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特開2022-164499路側機、車両合流支援システム、及び車両合流支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164499
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】路側機、車両合流支援システム、及び車両合流支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221020BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070037
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】荒木 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】森田 李佳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA06
5H181AA27
5H181BB04
5H181DD02
5H181DD03
5H181LL04
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】車両に対して適切な合流支援を行うことが可能な路側機、車両合流支援システム、及び車両合流支援方法を提供すること。
【解決手段】通信部210と、制御部240と、を備え、道路300の本線310又は合流車線320を走行する車両100との間で無線通信を行う路側機200において、通信部210は、前記路側機固有の固有情報を含む第1メッセージを送信する。また、通信部210は、車両100に搭載された車載器150の車載器識別情報と、車両100の外見に関する外見情報と、を含む第2メッセージを受信する。さらに、制御部240は、通信部210における第2メッセージの受信に応じて、外見情報を用いて、路側機200のセンシング情報と第2メッセージとを照合する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、制御部と、を備え、道路の本線又は合流車線を走行する車両との間で無線通信を行う路側機において、
前記通信部は、
前記路側機固有の固有情報を含む第1メッセージを送信し、
前記車両に搭載された車載器の車載器識別情報と、前記車両の外見に関する外見情報と、を含む第2メッセージを受信し、
前記制御部は、前記通信部における前記第2メッセージの受信に応じて、前記外見情報を用いて、前記路側機のセンシング情報と前記第2メッセージとを照合する、
路側機。
【請求項2】
前記外見情報は、前記車両の色、車種、メーカ情報、及び車幅を含む、請求項1記載の路側機。
【請求項3】
前記通信部は、前記車載器識別情報と、前記車載器識別情報を有する前記車載器を搭載する前記車両に対する合流支援に関する管制情報と、を含む第3メッセージを送信する、請求項1記載の路側機。
【請求項4】
前記管制情報は、目標車間距離と目標レーンとを含む、請求項1記載の路側機。
【請求項5】
前記車両は、自動運転車両である、請求項1記載の路側機。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の路側機を備える
車両合流支援システム。
【請求項7】
通信部と、制御部と、を備え、道路の本線又は合流車線を走行する車両との間で無線通信を行う路側機で実行される車両合流支援方法であって、
前記通信部が、前記路側機固有の固有情報を含む第1メッセージを送信するステップと、
前記通信部が、前記車両に搭載された車載器の車載器識別情報と、前記車両の外見に関する外見情報と、を含む第2メッセージを受信するステップと、
前記制御部が、前記通信部における前記第2メッセージの受信に応じて、前記外見情報を用いて、前記路側機のセンシング情報と前記第2メッセージとを照合するステップと、を含む
車両合流支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側機、車両合流支援システム、及び車両合流支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の危険を回避可能な技術として高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が注目されている。そのようなシステムの1つとして、非特許文献1には、路側に設置される基地局である路側機と、車両に搭載される移動局である車載器とを有し、路側機及び車載器が路車間通信を行うシステムが記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、高速道路における加速レーンを走行する車両が本線へ合流する際に、後方カメラ等で撮影した本線の状況とGPSで特定した自車の状況とに基づいて合流位置を特定し、特定した合流位置を表す表示画像をドアミラーに重畳して表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ARIB STD-T109 1.3版 「700MHz帯高度道路交通システム」
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-222153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ドアミラーに合流位置を重畳して表示する技術では、車両が本線の状況を把握して初めて、合流位置を表す表示画像を表示できる。車両が、本線の状況を把握できない合流車線を走行しているとき、当該技術では、本線の状況を把握することができず、合流位置を表す表示画像をドアミラーに重畳表示することはできない。そのため、かかる技術では、適切な合流支援を行うことができない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、車両に対して適切な合流支援を行うことが可能な路側機、車両合流支援システム、及び車両合流支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る路側機は、通信部と、制御部と、を備え、道路の本線又は合流車線を走行する車両との間で無線通信を行う路側機である。前記通信部は、前記路側機固有の固有情報を含む第1メッセージを送信する。また、前記通信部は、前記車両に搭載された車載器の車載器識別情報と、前記車両の外見に関する外見情報と、を含む第2メッセージを受信する。さらに、前記制御部は、前記通信部における前記第2メッセージの受信に応じて、前記外見情報を用いて、前記路側機のセンシング情報と前記第2メッセージとを照合する。
【0009】
第2の態様に係る車両合流支援システムは、第1の態様に係る路側機を備える。
【0010】
第3の態様に係る車両合流支援方法は、通信部と、制御部と、を備え、道路の本線又は合流車線を走行する車両との間で無線通信を行う路側機で実行される車両合流支援方法である。車両合流支援方法は、前記通信部が、前記路側機固有の固有情報を含む第1メッセージを送信するステップを含む。また、車両合流支援方法は、前記通信部が、前記車両に搭載された車載器の車載器識別情報と、前記車両の外見に関する外見情報と、を含む第2メッセージを受信するステップを含む。さらに、車両合流支援方法は、前記制御部が、前記通信部における前記第2メッセージの受信に応じて、前記外見情報を用いて、前記路側機のセンシング情報と前記第2メッセージとを照合するステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、車両に対して適切な合流支援を行うことが可能な路側機、車両合流支援システム、及び車両合流支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は一実施形態に係る車両合流支援システムの構成例を表す図である。
図2図2は一実施形態に係る車両の構成例を表す図である。
図3図3は一実施形態に係る路側機の構成例を表す図である。
図4図4(A)と図4(B)は一実施形態に係るメッセージの例を表す図である。
図5図5は一実施形態に係るメッセージの例を表す図である。
図6図6は一実施形態に係る車両合流支援システムの動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して実施形態について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
[第1実施形態]
【0014】
(車両合流支援システムの構成例)
図1は、第1実施形態に係る車両合流支援システム1の構成例を表す図である。車両合流支援システム1は、車両100と路側機200とを有する。
【0015】
車両100は、自動二輪車、自動三輪車、又は自動四輪車などの自動車であってもよい。また、車両100は、救急車などの緊急車両でもよいし、バスなどの特定車両であってもよい。さらに、車両100は、その全部又は一部が自動運転車両であってもよい。車両100は、路側機200と無線通信(路車間通信)を行う。
【0016】
図1では、高速道路300の合流車線320に車両100A、本線310に車両100B,100Cが走行している例を表している。合流車線320を走行する車両100Aも、本線310を走行する車両100B,100Cも、路側機200と無線通信が可能である。
【0017】
高速道路300は、迅速な交通移動を達成することを主目的とした道路であり、主に自動車が高速かつ安全に走行することが可能な道路のことである。高速道路300を自動車専用道路と称する場合がある。一方、一般道路は、高速道路以外の道路をいう。
【0018】
本線310は、高速道路300で通常走行する車線により構成する車道部分のことである。本線310には、走行車線と追越車線とを含む。本線310は、本線車道と称する場合がある。
【0019】
合流車線320は、高速道路300に含まれる。合流車線320は、加速車線と称する場合がある。合流車線320は、一般道路と、高速道路300の本線310との間を結ぶ道路であってもよい。また、合流車線320は、高速道路300を利用する車両100が利用する車線(又はレーン)のことであってもよい。合流車線320と本線310とが合流する地点を合流地点と称する場合がある。
【0020】
路側機200は、車両100と無線通信(路車間通信)を行う。路側機200は、他の路側機と通信(路路間通信)を行ってもよい。路側機200は、高速道路300の合流地点付近に設置される。また、図1の例では、路側機200は、支柱に設けられている。路側機200は、看板、道路標識、又は電柱などに設けられてもよい。
【0021】
車両合流支援システム1は、車両100と路側機200との間で無線信号を送受信する路車間通信を行う。例えば、路側機200は、ブロードキャストで無線信号を送信する。また、車両100も、例えば、ブロードキャストで無線信号を送信する。車両100と路側機200は、ブロードキャストで送信された無線信号を受信することで、路車間通信を行う。
【0022】
車両合流支援システム1は、図1に示すように、路側機200と、高速道路300の本線310又は合流車線320を走行する車両100との間で路車間通信を行う。車両合流支援システム1では、本線310と合流車線320の双方に車両100が走行しているときに、路車間通信を行うことで、車両100に対する合流支援を行う。
【0023】
(車両の構成例)
図2は、第1実施形態に係る車両100の構成例を表す図である。図2に示すように、車両100は、通信部110、記憶部120、制御部130、及び車両センサ140を有する。
【0024】
通信部110は、無線通信モジュール(又は無線通信機能)を含む。無線通信モジュールはアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号に変換(ダウンコンバート)して制御部130へ出力する。無線通信モジュールは、制御部130が出力するベースバンド信号を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。通信部110は、無線信号を送受信することにより、メッセージを送受信することができる。メッセージの詳細は後述する。
【0025】
通信部110は、例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)規格に準拠した無線通信方式を利用して無線信号を送受信する。そのような無線通信方式の一例として、V2I(Vehicle-to-Infrastructure)がある。それ以外にも、無線LAN(Local Area Network)方式、ARIB T109、又はV2I以外の3GPPに準拠した無線通信方式、であってもよい。
【0026】
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)などの制御回路で構成される。制御部130は、車両100全体を制御する。制御部130は、少なくとも通信部110を制御する。制御部130は、メッセージを送信したり受信したりするように通信部110を制御してもよい。
【0027】
また、制御部130は、路側機200から受信したメッセージ(例えば第1メッセージ等)の受信に応じて、記憶部120に記憶された車載器ID(Identification:識別情報)を読み出して、読み出した車載器IDを含むメッセージ(例えば第2メッセージ)を生成し、生成したメッセージを送信するように通信部110を制御する。各メッセージの詳細は後述する。
【0028】
さらに、制御部130は、その後、路側機200から受信したメッセージ(例えば第3メッセージ等)の受信に応じて、当該メッセージに含まれる管制情報に従った走行制御を行うことができる。管制情報は、例えば、車両100に対する合流支援に関する情報である。
【0029】
記憶部120は、少なくとも1つのメモリを含む。記憶部120は、車載器150を識別する車載器IDを記憶する。また、記憶部120は、制御部130で実行されるプログラム、及び制御部130の処理に用いられる情報を記憶する。
【0030】
図2に示すように、車載器150は、通信部110、制御部130、及び記憶部120を含む。この場合、制御部130は、車両全体を制御する機能部分と、車載器150としての機能部分とが分かれてもよいし、2つの異なる制御部としてブロックが分かれていてもよい。図2の例では、少なくとも、1つの制御部130により、車両全体を制御する機能と、車載器150としての機能と、を有する例を表している。
【0031】
車両センサ140は、車両100の位置情報を取得する位置情報取得センサであってもよい。また、車両センサ140は、車両100の速度を取得する速度センサであってもよい。さらに、車両センサ140は、車両100の走行レーン、及び車間距離などを取得するカメラセンサであってもよい。図2に示す車両センサ140は、例えば、このように複数のセンサから構成されてもよいし、1つのセンサにより1又は複数の車両情報を取得するようにしてもよい。車両センサ140は、取得した車両情報を制御部130へ出力する。制御部130は、車両情報を含むメッセージ(例えば第2メッセージ)を送信するように通信部110を制御する。通信部110は、制御部130の制御により、当該メッセージを送信できる。なお、車両情報とは、例えば、車両センサ140により取得された情報のことである。
【0032】
(路側機の構成例)
図3は、第1実施形態に係る路側機200の構成例を表す図である。図3に示すように、路側機200は、通信部210、路側センサ220、記憶部230、及び制御部240を有する。
【0033】
通信部210は、無線通信モジュール(又は無線通信機能)を含む。無線通信モジュールはアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号に変換(ダウンコンバート)して制御部240へ出力する。無線通信モジュールは、制御部240が出力するベースバンド信号を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。通信部210は、無線信号を送受信することにより、メッセージを送受信することができる。なお、通信部210は、例えば、100msec間隔でメッセージを送信する。通信部210は、それ以外の時間間隔でメッセージを送信してもよい。
【0034】
通信部210は、例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)規格に準拠した無線通信方式を利用して無線信号を送受信する。このような無線通信方式として、例えば、V2I(Vehicle-to-Infrastructure)がある。それ以外にも、無線LAN(Local Area Network)方式、上述したARIB T109、又はV2I以外の3GPPに準拠した無線通信方式、であってもよい。
【0035】
路側センサ220は、例えば、カメラセンサである。路側センサ220は、センサ情報を取得するためのセンサである。路側センサ220は、複数のセンサから構成されてもよい。路側センサ220は、取得したセンサ情報を制御部240へ出力する。ここで、センサ情報は、例えば、路側センサ220により取得した情報のことである。
【0036】
記憶部230は、少なくとも1つのメモリを含む。記憶部230は、制御部240で実行されるプログラム、及び制御部240の処理に用いられる情報を記憶する。
【0037】
制御部240は、少なくとも通信部210を制御し、通信部210に対してメッセージの送受信を制御する。例えば、制御部240は、メッセージを生成し、生成したメッセージを通信部210へ出力するとともに、当該メッセージを送信するように通信部210を制御する。このとき、制御部240は、送信タイミングの異なる2つのメッセージを送信するように通信部210を制御する。最初に送信するメッセージは、「第1メッセージ」と称する場合がある。次に送信するメッセージは、「第3メッセージ」と称する場合がある。制御部240は、第1メッセージを送信するように通信部210を制御した後、車両100から送信されたメッセージ(「第2メッセージ」と称する場合がある。)の受信に応じて、第3メッセージを送信するように通信部210を制御する。
【0038】
すなわち、最初に、路側機200は、第1メッセージを送信する。次に、車両100は、第1メッセージの受信に応じて、第2メッセージを送信する。最後に、路側機200は、第2メッセージの受信に応じて、第3メッセージを送信する。
【0039】
(メッセージの例)
図4(A)は第1メッセージの例を表す図である。
【0040】
図4(A)に示すように、第1メッセージは、メッセージID、路側機ID、情報更新時刻、の各情報を含む。
【0041】
メッセージIDは、メッセージ毎に付与される識別情報を表す。例えば、路側機200の制御部240が付与する。
【0042】
固有情報は、路側機200固有の固有情報である。固有情報は、路側機IDである。固有情報として、路側機ID以外の情報が含まれてもよい。
【0043】
路側機IDは、路側機200毎に付与される識別情報である。例えば、路側機IDは、路側機200の記憶部230に記憶され、制御部240によって適宜読み出し可能な情報となっている。
【0044】
情報更新時刻は、メッセージの情報を更新(又は生成)した時刻を表す。例えば、制御部240は、メッセージの情報を更新する毎にタイマーから情報更新時刻を取得する。
【0045】
上述したように路側機200が送信するメッセージとして、第1及び第3メッセージがある。例えば、第1メッセージでは、車載器IDが含まれていない。一方、第3メッセージでは、車載器IDが含まれる。
【0046】
図4(B)は、車両100が送信する第2メッセージの例を表す図である。
【0047】
図4(B)に示すように、第2メッセージは、メッセージID、車載器ID、情報更新時刻、車両情報、制御フラグ、車間距離、目標レーン、及び外見情報の各情報を含む。
【0048】
メッセージIDは、当該メッセージに付与される識別情報である。例えば、車両100の制御部130がメッセージIDを付与する。
【0049】
車載器IDは、車載器毎に付与される識別情報である。情報更新時刻は、メッセージを更新(又は生成)した時刻を表す。例えば、制御部130はメッセージを更新したときの時刻をタイマーから取得する。
【0050】
車両情報は、車両センサ140から取得した車両100の関する情報である。車両情報には、車両位置(緯度経度高度)、走行レーン、車両速度、及び車両の長さを含む。例えば、制御部130は、車両センサ140から車両情報を取得することができる。車両位置を位置情報と称する場合がある。
【0051】
制御フラグは、路側機200による管制の対象の車両100であるか否かを表す。例えば、制御部130が、路側機200の管制に従うときは「1」、路側機200の管制に従わないときは「0」と設定できる。これにより、車両100から路側機200へ、路側機200の管制の対象となるか否かの情報を伝えることができる。
【0052】
車間距離は、自車両100と、自車両100の前方を走行する他の車両との間の距離である。例えば、制御部130は、車両センサ140から車間距離を取得できる。目標レーンは、車両100の走行目標となるレーンを表す。
【0053】
外見情報は、車両100の外見に関する情報である。外見情報は、図4(B)に示すように、車両100の色、車種、メーカ情報、及び車幅を含む。車種は、車の種別を表す。メーカ情報は、車両100を製造したメーカに関する情報である。車幅は、車両100の幅を表す。
【0054】
外見情報は、例えば、車両100の記憶部120に記憶される。車両100の制御部130は、記憶部120から外見情報を読み出し、車両センサ140から車両情報を取得し、外見情報と車両情報等を含む第2メッセージを送信するよう通信部110を制御する。これにより、通信部110は、外見情報を含む第2メッセージ(図4(B))を送信することが可能となる。
【0055】
図5は、第3メッセージの例を表す図である。
【0056】
図5に示すように、第3メッセージは、第1メッセージ(図4(A))に対して管制情報が付加されたメッセージである。
【0057】
管制情報は、制御フラグと、目標車間距離、及び目標レーンを含む。制御フラグは、車両100が路側機200による管制の対象であるか否かを表す。目標車間距離は、車両100が目標とすべき前方車両との車間距離を表す。目標レーンは、車両100が目標とすべき車線(又はレーン)を表す。例えば、路側機100は、第3メッセージを利用して、対象となる車両100に対して、制御フラグを「1」とし、目標車間距離、及び目標レーンを走行するように管制制御を行うことが可能である。
【0058】
(動作例)
第1実施形態に係る動作例について説明する。
【0059】
動作例については、第1シナリオと第2シナリオの2つのシナリオがある。第1シナリオでは、路側機200が、車両速度等を利用して、路側機内部で保持しているセンシング情報と第2メッセージとを照合する処理を行う。一方、第2シナリオでは、路側機200は、車両速度等に加えて外見情報を利用して、センシング情報と第2メッセージとを照合する処理を行う。以下、2つのシナリオについて順番に説明する。
【0060】
(第1シナリオ)
路側機200は、第1メッセージを送信後、第2メッセージを受信する。路側機200は、第1メッセージに対して、どの車両100が第2メッセージを送信したのかを把握したい場合がある。
【0061】
しかし、図4(A)と図4(B)に示すように、第1メッセージと第2メッセージとで、「車載器ID」は、共通に含まれるものの、第1メッセージには、「車載器ID」は含まれない。路側機200は、第2メッセージを受信して初めて、「車載器ID」を把握する。すなわち、路側機200では、第1メッセージと第2メッセージとで、紐づけを行うことができない。また、路側機内部で保持しているセンシング情報は、第1メッセージに含まれない。そのため、路側機200は、第2メッセージを照合することができない。
【0062】
そこで、第1シナリオでは、第2メッセージに含まれる、車両速度、走行レーン、及び車両の長さの少なくとも1つ(以下では、「車両速度等」と称する。)を用いて、センシング情報と第2メッセージの内容とを照合する。
【0063】
すなわち、路側機200は、路側センサ220で取得したセンシング情報を記憶部230に保持する。路側機200は、このようにして内部で保持したセンシング情報と、第2メッセージの内容とを、第2メッセージに含まれる車両速度等を用いて照合する。例えば、制御部240は、受信した第2メッセージに含まれる車両速度等と、記憶部230から読み出したセンシング情報とを比較する。制御部240は、センシング情報と車両速度等とが一致する、又は所定範囲内にある場合に、センシング情報と第2メッセージの内容とは照合(又は対応)する、と判断する。
【0064】
一方、制御部240は、センシング情報と車両速度等とが一致しない、又は所定範囲内にない場合、センシング情報と第2メッセージの内容とは照合しない、と判断する。
【0065】
その後、路側機200は、判断結果に基づいて、第3メッセージの送信可否を判断してもよいし、判断結果に関係なく、第3メッセージを送信してもよい。
【0066】
(第2シナリオ)
次に、第2シナリオについて説明する。第2シナリオでは、第2メッセージは、外見情報を含む(図4(B))。
【0067】
第1シナリオでは、第2メッセージに含まれる車両速度等を用いて、路側機内部で保持されたセンシング情報と第2メッセージの内容とを照合した。
【0068】
しかし、車両速度等を用いても、センシング情報と第2メッセージの内容とが正しく対応(又は照合)しているとは限らない。
【0069】
そこで、第2シナリオでは、路側機200は、車両速度等に加えて、車両100の外見情報を用いて、照合を行う。路側機200は、車両速度等と車両100の外見情報とを用いて、センシング情報と第2メッセージの内容との照合を行うので、車両速度等だけで照合を行う場合と比較して、照合の精度が向上する。従って、路側機200は、適切な車両100に対して、管制制御を行うことが可能となり、適切な合流支援を行うことが可能となる。
【0070】
例えば、路側機200の制御部240は、以下のようにして照合を行う。すなわち、制御部240は、第2メッセージに含まれる車両速度等と、記憶部230から読み出したセンシング情報とを照合する。制御部240は、車両速度等とセンシング情報とが一致又は所定範囲内にある場合に、センシング情報と第2メッセージの内容は照合(又は対応)する、と一時的に判断する。
【0071】
次に、制御部240は、路側センサ220から車両100の外見情報を取得する。制御部240は、第1メッセージを送信するときに当該外見情報を取得してもよいし、第2メッセージを受信したときに当該外見情報を取得してもよいし、第1メッセージ送信後、第2メッセージ受信前に取得してもよい。
【0072】
そして、制御部240は、第2メッセージに含まれる外見情報(第1外見情報)と、路側センサ220から取得した外見情報(第2外見情報)とを比較する。制御部240は、第2メッセージに含まれる外見情報と、路側センサ220から取得した外見情報とが一致又は所定範囲内にある場合に、センシング情報と第2メッセージとが照合する、と最終的に判断する。一方、制御部240は、第2メッセージに含まれる外見情報と、路側センサ220から取得した外見情報とが一致しない、又は所定範囲内にない場合、センシング情報と第2メッセージとは照合しない、と最終的に判断する。
【0073】
制御部240は、センシング情報と第2メッセージとが最終的に対応する判断した場合、第3メッセージを送信する。
【0074】
ただし、外見情報については、色や車幅などは、ある程度の幅を有している。そのため、制御部240は、第2メッセージの外見情報と、路側センサ220からの外見情報とが所定範囲内にある場合も、センシング情報と第2メッセージとが対応する、と判断している。制御部240は、外見情報については、図4(B)に示す外見情報の全てを用いるのではなく、その一部を用いて判断してもよい。
【0075】
その後、制御部240は、センシング情報と対応すると判断した第2メッセージに含まれる車載器IDを利用して、当該車載器IDを含む第3メッセージを送信する。
【0076】
(第2シナリオの動作例)
図6は、第2シナリオの動作例を表す図である。
【0077】
図6に示すように、ステップS20において、路側機200は、車両100を検知する。例えば、路側機200の制御部240は、路側センサ220から、合流車線320を走行する車両Aと、本線310を走行する車両100B,100Cと、を検知したことを示す検知情報を受けたときに、車両100を検知したと判断する。路側機200は、車両100を検知すると、以降のステップを実行する。
【0078】
ステップS21において、路側機200は、第1メッセージをブロードキャストで送信する。第1メッセージは、例えば、図4(A)に示すメッセージである。
【0079】
図6に戻り、ステップS22において、車両100は、第1メッセージの受信に応じて、第2メッセージをブロードキャストで送信する。例えば、図4(B)に示すように、第2メッセージには、外見情報が含まれる。
【0080】
図6に戻り、ステップS23において、路側機200は、第2メッセージの受信に応じて、センシング情報と第2メッセージとを照合する。上述したように、路側機200は、車両速度等と外見情報とを用いて、照合を行う。
【0081】
ステップS24において、路側機200は、第3メッセージをブロードキャストで送信する。路側機200は、ステップS23の照合の結果、センシング情報と照合すると判断した第2メッセージに含まれる車載器IDを利用して、第3メッセージ(図5)を送信する。第3メッセージには、車載器IDが含まれるので、路側機200は、ブロードキャストで第3メッセージを送信しても、車両100は、自車載器150の車載器IDと一致する第3メッセージを受信することができる。そのため、路側機200は、当該車載器ID宛て(又は当該車載器IDを有する車両100宛て)に、第3メッセージを届けることができる。
【0082】
そして、車両100は、第3メッセージに含まれる管制情報に従って、道路(合流車線320又は本線310)を走行することができる。
【0083】
[その他の実施形態]
上述した実施形態は、主に、高速道路300の合流地点における合流支援を行う路側機200について説明した。例えば、図1に示す道路は、高速道路300でなく、高速道路以外の道路(例えば、一般道路)であってもよい。第1道路(例えば合流車線)から第2道路(例えば本線)へ合流する際においても、第1実施形態で説明した路側機200が用いられてもよい。
【0084】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、上述した例は、矛盾しない範囲で各例を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 :車両合流支援システム
100(100A,100B,100C) :車両
110 :通信部 120 :記憶部
130 :制御部 140 :車両センサ
200 :路側機 210 :通信部
220 :路側センサ 230 :記憶部
240 :制御部 300 :高速道路
310 :本線 320 :合流車線
図1
図2
図3
図4
図5
図6