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  • 特開-体温追尾式生体監視装置 図1
  • 特開-体温追尾式生体監視装置 図2
  • 特開-体温追尾式生体監視装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164528
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】体温追尾式生体監視装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61B5/11 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021102774
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】507294395
【氏名又は名称】株式会社ホクシンエレクトロニクス
(71)【出願人】
【識別番号】509192684
【氏名又は名称】株式会社山王電機製作所
(72)【発明者】
【氏名】田中 義克
(72)【発明者】
【氏名】田村 雅史
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA20
4C038VB35
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】犬、ねずみ、サルなど、ケージ内で自ら移動する愛玩動物や実験動物の呼吸、心拍や酸素濃度を非接触でリアルタイムの測定が可能な体温追尾式生体監視装置を提供する。
【解決手段】送受信アンテナやホーンからなるセンサユニットを飼育ケージに設け、ケージ内で自ら移動する動物の体温を任意もしくは設定された時間と角度に制御されたスイープ動作するミリ波の電波アンテナで捉える。そして、その方向へ測定用60GHz付近の波長を含む複数種の波長の電波を放射して、生体からの反射波を受信する。この位置検知と生体情報取得のための一連の電波放射および受信を交互に行い、電子回路上のアルゴリズムで呼吸、心拍、酸素濃度を算出する。その結果、ケージ内で自ら移動する愛玩動物や実験動物の呼吸、心拍や酸素濃度を非接触、且つリアルタイムで測定が可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の生体情報を非接触で検出する手段において、生体の発する体温をミリ波帯の受信アンテナで検知することで生体の位置を特定し、生体情報検出に用いる電磁波の放射目標とすることを特徴とした、体温追尾式生体監視装置。
【請求項2】
動物の生体情報を非接触で検出する手段において、生体の発する体温をミリ波帯の受信アンテナをスイープする方法で走査させながら検知することで、生体の移動位置を特定し、生体情報検出に用いる電磁波の放射方向を電気モータで追従させる方法で、動く動物の生体情報をリアルタイムで測定することを特徴とした、体温追尾式生体監視装置。
【請求項3】
動物の生体情報を非接触で検出する手段において、生体の発する体温をミリ波帯の受信アンテナを1~30Hzでスイープする方法で走査させながら検知することで、生体の移動位置を特定し、生体情報検出に用いるミリ波の放射方向を電気モータによる制御装置と連動させて生体に追従させる方法で、動く動物の生体情報をリアルタイムで測定することを特徴とした、体温追尾式生体監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を利用して移動する生体の位置を体温で追従しながら、パルス状の電波を放射し、その反射波成分から、生体の呼吸、心拍、酸素濃度を測定することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体の心拍、呼吸の測定は、健康管理や医療行為に必要な情報であり測定は、医療従事者や管理者の触診、または心電図、聴診器、など医療機器を使用していた。
【0003】
従来、小動物の心拍、呼吸を測定するときは、敏感な圧電センサを取付けたマット状電極に、麻酔で動きを止めた生体を乗せて接触させる方式の装置を使用することにより生体の心拍、呼吸を測定し異常を検知していた。
【0004】
さらに、動物の酸素濃度、酸素飽和度を測定する方法として、麻酔で動きを止めたうえでセンサに接触させて測定する方法や、動脈血管に注射針を刺して採取した血液から酸素濃度を測定する方法があるが、麻酔や皮膚や血管が痛むため生体に対して負担となり、得られる測定値への影響も避けられない。
【0005】
生体に対して前項内容の負担がない非接触で、呼吸、心拍、酸素濃度を正確に測定する手段として、電磁波を生体に放射して、その反射波から生体情報を検出する方式の装置がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、動物の状態を把握する為には、獣医師または管理者は生体に接触させ、若しくは侵襲的に使用する機器での呼吸、心拍、酸素濃度の測定が欠かせないものであり、測定現場では高度な技術を有す人手不足の問題がある。
【0007】
また、動物の状態を把握する為には、獣医師または管理者は生体に接触させ、若しくは侵襲的に使用する機器での呼吸、心拍、酸素濃度の測定が欠かせないものであり、測定現場では動物への接触による感染症や使用する機器を介した動物生体同士の感染リスクの問題がある。
【0008】
あわせて、捕獲、接触や麻酔薬剤によるストレス起因の測定値変動の影響も懸念されていた。
【0009】
本発明は、生体に安全な微弱電波を使用する方法で、動物への接触が不要な生体情報測定において、測定時に生体を収容する容器や、測定場所を兼ねる飼育ケージは、その中で生体が自由に移動できる最低限の広さが必要であるが、生体が測定のための電波放射領域の外へ移動すると測定不能や測定値が不正確になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
動物の体温を追尾する電磁波式の生体監視装置において、生体に安全な微弱出力電波の放射と受信をするアンテナは指向性を制御するためのホーンを具備して、前記生体の正面、背面、左右側面方向に近接配置されパルス状の電波を発信し、前記生体の呼吸と心臓の鼓動を含む僅かな変位を読み取ること、および60GHz付近の周波数の減衰具合を比較することで酸素濃度を測定することを特徴とする。
【0011】
この場合の生体の心拍と呼吸の測定は、呼吸・鼓動により生ずる胸部の動きを、アルゴリズムを用いて、生体の体動の波形の中に含まれる小さな呼吸の波形や、心拍のより小さな波形を分ける処理をしている。
【0012】
この場合の生体内の酸素濃度や酸素飽和度の算出について、生体に向けて繰り返し放射された60GHzを含む複数の電波は体表面と体内の組織層で反射される。そのうちの体内で反射した60GHz付近の電波は生体内の酸素分子によって吸収され減衰する、酸素の影響を受けない周波数の電波の反射とを比較することで酸素濃度を推定するアルゴリズムを用いて行う。
【0013】
動物の体温を追尾する電磁波式の生体監視装置において、生体に安全な微弱出力電波の放射と受信をするアンテナと指向性を制御するためのホーンは、生体の居る位置方向を探すため、そして生体に向けて測定のための電磁波を放射するために、その向きは電気モータと電気回路上のプログラムで2次元方向に、連続して自動で変えることが可能である。
【0014】
生体の方向を検知するためには、電磁波式の生体監視装置のアンテナとホーンから放射される微弱出力電波の反射波の受信を行うアンテナを情報取得と位置走査とに繰り返し切り替えながら利用する。酸素濃度の測定に使用する60GHz帯のミリ波受信アンテナが、温度300K付近、37℃付近の温度放射に感度を利用して生体の体温を検知する。そして生体情報測定のための電磁波放射範囲に検知した生体の体温部が入るように、1Hzから60Hzで角度を10から30度としスイープさせる電子回路上のアルゴリズムを用いて指向方向にアンテナやホーンの方向を向ける事が可能である。
【0015】
本発明は、生体に安全な微弱電波を使用する生体情報検出において、ケージ内で移動する動物の位置を常時補足し、測定に使用する電磁波の放射方向を生体位置方向へ追従させ、且つ感度補正することを可能とするものである。また、位置の検出と同時に生体の体温変化も検出することを可能とする。
本発明は、以上の構成からなる体温追尾式生体監視装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、生体に安全な微弱電波を使用する生体情報検出において、ケージ内で移動する動物の位置を常時補足し、測定に使用する電磁波の放射方向を生体位置へ追従させ、且つ感度補正することで、常時、または任意のタイミングで生体の呼吸、心拍、酸素濃度測定を可能とすること、且つ高精度に変位を観察することで、獣医師・医療管理者の、測定のための負担を減らす事が出来る。
【0017】
ケージ内で移動する動物の位置を常時補足しながら放射した電磁波の反射波からは、常時、生体の呼吸、心拍、酸素濃度の情報を非接触で得る事を可能として、獣医師、管理者、および動物同士の間での感染症リスクを下げる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の使用例を上面から見た図である。
図2】移動した動物を追従している送信受信アンテナホーンの動きを上方向から見た図である。
図3】動物の位置をアンテナがスイープして検知することを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の体温追尾式生体監視装置の構成の利用例である。
ケージ2の中の生体1に向けて、センサユニット3から発する測定用の電磁波6はホーン5を介して放射される。
【0020】
図2は、移動した生体1を追従している送信受信ホーン5の動きを上方向から見た図である。ホーン5の基部が回転して生体の位置に電磁波6を放射する構造例を示している。
【0021】
図3は、アンテナおよびホーン5がスイープする方法で走査していることを示している。生体1の位置を検知して、生体1の位置に向けて測定用の電磁波6を放射する事が可能なアンテナもしくはホーン5を設置したケージ2、電磁波の発信受信を行うセンサユニット3、生体位置の走査を制御し、反射波から生体情報を算出して心拍、呼吸や酸素濃度の値を表示するコントロールモニタ4で構成される。
【符号の説明】
【0022】
1 生体(動物)
2 ケージ
3 センサユニット
4 コントロールモニタ
5 ホーン
6 電磁波
図1
図2
図3