(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164488
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】保持装置及び加工装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20221020BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20221020BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20221020BHJP
B23Q 1/52 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B23Q3/06 304Z
B23Q11/08 Z
B23Q17/00 B
B23Q1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070008
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松丸 盛一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章恭
(72)【発明者】
【氏名】鞘野 美咲
【テーマコード(参考)】
3C011
3C016
3C029
3C048
【Fターム(参考)】
3C011DD00
3C016CA08
3C016CE05
3C029EE13
3C048BC02
3C048DD13
(57)【要約】
【課題】ワークを保持する保持装置の強度を確保しつつ軽量化を図る。
【解決手段】保持装置は、ワークを両側から挟むように配置された一対のアーム部と、一対のアーム部の一端部同士を連結すると共に、一対のアーム部と一体に形成された連結部とを備える。一対のアーム部の他端側は連結されていない。一対のアーム部及び連結部で構成される保持本体部400は、樹脂製の本体部である樹脂部410と、樹脂部410の両面側に固定された金属製の補強板である板金420、430とから構成される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持する保持装置であって、
ワークを両側から挟むように配置された一対のアーム部と、
前記一対のアーム部の一端部同士を連結すると共に、前記一対のアーム部と一体に形成された連結部と、を備え、
前記一対のアーム部の他端側が連結されておらず、
前記一対のアーム部及び前記連結部は、樹脂製の本体部と、前記本体部の少なくとも片面側に固定された金属製の補強板とから構成されることを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記本体部の片面側に固定された補強板を第1補強板とし、
前記本体部の他面側に前記第1補強板とともに前記本体部を挟むように配置され、前記本体部の他面側に固定される第2補強板を有することを特徴とする、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第1補強板を前記本体部に固定するための第1固定部材と、
前記第2補強板を前記本体部に固定するための第2固定部材と、を更に備え、
前記本体部の片面には、前記第1固定部材が侵入する第1の穴が形成され、前記本体部の他面には、前記第1の穴と前記片面と平行な方向に関してずれた位置に前記第2固定部材が侵入する第2の穴が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記本体部は、他面側にワークを支持すべく内側に突出する支持部を有することを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記補強板の前記本体部と反対側に配置され、前記支持部との間でワークを挟み込むことで、前記ワークを前記一対のアーム部及び前記連結部に囲まれた空間に保持する保持部材を更に備えたことを特徴とする、請求項4に記載の保持装置。
【請求項6】
前記本体部に設けられた穴に挿入されたナットを有し、
前記保持部材は、前記補強板の前記本体部と反対側に配置された状態で、ボルトを挿通され、且つ、前記ボルトが前記ナットに螺合されることで、前記補強板を介して前記本体部に固定されることを特徴とする、請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記ボルトのねじ部が通過可能で前記ボルトの頭部が通過不能な第1の貫通孔と、前記ボルトの頭部が通可能な第2の貫通孔とが形成され、
前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔は、前記保持部材を前記ボルトにより前記本体部に固定する際には前記ボルトが前記第1の貫通孔に位置する第1の位置に位置し、前記保持部材を前記本体部に対して着脱する際には、前記保持部材を前記第1の位置から回動させることで前記ボルトが前記第2の貫通孔に位置する第2の位置に位置するように、互いに連続して形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の保持装置。
【請求項8】
工具を把持する主軸と、
工具により加工するワークを保持する保持装置と、
前記保持装置を回動させる回動装置と、を備え、
前記保持装置は、
ワークを両側から挟むように配置された一対のアーム部と、
前記一対のアーム部の一端部同士を連結すると共に、前記一対のアーム部と一体に形成された連結部と、を備え、
前記一対のアーム部の他端側が連結されておらず、
前記一対のアーム部及び前記連結部は、樹脂製の本体部と、前記本体部の少なくとも片面側に固定された金属製の補強板とから構成されていることを特徴とする加工装置。
【請求項9】
前記回動装置は、
前記保持装置を回動させる回動軸と、
前記回動軸の端部の回転を検知するセンサと、
前記回動軸の端部と前記センサとを覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、前記回動軸の端部と前記センサが内部に配置されたカバー本体と、前記カバー本体の開口部を塞ぐ蓋部と、前記蓋部と前記カバー本体との間をシールするシール部材と、を有することを特徴とする、請求項8に記載の加工装置。
【請求項10】
前記シール部材は、前記蓋部の前記カバー本体側の面に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の加工装置。
【請求項11】
前記カバー本体は、前記回動軸の回転軸線方向に開口した第1開口部と、前記回転軸線方向に直交する方向に開口した第2開口部と、を有し、
前記蓋部は、前記第1開口部を覆う第1覆い部と、前記第1覆い部の端部から折り曲げられて前記第2開口部を覆う第2覆い部と、を有し、
前記シール部材は、前記第1覆い部と前記第2覆い部に設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の加工装置。
【請求項12】
前記センサのケーブルは、前記第2開口部側で前記蓋部と反対方向に折り曲げられることで、前記カバーの外部に露出するように配線されており、
前記センサのケーブルの前記第2開口部側で折り曲げられた部分は、前記第2覆い部に覆われていることを特徴とする請求項11に記載の加工装置。
【請求項13】
前記カバーの外面に固定され、前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段を備え、
前記先端検出手段のケーブルは、前記第2開口部側に延びて、前記センサのケーブルと略平行に折り曲げられるように配線されており、
前記第2覆い部は、前記先端検出手段のケーブルの前記第2開口部側で折り曲げられた部分も覆うことを特徴とする請求項12に記載の加工装置。
【請求項14】
前記シール部材は、複数のセルが独立して形成された多孔質材料により形成されていることを特徴とする請求項9ないし13の何れか1項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを保持する保持装置、及び、このような保持装置を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置として、加工具が取り付けられた主軸を回転させて加工対象物(ワーク)に切削加工などを行う装置が従来から知られている。ワークは保持装置に保持された状態で加工されるが、このような保持装置として、一対のアームと、一対のアームを連結する連結部とで形成される略C型形状を有する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、保持装置として、特許文献1に記載のような略C型形状を有する装置を使用した場合、保持装置の強度を確保しにくい。一方、保持装置の強度を確保すべく、例えば全体を金属製とした場合、保持装置の重量が嵩んでしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の保持装置は、ワークを保持する保持装置であって、ワークを両側から挟むように配置された一対のアーム部と、前記一対のアーム部の一端部同士を連結すると共に、前記一対のアーム部と一体に形成された連結部と、を備え、前記一対のアーム部の他端側が連結されておらず、前記一対のアーム部及び前記連結部は、樹脂製の本体部と、前記本体部の少なくとも片面側に固定された金属製の補強板とから構成されることを特徴とする。
【0006】
本発明の加工装置は、工具を把持する主軸と、工具により加工するワークを保持する保持装置と、前記保持装置を回動させる回動装置と、を備え、前記保持装置は、ワークを両側から挟むように配置された一対のアーム部と、前記一対のアーム部の一端部同士を連結すると共に、前記一対のアーム部と一体に形成された連結部と、を備え、前記一対のアーム部の他端側が連結されておらず、前記一対のアーム部及び前記連結部は、樹脂製の本体部と、前記本体部の少なくとも片面側に固定された金属製の補強板とから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保持装置の強度を確保しつつ軽量化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係る加工装置の開閉ドアを開いた状態の断面図。
【
図3】実施形態に係る加工装置の開閉ドアを閉じた状態の断面図。
【
図5】実施形態において、ワークを水平方向に対して90°傾けた状態を示す斜視図。
【
図6】実施形態に係る保持装置を上側から見た分解斜視図。
【
図7】実施形態に係る保持装置を下側から見た分解斜視図。
【
図8】実施形態に係る保持装置の樹脂部と板金とを分解した斜視図。
【
図9】(a)実施形態に係る保持カバーの平面図、(b)(a)のA部拡大図。
【
図11】実施形態の別例に係る保持装置のインサートナット周辺の断面図。
【
図13】(a)実施形態に係るセンサカバーの分解斜視図、(b)(a)と反対側から見た分解斜視図。
【
図14】(a)実施形態に係るセンサカバーの本体部の斜視図、(b)と異なる角度で見た斜視図。
【
図15】実施形態に係るセンサカバーの蓋部の斜視図。
【
図16】実施形態に係るセンサカバーの本体部を第2開口部側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について、
図1ないし
図16を用いて説明する。まず、本実施形態の加工装置100の全体構成について、
図1ないし
図4を用いて説明する。
【0010】
[加工装置]
図1は、本実施形態に係る加工装置100の外観斜視図である。加工装置100は、
図1に示すように、外装カバー101内に加工装置本体を収容している。即ち、外装カバー101は、後述する主軸や工具マガジンなどが内部に配置され、工具による加工空間を形成する。外装カバー101は、加工空間にアクセス可能な開閉ドア102を有しており、開閉ドア102を開けることで、ワークの交換や手動による工具の交換が可能となっている。また、ワークの加工中には、開閉ドア102を閉めるようにしている。開閉ドア102の開閉は、不図示のセンサにより検知される。
【0011】
開閉ドア102には、透光性の窓103が設けられている。開閉ドア102は、窓103が設けられていない部分に、開閉ロッド104が接続される。透光性の窓103の下部にトレイ105が設けられている。
図2及び
図3に示すように、開閉ドア102は、外装カバー101の本体部106の下部の回動軸106bに回動自在に設けられている。
図2、3は、外装カバー101を外して装置のフレーム部分のみの状態で示している。開閉ドア102を開いた状態では、
図2に示すように、鉛直方向に対して傾斜した状態となる。この際、開閉ドア102の内側には、加工中に発生した切粉が付着している。一方、
図3に示すように、開閉ドア102を閉めると、開閉ドア102の内側に付着した切粉などが下側に落下する。この際、本体部106の開口部の下方にある湾曲部106aに切粉が入り込み、更に、湾曲部106aに沿って外部に落下する可能性がある。この場合、装置の周辺を切粉で汚してしまうことになり好ましくない。このため、本実施形態では、トレイ105を開閉ドア102の下端部側に設けて、開閉ドア102に付着した切粉などが開閉ドア102の開閉動作により本体部106の湾曲部106aなどに入り込むことを防止している。
【0012】
本実施形態では、トレイ105は、表面が下側に向かうほど開閉ドア102から離れる方向に傾斜又は湾曲しており、トレイ105の下端部では開閉ドア102の内側の面に対する傾斜角度が更に大きくなるように形成されている。これにより、開閉ドア102の内側に付着した切粉がトレイ105に落下した場合に、切粉がトレイ105に受け止められると共に、開閉ドア102を閉めたときに切粉が湾曲部106aに入り込むことなく、本体部106の奥側に落下するように開口部の枠の厚みよりもトレイの長さの方が長くなるようにしている。
【0013】
図4に示すように、加工装置100は、移動機構支持部材としてのフレーム1と、それぞれフレーム1に支持された第1移動機構10、第2移動機構20及び第3移動機構30と、加工対象物としてのワークWを支持する支持機構40と、支持機構40を回転可能な回転手段としての第1回転機構(回動装置)50及び第2回転機構60と、工具マガジン70と、電装ユニット80とを備える。第1移動機構10、第2移動機構20及び第3移動機構30により、後述する主軸11と保持装置41とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段としての移動装置200を構成する。
【0014】
フレーム1は、内部に空洞を有する架台2上に載置されており、
図4に示すように、第1フレーム部3と、第1フレーム部3の端部から直角に折り曲げられた第2フレーム部4とから構成される。本実施形態では、第1フレーム部3は、鉛直方向に沿って配置されており、第2フレーム部4は、水平方向に沿って配置されている。
【0015】
第1移動機構10は、第2移動機構20を介してフレーム1の第1フレーム部3の第1の面3aに支持されており、Z軸方向(鉛直方向、第1方向)に主軸11を移動可能である。主軸11には、工具12が工具ホルダを介して着脱自在に取り付けられている。主軸11は、モータ13により回転駆動される。第1移動機構10は、モータ14と、Z軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータ14の駆動により主軸11を案内軸に沿ってZ軸方向に往復移動(昇降)させる。主軸11は、Z軸支持部材(不図示)を介して案内軸に移動可能に支持されている。案内軸やZ軸支持部材は、カバー17により覆われている。
【0016】
第2移動機構20は、フレーム1の第1フレーム部3の第1の面3aに支持されており、Z軸方向に直交するX軸方向(水平方向、第2方向)に第1移動機構10と共に主軸11を移動可能である。第2移動機構20は、モータ21と、X軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータ21の駆動により第1移動機構10を案内軸に沿ってX軸方向に往復移動させる。
【0017】
第3移動機構30は、フレーム1の第2フレーム部4の第2の面4aに支持されており、Z軸方向及びX軸方向に直交するY軸方向(水平方向、第3方向)に支持機構40を移動可能である。第3移動機構30は、モータ(不図示)と、Y軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータの駆動により支持機構40を案内軸に沿ってY軸方向に往復移動させる。
【0018】
また、第3移動機構30は、第2回転機構60を支持する支持板部31を備えており、支持板部31が案内軸に沿ってY軸方向に往復移動する。
図4に示すように、架台2のY軸方向の支持機構40側は開口している。そして、第3移動機構30は、詳しくは後述するように、第2回転機構60及び第1回転機構50と共に支持機構40をY軸方向に移動可能である。
【0019】
支持機構40は、例えば、歯科用補綴物など工具12により切削加工される加工対象物としてのワークWを支持する。このような支持機構40は、ワークWを保持する保持装置41と、両端部が第1回転機構50の回転部51にそれぞれ連結され、保持装置41を介してワークWを支持する支持部42とを有する。
【0020】
回動装置としての第1回転機構50は、支持機構40をZ軸方向に直交する回転軸としてのa軸を中心として回転可能である。本実施形態では、a軸は、X軸方向と平行としている。このような第1回転機構50は、回転部51、52(
図5参照)を回転自在に支持する支持フレーム53と、回転部51を回転駆動するモータとを有する。支持フレーム53は、支持機構40の周囲を囲むように略コの字型に形成され、モータ及び片側(駆動側)の回転部51を支持する第1支持部53aと、他側(従動側)の回転部52を支持する第2支持部53bと、第1支持部53aと第2支持部53bとを連結する連結部53cとから構成される。
【0021】
第1支持部53aに支持された回転部51と、第2支持部53bに支持された回転部52は、a軸方向に互いに対向するように、且つ、a軸を回転軸として回転可能に配置されている。そして、支持機構40のa軸方向両端部が、それぞれ両側の回転部に支持されている。これにより、第1回転機構50は、支持機構40を、a軸(X軸)を中心として回転可能に支持する。
【0022】
第1回転機構50は、少なくとも180°回転可能であり、支持機構40に支持されたワークWの表裏を反転可能である。本実施形態では、第1回転機構50は、支持機構40をa軸を中心として360°回転させることができる。なお、a軸の延長線が支持機構40に支持されたワークWの厚さ方向の中心を通るため、回転中心軸であるa軸から表面までの距離とa軸から裏面までの距離は同じである。したがって、ワークWの表裏が反転しても、ワークWの厚さ方向の中心と工具12との位置関係は変わらない。
【0023】
第2回転機構60は、支持機構40をZ軸方向及びa軸に直交する別の回転軸としてのb軸を中心として回転可能である。本実施形態では、b軸は、Y軸方向と平行としている。このような第2回転機構50は、第1回転機構50の支持フレーム53が取り付けられる回転部と、回転部を回転駆動するモータとを有する。回転部は、支持フレーム53の連結部53cが取り付けられ、モータに回転駆動されることにより支持フレーム53を、b軸を中心として回転可能である。したがって、第2回転機構60は、第1回転機構50と共に支持機構40を、b軸(Y軸)を中心として回転可能に支持する。
【0024】
工具保持部としての工具マガジン70は、複数の工具を格納可能であり、第1回転機構50に隣接して配置され、支持部材に支持され、この支持部材は第3移動機構30の支持板部31に支持されている。このため、工具マガジン70は、第3移動機構30により支持機構40などと共にY軸方向に移動可能である。但し、支持機構40がa軸を中心に回転しても、工具マガジン70は回転せず、支持機構40がb軸を中心に回転しても、工具マガジン70は回転しない。即ち、工具マガジン70は、支持機構40がa軸及びb軸を中心に回転しても所定の姿勢を維持するように、支持板部31に支持されている。工具マガジン70は、第3移動機構30により支持機構40など共にY軸方向に移動可能である。
【0025】
工具マガジン70には、それぞれ工具ホルダ12aと一体に形成された複数種類の工具が保持された状態でY軸方向に沿って複数列並べて配置されている。そして、主軸11に取り付ける工具を交換可能としている。なお、工具ホルダ12aは、主軸11に保持される部分で、工具と一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。なお、本実施形態では、工具12をチャック付の工具ホルダ12aに取り付けた上で、主軸11の工具保持用のチャック部が工具ホルダ12aを介して保持する2重チャックの構成となっている。但し、主軸11に直接、工具を取り付けても良い。工具の交換は、作業者が行っても良いし、加工装置100により自動で行っても良い。本実施形態では、自動で工具の交換を行うべく、主軸11による工具の把持と解放を自動で行えるようにしている。
【0026】
工具の交換を自動で行う場合には、第2移動機構20及び第3移動機構30により工具マガジン70の工具が入っていない空きスペースを主軸11の下方に移動させる。言い換えれば、主軸11を工具マガジン70に対してXY平面上で相対移動させる。そして、第1移動機構10により主軸11を下降させ(Z軸方向に移動させ)、主軸11に設けられたチャックなどの着脱装置を動作させることで、主軸11に取り付けられている工具12を外して工具マガジン70の空きスペースに配置する。次いで、第1移動機構10により主軸11を上昇させると共に、第2移動機構20及び第3移動機構30により工具マガジン70の交換したい工具12が配置されている位置を主軸11の下方に移動させる。そして、再度、第1移動機構10により主軸11を下降させ、着脱装置を動作させることで、主軸11に交換したい工具12を装着する。なお、工具12は、例えば、ドリルやエンドミルである。
【0027】
なお、本実施形態では、工具格納や取り出しの前後で、主軸11に把持された工具12の先端を検出可能な先端検出手段としてのタッチセンサ96に工具12の先端を接触させることで、主軸11に工具12が把持されているか否かを確認する動作を行う。このとき、ワークのZ方向の中心(a軸)と工具先端を合わせる。タッチセンサ96は、
図4に示すように、工具マガジン70に隣接した位置に設けられている。特に、本実施形態では、従動側の回転部52を支持する第2支持部53bに配置されている。
【0028】
電装ユニット80は、フレーム1の内側に取り付けられている。即ち、電装ユニット80は、第1フレーム部3の第1の面3aの反対側で、第2フレーム部4の第2の面4aの反対側に配置されている。このような電装ユニット80は、加工装置100を制御するもので、主軸や各軸のモータの駆動を制御する制御基板や、それぞれ対応するモータのロータリーエンコーダの信号からモータに出力するパルスを演算し、それぞれ対応するモータの回転を適切に制御する複数の制御部を有する。
【0029】
また、本実施形態の加工装置100は、コンピュータ制御により自動加工を行うNC加工装置である。具体的には、パーソナルコンピュータなどの外部端末を用いてCAD/CAMシステムにより加工データを作成し、このデータに基づいて数値制御によりワークWの加工を行う。このために、加工装置100には、加工装置100に指令を行うパーソナルコンピュータなどの外部端末が接続される。なお、加工装置100自体に、数値制御が可能なCPUやメモリを搭載したコンピュータが設けられていても良い。後述する制御手段は加工装置、加工装置に接続されたコンピュータのどちらに設けられてもよい。
【0030】
例えば、加工装置100により歯科用補綴物の作成を行う場合、3次元計測器で計測した歯科用補綴物のデータをCAD/CAMシステムに転送し、CAD/CAMシステムにより加工データを作成する。そして、この加工データに基づいて、加工装置100を制御してワークWを工具12により切削加工することで、歯科用補綴物を作成する。
【0031】
ここで、例えば、ワークWが歯科用補綴物の場合、前歯の歯と歯の間の形状によっては、ディスク状のワークWの表面又は裏面から加工する場合にアンダーカットになり、表面又は裏面のみの加工だけでは当該箇所に削り残りが発生する。この場合、後工程において、作業者が手作業により削り残りを除去するか、加工装置100において削り残りを除去している。
【0032】
加工装置100において当該箇所の除去を行う場合は、
図5に示すように、ディスク状のワークWを全周で固定するのではなく、一部を開放させた略C型形状でクランプし、a軸(X軸方向)を中心に90°回転させた位置に移動し、ディスクを立てた状態で真上から加工することで、削り残りを無くす。即ち、第1回転機構50によりワークWをXY平面と平行な位置(本実施形態では水平位置)から90°回転させる。この角度は90°の状態からわずかに±数度回転させて、加工を行う場合もある。
【0033】
[保持装置]
図5に示すように、本実施形態の保持装置41は、略C型形状を有する。即ち、ワークWを保持する保持装置41は、一対のアーム部41aと、連結部41bとを備える。一対のアーム部41aは、ワークWを両側から挟むように配置されている。連結部41bは、一対のアーム部41aの一端部同士を連結すると共に、一対のアーム部41aと一体に形成されている。一方、一対のアーム部41aの他端側は、連結されておらず、これにより、保持装置41は、略C型形状に形成されている。
【0034】
このような保持装置41は、
図6及び
図7に示すように、樹脂製の本体部としての樹脂部410、第1補強板としての板金420、第2補強板としての板金430、保持部材としての保持カバー440を有する。これらを複数のボルト420a、430a、440aにより結合することで保持装置41を構成している。
【0035】
具体的には、
図8に示すように、一対のアーム部41a及び連結部41bで構成される保持本体部400は、一対の板金420、430により樹脂部410を挟みこみ、これらを一体化することで形成される。即ち、樹脂部410の片面側に板金420を固定し、樹脂部410の他面側に板金430を固定している。本実施形態では、板金420は、樹脂部410の上面と同一の形状としているが、板金430のように異なる面積としてもよい。樹脂部410の一対のアーム部41a及び連結部41bに少なくとも部分的に片面側に重なる金属製の補強板があれば強度を補強できる。
【0036】
樹脂部410は、ワークWの周囲を囲むように保持する保持部411と、保持部411の他面側に突出するように設けられ、一部が保持部411の内周面411aよりも内側に突出するように形成された支持部412とを有する。保持部411は、片面に板金420が、他面に板金430が固定される。このため、保持部411には、板金420、430を固定するためのボルト420a、430aが螺合するねじ穴413、414(
図6、7参照)が形成されている。
【0037】
第1固定部材としてのボルト420aが侵入する第1の穴としてのねじ穴413は、保持部411の片面の複数個所(本実施形態では4個所)に形成されている(
図6参照)。また、第2固定部材としてのボルト430aが侵入する第2の穴としてのねじ穴414は、保持部411の他面の複数個所(本実施形態では4個所)に形成されている(
図7参照)。ねじ穴413とねじ穴414とは、保持部411の片面と平行な方向に関して互いにずれた位置に形成されている。このようにねじ穴413、414を互いにずらして形成することで、保持部411の両面に板金420、430を固定する構成で、保持部411の薄く形成できる。
【0038】
このようなねじ穴413、414は、保持部411にそれぞれ予め樹脂部にめねじ加工をして形成されている。これは、後述する保持カバー440と異なり、樹脂部410に固定した板金420、430を樹脂部410に対して着脱する機会は殆どなく、ボルト420a、430aを何度も着脱するための強度を確保しなくても良いためである。但し、インサートナットを保持部411に固定することでねじ穴413、414を形成するようにしても良い。このとき、ボルト420a、430aをねじ穴に螺合させたあとに接着剤を塗布して固定してもよい。
【0039】
また、保持部411には、後述するナット450を挿入するための穴415が複数個所(本実施形態では4個所)に形成されている。穴415は、ねじ穴413、414とずれた位置に形成されている。
【0040】
支持部412は、保持部411の内周面411a内に配置されたワークWの他面側を支持する支持面412aを有する。このような支持部412は、支持面412aにより後述するワークWの外周面に設けられた支持凸部500の他面を支持する(後述する
図10参照)。また、支持部412の支持面412aよりも保持部411と反対側は、ワークWの加工面全体が露出するような内径を有する内周面412bが形成されている。内周面412bは、ワークWの支持凸部500よりも他面側の外周面が当接しないように形成されている。これにより、樹脂部410の他面側からもワークWの加工を可能にしている。
【0041】
このような樹脂部410は、ポリカーボネート、POM(ポリオキシメチレン)などの樹脂により形成され、保持部411の厚さが、例えば5.9mmである。
【0042】
板金420は、樹脂部410の片面側に固定される補強板であり、保持部411の内周面411aの内径よりも大きい内径の内周面421を有する。内周面421の内側にはワークWが配置される。そして、内周面411aはワークWの外径よりも内径が大きく、また、ワークWの外周面は板金420の内周面421には当接しないようにしている。
【0043】
また、板金420には、後述する保持カバー440を樹脂部410に固定するためのナット450が、例えば、カシメにより固定されている。更に、板金420には、板金420を樹脂部410の片面に固定するためのボルト420aを挿通する貫通孔422が形成されている。本実施形態では、ナット450が4個所に固定され、貫通孔422が4個所に形成されている。
【0044】
板金430は、樹脂部410の他面側に固定される補強板であり、支持部412の外周面よりも大きい形状の内周面431を有する。内周面431には樹脂部410の支持部412が配置される。また、板金430には、板金430を樹脂部410の他面に固定するためのボルト430aを挿通する貫通孔432が形成されている。本実施形態では、貫通孔422が4個所に形成されている。
【0045】
このような板金420、430は、それぞれ亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼などの金属製の板により形成されており、厚さが樹脂部410の保持部411よりも小さい、例えば2mmである。
【0046】
保持カバー(押さえ部材)440は、板金420の樹脂部410と反対側に配置され、支持部412との間でワークWを挟み込むことで、ワークWを保持本体部400に囲まれた空間に保持するものである。このような保持カバー440は、
図9(a)、(b)及び
図10に示すように、略C型形状を有し、ワークWの支持凸部500の外径よりも小さく、ワークWの支持凸部500以外の部分の外径よりも大きい内径の内周面441を有する。保持カバー440は、板金420と同種の金属製の板により形成され、厚さも板金420と同様である。但し、樹脂部410と同様の樹脂により形成しても良い。
【0047】
ワークWを保持装置41により保持する際には、樹脂部410の両面に板金420、430を固定した保持本体部400の内側に、ワークWを配置する。この際、樹脂部410の保持部411の内側にワークWを配置すると共に、ワークWの支持凸部500を支持部412の支持面412aに載置する。この状態で、支持面412aと反対側からワークWを挟み込むように保持カバー440を固定する。これにより、
図10に示すように、ワークWの支持凸部500の外周面が樹脂部410の内周面411aに緩く嵌合すると共に、支持凸部500の両面が保持カバー440と支持部412により挟持され、ワークWが保持装置41に保持される。
【0048】
上述したように、板金420にはナット450が固定されているため、板金420を樹脂部410の片面に取り付ける際には、ナット450が樹脂部410の穴415に圧入固定される。この状態で、ボルト420aを板金420の貫通孔422に挿通すると共に樹脂部410のねじ穴413に螺合することで、板金420を樹脂部410の片面に固定する。同様に、ボルト430aを板金430の貫通孔432に挿通すると共に樹脂部410のねじ穴414に螺合することで、板金430を樹脂部410の他面に固定する。これにより、ナット450を有する保持本体部400が得られる。
【0049】
更に、保持本体部400にワークWを配置した状態で、上述のように、保持カバー440を板金420側から保持本体部400に固定する。この際、ボルト440aを次述する保持カバー440の貫通孔部442に挿通すると共に、保持本体部400のナット450に螺合する。
【0050】
保持カバー440は、
図9(a)、(b)に示すように、径が異なる2つの貫通孔が互いに連続した形状を有する貫通孔部442が形成されている。
図9(b)に示すように、貫通孔部442は、ボルト440aのねじ部440a1(
図6)が通過可能でボルト440aの頭部440a2(
図6)が通過不能な第1の貫通孔442aと、ボルト440aの頭部440a2が通可能な第2の貫通孔442bとを有する。即ち、第1の貫通孔443aは、第2の貫通孔442bよりも小さい貫通孔である。
【0051】
貫通孔部442は、次のように、保持カバー440を回動させることでボルト440aをナット450から取り外すことなく、保持カバー440を保持本体部400に対して着脱可能な形状を有する。即ち、第1の貫通孔442aと第2の貫通孔442bとが、例えば、保持カバー440をワークWの中心を回転中心として保持本体部400に対して相対回転させることで、保持カバー440を保持本体部400に対して着脱可能なように、互いに連続して形成されている。
【0052】
具体的には、保持カバー440をボルト440aにより保持本体部400に固定する際にはボルト440aが第1の貫通孔442aに位置する第1の位置に位置する。一方、保持カバー440を保持本体部400に対して着脱する際には、保持カバー440を第1の位置から回動させることでボルト440aが第2の貫通孔442bに位置する第2の位置に位置する。上述のように第1の貫通孔442aは、ボルト440aの頭部440a2が通過不能な開口形状を有するため、ボルト440aが第1の位置に位置する場合には、ボルト440aにより保持カバー440を保持本体部400に固定可能である。一方、第2の貫通孔442bは、頭部440a2が通過可能な開口形状を有するため、ボルト440aが第2の位置に位置する場合には、ボルト440aが残ったまま保持カバー440を保持本体部400に対して着脱可能である。
【0053】
このため、保持カバー440を保持本体部400から取り外す際には、ボルト440aを緩めて保持カバー440が保持本体部400に対して回動可能とする。そして、ボルト440aが第1の貫通孔442aから第2の貫通孔442bに位置するように保持カバー440を回動させて、保持カバー440を保持本体部400から取り外す。これにより、保持本体部400からワークWを取り外すことが可能となる。
【0054】
次いで、ワークWを保持装置41に保持する際には、保持カバー440が付いていない状態の保持本体部400にワークWを配置する。この際、ボルト440aが保持本体部400のナット450に緩く螺合されている。そして、第2の貫通孔442bをボルト440aの位置と整合させた状態で保持カバー440を保持本体部400に取り付ける。更に、保持カバー440を保持本体部400に対して回動させて、ボルト440aが第1の貫通孔442aに位置するようにし、ボルト440aを締め付けることで保持カバー440を保持本体部400に固定する。これにより、ワークWを保持装置41に固定可能となる。
【0055】
このように本実施形態では、ボルト440aを保持本体部400から取り外すことなく、保持カバー440の着脱が可能であるため、ワークWの交換作業を行い易くできる。即ち、ボルト440aが複数あるため、これらをワークWの交換の度に全部、保持本体部400から取り外したり、取り付けたりする作業は手間である。本実施形態では、このような手間を軽減できる。
【0056】
また、このようにワークWの交換の度に保持カバー440を保持本体部400に対して着脱するため、ボルト440aの取り付け及び取り外しの作業がその度に発生する。このため、ボルト440aを螺合するねじ穴の強度を十分に確保することが求められる。それは、加工切粉がねじ穴に入り込む事で、誤って切粉と一緒にねじ込むとおねじやめねじが損傷する場合があり、強度が求められるためである。ここで、保持本体部400が金属製であれば、これに直接ねじ穴を形成してもねじ穴の強度を確保し易い。但し、本実施形態では、保持本体部400を樹脂部410と板金420、430により構成しているため、樹脂部410に直接ねじ穴を形成した場合には、このねじ穴の強度を十分に確保しにくい。このため、本実施形態では、金属製のナット450を樹脂部410に挿入することで、保持装置41の軽量化を図りつつ、保持カバー440の着脱の際にボルト440aを螺合するねじ穴の強度を確保している。
【0057】
また、ナット450は、板金420に固定されているため、板金420を樹脂部410に取り付ける際に、ナット450を樹脂部410の穴415に圧入することができ、作業性を向上させることができる。また、ナット450が板金420に固定されているため、ボルト440aの取り付け或いは取り外しの際に、ナット450がボルト440aと共回りすることを防止できる。
【0058】
なお、ナット450は、板金420と別体としても良い。この場合、
図11に示すように、ナット450を予め樹脂部410の穴415をあけておき、インサートナットとする。樹脂部410に接触したインサートナットをねじ込みセルフタップで、板金420Aを樹脂部410の片面に固定する。板金420Aは、樹脂部410の穴415に圧入された状態のナット450の一部を押さえつけて、ナット450が穴415から抜け出ることを規制する規制部423を有する。
【0059】
規制部423は、板金420にナット450にボルト440aを螺合するための貫通孔424の内径を、ナット450のねじ穴よりも大きく、且つ、ナット450の外径よりも小さくすることで形成される。このようにナット450を板金420Aにより押さえつけておくことで、ナット450がボルト440aと共回りして穴415から抜け出ることを防止できる。
【0060】
上述のように、本実施形態では、保持装置41の保持本体部400を樹脂部410と一対の板金420、430により構成しているため、保持装置41の強度を確保しつつ軽量化を図れる。即ち、保持装置の強度を確保するためには、全体を金属製とすることが考えられるが、この場合、保持装置の重量が嵩んでしまう。保持装置が重いと、ワークWを加工する際に、保持装置を移動させたり回転させたりするためのモータの負荷が大きくなると共に、保持装置を支持するための構成の強度も確保する必要がある。この結果、モータとして高出力のもの使用したり、保持装置を支持するための構成の強度を確保すべく支持構成を厚肉の構成としたりすると、加工装置のコストが高くなると共に、加工装置が大型化し、更には加工装置の重量が嵩んでしまう。
【0061】
一方、保持装置を樹脂のみで構成した場合、保持装置の強度を確保しにくいため、加工時に保持装置が撓んで加工精度が低下してしまう。そこで、本実施形態では、上述のように、樹脂部410を一対の板金420、430により挟み込んで構成することで、保持装置41の軽量化と強度の確保を両立させるようにしている。
【0062】
なお、樹脂部410に固定する板金は、1つでも良い。この際、板金は、樹脂部410の片面に固定することが好ましい。即ち、板金は、樹脂部410の少なくとも片面に固定することが好ましい。これは、樹脂部410の他面側は、ワークWを支持するための支持部412が形成されており、樹脂部410は他面側に肉厚の構成となっており、片面側よりも他面側の方が強度が高いためである。
【0063】
[センサのシール構成]
次に、第1回転機構50のセンサ周りの構成について、
図12ないし
図16を用いて説明する。回動装置としての第1回転機構50は、上述したように、保持装置41を含む支持機構40をX軸方向と平行なa軸を中心として回動可能である。このような第1回転機構50は、
図12に示すように、モータ及び片側(駆動側)の回転部51を支持する第1支持部53aと、他側(従動側)の回転部52を支持する第2支持部53bと、第1支持部53aと第2支持部53bとを連結する連結部53cを有する。そして、第2支持部53bにはタッチセンサ96が配置されている。
【0064】
第2支持部53bは、
図13(a)、(b)に示すように、保持装置41を回動させる回動軸510、この回動軸510の回動を検知するセンサ520(
図14(a)、(b))、回動軸510の端部とセンサ520とを覆うカバー530とを有する。カバー530は、カバー本体531と、カバー本体531の開口部を塞ぐ蓋部532とから構成される。
【0065】
図14(a)、(b)に示すように、カバー本体531の内側には、回動軸510の端部及びセンサ520が配置されている。回動軸510の端部には、切り欠き部511を有する円板部512が設けられており、円板部512の回転方向の位相をセンサ520で検知可能となっている。本実施形態の場合、センサ520は、円板部512を挟むように配置された発光部と受光部とを備えたフォトインタラプタである。センサ520の位置に切り欠き部511が位置するときには受光部が発光部から発光された光を受光し、切り欠き部511以外の部分がセンサ520の位置に位置するときには、発光部からの光が遮られる。これにより、回動軸510の回転を検知可能となっている。例えば、回動軸510の回転方向のホームポジションを検知する。なお、センサ520は、フォトインタラプタに限らず、磁気センサなどの他のセンサであっても良い。
【0066】
センサ520のケーブル521は、
図14(b)に示すように、カバー本体531の内側を通り、装置の背面側(
図12の連結部53c側、後述する第2開口部531b側)に向かって延設され、更に、
図16に示すように、保持装置41側(蓋部532と反対方向)に折り曲げられるように配線されている。また、カバー本体531の外面には、タッチセンサ96が固定されており、
図16に示すように、タッチセンサ96のケーブル96aも装置の背面側に延びて保持装置41側に折り曲げられるように配線されている。即ち、タッチセンサ96のケーブル96aは、第2開口部531b側に延びて、センサ520のケーブル521と略平行に折り曲げられるように配線されている。
【0067】
このように、カバー本体531の内側には、回動軸510の端部、センサ520、ケーブル521が配置されている。カバー本体531は、回動軸510の回転軸線方向に開口した第1開口部531aと、回転軸線方向に直交する方向(背面側)に開口した第2開口部531bを有する。したがって、第1開口部531aからは回動軸510の端部、センサ520、ケーブル521が露出し、第2開口部531bからケーブル521の折り曲げられた部分及びタッチセンサ96のケーブル96aの折り曲げられた部分が露出する。
【0068】
蓋部532は、
図13(a)、(b)に示すように、第1開口部531aを覆う第1覆い部532aと、第1覆い部532aの端部から折り曲げられて第2開口部531bを覆う第2覆い部532bとを有する。したがって、カバー本体531の第1開口部531a及び第2開口部531bを蓋部532により塞いで、ボルト533により固定することで、回動軸510の端部、センサ520、ケーブル521及びケーブル96aが、外部に露出しないようにカバー530内に配置される。
【0069】
ここで、加工装置で発生する切粉などがカバー530内に侵入する虞がある。そして、切粉がカバー530内に切粉が侵入した場合、センサ520による回転検知に影響を及ぼす。例えば、加工が進むにつれてカバー530内への切粉が多くなり、センサ520周辺に切粉がたまってくると、切粉により発光部からの光が遮られて誤検知が発生する。なお、センサ520が磁気センサなどの場合、金属製の切粉が侵入することで誤検知が発生してしまう。
【0070】
特に、ワークWとして歯科用補綴物を加工した場合、歯科用補綴物は、例えば、ジルコニアであり、加工装置で加工した場合、0.2~0.3μm程度の極小の切粉が発生する。ワークWが、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)のような樹脂材の場合は、0.1~0.2μmの切粉が発生する。このため、カバー530内により入り易い。カバー530内への切粉の侵入経路としては、カバー本体531と蓋部532との接合部が挙げられる。なお、ケーブル521、96aの折り曲げられた部分以降は、カバー530から露出し、装置の電装ユニット80に接続される。ケーブル521、96aのカバー530から露出した部分は、支持機構40のカバー或いはフレーム内に位置するため、切粉がこの部分からカバー530に侵入する可能性は低い。
【0071】
そこで、本実施形態では、カバー530内に切粉が侵入することを抑制すべく、カバー本体531と蓋部532と間にシール部材540を設けている。本実施形態の場合、
図15に示すように、シール部材540は、蓋部532のカバー本体531側の面(内側面)に設けられている。特に、本実施形態では、蓋部532の内側面全体にシール部材540が貼り付けられている。即ち、シール部材540は、蓋部532の第1覆い部532aの内側面に加えて、第2覆い部532bの内側面にも設けられている。
【0072】
シール部材540は、複数のセルが独立して形成された多孔質材料により形成されており、本実施形態では、エプトシーラー(登録商標)EE-1000を用いている。このような多孔質材料は独立気泡型と言われ、複数のセルが独立して形成されているため、微小な異物であってもセルからセルに移動できず、上述のような0.2~0.3μm程度の極小の切粉の侵入を効果的に防ぐことができる。
【0073】
図13(a)に示すように、蓋部532をカバー本体531に固定した後にこれらを分解すると、蓋部532の貼り付けられたシール部材540のうち、カバー本体531と接触した部分が潰されている。シール部材540は、この潰された部分、即ち、蓋部532がカバー本体531と接触する部分にのみ貼り付けても良いが、本実施形態では、蓋部532の内側面全体に貼り付けている。
【0074】
また、上述のように、第1開口部531aからは回動軸510の端部、センサ520、ケーブル521が露出し、第2開口部531bからケーブル521の折り曲げられた部分及びタッチセンサ96のケーブル96aの折り曲げられた部分が露出する。そして、これら第1開口部531a及び第2開口部531bは、蓋部532の第1覆い部532a及び第2覆い部532bにより覆われている。この際、第2覆い部532bは、ケーブル96aの折り曲げられた部分も覆う。また、シール部材540は、第1覆い部532aに加えて第2覆い部532bにも設けられている。このため、第1開口部531aに加えて第2開口部531bもシール部材540によりシールされる。このため、カバー530内への切粉の侵入をより確実に抑制できる。
【0075】
このように本実施形態では、カバー本体531と蓋部532との間をシール部材540によりシールすることで、微小な切粉であってもカバー530内に侵入することを抑制できる。この結果、センサ520による誤検知も抑制できる。
【符号の説明】
【0076】
11・・・主軸
41・・・保持装置
41a・・・アーム部
41b・・・連結部
50・・・第1回転機構(回動装置)
96・・・タッチセンサ(先端検出手段)
96a・・・ケーブル
100・・・加工装置
400・・・保持本体部
410・・・樹脂部(本体部)
411・・・保持部
412・・・支持部
413・・・ねじ穴(第1の穴)
414・・・ねじ穴(第2の穴)
415・・・穴
420、420A・・・板金(補強板、第1補強板)
420a・・・ボルト(第1固定部材)
430・・・板金(第2補強板)
430a・・・ボルト(第2固定部材)
440・・・保持カバー(保持部材)
440a・・・ボルト
440a1・・・ねじ部
440a2・・・頭部
442a・・・第1の貫通孔
442b・・・第2の貫通孔
450・・・ナット
510・・・回動軸
520・・・センサ
521・・・ケーブル
530・・・カバー
531・・・カバー本体
531a・・・第1開口部
531b・・・第2開口部
532・・・蓋部
532a・・・第1覆い部
532b・・・第2覆い部
540・・・シール部材
W・・・ワーク