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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164525
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】畳表用人工藺草
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/08 20060101AFI20221020BHJP
   D02G 3/36 20060101ALI20221020BHJP
   D02G 3/44 20060101ALI20221020BHJP
   D06M 15/333 20060101ALI20221020BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
D02G3/08
D02G3/36
D02G3/44
D06M15/333
E04F15/02 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021093923
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】591017504
【氏名又は名称】株式会社トーシン
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅博
(72)【発明者】
【氏名】田中 範久
(72)【発明者】
【氏名】田中 とし子
【テーマコード(参考)】
2E220
4L033
4L036
【Fターム(参考)】
2E220AA02
2E220AA07
2E220AA15
2E220AA16
2E220AA23
2E220AA33
2E220AA53
2E220AC01
2E220AD03
2E220AD11
2E220AD13
2E220FA01
2E220FA05
2E220GA22X
2E220GA27X
2E220GB32X
2E220GB48X
4L033AA02
4L033AB01
4L033AB03
4L033AB09
4L033AC03
4L033AC11
4L033CA28
4L036MA04
4L036PA21
4L036PA26
4L036RA24
4L036RA25
4L036UA08
4L036UA26
(57)【要約】
【課題】細く裁断された紙テープに撚りをかけて抄織糸を形成し、この抄織糸を樹脂で被覆した後機織することにより作った着色性を高めて、撥水性に優れた中空部を持つ強靭で耐摩耗性を持つ樹脂被覆の抄繊糸体の畳表用人工藺草を提供する。
【解決手段】0.015~0.025mm厚さの紙テープを渦巻き状の多重巻の撚りをかけ、1~1・5mmφ径の抄繊糸体に弾力性と強靭性を持たせるため、重巻の中心部に空洞部を設け、外表面部にはエステル系合成樹脂を紙テープ厚さ以上の均一な被膜層にして、前記抄繊糸体を機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と、機織後の撥水性と着色性の特性を維持した表面にしている畳表用人工藺草である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.015~0.025mm厚さの紙テープを渦巻き状の重巻の撚りをかけ、1~1.5mmφ径の抄繊糸体に弾力性と強靭性を持たせるため、重巻の中心部に空洞部を設け、外表面部にはエステル系合成樹脂を紙テープ厚さ以上の均一な被膜層にして、前記抄繊糸体を機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と、機織後の撥水性と着色性と抗菌性の特性を維持した表面にしていることを特徴とする畳表用人工藺草。
【請求項2】
幅20~30mmの紙テープを7~8重密着巻の撚りをかけて成した直径1~1・5mmφ径の中心部に0.2~0.4mmφ径の空洞部を存在させた抄繊糸体の外表面にエステル系合成樹脂液を含浸させた後に乾燥又は硬化させ、表面に次いで先に含浸させた前記合成樹脂液と同じ合成樹脂液に撥水性を有する溶液と抗菌性剤を含み溶液との混合液を含浸させた後に抄繊糸体の外表面に0.013~0.03mm厚さのエステル系合成樹脂の被膜層を迅速に乾燥又は硬化させて、最外層には機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と併せて、着色性、及び撥水性、及び抗菌性を有している中空部を持つ多層薄紙の抄繊糸体になっていることを特徴とする請求項1に記載の畳表用人工藺草。
【請求項3】
セルロース純度の高いパルプを用いて抄紙機にて均一で薄くて強い和紙をスリットした0.015~0.025mm厚さの和紙に撚りをかけた密着多重に撚した和紙の1~1.5mmφ径の抄繊糸体としての多重撚状層の中空体を得て、その外表面にポリアクリル酸、又はポリ酢酸ビニルのエステル系合成樹脂のエマルジョン溶液を使用して被覆して、さらに撥水剤、耐摩擦性はケイ素含有する溶液であり、ケイ素の含浸量は抄繊糸体である撚糸状多重層の中空体の表面に0.5~0.8重量%含有していることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の畳表用人工藺草。
【請求項4】
木質繊維セルロースから抄造された薄紙テープに撚りをかけて得られる抄繊糸体の表面に、エステル系合成樹脂の水性樹脂エマルジョンを0.015~0.025mm厚さのコーティングした第一撥水層の被膜を形成した後、
前記第一撥水層の被膜の表面に有機系シランカップリング剤を含む溶液を含む第二樹脂組成物をコーティングして撥水剤、耐摩擦性層を形成することにより抄繊糸の表面に施した後、
前記処理済の撥水性と着色性、及び耐摩擦性を有する抄繊糸体を機織していることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の畳表用人工藺草。
【発明の詳細な説明】
【利用分野】
【0001】
本発明は、細く裁断された紙テープに撚りをかけて抄織糸を形成し、この抄織糸を樹脂で被覆した後機織することにより作った着色性と軽量性を高めて、撥水性と耐摩擦性に優れた中空部を持つ強靭で耐摩耗性を持つ多層薄紙の樹脂被覆の抄繊糸体の畳表用人工藺草に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用床材としては、フローリング、カーペット、クッションフロア、畳などがあるが、日本の生活習慣に合い、保温性、弾力性、感触性に優れた畳が現在見直されている。畳表の材料としてはイ草が代表的であるが、イ草にも各種の欠点が存在する。
▲1▼ 天然繊維のために繊維径や色が限定され、デザイン・バリエーションに乏しい。
▲2▼ 天然繊維のため、ダニやカビが発生しやすい。
▲3▼ イ草の内部には白いスポンジ状の繊維の芯があり、表面が摩耗して白いスポンジ状の繊維が表れると目立って見苦しくなる。
▲4▼ 天然繊維の生産量は天候に左右され易く、又、天候による品質のばらつきも大きい。
▲5▼ イ草の長さには一定の限度があるので、織り幅が制限され、幅の大きいものを織る事が出来ない。
【0003】
このような天然繊維であるイ草の欠点に対してポリプロピレン等の合成樹脂を繊維とした畳表も提案されているが、これも以下のような欠点がある。
▲1▼ 吸湿性が乏しいため、べとつき易く感触性に劣る。
▲2▼ 素材が人工的であるため風合いや色合など自然感に劣る。
そこで、前記近年では問題点を解決する床材用上張材の素材として紙が着目されている。紙を用いた製造法としては抄造した紙を20~40mm程度の幅に裁断して、これに筒状に撚りをかけて抄繊糸を形成し、この抄繊糸を機織することによって畳表とする方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
素材として抄繊紙を用いる場合、紙の段階,抄繊糸の段階又は編繊後のいずれかの段階で紙のケバ立ちを防止し、製品にコシを持たす目的でアクリル樹脂等の合成樹脂が表面にコーティングされ、摩耗強度,触感等の物性を向上させるためにセルロース系樹脂,ナイロン樹脂,アミノ樹脂等で表面処理している。これらの畳表をより耐水・耐汚染性に優れたものとするための手段として、二層コーティングによる撥水処理を施した畳表を案出しされており、この従来技術では、抄繊糸の表面に撥水性を有する撥水撥油層が強固に形成されるので、お茶等をこぼした際にもシミが付き難い畳表を提供している(特許文献2参照)。
【0005】
より優れた撥水性を得ることのできる、撥水加工方法、撥水膜構造およびその撥水膜構造を有する撥水構造体からなる畳表として、加工対象物である筒状抄繊糸の表面には、撥水膜構造が構成される。この撥水膜構造は、第1撥水剤を有する第1コーティング層と第2撥水剤を有する第2コーティング層とを含み、第1撥水剤を構成する架橋性高分子と第2撥水剤を構成する架橋性高分子とが相互に架橋される。第1コーティング層の第1撥水剤に分布ムラが生じたとしても、第2コーティング層の第2撥水剤によってムラ部分の撥水性が補われる方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
イ草製のものとほぼ同等の質感ならびに機能を有する、生産性に優れた畳表および畳パネルをとして、熱可塑性樹脂を介して紙と不織布とを積層し、熱圧で一体化して得た畳表は、イ草あるいは筒状の抄繊糸を織機で編織りして製造する従来のものに比べて経済的に製造可能である。また、熱可塑性樹脂を介して紙と木質繊維板とを積層し、熱圧で一体化して得た畳パネルでは、畳の製造工程のうち、畳表の編織工程および畳表と畳床との縫着工程を一つの工程に簡素化できる。そして、これらの畳表および畳パネルでは、その表層がエンボス模様を施した紙で構成されているので、吸放湿性に優れベトつきも無く、イ草製の畳表または畳と同等の質感ならびに機能のものを得ることができる(特許文献4参照)。
【0007】
抄繊糸の表面から撥水撥油層が剥離しにくい畳表として、木質繊維から抄造された紙に撚りをかけて得られる抄繊糸の表面に、水性樹脂エマルジョン、撥水撥油剤、有機系シランカップリング剤を含む第一樹脂組成物をコーティングして第一撥水撥油層を形成した後、第一撥水撥油層の表面に撥水撥油剤を含む第二樹脂組成物をコーティングして第二撥水撥油層を形成することにより抄繊糸の表面に撥水撥油加工を施した後、撥水撥油処理済の抄繊糸を機織する方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0008】
紙テープに撚りをかけて製造する筒撚り撚糸において、強度に優れ、品質の安定した撚糸を得る、及びそのような撚糸をより簡便な工程で得ることができる製造方法として、原紙の片面にバリア層を設け、バリア層面が撚糸の内側になるように撚糸製造を行うようにする方法と、紙テープがスパイラル状に巻かれて形成された畳表用紙管である。紙テープは、複数のテープ素材を幅方向にずらして重なり合わされ、予め塗布されているヒートシール性コーティング剤にて接着して形成されている。最外層のテープ素材のコーティング剤には耐摩耗性又は撥水性、或いは耐摩耗性及び撥水性成分が添加されている方法との製造法が提案されている(特許文献6,7参照)。
【0009】
そこで、これらの畳表をより耐水・耐汚染性、耐久性、抗菌性に優れたものとするための手段として、二層コーティングによる撥水処理を施した畳表を案出した抗菌性、及び耐熱性、及び撥水性と耐摩擦性の人工藺草の畳表について製作されていない。この従来技術では、抄繊糸の表面に特性を有する撥水層が強固に形成されるので、お茶等をこぼした際にもシミが付き難い畳表を提供できるようになった。さらに抗菌性、及び耐熱性、及び撥水性と耐摩擦性の藺草については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7-3572号公報
【特許文献2】特許第2885658号公報
【特許文献3】特許第4167846号公報
【特許文献4】特許第4455238号公報
【特許文献5】特開号2010-168709公報
【特許文献6】特開号2016-141898公報
【特許文献7】特開号2020-101077公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の撥水処理が施された畳表では、乾燥状態や湿った状態の何れの場合であっても、その表面を雑巾等で強く擦ると表面の抗菌性、及び耐熱性、及び撥水性と耐摩擦性層に擦り傷が入って白く光って見えるという欠点が見られる。抄繊糸の表面に形成されている撥水層が抄繊糸体の表面から擦り傷状に剥離してしまうこと、抄繊糸体の表面から抗菌性、及び耐熱性、及び撥水性と耐摩擦性が剥離しにくい畳表を提供することを目的としている。このような処理が施された抄造紙製の畳表は多くの点で自然藺草と同等の性能を有しているが、着色性、吸水性が高い。よって、抄造紙製の畳表にコーヒー,ジュース,醤油等の液体をこぼした場合には時間の経過とともに抄繊糸の内部にまで浸透し、汚れを除去することが困難になる。また、掃除の際に濡れ雑巾等で強く繰り返し擦られると、被覆表面層がはげる恐れがある。
【0012】
この筒状抄繊糸は、撚糸加工、樹脂加工、機織と製畳に工程が多くてコストがかかるだけでなく、上記のように中空状の撚糸にするため撚りを掛けるが、撚りの状態によっては撚糸の太さにばらつきが生じるという問題がある。また抄繊糸に用いられる紙は単色の和紙であり、畳表全体の色或いは畳表に部分的に現れる筒状抄繊糸毎に微妙に或いは大幅に色を変えようとすると、カラーバリエーションごとに異なる色の和紙テープを用意しなければならならず、多種類の和紙テープの在庫が必要となっていた。上記のように撥水性や耐摩耗性向上のために筒状抄繊糸に樹脂加工を行っている。該樹脂加工には製造ラインに長大な樹脂コーティング槽とこれに続く樹脂乾燥機を必要とし、大きな設備面積を必要とするという問題点もあった。
【0013】
本発明はこのような抄繊糸体の問題点を解消し、畳表用として好適な素材としての紙管の提供を課題とし、紙管製造前に多種類の着色性で彩色され、且つ撥水処理のなされた前記紙管を畳表の素材とすることにより畳表を簡素化すると共に、撚りを原因とする中空を持つ、樹脂被覆抄繊糸体の太さのばらつきを解消し、その品質が大幅に向上した畳表を提供する課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
0.015~0.025mm厚さの紙テープを渦巻き状の重巻の撚りをかけ、1~1・5mmφ径の抄繊糸体に弾力性と強靭性を持たせるため、重巻の中心部に空洞部を設け、外表面部にはエステル系合成樹脂を紙テープ厚さ以上の均一な被膜層にして、前記抄繊糸体を機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と、機織後の撥水性と着色性の特性を維持した表面にしている畳表用人工藺草である。
【0015】
幅20~30mmの紙テープを7~8重密着巻の撚りをかけて成した1~1・5mmφ径に中心部に0.2~0.4mmφ径の空洞部を存在させた抄繊糸体の外表面にエステル系合成樹脂液を含浸させた後に乾燥又は硬化させ、表面に次いで先に含浸させた前記合成樹脂液と同じ合成樹脂液に撥水性を有する溶液と抗菌性剤を含み溶液との混合液を含浸させた後に抄繊糸体の外表面に0.013~0.03mm厚さのエステル系合成樹脂の被膜層を迅速に乾燥又は硬化させて、最外層には機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と併せて、着色性、及び撥水性を有している中空部を持つ多層薄紙の抄繊糸体になっている。
【0016】
セルロース純度の高いパルプを用いて抄紙機にて均一で薄くて強い和紙をスリットした0.015~0.025mm厚さの和紙に撚りをかけた密着多重に撚した和紙の1~1・5mmφ径の抄繊糸体としての多重撚状層の中空体を得て、その外表面にポリアクリル酸、ポリ酢酸ビニルのエステル系合成樹脂のエマルジョン溶液を使用して被覆して、さらに撥水剤、耐摩擦性はケイ素含有する溶液であり、ケイ素の含浸量は抄繊糸体である撚糸状多重層の中空体の表面に0.5~0.8重量%含有している。
【0017】
木質繊維セルロースから抄造された薄紙テープに撚りをかけて得られる抄繊糸体の表面に、エステル系合成樹脂の水性樹脂エマルジョンを0.03~0.05mm厚さのコーティングした第一撥水層の被膜を形成した後、
前記第一撥水層の被膜の表面に有機系シランカップリング剤を含む溶液を含む第二樹脂組成物をコーティングして撥水剤、耐摩擦性層を形成することにより抄繊糸の表面に施した後、
前記処理済の撥水性と着色性、及び耐摩擦性を有する抄繊糸体を機織している。
【0018】
前記第一樹脂組成物は、エステル系合成樹脂の水性樹脂エマルジョンの固形分に対して有機系シランカップリング剤を含有する。また床材用上張材の製造方法は、紙に撚りをかけて形成した抄繊糸に合成樹脂液を含浸させた後に乾燥させ、次いで先に含浸させた合成樹脂液と同じ合成樹脂液と撥水剤と抗菌剤の混合液を含浸させた後に乾燥させる方法を有する。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように本発明により、細く裁断された紙に撚りをかけて中空を持つ抄繊糸体を形成し、この抄繊糸体を機織した製品に十分な撥水性,耐汚染性を発揮させると共に、製造において有効助剤を用いられることで抗菌性、及び耐熱性、及び撥水性と耐摩擦性を付与して、さらに主要な樹脂成分によって表面の着色性及び撥水性を有することができる。機能最外層のテープ素材に着色性を持って、耐摩耗性又は撥水性を発揮して、多重和紙管の巻き製造と同時に樹脂乾燥機が出来るので、最外層の被膜層において、内側の層を構成するテープ素材の紙質を、最外層に着色性に加えて撥水性と耐摩擦性をテープ素材の紙質に加えている。また畳表に畳表用紙管を使用すれば、緯糸の太さが均一となり、畳表の品質が向上するだけでなく、太さの異なる紙管を自由に選定でき、畳表に今までとは異なる風合いを付与することができて、コストダウンにも寄与する。。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】畳表用人工藺草用抄繊糸の断面図とその抄繊糸の機織した状態を示す図である。A:断面図 B:抄繊糸の機織の図
図2】畳表用人工藺草の抄繊糸をエステル系合成樹脂液によって表面処理操作を示す概略図である。
図3】畳表用人工藺草の処理済みの抄繊糸表面と断面の状態写真を示す図である。A:表面状態写真(50倍) B:表面拡大写真(200倍) C:断面写真
図4】畳表用人工藺草におけるエステル系合成樹脂液処理での外表面、及び中心部の組成分析(質量スペクトル)を示す図である。A:外表面(資料と基準物質) B:内部(資料と基準物質)
図5】畳表用人工藺草の表面の元素分析(蛍光X線分析)を示す図である。
図6】畳表用人工藺草の表面の元素分析を電子線マイクロアナライザーで示す図である。
図7】畳表用人工藺草の熱分析の結果を示す図である。A:窒素雰囲気での200℃まで。B:空気雰囲気での500℃まで。
図8】畳表用人工藺草の処理品の引張り強度測定結果を示す図である。
図9】畳表用人工藺草の処理品の着色性と耐水性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
畳表用人工藺草用抄繊糸を表面の処理をしているため、撥水剤が抄繊糸の内部に吸収されにくく、主として抄繊糸の表面部分のみに着色性を付加されるため、さらに撥水剤の量が高めて、表面部分に耐摩耗性が集中して付与されて、水分が浸透しにくく汚れにくいものに仕上げている。
【実施例0021】
セルロース純度の高いパルプの和紙を用いて抄紙機にて均一で薄くて強い和紙をスリットした0.020mm厚さの和紙テープを渦巻き状の重巻の撚りをかけ、平均的1・2mmφ径の抄繊糸体に弾力性と強靭性を持たせるため、重巻の中心部に空洞部が得られるように緻密に巻いて抄繊糸体を得た。抄繊糸体の外表面部には酢酸ビニル系合成樹脂を紙テープ厚さ0.020mm厚さ以上の均一な被膜層が得られるように、図2に示す含侵被着装置にて被着させて、図1Aに示すような幅20mmの紙テープを7重密着巻の撚りをかけて成した1・2mmφ径に中心部に0.2~0.4mmφ径の空洞部を存在させた抄繊糸体の外表面に酢酸ビニル系合成樹脂のエステル系合成樹脂液を含浸させた後に乾燥又は硬化させ、表面に次いで先に含浸させた前記合成樹脂液と同じ合成樹脂液に撥水性を有する溶液にシリカ系の有機化合物を含み溶液との混合液を含浸させた後に抄繊糸体の外表面に平均的に0.020mm厚さのケイ素含有の酢酸ビニル系合成樹エステル系合成樹脂の被膜層を迅速に乾燥又は硬化させた。
【0022】
図1Bに示すように抄繊糸体の外表面に平均的に0.020mm厚さの被膜層を迅速に乾燥又は硬化させたケイ素含有の酢酸ビニル系合成樹エステル系合成樹脂の最外層には機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と併せて、着色性、及び撥水性を有している中空部を持つ多層薄紙の抄繊糸体になっている。セルロース純度の高いパルプの和紙を用いて抄紙機にて均一で薄くて強い和紙をスリットした0.02mm厚さの和紙に撚りをかけた密着多重に撚した和紙の約1・2mmφ径の抄繊糸体としての多重撚状層の中空体を得て、その外表面にポリ酢酸ビニルのエステル系合成樹脂のエマルジョン溶液を使用して被覆して、さらに撥水剤、耐摩擦性はケイ素含有する溶液であり、ケイ素の含浸量は抄繊糸体である撚糸状多重層の中空体の表面に0.6重量%含有した。
前記抄繊糸体を機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と、機織後の撥水性と着色性の特性を維持した表面にしている畳表用人工藺草になった。
【0023】
木質繊維セルロースから抄造された薄紙テープに撚りをかけて得られる抄繊糸体の表面に、ポリ酢酸ビニルのエステル系合成樹脂の水性樹脂エマルジョンを0.02mm厚さのコーティングした第一撥水層の被膜を形成した後に、有機系シランカップリング剤を含む溶液をコーティングして撥水剤、耐摩擦性層を形成することにより抄繊糸の表面に施した後、前記処理済の撥水性と着色性、及び耐摩擦性を有する抄繊糸体を機織した。
【0024】
前記表面にしている畳表用人工藺草の特性の測定として、▲1▼各特性(熱、着火、着色、吸水、伸び、破壊など)、▲2▼表面状態(電子スペクトル分析)、▲3▼成分分析(IRによる成分とどのような状態か)、▲4▼構造分析(藺草の内部の状態、組織など)の測定を行なった。
特性(熱、着火、着色、吸水、伸び、破壊など)の項目として:
1)耐熱性、着火性、2)色の着色、及び吸水性、3)表面積と細孔の状況
4)伸びの程度と破損の強度など人工藺草の物性を測定。
・TG/DTA,強度試験の測定。
・表面状態(電子線マイクロアナライザー分析)の分析。
・EPMAで表面の凹凸状況、構造・構成解析の測定。
・FT-IRスペクトルによって成分組成分析の測定。
・構造分析(藺草の内部の状態、組織など)
・断面切断によって、内部構造を観察。デジタルマイクロスコープ、EPMAなどの 測定。
▲1▼形態観察 マイクロスコープ、:表面の構造を直接観察した。
▲2▼成分分析 フーリエ変換赤外分析(FT-IR) :物質の推定・同定、特定 物質の濃度を測定した。
▲3▼元素分析 電子線マイクロアナライザー :元素・組成に関する情報の情報を 得た。
誘導結合プラズマ質量分析 :元素・組成に関する情報
▲4▼熱分析 示差熱分析(TG/IR) :熱的物性の測定を行った。
▲5▼分離分析 GC-MS分析 :分離、分析構造決定を行った。
▲6▼熱変化、着火、着色、吸水、伸び、破壊などの測定を行った
【0025】
マイクロスコープによる表面、断面の状態を行った。図1及び図3のような人工藺草としては、約1mmφ径に和紙が巻かれており、外面の樹脂の被膜にして藺草の特性を出している。1.2mmφの円形状に和紙を何回巻いてしっかりした細長太紐状になっており、中心部に02mm程度の空間部になった。また和紙の細長太紐状のものの表面に天然藺草以上の特性をもたらすことである。また畳に織る場合の硬さとしなやかさを備えていた。和紙の1.2mmφの細長太紐状に7巻されており、図4Aに表面に約20μmのポリ酢酸ビニルのエステル系合成樹脂の被膜と内部には図4Bに示すように和紙成分のセルローズになって、それらの状態が人工藺草の特性を示した。また和紙の特性と被膜の状態、すなわち被覆状態によって人工藺草の表面特性が変化して藺草の織り方に影響を与えた。
【0026】
図5に示すように、エネルギー分散蛍光X線分析の元素分析においては、ポリ酢酸ビニルエステルを被膜した人工藺草(C4:O2)、酸素/炭素の比率は70/29と酸素が高く、ポリ酢酸ビニルの分子組成での樹脂成分に依存しているようである。またシリカ分、塩素分が存在しており、シリカは疎水性に寄与しているものと推察される。また蛍光X線分析の無機成分のSiであった。また上記蛍光X線分析と同様な結果が図6に示すように電子線マイクロアナライザーからSiとClが見いだされた。
【0027】
図7に示すように、ケイ素含有の酢酸ビニル系合成樹エステル系合成樹脂の被膜層した人工藺草の熱変化として示差熱重量同時測定は、図空気中雰囲気中100℃までに、4.5%の減量があり、吸収水分を蒸発させている。また200℃まで0.6~0.7%の減量があり、大きな成分の揮発は存在しない。一方N2雰囲気熱変化では、被膜成分では314℃付近での熱と重量変化があり、300℃までは安定であることが明らかになった。
【0028】
ケイ素含有の酢酸ビニル系合成樹エステル系合成樹脂の被膜層した人工藺草の引っ張り強度は、図8に示すように1本では45N,20本束で890Nであり、相当な引っ張り強度を持っている。また図9に示すように水に対する状況、表面の状態、着火性、着色性も優れていた。機織している抄繊糸体は前記処理済の撥水性と着色性、及び耐摩擦性を有した。
【実施例0029】
実施例1と同様に0.020mm厚さの紙テープを渦巻き状の重巻の撚りをかけ、1mmφ径の抄繊糸体に弾力性と強靭性を持たせるため、重巻の中心部に空洞部を設け、外表面部にはエステル系合成樹脂を紙テープ厚さ以上の均一な被膜層にして、前記抄繊糸体を機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と、機織後の撥水性と着色性の特性を維持した表面にしている畳表用人工藺草であった。
【0030】
幅20mmの紙テープを7~8重密着巻の撚りをかけて成した1~1・5mmφ径に中心部に約0.3mmφ径の空洞部を存在させた抄繊糸体の外表面にエステル系合成樹脂液を含浸させた後に乾燥又は硬化させ、表面に次いで先に含浸させた前記合成樹脂液と同じ合成樹脂液に撥水性を有する溶液と抗菌性剤を含み溶液との混合液を含浸させた後に抄繊糸体の外表面に0.015mm厚さのエステル系合成樹脂の被膜層を迅速に乾燥又は硬化させて、最外層には機織できるような平滑性と強靭性と柔軟性と併せて、着色性、及び撥水性を有している中空部を持つ多層薄紙の抄繊糸体になった。
【0031】
セルロース純度の高いパルプを用いて抄紙機にて均一で薄くて強い和紙をスリットした0.015mm厚さの和紙に撚りをかけた密着多重に撚した和紙の1mmφ径の抄繊糸体としての多重撚状層の中空体を得て、その外表面にポリ酢酸ビニルのエステル系合成樹脂のエマルジョン溶液を使用して被覆して、さらに撥水剤、耐摩擦性はケイ素含有する溶液であり、ケイ素の含浸量は抄繊糸体である撚糸状多重層の中空体の表面に0.6重量%含有した。
【0032】
木質繊維セルロースから抄造された薄紙テープに撚りをかけて得られる抄繊糸体の表面に、エステル系合成樹脂の水性樹脂エマルジョンを0.02mm厚さのコーティングした被膜を形成した後、有機系シランカップリング剤を含む溶液を含む第二樹脂組成物をコーティングして撥水剤、耐摩擦性層を形成することにより抄繊糸の表面に施した後、前記処理済の撥水性と着色性、及び耐摩擦性を有する抄繊糸体を機織した。
【符号の説明】
【0033】
1.畳表用人工藺草
2.抄繊糸
3.和紙
4.被膜抄繊糸体
5.和紙多重巻
6.空隙体
7.ポリエステル樹脂溶液
8.樹脂被覆層
9.中空体
10.被覆抄繊糸体の外表面状態
11.エステルエマルジョン液被着装置
12.乾燥装置
13.テンションロール機
14.切断機
15.抄繊糸の径
16.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9