス肉が把持される直前状態を側面視した説明図、(b)は、掬い上げ部及び指部によりスライス肉が把持される直前状態を背面視した説明図。
【
図31】(a)は、第2実施形態において掬い上げ部及び指部により把持されたスライス肉が上方へ移動された状態を側面視した説明図、(b)は掬い上げ部及び指部により把持されたスライス肉が上方へ移動された状態を背面視した説明図。
【
図32】(a)は、
図31(b)の状態からさらに、掬い上げ部及び指部により把持されたスライス肉が上方へ移動された状態を背面視した説明図、(b)は、ハンド装置の上昇及び盛り付け領域への移動により掬い上げ部及び指部にて把持されたスライス肉が盛り付け領域に移送されている状態を背面視した説明図。
【
図33】ハンド装置の上昇及び盛り付け領域への移動により掬い上げ部及び指部にて把持されたスライス肉が盛り付け領域に移送されている状態を側面視した説明図。
【
図34】(a)~(c)は、スライス肉が盛り付け領域において、降ろされる状態の説明図。
【
図35】(a)及び(b)は、他の実施形態の移載装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明の食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、及び食品盛り付け制御装置を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態では、食品をスライス肉としている。なお、食品はスライス肉に限定するものではなく、他の食品であってもよい。本実施形態では、スライサー12が切断したスライス肉Eを搬送する第1搬送装置14の搬送方向において、スライサー12側を上流とし、その反対側を下流側とする。
図2において、「-Y」及び「+Y」は、上流及び下流の方向を示す。「-X」及び「+X」は、スライサー12側から見て、右方向及び左方向を示す。「-Z」及び「+Z」は、下方及び上方を示す。X、Y、Zで示す方向は相互に直交する。
【0036】
<第1搬送装置14及び第2搬送装置18>
図2に示すように、食品盛り付け装置10は、塊状肉を連続的に切断するスライサー12から切り出され二つに折り畳まれたスライス肉Eを搬送する第1搬送装置14に対して、その下流側の左側に設けられる。なお、食品盛り付け装置10の配置は、第1搬送装置14の下流側の左側に限定するものではなく、右側であってもよく、或いは、第1搬送装置14の下流側部位の直上方に対して天吊装置(図示しない)を介して吊り下げ支持してもよい。第1搬送装置14の終端側には、この第1搬送装置14の搬送方向とは直交する左右方向に延在する第2搬送装置18が配置されている。本実施形態では、第1搬送装置14及び第2搬送装置18のベルト15、19の搬送面15a、19aは、同一高さとなるように配置されているが、同一の高さに限定されない。なお、以下の記載において、スライス肉Eは二つに折り畳まれたものに限らず、折り畳まれていない一枚肉であってもよい。
【0037】
第1搬送装置14及び第2搬送装置18は、従動ローラ群と駆動ローラ(ともに図示しない)にわたって無端のベルト15、19が巻回されることによりコンベア16、20が構成されている。コンベア16は、減速機を介したサーボモータ91(
図5参照)を備える。スライサー12により細長く折り畳まれたスライス肉Eは、
図2に示すように、その長手方向が、搬送装置14の搬送方向とは直交する方向(X軸方向)に沿うようにして第1搬送装置14のベルト15上に載置される。サーボモータ91の回転位置は、
図5に示すエンコーダ92により検出され、その検出値は、スライサーコントローラ90に入力されて、サーボモータ91のフィードバック制御等に使用される。
【0038】
図5に示すスライサーコントローラ90は、サーボモータ91を制御してベルト15を間歇駆動、または連続駆動させることにより、その長手方向をX軸方向に沿って平行に載置したスライス肉Eを、
図2に示す採取位置Tまで搬送する。間歇駆動では、スライス肉Eが採取位置Tまで搬送すると、ベルト15が一旦停止される。連続駆動は、スライス肉Eが採取されてから、次のスライス肉が採取位置Tに到着するまでの時間が、
図9に示すハンド装置40のポイントP0~P8~P0までの移動時間よりも長い場合に採用される。
【0039】
図1及び
図2に示すように、第1搬送装置14のベルト15において、採取位置Tよりも上流側の上方には、撮像手段としてのカメラ87が配置されている。なお、
図2では、食品盛り付け装置10等を平面視しているため、搬送面15aの上方にあるカメラ87の位置を二点鎖線で示している。カメラ87は、採取位置Tに搬送されるスライス肉Eの画像を取得する。
【0040】
図2に示すように第2搬送装置18において、第1搬送装置14のベルト15と相対するベルト19の一部領域は、
図10に示すように、Y軸方向長さをr1とし、X軸方向長さをr2とする盛り付け領域Rとしている。盛り付け領域R上には、スライス肉Eが盛り付けられる収納容器としての周壁88aを有する内底面が四角形状のトレイ88が載置される。第2搬送装置18は、食品盛り付け装置10によるトレイ88へのスライス肉Eの盛り付けが完了するまでは、搬送が停止され、トレイ88へのスライス肉Eの盛り付けが完了後に該トレイ88を移送する。なお、この搬送停止位置に位置付けられたトレイ88の内底面自体に、盛り付け領域Rを設定してもよい。
【0041】
<食品盛り付け装置10>
図1に示すように、食品盛り付け装置10は、6軸の自由度を有する多関節型のロボットアーム22を有するロボットからなる。ロボットアーム22は、6つの能動関節J1、J2、J3、J4、J5、J6を有していて、それぞれが回転または捻れを行うことにより、ロボットアーム22を構成する各部または全体が回転、旋回、揺動または傾動する。
図1に示す、J1、J2、J3、J4、J5、J6は、能動関節の軸を示す。
【0042】
前記能動関節の軸J1、J2、J3、J4、J5、J6は、
図5に示すように軸毎にサーボモータ71~76を備える。ロボットアーム22は、サーボモータ71~76毎に
図5に示すように位置検出器としてのエンコーダ81~86を備える。具体的には、ロボットアーム22は、基台25、旋回ベース26、ロアアーム27、アッパアーム28、手首支持腕29、及びハンド取付台30を含む。
【0043】
基台25は、フロアに固定された支持台24上に固定される。基台25には能動関節の軸J1周りに旋回ベース26が旋回自在に設けられる。旋回ベース26には、水平軸である能動関節の軸J2周りにロアアーム27が、揺動自在に軸支される。軸J1は、鉛直方向に延出される。軸J2は、軸J1とは直交する。ロアアーム27の上端には、水平軸である軸J3周りにアッパアーム28の基部28aが上下方向に揺動自在に軸支される。アッパアーム28は、前記基部28aと、基部28aの先端に連結された回転体28bとを有する。回転体28bは、基部28aの軸線に沿って平行に配置された水平軸である能動関節の軸J4の周りに回転自在にされる。軸J4は、軸J3とは直交する。
【0044】
アッパアーム14の回転体28bの先端には、手首支持腕29が能動関節の軸J5により、傾動又は揺動可能に支持されている。軸J5は、軸J4とは直交する。能動関節の軸J5は、アッパアーム28の先端部において手首支持腕29を傾動させたり揺動させることにより、ハンド取付台30を俯仰させる機構として働く。手首支持腕29の先端には、ハンド取付台30が能動関節の軸J6により旋回可能に装着される。各能動関節の軸J1、J2、J3、J4、J5、J6は、図示しない減速機を介したサーボモータ71~76が装備され、後述する食品盛り付け制御装置70からの指令を受けて駆動される。
図1に示すようにハンド取付台30の下面には、採取部35を有するハンド装置40が装着される。
【0045】
<ハンド装置40>
図3(a)に示すようにハンド装置40の採取部35は、ハンド取付台30の下面に取り付けられる取付板41、取付板41の下面に固定されるエアシリンダ42、エアシリンダ42により開閉自在に駆動される一対の指部44A、44B及び爪部60を備える。なお、指部及び爪部は、一対に限定されることなく、3個以上あってもよい。
【0046】
図3(a)及び
図3(b)に示すようにエアシリンダ42は、略直方体状をなすボディ43と、ボディ43の下面に形成されたガイドレール43aに摺動自在に嵌合された一対のスライダ45、46を有する。エアシリンダ42は、指部駆動源に相当する。なお、指部駆動源は、エアシリンダに限定するものではなく、ソレノイド、或いは油圧シリンダでもよい。ボディ43及びガイドレール43aは、その長手方向が、+Y、-Y方向に沿うように配置される。ボディ43内には一対のシリンダ孔47が平行して穿設される。各シリンダ孔47内にはピストン(図示せず)が+Y、-Y方向に沿うよう往復動自在に配置される。各ピストンは、前記スライダ45、46にそれぞれ一体に連結される。両ピストンは、作動時には、互いに反対方向に移動するように構成される。このため、各ピストンに連結されたスライダ45、46は互いに反対方向に作動する。
【0047】
図3(a)に示すようにスライダ45、46には、下方へ延びる一対のブラケット48がそれぞれ一体に連結される。なお、
図3(a)においては、+Y側に位置するブラケット48が図示されていて、-Y側に位置するブラケット48は、隠れて図示されていない。
図3(a)、
図4(a)、及び
図4(b)に示すように、ブラケット48の下端には、取付部材49を介して指部44A、44Bが設けられる。
【0048】
本実施形態では、後述するロボットコントローラ70がロボットアーム22を姿勢制御することにより、
図13(a)に示すように、指部44A、44Bは、常にY軸方向に並ぶように配置される。かつ、指部44A、44Bは、両者の中間に位置する仮想平面Gに対して、面対称に形成される。すなわち、本実施形態では、指部44A、44Bは、
図11(a)に示すようにY軸に対する傾き角度θ2(=0)にして配置されている。
【0049】
すなわち、本実施形態では、
図2に示すように採取位置Tに配置されるスライス肉Eは、その長手方向がX軸に沿って平行に配置される。これに対して、指部44A、44Bは、
図11(a)に示すようにY軸に対する傾き角度θ2(=0)にして配置する。このことにより、採取部35(爪部60)は、前記長手方向とは直交した状態で後述する被採取部位Bを採取する。このことにより、スライス肉Eの採取部35による採取支持を安定して行うことが可能となる。
【0050】
なお、指部44A、44Bの前記傾き角度θ2=0に限定するものではない。採取位置Tに配置されるスライス肉Eの長手方向の中心線と、X軸との傾きに応じて、被採取部位Bにおける採取部35の採取及び支持をスライス肉Eの長手方向に対して、直交するように、指部44A、44Bの前記傾きを合わせることが好ましい。このようにすれば、スライス肉Eの採取部35による採取支持を安定して行うことが可能となる。なお、前記直交は、略直交であってもよい。
【0051】
以下では、指部44Aについて説明する。前述のように面対称の指部44Bを構成する各部材については、指部44Aを構成する各部材に付した符号を付して、その説明を省略する。なお、指部44Bにおいて、Y軸の方向に作動する部材については、指部44Aの対応する部材とは反対方向に作動するものと理解されたい。
【0052】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、取付部材49は、ブラケット48にボルト着されて、指部44Aを支持する取付板部49aと、取付板部49aの上端に形成された爪部駆動源取付板49bとを有する。爪部駆動源取付板49bは、略水平に配置されている。指部44Aは、一対の指板部50、51及び一対の指先部53、54を有する。指板部50、51は、該指板部50、51間に取付板部49aが挿入された状態で、取付板部49aにボルト着されることにより支持されている。
【0053】
指板部50、51間に介在するように止着された複数の間隔保持部材52と、前記取付板部49aとにより、両指板部50、51間には間隙が形成されている。
図4(a)及び
図4(b)に示すように指板部50、51の下方に延出されるとともに、下部には同一形状で板状をなす一対の指先部53、54が配置される。指先部53、54は、指先部53、54の上部間において、+Y側に間隔保持部材55が、及び-Y側にガイド部材56の上部が介在された状態で、指板部50、51に対してボルト着されることにより、指板部50、51に支持される。ガイド部材56の下部は、指先部53、54の略中央部においてボルト等により止着されている。ガイド部材56の上面56aは、下方へ行くほど+Y側へ傾斜する傾斜面となっている。指部44A、44Bの指先部53、54は、相互に対向する側面を有する。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、該側面は、鉛直面であって、対向する他の指部44A、44Bの指先部53、54の側面と平行であることが好ましいが限定されるものではない。
【0054】
指部44A、44Bは、エアシリンダ42が駆動されていない状態では、
図13(a)に示すように、指先部53、54が所定距離L1分離間するように開位置に配置された開状態となる。指部44A、44Bは、エアシリンダ42が駆動された状態では、
図13(b)に示すように、指先部53、54が所定距離L2(<L1)分離間するように閉位置に配置されて、開状態よりも離間間隔が狭い閉状態となる。
図4(a)、
図4(b)に示すように、爪部駆動源取付板49bの上面には、爪部駆動源としてのエアシリンダ57が装着されている。本実施形態では、爪部駆動源はエアシリンダ57としているが、爪部駆動源はソレノイド、或いは油圧シリンダでもよい。エアシリンダ57のロッド58は、爪部駆動源取付板49b下方の前記両指板部50、51間の間隙に配置される。ロッド58は、エアシリンダ57が非作動状態では、
図4(a)に示す上限位置に位置するとともに、エアシリンダ57が作動すると
図4(b)に示す、下限位置まで位置する。
【0055】
ロッド58の先端には、揺動部材59がY軸方向に沿って揺動自在に連結されている。揺動部材59の下端は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、ロッド58が上限位置と下限位置間を往復移動すると、ガイド部材56の上面56aの上部及び下部間を摺接する。揺動部材59の下端には、爪部60が設けられている。爪部60は、リボン板状(幅狭の板状)をなす爪部材61にて構成されている。爪部材61は、本実施形態では、スライス肉Eを係止して持ち上げたとき(採取したとき)に、その重量で腰折れがしないように剛性を有した材質からなり、その下端面が指部44Bの爪部材61の下端面と相対可能に湾曲状をなす。前記剛性を有した材質とは、ステンレス等の金属、合成樹脂等を上げることができる。
図4(a)に示すように、爪部材61は、指先部53、54間の中央部から下部において、並設して配置された複数の規制ピン62、63、64の間に挿通される。そして、爪部材61の先端は、対向する他の指部44A、44Bに設けられた爪部材61と相対するように配置される。
【0056】
爪部材61は、ロッド58が上限位置に位置する際は、
図4(a)に示すように、指先部53、54間の間隙内に位置する退出位置に位置する。爪部材61は、ロッド58が下限位置に位置する際は、
図4(b)に示すように、指先部53、54から突出した進出位置に位置する。この進出位置は、指部44A、44Bが閉状態となった際に、両爪部材61が相互に当接間近の近接した位置に設定されている。このように進出位置が設定されることにより、スライス肉Eの採取が可能となっている。なお、進出位置は、相互に当接間近の近接した位置に限定するものではなく、スライス肉の採取を可能な範囲であればよい。
【0057】
<食品盛り付け制御装置70>
図5に示すように、食品盛り付け制御装置70はロボットコントローラからなる。以下、ロボットコントローラに「70」の符号を付す。ロボットコントローラ70は、制御部77、記憶部78、画像処理部79等を備える。記憶部78は、ロボット制御プログラムが記憶されている。制御部77は、前記ロボット制御プログラムに基づいて、第1制御機能によりロボットアーム22を制御し、第2制御機能により、ハンド装置40を制御する。具体的には、制御部77は第1制御機能により、各サーボモータ71~76に対して指示を出力する。各サーボモータ71~76は、ロボットコントローラ70からの指示に従って軸J1~J6軸を駆動する。各エンコーダ81~86は、各サーボモータ71~76の位置を検出し、検出した位置を示す位置データをロボットコントローラ70に送信する。
【0058】
制御部77は第2制御機能により、エアシリンダ42、57に対して指示を出力する。前記指示を受けたエアシリンダ42は、指部44A、44Bを開状態または閉状態にする。前記指示を受けたエアシリンダ57は、各指部44A、44Bの爪部材61を進出位置または退出位置に位置させる。画像処理部79は、採取位置Tへ移動するスライス肉E毎にその画像をカメラ87から入力して画像処理を行うようにしている。画像処理部79は、この画像処理の結果(撮像結果)に基づいて、スライス肉Eの大きさ(スライス肉Eの長手方向の長さ)を算出する。制御部77は、採取位置Tに配置された際のスライス肉Eにおいて、ハンド装置40が採取する被採取部位Bの座標を算出する。前記被採取部位Bとしては、
図2に示すように、スライス肉Eの長手方向の長さの半分の中央位置またはこの近傍の位置が好ましい。被採取部位Bは支持目標ポイントに相当する。前記座標は、ロボットアーム22の基台25の設置位置に基づいて設定されたワールド座標系である。
【0059】
ロボットコントローラ70は、キーボード80による被採取部位Bの変更が可能となっている。搬送面15a上の平面において、キーボード80により入力された数値は、X軸方向のオフセット量としてセットされて、記憶部78に記憶される。例えば、オフセット量が+値であれば、スライス肉Eの前記中央部位から+X方向にオフセットされる。オフセット量が-値であれば、スライス肉Eの前記中央部位から-X方向にオフセットされる。なお、本実施形態で、オフセット量は「0」としている。なお、このオフセット量の設定は、ロボットコントローラ70が起動される前が好ましい。また、キーボード80に替えてスライサー12に備えたタッチパネルによって上述の数値を入力する構成としてもよい。
【0060】
前記ロボットコントローラ70は、演算機能及び記憶部を有するコンピュータで構成してもよく、或いは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)で構成してもよい。
図5に示すように、ロボットコントローラ70は、スライサー12を制御するスライサーコントローラ90と、通信を行う。スライサーコントローラ90は、ロボットコントローラ70から盛付完了信号を入力すると、前記サーボモータ91を制御してコンベア16を前記間歇駆動、或いは、前記連続駆動して、スライス肉Eを採取位置Tまで搬送する。
【0061】
具体的には、スライス肉Eが採取位置Tに移動した際にスライサーコントローラ90から、ロボットコントローラ70に採取開始信号が出力される。採取位置Tに位置していたスライス肉Eを採取しその盛付けが完了した際には、ロボットコントローラ70からスライサーコントローラ90に盛付完了信号が出力される。ここで、スライサーコントローラ90は、スライサー12を、厚さ(高さ)及び大きさ(スライス肉Eの長手方向の長さ)を同程度となるようにスライス肉Eを加工制御する。それとともに、スライサーコントローラ90は、サーボモータ91を制御して、スライス肉Eを、ベルト15により下流側へ搬送する。このように、ロボットコントローラ70は、スライサーコントローラ90からの「採取開始信号」の入力と、盛付完了信号との通信が行われる。このことにより、ロボットコントローラ70は、搬送面15aのスライス肉Eの移動状態と、該搬送面15a上の食品であるスライス肉Eを採取するタイミングとを同期させるようにしている。
【0062】
(第1実施形態の作用)
次に、上記のように構成された食品盛り付け方法、ハンド装置40、食品盛り付け装置10、及び盛り付け制御装置70の作用を説明する。
図6~
図8は、前記ロボット制御プログラムをロボットコントローラ70の制御部77が実行する場合のフローチャートである。ロボットアーム22の制御対象である制御点は、ハンド装置40の両指部44A、44B下端間の中間点である。前記ロボット制御プログラムにより、
図9(a)及び
図9(b)に示すように制御点を後述するポイントP0~P8に移動させることになる。なお、制御点は、ポイントP0~P8の円の中心である。
【0063】
(S10)
ロボット制御プログラムが起動されると、S10では、制御部77は、ロボットアーム22及びハンド装置4の指部44A、44B及び爪部材61をそれぞれ開始位置(初期位置)に設定する。ロボットアーム22の開始位置(初期位置)は、スライス肉Eの採取位置Tの略直上方において、ハンド装置40が搬送面15a上から所定距離離間したポイントP0である。開始位置(ポイントP0)は、待機位置に相当する。ハンド装置40の指部44A、44Bの開始位置(初期位置)は、開状態となる位置である。爪部材61の開始位置(初期位置)は退出位置である。
【0064】
S12では、制御部77は、第1搬送装置14のベルト15に載置されて採取位置Tへ搬送中のスライス肉Eの属性の取得を行う。具体的には、スライサーコントローラ90は、スライサー12に設けられた図示しない厚さ(高さ)センサからスライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)の検出結果が入力されている。なお、厚さ(高さ)は、スライス肉Eを搬送面15a上に寝かせて置いたときの搬送面15a上でのY軸方向での長さに相当する。Y軸方向の中心部で折り畳まれたスライス肉Eの長さは、この厚さ(高さ)の約1/2の長さとなる。スライサーコントローラ90は、このスライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を、ロボットコントローラ70に出力する。画像処理部79は、カメラ87で撮像したスライス肉Eの画像の画像処理を行い、この画像処理の結果に基づいて、スライス肉Eの大きさ(スライス肉Eの長手方向(X軸方向)での長さ)と面積を取得する。ここで、スライス肉Eの大きさと面積の両方の値から、スライス肉Eを大・中・小に区別する。また、予め設定された大きさ基準値に達していない場合、このスライス肉を図示しない装置等により排除する。なお、排除方法は、本明細書の開示目的ではないため、説明を省略する。
【0065】
以下では、スライス肉Eが基準値を満たしている場合として説明する。
(S14)
S14では、塊状肉の厚さ(高さ)及び画像処理に基づくスライス肉Eの大きさ及び面積、並びに、スライス肉が盛り付けられる盛り付け領域Rに載置されたトレイ88の大きさ(縦×横)に基づいて、制御部77は、所定行数M、及び所定列数Nを算出する。或いは制御部77は記憶部78に予め記憶されている参照テーブルの参照により所定行数M、及び所定列数Nを設定する。この設定により、トレイ88(盛り付け領域R)に盛り付けられるスライス肉Eの総数が決定される。
【0066】
(1)算出による場合の一例
例えば、所定行数Mについては、トレイ88の底面の縦長さ(第1搬送装置14の搬送方向(Y軸方向)の長さ)を、折り畳まれたスライス肉Eにおける第1搬送装置14の搬送方向(Y軸方向)での長さで除して得られた整数値を所定行数とする。スライス肉Eにおける第1搬送装置14の搬送方向での長さは、画像処理部79で得られるものを用いる。
【0067】
所定列数Nは、トレイ88の横長さ(第1搬送装置14の搬送方向と直交する方向(X軸方向)の長さ)をスライス肉Eにおける第1搬送装置14の搬送方向と直交する長さの1/2、またはその1/2よりも短い長さで除して得られた整数値を所定列数Nとする。ここで、その1/2とする理由は、本実施形態では、1つのスライス肉Eは、その長さ方向の中間部(被採取部位B)で支持された状態で、トレイ88に寝かせられ、このときに二つ折りとなって載置されるためである。また、その1/2よりも短い長さで除する理由は、行方向(第1搬送装置14の搬送方向と直交する方向)に隣接する他のスライス肉Eと重なって配置する場合を想定している。前記短い長さは、その重なり部分の長さである。
【0068】
(2)参照テーブルの場合の一例
参照テーブルは、盛り付け領域Rに載置されるトレイ88の大きさ毎に、塊状肉の厚さ(高さ)及び画像処理に基づくスライス肉Eの大きさに応じて、所定行数M、所定列数Nが設定される。具体的には、スライス肉Eの大きさが複数段階で分類される場合、スライス肉Eの大きさの分類が大きい程、所定行数M、所定列数Nが小さくなるように設定される。
【0069】
(S16)
S16では、制御部77は、行カウンタのカウント値m及び列カウンタのカウント値nにそれぞれ1をセットし、S18の「スライス肉盛り付け処理」に移行する。
【0070】
(S18:スライス肉盛り付け処理)
図7及び
図8に示すS100~S128は、S18におけるスライス肉盛り付け処理のフローチャートである。本実施形態では、前述したように盛り付け領域Rに載置されたトレイ88、または、停止状態のトレイ88の内底面に設定された盛り付け領域Rに対してスライス肉Eが盛り付けられる。
図10は、第1実施形態の盛り付け領域に配置されたトレイ88のスライス肉配置区画の説明図である。
【0071】
図10に示すようにトレイ88内は、複数のスライス肉配置区画に行列状に区分される。各区画には、(m,n)を付す。(m,n)中のmは、前述の行カウンタのカウント値mと一致する行番号である。(m,n)中のnは、前述の列カウンタのカウント値nと一致する列番号である。
【0072】
本実施形態では、(m,n)=(1,1),(2,1)……,(1,2),(2,2)……,(M,N)のように第1列から行順にスライス肉Eが盛り付け処理され、1つの列が終了すると、次の若い列において同様に処理される。
【0073】
本実施形態では、第1行を意味する「m=1」は、トレイ88において、第1搬送装置14の搬送方向(Y軸方向)の最下流側である。第1列を意味する「n=1」は、トレイ88において、スライサー12側から見て最右側である。行順を示す行番号及び列順を示す列番号は、本実施形態で上記の通りであるが、これに限定されない。食品の態様によって逆にしてもよい。以下、「スライス肉盛り付け処理」を詳述する。
【0074】
(S100)
S100では、制御部77は「採取目標位置設定処理」及び「軌道生成処理」を行う。
<採取目標位置設定処理>
採取目標位置設定処理を説明する。画像処理部79で得られたスライス肉Eの大きさに基づき、スライス肉Eの長手方向(X軸方向)の長さの半分(1/2)の中央部位または中央部位の近傍の位置を被採取部位Bにして、この被採取部位Bの採取目標位置(ワールド座標系の三次元座標)を算出する。
図9(b)では、スライス肉Eの被採取部位Bを示している。なお、スライス肉EとP0~P3とは平面視した状態では重なるが、
図9(b)では、説明の便宜上、スライス肉EをP0~P3から-Y方向へずらした位置で図示する。前記採取目標位置は、
図2に示すスライス肉Eの長手方向の長さの半分(1/2)の部位(中央部位)が位置する位置である。後述するポイントP2である。
【0075】
なお、記憶部78に、被採取部位BのX軸方向のオフセット量が記憶されている場合、制御部77は、記憶部78から、そのオフセット量を読み出して、そのオフセット量分加算または減算することにより、被採取部位Bの採取目標位置の座標の変更を行う。
【0076】
<軌道生成処理>
軌道生成処理は、
図9(a)及び
図9(b)に示すポイントP0~P8、及びポイントP8からポイントP0へ戻る軌道の生成処理であり、時間毎のハンド装置40の位置、姿勢、速度、加速度を制御部77が演算する。
【0077】
<ハンド装置40の位置について>
ポイントP0~P8を
図9(a)及び
図9(b)を参照して説明する。ロボットアーム22の制御点は、前述したようにハンド装置40の両指部44A、44B下端間の中間点である。以下、ここでは、前記制御点をハンド装置40の位置ということもある。ポイントP0は前述したロボットアーム22の初期位置であり固定値である。ポイントP0は、第1搬送装置14のベルト15の中心線Oの直上に位置する。
【0078】
ポイントP2は、ポイントP0の下方に位置して、採取位置Tに位置するスライス肉Eを採取するときのハンド装置40の位置であり、前記採取目標位置である。ポイントP2は、後のS104で変更(補正)されるが、S100での扱いは固定値である。なお、
図9(b)では、S104において、X座標を変更した後の位置を記している。S104で変更される前のポイントP2のX座標は、ポイントP0と同じ値である。ポイントP1は、ポイントP0とポイントP2間の経路に含まれるポイントである。ポイントP1は、ポイントP0とポイントP1が決定された際、補間演算により算出してもよい。
【0079】
ポイントP3は、ポイントP0のX及びY座標値を同じ値とし、ポイントP0のZ座標値よりも大きく(高く)している。このポイントP3の搬送面15aからの高さは、ハンド装置40の爪部材61がスライス肉Eを採取した状態で、ポイントP3まで上昇した際に、採取されたスライス肉Eの両端が、搬送面15aに触れない高さとしている。ポイントP3の三次元座標値は固定値である。ただし、このポイントP3のZ座標値、および、後述するポイントP4のZ座標値を、スライス肉Eの大きさに応じて補正する構成としてもよい。
【0080】
ポイントP4は、そのY座標値を、ポイントP3から移動するハンド装置40が盛り付け領域Rに達する直前の位置の値としている。ポイントP4のX座標値は、ポイントP3のX座標値と同じ値としている。本実施形態では、ポイントP4のZ座標値は、ポイントP3のZ座標値よりも高くして、ハンド装置40の爪部材61がスライス肉Eを採取した状態で、トレイ88の周壁88aを通過する際に、前記スライス肉Eの両端(垂下端)が干渉しない高さとしている。ポイントP4の三次元座標値は固定値である。なお、トレイ88を使用せず、例えば、搬送面15aと同じ高さの搬送面19aにスライス肉Eを行列状に配置する場合は、ポイントP4のZ座標値を、ポイントP3のZ座標値と同じ値にしてもよい。
【0081】
以下のポイントP5~ポイントP8は、スライス肉Eを降ろす肉降下点Rmnが行毎、列毎に異なる。肉降下点Rmnの座標値の詳細については、後述する。肉降下点Rmnは目標載置ポイントに相当する。
【0082】
説明の便宜上、ポイントP7から説明する。ポイントP7は、前述したトレイ88内のスライス肉配置区画(m,n)毎に、盛り付け領域Rであるトレイ88の内底面、または、ベルト19の搬送面19a上に設定された肉降下点Rmnに対して直上方に位置する。肉降下点Rmnは、スライス肉配置区画(m,n)の中心である。ポイントP7のX及びY座標値は、肉降下点RmnのX及びY座標値と同じ値としている。後述するS20、S24、S28で列n及び/または行mが更新される毎に、ポイントP7のX及びY座標値は、更新後の肉降下点RmnのX及びY座標値となる。ポイントP7のZ座標値は、固定値であって、盛り付け領域Rにおける搬送面19a(またはトレイ88の内底面)から上方へ離間した所定値に設定される。ポイントP7にハンド装置40が位置すると、採取していたスライス肉Eの支持が解除されて当該スライス肉Eがトレイ88の内底面に降ろされる。
【0083】
ポイントP5のX座標値は、ポイントP7のX座標値に対して
図9(b)に示すように-X側に位置するように所定距離d1(>0)離間した値としている。ポイントP5のY座標値は、ポイントP7のY座標値と同じ値である。所定距離d1は、スライス肉Eを、その両端部を垂れ下げて略半分の長さにした状態で、スライス肉Eの垂下端をトレイ88の内底面に接触させてこのポイントP5からポイントP7を下方へ移動中に、スライス肉を載置することが可能な距離としている。
【0084】
なお、スライサー12により、加工されたスライス肉の大きさ(スライス肉Eの長手方向の長さ)は一定ではなく、ばらつく範囲がある。このため、その範囲の最大長の略1/2の長さのスライス肉EがポイントP5からポイントP7の所定距離d1を移動しつつ下方へ移動したとき、所定距離d1は、当該スライス肉を寝かせることが可能となっていればよい。ポイントP5のZ座標値は、ハンド装置40の爪部材61により支持されているスライス肉Eの両端部が、トレイ88の内底面に接触しない値に設定される。ポイントP5のZ座標値は、固定値である。
【0085】
本実施形態では、スライス肉Eの被採取部位Bは、スライス肉Eの長手方向の長さの半分の中央部位またはその近傍の位置としている。このため、ポイントP5のZ座標値は、前記長さの半分よりも若干大きな値で、かつ、前記ポイントP7よりも大きい値である。ポイントP6は、ポイントP5と、ポイントP7を結ぶ直線経路に含まれる中間ポイントである。ポイントP6は、ポイントP5とポイントP7が決定された際、補間演算により算出してもよい。ポイントP6の三次元座標は、ポイントP5と、ポイントP7間の直線に含まれる座標値である。
【0086】
ハンド装置40がポイントP5からポイントP6を経てポイントP7まで移動する間に、ハンド装置40の爪部材61により支持されているスライス肉Eは、その両端部(または一方の端)がトレイ88に接触した点を固定点にして、寝かせられる。スライス肉Eの両端部の端が、トレイ88の内底面に接触する垂下端となる。なお、必ずしも、スライス肉Eは、その両端部(または一方の端)がトレイ88に接触した点を固定点にする必要はない。ポイントP5から、ポイントP6を介して、ポイントP7まで移動する間をスライス肉Eを引きずるようにした後、スライス肉Eを爪部材61による支持を解除してもよい。
【0087】
ポイントP8のX座標値は、
図9(b)に示すようにポイントP5のX座標値よりも+X側に位置するように設定される。ポイントP8のY座標値は、ポイントP5のY座標値と同じ値としている。ポイントP8のZ座標値は、ポイントP5のZ座標値と同じ値としている。なお、ポイントP8のZ座標値はポイントP5のZ座標値と同じに限定する必要はなく、異なっていてもよい。ただし、ポイントP0に効率的に戻るためには、ポイントP8のZ座標値は、ポイントP0のZ座標値と同値、或いは近い値が好ましい。ポイントP8のY座標値は、ポイントP5のY座標値と同じ値とし、かつ、ポイントP0のZ座標値と同じ値、或いは近い値とすることにより、ポイントP0への復帰がスピーディとなる。
【0088】
<スライス肉配置区画の肉降下点Rmnについて>
スライス肉配置区画毎に設けられる肉降下点Rmnについて説明する。各肉降下点Rmnは、属性データとしてX軸比率(Xkmn)及びY軸比率(Ykmn)を有する。前記属性データは、前記ロボット制御プログラムに記載されている。肉降下点RmnのX座標値と基準点RaのX座標値との差をΔXmnとする。X軸比率(Xkmn)は、下記式で得られている。
【0089】
Xkmn=ΔXmn/r2 (r2:盛り付け領域RのX軸方向長さ)
従って、肉降下点RmnのX座標値は、下記式にて算出される。
肉降下点RmnのX座標値=
RaのX座標値 + r2×Xkmn
肉降下点RmnのY座標値と基準点RaのY座標値との差をΔYmnとする。Y軸比率(Ykmn)は、下記式で得られている。
【0090】
Ykmn=ΔYmn/r1 (r1:盛り付け領域RのY軸方向長さ)
従って、肉降下点RmnのY座標値は、下記式にて算出される。
肉降下点RmnのY座標値=
RaのY座標値 - r1×Ykmn …(2)
各肉降下点RmnのZ座標値は、基準点Raと同じ水平面にあるとして、同じ値としている。各行各列の肉降下点Rmnは、
図10に示す盛り付け領域Rに設定された基準点Raの三次元座標を基準にした三次元座標で与えられる。なお、本実施形態では、基準点Raを盛り付け領域Rの1コーナの点としているが、これに限定するものではなく、他の点であってもよい。
【0091】
上記説明では、各肉降下点Rmnの属性データとして、X軸比率、Y軸比率を有するようにしている。これに代えて、各肉降下点Rmnの属性データをベクトルで表してもよい。このベクトルは、既知とした基準点からの距離及び前記基準点を通過する基準線と各肉降下点Rmnを通過する直線間の角度とする。このベクトルに基づいて、各肉降下点RmnのX座標値及びY座標値を算出してもよい。さらに、S14で説明した参照テーブルに対して各肉降下点Rmnの三次元座標をトレイ88の大きさ毎に記述しておき、S14でトレイ88の大きさが決定された際、該トレイ88に関連付けられた各肉降下点Rmnの三次元座標を参照するようにしてもよい。
【0092】
なお、
図12(c)に示すように最終列の肉降下点Rmnは、先に肉盛された隣接する他の列のスライス肉Eに対して当該の最終列に降ろされるスライス肉Eが、重なった状態で寝かせることが可能であることが好ましい。かつ、最終列の肉降下点Rmnは、トレイ88の-X側に位置する周壁88aにかからないように配置されることが好ましい。また、
図12では、各スライス肉Eをトレイ88の四辺に対して平行な姿勢で寝かせるものとしたが、各スライス肉Eをトレイ88の四辺に対して斜めの姿勢で寝かせるようにすれば、更に美観が向上する。なお、トレイ88内には、スライス肉Eが設定範囲内の重量で盛り付けられる。
【0093】
<ハンド装置40の姿勢について>
本実施形態では、全軌道において、ハンド装置40の指部44A、44Bの下端が指向する方向を-Z方向にし、かつ、指部44A、44Bの並ぶ方向を±Y方向にした姿勢を保持する姿勢制御を行う(
図13(a)、
図14(a)参照)。
【0094】
<各ポイトン間の速度、加速度について>
制御部77は、前記ハンド装置40(制御点)の各ポイント間の速度、加速度について、例えば、等速度制御、台形速度制御を可能に算出する。後述する各ステップにおける各ポイントへのハンド装置40の移動は、S100で算出され、或いは設定された座標値、速度、加速度、及び姿勢(前記関節角度)に基づいてロボットアーム22が制御されることにより実現される。以下の説明では、ハンド装置40のポイント間の移動と、ハンド装置40の爪部材61、両指部44A、44Bに関する動作を主に説明する。ハンド装置40の姿勢及びハンド装置40(制御点)の速度、加速度等については、上述した演算結果等に基づいて制御するものと理解されたい。
【0095】
(S102)
S102では、制御部77は、スライサーコントローラ90からスライス肉Eが採取位置Tに移載した際に出力する採取開始信号の受信を待つ。採取開始信号を受信すると、制御部77は、S104に移行する。
【0096】
(S104)
S104では、制御部77は、ポイントP2の3次元座標のうち、X座標値をS100で得られた採取目標位置におけるX座標値に変更する。なお、採取目標位置のY座標値及びZ座標値は変更しない。
【0097】
(S106)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40を開始位置(ポイントP0)からポイントP1へ高速の速度で移動させる。
【0098】
(S108)
図13(a)に示すように、制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP1から採取目標位置であるポイントP2へ低速(緩速)の速度で下降させる。
【0099】
(S110)
制御部77は、ハンド装置40が採取目標位置であるポイントP2に達した後、爪部60のエアシリンダ57を制御して、両爪部材61を退出位置から進出位置へ位置させて張り出す(
図4(a)、
図4(b)参照)。
【0100】
(S112)
制御部77は、エアシリンダ42を制御して指部44A、44Bを開状態から閉状態に移行させる。これにより、両爪部材61は、採取位置Tに位置し、かつ、その長手方向が、搬送装置14の搬送方向とは直交する方向に沿うように移送されたスライス肉Eの被採取部位Bの下面にもぐり込む(
図13(b)参照)。
【0101】
(S114)
図14(a)及び
図14(b)に示すように制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP2からポイントP3に、低速(緩速)の速度で移動させる。すなわち、ハンド装置40は、スライス肉Eを、両爪部材61にて被採取部位Bで支持して、
図14(a)及び
図14(b)に示すように搬送面15aから持ち上げ、その両端部を搬送面15aから離間させ、垂れ下げる。ポイントP2からポイントP3のハンド装置40によるスライス肉Eの支持及び上方への移動は、請求項1の第1工程に相当する。
【0102】
(S116)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP3からポイントP4に移動させる。このとき、制御部77は台形の上辺の移動速度が高速の速度となるように台形速度制御を行う。このポイントP4へのハンド装置40の移動により、スライス肉Eの両端(垂下端)は、トレイ88の周壁88aの高さ以上にされて、この後にハンド装置40が盛り付け領域R上に移動する際、周壁88aとの干渉が回避される。
【0103】
(S118)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP4からトレイ88の周壁88a上方を通過させて盛り付け領域Rにあるトレイ88の内底面上方のポイントP5に高速の速度で移動させる。このポイントP5は、今回、スライス肉Eが降ろされる肉降下点Rmnが属する第n番目の行の上に存在する。このポイントP5へハンド装置40が移動した際、両爪部材61にて支持されたスライス肉Eの垂下端は、トレイ88の内底面から離間した非接触状態である。
図11(a)は、ハンド装置40がポイントP5に位置したときのハンド装置40により支持されたスライス肉Eを平面視したものである。なお、
図11(a)は、採取位置Tに位置していたスライス肉Eを仮想線で示す。同図に示すように、スライス肉Eは、ハンド装置40により、中央部位またはその近傍の位置である被採取部位Bにて支持されて垂れ下がっているため、平面視では、長さ方向の長さは採取位置Tに位置していたときの長さよりも短くなっている。
【0104】
なお、
図9(b)では、ポイントP5は、ポイントP2、ポイントP4を結ぶ延長線上に位置するように説明の便宜上、図示されているが、ポイントP5はポイントP2、ポイントP4を結ぶ延長線上に位置するとは限らない。その理由は、ポイントP5は、肉降下点Rmnが変更されることにより、±X方向及びY軸方向の位置が変更されるからである。上記のことから、
図9(b)に示すようにポイントP4とポイントP5とを結ぶ直線と、ポイントP5と後述するポイントP6とを結ぶ直線を平面視した場合のなす角度を所定角度θ1とすると、所定角度θ1は、設定されていることになる。すなわち、前述した軌道生成処理で、ポイントP4、ポイントP5、ポイントP4の軌道生成は、ハンド装置40が、第1工程の採取位置Tから、第2工程の盛り付け領域R上へ移動する方向に対して、所定角度θ1を有して設定されることに相当する。ポイントP3からポイントP5へのハンド装置40の移動は、請求項1の第2工程に相当する。
【0105】
(S120)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図9(a)及び
図9(b)に示すようにハンド装置40をポイントP5からポイントP6へ高速の速度で移動させる。なお、ポイントP5からポイントP6を介して後述するポイントP7までの移動は、下方及び下方とは直交する方向の移動である。
【0106】
この結果、被採取部位Bが下降及び+X方向へ移動されて、スライス肉Eは、その垂下端がトレイ88の内底面に接触すると、前記内底面との接触点を固定点として寝かせられる。
図11(b)は、ハンド装置40がポイントP6に位置したときのハンド装置40により支持されたスライス肉Eを平面視したものであり、スライス肉Eは、
図11(a)の状態よりも±X方向に延びている。
【0107】
(S122)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図9(a)及び
図9(b)に示すようにハンド装置40をポイントP6からポイントP7に高速の速度で移動させる。すなわち、制御部77は、スライス肉Eを降ろす今回の肉降下点Rmnの直上方にハンド装置40が位置するようにハンド装置40を下降及び+X方向へ移動させる。さらにスライス肉Eは、前記内底面との接触点を固定点として寝かせられる。
図11(c)は、ハンド装置40がポイントP7に位置したときのハンド装置40により支持されたスライス肉Eを平面視したものであり、スライス肉Eは、
図11(b)の状態よりもさらにX軸方向に延びている。
【0108】
(S124)
制御部77は、ハンド装置40を今回の肉降下点Rmnの直上方に位置させた状態で、爪部60のエアシリンダ42及びエアシリンダ57を制御して、指部44A、44Bを閉状態から開状態に移行させるとともに、両爪部材61を進出位置から退出位置へ位置させる。これにより、スライス肉Eの被採取部位Bに対する支持が解除され、スライス肉Eの被採取部位B(長手方向の長さの中央部位またはその近傍の位置)が今回の肉降下点Rmnに降ろされて、中間部で折り畳んだ状態で寝かせてトレイ88の内底面に載置される。
図11(d)は、ハンド装置40がポイントP7に位置して、肉降下点Rmnに降ろされたときのスライス肉Eを平面視したものであり、スライス肉Eは、
図11(b)の状態よりもさらに±X方向に延びている。ハンド装置40をポイントP5からポイントP7へ移動させる工程は、請求項1の第3工程に相当する。
【0109】
(S126)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図9(a)及び
図9(b)に示すようにハンド装置40をポイントP7からポイントP8に高速の速度で移動させる。これにより、ハンド装置40は、ポイントP7よりも上方へかつ、+X方向へ移動することにより、今回降ろしたスライス肉Eから離間する。
【0110】
(S128)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図9(a)及び
図9(b)に示すようにハンド装置40をポイントP8から開始位置のポイントP0に高速の速度で移動させる。以上で、今回の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理が終了する。
【0111】
(S20)
上記のように今回の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理が終了後、
図6に示すようにS20では、制御部77は、行カウンタのカウント値mをインクリメントする。
【0112】
(S22)
S22では、制御部77は、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えているか否かを判定する。カウント値mが、所定行数Mを超えていない場合には、制御部77は、スライサーコントローラ90に対して盛付完了信号を出力した後、S18にリターンして、現在の列nにおいて、次の行順の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理を行う。従って、このスライス肉盛り付け処理は、1列当たりM回実行されることになる。カウント値mが、所定行数Mを超えている場合には、S24に移行する。
【0113】
(S24)
S24では、制御部77は、列カウンタのカウント値nをインクリメントする。
(S26)
S26では、制御部77は、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えていない場合には、S28に移行し、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。すなわち、所定列数N及び所定行数Mにおける全ての肉降下点Rmnへのスライス肉Eの盛り付けが終了する。所定行数M及び所定列数Nは、それぞれ少なくとも1以上であればよい。
【0114】
(S28)
S28では、制御部77は、行カウンタのカウント値mを1にセットし、スライサーコントローラ90に対して盛付完了信号を出力してS18にリターンする。従って、S28からS18にリターンすると、次の列の最初の行の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理が実行される。
【0115】
ここで、所定行数Mを「5」とし、かつ、所定列数Nを「3」にして、上記フローチャートを実行した場合の例を、
図12(a)~
図12(c)に示す。
図12(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn=R11に、スライス肉Eの盛り付けが終了した状態のトレイ88を平面視した例である。
図12(b)は、第1列の全肉降下点Rmnと、第1行第2列の肉降下点Rmn=R12に、スライス肉Eの盛り付けが終了した状態のトレイ88を平面視した例である。
図12(c)は、第1列及び第2列の全肉降下点Rmnと、第1行第3列の肉降下点Rmn=R13に、スライス肉Eの盛り付けが終了した状態のトレイ88を平面視した例である。
【0116】
(第1実施形態の第1変形例)
上記第1実施形態の第1変形例として、食品盛り付け装置10が備えるハンド装置40の構成を下記のようにしてもよい。指部44A、44Bの各爪部60及びエアシリンダ57(爪部駆動源)を省略し、その代わりに、指部44A、44Bの下端に対して、採取突出部(図示しない)を互いに対向するように一体に形成する。この場合、指部44A、44Bが閉位置に位置するときは、前記第1実施形態の進出位置に位置する爪部材61と同位置に位置するように形成するものとする。本変形例の盛り付け制御装置70は、前記第1実施形態の制御の中で、エアシリンダ57の制御を省略し、残りの他の制御は同じとする。
【0117】
(第1実施形態の第2変形例)
上記第1実施形態の第2変形例として、下記のように変形してもよい。第1実施形態では、盛り付け制御装置70は、各指部44A、44Bの閉位置への作動と爪部60の進出位置への移動により、食品を支持する構成としている。この代わりに、スライス肉盛り付け処理中は、爪部60を作動させず、各指部44A、44Bの開位置・閉位置間の往復作動によって、食品を支持、及び解除する構成としてもよい。この場合、ロボット制御プログラムでは、ロボットアーム22がスライス肉盛り付け処理中は、爪部材61を進出位置に保持した状態とするものとする。従って、この変形例では、制御は上記第1変形例と実質同じとなる。
【0118】
(第1実施形態の第3変形例)
第2変形例とは逆にスライス肉盛り付け処理中は、指部44A、44Bを作動させず、爪部60の開位置・閉位置間の往復作動のみによって、食品を支持及び解除する構成としてもよい。この場合、ロボット制御プログラムでは、ロボットアーム22がスライス肉盛り付け処理中は、各指部44A、44Bを閉位置に保持した状態とするものとする。
【0119】
本実施形態及び変形例では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態の食品盛り付け方法の第1工程は、ハンド装置40の採取部35により採取位置Tに位置するスライス肉Eの中間部(被採取部位B)を支持した状態で、ポイントP3へのハンド装置40の移動により、スライス肉Eの両端部を垂れ下げる。第2工程では、ハンド装置40をポイントP3から、盛り付け領域R上のポイントP5へ移動させる。第3工程では、盛り付け領域Rに対して、ハンド装置40を、下方向及び下方向と直交する方向へ移動させることにより、スライス肉Eをその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせて採取部35による支持を解除する。この結果、食品の盛り付けを変形させて好適に行うことができる。また、ロボットのロボットアームに前記ハンド装置を搭載して、コンピュータでこの方法のステップで制御することにより、食品の盛り付けの自動化を容易に行うことも可能となる。
【0120】
(2)本実施形態の食品盛り付け方法では、
図9(b)に示すポイントP4とポイントP5とを結ぶ直線と、ポイントP5とポイントP6とを結ぶ直線を平面視した場合のなす角度を所定角度θ1とする。このことは、ポイントP4、ポイントP5、ポイントP4の軌道生成は、ハンド装置40が第1工程の採取位置Tから第2工程の盛り付け領域R上へ移動する方向に対して、前記所定角度θ1を有して設定されていることに相当する。この結果、所定角度θ1を設定することにより、ポイントP5とポイントP6とを結ぶ直線上において、食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせて、盛り付けることが可能となる。
【0121】
(3)本実施形態の食品盛り付け方法では、盛り付け領域Rに所定行数M及び所定列数Nを有する肉降下点Rmnが設定される。そして、スライス肉E(食品)を、各列において、行順に並ぶ肉降下点Rmn毎に、第1工程、第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、スライス肉E(食品)が盛り付けられる。この結果、食品を列毎に、行順に並ばせて、最終的に行列状の食品盛り付けが可能となる。
【0122】
(4)本実施形態の食品盛り付け方法では、前記採取部35は、相互に開閉自在に設けられた一対の指部44A、44Bと、各指部から進退可能に作動し、食品を支持する爪部60を有する。第1工程では、指部44A、44Bを閉状態へ移行させるとともに、爪部60を進出させて、採取位置Tに位置する食品を爪部60にて支持した後に上方向に移動させてその両端部を垂れ下げする。第3工程では、指部44A、44Bを開状態へ移行させるとともに、爪部60を退出させることにより、食品の支持を解除する。この結果、食品を採取部の指部と爪部との開閉及び進退により、食品の盛り付けを好適に行うことができる。
【0123】
(5)本実施形態の食品盛り付け方法では、採取位置Tが、食品を搬送するコンベア16の搬送面15a上に設定されるとともに、盛り付け領域Rが、コンベア16の搬送面15aを除く所定の位置に設定される。そして、コンベア16によって搬送される食品を採取位置Tにて採取し、盛り付け領域Rに盛り付ける。この結果、ベルトの搬送面上の採取位置Tに位置している食品を、このベルトを除く、所定の位置に設定された盛り付け領域Rにおいて、食品を盛り付けできる。
【0124】
(6)本実施形態の食品盛り付け方法は、食品を搬送するコンベア16の間歇駆動または連続駆動による前記搬送面の移動状態と、搬送面15a上の食品を採取するタイミングとを同期させている。この結果、効率よく、食品を採取位置Tから盛り付け領域Rに盛り付けができる。
【0125】
(7)本実施形態の食品盛り付け方法は、コンベア16によって搬送される採取対象の食品をカメラ87(撮像手段)によって撮像する。この撮像結果に基づいて、食品における被採取部位B(支持目標ポイント)を、コンベア16による搬送方向と平面視で交差する方向における食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する。この結果、採取部は、支持目標ポイントを安定して採取することが可能となる。
【0126】
(8)本実施形態の食品盛り付け方法では、被採取部位B(支持目標ポイント)をコンベア16による搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置からオフセットした位置(偏倚した位置)に変更設定可能としている。具体的には、キーボード80による被採取部位Bの変更が可能となり、記憶部にそのオフセット量が記憶される。例えば、食品によっては、長手方向の中央位置に重心があるとは限らず、中央位置からオフセットした部位を被採取部位B(支持目標ポイント)にした方が安定して採取支持できて良い場合がある。このような場合に、食品の大きさ、或いは重心の位置に応じて、被採取部位B(支持目標ポイント)の変更することができる。
【0127】
(9)本実施形態のロボットアーム22の先端に装着可能に設けられたハンド装置40は、採取部35を有する。採取部35は、相互に接近する閉位置と、相互に離間する開位置との間を移動自在に設けられた複数の指部44A、44Bと、指部44A、44Bを開位置及び閉位置に往復駆動するエアシリンダ42(指部駆動源)を有する。採取部35は、各指部44A、44Bに設けられて、相互に接近する進出位置と、相互に離間した退出位置間を移動自在に設けられた爪部60を有する。採取部35は、各指部44A、44Bが閉位置に位置する際に、各爪部60を進出位置に移動させ、各指部44A、44Bが開位置に位置する際に、各爪部60を退出位置へ作動させるエアシリンダ57(爪部駆動源)を備える。上記構成により、上記(1)の食品盛り付け方法を容易に実現できる。
【0128】
(10)本実施形態の第1変形例の食品盛り付け装置10は、6軸の自由度を有するロボットアーム22の先端にハンド装置40を備える。ハンド装置40は、相互に開閉自在に設けられた一対の指部44A、44Bと、指部44A、44Bを開位置及び閉位置に往復駆動するエアシリンダ42(指部駆動源)を備える前記採取部35を有する。ロボットアーム22は、ハンド装置40を、食品が位置する採取位置Tから離間した開始位置(待機位置)から、採取位置Tに移動させる構成とする。エアシリンダ42(指部駆動源)は、ハンド装置40が採取位置Tに移動した際、指部44A、44Bを閉位置側へ移動させて、指部44A、44Bを介して食品を支持する構成とする。ロボットアーム22は、ハンド装置40にて支持した食品の端部を垂れ下げた状態で、ハンド装置40を採取位置Tから離間した盛り付け領域R上に移動させる。その後に、ロボットアーム22は、盛り付け領域Rに対して、ハンド装置40を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とする。エアシリンダ42(指部駆動源)は、寝かせた状態の食品から指部44A、44Bを介した支持を解除させる構成とした。このように構成することにより、第1実施形態の食品盛り付け装置10中、爪部等を省略した構成で上記(1)の食品盛り付け方法を容易に実現できる。
【0129】
(11)本実施形態、第2変形例及び第3変形の食品盛り付け装置10は、ハンド装置40が採取位置Tに移動した際、エアシリンダ42(指部駆動源)によって各指部44A、44Bを閉位置に作動させる。これとともにエアシリンダ57(爪部駆動源)によって爪部60を退出位置から進出位置へ移動させて、各指部44A、44Bの閉位置への作動と爪部60の進出位置への移動との少なくともいずれか一方により、食品を支持する構成とする。ロボットアーム22は、ハンド装置40にて食品を支持してその端部を垂れ下げた状態で、採取位置Tから離間した盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる。この後に、ロボットアーム22は、盛り付け領域Rに対して、ハンド装置40を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とする。エアシリンダ42(指部駆動源)及びエアシリンダ57(爪部駆動源)は、各指部44A、44B及び爪部60を開位置及び退出位置に移動させて寝かせた状態の食品の支持を解除させる構成とする。第1実施形態の食品盛り付け装置10中、爪部及び指部を作動せさることにより、或いは、爪部及び指部のうちいずれか一方を作動させる構成で上記(1)の食品盛り付け方法を容易に実現できる。
【0130】
(12)本実施形態の第1変形例の盛り付け制御装置70では、制御部77は、ロボットアーム22の能動関節J1~J6を駆動制御して、ハンド装置40を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させる。制御部77は、ハンド装置40が採取位置Tに移動した際、制御部77はエアシリンダ42(指部駆動源)を駆動制御して、指部44A、44Bを開位置から閉位置へ移動させて、指部44A、44Bを介して前記食品を支持させる。制御部77は、ロボットアーム22の能動関節J1~J6を駆動制御して、ハンド装置40にて食品を支持して垂れ下げた状態で、採取位置Tから離間した盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる。制御部77は、その後に、盛り付け領域Rに対して、ハンド装置40を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる。制御部77は、エアシリンダ42(指部駆動源)を駆動制御して、進出位置から退出位置へ移動させて寝かせた状態の食品から指部44A、44Bを介した支持を解除させる。この結果、第1実施形態の食品盛り付け装置10中、爪部等を省略した構成で上記(1)の食品盛り付け方法に則した制御を容易に実現できる。
【0131】
(13)本実施形態の盛り付け制御装置70では、制御部77は、第1制御機能によって、ロボットアーム22の能動関節J1~J6を駆動制御して、ハンド装置40を、待機位置から採取位置Tに移動させる。制御部77は、第2制御機能によって、ハンド装置40が採取位置Tに移動した際、エアシリンダ42(指部駆動源)及びエアシリンダ57(爪部駆動源)を制御部77は駆動制御する。これにより、指部44A、44Bが閉位置に移動するとともに、爪部60が退出位置から進出位置へ移動させて食品を支持する。制御部77は、第1制御機能によって、ロボットアーム22の能動関節J1~J6を駆動制御して、ハンド装置40にて食品を支持して垂れ下げた状態で、採取位置Tから離間した盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる。制御部77は第1制御機能によって、その後に、盛り付け領域Rに対して、ハンド装置40を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる。制御部77は、第2制御機能によって、エアシリンダ42(指部駆動源)及びエアシリンダ57(爪部駆動源)を駆動制御して、寝かせた状態の食品の支持を解除させる。この結果、第1実施形態の食品盛り付け装置10の構成中、爪部及び指部を作動せさることにより、上記(1)の食品盛り付け方法を容易に実現できる。
【0132】
(第2実施形態)
第2実施形態を
図15~
図34を参照して説明する。第2実施形態の食品盛り付け方法、ハンド装置、食品盛り付け装置、及び食品盛り付け制御装置では、第1実施形態のこれらに相当する装置の構成中、同一構成については同一符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0133】
(食品盛り付け装置10及びハンド装置40)
本実施形態の食品盛り付け装置10では、第1実施形態のハンド装置40に、掬い上げ部100が装着されているところが異なっている。なお、本実施形態では、後述するロボットコントローラ70がロボットアーム22のハンド装置40を初期位置に位置させている場合、
図16に示すように、指部44A、44Bを、Y軸方向と直交するX軸方向に並ぶようにロボットアーム22を姿勢制御する。ここでのハンド装置40の構成の説明では、前記初期位置に位置している状態を基準にして説明する。
【0134】
掬い上げ部100は、掬い上げ部本体102と、
図16に示す掬い上げ部本体102をY軸方向に往復移動する第1駆動源としてのエアシリンダ104を備えている。エアシリンダ104は、
図16に示すように、取付板41の-Y側において、下方へ延びる垂下部材41aに取付られる。第1駆動源は、エアシリンダ104に限定するものではなく、ソレノイド、或いは油圧シリンダでもよい。
【0135】
エアシリンダ104のロッド105は、ブラケット48間に形成された間隙の中央を通過して、+Y側へ延出されるとともに、掬い上げ部本体102の連結端102aに対し連結部材106を介して一体に連結される。垂下部材41aにおいて、エアシリンダ104の下方の部位には、ロッド105と平行に配置されたスライダ107がY軸方に摺動自在に貫通して支持されている。スライダ107の一端は、連結部材108を介して、掬い上げ部本体102の連結端102aに対し一体に連結される。
図17に示すように、掬い上げ部本体102は、ベルト機構110と、ベルト機構110を装着する機構ケース112を有する。
【0136】
機構ケース112は、
図18に示す一対の側板113と、両側板113において、指部44A、44Bの側端間を連結する端板114と、指部44A、44B側の側端間を連結する端板115を有する。一対の側板113は、X軸方向に並んで平行に配置される。
図17、
図18に示すように、両側板113の端板114側の-Y側の端を連結端102aとしている。なお、
図17、
図18では、連結部材106及び連結部材108は、説明の便宜上、省略する。
【0137】
図17に示すようにベルト機構110は、ベルト支持部材116と、ベルト支持部材116に支持される掬い上げベルト117と、掬い上げベルト117を駆動するエアシリンダ120とを有する。
図16、
図17に示すように、ベルト支持部材116は、基端から先端(下端)までが平板状に形成されたガイド板部116aと、ガイド板部116aの中央部から基端までの両側縁から立設した側板部116bとを有する。ベルト支持部材116は、ガイド板部116aと側板部116bとにより、上方を開放するチャンネル状に形成されるとともに、その基端が端板114の貫通孔114aに貫通された状態で機構ケース112に固定される。ガイド板部116aの下端は、ポイントP2にハンド装置40が位置した際、
図17に示すように、ベルト15の搬送面15aに対して近接する位置まで延出される。ガイド板部116aの下端部(先端部)は
図17に示すように示すようにアール状に折り曲げられることにより曲面を有する。
【0138】
図17に示すように、機構ケース112内の側板113間には、貫通孔114aと相対する位置に幅広のローラ118が回動自在に軸支されている。掬い上げベルト117はガイド板部116aの下面から下端部(先端部)上面にわたる部位とローラ118とにわたって巻回された無端状ベルトとしている。
【0139】
ローラ118の下方において、機構ケース112内には、第2駆動源としてのエアシリンダ120が固定される。第2駆動源は、エアシリンダ120に限定するものではなく、ソレノイド、或いは油圧シリンダでもよい。エアシリンダ120のロッド120aは、掬い上げベルト117において、ガイド板部116aの下面に沿って往復移動する部位に対して連結部材119を介して連結される。
【0140】
掬い上げ部本体102は、エアシリンダ104の駆動により、
図16の実線で示すように指部44A、44Bから+Y側へ離間した原位置と、
図16の二点鎖線で示す掬い位置間を往復移動が可能である。
図16の二点鎖線は、ガイド板部116aの位置を示す。掬い位置は、掬い上げベルト117が指部44A、44Bの間に進入し、かつ、該掬い上げベルト117の搬送面15aに最も近い部位が指部44A、44Bよりも-Y側に位置する。
【0141】
掬い上げベルト117は、エアシリンダ120のロッド120aにより駆動されて、
図17で実線で示す位置と二点鎖線の位置間の往復直線移動する。これにより、掬い上げベルト117は、ローラ118と、ガイド板部116aの下端面(先端面)の間で正逆方向へ周回移動する。実線で示す位置から二点鎖線の位置へのロッド120aの伸張により、掬い上げベルト117は、採取位置Tに位置するスライス肉Eの掬い上げが可能である。逆に、
図17の二点鎖線の位置から実線の位置へのロッド120aへの縮退により、掬い上げベルト117は、掬い上げたスライス肉Eを掬い上げ部100から降ろすことが可能である。
【0142】
図19及び
図20に示すように、指部44A、44Bの爪部駆動源取付板49bには、ブラケット121を介して、エアノズル122が取り付けられる。エアノズル122の先端は、同図に示すように、進出位置に位置した爪部材61の先端側を指向するように配置される。なお、
図16、
図30~
図33には、説明の便宜上、ブラケット121及びエアノズル122を省略して指部44A等を図示している。
【0143】
(ロボットコントローラ70)
本実施形態のロボットコントローラ70は、第1実施形態のロボットコントローラ70の構成にさらに、掬い上げ部100のエアシリンダ104、120、及びエアノズル122からエアを噴出させるエアバルブ123の制御が可能となっている。すなわち、制御部77は第2制御機能により、エアシリンダ104、120、及びエアバルブ123に対して指示を出力する。前記指示を受けたエアシリンダ104は、掬い上げ部本体102を原位置、または、掬い位置に位置させる。前記指示を受けたエアシリンダ120は、掬い上げベルト117によるスライス肉Eの掬い上げ、または掬い上げたスライス肉Eの降ろしを行う。エアバルブ123は電磁バルブであって、前記指示(制御)により、図示しないエア供給源からエアノズル122を介してエアの噴出または停止が可能である。
【0144】
(第2実施形態の作用)
次に、上記のように構成された食品盛り付け方法、ハンド装置40、食品盛り付け装置10、及び盛り付け制御装置70の作用を説明する。
図22~
図24は、前記ロボット制御プログラムをロボットコントローラ70の制御部77が実行する場合のフローチャートである。前記ロボット制御プログラムにより、
図25及び
図26に示すように制御点を後述するポイントP0~P2~P9、及びP9~P14~P0に移動させることになる。なお、制御点の移動位置はポイントP0~P2、及びP9~P14の円の中心である。以下のフローチャートでは、第1実施形態とは異なるステップについて説明する。
【0145】
(S10A)
ロボット制御プログラムが起動されると、S10Aでは、制御部77は、ロボットアーム22及びハンド装置4をそれぞれ開始位置(初期位置)に設定する。この場合、制御部77は、
図16に示すように、指部44A、44Bが、Y軸方向と直交するX軸方向に並ぶようにロボットアーム22を姿勢制御することが第1実施形態と異なる。
【0146】
本実施形態のロボットアーム22の開始位置(初期位置)は、折り畳まれたスライス肉Eの採取位置Tから-Y側にオフセット量f(
図30(a)参照)でずらした位置の直上方において、ハンド装置40が搬送面15a上から所定距離離間したポイントP0である。オフセット量fは、原位置から掬い位置まで掬い上げベルト117が移動する間において、周回移動する掬い上げベルト117により採取位置Tに位置するスライス肉Eを掬い上げができる量に設定されている。
【0147】
ハンド装置40の指部44A、44Bの開始位置(初期位置)は、第1実施形態と同様に開状態となる位置である。ハンド装置40の爪部材61の開始位置(初期位置)は第1実施形態と異なり、進出位置である。なお、進出位置に位置する爪部60の先端間は、掬い上げベルト117の掬い位置への移動を許容する間隔を有する。制御部77は、指部44A、44Bが、Y軸方向と直交するX軸方向に並ぶよう配置するロボットアーム22の姿勢制御を、P0~P9、P12~P0で実行する。
【0148】
(S12~S16)
S12~S16は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(S18A)
S18Aのスライス肉盛り付け処理は、第1実施形態と一部が異なるため、
図23及び
図24を参照して説明する。
【0149】
(S18A:スライス肉盛り付け処理)
図23及び
図24に示すS200~S232は、S18Aにおけるスライス肉盛り付け処理のフローチャートである。
図27は、第2実施形態の盛り付け領域Rに配置されたトレイ88のスライス肉配置区画の説明図である。
【0150】
図27に示すようにトレイ88内は、複数のスライス肉配置区画に行列状に区分される。本実施形態では、(m,n)=(1,1),(2,1)……,(1,2),(2,2)……,(M,N)のように第1行から列順にスライス肉盛り付け処理され、1つの行が終了すると、次の若い行において同様に処理される。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1行を意味する「m=1」は、トレイ88において、第1搬送装置14の搬送方向の最上流側である。第1列を意味する「n=1」は、トレイ88において、スライサー12側から見て最右側である。行順を示す行番号及び列順を示す列番号は、本実施形態で上記の通りであるが、これに限定されない。食品が盛り付けられる態様によって逆にしてもよい。例えば、本実施形態では、後述する捻れ角θ3(>0)としている。これに代えて、捻れ角θ3(<0)にする場合は、「n=1」は、トレイ88において、スライサー12側から見て最左側にして、
図26のポイントP10、P11の経路を平面視で、ポイントP12~P14の経路よりも+X側に設定する。以下、「スライス肉盛り付け処理」を詳述する。
【0151】
(S200)
S200では制御部77は「採取目標位置設定処理」及び「軌道生成処理」を行う。
<採取目標位置設定処理>
制御部77は、採取目標位置設定処理を、第1実施形態のS100と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0152】
<軌道生成処理>
軌道生成処理は、
図25及び
図26に示すポイントP0~P2~P9~P14、及びポイントP14からポイントP0へ戻る軌道の生成処理であり、時間毎のハンド装置40の位置、姿勢、速度、加速度を制御部77が演算する。
【0153】
<ハンド装置40の位置について>
ポイントP0~P2、P9~P14を
図25及び
図26を参照して説明する。ロボットアーム22の制御点は、第1実施形態と同様にハンド装置40の両指部44A、44B下端間の中間点である。
【0154】
ポイントP1は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。ポイントP2は、指部44A、44Bの下端及び掬い上げベルト117の下端がそれぞれ搬送面15aに近接する位置である。なお、ポイントP2は、後のS204で変更(補正)されることもあるが、S200での扱いは固定値である。
図26では、S204において、X座標が変更されなかった場合の位置を記している。
【0155】
ポイントP9は、そのY座標値を、ポイントP2から移動するハンド装置40が盛り付け領域Rに達する直前の位置の値としている。ポイントP9のX座標値は、ポイントP2のX座標値と同じ値としている。本実施形態では、ポイントP9のZ座標値は、ポイントP0のZ座標値よりも高くして、ハンド装置40にて、スライス肉Eを採取した状態で、トレイ88の周壁88aを通過する際に、前記スライス肉Eの両端(垂下端)が干渉しない高さとしている。ポイントP9の三次元座標値は固定値である。
【0156】
以下のポイントP10~ポイントP14は、スライス肉Eを降ろす目標載置ポイントとしての肉降下点Rmnが行毎、列毎に異なる。なお、肉降下点Rmnの設定、または算出し、第1実施形態と同様である。説明の便宜上、ポイントP12から説明する。ポイントP12は、前述したトレイ88内のスライス肉配置区画(m,n)毎に、盛り付け領域Rであるトレイ88の内底面、または、ベルト19の搬送面19a上に設定された肉降下点Rmnに対して直上方に位置する。肉降下点Rmnは、スライス肉配置区画(m,n)の中心である。ポイントP12のX及びY座標値は、肉降下点RmnのX及びY座標値と同じ値としている。後述するS20A、S24A、S28Aで列n及び/または行mが更新される毎に、ポイントP12のX及びY座標値は、更新後の肉降下点RmnのX及びY座標値となる。
【0157】
ポイントP12のZ座標値は、ポイントP9のZ座標値よりも小さい固定値であって、盛り付け領域Rにおけるトレイ88の内底面に対して両指部44A、44B及び掬い上げベルト117の下端が離間した高さに設定される。この高さは、採取部35が採取したスライス肉Eが、トレイ88の内底面に接触しない高さであって、スライス肉Eがこの高さから降ろされた際に、採取部35にて支持された形状が略保持可能な高さである。ポイントP12にハンド装置40が位置すると、採取していたスライス肉Eの支持が解除されて当該スライス肉Eがトレイ88の内底面に降ろされる。
【0158】
ポイントP10のX座標値は、ポイントP12のX座標値に対して
図26に示すように-X側に位置するように所定距離d2(>0)離間した値としている。ポイントP10のY座標値は、ポイントP12のY座標値よりも+Y側位置するように所定距離d3(>0)離間した値としている。所定距離d2、d3はハンド装置40がポイントP10からポイントP12を移動する際に、後述する捻れ角θ3で捻られた状態で移動が許容される距離としている。
【0159】
ポイントP10のXY座標値は、盛り付け領域R内にあるスライス肉配置区画(m,n)毎に対応して設定されるポイントP12に近い方が好ましいため、盛り付け領域R上か、または、盛り付け領域Rの近辺となる。ポイントP10のZ座標値は、ポイントP12と同じ値としている。ポイントP11は、ポイントP10と、ポイントP12を結ぶ直線経路に含まれる中間ポイントである。ポイントP11の三次元座標は、ポイントP10と、ポイントP12間の直線に含まれる座標値である。ポイントP11は、ポイントP10とポイントP12が決定された際、補間演算により算出してもよい。
【0160】
ハンド装置40はポイントP9からポイントP10まで移動する際に、ロボットアーム22が姿勢制御されて、ポイントP10では
図29(d)に示すようにY軸方向に対して捻れ角θ3(>0)を有して配置される。これにより、指部44A、44Bの並ぶ方向がY軸方向と直交するX軸方向から、Y軸方向に対して捻れ角θ3で交差する交差線に対して直交する方向に配置される。この捻れ角θ3は、下方向に対して直交する平面に含まれる方向である。この捻れにより、掬い上げ部100はエアシリンダ104の駆動によってY軸方向に対して捻れ角θ3分傾いた状態で-Y側へ移動可能となる。
【0161】
ポイントP13、P14は、ポイントP12と一直線上に並ぶポイントである。ポイントP13、P14のX座標値は、
図26に示すようにポイントP12のX座標値と同じ値に設定される。ポイントP13、P14のY座標値は、ポイントP12のY座標値よりも+Y側へそれぞれ移動した値に設定される。
【0162】
ポイントP13のZ座標値は、ポイントP12のZ座標値よりも大きくされ、ポイントP14のZ座標値は、さらに大きく設定されて、ハンド装置40の位置をトレイ88から離間にするように上方へ、かつ、下流側へ移動させる。なお、ポイントP13、P14は、ポイントP12と一直線上に並ぶことに限定するものではない。ただし、ポイントP0に効率的に戻るためには、ポイント13、P14は一直線上に並ぶことが好ましい。
【0163】
<ハンド装置40の姿勢について>
本実施形態では、ハンド装置40がポイントP9~P10への移動時に前記捻れ角θ3の姿勢制御が実行され、P12に移動した際に、前記捻れ角θ3を解消する姿勢制御が実行される。ポイントP9~P10間を除く、残りのポイント間の軌道では、ハンド装置40の指部44A、44Bの先端が指向する方向を-Z方向とする姿勢制御が実行される。かつ、指部44A、44Bの並ぶ方向を±X方向にした姿勢を保持する姿勢制御が実行される。
【0164】
<各ポイトン間の速度、加速度について>
制御部77は、前記ハンド装置40(制御点)の各ポイント間の速度、加速度について、例えば、等速度制御、台形速度制御を可能に公知の方法により算出する。以下で説明するステップにおけるハンド装置40の各ポイントへの移動では、S200で算出され、或いは設定された座標値、速度、加速度、及び姿勢(前記関節角度)に基づいて制御部77は、ロボットアーム22を制御する。
【0165】
以下の説明では、制御部77によるロボットアーム22の制御によりハンド装置40のポイント間の移動と、ハンド装置40の爪部材61、両指部44A、44Bに関する動作を主に説明する。ハンド装置40の捻れ角θ3に関する姿勢制御を除いた他の姿勢制御及びハンド装置40(制御点)の速度、加速度等については、上述した演算結果等に基づいて制御するものと理解されたい。
【0166】
(S202~S206)
S202~S206は、第1実施形態のS102~S106とそれぞれ同様であるので、詳細な説明を省略する。制御部77はこれらの処理を行い、ロボットアーム22を制御してハンド装置40をポイントP0からポイントP1に位置させる。
図29(a)に示すように、スライス肉Eが採取位置Tに移載した際に、S202では、制御部77は、スライサーコントローラ90から採取開始信号を受信する。
図29(a)~
図29(f)は、採取位置Tから、トレイ88の上の肉降下点Rmnに載置されるまでを平面視したスライス肉の状態を示す。採取位置Tにスライス肉Eが位置していた状態を符号Eaで示し、スライス肉Eが載置される肉降下点Rmnでの仮想形状を符号Ebで示す。
【0167】
(S208)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP1から採取目標位置であるポイントP2へ低速(緩速)の速度で下降させる。これにより、
図30(a)、
図30(b)に示すように、指部44A、44Bの下端及び掬い上げベルト117の下端がそれぞれ搬送面15aに近接する。
【0168】
(S210)
制御部77は、ハンド装置40が採取目標位置であるポイントP2に達した後、エアシリンダ104を制御して、掬い上げ部本体102を原位置から掬い位置へ移動させる。すなわち、制御部77は、掬い上げ部本体102を、コンベア16の下流からスライス肉EのX方向の中間部(被採取部位B)付近に向けて上流側へ移動させる。
【0169】
(S212)
掬い上げ部本体102の移動開始から設定時間経過後に、制御部77は、エアシリンダ120を制御して、ロッド120aを
図17の実線位置から二点鎖線の位置まで伸張させて掬い上げベルト117を正転させる。前記設定時間は、掬い上げ部本体102が原位置から掬い位置に達するまでに要する時間よりも短い時間であって、原位置から採取位置Tに位置するスライス肉Eに達する予定時間に設定されている。掬い上げベルト117の正転により、採取位置Tに位置するスライス肉Eが斜め上方へ掬い上げられる。これとともに、掬い上げ部本体102が掬い位置に達すると、
図31(a)、
図31(b)に示すように、開状態の両指部44A、44B間に掬い上げベルト117の下端が進入する。
【0170】
本実施形態では、指部44A、44Bは、開状態のときに、掬い上げ部本体102を掬い位置へ移動させて、両指部44A、44B間に進入させている。これに代えて、例えば、指部44A、44Bの初期位置を閉状態にして、この閉状態のときに、掬い上げ部本体102を掬い位置へ移動させてもよい。このとき、進出位置に位置する爪部60の先端間は、掬い上げベルト117の掬い位置への移動を許容する間隔を有するため、爪部60と掬い上げベルト117とが干渉することはない。
【0171】
なお、掬い上げベルト17の掬い上げ時の周回移動速度は、掬い上げ部本体102の原位置から掬い位置への移動速度と同速度が好ましい。両者を同速度にすることにより、スライス肉Eの搬送面15aから掬い上げベルト117への移載が良好にでき、シワや、中間部位の広がりが防止でき、スライス肉の当初の形の保持ができる。仮に掬い上げベルト17の速度が掬い上げ部本体102の移動速度よりも遅い場合、搬送面15aと掬い上げベルト117の下端との間でスライス肉Eの滞留が生じてスライス肉Eにシワが形成され、この後に行われる盛り付けが良好にできなくなる。掬い上げベルト17の速度が掬い上げ部本体102の移動速度よりも速い場合、掬い上げベルト17に移載された部位と、搬送面15aに残された部位とに速度差ができて、両部位が広がる。このため、スライス肉Eの中間部位の変形が生じる結果、この後に行われる盛り付けが良好にできなくなる。
【0172】
(S214)
制御部77は、エアシリンダ42を制御して指部44A、44Bを開状態から閉状態に移行させる(
図32(a)参照)。これにより、掬い上げられたスライス肉Eは、掬い上げベルト117で掬いあけられた部位を中心にして平面視で略U字状に変形させて支持されることになる(
図29(b)参照)。さらに既に進出位置に位置している両爪部材61は、掬い上げベルト117にて掬い上げられた
図31(a)に示すスライス肉Eの下方へ配置される。
【0173】
(S216)
図32(b)、
図29(c)に示すように制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP2からポイントP9に移動させる。このとき、制御部77は台形の上辺の移動速度が高速の速度となるように台形速度制御を行う。
【0174】
このポイントP9へのハンド装置40の移動により、スライス肉Eの両端(垂下端)は、トレイ88の周壁88aの高さ以上に上昇されて、この後にハンド装置40が盛り付け領域R上に移動する際、周壁88aとの干渉が回避される。ポイントP2からP9への移動中、ハンド装置40は、スライス肉Eの両垂下端の側部を、両爪部材61にて
図33に示すように、抱え込み支持し、その両垂下端を搬送面15aから離間させる。ポイントP2からポイントP9のハンド装置40によるスライス肉Eの支持及び上方への移動は、請求項14の第1工程に相当する。
【0175】
(S218)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、ハンド装置40をポイントP9からトレイ88の周壁88a上方を通過させて盛り付け領域Rにあるトレイ88の内底面上方のポイントP10にP2~P9の移動時の速度よりも遅い中速の速度で移動させる。
【0176】
この制御部77の制御により、盛り付け領域Rにおけるトレイ88の内底面に対して両指部44A、44B及び掬い上げベルト117の下端が接触間近に近接する。
図34(a)は、両指部44A、44Bを省略して掬い上げベルト117の下端が接触間近に近接した状態を示している。このポイントP10は、スライス肉Eが降ろされる肉降下点Rmnが属する第n番目の行よりも下流側に存在する。このポイントP9からポイントP10への移動中に、制御部77は、ロボットアーム22を姿勢制御して、ポイントP10では
図29(d)に示すようにハンド装置40をY軸方向に対して捻れ角θ3を有して配置する。
【0177】
なお、
図26では、ポイントP9からポイントP10の直線経路はY軸方向に対してある角度となるように説明の便宜上、図示されている。ポイントP9からポイントP10の直線経路とY軸との角度は、常に同じとは限らない。その理由は、ポイントP10は、肉降下点Rmnが変更されることにより、±X方向及び+Y方向の位置が変更されるからである。ポイントP2からポイントP10へのハンド装置40の移動は、請求項14の第2工程に相当する。
【0178】
(S220)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図25及び
図26に示すようにハンド装置40をポイントP10からポイントP10と同じ高さのポイントP11へ、ポイントP9~P10の移動時の速度よりも低速の速度で移動させる。このポイントP10からポイントP11へのハンド装置40の移動中、制御部77は、
図29(d)に示すようにY軸方向に対してハンド装置40が捻れ角θ3を有するようにロボットアーム22を姿勢制御する。このハンド装置40の移動中、スライス肉Eの両垂下端は、トレイ88の内底面上を引きずられる。
図27(b)は、このときのスライス肉Eのみを略体した状態で平面視したものである。同図に示すように、スライス肉Eの両垂下端は、Y軸方向に対し、概ね捻れ角θ3の角度となる。これにより、平面視で略U字状となったスライス肉Eの両端部間の開きが抑制される。
【0179】
(S222)
制御部77は、ポイントP11への移動を開始してから予め設定された設定時間経過後、エアシリンダ57及びエアバルブ123を制御する。エアシリンダ57が制御されることにより、両爪部材61は進出位置から退出位置へ位置する。これにより、スライス肉Eの両爪部材61による抱え込みを解消してその支持を解除する。ここで、本実施形態の本例では、この時点で、指部44A、44Bが閉状態のまま、爪部材61のみを退出位置へ移動させることにより、スライス肉Eの支持を解除する。これに代えて、この時点で、指部44A、44Bが開状態にするとともに、両爪部材61を退出位置にすることにより、スライス肉Eの支持を解除してもよい。或いは、この時点で、両爪部材61を進出位置に保持して、指部44A、44Bを開状態に移行させることにより、スライス肉Eの支持を解除してもよい。
【0180】
前記エアバルブ123の制御により、図示しないエア供給源からエアノズル122を介してエアの噴出が許容される。これにより、エアノズル122からエアがスライス肉Eに向けて噴出が開始される。このステップの制御は、ポイントP10からポイントP11の移動中に実行される。
【0181】
(S224)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図25及び
図26に示すようにハンド装置40をポイントP11からポイントP11と同じ高さであって、上流側のポイントP12に低速(緩速)の速度で移動させる。
図29(e)及び
図29(f)では、このときの平面視したスライス肉Eの状態を示す。
【0182】
このポイントP11からポイントP12への移動中に、制御部77は、エアシリンダ120を制御して、ロッド120aを
図17の二点鎖線の位置から実線位置からまで縮退させる。このことにより掬い上げベルト117を逆転させて、
図34(a)に示すようにスライス肉Eをトレイ88の内底面に向けて斜め下方へ降ろす。これにより、スライス肉Eは、略U字状に保持された状態でトレイ88の内底面に載置される。
【0183】
また、制御部77は、ロボットアーム22を姿勢制御することにより、捻れ角θ3を0にして、指部44A、44Bの並ぶ方向を±X方向に戻す。ハンド装置40をポイントP10からポイントP12へ移動させる工程は、請求項14の第3工程に相当する。
【0184】
(S226)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図25、
図26に示すようにハンド装置40をポイントP12からポイントP13に低速の速度で移動させる。これにより、ハンド装置40は、ポイントP12よりも上方へかつ、+Y方向(下流側)へ移動することにより、今回降ろしたスライス肉Eから離間する(
図34(b)参照)。
【0185】
(S228)
制御部77は、ポイントP12から移動を開始してから予め設定された設定時間経過後に、エアシリンダ104、57を制御して、掬い上げ部本体102を原位置へ移動させるとともに、指部44A、44Bを開位置へ移動させる。
【0186】
(S230)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図25、及び
図26に示すようにハンド装置40をポイントP13からさらに下流側であって、ポイントP13よりも高い位置であるポイントP14に高速の速度で移動させる。この移動中に、制御部77は、エアバルブ123を制御して、図示しないエア供給源からのエア供給を遮断することにより、エアノズル122からのエア噴出を停止する。
【0187】
(S232)
制御部77は、ロボットアーム22を制御して、
図25及び
図26に示すようにハンド装置40をポイントP14から開始位置のポイントP0に高速の速度で移動させる。 この移動中に、制御部77は、エアシリンダ57を制御して、両爪部材61は退出位置から進出位置へ位置させて、爪部材を張り出す。
【0188】
以上で、今回の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理が終了する。
(S20A)
上記のように今回の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理が終了後、
図22に示すようにS20Aでは、制御部77は、列カウンタのカウント値nをインクリメントする。
【0189】
(S22A)
次のS22Aでは、制御部77は、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えているか否かを判定する。カウント値nが、所定列数Nを超えていない場合には、制御部77は、スライサーコントローラ90に対して盛付完了信号を出力した後、S18Aにリターンして、現在の列nにおいて、次の列順の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理を行う。従って、このスライス肉盛り付け処理は、1行当たりN回実行されることになる。カウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、S24Aに移行する。
【0190】
(S24A)
S24Aでは、制御部77は、行列カウンタのカウント値mをインクリメントする。
(S26A)
S26Aでは、制御部77は、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えていない場合には、S28Aに移行し、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。すなわち、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへのスライス肉Eの盛り付けが終了する。所定行数M及び所定列数Nは、それぞれ少なくとも1以上であればよい。
【0191】
(S28A)
S28Aでは、制御部77は、列カウンタのカウント値nを1にセットし、スライサーコントローラ90に対して盛付完了信号を出力してS18Aにリターンする。従って、S28AからS18Aにリターンすると、次の行の最初の列の肉降下点Rmnに対するスライス肉盛り付け処理が実行される。
【0192】
ここで、所定行数Mを「3」とし、かつ、所定列数Nを「4」にして、上記フローチャートを実行した場合の例を、
図28(a)~
図28(c)に示す。
図28(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn(=R11)に、スライス肉Eの盛り付けが終了した状態のトレイ88を平面視した例である。
図28(b)は、第1行の全肉降下点Rmnと、第2行第1列の肉降下点Rmn(=R21)に、スライス肉Eの盛り付けが終了した状態のトレイ88を平面視した例である。
図28(c)は、第1行及び第2行の全肉降下点Rmnと、第3行第1列の肉降下点Rmn(=R31)に、スライス肉Eの盛り付けが終了した状態のトレイ88を平面視した例である。所定行数Mと所定列数Nの設定によって、トレイ88内には、スライス肉Eが設定範囲内の重量で盛り付けられる。
【0193】
(第2実施形態の第1変形例)
上記第2実施形態の第1変形例として、食品盛り付け装置10が備えるハンド装置40の構成を下記のようにしてもよい。指部44A、44Bの各爪部60及びエアシリンダ57(爪部駆動源)を省略し、その代わりに、指部44A、44Bの先端(下端)に対して、採取突出部(図示しない)を互いに対向するように一体に形成する。この場合、指部44A、44Bが閉位置に位置するときは、前記第1実施形態の進出位置に位置する爪部材61と同位置に位置させて、折り畳まれたスライス肉Eを抱え込みしたときに、平面視で略U字状に変形させる構成とする。本変形例の盛り付け制御装置70は、前記第2実施形態の制御の中で、エアシリンダ57の制御を省略し、残りの他の制御は同じとする。
【0194】
(第2実施形態の第2変形例)
捻れ角θ3を0度にし、すなわち、ハンド装置40の捻れをなくして、盛り付けを実行してもよい。
【0195】
本実施形態では、第1実施形態の(1)、(5)~(8)と同様の効果を奏する他、下記の特徴がある。
(1)本実施形態の食品盛り付け方法の第1工程は、採取位置Tに位置するスライス肉E(食品)を、開状態の指部44A、44Bの間に進入する掬い上げ部100により斜め上方へ掬い上げる。そして、第1工程で複数の指部44A、44Bを閉状態に移行させることにより掬い上げられたスライス肉E(食品)を平面視で略U字状に変形させて支持する。第2工程では、採取位置Tから離間した盛り付け領域R上にハンド装置40を移動する。第3工程では、盛り付け領域Rにおいて、スライス肉E(食品)を、その支持を解除して掬い上げ部100にて斜め下方へ降ろすことにより、平面視で略U字状のままで載置する。この結果、この結果、柔らかい食品の盛り付けを好適に行うことができる。
【0196】
(2)本実施形態の食品盛り付け方法は、指部44A、44Bには、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた複数の爪部60を有する。指部44A、44Bの開状態は、複数の爪部60が進出位置に位置した状態と、複数の爪部60が退出位置に位置した状態とを含む。指部44A、44Bの閉状態では、第1工程において、掬い上げ部100により斜め上方へ掬い上げられたスライス肉E(食品)の下部を爪部60に載せて支持する。この結果、採取位置から盛り付け領域に移動する間は、掬い上げ部により掬い上げられたスライス肉E(食品)を爪部60の下からの抱え込みにて、安定的に支持することができる。
【0197】
(3)本実施形態の食品盛り付け方法では、盛り付け領域Rには、所定行数M及び所定列数Nを有する肉降下点Rmn(目標載置ポイント)が設定される。スライス肉E(食品)を、各行において、列順に並ぶ肉降下点Rmn毎に、第1工程、第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、スライス肉E(食品)が盛り付けられる。この結果、本実施形態では、スライス肉E(食品)を列毎に、行順に並ばせて、最終的に行列状の食品盛り付けが可能となる。なお、所定行数M及び所定列数Nの設定によって、トレイ88内には、スライス肉Eが設定範囲内の重量で盛り付けられる。
【0198】
(4)本実施形態の食品盛り付け方法では、第2工程では、ハンド装置40を下方向と直交する方向へ捻り、その後の第3工程で、掬い上げ部100にてスライス肉E(食品)を斜め下方へ降ろす。このことにより、スライス肉E(食品)を平面視で略U字状のままで載置する。この結果、スライス肉E(食品)を平面視で略U字状の状態で盛り付けができる。 (5)本実施形態のハンド装置40の採取部35は、開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部44A、44Bと、指部44A、44Bの開状態及び閉状態の移行を行わせるエアシリンダ42(指部駆動源)を備える。
【0199】
各指部には、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた爪部60と、各爪部60を進出位置及び退出位置の間で往復駆動するエアシリンダ57(爪部駆動源)を備える。採取部35は、指部44A、44Bの開状態において進出位置に位置した各爪部60の間の間隙に進入自在に配置されて、スライス肉E(食品)を斜め上方に掬い上げ、掬い上げたスライス肉E(食品)を斜め下方に降ろす掬い上げ部100を備える。採取部35は、掬い上げ部100を斜め上方及び斜め下方へ作動させるエアシリンダ104(第1駆動源と)、掬い上げ部100の前記間隙への進入および退避の作動を行うエアシリンダ120(第2駆動源)とを備える。採取部35は、指部44A、44Bが開状態で、かつ、各爪部60が進出位置に位置している状態で、掬い上げ部100がスライス肉E(食品)を斜め上方に掬い上げる。この後、指部44A、44Bを閉状態へ移行させる。これにより、スライス肉E(食品)の下部を各爪部60に載せて支持し、ハンド装置40の移動によってスライス肉E(食品)を盛り付け領域R上の位置まで移動させ。この後に、各爪部60を退出位置へ移動させて該各爪部60によるスライス肉E(食品)の支持を解除する。この結果、このハンド装置40を使用して上記第2実施形態の(1)の方法を容易に実現できる。
【0200】
(6)本実施形態の第1変形例のハンド装置40は、上記第2実施形態の(5)に記載の爪部60を省略した。その上で、掬い上げ部100を複数の指部44A、44Bの間に進入および退避自在に配置されるとともに、スライス肉E(食品)を斜め上方に掬い上げ、該掬い上げた前記スライス肉E(食品)を前記斜め上方とは逆方向に降ろすように作動する。ハンド装置40は、前記掬い上げ部100を作動させるエアシリンダ104(第1駆動源)と、掬い上げ部100を複数の指部44A、44Bの間への進入および退避の作動させるエアシリンダ120(第2駆動源)と、を備える。この構成によっても、上記第2実施形態の方法を容易に実現できる。
【0201】
(7)本実施形態の第1変形例の食品盛り付け装置10では、ロボットアーム22が、ハンド装置40を、開始位置(待機位置)から、採取位置Tに移動させる。掬い上げ部100は、ハンド装置40が採取位置Tに移動する際にエアシリンダ120(第2駆動源)により開状態の指部の間に進入するとともに、エアシリンダ104(第1駆動源)により採取位置に位置するスライス肉E(食品)を斜め上方へ掬い上げる。指部44A、44Bは、開状態で該指部の間への掬い上げ部100の進入と、スライス肉E(食品)の掬い上げ作動を許容して、エアシリンダ42による閉状態への移行によって、掬い上げられたスライス肉E(食品)を平面視で略U字状に変形させる。ロボットアーム22は、スライス肉E(食品)が変形された後に、採取位置Tから離間した盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる。指部44A、44Bは、ロボットアーム22によってハンド装置40が盛り付け領域R上に移動した後、エアシリンダ42(指部駆動源)により、開状態に移行して指部44A、44Bによるスライス肉E(食品)の支持を解除する。掬い上げ部100は、エアシリンダ104(第1駆動源)により、支持が解除されたスライス肉E(食品)を斜め下方に降ろして、盛り付け領域R上に該平面視で略U字状のままで載置する。この結果、第2実施形態の方法を実行して、盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままでスライス肉(食品)の盛り付けができる。
【0202】
(8)本実施形態の食品盛り付け装置10では、ロボットアーム22は、ハンド装置40を、開始位置(待機位置)から、採取位置Tに移動させる。掬い上げ部100は、ハンド装置40が採取位置Tに移動する際にエアシリンダ120(第2駆動源)により指部44A、44Bが開状態または閉状態で、かつ、爪部60が進出位置に位置しているときの間隙に進入する。そして、掬い上げ部100は、採取位置Tに位置するスライス肉E(食品)をエアシリンダ104(第1駆動源)により斜め上方へ掬い上げる。指部44A、44Bが、エアシリンダ42(指部駆動源)により閉状態に移動することで掬い上げられたスライス肉E(食品)を平面視で略U字状に変形させるとともに、進出位置に位置した爪部60で掬い上げられたスライス肉E(食品)を支持する。ロボットアーム22は、スライス肉E(食品)が爪部60にて支持された後に、採取位置Tから離間した盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる。爪部60は、ハンド装置40が盛り付け領域R上に移動する際、エアシリンダ57(爪部駆動源)により、退出位置に移動することによりスライス肉E(食品)の支持を解除する。掬い上げ部100は、爪部60による支持が解除されたスライス肉E(食品)を、エアシリンダ104(第1駆動源)により、斜め下方に降ろして、盛り付け領域R上に該平面視で略U字状のままで載置する。この結果、この食品盛り付け装置10を使用して上記第2実施形態の(1)の方法を容易に実現できるとともに、盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままでスライス肉(食品)の盛り付けができる。
【0203】
(9)本実施形態のロボットコントローラ70では、制御部77は、ロボットアーム22の能動関節J1~J6を駆動制御して、ハンド装置40を待機位置から、採取位置Tに移動させる。制御部77は、ハンド装置40が採取位置Tに移動する際に、エアシリンダ120(第2駆動源)を制御して、指部44A、44Bが開状態または開状態で、かつ、爪部60が進出位置に位置しているときの間隙に掬い上げ部100を進入させる。制御部77は、エアシリンダ104(第1駆動源)を制御して、採取位置Tに位置する前記スライス肉E(食品)を斜め上方へ掬い上げる。制御部77は、エアシリンダ42(指部駆動源)を制御して指部44A、44Bを閉じ方向へ移動させて掬い上げたスライス肉Eを平面視で略U字状に変形させるとともに進出位置に位置した爪部60でスライス肉E(食品)を支持する。
【0204】
制御部77は、スライス肉E(食品)が爪部60にて支持された後に、能動関節J1~J6を制御して、盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる。制御部77は、ハンド装置40が盛り付け領域上に移動した後、エアシリンダ42(指部駆動源)及びエアシリンダ57(爪部駆動源)のうち、いずれか一方の制御によって、スライス肉E(食品)の支持を解除する。制御部77は、エアシリンダ104(第1駆動源)を制御して、掬い上げ部100により、支持が解除されたスライス肉E(食品)を斜め下方に降ろして、盛り付け領域R上にスライス肉E(食品)を平面視で略U字状のままで載置させる。この結果、このロボットコントローラ70にて、食品盛り付け装置10を制御することで上記第2実施形態の(1)の方法を容易に実現できるとともに、盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままでスライス肉(食品)の盛り付けができる。
【0205】
(10)本実施形態では、制御部77は、能動関節J1~J6を制御して、ロボットアーム22の先端を介して、盛り付け領域R上にハンド装置40を移動させる際、盛り付け領域R上、またはその近辺でハンド装置40を下方向と直交する方向へ一旦捻る。制御部77は、その後、捻りを戻しながら、エアシリンダ104(第1駆動源)の制御により、掬い上げ部100にてスライス肉E(食品)を斜め下方へ降ろすことにより、スライス肉E(食品)を平面視で略U字状のままで載置する。この結果、盛り付け領域R上に盛り付けられた食品は、平面視で略U字状のスライス肉E(食品)が、捻られた方向を向いた状態で、盛り付けることができる。
【0206】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上下方向及びベルト15の搬送方向の移動のみが可能な2軸ロボットアームにハンド装置40を取付けた場合、ベルト15の搬送方向に平行な単列での食品の盛り付けができる。
【0207】
・上下方向、ベルト15の搬送方向、及び前記搬送方向と直交する方向のみが可能な3軸ロボットアームにハンド装置40を取付けてもよい。この場合、ベルト15の搬送方向と直交する方向に平行な単行での食品の盛り付けや、複数行及び複数列の食品の行列配置が可能な盛り付けが可能である。
【0208】
・第1及び第2実施形態では、コンベア20のベルト19上に盛り付け領域Rを設定するとともに、該盛り付け領域R上にトレイ88を載置した。この代わりに、コンベア20の上に、移載装置300を配置し、移載装置300側に
図35(a)及び
図35(b)に示すように盛り付け領域R1、R2を設定してもよい。
【0209】
移載装置300は、一対の移載ベルト304と、一対の受板308と、各受板308の直下に配置された一対の牽引板306とを有する。
図35(a)、
図35(b)に示すように、両受板308は、ベルト19上方の仮想平面に含まれるとともに相互に対向するように配置され、図示しない駆動源により、±X方向(左右方向)に開閉自在に駆動される。各受板308は、両対向縁部が最接近して、ベルト19の上方を閉鎖する閉鎖位置S0と開放位置E0の間を、前記駆動源により往復駆動される。
図35(a)において、閉鎖位置S0と開放位置E0は、それぞれ対向縁部の位置を示す。前記開放位置E0は、ベルト19上に載置されたベルト19の搬送方向に配置された一対のトレイ88の上方が開口された位置である。各受板308が開放位置E0に位置したときの位置よりも、±X方向側の位置には、±Y方向(紙面に直交する方向)へ延出する一対のフレーム302が固定される。各移載ベルト304は、各フレーム302に対して一端が連結されるとともに他端が牽引板306に対して連結されることにより、中間部が両受板308の対向縁部間の間隙を通過して±Y方向へ延出する受板308の対向縁部に巻き掛けられる。牽引板306は、図示しない駆動源により、±X方向(左右方向)に往復移動自在に駆動される。
【0210】
盛り付け領域R1、R2は、両受板308が閉鎖位置S0に位置し、かつ、両受板308の下方のベルト19にそれぞれトレイ88が配置されている状態のときに、移載ベルト304上にスライス肉Eが盛り付けられ領域である。この盛り付け領域R1、R2に対して、ロボットコントローラ70は、食品盛り付け装置10を制御して、スライス肉Eを、第1実施形態の盛り付け態様、または第2実施形態の盛り付け態様でそれぞれ盛り付ける。移載装置300は、移載ベルト304の上部を介して盛り付け領域R1、R2上にスライス肉の集団が盛り付けられると、受板308、及び牽引板306が、それぞれ図示しない駆動源により、±X方向へ駆動される。すると、
図35(b)に示すように、受板308の対向縁部での移載ベルト304の折り返し移動によって、移載ベルト304上の図示しない盛り付けられたスライス肉Eの集団が移載ベルト304の表面から剥離され、トレイ88内に落下して収容される。スライス肉Eを収容したトレイ88は、コンベア20により、-X側へ搬出される。なお、盛り付け領域R1、R2の一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0211】
10…食品盛り付け装置
12…スライサー
15…ベルト
15a…搬送面
11…ベルト
19a…搬送面
22…ロボットアーム
35…採取部
40…ハンド装置
42…エアシリンダ(指部駆動源)
44A、44B…指部
57…エアシリンダ(爪部駆動源)
60…爪部
61…爪部材
70…ロボットコントローラ
77…制御部
78…記憶部
79…画像処理部
87…カメラ(撮像手段)
100…掬い上げ部
104…エアシリンダ(第1駆動源)
120…エアシリンダ(第2駆動源)
B…被採取部位(支持目標ポイント)
E…スライス肉
G…仮想平面、
M…所定行数
N…所定列数
P1~P14…ポイント
R…盛り付け領域
Rmn…肉降下点(目標載置ポイント)
T…採取位置