(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164512
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】組積造壁の補強
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20221020BHJP
E04B 2/02 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
E04G23/02 E
E04B2/02 132
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091113
(22)【出願日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】10202103925S
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】519098028
【氏名又は名称】アイエヌエー アクイジション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジェスリン クエク メイ リアン
(72)【発明者】
【氏名】パビスラ ブディカ マララセカラ
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA02
2E176BB28
2E176BB29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組積造壁を補強する方法を提供する。
【解決手段】組積造壁内の複数の分散した位置で既存のセメントモルタルを、この壁100の露出面から、第一レセプタクルを形成する深さまで除去し、この第一レセプタクル内に硬化性ポリマーを搬送するように構成される第一補強要素110を挿入し、第二レセプタクルを形成する深さまで組積造壁内の既存のセメントモルタルを除去し、この第二レセプタクルは少なくとも第一レセプタクルの1つから、第一レセプタクルのもう1つまで延在し、この1つの第一レセプタクルと、このもう1つの第一レセプタクルとの両方と交差し、第二レセプタクル内に硬化性ポリマーを搬送するように構成される第二補強要素112を配置し、第一補強要素110を第二補強要素112に接着することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組積造壁を補強する方法であって、
前記組積造壁内の複数の分散した位置で既存のセメントモルタルを前記壁の露出面から、第一レセプタクルを形成する深さまで除去することと、
前記第一レセプタクル内に硬化性ポリマーを搬送するように構成される第一補強要素を挿入することと、
前記組積造壁内の既存のセメントモルタルを、第二レセプタクルを形成する深さまで除去することであって、前記第二レセプタクルは少なくとも前記第一レセプタクルの1つから前記第一レセプタクルのもう1つまで延在し、前記第一レセプタクルの前記1つと、前記第一レセプタクルの前記もう1つとの両方と交差する、前記除去することと、
硬化性ポリマーを前記第二レセプタクル内に搬送するように構成される第二補強要素を配置することと、
前記第一補強要素を前記第二補強要素に接着することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第一補強要素は、I字型の断面を有するインサートをそれぞれ含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項3】
前記インサートは、繊維性材料から作製される、請求項2に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項4】
前記第一補強要素を前記第一レセプタクル内に配置する前記ステップの前に、前記第一補強要素に前記硬化性ポリマーを含浸させることをさらに含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項5】
前記第一補強要素を前記第一レセプタクル内に配置する前記ステップの後に、前記第一補強要素に前記硬化性ポリマーを含浸させることをさらに含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項6】
前記第二補強要素を前記第二レセプタクル内に配置する前記ステップの前に、前記第二補強要素に前記硬化性ポリマーを含浸させることをさらに含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項7】
前記第二補強要素を前記第二レセプタクル内に配置する前記ステップの後に、前記第二補強要素に前記硬化性ポリマーを含浸させることをさらに含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項8】
前記第二補強要素は、材料ストリップを含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項9】
前記第二補強要素を形成する前記材料ストリップは、繊維性材料である、請求項8に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項10】
前記組積造壁内の複数の分散した位置で前記既存のセメントモルタルを除去する前記ステップは、
前記分散した位置の少なくともいくつかでは、前記セメントモルタルの所定の深さまで垂直面の前記モルタルのすべてを除去することと、
前記垂直面の上部、及び前記垂直面の下部で前記セメントモルタルの層の隣接部分を除去して、前記第一レセプタクルを形成することと、
を含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項11】
前記第一レセプタクルはI字型であり、前記第一補強部材の少なくともいくつかはI字型である、請求項10に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項12】
前記組積造壁内の前記既存のセメントモルタルを除去して前記第二レセプタクルを形成する前記ステップは、セメントモルタルを前記セメントモルタル層から除去することを含む、請求項10に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項13】
前記第一補強要素を前記第二補強要素に接着する前記ステップは、前記第一補強要素及び前記第二補強要素に、それらが前記第一レセプタクル及び前記第二レセプタクルに存在するときに硬化性ポリマーを塗布することを含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項14】
前記第一補強部材及び前記第二補強部材の前記第一レセプタクル及び前記第二レセプタクル内への配置後に、前記第一レセプタクル及び前記第二レセプタクル内の任意の空隙部を識別することと、
前記識別された空隙部を硬化性ポリマーで充填することと、
をさらに含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項15】
繊維アンカーを前記組積造壁内に設置することをさらに含む、請求項1に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項16】
前記繊維アンカーを設置することは、
前記繊維アンカーごとに、繊維束を前記組積造壁内に挿入することと、
前記繊維アンカーからの繊維を前記組積造壁の面上に広げることと、
硬化性ポリマーを使用して前記広げられた繊維を前記組積造壁の前記面に固定することと、
を含む、請求項15に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項17】
各繊維アンカーの前記束は、前記第二補強部材に接着される、請求項16に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項18】
前記繊維アンカーを設置することは、セメントボードの垂直面と前記セメントモルタル層との交差点で前記セメントモルタル内に前記繊維アンカーを設置することを含む、請求項15に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項19】
前記組積造壁の上に繊維性材料のパネルを適用することをさらに含む、請求項15に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項20】
前記繊維アンカーを前記組積造壁内に設置する前記ステップは、前記パネルを通して前記アンカーを受容することを含む、請求項19に記載の組積造壁を補強する方法。
【請求項21】
前記繊維アンカーからの繊維を前記組積造壁の面の上に広げることと、
硬化性ポリマーを使用して前記広げられた繊維を前記パネルの外面に固定することと、
をさらに含む、請求項20に記載の組積造壁を補強する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、組積造壁を補強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石、れんが、及びセメント系ブロックは、最も使用されている建材の一部である。一般に、これらを使用して、住宅、商業用、及び産業用の建物に構造壁、境界壁、及び仕切り壁(または「組積造壁」)を作製する。これらの構造物の耐用年数は、地域の規制及び要件に応じて50年から120年までさまざまである。それらの設計寿命の間に、これらの構造物は、使用の変更、荷重の増加、または衝撃荷重による破損の可能性を受けることが予想される、または建築基準法での変更に適合するように変更される必要がある場合がある。その結果、これらの壁の構造的完全性と、壁が本来意図していなかった荷重(例えば、面外モーメント及び面内せん断)に耐える能力とを強化する必要性が重要になる。重要な課題は、居住者の日課への影響を最小にし、実行可能な範囲でそれらの外観を維持しながら、完成時に向上した設計の構造的健全性を提供する、組積造壁の強化をシームレスに実行することができることである。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、組積造壁を補強する方法は、一般に、組積造壁内の複数の分散した位置で既存のセメントモルタルを、この壁の露出面から、第一レセプタクルを形成する深さまで除去することを含む。硬化性ポリマーを搬送するように構成される第一補強要素は、第一レセプタクル内に挿入される。組積造壁内の既存のセメントモルタルを、第二レセプタクルを形成する深さまで除去し、この第二レセプタクルは、少なくとも第一レセプタクルの1つから第一レセプタクルのもう1つまで延在し、この1つの第一レセプタクルと、このもう1つの第一レセプタクルとの両方と交差する。硬化性ポリマーを搬送するように構成される第二補強要素は、第二レセプタクル内に配置され、第一補強要素は、第二補強要素に接着される。
【0004】
本開示の他の目的及び特徴は、本明細書では、部分的に明らかであり、部分的に指摘されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】補強部材が設置されている組積造壁の正面図である。
【
図4】第一補強要素を受容するために第一レセプタクルを形成される組積造壁の正面図である。
【
図5】組積造壁の一部における第一補強要素の概略的な拡大部分斜視図である。
【
図6】第一補強要素が設置されており、その設置された位置の上で第二補強要素の1つが分解されている組積造壁の一部の概略斜視図である。
【
図7】
図4と同様の組積造壁の正面図であるが、繊維アンカーの設置を示している。
【
図8】繊維アンカー、補強パネル、及び組積造壁の分解部分斜視図であり、この組積造壁上に繊維アンカー及び補強パネルは設置されている。
【
図9】
図8の斜視図であるが、組積造壁上に設置される繊維アンカー及び補強シートを示している。
【
図10】
図8に示される配置の非常に概略的な側面図である。
【
図11】組積造壁上に設置された繊維アンカー及び補強パネルの概略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
対応する参照符号は、図面全体の対応する部品を示す。
【0007】
図1を参照して、組積造壁(れんが壁100として示される)は、以下に記載される方法に従って補強されている。れんが壁100は、モルタルによって互いに分離されたれんが105を含み、れんがの上下の水平方向に延在するモルタル層と、隣接するれんが間で垂直方向に延在するモルタル垂直面とを含む。図示されたれんが壁100は、以下に説明されるように、第一補強部材及び第二補強部材を使用して補強される。好ましくは、第一及び第二補強部材は、繊維補強ポリマーである。ただし、繊維補強ポリマーではない、または繊維補強ポリマー及びいくつかの他の種類の補強材のある混合物である、補強部材もまた企図される。
【0008】
図2及び3に見られるように、第一補強要素は、一般に、I字型インサート110として示されている。複数のI字型インサート110は、れんが壁100内の分散した位置112内に配置されている。
図4に見られるように、第一レセプタクル115は、分散した位置112に形成される。第一レセプタクル115は、れんが壁100が最初に構築されたときからのセメントモルタルを除去することによって形成される。第一レセプタクル115は、図示されるように、セメントモルタルの複数の垂直面114でセメントモルタルを除去し、垂直面の上部、及び垂直面の下部でセメントモルタル層116の隣接部分を除去することによって形成され得る。さらに、垂直面の上部及び下部に隣接するれんがの部分もまた除去される。第一レセプタクル115は、セメントモルタルを除去することで、一般にI字型であるが、本発明の範囲内で他の形状を有し得る。同様に、インサート110は、I字型以外のものであり得る。好ましくは、I字型インサート110は、第一レセプタクル115内に挿入されるときに、第一レセプタクルよりも小さいが、第一レセプタクルに概して適合する。より具体的には、第一レセプタクル115は、予め作製されたインサート110の形状に概して適合するように形成される。図示された実施形態では、除去されるれんが105の部分は、I字型インサート110の上部及び下部フランジを受容することで、フランジの上面及び下面は、それぞれ、れんがの上面及び下面と同一平面上にある、または少しだけ越えて突出する。非限定的な一実施形態では、インサート110は、およそ、深さ40mm、高さ76mm、及び幅76mmである。I字型インサート110のフランジ及びウェブの厚さは、それぞれ約6.4mmである。インサート110が使用される組積造の幾何学的形状によってインサート110のサイズ及び形状が決定されることが理解されよう。
【0009】
図5を参照して、I字型インサート110は、第一レセプタクル115に適合する。I字型インサート110は、硬化性ポリマー(例えば、樹脂、エポキシ)を含浸させ得る繊維性材料を含んでもよい。硬化性ポリマーは、I字型インサート110を第一レセプタクル115内に固定し、I字型インサート110とともに、れんが105を互いに関して強化し、安定化させる。
【0010】
図6に見られるように、第二補強要素は、一般に、材料中に液体ポリマーを保定することができる繊維性材料の薄く、平らなストリップ120として示されている。ストリップ120は、一体型として形成されることができる、または積層板として形成することができる。複数の第二レセプタクル125(
図5を参照)は、2つの第一レセプタクル115の間に延在する複数のモルタル層116から既存のセメントモルタルを除去することによって形成される。第二レセプタクル125内に配置されるストリップ120は、第二レセプタクルよりも小さいサイズであるが、好ましくは、第二レセプタクルに適合する。より具体的には、第二レセプタクル125は、予め作製されたストリップ120とサイズ及び形状が類似するように形成される。ストリップは、第二レセプタクル125内のI字型インサート110の間にまたがる。ストリップ120に硬化性ポリマーを含浸させることができる。ストリップ120内の硬化性ポリマーは、ストリップを隣接するれんがだけでなく、I字型インサート110にも接着する。硬化性ポリマーの硬化、及びI字型インサート110、ストリップ120、及びれんが105間の接着は、れんが壁100の補強を容易にする。
【0011】
図7を参照して、れんが壁100は、繊維アンカー130を使用してさらに補強されてもよい。繊維アンカー130は、アンカーの下部内で合わせて束ねられ、アンカーの上部内で束ねられていない繊維の集合体によって形成される。
図8~11に見られるように、繊維アンカー130は、れんが壁100のれんが105に設置される。繊維アンカー130の束ねられた下部は、れんが壁100内に挿入され、突出している繊維は、れんが壁の面の上に広げられ、硬化性ポリマーを使用してれんが壁の面に固定される。繊維アンカー130の束ねられた下部は、ストリップ120の1つを通って延出し、ストリップに接着され得る。
図7に示されるように、繊維アンカーの束ねられた下部のそれぞれは、モルタル層116内でI字型インサート110の1つを受容しない垂直面のうちの1つについての上部または下部に挿入される。繊維アンカー130の位置は、壁を上るにつれて、垂直面の下部から垂直面の上部に交互になる。当然、繊維アンカー130の他の配置及び位置は、本発明の範囲から逸脱することなく使用されることができる。繊維アンカー130の上部は、その束ねられていない繊維をれんが105の面上に広げさせられ、エポキシなどの適切な硬化性ポリマーの塗布によって接着させられることができる。ただし、
図8~11により良く示されるように、硬化性ポリマーを搬送する繊維性材料のパネル132は、れんが壁100の面上に配置されることができる。多くの場合、修理されるれんが壁の全長にわたって複数のパネル(図示せず)が使用される。パネル132は、硬化性ポリマーを搬送することができ、この硬化性ポリマーは、硬化してれんが壁100に強度を提供することができるが、そのうえパネルをこの壁に接着する。繊維アンカー130は、パネル132を介してれんが壁100内に受容されることができ、繊維アンカーの上部の束ねられていない繊維は、パネルの外面上に広がる。このようにして、繊維アンカー130がパネル132を第一及び第二補強部材110、112に構造的に連結することができることで、これらの繊維補強ポリマー構成要素が共同してれんが壁100を強化することができることが理解されよう。非限定的な一実施形態では、繊維アンカー130の束ねられた下部は、れんが壁内で約50mmの深さまで受容される。繊維アンカー130の上端部において束ねられていない繊維は、半径約50mmを有する円形に広げられることができる。他の寸法が可能であり、通常、壁のサイズ及び形状、ならびに壁が受ける荷重に基づいて決定される。
【0012】
補強されたれんが壁130の一実施形態の構造を説明したので、ここでは、れんが壁を補強する方法を説明する。れんが壁100を補強する方法の第一ステップは、複数の分散した位置で既存のセメントモルタルを除去して、第一レセプタクル115を形成することを含む(
図4)。さらに、垂直面の上部及び下部におけるれんが105の部分もまた除去される。モルタル及びれんが部分の掘削は、れんが105の全深さを下回る深さまでであり、示されているように、れんがの深さの約半分を下回る。
図4及び6に示されるように、第一レセプタクル115(及びこれらのレセプタクル内に受容されるインサート110)の位置は、一定の間隔で離隔されている。第一レセプタクル115は、垂直方向にアライメントを取った垂直面のグループのすべてに形成される。第一レセプタクル115及びインサート110のこの垂直柱状部のいずれかの側面に、2つの垂直面を飛ばし、垂直方向にアライメントを取った垂直面のもう1つの柱状部を掘り出し、I字型インサート110を受容する追加のレセプタクル115を形成する。レセプタクル、インサート、及びストリップの他の配置、及び配置のパターンは、本発明の範囲内で使用されてもよい。
【0013】
第一レセプタクル115を形成した後、繊維性I字型インサート110を第一レセプタクル115内に挿入する。I字型インサート110は、硬化性ポリマーを第一レセプタクル115内に搬送するように構成される。一実施形態では、I字型インサートを第一レセプタクル115内に挿入する前に、I字型インサート110に硬化性ポリマーを含浸させる。この方法の別の実施形態では、I字型インサートを第一レセプタクル115内に挿入した後、I字型インサート110に硬化性ポリマーを含浸させる。第一レセプタクル115内への挿入前にI字型インサート110に含浸させることに続き、追加の硬化性ポリマーをインサートに塗布することも可能である。
【0014】
次に、れんが壁100内の既存のセメントモルタルを除去し、第二レセプタクル125を形成する。各第二レセプタクルは、少なくともI字型インサート110の1つからI字型インサートのもう1つまで延在し、第一レセプタクル115の1つ、及び第一レセプタクルのもう1つと交差する。
図1及び6に示されるように、第二レセプタクル125は、れんが壁100の全幅に実質的に延在し、I字型インサート110が配置されるであろう、または配置されている複数の位置と交差する。第二レセプタクル125を形成するための掘削の深さは、れんが105の全深さを下回り、図示された実施形態では、れんがの深さの半分を下回る。示されるように、第二レセプタクル125の深さは、第一レセプタクルとほぼ同じである。
【0015】
硬化性ポリマーを搬送するように構成されるストリップ120は、第二レセプタクル125内に配置される。一実施形態では、ストリップを第二レセプタクル125内に挿入する前に、ストリップ120に硬化性ポリマーを含浸させる。この方法の別の実施形態では、ストリップを第二レセプタクル125内に挿入した後、ストリップ120に硬化性ポリマーを含浸させる。第二レセプタクル125内への挿入前にストリップ120に含浸させることに続き、追加の硬化性ポリマーをストリップに塗布することも可能である。その場合、硬化性ポリマーは、I字型インサート110及びストリップ120の両方に基本的に同時に塗布されてもよい。硬化性ポリマーは、硬化して、I字型インサート110をストリップ120に接着する。
【0016】
I字型インサート110及びストリップ120がレセプタクル115及び125内に挿入された後、技術者は、設置を検査して、第一及び第二レセプタクル内であらゆる空隙部を見つける。これらの空隙部に硬化性ポリマーを充填させる。一実施形態では、硬化性ポリマーは、高い圧縮強度に硬化するエポキシである。
【0017】
任意選択で、れんが壁100は、繊維アンカー130をれんが壁内に設置し、繊維補強ポリマーのパネル132をこの壁の面に適用することによってさらに補強され得る。繊維アンカー130についての位置は、本明細書で前述されるように選択されることができ、孔部は、個々のアンカーを受容するためにれんが壁内に形成されることができる。対応する孔部をパネル(複数可)132内に形成することができることで、このパネルを通して繊維アンカー130をれんが壁100内に受容することができる。パネルの適用前に繊維アンカーを挿入することができることも可能であるが、これは、繊維アンカーの上端部で束ねられていない繊維の制御を必要とする。繊維アンカー130は、れんが壁内へのアンカーの挿入前に、及び/または後に、アンカーに塗布される硬化性ポリマーの硬化によって適所にさらに固定されることができる。パネル(複数可)132の適用は、パネルに硬化性ポリマーを含浸させ、パネルをれんが壁100に適用することによって実行されることができる。硬化性ポリマーは、硬化前にパネル132をれんが壁100上に保定するのに十分な接着を提供し得る。ただし、必要な場合、パネル132の適用前にれんが壁100にタックコートを塗布して、パネルの壁への適切な付着性を確実にすることができる。パネル132をれんが壁100に接着した後、追加の硬化性ポリマーをパネル132に塗布することができる。タックコートを使用する場合、パネル132のれんが壁100への適用後まで、潜在的に硬化性ポリマーをパネル132に塗布することができない。
【0018】
繊維アンカー130及びパネル(複数可)132をれんが壁100に適用すると、パネルの繊維アンカーへのより密接でより効率的な力伝達連結を達成することができる。繊維アンカー130の束ねられていない繊維は、一般に、繊維アンカーからパネル132の面上に円形に広がっている。繊維アンカー130の広げられた繊維は、パネルに存在する硬化性ポリマーによって簡単にパネルに固定されることができる。ただし、追加の硬化性ポリマー(例えば、エポキシ)を、広げられた繊維上に塗布して、繊維アンカー130をパネルにさらに固定することができる。
【0019】
添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱することなく、修正形態及び変形形態が可能であることは明らかであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構成及び方法においてさまざまな変更が行われることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての主題が例示として解釈されるものとし、制限する意味に解釈されないものとすることが意図される。