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  • 特開-生体監視装置用シールド 図1
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  • 特開-生体監視装置用シールド 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164516
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】生体監視装置用シールド
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A01K29/00 E
A01K29/00 C
A01K29/00 B
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021093274
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】507294395
【氏名又は名称】株式会社ホクシンエレクトロニクス
(71)【出願人】
【識別番号】509192684
【氏名又は名称】株式会社山王電機製作所
(72)【発明者】
【氏名】田中 義克
(72)【発明者】
【氏名】田村 雅史
(57)【要約】
【課題】犬、ねずみなど愛玩動物や実験動物の呼吸や心拍や酸素濃度を測定する電磁波式生体監視装置に用いるケージ用シールドを提供する。
【解決手段】24GHzや60GHzの電磁波を利用する電磁波式生体監視装置に用いる飼育ケージ用シールドは、測定に不要な電磁波の遮断、吸収特性と通気性能のあるメッシュで継ぎ目や隙間が無く組み立てられ、ケージ内部上面には電磁波を吸収する電磁波吸収シートを配し、側面にホーン用の穴と生体出し入れや管理用の扉を設けてあり、それを飼育ケージの外部側に被せたまま飼育や生体情報検出をする。この構造のシールドは使用する電波が生体で反射し、またはケージ内部で反射した不要な電磁波、および飼育ケージ外部からの電磁波を遮断、吸収するため、飼育ケージ内は測定に不要な電磁波は除去される。その結果、飼育や測定場所の制限が無く、精度良く動物の生体情報を検出、測定する事が可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育ケージ内の動物に向けて電磁波を放射して、その反射波から生体情報を読み取る生体監視装置において、飼育ケージの外部からの電磁波を遮断し、飼育ケージ内の生体に向けて放射されケージ内部で乱反射している電磁波を吸収することで精度良く生体情報を検出することを特徴とした生体監視装置用シールド。
【請求項2】
飼育ケージ内の動物に向けて高周波帯域の電磁波を放射して、その反射波から心拍と呼吸の情報を読み取る生体監視装置において、飼育ケージの外部からの電磁波を遮断し、飼育ケージ内部で生体に向けて放射されケージ内部で乱反射している電磁波を吸収することで精度良く心拍、呼吸情報を検出することを特徴とした導電性メッシュ構造の生体監視装置用シールド。
【請求項3】
飼育ケージ内の動物に向けて60GHz帯域の電磁波の指向性を制御するホーンを介して放射して、その反射波から、心拍、呼吸の情報を読み取る生体監視装置において、飼育ケージ外部に設置した電磁波指向制御用ホーン用の穴を有し、外部からの電磁波の遮断と飼育ケージ内部で生体に向けて放射されケージ内部で乱反射している電磁波を吸収することで精度良く生体情報を検出することを特徴とした導電性メッシュと電磁波吸収材を合わせた構造の生体監視装置用シールド
【請求項4】
飼育ケージ内の動物に向けて24GHz帯域と60GHz帯域の電磁波をそれぞれに指向性を制御するホーンを介して放射して、その反射波から、心拍、呼吸、酸素濃度情報を読み取る生体監視装置において、飼育ケージ外部に設置した電磁波指向制御用ホーン用の穴を複数有し、外部からの電磁波の遮断と飼育ケージ内部で生体に向けて放射され、ケージ内部で乱反射する電磁波を吸収する電磁波シートを配置したことで精度良く生体情報を検出することを特徴とした導電性メッシュ構造の生体監視装置用シールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス状の複数種類の電波を放射して、その反射波成分から呼吸、心拍、または酸素濃度情報までも検出する生体監視装置の飼育ケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動物の心拍、呼吸の測定は、健康管理や医療行為に必要な情報であり、医療機器や獣医師・管理者の触診、心電図、聴診器で行っていた。
【0003】
小動物の心拍、呼吸を検知するときは、敏感な圧電センサを使用したマットに生体を接触させて測定する機器があり、これにより生体の心拍、呼吸を測定し異常を検知していた。
【0004】
さらに、動物の酸素濃度、酸素飽和度を測定する方法としては、麻酔で動きを止めて電極に乗せるなど接触させて測定する方式があるが生体への負担が大きかった。
【0005】
この酸素測定方法は、体毛がある動物や大型の動物に対しては無効であり、その場合は、動脈血管に注射針を刺す方法で血液を採取して酸素濃度を測定しており、採血行為によるストレス、麻酔薬の影響、皮膚や血管が痛むリスクを背負わなければならなかった。
【0006】
新たな生体情報検出手法として、マイクロ波やミリ波の電磁波を利用する方式では麻酔や注射針を刺す必要が無く生体への負担が少ないが、飼育ケージ内や環境は電磁波が少ない環境が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、動物の状態を把握する為には、医療または管理者は生体に接触させ、若しくは侵襲的に使用する機器での呼吸、心拍、酸素濃度の測定が欠かせないものであり、その測定には高度な技術を有す人手不足の問題がある。
【0008】
また、動物の状態を把握する為には、医療または管理者は生体に接触させ、若しくは侵襲的に使用する機器での呼吸、心拍、酸素濃度の測定が欠かせないものであり、測定現場では動物への接触による感染リスクや使用する機器を介した動物生体同士の感染リスクの問題がある。
【0009】
合わせて、接触測定によるストレス増大と、ストレスによる測定値変動の影響も懸念されていた。
【0010】
生体に安全な微弱電波を使用する電磁波方式の生体監視装置は、動物に対して非接触であるためストレスを与えない上、遠隔監視をも可能として管理従事者の負担を低減するものであるが、環境起因の電磁波がノイズとなるため設置場所が限定された。
【0011】
また、生体に向けて放射された微弱な電磁波の反射成分を読み取る必要があるため、環境起因の電磁波や飼育ケージ内で乱反射する測定に不要な電磁波の除去が必要である。
【0012】
本発明は、生体に安全な微弱電波を使用する方法であり、動物への接触が不要な方法である電磁波方式の生体監視装置は周囲の電磁波が強いと正確な測定が出来ないため環境起因の電磁波や飼育ケージ内で乱反射する電磁波の除去が課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
電磁波式の生体監視装置は、生体に安全な微弱出力の複数電磁波の放射と反射波受信を行う各1個以上のアンテナを備え、このアンテナ放射部に取付けられたホーンによって指向性を制御し、前記生体が呼吸した時と心臓の鼓動を含む僅かな変位を読み取ること、および60GHzを含む複数の周波数の減衰具合を比較することで酸素濃度の測定が可能であり、それをもとに読み取られた情報から電子回路上のアルゴリズムで必要成分を検出しモニタに表示する事を特徴としている。
【0014】
本発明は、電磁波式の生体監視装置を使用する上で、環境起因の電磁波や飼育ケージ内で乱反射する測定に不要な電磁波の除去について、生体情報を検出する動物を入れた金属性の檻、金属板の底板のある構造の飼育ケージの外側に、電磁波を遮断や吸収をするメッシュを前後左右と上面を隙間無く接合したシールドを配置することで解決する。
【0015】
本発明は、既存の金属製の檻構造の飼育ケージに対して、その外寸法の大きさに合わせて製作した、前記構造素材の飼育ケージを覆う構造のシールドで、ケージに被せる方法で取り付け使用する事を目的とする。
【0016】
飼育ケージと前記構造素材の飼育ケージを覆うシールドは、合わせて設計製作することも可能である。
本発明は、以上の構成からなる生体監視装置用シールドである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は生体監視装置用シールドの設置場所の条件を緩和したので、放射した電磁波の反射波の変位から生体情報と異常な動きや不在も検知できる。それらから得られた情報を飼育ケージ外部に設置した機器にリアルタイムに伝送し表示させることができる。また、表示部を見ただけで呼吸、心拍、酸素濃度、体動までも容易に確認できる。また、獣医師、飼育管理者が生体に直接触れない事で互いに感染リスクを減らし、測定する手間や負担を省くことができる。さらに、生体の動きが確認できない場合は警告音で知らせることにより突発的に起こりうる生体の逸走を検知することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の使用例の略図である。
図2】本発明を横から見た透視図である。
図3】本発明のメッシュサイズの説明図である。
図4】本発明のメッシュ接合部の図である。
図5】本発明の電磁波吸収を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の生体監視装置用シールドの外観例である。このケージ用シールド3は飼育ケージ2に被せてあり、生体1の出し入れや管理するための管理用扉4を有している。
【0020】
ケージ用シールド3には、飼育ケージ2に合わせて、生体1の飼育外に配置した、開口可能で電磁波の放出や受信するための電磁波放射口5が設けられている。
【0021】
図2は、飼育ケージ2とケージ用シールド3の位置関係を示している。飼育ケージ2の外側にケージ用シールド3を被せてあり、隙間無く固定されている。
【0022】
飼育ケージ2は、格子状の檻や、鳥かご型等が挙げられ材質は測定による指定は無く動物の逸走防止や衛生確保を優先する。ただし底面が金属製でありそこからの反射波が測定に影響する場合は電磁波を吸収するメッシュを敷き使用する。
【0023】
図3は、ケージ用シールド3を構成する素材であるメッシュの目について示しており、この目の大きさを測定に使用する電磁波の波長より小さく、尚且つ波長の二分の一の整数倍寸法にならない大きさにする事で電磁波が共振せず吸収される。
【0024】
ケージ用シールド3のメッシュ開口6のサイズは、電磁波式の生体監視装置から放射される電磁波を吸収するため波長未満であり、生体の飼育環境の衛生や室内で自然通気を妨げずに換気を良好に保つための通気のために0.5mm以上にすることで生体への健康リスクを少なく出来る。
【0025】
ケージ用シールド3のメッシュの材質は、電磁波を吸収するため電気的導通が必要で、生体の衛生的な飼育を行うため、錆び難く洗浄可能なステンレス、ニッケルやクロムめっきを施した鉄、銅、などの金属や導電性樹脂、カーボン配合素材を使用する。
【0026】
図4は、メッシュの接合部を示している。箱状に組み立てるときの接合辺はメッシュが重なるようにすることで、不要な外部からの電磁波7の進入を防げることを示している。
【0027】
また、開閉する扉も開口寸法よりも大きくすると扉を閉じた状態で、周囲にかぶさることで、不要な外部からの電磁波7の進入を防げることを示している。
【0028】
図5について、放射と内部反射の電磁波8と本発明の効果として電磁波吸収を示している。測定のために放射ホーン9から放射された電磁波が内部メッシュ面で反射しても上面の電磁波吸収シート10で吸収され、ケージ用シールド3の外部からの電磁波7もメッシュ面で吸収されることを示している。
【符号の説明】
【0029】
1 生体(動物)
2 飼育ケージ
3 ケージ用シールド
4 管理用扉
5 電磁波放射口
6 メッシュ開口
7 外部からの電磁波
8 放射と内部反射の電磁波
9 放射ホーン
10 電磁波吸収シート
図1
図2
図3
図4
図5