(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164530
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】試料分析方法および試料作製方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20221020BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G01N1/28 F
G01N1/00 101B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118614
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】110113511
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518005182
【氏名又は名称】▲コウ▼康科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲チュ▼ 耕頡
(72)【発明者】
【氏名】▲チャン▼ 宗儒
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 純偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 弘仁
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA13
2G052AD32
2G052AD52
2G052CA03
2G052CA04
2G052DA06
2G052DA33
2G052GA34
2G052GA35
2G052HB04
2G052JA08
(57)【要約】
【課題】試料分析方法および試料調製方法を提供する。
【解決手段】試料分析方法は、試料作製ステップ、載置ステップ、および分析ステップを含む。試料作製ステップは、識別情報を取得する取得ステップと、試料が配置された試料運搬部材をマーキングデバイスに配置し、マーキングデバイスに識別情報を利用させて試料運搬部材に識別構造を形成させ、識別情報に従って試料運搬部材を収容溝の1つに配置するマーキング・載置ステップとを含む。載置ステップは、収容溝の1つから試料運搬部材を取り出し、試料運搬部材を電子顕微鏡装置に配置することによって実施される。分析ステップは、電子顕微鏡装置を利用して試料を撮影し、分析画像を生成することで実施される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回実施される試料作製ステップと、載置ステップと、分析ステップと、を含む試料分析方法であって、
前記試料作製ステップは、
収納箱に含まれる複数の収容溝のうちの1つの前記収容溝の位置を示す識別情報を取得するための取得ステップと、
少なくとも1つの試料が配置された試料運搬部材をマーキングデバイスに設置し、前記マーキングデバイスが前記識別情報を利用して前記試料運搬部材に識別構造を形成し、前記識別情報に従って前記試料運搬部材を対応的な前記収容溝に搬送するマーキング・配置ステップと、
を含み、
前記載置ステップは、前記識別構造を有する前記試料運搬部材を前記収納箱における対応的な収容溝から取り出して、前記試料運搬部材を電子顕微鏡装置に配置し、
前記分析ステップは、電子顕微鏡装置を用いて、少なくとも1つの試料を撮影し、分析画像を生成し、
前記試料運搬部材は、本体部と少なくとも1つのメッシュ構造を含み、前記本体部は、前記本体部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、前記少なくとも1つのメッシュ構造は、前記本体部に前記少なくとも1つの貫通孔内に配置されるように接続されると共に、前記少なくとも1つの貫通孔を複数のメッシュに分割し、前記少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの試料を運搬するように構成される、
ことを特徴とする試料分析方法。
【請求項2】
前記取得ステップでは、前記識別情報に加えて、システム情報をさらに取得し、前記システム情報は、少なくとも1つのシステム番号と顧客データを含み、前記分析ステップの後には前記試料分析方法は、前記少なくとも1つのシステム情報と前記分析画像とを統合して分析情報を作成し、前記分析情報を遠隔的な装置に送信することにより実施されるデータ送信ステップをさらに含み、前記分析情報に含まれる分析画像は、対応する顧客データを含み、前記遠隔的な装置に接続する顧客によって読み取られるように構成されている、請求項1に記載の試料分析方法。
【請求項3】
前記載置ステップと前記分析ステップの間には、
電子顕微鏡装置を用いて、前記試料搬送部材を撮影して判定画像を生成することと、前記判定画像内の前記識別構造を読み取ってリアルタイム情報を生成することと、前記リアルタイム情報に含まれるデータの少なくとも1つの部分と、前記システム情報に含まれるデータの少なくとも1つの部分とが一致するか否かを比較することと、を含む判定ステップが含まれ、
前記リアルタイム情報に含まれるデータの少なくとも1つの部分が、前記システム情報に含まれるデータの少なくとも1つの部分と一致すると判定した場合、前記分析ステップを行い、
前記リアルタイム情報に含まれるデータの少なくとも1つの部分が、前記システム情報に含まれるデータの少なくとも1つの部分と一致しないと判定した場合、前記電子顕微鏡装置に配置された前記試料搬送部材が前記システム情報と一致していないことをユーザに通知するように警告装置を動作させるように制御する、請求項2に記載の試料分析方法。
【請求項4】
前記取得ステップの前に、少なくとも1つの前記試料を前記試料運搬部材の少なくとも1つのメッシュ構造上に配置し、少なくとも1つの試料が配置された前記試料運搬部材を前記収納箱の対応的な前記収容溝に配置するか、或いは、前記収納箱の対応的な前記収容溝に配置された少なくとも1つの試料が配置された前記試料運搬部材を取り出し、前記収納箱の対応的な前記収容溝の付近のマーク構造が示す内容を入力装置に入力して識別情報を形成する、準備ステップが含まれる、請求項1に記載の試料分析方法。
【請求項5】
前記準備ステップの前に、
前記マーキングデバイスを用いて、大寸法基材に異なる様式の複数の組み立てマーク構造を形成することと、
切断装置を利用して、大寸法基材に対して少なくとも1回の切断操作を行い、大寸法基材を、それぞれが組み立てマーク構造の1つを含む複数の小寸法基材に切断することと、
サンプリング装置を用いて、前記小寸法基材の1つを切断し、少なくとも1つの前記試料を得ることと、
を含む
マーキング・切断ステップをさらに含む請求項4に記載の試料分析方法。
【請求項6】
前記識別構造は、前記本体部の一側に凹設されるか、または、前記本体部を貫通する貫通孔構造に構成され、前記識別構造は、文字的態様、数値的態様、記号的態様、および、模様的態様の少なくとも1つで示される、請求項1に記載の試料分析方法。
【請求項7】
前記マーキング・載置ステップにおいて、前記マーキングデバイスを利用して、前記試料運搬部材に2つの識別構造を形成し、前記識別構造の各々は、文字的態様、数値的態様、記号的態様、及び模様的態様のうちの少なくとも1つで示され、前記識別構造の一方は、前記収納箱に配置された前記試料運搬部材の縦方向の位置を識別するように構成され、前記識別構造の他方は、前記収納箱に配置された前記試料運搬部材の横方向の位置を識別するように構成される、請求項1に記載の試料分析方法。
【請求項8】
マーキング・載置ステップにおいて、前記マーキングデバイスによって、位置識別構造、方向識別構造、および試料識別構造から選ばれる少なくとも1つをさらに形成し、前記試料運搬構造は、前記本体部および前記メッシュ構造のうちの少なくとも1つに接続され、各前記位置識別構造は、前記試料運搬部材の中心位置に対する、前記試料運搬部材によって運搬された少なくとも1つの前記試料の位置を識別するために構成され、各前記位置識別構造は、テキストの態様、数値の態様、記号の態様、およびパターンの態様のうちの少なくとも1つで示され、前記方向識別構造が、前記本体部および前記メッシュ構造の少なくとも1つに接続されており、前記方向識別構造が前記本体部の一側に配置されているか、または少なくとも1つのメッシュ構造の中心位置に配置されており、前記方向識別構造が、テキストの態様、数値の態様、記号の態様、およびパターンの態様のうちの少なくとも1つで示されており、各前記試料識別構造が、前記本体部および前記メッシュ構造の少なくとも1つに接続されており、各試料識別構造が、テキストの態様、数値の態様、記号の態様、およびパターンの態様の少なくとも1つで表示されている請求項1に記載の試料分析方法。
【請求項9】
収納箱に含まれる複数の収容溝のうちの1つの前記収容溝の位置を示す識別情報を取得するための取得ステップと、
少なくとも1つの試料が配置された試料運搬部材をマーキングデバイスに設置し、前記マーキングデバイスが前記識別情報を利用して前記試料運搬部材に識別構造を形成し、前記識別情報に従って前記試料運搬部材を対応的な前記収容溝に搬送するマーキング・配置ステップと、
を含み、
前記試料運搬部材は、本体部と少なくとも1つのメッシュ構造を含み、前記本体部は、前記本体部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、前記少なくとも1つのメッシュ構造は、前記本体部に前記少なくとも1つの貫通孔内に配置されるように接続されると共に、前記少なくとも1つの貫通孔を複数のメッシュに分割し、前記少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの試料を運搬するように構成される、
ことを特徴とする試料作製方法。
【請求項10】
前記取得ステップの前に、少なくとも1つの前記試料を前記試料運搬部材の少なくとも1つのメッシュ構造上に配置し、少なくとも1つの試料が配置された前記試料運搬部材を前記収納箱の対応的な前記収容溝に配置するか、或いは、前記収納箱の対応的な前記収容溝に配置された少なくとも1つの試料が配置された前記試料運搬部材を取り出し、前記収納箱の対応的な前記収容溝の付近のマーク構造が示す内容を入力装置に入力して識別情報を形成する、準備ステップが含まれる、請求項9に記載の試料作製方法。
【請求項11】
前記準備ステップの前に、
前記マーキングデバイスを用いて、大寸法基材に異なる様式の複数の組み立てマーク構造を形成することと、
切断装置を利用して、大寸法基材に対して少なくとも1回の切断操作を行い、大寸法基材を、それぞれが組み立てマーク構造の1つを含む複数の小寸法基材に切断することと、
サンプリング装置を用いて、前記小寸法基材の1つを切断し、少なくとも1つの前記試料を得ることと、
を含む
マーキング・切断ステップをさらに含む請求項10に記載の試料作製方法。
【請求項12】
前記識別構造は、前記本体部の一側に凹設されるか、または、前記本体部を貫通する貫通孔構造に構成され、前記識別構造は、文字的態様、数値的態様、記号的態様、および、模様的態様の少なくとも1つで示される、請求項9に記載の試料作製方法。
【請求項13】
前記マーキング・載置ステップにおいて、前記マーキングデバイスを利用して、前記試料運搬部材に2つの識別構造を形成し、前記識別構造の各々は、文字的態様、数値的態様、記号的態様、及び模様的態様のうちの少なくとも1つで示され、前記識別構造の一方は、前記収納箱に配置された前記試料運搬部材の縦方向の位置を識別するように構成され、前記識別構造の他方は、前記収納箱に配置された前記試料運搬部材の横方向の位置を識別するように構成される、請求項9に記載の試料作製方法。
【請求項14】
マーキング・載置ステップにおいて、前記マーキングデバイスによって、位置識別構造、方向識別構造、および試料識別構造から選ばれる少なくとも1つをさらに形成し、前記試料運搬構造は、前記本体部および前記メッシュ構造のうちの少なくとも1つに接続され、各前記位置識別構造は、前記試料運搬部材の中心位置に対する、前記試料運搬部材によって運搬された少なくとも1つの前記試料の位置を識別するために構成され、各前記位置識別構造は、テキストの態様、数値の態様、記号の態様、およびパターンの態様のうちの少なくとも1つで示され、前記方向識別構造が、前記本体部および前記メッシュ構造の少なくとも1つに接続されており、前記方向識別構造が前記本体部の一側に配置されているか、または少なくとも1つのメッシュ構造の中心位置に配置されており、前記方向識別構造が、テキストの態様、数値の態様、記号の態様、およびパターンの態様のうちの少なくとも1つで示されており、各前記試料識別構造が、前記本体部および前記メッシュ構造の少なくとも1つに接続されており、各試料識別構造が、テキストの態様、数値の態様、記号の態様、およびパターンの態様の少なくとも1つで表示されている請求項9に記載の試料作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料分析方法および試料作成方法に関し、特に、電子顕微鏡装置を利用して試料を分析するのに適した試料分析方法および試料作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
しかし、電子顕微鏡装置によって試料の観察が終わった後、部材は一時格納装置に戻される。この時、部品を取り出した一時格納装置の位置を記録した紙が見つけられないと、部品は本来取り出した位置とは異なる位置に戻されてしまい、それに伴って関連するフォローアップ処理のエラーが発生することがある。
【0003】
電子部品の製造工程では、工程上のミスにより不具合が発生し、電子部品の歩留まりが悪くなることがある。不良の原因を突き止め、プロセスを改善するためには、多くの場合、機器を使って検査や物性分析を行う必要がある。物性分析に最もよく使われる機器は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、集束イオンビーム電子顕微鏡(FIB)などの電子顕微鏡である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術的不備に対して、本発明は、従来の試料分析方法または従来の試料作製方法に伴う課題、すなわち、試料の観察を終えた後、試料を載置する部材が収納箱の誤った位置に戻されやすいという課題を改善する試料分析方法および試料作製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、試料分析方法を提供する。試料分析方法は、試料作製ステップ、載置ステップ、および分析ステップを含む。試料作製ステップは、少なくとも1回実施され、試料作製ステップは、取得ステップと、マーキング・載置ステップとを含む。取得ステップは、識別情報を取得することによって実施される。識別情報は、収納箱の複数の収容溝のうちの1つの位置を示すように構成されており、収納箱は複数の収容ボックスを含む。マーキング・載置ステップは、少なくとも1つの試料が配置された試料運搬部材をマーキングデバイスに配置し、マーキングデバイスが識別情報を利用して試料運搬部材に識別構造を形成することを可能にし、識別情報に従って試料運搬部材を対応的な収容溝に配置することによって実施される。試料運搬部材は、本体部と少なくとも1つのメッシュ構造を含み、本体部は、本体部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、少なくとも1つのメッシュ構造は、本体部に接続され、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの貫通孔に配置され、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの貫通孔を複数のメッシュに分割し、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの試料を運搬するように構成されている。載置ステップは、識別構造を有する試料運搬部材を収納箱の収容溝の1つから取り出し、試料運搬部材を電子顕微鏡装置に載置することによって実施される。分析ステップは、電子顕微鏡装置を利用して、少なくとも1つの試料を撮影し、分析画像を生成することによって実施される。
【0006】
別の態様では、取得ステップと、マーキング・載置ステップとを含む試料作製方法を提供する。取得ステップは、識別情報を取得することによって実施される。識別情報は、収納箱の複数の収容溝の1つの位置を示すように構成されており、収納箱は複数の収容溝を含む。マーキング・載置ステップは、少なくとも1つの試料が配置された試料運搬部材をマーキングデバイスに配置し、マーキングデバイスが識別情報を利用して試料運搬部材に識別構造を形成することを可能にし、識別情報に従って試料運搬部材を収容溝の対応する1つに配置することによって実施される。試料運搬部材は、本体部と少なくとも1つのメッシュ構造を含み、本体部は、本体部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、少なくとも1つのメッシュ構造は、本体部に接続され、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの貫通孔内に配置され、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの貫通孔を複数のメッシュに分割し、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの試料を運搬するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
上記を纏めて、本発明による有益な効果の1つとしては、本発明の試料分析方法および試料作製方法により、担当者が電子顕微鏡装置を介して試料の観察を終えた後、試料搬送部材およびそれによって搬送された試料が収納箱の誤った位置に置かれる確率を効果的に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る試料分析方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2】本発明に係る試料分析方法の収納箱および1つの試料搬送部材を示す模式図である。
【
図3】本発明に係る試料分析方法の収納箱に1つの試料搬送が載置されていることを示す上面模式図である。
【
図4】本発明に係る試料分析方法の試料搬送部材に試料が搬送されていることを示す上面模式図である。
【
図5】本発明に係る試料分析方法の収納箱の他の実施形態を示す上面模式図である。
【
図6】本発明に係る試料分析方法の試料を搬送する試料搬送部材の特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図7】本発明に係る試料分析方法の試料を搬送する試料搬送部材の特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図8】本発明に係る試料分析方法の試料を搬送する試料搬送部材の特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図9】本発明に係る試料分析方法の第2の実施形態を示すフローチャートである。
【
図10】本発明に係る試料分析方法の第3の実施形態を示すフローチャートである。
【
図11】本発明に係る試料分析方法の第4の実施形態を示すフローチャートである。
【
図12】本発明に係る試料分析方法の第4の実施形態における大寸法基材および小寸法基材を示す模式図である。
【
図13】本発明に係る試料作製方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0010】
以下の説明において、特定の図面を参照するか、または特定の図面に示されているように参照することが示されている場合、これは、その後の説明において、前記関連する内容のほとんどがその特定の図面に現れることを強調するためだけのものであり、その後の説明を前記特定の図面のみを参照することに限定するものではない。
【0011】
図1から
図4を参照すると、本開示の試料分析方法は、試料作製ステップS11と、載置ステップS13と、分析ステップS15とを含む。試料作製ステップS11は、少なくとも1回実施され、試料作製ステップS11は、取得ステップS111と、マーキング・載置ステップS112とを含む。取得ステップS111は、識別情報を取得することで実施される。識別情報は、収納箱2の複数の収容溝211のうちの1つの収容溝の位置を示すように構成されている。マーキング・載置ステップS112は、少なくとも1つの試料Sが載置された試料搬送部材1をマーキングデバイスに配置し、マーキングデバイスが識別情報を利用して試料搬送部材1上に識別構造13を形成してから、識別情報に従って試料搬送部材1を対応的な収容溝211に収容するように実施される。載置ステップS13は、収納箱2の収容溝211の一つから、識別構造13を有する試料搬送部材1を取り出し、その試料搬送部材1を電子顕微鏡装置に載置するように実施される。分析ステップS15は、電子顕微鏡装置を利用して、少なくとも1つの試料Sを撮影し、分析画像を生成するように実施される。
【0012】
なお、試料作製ステップS11の実施回数は、実用上の要求や、収納箱2が含む収容溝211の数量に応じて決めることができ、本発明はこれに限定されない。具体的には、試料作製ステップS11を何度も繰り返し実施することで、識別構造13を有する複数の試料搬送部材1を収納箱2に収納した後、載置ステップS13と分析ステップS15とを実施することができる。
【0013】
他の実施形態では、取得ステップS111で取得された識別情報13は、収納箱2の収容溝211の一つの位置を示す関連内容に加えて、実用上の要求に応じて、収納箱2に関連する別の関連内容、収納箱2に配置された試料搬送部材1の関連内容、および試料搬送部材1に配置された試料Sの関連内容をさらに含むことができる。例えば、識別情報13は、試料Sの材質、試料Sの観察倍率、およびサンプリング観察領域の数量をさらに含むことができる。
【0014】
図2から
図4を参照すると、実際の応用例では、収納箱2は、箱体21、蓋22、および12個の識別構造23を含むことができる。箱体21は、12個の収容溝211を含む。収容溝211の各々は、試料運搬部材1の1つを収容するように用いられる。なお、箱体21が含む収容溝211の数量は、実用上の要求に応じて増減させることができ、収容溝211の数量は、
図2~
図4に示すものに限定されない。また、蓋22は、箱体21に着脱可能に接続されており、ユーザは、蓋22が収容溝211の全てを覆うように操作することができ、収容溝211に配置された試料搬送部材1が収容溝211から離脱することを防止することができる。なお、箱体21および蓋22の寸法や構造、および蓋22と箱体21との連結態様は、
図2~
図4に示すものに限定されない。他の実施形態では、収納箱2は、蓋22を含まないように設けることができる。
【0015】
異なる様式を有する12個のマーク構造23は、収納箱2の一側に配置され、各マーク構造23は、収容溝211の1つの近傍に配置され、各マーク構造23は、ユーザが収容溝211のそれぞれを識別できるように設けられている。マーク構造23のそれぞれは、例えば、文字態様(例えば、英文、漢文、または任意の国のテキスト)、数値態様(例えば、アラビア数字、ローマ数字)、記号態様(例えば、各種の幾何学図形)、およびパターン態様(例えば、ユーザが決定する任意のパターン)の少なくとも1つで示すことができる。例えば、12個の識別構造23は、それぞれA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lの英語のテキストで箱体21に表示することができる。別の実施形態では、マーク構造23のそれぞれは、テキストと数字を同時に含むことができる。例えば、12個のマーク構造23は、それぞれA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、D1、D2、D3とすることができる。マーク構造23の数量は、収容溝211の数量に対応しており、それぞれのマーク構造23は、ユーザが収容溝211の対応する1つを識別できるように設けられている。
【0016】
図4を参照すると、試料搬送部材1のそれぞれは、試料Sの1つを搬送するように構成されており、試料Sを搬送した試料搬送部材1のそれぞれは、例えば、各種の透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の電子顕微鏡装置に配置され、電子顕微鏡装置を介して、試料搬送部材1上の試料Sを観察することができる。試料搬送部材1のそれぞれは、本体部11と、メッシュ構造12と、識別構造13とを含む。
【0017】
本体部11は、本体部11を貫通する貫通孔111を含む。なお、本体部11および貫通孔111の構造および寸法は、本発明の図に示すものに限定されない。また、本体部11の材質やメッシュ構造体12の材質は、銅やニッケルを含むことができ、試料の種類に応じて選択することができ、本発明はこれに限定されない。また、メッシュ構造体12は、本体部11に接続され、メッシュ構造体12は、貫通孔111に配置され、メッシュ構造体12は、貫通孔111を複数のメッシュ112に分割し、メッシュ構造体12は、試料Sを搬送するように構成されているが、メッシュ112の構造や寸法は、試料Sの寸法や構造に応じて決めることができ、本発明はこれに限定されない。また、実用的には、メッシュ構造体12の材料は、本体部11の材料と同じであってもよい。
【0018】
識別構造13のそれぞれは、文字的な態様、数値的な態様、記号的な態様、およびパターン的な態様の少なくとも1つで示すことができる。また、実用的には、各識別構造13は、本体部11の一側に凹設されたり、本体部11を貫通する貫通孔構造であったりすることができる。マーキングデバイスは、例えば、レーザー技術、レーザーエッチング、物理的処理、またはインク印刷によって、識別構造13の各々を本体部11に形成することができる。
【0019】
なお、識別構造13のそれぞれは、収納箱2のマーク構造23の1つを示す態様と同じ態様で示すことができる。本実施形態の図を参照すると、
図4に示す試料搬送部材1は
図3に示した収納箱2における最も左上隅の収容溝211に配置されており、その収容溝211のマーク構造23は「A」で示されている。マーキング・載置ステップS112では、マーキングデバイスにより、本体部11に「A」で示す識別構造13を形成した後、試料運搬部材1は収納箱2の左上隅にある対応的な収容溝211に収納される。
【0020】
なお、実用的には、識別情報は、マーキングデバイスが試料搬送部材1に識別情報13を形成する際に必要となる全ての情報を含む。例えば、
図1、
図3、及び
図4に示すように、載置ステップS13において、マーク「A」の付近に配置された収容溝211に入った試料運搬部材1を、
図3に示す収納箱2から取り出す場合、取得ステップS111において、識別情報は、例えば、「A」の文字列、または少なくともマーキングデバイスが読み取れる程度の対応的なデータを含む。そのように、マーキング・載置ステップS112において、マーキングデバイスは、「A」として示された識別構造13を試料運搬部材1に正しく形成することができる。
【0021】
以上によれば、マーキング・載置ステップS112の設計により、分析ステップS15において、ユーザが電子顕微鏡装置を用いて試料Sを観察する際に、ユーザは識別構造13を見て、現在観察している試料Sが収納箱2の収容溝211のいずれにもともと配置されているかを知ることができる。このようにして、ユーザが試料Sの観察を終えて、試料搬送部材1を収納箱2に戻せるようにする時、ミスが発生しにくくすることができる。
【0022】
図5および
図6を参照すると、他の実施形態では、収納箱2が含むマーク構造の数量は、収容溝211の数量よりも少なくすることができる。そして、マーク構造は、その位置に応じて、異なる様式を有する3つの縦型マーク構造23Aと、異なる様式を有する4つの横型マーク構造23Bとに定義することができる。例えば、収納箱2が含む収容溝211が3×4のマトリクス状に配置されている場合、収納箱2は、異なる様式を有する4つの縦型マーク構造23Aと、異なる様式を有する3つの横型マーク構造23Bとを含むことができる。縦型マーク構造23Aの各々は、文字態様、数値態様、記号態様、及びパターン態様のうちの少なくとも1つで示すことができ、横型マーク構造23Bの各々は、文字態様、数値態様、記号態様、及びパターン態様のうちの少なくとも1つで示すことができる。例えば、4つの縦型マーク構造23Aは、1、2、3、4のアラビア数字で示すことができ、3つの横型マーク構造23Bは、A、B、Cの英文で示すことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
相対的に、マーキング・載置ステップS112において、マーキングデバイスは、試料運搬部材1に、識別構造13Aおよび識別構造13Bを形成する。識別構造13Aは、収納箱2に収納された試料運搬部材1の横方向の位置を示すように構成され、識別構造13Bは、収納箱2に収納された試料運搬部材1の縦方向の位置を示すように構成され、識別構造13Aの種類は、縦型マーク構造23Aのうちの1つの種類と同じであり、識別構造13Bの種類は、横型マーク構造23Bのうちの1つの種類と同じである。具体的には、識別構造13Aは、英文字「C」として示すことができ、識別構造13Bは、アラビア数字「3」として示すことができる。
【0024】
以上によれば、分析ステップS15において、ユーザは、電子顕微鏡装置を介して、試料搬送部材1に設けられた識別構造13Aおよび識別構造13Bが示す「C3」を視認することで、
図6に示す試料搬送部材1が、
図5に示す収納箱2の第3行(英字「C」が付された行)および第3列(アラビア数字「3」が付された列)の位置に配置されていることを知ることができる。
【0025】
なお、識別構造13Aおよび識別構造13Bが本体部11上に配置される位置は、実用上の要求に応じて変更可能であり、本発明の図に示されるものに限定されない。また、識別構造13Aと識別構造13Bとの間の距離も、実用上の要求に応じて設計することができる。特殊な用途では、識別構造13Aと識別構造13Bとが互いに離れて配置されてもよい(例えば、識別構造13Aが本体部11の左側に配置され、識別構造13Bが本体部11の右側に配置される)。
【0026】
図6から
図9を参照すると、他の実施形態では、マーキング・載置ステップS112において、マーキングデバイスをさらに利用して、少なくとも1つの位置識別構造14(例えば、位置識別構造14Aおよび位置識別構造14B)、方向識別構造15、ならびに、試料識別構造16Aおよび試料識別構造16Bのうちの少なくとも1つを形成してもよい。
図6を参照すると、少なくとも1つの位置識別構造14は、試料搬送部材1の中心C(すなわち、中心位置)に対する、試料搬送部材1によって搬送される試料Sの位置を示すように構成されている。位置識別構造14は、テキスト的な態様、数値的な態様、記号的な態様、およびパターン的な態様のうちの少なくとも1つで示すことができる。
【0027】
実用的には、マーキングデバイスを利用して本体部11に位置識別構造14を形成する場合、メッシュ構造12の中心Cに対する試料搬送部材1によって搬送される試料Sの位置に応じて、位置識別構造14の様式を決定することができる。
図6に示すように、例えば、試料Sが中心Cに対して右上位置、右下位置、左上位置、または左下位置にあることをそれぞれ示すように、位置識別構造14をRU、RD、LU、またはLDと示すようにすることができる。言い換えれば、試料Sをメッシュ構造12の中心Cに対して右下位置に配置した後、マーキングデバイス(例えば、レーザー彫刻機)を利用して、「RD」と示された位置識別構造14を形成することができる。
【0028】
実用的には、識別構造13及び位置識別構造14は、本体部11の固定位置に配置することができる。分析ステップS15において、例えば、試料運搬部材1の運搬プラットフォーム及び電子顕微鏡装置のカメラショットを相対的に移動させて、位置識別構造14が電子顕微鏡装置のビジョンスコープ内に配置されるようにし、その後、ユーザ又は関連する画像キャプチャ機器は、位置識別構造14を見て、運搬プラットフォーム及びカメラショットの相対的な移動方向を決定することができる。このようにして、試料搬送部材1によって搬送された試料Sを比較的迅速に見つけて、試料Sを観察することができる。
【0029】
図6を参照すると、方向識別構造15は文字的な態様、数値的な態様、記号的な態様、およびパターン的な態様の少なくとも1つで示すことができる。ユーザまたは関連機器が位置識別構造14を確認する前に、方向識別構造15を確認するようにしてもよい。このようにして、技術者または関連機器が位置識別構造14を確認した後、電子顕微鏡装置のビジョンスコープを正しい位置に移動することを確実にすることができる。
【0030】
具体的には、マーキングデバイスが本体部11に位置識別構造14を形成する際に、方向識別構造15がメッシュ構造12の中心Cの上方に配置され、試料Sがメッシュ構造12の中心Cに対して右下の位置に配置されている場合、マーキングデバイスは「RD」と表示される位置識別構造14を形成する。その後、分析ステップS15において、ユーザは、ビジョンスコープの追従移動方向を決定するために、方向識別構造15がメッシュ構造12の中心Cの上方に配置されているか否かを確認ことができる。言い換えれば、ユーザが、方向識別構造15がメッシュ構造12の中心Cの上に配置されていることをビジョンスコープで確認した場合、次に、ビジョンスコープを制御して、メッシュ構造12の中心Cに対して右下に移動させることができる。逆の場合では、ビジョンスコープを左上に移動するように制御する。
【0031】
図7を参照すると、他の実施形態では、試料運搬部材1が試料S1および試料S2を同時に運搬する場合、マーキング・載置ステップS112において、マーキングデバイスは、試料運搬部材1に位置識別構造14A、位置識別構造14B、試料識別構造16A、および試料識別構造16Bを形成する。なお、位置識別構造の数量と試料マーク構造の数量は、メッシュ構造で搬送される試料の数量に応じて決定すればよい。位置識別構造14Aは、メッシュ構造体12の中心Cに対する、メッシュ構造体12上の試料S1の位置を示すように構成されている。位置識別構造14Bは、メッシュ構造体12の中心Cに対する、メッシュ構造体12上の試料S2の位置を示すように構成されている。
【0032】
試料識別構造16Aは、位置識別構造14Aの近傍に配置され、試料識別構造16Bは、位置識別構造14Bの近傍に配置され、試料識別構造16Aおよび試料識別構造16Bは、ユーザがメッシュ構造12上の試料S1および試料S2の関連データを識別できるように構成されている。例えば、
図7にMA-001とMA-002が示されているが、MAは会社のラベルであり、001と002は試料番号であることができる。
【0033】
上記によれば,具体的には,分析ステップS15において,電子顕微鏡装置を介して,「RD-MA-001」と示された位置識別構造14Aおよび試料識別構造16Aを確認することができる場合、MAの会社ラベルおよび001の試料番号を有する試料S2が、メッシュ構造12の右下位置に配置されていることを知ることができる。そして、電子顕微鏡装置を介して「LU-MA-00」として示された位置識別構造14Bおよび試料識別構造16Bを確認することができる場合、MAの会社ラベルを有し、002の試料番号を有する試料S1が、メッシュ構造12の左上の位置に配置されていることを知ることができる。
【0034】
図6および
図7を参照する。本発明の実施形態では、マーキング・載置ステップS112で、位置識別構造14A、位置識別構造14B、試料識別構造16A、および試料識別構造16Bが試料搬送部材1に形成された後、取得ステップS111で取得された識別情報は、「RD」、「RD-MA-0011」、「LU-MA-002」など、マーキングデバイスが読み取るのに十分な関連データが含まれているできることは言及に値する。このように、マーキングデバイスは、「RD」、「RD-MA-0011」、「LU-MA-002」として示された位置識別構造14A、位置識別構造14B、試料識別構造16A、試料識別構造16Bを正しく形成することができる。
【0035】
図8に示すように、他の実施形態では、マーキング・載置ステップS112において、マーキングデバイスにより、本体部11上に識別構造13をパターン化して示すことができる。特に、識別構造13は、マーキングデバイスによって、本体部11上に二次元バーコードのパターン化された態様で示すことができる。当然のことながら、マーキングデバイスによって、本体部11上の一次元バーコードのパターン化された態様で識別構造13を示すことができる。実用的には、一次元バーコードや二次元バーコードには、試料Sや試料搬送部材1に関する任意の関連データを格納することができる。例えば、バーコードには、試料の会社データ(例えば、会社コード)、試料番号、メッシュ構造体12に対する試料の位置、試料の種類、試料運搬部材1が収納箱2に配置されている位置などを記憶することができる。
図8に示す実施形態では、取得ステップS111で取得された識別情報は、マーキングデバイスが読み取るのに十分な関連データを含んでおり、マーキングデバイスは、試料搬送部材1に一次元バーコードまたは二次元バーコードを形成することができる。
【0036】
以上によれば、マーキング・載置ステップS12において、試料搬送部材1に形成された識別構造、位置識別構造、方向識別構造、および試料識別構造の設計により、試料をメッシュ構造12上に配置する際に、観察ミスや記録ミスをしにくくなる。
【0037】
そのため、本発明の試料分析方法では、取得ステップS111およびマーキング・載置ステップS112により、ユーザの記録ミスや試料運搬装置の取り違え、配置ミスに伴う問題を効果的に防止することができ、分析プロセス全体のミス確率を低減することができる。
【0038】
実際の応用では、分析ステップS15において、担当者は、電子顕微鏡装置を介して試料運搬部材1上の識別構造13を確認して、電子顕微鏡装置内の試料運搬部材1上の試料が、現在分析することが予め決められている試料と同じであるかどうかを判断することができる。例えば、
図6に示すように、担当者が電子顕微鏡装置を通して試料搬送部材1上の識別構造13が「C3」と表示されているのを見た場合、他の関連表示装置を通して識別情報を見て、識別情報が「C3」を示しているかどうかを確認することができる。担当者が関連表示装置から「C3」を確認できない場合、現在電子顕微鏡装置内にある試料搬送部材1が搬送した試料Sは、現在分析することが予め決定されている試料ではないことを知ることができる。一方、電子顕微鏡装置内にある試料は、現在分析することが予め決定されている試料である場合、後に分析ステップS15で生成される分析画像は、関連機器(例えば、コンピュータやサーバ)に正しく記録されることになる。
【0039】
図9を参照して、本実施形態の試料分析方法と従来の実施形態の試料分析方法との相違点は以下の通りである。取得ステップS111では、識別情報に加えて、システム情報をさらに取得する。システム情報は、少なくとも1つのシステム番号と、顧客データとを含むことができる。分析ステップS15の後、試料分析方法は、少なくとも1つのシステム情報と分析画像とを統合して分析情報を作成し、分析情報を遠隔装置に送信することによって実施されるデータ送信ステップS16をさらに含むことができる。対応する顧客データを含む分析情報内の分析画像は、遠隔機器に接続する顧客によって読み取られるように構成される。遠隔機器は、様々な種類のクラウド機器(例えば、サーバー)であることができ、本発明はこれに限定されない。
【0040】
例えば、顧客が試料分析業者に試料を預けて分析を依頼すると、試料分析業者はコンピュータなどの機器を通じて顧客と試料の関連情報(システム情報)を生成する。試料分析業者が電子顕微鏡装置を用いて試料を観察・分析した後、電子顕微鏡装置で撮影された分析画像と、顧客と試料の関連情報(分析情報)をクラウドにアップロードする。顧客がクラウドに接続し、アカウントにログインすると、顧客は分析画像を見たり、ダウンロードしたりすることができる。当然のことながら、他の実施形態では、分析情報は、担当者または関連するコンピュータが分析画像を分析した後に生成した分析結果情報を含むこともでき、顧客がクラウドに接続してアカウントにログインした後、顧客は分析結果情報を見るかダウンロードすることができる。
【0041】
システム番号は、試料分析業者が決めた文字列であってもよく、試料分析業者は、システム番号によって、現在分析中の試料の順序、顧客名、種類などのデータを識別することができる。あるいは、システム番号は、試料分析業者が定めたシリアル番号であってもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
図10を参照すると、本実施形態の試料分析方法と前実施形態の試料分析方法との違いは以下の通りである。載置ステップS13と分析ステップS15との間に、判定ステップS14をさらに含む。判定ステップS14は、画像生成ステップS141と、リアルタイム情報生成ステップS142と、比較ステップS143とを含む。画像生成ステップS141は、電子顕微鏡装置を利用して、試料搬送部材1を撮影して判定画像を生成することで実施される。リアルタイム情報生成ステップS142は、判定画像中の識別構造13を読み取って、リアルタイム情報を生成することにより実施される。比較ステップS143は、リアルタイム情報が含むデータの少なくとも一部分と、システム情報が含むデータの少なくとも一部分とが一致するか否かを比較することにより実行される。
【0043】
リアルタイム情報が含むデータの少なくとも1つの部分が、システム情報が含むデータの少なくとも1つの部分に対応した場合、分析ステップS15が実行される。
【0044】
一方、前記リアルタイム情報が含むデータの少なくとも1つの部分が、前記システム情報が含むデータの少なくとも1つの部分に対応していない場合、前記電子顕微鏡装置に配置された試料搬送部材が前記システム情報と一致していないことをユーザに通知するために、警告装置が動作するように制御される。
【0045】
実際の応用において、リアルタイム情報生成ステップS142は、電子顕微鏡装置に接続されたコンピュータを介して実施することができ、または電子顕微鏡装置内の関連プロセッサを介して実施することができることに留意すべきである。コンピュータまたは関連プロセッサは、試料搬送部材1上の識別構造13が示す内容を識別し、それに応じてリアルタイム情報を生成するように、判定画像に対して画像識別操作を行うことができる。
【0046】
例えば、
図6に示すような既にマーキング・載置ステップS112を経た試料運搬部材1があった場合、画像生成ステップS141で生成される判定画像は、
図6に示されている画像と等しい。リアルタイム情報生成ステップS142では、関連するコンピュータまたはプロセッサが、
図6に示す判定画像に対して画像識別操作を行って、試料運搬部材1上の識別構造に対応する文字列「C3」を読み取り、比較ステップS143では、コンピュータまたはプロセッサが、システム情報に文字列「C3」または文字列「C3」に等しい関連情報が含まれるか否かを判定する。コンピュータまたはプロセッサが、システム情報に文字列を含む関連情報が含まれていると判断した場合、コンピュータまたはプロセッサは、現在電子顕微鏡装置に配置されている試料運搬部材が、現在システムで分析することが予め決定されている試料運搬部材と同じであると判断し、その後、分析ステップS15が実行される。
【0047】
以上によれば、これに対して、コンピュータまたはプロセッサが、システム情報に「C3」または文字列「C3」に等しい関連情報が含まれていないと判断した場合には、分析ステップS15を実施せず、現在電子顕微鏡装置に配置されている試料搬送部材1が、現在システムで分析することが予め決定されている試料搬送部材1とは異なることを通知するための警告装置(例えば、担当者に通知するための音を出したり、情報を伝達したり、光を照射したりすることができる各種装置)を動作させるように制御する。このようにすれば、技術担当者が誤った試料搬送部材1を電子顕微鏡装置に配置し、なおかつ分析ステップS15を実施する際に発生する記録ミスを効果的に防止することができる。
【0048】
図11を参照すると、本実施形態の試料分析方法と、前の実施形態の試料分析方法との最大の相違点は、以下の通りである。取得ステップS111の前に、試料分析方法は、試料Sを試料運搬部材1のメッシュ構造12に載せるとともに、試料Sが配置された試料運搬部材1を収納箱2の収容溝211の1つに配置し、入力装置を利用して、収容溝211の1つの近傍にある収納箱2のマーク構造23が示す内容を入力装置に入力して識別情報を形成することによって実施される準備ステップS02をさらに含む。
【0049】
例えば、電子顕微鏡装置は、コンピュータに接続することができ、コンピュータは、マウス、キーボード(すなわち、入力装置)およびスクリーンに接続することができる。準備ステップS02では、担当者が試料Sを試料運搬部材1に配置した後、試料Sが配置された試料運搬部材1を、「C3」と示された収納箱2の収容溝211(
図6に示す)の1つに配置することができ、その後、マウスおよびキーボードを介してコンピュータに「C3」を入力する。それに応じて、コンピュータは、文字列「C3」または当該文字列と等しい関連データを含む識別情報を生成することができる。なお、ここでいう入力装置は、文字列を入力するように構成された任意の装置(例えば、タッチスクリーンや物理的なボタン)であってもよい。また、ここでいうコンピュータは、電子顕微鏡装置とは独立した装置であってもよいし、電子顕微鏡装置の内部にある関連処理装置であってもよい。
【0050】
図11および
図12を参照すると、本実施形態の試料分析方法と、前の実施形態の試料分析方法との最大な相違点は、以下の通りである。準備ステップS02の前に、試料分析方法は、マーキング・切断ステップS01をさらに含む。マーキング・カットステップS01は、組立て式マーキング・載置ステップS011と、大寸法切断ステップS012と、サンプリングステップS013とを含む。組立て式マーキング・載置ステップS011では、マーキングデバイスによって、大寸法基材Aに8個様式が異なる組み立てマーク構造B1~B8を形成する。大寸法切断ステップS012は、切断装置を用いて大寸法基材Aに対して少なくとも1回の切断動作を行い、大寸法基材Aを複数の小寸法基材A1に切断することにより実施される。小寸法基材A1のそれぞれは、組み合わされたマーク構造のうちの1つを含む。サンプリングステップS013は、サンプリング装置を利用して小寸法基材A1の1つを切断し、試料Sを得ることで実施される。
【0051】
分析ステップS15の後、試料分析方法は、小寸法基材A1の各々の組み立てマーク構造Bに基づいて小寸法基材A1を組み立てることによって実施される組み立てステップS17をさらに含む。
【0052】
実用的には、組立て式マーキング・載置ステップS011で言及されるマーキングデバイスは、マーキング・載置ステップS112で言及されるマーキングデバイスと同様とすることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、大寸法切断ステップS012及びサンプリングステップS013に記載される切断装置及びサンプリング装置は、大寸法基材Aの種類や材質に応じて決めることができ、本発明はこれに限定されない。
【0053】
具体的には、試料分析業者が顧客から大寸法基材Aの提供を受け、顧客が試料分析業者に大寸法基材Aの故障位置をサンプリングして分析することを要求する場合がある。このとき、本実施形態の試料分析方法を実施して大寸法基材Aを切断し、故障位置にある小寸法基材Bの1つの部分を取り出して試料とすることができる。試料分析業者が分析を終えた後、試料分析業者は、小寸法基材A1のそれぞれに設けられた組み立てマーク構造Bに従って小寸法基材A1を組み付け、組み付けられた小寸法基材A1を顧客に返却することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態の試料分析方法では、試料分析業者が試料に対する分析を終了した後、小寸法基材A1を迅速かつ正確に組み立てることができ、組み立てられた小寸法基材A1は、顧客が最初に提供した元の大寸法基材Aの構造と実質的に同じ構造を有することができる。
【0055】
図13を参照すると、本発明の試料作成方法は、取得ステップS21と、マーキング・載置ステップS22とを含む。取得ステップS21は、識別情報を取得することで実施される。識別情報は、収納箱の収容溝の1つの位置を示すように構成されており、収納箱は複数の収容溝を含んでいる。マーキング・載置ステップS22は、少なくとも1つの試料が配置された試料運搬部材をマーキングデバイスに配置し、マーキングデバイスが識別情報を利用して試料運搬部材に識別構造を形成することを可能にし、識別情報に従って試料運搬部材を対応的な収容溝に配置することによって実施される。試料運搬部材は、本体部と少なくとも1つのメッシュ構造を含み、本体部は、本体部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、少なくとも1つのメッシュ構造は、本体部に接続され、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの貫通孔内に配置され、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの貫通孔を複数のメッシュに分割し、少なくとも1つのメッシュ構造は、少なくとも1つの試料を運搬するように構成されていることを特徴とする。
【0056】
本実施形態の取得ステップS21およびマーキング・載置ステップS22は、上述した前実施形態の取得ステップS111およびマーキング・載置ステップS112と同様であり、ここでは改めて説明しない。
【0057】
以上に開示される内容は、好ましい本発明の可能な実施形態に過ぎず、発明の範囲を限定することを意図していない。そのため、本発明の明細書及び図面でなされた均等的な技術的変形は、全て本発明の請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1:試料搬送部材
11:本体部
111:貫通孔
112:メッシュ
113:広側面
12:メッシュ構造
13:識別構造
13A:識別構造
13B:識別構造
14:位置識別構造
14A:位置識別構造
14B:位置識別構造
15:方向識別構造
16A:試料識別構造
16B:試料識別構造
2:収納箱
21:箱体
211:収容溝
22:蓋
22A:横型マーク構造
22B:縦型マーク構造
23:マーク構造
23A:縦型マーク構造
23B:横型マーク構造
S:試料
S1:試料
S2:試料
A:大寸法基材
A1:小寸法基材
B1~B8:組み立てマーク構造
C:中心
S11、S111、S112、S13、S15、S16、S17:ステップ
S14、S141、S142、S143:ステップ
S01、S011、S012、S013、S02:ステップ
S21、S22:ステップ