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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164550
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B65D77/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213701
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2021069578
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】北 竜治
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 春香
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067BA07A
3E067BB01C
3E067BB15A
3E067BB15B
3E067BB16A
3E067BB16B
3E067BC03A
3E067BC03B
3E067BC03C
3E067EA17
3E067EB27
3E067EE39
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】
本願発明は、合成樹脂製容器が薄肉化されても、高い強度を備えた、糸尻状突起を有する合成樹脂製容器を提供する。
【解決手段】
底部110と、当該底部110から上方へ延びる側壁120と、当該側壁120の上端側に開口部130を備えた合成樹脂製容器100であって、側壁120の上端側には、開口部130の外側に糸尻状凸部140が設けられており、糸尻状凸部140は、内壁141と外壁142とを備えており、内壁141と外壁142は、弾性変形して互いに当接可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、当該底部から上方へ延びる側壁と、当該側壁の上端側に開口部を備えた合成樹脂製容器であって、
前記側壁の上端側には、前記開口部の外側に糸尻状凸部が設けられており、
前記糸尻状凸部は、内壁と外壁とを備えており、
前記内壁と外壁は、弾性変形して互いに当接可能に構成されていることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記糸尻状凸部の内壁又は外壁には、前記内壁と外壁との間の幅を部分的に狭くする幅狭部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記幅狭部は、上下方向に二段以上設けられていることを特徴とする請求項2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記糸尻状凸部の前記内壁と外壁の間に、外装体の一部を挿入して取り付け可能に構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
前記側壁の下端側には、外側に突出した突部が設けられており、
前記突部は、前記外装体に設けられた係止部に係止できるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の合成樹脂製容器。
【請求項6】
前記糸尻状凸部の前記内壁と外壁の間に、前記外装体の上端側の一部を挿入し、前記側壁の下端側の突部を、前記外装体の下端側の係止部に係止させて、前記外装体を上端側と下端側において挟むことができるように構成したことを特徴とする請求項5に記載の合成樹脂製容器。
【請求項7】
前記開口部を被閉する蓋体を取り付け可能に構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜やご飯等の食品を収容する合成樹脂製容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
この合成樹脂製容器の中には、底部に糸尻状突起を備えているものがある。この糸尻状突起によって強度が高くなることから、使用者が糸尻状突起周辺を指で持つことで、安定して合成樹脂製容器を利用することが出来るのである。
【0004】
一方で、近年の環境問題から、プラスチック削減を目指すため、合成樹脂製容器の薄肉化が検討されている。そのため、薄肉化された糸尻状突起は十分な強度が得られず、また、底部に設けられた糸尻状突起には容器内の内容物の重量等がかかるため、糸尻状突起が潰れてしまい、合成樹脂製容器の使用に支障が出る虞がある。特に、プラスチック製シートを利用して、合成樹脂製容器がシート成形される場合は、その構成上、一般的に、合成樹脂製容器の開口部周辺を構成するプラスチック製シートはあまり引き延ばされず、側壁や底部を構成するプラスチック製シートは薄く引き伸ばされるという特徴がある。そのため、合成樹脂製容器の薄肉化によって、プラスチック製シートが薄くなると、底部に設けられた糸尻状突起の肉厚は更に薄くなり、十分な強度が得られずに潰れてしまう虞があり、合成樹脂製容器の使用に支障が出るという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、合成樹脂製容器が薄肉化されても、高い強度を備えた、糸尻状突起を有する合成樹脂製容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る合成樹脂製容器は、底部と、当該底部から上方へ延びる側壁と、当該側壁の上端側に開口部を備えた合成樹脂製容器であって、前記側壁の上端側には、前記開口部の外側に糸尻状凸部が設けられており、前記糸尻状凸部は、内壁と外壁とを備えており、前記内壁と外壁は、弾性変形して互いに当接可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、合成樹脂製容器が合成樹脂シートを用いてシート成形される場合、開口部側に糸尻状凸部を設けたことで、糸尻状凸部を安定した厚みで形成することができ、さらに、合成樹脂製容器の薄肉化によって合成樹脂シートの厚みが薄くなっても、開口部側に位置する糸尻状凸部は、安定した厚みで、十分な強度を備えるように形成できるのである。また、糸尻状凸部に外装体の一部を挿入して取り付ける場合は、外力がかかった際に、弾性変形した内壁と外壁と、その間に挟まれた外装体の一部とが、三重に重なった状態となることで、強度が高くなり、糸尻状凸部が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。また、合成樹脂製容器単体で利用する場合は、外力がかかった際に、内壁と外壁とが互いに当接するように弾性変形するので、二重に重なった内壁と外壁によって強度が一時的に強くなり、糸尻状凸部が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0008】
さらに、本願発明の請求項2に係る合成樹脂製容器は、前記糸尻状凸部の内壁又は外壁には、前記内壁と外壁との間の幅を部分的に狭くする幅狭部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、糸尻状凸部に外装体の一部を挿入して取り付ける場合は、幅狭部によって外装体の一部がより強く挟持されるため、糸尻状凸部周辺に外力が加わっても、合成樹脂製容器と外装体は外れにくいのである。また、合成樹脂製容器単体で利用する場合は、糸尻状凸部周辺に外力が加わっても、内壁と外壁とが大きく変形する前に、内壁と外壁は幅狭部によって互いに当接して、過度な変形が抑えられることから、糸尻状凸部が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0010】
さらに、本願発明の請求項3に係る合成樹脂製容器は、前記幅狭部は、上下方向に二段以上設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、外装体を取り付ける場合は、合成樹脂製容器と外装体は更に外れにくくなり、また、合成樹脂製容器単体で利用する場合は、過度な変形が抑えられることから、糸尻状凸部が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0012】
さらに、本願発明の請求項4に係る合成樹脂製容器は、前記糸尻状凸部の前記内壁と外壁の間に、外装体の一部を挿入して取り付け可能に構成したことを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、利用者は合成樹脂製容器の上端側や外装体の外側を容易に把持でき利便性が高い。
【0014】
さらに、本願発明の請求項5に係る合成樹脂製容器は、前記側壁の下端側には、外側に突出した突部が設けられており、前記突部は、前記外装体に設けられた係止部に係止できるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、合成樹脂製容器が外装体から不用意に外れることが無く、また、合成樹脂製容器が、外装体内で左右方向にズレることも無い。
【0016】
さらに、本願発明の請求項6に係る合成樹脂製容器は、前記糸尻状凸部の前記内壁と外壁の間に、前記外装体の上端側の一部を挿入し、前記側壁の下端側の突部を、前記外装体の下端側の係止部に係止させて、前記外装体を上端側と下端側において挟むことができるように構成したことを特徴とする。
【0017】
上記特徴によれば、合成樹脂製容器と外装体はしっかりと取り付けられた状態となる。
【0018】
さらに、本願発明の請求項7に係る合成樹脂製容器は、前記開口部を被閉する蓋体を取り付け可能に構成したことを特徴とする。
【0019】
上記特徴によれば、収容物を保護したり収容物の液漏れを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の糸尻状突起を有する合成樹脂製容器は、薄肉化されても、高い強度を備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は、本願発明の実施形態1に係る合成樹脂製容器の平面図、(b)は、合成樹脂製容器の側面図である。
図2】(a)は、図1(a)のA-A端面図、(b)は、図2(a)の糸尻状凸部周辺を拡大した端面図である。
図3】(a)は、本願発明の合成樹脂製容器に取り付けることができる外装体の平面図、(b)は、外装体の側面図である。
図4】(a)は、本願発明の合成樹脂製容器と外装体を備えた容器の平面図、(b)は、容器の側面図である。
図5】(a)は、図4(a)のB―B端面図、(b)は、図5(a)の糸尻状凸部周辺を拡大した端面図である。
図6】(a)は、本願発明の実施形態2に係る合成樹脂製容器の糸尻状凸部の端面図、(b)及び(c)は、本願発明の実施形態3に係る合成樹脂製容器の糸尻状凸部の端面図、(d)は、本願発明の実施形態4に係る合成樹脂製容器の糸尻状凸部の端面図である。
図7】(a)は、本願発明の実施形態5に係る合成樹脂製容器の側面図、(b)は、合成樹脂製容器の底面図、(c)は、C―C端面図である。
図8】(a)は、本願発明の実施形態5に係る合成樹脂製容器に取り付けることができる外装体の側面図、(b)は、外装体の底面図、(c)は、D―D端面図である。
図9】(a)は、本願発明の実施形態5に係る容器の側面図、(b)は、容器の底面図、(c)は、E―E端面図である。
【符号の説明】
【0022】
100 合成樹脂製容器
110 底部
120 側壁
130 開口部
140 糸尻状凸部
141 内壁
142 外壁
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、合成樹脂製容器の開口部を上にして、合成樹脂製容器を水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことであり、「横」とは水平方向に向かう方向のことである。
【0024】
<実施形態1>
まず、図1及び図2には、本願発明の実施形態1に係る合成樹脂製容器100を示す。なお、図1(a)は、合成樹脂製容器100の平面図、図1(b)は、合成樹脂製容器100の側面図、図2(a)は、図1(a)のA-A端面図、図2(b)は、図2(a)の糸尻状凸部周辺を拡大した端面図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、合成樹脂製容器100は上方に開口した深皿型形状であり、平面視略円形の平坦な底部110と、底部110の外周111から斜め上方へ向けて延出する側壁120と、側壁120の上端側に側壁120で囲まれた開口部130と、を備える。また、側壁120の上端側には、開口部130の外側において、上方に凸状の糸尻状凸部140が設けられている。図2(b)に示すように、この糸尻状凸部140は、内側(開口部130側)に面し、上下方向に延出する内壁141と、外側に面し、上下方向に延出する外壁142と、内壁141と外壁142とを連結する上端143とを備え、略コ字形状をしている。そして、略コ字形状をした糸尻状凸部140は、内側に挿入溝144を備えた構成となっており、互いに平行な内壁141と外壁142の間には、後述する外装体の一部を挿入して挟めるようになっている。
【0026】
また、糸尻状凸部140の内壁141と外壁142は、弾性変形して互いに当接可能に構成されており、内壁141と外壁142の幅L1は、内壁141と外壁142とが弾性変形して互いに当接可能であって、後述する外装体の一部を挿入できる範囲で適切に決められており、本実施形態では、幅L1は、0mm以上から1.5mm(ミリメートル)以下となっている。また、糸尻状凸部140の高さH1、言い換えると挿入溝144の深さH1は、内壁141と外壁142とが弾性変形して互いに当接可能であって、後述する外装体の一部を挿入できる範囲で適切に決められており、本実施形態では、高さH1は、1.5mm(ミリメートル)以上となっている。
【0027】
そして、糸尻状凸部140は開口部130の外周に沿って、合成樹脂製容器100の周方向に一周するように連続して設けられている。なお、糸尻状凸部140は、合成樹脂製容器100の周方向に一周するように連続して設けられているが、これに限定されず、糸尻状凸部140は断続的に設けられてもよい。また、糸尻状凸部140の高さH1は開口部130の外周に沿って一定であるが、これに限定されず、場所によって、糸尻状凸部140の高さH1を変えるなど、任意に設定できる。また、糸尻状凸部140は、互いに平行な内壁141と外壁142を備えた略コ字形状となっているので、後述するように外力が加わった際に、内壁141と外壁142とが互いに面接触するだけでなく、内壁141と外壁142は、糸尻状凸部140の底部側から当接するようになっている。なお、糸尻状凸部140は、略コ字形状をしているが、これに限定されず、内壁141と外壁142が弾性変形して互いに当接可能に構成されていれば、任意の形状であってもよい。
【0028】
また、内壁141の下端から内側に向けて延出する内側案内部121と、外壁142の下端から外側に向けて延出する外側案内部122が設けられている。この内側案内部121と外側案内部122は、後述する外装体の一部を挿入溝144に挿入する際に、挿入される外装体の一部を当接させて挿入溝144へ誘導しやすくする部分である。また、内側案内部121の内端から下方へ延出する内側延出部123と、外側案内部122の外端から下方へ延出する外側延出部124が設けられている。この内側延出部123と外側延出部124は、後述する外装体の一部を挿入溝144に挿入する際に、挿入される外装体の一部が挿入溝144周辺(内側案内部121や外側案内部122)から内外方向に外れないようにする部分である。なお、内側案内部121は水平面となっているが、これに限定されず、挿入溝144へ向けて傾斜する傾斜面としてもよい。同様に、外側案内部122は水平面となっているが、これに限定されず、挿入溝144へ向けて傾斜する傾斜面としてもよい。
【0029】
また、側壁120の上端側には、嵌合部150が設けられている。この嵌合部150は、外側に凸状に形成されており、開口部130を被閉して内容物が漏れないようにする蓋体の嵌合部を、嵌合させて取り付けることができる。なお、嵌合部150は、合成樹脂製容器100に任意で設けるものであり、また、嵌合部150は、糸尻状凸部140の内側、外側または、両側の任意の位置に設けても良く、蓋体を嵌合させて取り付けることができるのであれば、任意の形状であってもよい。
【0030】
なお、合成樹脂製容器100は平面視略円形となっているが、これに限定されず、平面視正方形、平面視多角形など、合成樹脂製容器100は、任意の形状とすることが出来る。また、合成樹脂製容器100は、約0.1mmから2.00mm、好ましくは、約0.15mmから1.8mm、さらに好ましくは約0.2mmから1.7mm程度の厚さの合成樹脂シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形など)で熱成形されたものであり、例えば、合成樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等からなるシート、これらのシート素材と無機物を充填したシート、これらのシートを一軸又は二軸延伸させた延伸シートを用いることができる。また、合成樹脂シートは、ソリッドシートや発泡シートを利用できる。さらに、合成樹脂製容器100は、合成樹脂シートを用いてシート成形されているが、これに限定されず、任意の製造方法によって成形できる。
【0031】
次に、図3には、本願発明の合成樹脂製容器100に取り付けることができる外装体200を示す。なお、図3(a)は外装体200の平面図、図3(b)は、外装体200の側面図である。
【0032】
図3に示すように、外装体200は、上下が開口した円筒形状であり、斜め上方へ向けて傾斜した側壁220が、外装体200の周方向へ一周するように連続している。そして、外装体200の下端側の開口部210と、外装体200の上端側の開口部230は、側壁220によって周囲を囲まれた状態となっている。また、側壁220の下端221は、平らな載置面等に当接する部分であり、側壁220の上端222は、合成樹脂製容器100の糸尻状凸部140の挿入溝144に差し込む部分となっている。
【0033】
なお、外装体200は、合成樹脂製容器100と対応するように平面視略円形となっているが、これに限定されず、平面視正方形、平面視多角形など、任意の形状とすることが出来る。また、外装体200は、厚さが0.35mm程度の紙製シートを、図3に示すような立体的な形状に構成したものであり、例えば、紙製シートとしては、紙の種類は特に限定されないが所望の用途に応じて、クラフト紙、白ボール、マニラボール、カップ原紙、カード紙、アイボリー紙等の板紙、若しくは両面に熱可塑性樹脂層を設けた積層体などを用いることができる。なお、外装体200は紙製であるが、これに限定されず、用途に応じて、合成樹脂など任意の素材を利用して形成できる。
【0034】
また、外装体200の側壁220の上端222は、平坦面となっているが、これに限定されず、上端222は、折り返しやつぶし構造など、任意の構成であってもよい。さらに、外装体200の側壁220の上端222が合成樹脂製容器100の糸尻状凸部140の挿入溝144に差し込まれて取り付けられるが、これに限定されず、糸尻状凸部140の内壁141と外壁142の間に挿入して取り付けることができるのであれば、外装体200の任意の箇所を糸尻状凸部140の内壁141と外壁142の間に挿入して取り付けてもよい。
【0035】
では次に、本願発明の合成樹脂製容器100に外装体200を取り付けた容器300について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4(a)は、容器300の平面図、図4(b)は、容器300の側面図、図5(a)は、図4(a)のB―B端面図、図5(b)は、図5(a)の糸尻状凸部140周辺を拡大した端面図である。
【0036】
図4及び図5に示すように、外装体200の開口部230内に合成樹脂製容器100が収容されるように、合成樹脂製容器100が外装体200の上から取り付けられる。すると、合成樹脂製容器100の糸尻状凸部140の内壁141と外壁142の間の挿入溝144に、外装体200の側壁220の上端222が挿入されて、側壁220の上端222は、糸尻状凸部140の内壁141と外壁142とで挟持されている。そのため、合成樹脂製容器100が外装体200によって外側を覆われるように、合成樹脂製容器100と外装体200はしっかりと取り付けられた状態となり、利用者は合成樹脂製容器100の上端側や外装体200の外側を容易に把持でき利便性が高いのである。また、側壁220の上端222は、糸尻状凸部140の上端143に当接するまで深く挿入されているので、合成樹脂製容器100と外装体200は外れにくくなっている。
【0037】
そして、合成樹脂製容器100の収容部101内に、液体状や固体状の任意の食品等の収容物を入れて、容器300を陳列したり、利用者が容器300内の収容物を食すなど、容器300は適宜利用される。なお、容器300を搬送したり店頭等に陳列する際は、任意であるが、収容物を保護したり収容物の液漏れを防止するために、合成樹脂製容器100の嵌合部150に、収容部101を上方から覆う蓋体を嵌合させて取り付けてもよい。また、合成樹脂製容器100の底部110は、外装体200の下端221から浮いた状態で保持されているので、合成樹脂製容器100の底部110が載置面等に触れることなく、底部110と下端221との間の空間X1によって保温効果が高いのである。同様に、合成樹脂製容器100の側壁120は、外装体200の側壁220から離間した状態で保持されているので、合成樹脂製容器100の側壁120が外装体200の側壁220に触れることなく、側壁120と側壁220との間の空間X2によって保温効果が高いのである。
【0038】
ここで、利用者等が容器300を手で持つ場合や、容器300の嵌合部150に嵌合した蓋体を取り外す場合は、容器300の上方側を指で押さえるため、糸尻状凸部140周辺には外力がかかることになる。例えば、利用者等が容器300を手で持つ場合は、糸尻状凸部140周辺を外側から把持するため、糸尻状凸部140の外壁142側に内側へ向かう外力F1がかかることがある。また、嵌合部150に嵌合した蓋体を取り外す場合は、糸尻状凸部140の内壁141側に指をかけて押さえつけるため、糸尻状凸部140の内壁141側に外側へ向かう外力F2がかかることがある。その他、利用の仕方によって、外力F1及び外力F2が同時にかかることがある。
【0039】
しかしながら、内壁141と外壁142は、弾性変形して互いに当接可能に構成されているので、外力F1や外力F2がかかった際は、互いに当接する方向に近接することになる。すると、内壁141と外壁142との間に挿入された外装体200の上端222を、内壁141と外壁142がより強く挟持するため、糸尻状凸部140周辺に外力が加わっても、合成樹脂製容器100と外装体200とが外れてしまうことを効果的に防止できるのである。さらに、内壁141と外壁142は、弾性変形して互いに当接可能に構成されているので、内壁141と外壁142との間に挿入された外装体200の一部がどのような厚みであっても、弾性変形した内壁141と外壁142は、確実に外装体200の一部を挟持できるのである。特に、合成樹脂製容器100の薄肉化によって内壁141と外壁142の厚みが薄くなっても、弾性変形した内壁141と外壁142と、その間に挟まれた外装体200の一部とが、三重に重なった状態となることで、強度が高くなり、糸尻状凸部140が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0040】
なお、合成樹脂製容器100と外装体200は外れにくくなっているが、合成樹脂製容器100と外装体200を上下方向へ引き離せば、糸尻状凸部140の挿入溝144から外装体200の一部が容易に抜けて取り外せるので、合成樹脂製容器100と外装体200とを容易に分別して廃棄することができる。また、糸尻状凸部140の挿入溝144内に外装体200の一部が挟持されているので、接着剤を利用することなく、合成樹脂製容器100と外装体200を取り付けることができる。そのため、合成樹脂製容器100と外装体200とを容易に分別して廃棄することができる。
【0041】
また、合成樹脂製容器100に外装体200を取り付けず、合成樹脂製容器100単体で利用する場合、利用者が合成樹脂製容器100の糸尻状凸部140周辺を持って外力が加わると、内壁141と外壁142は、互いに当接する方向へ弾性変形する。そのため、糸尻状凸部140が外力を吸収して糸尻状凸部140周辺の部材(例えば、内側案内部121側など)へ応力を逃すことができることから、糸尻状凸部140が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。さらに、比較的大きな外力が加わって、内壁141と外壁142とが大きく変形しても、内壁141と外壁142とが互いに当接するように弾性変形するので、二重に重なった内壁141と外壁142によって強度が一時的に強くなり、糸尻状凸部140が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。特に、合成樹脂製容器100の薄肉化によって内壁141と外壁142の厚みが薄くなっても、二重に重なった内壁141と外壁142によって強度が一時的に強くなるので、糸尻状凸部140が破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0042】
なお、内壁141と外壁142の間の幅L1を広くすれば、外装体200の上端222が分厚い場合でも差し込んで挟持することができるが、外装体200の上端222が薄い場合には弾性変形する変形量が大きくなり、内壁141及び外壁142が破損する虞がある。また幅L1を広くした際に、合成樹脂製容器100に外装体200を取り付けず、合成樹脂製容器100単体で利用する場合は、外装体200の上端222が挿入されていない分、内壁141と外壁142とが互いに直接当接するまで大きく変形するので、内壁141及び外壁142が破損する虞がある。そこで、内壁141及び外壁142が破損しないように、内壁141及び外壁142が適切に弾性変形できる範囲として、幅L1は、0mm以上から1.5mm(ミリメートル)以下となっている。
【0043】
また、糸尻状凸部140を合成樹脂製容器100の上部の開口部130に沿って外側に設けたので、糸尻状凸部140の賦形性が良く、糸尻状凸部140の強度が高い。具体的には、合成樹脂製容器100が合成樹脂シートを用いてシート成形される場合、一般的に、合成樹脂製容器100の開口部130を構成する合成樹脂シートはあまり引き延ばされず、側壁120や底部110を構成する合成樹脂シートは薄く引き伸ばされるという特徴がある。そのため、本願発明の合成樹脂製容器100のように、開口部130側に糸尻状凸部140を設けたことで、糸尻状凸部140を安定した厚みで形成することができるのである。そして、互いに近接した内壁141と外壁142を備えた複雑な形状を、安定した厚みで容易に形成できる。さらに、合成樹脂製容器100の薄肉化によって合成樹脂シートの厚みが薄くなっても、開口部130側に位置する糸尻状凸部140は、安定した厚みで、十分な強度を備えるように形成できるのである。また、糸尻状凸部140は十分な強度を備えるように形成できるので、糸尻状凸部140に上方から外力が加わっても潰れにくい。
【0044】
なお、糸尻状凸部140に差し込まれて取り付けられた外装体200の一部が、糸尻状凸部140から外れにくくするためには、糸尻状凸部140の深さH1は深いほうが好ましい。そして、本願発明の合成樹脂製容器100のように、開口部130側に糸尻状凸部140を設けたことで、糸尻状凸部140を安定した厚みで形成することができるため、糸尻状凸部140の深さH1を深くしても、内壁141と外壁142の厚みを十分に確保できる。そのため、本願発明では、深さH1を1.5mm(ミリメートル)以上に深く設定できるのである。
【0045】
<実施形態2>
次に、図6(a)には、本願発明の実施形態2に係る合成樹脂製容器100Aを示す。なお、実施形態2の合成樹脂製容器100Aに係る構成は、図1及び図2に示す実施形態1に係る合成樹脂製容器100と、糸尻状凸部140Aの外壁142Aの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る合成樹脂製容器100と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図6(a)は、図2(b)と同様に、糸尻状凸部140Aの端面を示した端面図である。
【0046】
図6(a)に示すように、糸尻状凸部140Aは、内側の内壁141Aと、外側の外壁142Aと、内壁141Aと外壁142Aとを連結する上端143Aとを備え、略コ字形状をしている。そして、略コ字形状をした糸尻状凸部140Aは挿入溝144Aを備えた構成となっており、挿入溝144Aの内壁141Aと外壁142Aの間には外装体の一部を挿入して挟めるようになっている。
【0047】
また、外壁142Aは内側に向けて斜め下方へ傾斜しており、内壁141Aと外壁142Aとの間の幅L1が部分的に狭くなる幅狭部145A、いわゆるアンダーカット部分を備えている。そのため、挿入溝144Aの内壁141Aと外壁142Aの間に挿入された外装体の一部は、幅狭部145Aによって、より強く挟持されるため、利用者等が容器300を手で持った際に糸尻状凸部140A周辺に外力が加わっても、合成樹脂製容器100Aと外装体200は外れにくいのである。また、外装体200を取り付けず、合成樹脂製容器100A単体で利用する場合、利用者が合成樹脂製容器100Aの糸尻状凸部140A周辺を持つなどして外力が加わると、内壁141Aと外壁142Aとが互いに当接する方向に弾性変形するが、幅狭部145Aによって、内壁141Aと外壁142Aとの距離が近くなり、内壁141Aと外壁142Aは互いに当接し易くなる。そのため、内壁141Aと外壁142Aとが大きく変形する前に、内壁141Aと外壁142Aは幅狭部145Aによって互いに当接して、過度な変形が抑えられることから、糸尻状凸部140Aが破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0048】
なお、外壁142Aが内側に向けて斜め下方へ傾斜することで、幅狭部145Aを構成しているが、これに限定されず、内壁141Aが外側に向けて斜めに下方へ傾斜することで、幅狭部を構成してもよい。また、内壁141Aと外壁142とが互いに近接するように斜め下方へ傾斜することで、幅狭部を構成してもよい。
【0049】
<実施形態3>
次に、図6(b)及び(c)には、本願発明の実施形態3に係る合成樹脂製容器100Bを示す。なお、実施形態3の合成樹脂製容器100Bに係る構成は、図1及び図2に示す実施形態1に係る合成樹脂製容器100と、幅狭部145Bを備えた点で異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る合成樹脂製容器100と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図6(b)及び(c)は、図2(b)と同様に、糸尻状凸部140Bの端面を示した端面図である。
【0050】
図6(b)に示すように、糸尻状凸部140Bは、内側の内壁141Bと、外側の外壁142Bと、互いに平行な内壁141Bと外壁142Bとを連結する上端143Bとを備え、略コ字形状をしている。そして、略コ字形状をした糸尻状凸部140Bは挿入溝144Bを備えた構成となっており、挿入溝144Bの内壁141Bと外壁142Bの間には外装体の一部を挿入して挟めるようになっている。
【0051】
また、外壁142Bは内側に向けて突出した凸状部分である幅狭部145Bを備えており、この幅狭部145Bによって、内壁141Bと外壁142Bとの間の幅L1が部分的に狭くなっている。そのため、挿入溝144Bの内壁141Bと外壁142Bの間に挿入された外装体の一部は、幅狭部145Bによって、より強く挟持されるため、利用者等が容器300を手で持った際に糸尻状凸部140B周辺に外力が加わっても、合成樹脂製容器100Bと外装体200は外れにくいのである。また、外装体200を取り付けず、合成樹脂製容器100B単体で利用する場合、利用者が合成樹脂製容器100Bの糸尻状凸部140B周辺を持つなどして外力が加わると、内壁141Bと外壁142Bとが互いに当接する方向に弾性変形するが、幅狭部145Bによって、内壁141Bと外壁142Bとの距離が近くなり、内壁141Bと外壁142Bは互いに当接し易くなる。そのため、内壁141Bと外壁142Bとが大きく変形する前に、内壁141Bと外壁142Bは幅狭部145Bによって互いに当接して、過度な変形が抑えられることから、糸尻状凸部140Bが破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。
【0052】
なお、外壁142Bに幅狭部145Bが設けられているが、これに限定されず、内壁141Bに幅狭部145Bを設ける、又は、内壁141Bと外壁142Bの両方に幅狭部145Bを設けてもよい。また、幅狭部145Bは、糸尻状凸部140Bの内側に一段設けられているが、これに限定されず、図6(b)に示すように、幅狭部145B´と幅狭部145Bを上下方向に並べて配置して、幅狭部を上下方向に二段設けてもよく、さらには、糸尻状凸部140Bの内側に幅狭部を上下方向に三段以上設けてもよい。幅狭部を上下方向に二段以上設けることで、外装体200を取り付ける場合は、合成樹脂製容器100Bと外装体200は更に外れにくくなり、また、合成樹脂製容器100B単体で利用する場合は、過度な変形が抑えられることから、糸尻状凸部140Bが破損したり潰れることを効果的に防止できるのである。また、幅狭部145Bは凸状形状をしているが、これに限定されず、幅狭部145Bは、内壁141Bと外壁142Bとの間の幅L1を部分的に狭くできるのであれば、任意の形状であってもよい。また、幅狭部145Bは、糸尻状凸部140Bの内側に、合成樹脂製容器100Bの周方向に沿って断続的に複数設けてもよい。また、幅狭部145Bは、糸尻状凸部140Bの内側に、合成樹脂製容器100Bの周方向に沿って連続して設けてもよい。
【0053】
また、図6(c)に示すように、外装体200Bが、側壁220Bの上端222Bの一部を外側に折り返した折返部223Bを備える場合は、糸尻状凸部140Bに挿入された外装体200Bの折返部223Bが、幅狭部145Bに係止できる。そのため、合成樹脂製容器100Bと外装体200Bはより外れにくいのである。また、幅狭部145Bが内壁141B側に設けられている場合は、内側に折り返された折返部と係止することができる。
【0054】
<実施形態4>
次に、図6(d)には、本願発明の実施形態4に係る合成樹脂製容器100Cを示す。なお、実施形態4の合成樹脂製容器100Cに係る構成は、図1及び図2に示す実施形態1に係る合成樹脂製容器100と、糸尻状凸部140Cの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る合成樹脂製容器100と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図6(d)は、図2(b)と同様に、糸尻状凸部140Cの端面を示した端面図である。
【0055】
図6(d)に示すように、糸尻状凸部140Cは、内側の内壁141Cと、外側の外壁142Cと、内壁141Cと外壁142Cとを連結する上端143Cとを備え、略コ字形状をしている。そして、略コ字形状をした糸尻状凸部140Cは挿入溝144Cを備えた構成となっている。また、内壁141Cと外壁142Cは、上端側が外側に向けて斜めに傾斜すると共に、互いに平行になっている。そのため、外装体200Cの側壁220Cの上端222Cが外側に向けて傾斜している場合は、側壁220Cの上端222Cの延出方向と、挿入溝144Cの深さ方向が同じなので、外装体200Cの上端222Cを、内壁141Cと外壁142Cとの間に挿入して挟みやすくなるのである。さらに、外装体200Cの側壁220Cの上端222Cが、内壁141Cと外壁142Cとの間に挿入されると、上端222Cは内壁141Cと外壁142Cに沿って外側に少し湾曲する。そのため、内壁141Cと外壁142Cは、上端222Cを上下方向に不用意に外れないように、より効果的に挟持した状態となるのである。なお、内壁141Cと外壁142Cは、上端側が外側に向けて斜めに傾斜しているが、これに限定されず、内壁141Cと外壁142Cは、上端側が内側に向けて斜めに傾斜してもよい。
【0056】
<実施形態5>
次に、図7から図9には、本願発明の実施形態5に係る合成樹脂製容器100D、当該合成樹脂製容器100Dに対応する外装体200D、合成樹脂製容器100Dを外装体200Dに取り付けた容器300Dを示す。なお、実施形態5の合成樹脂製容器100Dに係る構成は、図1及び図2に示す実施形態1に係る合成樹脂製容器100と、突部160Dを備えた点で異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る合成樹脂製容器100と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。また、実施形態5の外装体200Dに係る構成は、図3示す実施形態1に係る外装体200と、係止部260Dを備えた点で異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る外装体200と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。
【0057】
まず、図7に、本願発明の実施形態5に係る合成樹脂製容器100Dを示す。なお、図7(a)は、合成樹脂製容器100Dの側面図、図7(b)は、合成樹脂製容器100Dの底面図、図7(c)はC―C端面図である。
【0058】
図7に示すように、合成樹脂製容器100Dは上方に開口した深皿型形状であり、平面視略四角形の平坦な底部110Dと、底部110Dの外周111Dから斜め上方へ向けて延出する側壁120Dと、側壁120Dの上端側に側壁120Dで囲まれた開口部130Dと、を備える。また、側壁120Dの上端側には、開口部130Dの外側において、上方に凸状の糸尻状凸部140Dが設けられている。この糸尻状凸部140Dは、図1及び図2に示す糸尻状凸部140と基本的に同じ構成であり、糸尻状凸部140Dの内側の挿入溝144Dに外装体の一部を挿入して挟めるようになっている。
【0059】
また、側壁120Dの下端側には、外側へ突出した突部160Dが複数設けられている。この各突部160Dは、合成樹脂製容器100Dの周方向に互いに等間隔で配置されている。なお、図7に示す合成樹脂製容器100Dでは、合計4つの突部160Dが設けられているが、これに限定されず、突部160Dを一つのみ、又は、突部160Dを2つ以上の任意の数だけ設けてもよい。また、図7に示す合成樹脂製容器100Dでは、突部160Dが側面視で略長方形状になっているが、これに限定されず、突部160Dは、側壁120Dの表面から外側へ向けて突出しており、後述する外装体の係止部に係止できるのであれば、任意の形状であってもよい。
【0060】
次に、図8に、本願発明の実施形態5に係る合成樹脂製容器100Dに取り付けることができる外装体200Dを示す。なお、図8(a)は、外装体200Dの側面図、図8(b)は、外装体200Dの底面図、図8(c)はD―D端面図である。
【0061】
図8に示すように、外装体200Dは、上下が開口した円筒形状であり、斜め上方へ向けて傾斜した側壁220Dが、外装体200Dの周方向へ一周するように連続している。そして、外装体200Dの下端側の開口部210Dと、外装体200Dの上端側の開口部230Dは、側壁220Dによって周囲を囲まれた状態となっている。また、側壁220Dの下端221Dは、平らな載置面等に当接する部分であり、側壁220Dの上端222Dは、合成樹脂製容器100Dの糸尻状凸部140Dの挿入溝144Dに差し込む部分となっている。なお、外装体200Dは、円筒形状となっているが、これに限定されず、合成樹脂製容器100Dの側壁120の形状に対応した、角筒形状など、任意の形状とすることができる。また、外装体200Dは、合成樹脂製容器100Dの外寸より、若干大きくしても良い。
【0062】
また、側壁220Dの下端側には、下端221Dから上方に切り欠かれた係止部260Dが複数設けられている。係止部260Dは、上端261Dと両側の側端262Dとを備えている。この各係止部260Dは、外装体200Dの周方向に互いに等間隔で配置されている。各係止部260Dは、合成樹脂製容器100Dの各突部160Dが係止できるように、各突部160Dと対応した位置に設けられている。
【0063】
なお、図8に示す外装体200Dでは、合計4つの係止部260Dが設けられているが、これに限定されず、係止部260Dを一つのみ、又は、係止部260Dを2つ以上の任意の数だけ設けてもよい。また、図8に示す外装体200Dでは、係止部260Dが側面視で略台形形状になっているが、これに限定されず、係止部260Dは、合成樹脂製容器100Dの各突部160Dが係止できるのであれば、任意の形状であってもよい。また、図8に示す外装体200Dでは、係止部260Dが、下端側が開口した切り欠きの態様となっているが、これに限定されず、合成樹脂製容器100Dの各突部160Dが係止できるのであれば、貫通孔などの任意の態様であってもよい。
【0064】
では次に、本願発明の合成樹脂製容器100Dに外装体200Dを取り付けた容器300Dについて、図9を参照して説明する。なお、図9(a)は、容器300の側面図、図9(b)は、容器300の底面図、図9(c)は、E―E端面図である。
【0065】
図9に示すように、外装体200Dの開口部230D内に合成樹脂製容器100Dが収容されるように、合成樹脂製容器100Dが外装体200Dの上から取り付けられる。すると、合成樹脂製容器100Dの糸尻状凸部140Dの挿入溝144Dに、外装体200Dの側壁220Dの上端222Dが挿入されて、側壁220Dの上端222Dは、糸尻状凸部140によって挟持されている。
【0066】
また、内側の合成樹脂製容器100Dの突部160Dが、外側の外装体200Dの係止部260Dに係合しており、突部160Dが係止部260Dから外側へ向けて突出している。そのため、合成樹脂製容器100Dが外装体200Dから不用意に外れることが無く、また、合成樹脂製容器100Dが、外装体200D内で左右方向にズレることも無い。具体的には、突部160Dが係止部260Dの上端261Dに係止するので、合成樹脂製容器100Dが外装体200Dから不用意に上方へ外れることが無い。また、突部160Dが係止部260Dの側端262Dに当接するので、合成樹脂製容器100Dが、外装体200D内で左右方向にズレることも無いのである。
【0067】
そして、合成樹脂製容器100は、上端側の糸尻状凸部140Dによって外装体200Dの上端側に取り付けられ、下端側の突部160Dによって外装体200Dの下端側に取り付けられている。そのため、合成樹脂製容器100は、上端側と下端側において、外装体200Dを上下から挟み込むように取り付けることができることから、合成樹脂製容器100と外装体200はしっかりと取り付けられた状態となる。
【0068】
また、係止部260Dは、下端221Dが開口した切り欠き形状をしている。そのため、仮に、合成樹脂製容器100Dの突部160Dが、係止部260Dの左右方向にズレてしまい、係止部260Dに係止できていない場合であっても、突部160Dの位置を調節して、係止部260Dに容易に係止させることができる。具体的には、係止部260Dは下端221Dが開口した切り欠き形状をしているので、側壁220Dの係止部260D周辺は外側へ弾性変形させやすい。そして、合成樹脂製容器100Dを左右方向に回転させるように移動させれば、内側の突部160Dが、側壁220Dの係止部260D周辺を外側へ弾性変形させながら、係止部260Dへ向けて移動し、突部160Dが係止部260Dへ容易に係合するのである。特に、上端側の糸尻状凸部140Dに外装体200Dの一部を挿入することによって、合成樹脂製容器100Dは、外装体200Dに取り付けたままの状態でも、糸尻状凸部140Dに沿って左右方向に回転させるように容易に移動させることができる。そのため、突部160Dの位置を調節する際に、合成樹脂製容器100Dを外装体200Dから上方へ持ち上げてズラす必要がなく、利便性が高いのである。
【0069】
また、合成樹脂製容器100Dの底部110Dは、外装体200Dの下端221Dから浮いた状態で保持されているので、合成樹脂製容器100Dの底部110Dが載置面等に触れることなく、底部110Dと下端221Dとの間の空間X1Dによって保温効果が高いのである。同様に、合成樹脂製容器100Dの側壁120Dは、外装体200Dの側壁220Dから離間した状態で保持されているので、合成樹脂製容器100Dの側壁120Dが外装体200Dの側壁220Dに触れることなく、側壁120Dと側壁220Dとの間の空間X2Dによって保温効果が高いのである。
【0070】
なお、本願発明の合成樹脂製容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9