(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164493
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/10 20120101AFI20221020BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20221020BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20221020BHJP
B24B 47/20 20060101ALI20221020BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20221020BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B24B37/10
B24B37/12 D
B24B37/30 A
B24B47/20
B24B41/06 L
H01L21/304 621B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070027
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】持丸 順行
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕志
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB12
3C034BB13
3C034BB14
3C034BB15
3C034BB32
3C034BB73
3C034DD10
3C158AA07
3C158AA09
3C158AA14
3C158AB01
3C158AB04
3C158AC04
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA12
3C158EB01
5F057AA03
5F057AA32
5F057CA12
5F057DA03
5F057EC10
5F057FA21
(57)【要約】
【課題】ワークの傾きが小さい高剛性なワーク保持機構を有し、板状のワークを精密に研磨することが可能な研磨装置を提供する。
【解決手段】水平回転する板状のワークWを水平回転する研磨布5の上面に押し当ててワークWを研磨する研磨装置であって、上面に研磨布5を保持して水平回転するテーブル2と、テーブル2の上方に設けられワークWを保持して水平回転するチャック3と、チャック3を水平回転自在に支持するチャック支持部14と、チャック支持部14を介して対向配置されチャック支持部14を上下動自在に支持する複数のガイド機構20と、を有し、ガイド機構20には、チャック支持部14を支持する上下一対のガイド21が設けられている。これにより、ガイド機構20でチャック支持部14の傾きを抑制することができる。よって、ワークWの傾きを抑えて高精度な研磨加工を実行することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平回転する板状のワークを水平回転する研磨布の上面に押し当てて前記ワークを研磨する研磨装置であって、
上面に前記研磨布を保持して水平回転するテーブルと、
前記テーブルの上方に設けられ前記ワークを保持して水平回転するチャックと、
前記チャックを水平回転自在に支持するチャック支持部と、
前記チャック支持部を介して対向配置され前記チャック支持部を上下動自在に支持する複数のガイド機構と、を有し、
少なくとも1つの前記ガイド機構には、前記チャック支持部を支持する上下一対のガイドが設けられていることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記ガイドは、上下方向に延在するレールと、前記レールに相対移動可能に支持されるブロックと、を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記ブロックは、前記チャック支持部に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記ブロックには、前記レールに接触して転動する転動体が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記ガイド機構は、4本形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の板状のワークを研磨する研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハ等のCMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)を行う研磨装置が知られている。この種の研磨装置として、上方で水平回転するワークを下方で水平回転する研磨布の上面に押し当てて、研磨液を供給しながら、ワークを研磨する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ウェーハ等の基板を研磨する研磨装置であって、基板を保持し回転させるトップリングと、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、研磨パッドに研磨液を供給する研磨液供給機構と、を備える研磨装置が開示されている。
【0004】
同文献に開示された研磨装置では、基板を支持するトップリングは、トップリングシャフトに接続されており、このトップリングシャフトは、トップリングヘッドに対して上下動自在に設けられている。トップリングヘッドは、フレームに回転可能に支持されたトップリングヘッドシャフトによって片持ち支持されている。
【0005】
また例えば、特許文献2には、上面に研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤と、定盤の上方に上下動自在、且つ水平面内で回転自在に配置され、定盤との間で、下面にワークが保持されたキャリアプレートを挟み、ワークを定盤面に押圧するトップリングと、を具備するワーク研磨装置が開示されている。
【0006】
同文献に開示されたワーク研磨装置では、トップリングは、その上端に回転軸が立設され、この回転軸が、装置本体の上盤を貫通して上下動する筒体内に回転自在に支持されている。また、この筒体の上端が枠体に固定され、この枠体がシリンダ装置によって上下動されることによって、トップリングは枠体と共に上下動するようになっている。そして、枠体の一端部は、ガイド棒によって上下動がガイドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-4675号公報
【特許文献2】特開2014-647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術の研磨装置は、より高精度な研磨加工を実現するために改善すべき点があった。
具体的には、特許文献1に開示された従来技術のように、ワークを支持するトップリングをトップリングヘッドシャフトで片持ちする構成では、ワークに対する押圧力によってトップリングシャフト及びそれによって支持されているワークが僅かに傾き、高精度な加工が難しくなるという問題点があった。
【0009】
同文献には、局所荷重付与機構を設けてワークを保持するリテーナリングに対して局所的な荷重を与えることによりリテーナリングの傾きを制御する構成が開示されている。しかしながら、そのような局所荷重付与機構を設ける構成は、その制御が容易ではなく、リテーナリングの傾きを制御するための高精度な制御装置を設けることが求められる。複雑な構成の局所荷重付与機構及びその制御装置を設ける必要があるので、研磨装置の生産性の観点からも改善が求められる。
【0010】
また、特許文献2に開示された従来技術のように、トップリングと共に上下動する枠体の一端部がガイド棒によってガイドされている構成においても、トップリングが僅かに傾く恐れがある。
【0011】
特に近年、シリコンウェーハ等のワークの更なる大型化、薄層化及び高精密な平坦化が要求されている。これに対応できるよう、研削装置には、傾きの小さい高剛性なワーク保持機構が求められている。しかしながら、従来技術の研削装置では、ワークの傾きを抑える高剛性なワーク支持が難しかった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワークの傾きが小さい高剛性なワーク保持機構を有し、板状のワークを精密に研磨することが可能な研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の研磨装置は、水平回転する板状のワークを水平回転する研磨布の上面に押し当てて前記ワークを研磨する研磨装置であって、上面に前記研磨布を保持して水平回転するテーブルと、前記テーブルの上方に設けられ前記ワークを保持して水平回転するチャックと、前記チャックを水平回転自在に支持するチャック支持部と、前記チャック支持部を介して対向配置され前記チャック支持部を上下動自在に支持する複数のガイド機構と、を有し、少なくとも1つの前記ガイド機構には、前記チャック支持部を支持する上下一対のガイドが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の研磨装置によれば、上面に研磨布を保持して水平回転するテーブルと、テーブルの上方に設けられワークを保持して水平回転するチャックと、チャックを水平回転自在に支持するチャック支持部と、を有する研磨装置であって、チャック支持部を介して対向配置されチャック支持部を上下動自在に支持する複数のガイド機構を備えている。このような構成により、ガイド機構でチャック支持部の傾きを抑制することができる。よって、ワークの傾きを抑えて高精度な研磨加工を実行することができる。
【0015】
また、少なくとも1つのガイド機構には、チャック支持部を支持する上下一対のガイドが設けられている。これにより、ガイド機構の上部にある上ガイドでチャック支持部の上部の水平移動を抑え、且つ、ガイド機構の下部にある下ガイドでチャック支持部の下部の水平移動を抑えることができる。よって、大きな力が加えられた場合でもチャック支持部が傾かないように好適に支持することができる。
【0016】
また、本発明の研磨装置によれば、前記ガイドは、上下方向に延在するレールと、前記レールに相対移動可能に支持されるブロックと、を有しても良い。これにより、チャック及びチャック支持部が上下方向に移動する際、ガイドとチャック支持部との摩擦抵抗が小さく、且つ、チャック及びチャック支持部の傾きを好適に抑えることができる。よって、効率の良い高精度な研磨加工が実現する。
【0017】
また、本発明の研磨装置によれば、前記ブロックは、前記チャック支持部に固定されても良い。即ち、ブロックがチャック支持部に固定され、ブロックの移動をガイドするレールがガイドスタンド等を介してコラムに固定されていても良い。このような構成により、チャックの傾きを好適に抑制することができると共に、チャックを支持する上下動自在な構成部材の高さ寸法が小さくなり好適な送り動作が可能となる。
【0018】
また、本発明の研磨装置によれば、前記ブロックには、前記レールに接触して転動する転動体が設けられても良い。これにより、上下方向への送り抵抗が小さく且つワークの傾きが小さい好適な研磨加工が行われる。
【0019】
また、本発明の研磨装置によれば、前記ガイド機構は、4本形成されても良い。即ち、ガイド機構は、チャックの回転軸と略並行な上下方向に延在する4本の軸に形成され、各ガイド機構には、上下一対のガイドが形成されている。このような構成により、ワークの傾きを小さく抑えた精密な研磨加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る研磨装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る研磨装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る研磨装置のガイドを示す斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る研磨装置の概略構成を示す正面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る研磨装置の概略構成を示す平面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る研磨装置のスピンドルケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る研磨装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る研磨装置1の概略構成を示す正面図である。
図1を参照して、研磨装置1は、半導体ウェーハ等の板状のワークWを研磨する装置である。具体的には、研磨装置1は、半導体ウェーハ等のワークWに対してCMP加工等のポリッシング加工を行うポリッシュ装置である。
【0022】
研磨装置1は、上面に研磨布5を保持して水平回転するテーブル2と、テーブル2の上方に設けられワークWを保持して水平回転するチャック3と、チャック3を水平回転自在に支持するチャック支持部14と、チャック支持部14を上下動自在に支持する複数のガイド機構20と、を有する。
【0023】
テーブル2は、ワークWに摺接してワークWを研磨する研磨布5を保持するものである。詳しくは、テーブル2の上面に研磨布5が保持される。テーブル2は、図示しない例えばモータ等の駆動装置によって駆動されて、研磨布5と共に、略水平に回転する。
【0024】
チャック3は、研磨対象である板状のワークWを吸着保持するものである。なお、チャック3には、研磨加工時にワークWを押圧して研磨布5に押し付けるための図示しないエアバッグ等が設けられても良い。チャック3は、コラム4によって水平回転自在に保持され、テーブル2の上方に設けられている。
【0025】
具体的には、チャック3は、チャック支持部14によって水平回転自在に支持されている。チャック支持部14は、ガイド機構20を介してコラム4のガイドスタンド13に、上下動自在に支持されている。
【0026】
ガイドスタンド13は、その下方にあるコラム4のアッパープレート12に固定され支持されており、アッパープレート12は、コラム4の支柱11の上部に固定されている。
チャック支持部14を構成するスピンドルケース15の内部には、チャック3を回転させる駆動源である図示しないモータ等が配設されても良い。
【0027】
ガイド機構20は、チャック支持部14を上下動自在に支持する機構である。ガイド機構20は、チャック支持部14の上下方向への移動をガイドし、チャック支持部14が水平方向へ移動して傾くことを抑えている。即ち、ガイド機構20でチャック支持部14の傾きを抑制することができ、ワークWの傾きを抑えて高精度な研磨加工を実行することができる。
【0028】
ガイド機構20は、複数設けられ、チャック支持部14を介して対向配置されている。具体的には、ガイド機構20は、チャック支持部14の水平方向両側、即ちチャック支持部14の左右両側に、チャック支持部14を挟むように対向配置されている。
【0029】
ガイド機構20には、上下一対のガイド21が設けられている。即ち、ガイド機構20には、上部に上ガイド22が設けられ、下部に下ガイド23が設けられている。
【0030】
上ガイド22及び下ガイド23は、チャック支持部14の水平方向の移動を抑え、チャック支持部14を上下動自在に支持し、チャック支持部14の上下方向への移動をガイドする部材である。
【0031】
ガイド機構20の上部にある上ガイド22でチャック支持部14の上部の水平移動が抑えられ、且つ、ガイド機構20の下部にある下ガイド23でチャック支持部14の下部の水平移動が抑えられる。よって、大きな力が加えられた場合でもチャック支持部14が傾かないように好適に支持することができる。
【0032】
また、図示を省略するが、研磨装置1は、研磨布5に研磨液、即ちスラリー、を供給する研磨液供給装置を備えている。ワークWの研磨を行う際には、研磨液供給装置から研磨布5の表面に、砥粒を含む研磨液が供給される。これにより、ワークWに対して遊離砥粒方式の加工が行われる。
【0033】
また、研磨装置1は、チャック3を上下方向に送る送り機構30を有する。送り機構30は、例えば、上下送り駆動手段としてのモータ31と、モータ31の動力によって回転するボールねじナット33と、ボールねじナット33の回転によってチャック支持部14を上下方向に送るボールねじ32と、を有する。また、コラム4のガイドスタンド13には、ボールねじ32を回動自在に支持する軸受が設けられても良い。
【0034】
モータ31は、例えば、コラム4のガイドスタンド13に設けられている。モータ31の回転動力は、例えば、モータ31及びボールねじナット33に設けられたプーリ35、36及びベルト37等の動力伝達手段によって伝達される。具体的には、モータ31の出力軸にはプーリ35が設けられており、ボールねじナット33の上端近傍にはプーリ36が設けられている。そして、プーリ35及びプーリ36には、動力を伝達するベルト37が掛けられている。
【0035】
送り機構30のボールねじナット33に螺合するボールねじ32は、チャック支持部14に設けられている。具体的には、ボールねじ32は、チャック支持部14の上部に、チャック支持部14と同軸に上下動するよう固定されている。
【0036】
このような構成により、チャック支持部14の傾きを抑えつつ、チャック支持部14を上下方向に送る動力を送り機構30からチャック支持部14に伝達することができる。よって、チャック3に対して、傾きを抑えた上下方向への好適な送りが可能となる。
【0037】
なお、送り機構30は、電動のモータ31及びボールねじ32による構成に限定されるものではなく、例えば、空気圧を利用するエアシリンダ、油圧を利用する油圧シリンダ等、その他の駆動手段でも良い。
【0038】
図2は、研磨装置1の概略構成を示す平面図である。
図1及び
図2を参照して、前述のとおり、送り機構30は、チャック支持部の上方に、ボールねじ32がチャック支持部14と同心位置になるよう設けられている。即ち、ボールねじ32は、チャック3の回転軸と同じ回転軸を中心として上下動する。これにより、チャック支持部14の傾きを抑え、剛性を高めることができる。
【0039】
なお、送り機構30は、チャック支持部14の水平方向両側、即ちチャック支持部14の左右両側、に対向配置されるよう一対設けられても良い。送り機構30がチャック支持部14を挟むよう一対設けられることにより、チャック支持部14に両側から上下方向の力を加えることができる。このような構成によっても、送り機構30がチャック支持部14の片側のみに配置される構成に比べ、チャック支持部14の傾きを抑えて大型のワークWを上下方向に効率良く送ることができる。
【0040】
ガイド機構20は、4本設けられている。即ち、ガイド機構20は、チャック3の回転軸と略平行な上下方向に延在する4本の軸に形成されている。詳しくは、ガイド機構20は、チャック支持部14の右側2箇所及び左側2箇所、計4箇所に配置されている。
【0041】
前述のとおり、4本のガイド機構20は、チャック支持部14を挟んで対向配置されている。詳しくは、左右各2本設けられたガイド機構20は、チャック3及びチャック支持部14の回転軸から前方及び後方にオフセットした位置において左右のガイド機構20が対向するよう配置されている。換言すれば、4本の軸に形成されたガイド機構20は、チャック3及びチャック支持部14の回転中心を基準として、前後略対称且つ左右略対称となる4つの位置に配置されている。
【0042】
そして、4本の軸に形成された各ガイド機構20は、前述のとおり、上下一対のガイド21が形成されている(
図1参照)。即ち、4本のガイド機構20には、それぞれ2つのガイド21が形成され、全体で8つのガイド21が形成されている。このような構成により、ワークWの傾きを小さく抑えた精密な研磨加工を行うことができる。
【0043】
図3は、研磨装置1のガイド21を示す斜視図である。
図3に示すように、ガイド21は、チャック支持部14の上下動をガイドするリニアガイドであり、上下方向に延在するレール24と、レール24に相対移動可能に支持されるブロック25と、を有する。ブロック25は、レール24によってガイドされ上下方向に相対移動可能である。
【0044】
図1ないし
図3を参照して、このような構成により、チャック3及びチャック支持部14が上下方向に移動する際、ガイド21の摩擦抵抗が小さく効率的な移動が可能となる。また、チャック3及びチャック支持部14の傾きを好適に抑えることができる。よって、効率の良い高精度な研磨加工が実現する。
【0045】
本実施形態では、ブロック25は、チャック支持部14に固定され、ブロック25の移動をガイドするレール24は、ガイドスタンド13等を介してコラム4に固定されている。このような構成により、チャック3の傾きを好適に抑制することができると共に、チャック3を支持するチャック支持部14等の上下動自在な構成部材の高さ寸法が小さくなり好適な送り動作が可能となる。
【0046】
なお、上記の本実施形態とは逆に、ブロック25がガイドスタンド13等を介してコラム4に固定され、ブロック25をガイドするレール24がチャック支持部14に固定される構成が採用されても良い。
【0047】
また、ブロック25には、レール24のガイド溝等に接触して転動する図示しないボール等の転動体が設けられても良い。ブロック25がボール等の転がりを利用することにより、上下方向への送り抵抗が小さく且つワークWの傾きが小さい好適な研磨加工が行われる。なお、ブロック25は、転動体を有しない、摺動を利用するリニアガイドであっても良い。
【0048】
また、レール24は、1本のレール24で、ガイド機構20の上部に設けられた上ガイド22と、ガイド機構20の下部に設けられた下ガイド23と、をガイドするよう形成されても良い。即ち、上下一対のブロック25は、共通する1本のレール24にガイドされ送られても良い。
【0049】
次に、
図4ないし
図6を参照して、実施形態を変形した例として、研磨装置101について詳細に説明する。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図4は、本発明の他の実施形態に係る研磨装置101の概略構成を示す正面図である。
図4を参照して、研磨装置101では、チャック支持部14を上下方向に送る送り機構30がチャック支持部14の側方に1つ設けられている。即ち、送り機構30は、チャック支持部14を構成するスピンドルケース115の側部に設けられている。
【0051】
なお、チャック支持部14を上下に送る駆動源としてのモータ31は、
図1に示すプーリ35、36及びベルト37等の動力伝達手段を介さずに、ボールねじ32に接続されても良い。また、ボールねじ32は、
図1に示す形態と同様に、チャック支持部14と同軸に設けられても良い。これにより、チャック支持部14の傾きを抑えて剛性を高めることができる。また、前述のとおり、送り機構30は、電動のモータ31及びボールねじ32による構成に限定されるものではなく、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、その他の駆動手段でも良い。
【0052】
ガイド21は、転動体としての図示しないローラを有するリニアガイドである。ブロック25としてのスライダには、図示しないリテーナに保持され図示しない軌道台の外周を無限循環運動する複数の杵形のローラが設けられている。このような構成のガイド21により、上下方向への送り抵抗が小さく且つワークWの傾きが小さい好適な研磨加工が可能となる。なお、ガイド21として、その他形式のリニアガイドが用いられても良い。
【0053】
図5は、研磨装置101の概略構成を示す平面図である。
図5に示すように、ガイド機構20は、4箇所に設けられている。具体的には、ガイド機構20は、ガイドスタンド13の外側部近傍に、チャック3の回転軸を中心として90度間隔で配置されている。
【0054】
図6は、研磨装置101のスピンドルケース115を示す斜視図である。
図6に示すように、チャック支持部14を構成するスピンドルケース115は、略八角筒状に形成されている。即ち、スピンドルケース115は、上面視で略八角形状である。
【0055】
図4ないし
図6を参照して、ガイド機構20は、チャック3の回転軸と略平行に、上下方向に延在する4本の軸に形成されている。具体的には、スピンドルケース115は、略八角筒状に形成されており、ガイド機構20は、スピンドルケース115の外側部近傍にチャック3の回転軸を中心として対向するよう設けられている。即ち、4本のガイド機構20がチャック3の回転軸を中心として対向配置されている。
【0056】
4本の軸に形成された各ガイド機構20には、上下一対のガイド21が形成されている。即ち、4本のガイド機構20には、それぞれ2つのガイド21が形成され、全体として8つのガイド21がある。このような構成により、ワークWの傾きを小さく抑えた精密な研磨加工を行うことができる。
【0057】
本実施形態では、ブロック25は、ガイドスタンド13等を介してコラム4に固定され、ブロック25の移動をガイドするレールとしてのガイド面124は、チャック支持部14のスピンドルケース115に形成されている。なお、上記の構成とは逆に、ブロック25がスピンドルケース115に固定され、ブロック25をガイドするレールとしてのガイド面124がガイドスタンド13等に形成されコラム4に固定される構成が採用されても良い。
【0058】
また、1つのガイド面124で、ガイド機構20の上部に設けられた上ガイド22と、ガイド機構20の下部に設けられた下ガイド23と、をガイドする構成が採用されても良い。即ち、上下一対のブロック25は、共通する1つのガイド面124にガイドされ送られても良い。
【0059】
以上説明の如く、本実施形態に係る研磨装置1、101は、ガイド機構20でチャック3の傾きを抑制することができる。よって、大きな力が加えられた場合でもワークWの傾きを抑えて高精度な研磨加工を行うことができる。
【0060】
以上、本実施形態では、上ガイド22と下ガイド23の2つのガイド21を有するガイド機構20が4軸設けられ、全体として8つのガイド21が設けられる構成について説明したが、ガイド21の数や配置はこれに限定されるものではない。
【0061】
例えば、全体として3軸以上のガイド機構20が設けられる構成であれば、チャック3の傾きを抑制する効果が得られる。また、上ガイド22と下ガイド23の2つのガイド21を有するガイド機構20に代えて、1つのガイド21を有するガイド機構20が用いられても良い。
【0062】
また、スピンドルケース115の形状は、八角筒状に限定されず、所定のガイド機構20を取り付ける部分を設けることができれば、略円筒状、略3角筒状、略4角筒状、その他角筒状等であっても良い。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、101 研磨装置
2 テーブル
3 チャック
4 コラム
5 研磨布
11 支柱
12 アッパープレート
13 ガイドスタンド
14 チャック支持部
15、115 スピンドルケース
20 ガイド機構
21 ガイド
22 上ガイド
23 下ガイド
24 レール
25 ブロック
30 送り機構
31 モータ
32 ボールねじ
33 ボールねじナット
35 プーリ
36 プーリ
37 ベルト
124 ガイド面
W ワーク