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▶ 合同会社物理工学研究社の特許一覧

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  • 特開-ルーフドレン補助吸水キャップ 図1
  • 特開-ルーフドレン補助吸水キャップ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164508
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ルーフドレン補助吸水キャップ
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E04D13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070048
(22)【出願日】2021-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】716004604
【氏名又は名称】合同会社物理工学研究社
(72)【発明者】
【氏名】黒田和明
(57)【要約】
【課題】陸屋根などに降雨後滞留する雨水は空中の塵埃を堆積させさらに水はけが悪くなるだけなく草木を生やす温床にもなるが、建物の大規模な修理などを施すには経費がかさみ過ぎ、ポンプなどの排水設備を設置するには対応が大げさになるという問題があり、頻繁にチェックして人出で排出させる以外に良い方法が見当たらない。
【解決手段】降雨時に滞留する雨水をサイフォンの原理で排出させるため、建物の縦排水管下方から引き出したしなやかな送水管の先端に小孔を複数備えたお椀を伏せた形の重い吸水キャップを取り付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸屋根などに滞留する降雨後の雨水をサイフォンの原理で建物の縦排水管に導くためのしなやかな送水管先端に取り付ける複数の小孔を備えた重いお椀型の吸水キャップ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
陸屋根の落ち込み変形やルーフドレンの取り付け不具合等により、雨水がルーフドレン周辺に滞留して雨漏りの原因となったり、草木が生えたりすることがある。本発明は建物が完成してから後付けで屋上の滞留水を排水させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陸屋根の屋上の排水は、四角い屋上の場合にはその4隅の角に排水管を配置することで実施され、排水を能率よく行うことができるように屋上の縁に沿って一段と低い溝を張り巡らしていることもある。屋上の経年変化による落ち込み変形を修復するには大規模な施工が必要となる一方で、ポンプなどを備えた排水設備を設置することは過剰な設備投資となる。このため、屋上の滞留した雨水を取り除くために定期的な掃除以外、排水を良くするために後付けで用いられる簡便な器具は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ルーフドレン排水に関しては、本出願者が特許出願したルーフドレン補助誘い水サイフォン(特願2020-150069)がある。
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】本発明は、令和2年7月13日に意匠登録出願(意願2020-014294)を行ったものであるが、図面の不備で拒絶されたものであり、不備を修正する過程で意匠登録に際して形や形状に関する縛りが厳し過ぎることを痛感し、意匠登録を断念して特許として申請し直しているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建物の陸屋根に滞留する雨水は、それが自然乾燥して消失するまでの間に空中の塵埃を引き寄せ、それが堆積物となってさらに排水を困難にするばかりでなく、草木を生やし害虫を発生させるなど衛生面でも速やかな排出が求められる。屋上面の経年的な変形を直す大規模修復には費用がかかり過ぎて実現が困難で、屋上の面積がそれほど広くない場合、バケツ数杯にもならないくらいの大量でない滞留水の排水のために自動的に働くポンプなどを設置するには大げさ過ぎ、これも現実的ではない。しかしながら、降雨の度に屋上の滞留水をチェックし、屋上に上がって排水作業を行うことは現実的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような滞留水をできるだけ排除する目的で送水用の内径4~8ミリのビニル管を図2に示すようにルーフドレンの最下部から縦排水管内を下方に十分に伸ばし、手元の端を滞留水の最深部と想定される場所に置いた本出願の吸水キャップ(図1)のニップルに接続する。本吸水キャップは錆を防ぐことと安定のため、重い金属製(真鍮など)であり、直径30ミリ程度の大きさで伏せたお椀の形をしており、お椀の縁には等間隔で直径2~3ミリの吸水孔を複数開けている。お椀の横腹には吸水した水を送るビニル管を接続できる4.5~8.5ミリのニップルをロウ付けかねじ込みで備えている。
【発明の効果】
【0007】
前述のように設置した本吸水キャップは、降水時、屋上に雨水が溜まってルーフドレンの最下部を超えて縦排水管に流れ込む状況になると(ビニル管の最高部位以上の水位になると)、サイフォンの原理で上記の小孔から吸水が行われ、縦排水管内へ送水が行われるようになり、ビニル管の水流が持続する間に降雨がやめば、滞留水となる恐れのある水が取水キャップの小孔の位置まで吸い出される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】吸水キャップは重い金属製でお椀の形をした部分1の中腹に送水管を接続するためのニップル2が付けられ、屋上面に接地するスカートの部分に等間隔で吸水用の小孔3が設けられている(本図では6個であるがさらに多数でも良い)。
図2】吸水キャップ1は屋上のへこみ部分3の滞留水の最深部に置かれ、排水用のビニル管2がルーフドレンの格子4を通り抜けて建物外壁6近くに設置された縦排水管5の内部下方まで通されている。降雨時には雨水レベルが上がって8の水準まで達するとサイフォンの原理で雨水が縦排水管の内部まで放流される。この吸水キャップを設置しない場合には、屋上の雨水は水位レベル7までしか排水されない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実際の使用においては、図2に示すように滞留水が起こる場所に設置して建物の縦排水管との間に送水パイプを取り付ける必要がある。一旦、このように配置して設置して置けば、維持点検の必要なしに長期間に渡って利用できる。現実には屋上には降り積もった塵埃があり、滞留水とともに塵埃の粒子が小孔から吸水キャップに入り込んでくるが、小孔の内径よりも小さい粒子しか通り抜けることはできず、それらは送水ビニル管の中を通過して縦排水管に排出される。長期的には吸水キャップの小孔周辺に小孔の径よりも大きい塵埃粒子が堆積することが予想されるが水流を塞ぐほどの大きさにならなければ本吸水キャップの作用に影響を与えるものではないと推定される。
【実施例0010】
降雨が前述のように都合よくやめば良いが、滞留水となる恐れのある水が吸い出された後にも少しずつ降り続きサイフォンの動作が始まらないでやんだ場合には本吸水キャップを取り付けない時と同様に屋根に図2の水位レベル7までの滞留水が残ってしまう。年間を通してこのような事態もあるが、吸水作用が効果を持つ事態も確率的には起こるわけであり、滞留水の継続延べ時間を減らす効果は確実にある。
【産業上の利用可能性】
【0011】
この本出願の吸水キャップは陸屋根の屋上のみならずバルコニーなどの滞留水にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0012】
図1
1 吸水キャップ本体部分
2 送水管接続用ニップル
3 吸水のための小孔

図2
1 吸水キャップ
2 送水ビニル管
3 滞留水が起きる屋根部分
4 ルーフドレンの格子
5 縦排水管
6 建物外壁
7 吸水キャップを使用しない場合の滞留水の可能な最大水位レベル
8 吸水キャップからの排水が始まる水位レベル
図1
図2