(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164484
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】グレーチング用受枠とその設置方法
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E03F5/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070001
(22)【出願日】2021-04-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】720010660
【氏名又は名称】有限会社祐企建設
(72)【発明者】
【氏名】森岡 祐治
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA02
2D063CB25
(57)【要約】
【課題】雨水等の道路側溝のコンクリート蓋の補修・改修工事等は、側溝コンクリート周囲のコンクリート及びアスファルト塗装面を撤去したのち、グレーチング用受枠を設置してスラブ型枠養生、側溝やアスファルト舗装の補修等、工期が長くなることから人件費の増加や、工事期間中の埃の飛散、通行の妨げ等、住民負担も大きかった。
【解決の手段】筒状のフレーム10と、これに対して線対称に向かい合わせとなるように、同じ構造で配置された筒状のフレーム20と、フレーム10とフレーム20の筒状の開口部を蓋をする形で平行に連結させる帯状部材のフレーム30と、フレーム30と平行となるようにフレーム10とフレーム20を平行に連結するフレーム40とを、備えると共に、前記道路側溝等に取り付けられた状態において道路側溝等に干渉しないフレーム30とフレーム40の外側側面に突起状のアンカー5を備えるグレーチング用受枠を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路側溝や水路等に設置されてグレーチングが装着されるグレーチング用受枠であって、水平片12と、その端部に結合してL字状をなす垂直片13とで構成される部材11と、垂直片16と、その下部端部に結合してL字状をなす水平片15とで構成される部材14とが、筒状となるように前記部材11の水平片12の端部と前記部材14の垂直片16の側面部とを結合し、前記部材11の垂直片13の端部と前記部材14の水平片15の底面の端部付近部とが結合されたフレーム10と、前記フレーム10に対して線対称に向かい合わせとなるようにフレーム10と同じ構造で配置されたフレーム20と、前記フレーム10と前記フレーム20の筒状の開口部を蓋をする形でフレーム10とフレーム20を平行に連結させる帯状部材のフレーム30と、前記フレーム10と前記フレーム20のもう一方の筒状の開口部を蓋をする形で前記フレーム30と平行となるように前記フレーム10と前記フレーム20を平行に連結させる帯状部材のフレーム40と、を、備えると共に、前記道路側溝や水路等に取り付けられた状態において前記道路側溝や水路等に干渉しない前記フレーム30と前記フレーム40の外側側面に突起状のアンカー5を備えることを特徴とするグレーチング用受枠。
【請求項2】
フレーム10及びフレーム20の底部外縁部は丸みを持たせた形状としてあることを特徴とする請求項1に記載のグレーチング用受枠。
【請求項3】
フレーム10及びフレーム20の底面は内側へ迫り出す形状としてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のグレーチング用受枠。
【請求項4】
フレーム10及びフレーム20の筒状の内部が水密とならないように、フレーム10及びフレーム20の下側に配置されるL字状の角部両端と当接するフレーム30及び40の角を切り落として開口部を設けてあることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のグレーチング用受枠。
【請求項5】
グレーチングが装着されるグレーチング用受枠を道路側溝や水路等に設置する方法であって、道路側溝や水路の既存の側溝コンクリートに干渉しない位置で、請求項1~4のいずれか1項に記載のグレーチング用受枠を、道路側溝や水路などの蓋乗せ部に載置させた後に、グレーチング用受枠を備える突起状のアンカー部分を打設して道路側溝や水路の既存の側溝コンクリートに干渉しない位置でグレーチング用受枠を固定し、設置することを特徴とするグレーチング用受枠の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路側溝や水路等に設置されてグレーチングが装着されるグレーチング用受枠であって、雨水等の道路側溝等に取り付けられて、グレーチングが装着されるグレーチング用受枠に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事における、道路側溝や水路等のコンクリート蓋の補修・保全・改修等の際には、既存の側溝コンクリート及びその周辺の道路アスファルトを切断、掘削した後、グレーチング用受枠を設置してスラブ型枠養生と埋め戻しといった工程を行い、新たにグレーチングを設置するものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のグレーチング用受枠は、アンカーが道路側溝コンクリート及びその周辺の道路アスファルトの切断方向に突起しており、既存の道路側溝コンクリート及びその周辺の道路アスファルトに干渉するためコンクリート及びその周辺のアスファルトを削る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来のグレーチング用受枠の設置工事は、当該受枠のアンカーの埋設のために既存の雨水等の道路側溝コンクリート及びその周辺の道路アスファルトの切断、掘削した後、グレーチング用受枠を設置してスラブ型枠養生と埋め戻しといった工程があるため、工期に約1ヶ月を要し、人件費等のコスト増大に加え、通行の妨げになることによる危険性の増大、埃の飛散など、地域住民への負担が大きいものであった。
【0006】
本発明は、このような従来の工法が有していた問題を解決しようとするものであり、工事のために既存の雨水等の道路側溝コンクリート及びその周辺の道路アスファルトの切断、掘削、スラブ型枠養生と埋め戻しといった工程を不要とすることにより、工期を数日間へと大幅短縮し、人件費等のコスト削減に加え、即日通行が可能となるため、危険回避、埃の飛散などの地域住民への負担も大幅に軽減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグレーチング用受枠は、道路側溝や水路等に設置されてグレーチングが装着されるグレーチング用受枠であって、水平片12と、その端部に結合してL字状をなす垂直片13とで構成される部材11と、垂直片16と、その下部端部に結合してL字状をなす水平片15とで構成される部材14とが、筒状となるように前記部材11の水平片12の端部と前記部材14の垂直片16の側面部とを結合し、前記部材11の垂直片13の端部と前記部材14の水平片15の底面の端部付近部とが結合されたフレーム10と、当該フレーム10に対して線対称に向かい合わせとなるようにフレーム10と同じ構造で配置されたフレーム20と、前記フレーム10と前記フレーム20の筒状の開口部を蓋をする形でフレーム10とフレーム20を平行に連結させる帯状部材のフレーム30と、前記フレーム10と前記フレーム20のもう一方の筒状の開口部を蓋をする形で前記フレーム30と平行となるように前記フレーム10と前記フレーム20を平行に連結するフレーム40と、を、備えると共に、前記道路側溝等に取り付けられた状態において前記道路側溝等に干渉しない前記フレーム30と前記フレーム40の外側側面に突起状のアンカー5を備えることを第1の特徴とする。
【0008】
また、本発明のグレーチング用受枠は、上記の第1の特徴に加えて、フレーム10及びフレーム20の底部外縁部は丸みを持たせた形状としてあることを第2の特徴とする。
【0009】
また、本発明のグレーチング用受枠は、上記の第1又は第2の特徴に加えて、フレーム10及びフレーム20の底面は内側へ迫り出す形状としてあることを第3の特徴とする。
【0010】
また、本発明のグレーチング用受枠は、上記の第1~3の特徴に加えて、フレーム10及びフレーム20の筒状の内部が水密とならないように、フレーム10及びフレーム20の下側に配置されるL字状の角部両端と当該するフレーム30及び40の角を切り落として開口部を設けてあることを第4の特徴とする。
【0011】
また、道路側溝や水路等にグレーチングが装着されるグレーチング用受枠を道路側溝や水路等に設置する方法であって、道路側や水路の既存の側溝コンクリートに干渉しない位置で、請求項1~4のいずれか1項に記載のグレーチング用受枠を、道路側溝や水路などの蓋乗せ部に載置させた後に、グレーチング用受枠を備える突起状のアンカー部分を打設して道路側溝や水路の既存の側溝コンクリートに干渉しない位置でグレーチング用受枠を固定し、設置することを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のグレーチング用受枠によれば、既存の側溝コンクリート及び道路アスファルトを削ることなく施工が可能となるため、従来技術のように掘削して埋め戻しをすることにより既存の安定していた地盤強度が失われるということなく施工できることに加え、スラブ型枠養生の工程を削減できることから、大幅な工期短縮と工事費用削減と住民負担軽減ができる。
【0013】
また、請求項2に記載のグレーチング用受枠によれば、上記請求項1に記載による作用効果に加えて、フレーム10及びフレーム20の底部外縁部は丸みを持たせた形状により、当該側溝コンクリートのコンクリート蓋乗せ部に歪みがあっても好適に設置ができることに加え、当該側溝コンクリートのコンクリート蓋乗せ部に土砂が溜まっても土砂を逃がすスペースを確保できる形状とすることによりガタつきにくく好適に設置ができる。
【0014】
また、請求項3に記載のグレーチング用受枠によれば、上記請求項1から請求項2に記載による作用効果に加えて、既存の側溝コンクリート蓋乗せ部に歪みがあって設置荷重面積が少なくなっていても、接地面積を最大限確保することができ好適に設置できる。
【0015】
また、請求項4に記載のグレーチング用受枠によれば、フレーム10及びフレーム20の内部に侵入した水分を好適に排出することができ、部材を腐食から守って寿命を大幅に伸ばすことができることに加え、フレーム10及びフレーム20の底部外縁部Wの形状に合わせてフレーム30及びフレーム40を加工する手間を削減することができる。
【0016】
請求項5に記載のグレーチング用受枠を設置する方法によれば、工事のために既存の雨水等の道路側溝コンクリート及びその周辺の道路アスファルトの切断、掘削、スラブ型枠養生と埋め戻しといった工程が不要であり、工期を数日に大幅短縮し、人件費等のコスト削減を可能とし、既存の道路アスファルト及び道路地盤を掘削埋め戻しをしないため工事後の道路地盤の不等沈下等を起こさずに施工できることに加え、即日通行が可能となるため、片側通行時等の危険回避、埃の飛散などの地域住民への負担が大幅に軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態を示すグレーチング用受枠の上方から見た平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を
図1~3に基づいて説明する。
図1に示すように本発明のグレーチング用受枠は、フレーム10とフレーム20とフレーム30とフレーム40とアンカー5とグレーチング用固定ネジ17とが連結して構成する。
図2(a)に示すように、フレーム10は部材11と部材14とグレーチング用固定ネジ17とで構成され、
図2(b)に示すようにフレーム20の部材21と部材24とグレーチング用固定ネジ17で構成する。
図3は実物の写真を斜視できるもので、フレーム10の底面の内側へ迫り出す底面積拡大部Lとフレーム10及びフレーム20の開口部Kと底部外縁部Wが確認できる。
そして、例えば、老朽化した雨水等の道路側溝等のコンクリート溝蓋4枚を撤去し、コンクリート溝蓋の両端2枚分のスペースが本発明のグレーチング受枠のアンカー5が入って固定用のコンクリート敷設分となり、この内側コンクリート溝蓋2枚分に本グレーチング用受枠1が収まる。
【0019】
フレーム10の構造は、
図2(a)を参照して、水平片12と、その端部に結合してL字状をなす垂直片13とで構成され、グレーチングの取付け部となる部材11と、垂直片16と、その下部端部に結合してL字状をなす水平片15とで構成される部材14と、グレーチングの固定をするグレーチング固定ネジ17と、を合わせた筒状とすることにより本発明のグレーチング用受枠の軽量化を図る。
フレーム20の構造は、
図2(b)、
図3を参照して、前記フレーム10と全く同じ部材で構成されフレーム10に対して線対称に向かい合わせとなるように配置されたものであるため、フレーム20においてフレーム10と同一部材同一機能を果たすものには下一桁の番号を同じ番号とし、以下詳細な説明は省略する。
また、部材21と部材24も同様な構造となるため説明を省略する。
フレーム30の構造は、
図3を参照して、前記フレーム10と前記フレーム20の筒状の開口部に蓋をする形でフレーム10とフレーム20を平行に連結させる帯状部材であって、前記フレーム10と前記フレーム20の垂直高さと同じ高さを有することに加え、当該フレーム10及び当該フレーム20の下方側に配置されるL字状の角部と筒状の内部が水密とならないように、フレーム10及びフレーム20の垂直片16と水平片15との結合部分と当接するフレーム30の角を切り落として開口部Kを設ける。
フレーム40は、
図3を参照して、前記フレーム10と前記フレーム20の筒状の開口部を蓋をする形でフレーム10とフレーム20を平行に連結させる帯状部材であって、前記フレーム30に対して線対称に向かい合わせとなるようにフレーム30と同じ構造となるようにフレーム40の角を切り落として開口部Kを設けている。
【0020】
フレーム10とフレーム20とフレーム30とフレーム40の材質は、それぞれ鋳鉄、鋼、ステンレス、アルミ等の金属製若しくは、合成樹脂のどれかを統一して使用し、各フレームの接合、溶接が確実にできるようにする。また例えば、大きな耐久を必要としない場合などは、フレーム10とフレーム20の材質を硬質ゴム製にして、フレーム30とフレーム40は金属を使用して使用環境に合わせた強度確保と軽量化を図る。フレーム10とフレーム20の材料が金属製でない場合の構造は、前記のような筒状に限らず筒の内部まで硬質ゴムを充填してもよい。
【0021】
本発明の実施の形態の大きさは、汎用のグレーチングやコンクリート蓋等のサイズに適合する大きさで製作することがコスト面で有利であるが、独自に製作したグレーチングの大きさや形に合わせてもよい。
【0022】
フレーム10及びフレーム20とフレーム30及びフレーム40の接合は、すべてのフレームが同じ材質であれば溶接をするが、例えば、フレーム10及びフレーム20が金属製で、フレーム30及びフレーム40が硬質ゴム製である場合は、フレーム10及びフレーム20とフレーム30及びフレーム40の接合は、ボルト固定でもよい。
【0023】
アンカー5の既存の側溝コンクリートに干渉しないフレーム30及びフレーム40の側面に接合する位置は、既存の側溝コンクリートに干渉しない2つのフレーム30及びフレーム40の側面に配置し、このフレーム30及びフレーム40の水平片の全長を二等分する鉛直線で分断する2面の中に各一つ以上配置することが望ましい。
【0024】
アンカー5を棒状のものあるいは板状のもので突起を成形する場合は、アンカー5をL状に折り曲げた形状等にすることにより、フレーム30及びフレーム40の面に取り付ける際に接合面積を増加させることが望ましい。
【0025】
アンカー5の棒状や板状の突起の長さは、接合したフレームの面からフレーム最長片に対し2.5%の長さ以上で、ひとつの面に対して突起を2つ以上とすることが望ましい。
【0026】
アンカー5を棒状のものあるいは板状のもので突起を成形する場合の材料は、鉄製の資材を利用する場合は、フレーム10及びフレーム20に利用する鉄材の厚みに対して棒状の資材の直径で2倍、板状の資材で同程度の厚み以上のものを使用することが望ましい。
【0027】
図2に示すように既存の道路側溝コンクリートのコンクリート蓋乗せ部(図示しない)に接触する部分となるフレーム10及びフレーム20の底部外縁部Wを、丸みを持たせた形状である湾曲面としてある。
【0028】
既存の道路側溝コンクリートのコンクリート蓋乗せ部に対し、荷重をかける部分となるフレーム10及びフレーム20の底面を
図2に示すようにフレーム10、フレーム20、フレーム30とフレーム40とからなる枠の内側へ迫り出す形状となるように底面積拡大部Lを設けてある。なお、底面積拡大部Lは、既存の道路側溝コンクリートのコンクリート蓋乗せ部の幅(
図2の(a)(b)に示す水平片15と水平片25のLを除く幅)と同じの長さに対し10%程度長い幅とすることが望ましい。
【0029】
筒状であるフレーム10及びフレーム20に開口部Kができるように、フレーム10の部材14及びフレーム20の部材24の水平片と前記垂直片が接合する位置でフレーム30及びフレーム40の角を切り落として開口部Kを設けて貫通した形状とし、底部外縁部Wの半径Rと同等以上の大きさの開口部とする。
【0030】
フレーム10とフレーム20及びフレーム30とフレーム40の垂直高さを道路側溝から撤去する既存のコンクリート蓋の厚みと同等の垂直高さとする。
【0031】
フレーム10及びフレーム20のグレーチングを設置する面となる水平片12及び水平片22には、グレーチングをナット固定するためのグレーチング固定ネジ17を任意のグレーチングに適合する位置に設けてある。
【0032】
グレーチングが装着されるグレーチング用受枠を道路側溝や水路等に設置する方法であって、道路側溝や水路の既存の側溝コンクリートに干渉しない位置で、グレーチング用受枠1を、道路側溝や水路などの蓋乗せ部に載置させた後に、グレーチング用受枠を備える突起状のアンカー5を打設して道路側溝や水路の既存の側溝コンクリートに干渉しない位置でグレーチング用受枠を固定し、設置する。
【符号の説明】
【0033】
1 グレーチング用受枠
5 アンカー
10 フレーム
11 部材
12 水平片
13 垂直片
14 部材
15 水平片
16 垂直片
17 グレーチング固定ネジ
20 フレーム
21 部材
22 水平片
23 垂直片
24 部材
25 水平片
26 垂直片
30 フレーム
40 フレーム
K 開口部
L 底面積拡大部
W 底部外縁部