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特開2022-164562センシング制御装置、センシング制御方法、センシング制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164562
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】センシング制御装置、センシング制御方法、センシング制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/931 20200101AFI20221020BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20221020BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G01S17/931
G01S17/86
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018946
(22)【出願日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2021069271
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】新村 康介
【テーマコード(参考)】
5H181
5J084
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5J084AA05
5J084AB01
5J084AB07
5J084AB16
5J084AC02
5J084BA11
5J084CA67
5J084DA02
5J084DA03
5J084EA07
(57)【要約】
【課題】広いセンシングエリアを確保するセンシング制御装置の提供。
【解決手段】センシング制御装置のプロセッサは、車両5の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を取得することと、車両5の上下方向に沿った基準軸Acに対して調整可能なビームセンサ12の傾斜角θを、シーン情報に応じて制御することとを、実行するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(5)において検出視野角(ψ)内への照射ビームに対する反射ビームを検出することにより前記検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサ(12)を、制御するためのプロセッサ(32)を有するセンシング制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記車両の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を取得することと、
前記車両の上下方向に沿った基準軸(Ac)に対して調整可能な前記ビームセンサの傾斜角(θ)を、前記シーン情報に応じて制御することとを、
実行するように構成されるセンシング制御装置。
【請求項2】
前記傾斜角を制御することは、
前記シーン情報のうち、前記ビームセンサがセンシング対象とする物標の前記車両に対する離間距離に応じた角度へ、前記傾斜角を制御することを含む請求項1に記載のセンシング制御装置。
【請求項3】
前記傾斜角を制御することは、
前記シーン情報のうち、前記ビームセンサがセンシング対象とする物標の前記車両に対する相対移動方向に応じた角度へ、前記傾斜角を制御することを含む請求項1又は2に記載のセンシング制御装置。
【請求項4】
前記検出視野角と重畳可能な撮像視野角(ω)内の物標を撮像するイメージセンサ(2)を、前記ビームセンサと共に制御するための前記プロセッサは、
前記ビームセンサのセンシング対象として前記イメージセンサにより撮像される物標を監視することを、さらに実行するように構成され、
前記傾斜角を制御することは、
前記ビームセンサがセンシング対象とする物標の前記イメージセンサによる撮像をトリガとして、当該物標に応じた角度へ前記傾斜角を制御することを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のセンシング制御装置。
【請求項5】
前記センシング対象とする物標に応じた角度へ前記傾斜角を制御することは、
前記車両からの設定距離範囲内を相対移動すると予測される、当該物標の前記撮像をトリガとする請求項4に記載のセンシング制御装置。
【請求項6】
前記センシング対象とする物標に応じた角度へ前記傾斜角を制御することは、
前記車両の走行方向において前記ビームセンサよりも前方の前記イメージセンサによる、前記撮像をトリガとする請求項4又は5に記載のセンシング制御装置。
【請求項7】
前記センシング対象とする物標に応じた角度へ前記傾斜角を制御することは、
前記車両の上下方向において前記ビームセンサよりも低い位置の前記イメージセンサによる、前記撮像をトリガとする請求項4~6のいずれか一項に記載のセンシング制御装置。
【請求項8】
車両(5)において検出視野角(ψ)内への照射ビームに対する反射ビームを検出することにより前記検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサ(12)を、制御するためにプロセッサ(32)により実行されるセンシング制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記車両の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を、取得することと、
前記車両の上下方向に沿った基準軸(Ac)に対して調整可能な前記ビームセンサの傾斜角(θ)を、前記シーン情報に応じて制御することとを、
含むセンシング制御方法。
【請求項9】
記憶媒体(30)に記憶され、車両(5)において検出視野角(ψ)内への照射ビームに対する反射ビームを検出することにより前記検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサ(12)を、制御するためにプロセッサ(32)に実行させる命令を含むセンシング制御プログラムであって、
前記命令は、
前記車両の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を、取得させることと、
前記車両の上下方向に沿った基準軸(Ac)に対して調整可能な前記ビームセンサの傾斜角(θ)を、前記シーン情報に応じて制御させることとを、
含むセンシング制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センシング制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるセンシング制御技術では、車両のルーフ上に搭載された複数の自動運転センサが、制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許10099630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるセンシング制御技術では、自動運転センサとして、光測距装置及びレーダ装置が挙げられている。これら測距装置及びレーダ装置は、検出視野角内への照射ビームに対する反射ビームを検出することで、検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサの、一種である。しかし、こうしたビームセンサの場合、ルーフ上から車両の近傍及び遠方を網羅するセンシングエリアを、ビームセンサの検出視野角単独で確保することは、大きな検出視野角に対するビームの照射構造に起因して、例えば体格又は熱耐久等の問題を招来してしまう。
【0005】
本開示の課題は、広いセンシングエリアを確保するセンシング制御装置を、提供することにある。本開示の別の課題は、広いセンシングエリアを確保するセンシング制御方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、広いセンシングエリアを確保するセンシング制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
車両(5)において検出視野角(ψ)内への照射ビームに対する反射ビームを検出することにより検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサ(12)を、制御するためのプロセッサ(32)を有するセンシング制御装置であって、
プロセッサは、
車両の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を取得することと、
車両の上下方向に沿った基準軸(Ac)に対して調整可能なビームセンサの傾斜角(θ)を、シーン情報に応じて制御することとを、
実行するように構成される。
【0008】
本開示の第二態様は、
車両(5)において検出視野角(ψ)内への照射ビームに対する反射ビームを検出することにより検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサ(12)を、制御するためにプロセッサ(32)により実行されるセンシング制御方法であって、
プロセッサは、
車両の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を、取得することと、
車両の上下方向に沿った基準軸(Ac)に対して調整可能なビームセンサの傾斜角(θ)を、シーン情報に応じて制御することとを、
含む。
【0009】
本開示の第三態様は、
記憶媒体(30)に記憶され、車両(5)において検出視野角(ψ)内への照射ビームに対する反射ビームを検出することにより検出視野角内の物標をセンシングするビームセンサ(12)を、制御するためにプロセッサ(32)に実行させる命令を含むセンシング制御プログラムであって、
命令は、
車両の運転シーンを判別することにより、当該運転シーンに関連するシーン情報を、取得させることと、
車両の上下方向に沿った基準軸(Ac)に対して調整可能なビームセンサの傾斜角(θ)を、シーン情報に応じて制御させることとを、
含む。
【0010】
これら第一~第三態様によると、車両の上下方向に沿った基準軸に対して調整可能なビームセンサの傾斜角は、判別された運転シーンに関連するシーン情報に応じて、制御される。これによれば、検出視野角自体の増大を可及的に抑えつつも、運転シーンに合わせた制御によりビームセンサの傾斜角が変化して検出視野角の動く範囲を、見かけ上の広いセンシングエリアとして確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるセンシングシステムの車両への搭載状態を示す正面模式図である。
図2】一実施形態によるセンシングシステムの構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態によるセンシングモジュールの構造を示す側面模式図である。
図4】一実施形態によるセンシングモジュールを説明するための正面模式図である。
図5】一実施形態によるセンシングモジュールを説明するための正面模式図である。
図6】一実施形態によるセンシングモジュールを説明するための正面模式図である。
図7】一実施形態によるセンシングモジュールを説明するための側面模式図である。
図8】一実施形態によるイメージセンサを説明するための正面模式図である。
図9】一実施形態によるイメージセンサを説明するための側面模式図である。
図10】一実施形態によるセンシング制御装置の詳細構成を示すブロック図である。
図11】一実施形態によるセンシング制御装置を説明するための正面模式図である。
図12】一実施形態によるセンシング制御装置を説明するための正面模式図である。
図13】一実施形態によるセンシング制御装置を説明するための正面模式図である。
図14】一実施形態による画像データを説明するための模式図である。
図15】一実施形態による画像データを説明するための模式図である。
図16】一実施形態によるセンシング制御装置を説明するための側面模式図である。
図17】一実施形態による画像データを説明するための模式図である。
図18】一実施形態による画像データを説明するための模式図である。
図19】一実施形態によるセンシング制御方法を示すフローチャートである。
図20】一実施形態によるセンシング制御方法を示すフローチャートである。
図21】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図22】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図23】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図24】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図25】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図26】一実施形態によるユースケースを示す背面模式図である。
図27】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図28】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図29】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図30】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図31】一実施形態によるユースケースを示す背面模式図である。
図32】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図33】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図34】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図35】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図36】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図37】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図38】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図39】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図40】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図41】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図42】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図43】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図44】一実施形態によるユースケースを示す背面模式図である。
図45】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図46】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図47】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図48】一実施形態によるセンシング制御方法を示すフローチャートである。
図49】一実施形態によるセンシング制御方法を示すフローチャートである。
図50】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図51】一実施形態によるユースケースを示す背面模式図である。
図52】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
図53】一実施形態によるユースケースを示す背面模式図である。
図54】一実施形態によるユースケースを示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1,2に示すようにセンサ系6及びセンシング制御装置3を含んで構成される一実施形態のセンシングシステム4は、車両5に搭載される。
【0014】
車両5は、自動運転制御モードにおいて定常的、又は一時的に自動走行可能となっている。ここで自動運転制御モードは、条件付運転自動化、高度運転自動化、又は完全運転自動化といった、作動時のシステムが全ての運転タスクを実行する自律運転制御により、実現されてもよい。自動運転制御モードは、運転支援、又は部分運転自動化といった、乗員が一部又は全ての運転タスクを実行する高度運転支援制御において、実現されてもよい。自動運転制御モードは、それら自律運転制御と高度運転支援制御とのいずれか一方、組み合わせ、又は切り替えにより実現されてもよい。
【0015】
尚、以下の説明において前、後、左、右、上及び下は、水平面上の車両5に対して想定されている。また、本実施形態において車両5の走行方向を基準とする前、後、左、及び右は、走行方向の切り替えに拘らず固定されているものとする。
【0016】
センサ系6には、センシングモジュール1及びイメージセンサ2、並びにそれら以外の複数要素が含まれる。センシングモジュール1及びイメージセンサ2は、車両5の左右に一組ずつ設けられている。そこで以下では、車両5の左方をセンシングするセンシングモジュール1及びイメージセンサ2の組について代表的に構成を説明し、車両5の右方をセンシングするセンシングモジュール1及びイメージセンサ2の組については構成の説明を省略する。
【0017】
センシングモジュール1は、車両5の上部を構成するルーフ50上に、配置される。センシングモジュール1は、図2,3に示すように、アクチュエータ11及びビームセンサ12を備えている。
【0018】
図3に示すようにアクチュエータ11は、モジュールベース110、シャフト軸受111、回転シャフト112、駆動モータ113、及び回転角センサ114を有している。モジュールベース110は、例えば金属、樹脂、又はそれらの組み合わせ等により、枠組状に形成されている。モジュールベース110は、車両5のルーフ50のうち、左側縁部に装着される。シャフト軸受111は、例えばベアリング等の、転がり軸受である。シャフト軸受111は、モジュールベース110により支持されている。一対の回転シャフト112は、例えば金属等により、円柱状に形成されている。一方の従動側回転シャフト112は、シャフト軸受111により回転自在に支持されている。
【0019】
図2,3に示す駆動モータ113は、例えばステッピングモータ又はサーボモータ等の、電動モータである。駆動モータ113は、モジュールベース110により支持されている。駆動モータ113の出力軸は、他方の駆動側回転シャフト112に対して一体回転可能に、連結されている。駆動モータ113は、センシング制御装置3からの制御信号に従って、駆動側回転シャフト112を回転駆動する。回転角センサ114は、例えば磁気センサ等の、非接触式センサである。回転角センサ114は、駆動モータ113内に収容されて支持されている。回転角センサ114は、駆動側回転シャフト112の回転角を検出して、当該検出の回転角を表す検出データをセンシング制御装置3へ出力する。
【0020】
ビームセンサ12は、自動制御運転モードを含む車両5の運転に活用可能な外界データを取得する、所謂LiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)である。ビームセンサ12は、可動ケーシング125、投光ユニット120、走査ミラー121、走査モータ122、受光ユニット123、及び受光処理回路124を有している。
【0021】
図2に示す可動ケーシング125は、例えば金属、樹脂、又はそれらの組み合わせ等により、箱状に形成されている。可動ケーシング125は、アクチュエータ11の各回転シャフト112により、一体回転可能に支持されている。可動ケーシング125は、アクチュエータ11の駆動モータ113により、駆動側回転シャフト112を通じて回転駆動される。これにより、図4~6に示すようにビームセンサ12の検出軸Abは、車両5の基準軸Acに対して、駆動側回転シャフト112の回転角と対応する角度θに傾斜する。ここで基準軸Acは、車両5の上下方向(本実施形態ではヨー軸方向)に沿って、定義される。
【0022】
ここまで説明の構成からアクチュエータ11では、センシング制御装置3からの制御信号に従う回転角にビームセンサ12が位置決めされることで、検出軸Abの傾斜角θが基準軸Acに対して調整される。換言すればセンシング制御装置3は、検出軸Abの傾斜角θを制御する。それと共にアクチュエータ11からは、検出軸Abの傾斜角θに一対一で対応する回転角の検出データが、センシング制御装置3へ与えられることで、当該傾斜角θの制御に活用される。
【0023】
検出軸Abの傾斜角θは、基準軸Acに対して、下方の最下傾斜角θlから上方の最上傾斜角θhまでの設定角度範囲内に、可変調整される。特に本実施形態の傾斜角θは、設定角度範囲内において、最下傾斜角θl、最上傾斜角θh、及びそれらθl,θh間の中間傾斜角θmに、等間隔で切り替え調整される。ここで特に本実施形態では、最下傾斜角θlが傾斜角θの基準角度θbとして設定されている。これにより設定角度範囲は、基準角度θbを含む検出軸Abの可動範囲となっている。
【0024】
図2,3に示すビームセンサ12において可動ケーシング125以外の構成要素120~124は、可動ケーシング125内に収容されて支持されている。投光ユニット120は例えば、赤外帯域の指向性レーザ光を投射可能なレーザダイオード等の半導体発光素子、及びレンズ等の投光光学系を主体に、構成されている。投光ユニット120は、車両5の左側方に向けて図4~6の如く検出軸Abまわりに設定される検出視野角ψ内への照射ビームとして、断続的なパルス状のレーザ光をセンシング制御装置3からの制御信号に従い発生させる。特に本実施形態の投光ユニット120は、車両5の上下方向に拡散する、所謂ラインビーム状に照射ビームを成形する。
【0025】
そこでビームセンサ12の検出視野角ψとしては、図4~7に示すように、傾斜角θに応じた検出軸Abと共に基準軸Acを含む第一仮想平面V1上において、照射ビームの拡散角度に固定される第一視野角ψ1が、定義されている。これにより検出軸Abは、第一仮想平面V1上において第一視野角ψ1を実質二等分するように、設定されている。
【0026】
図3に示す走査ミラー121は、例えば合成樹脂又はガラス等の基材に、アルミニウム、銀、又は金等の反射膜が積層されることで、形成されている。走査ミラー121は、基準軸Acに沿った走査軸まわりに、回転可能に配置されている。走査ミラー121は、投光ユニット120からの照射ビームを、回転位置に応じた方向へと反射させることで、車両5の左側方を走査する。即ち走査ミラー121は、照射ビームの走査角度を回転位置に応じて調整する。
【0027】
そこでビームセンサ12の検出視野角ψとしては、図4~7に示すように、傾斜角θに応じた検出軸Abを含み且つ傾斜角θに応じた第一仮想平面V1と直交する第二仮想平面V2上において、照射ビームの走査角度によって決まる第二視野角ψ2が、定義されている。これにより検出軸Abは、第二仮想平面V2上において第二視野角ψ2を実質二等分するように、設定されている。
【0028】
図2に示す走査モータ122は、例えばステッピングモータ等の、電動モータである。走査モータ122の出力軸は、走査ミラー121に対して一体回転可能に、連結されている。走査モータ122は、センシング制御装置3からの制御信号に従って、走査ミラー121を回転駆動する。これにより、走査ミラー121を通じて照射ビームが検出視野角ψ内の物標へと照射されることで反射された反射ビームは、走査ミラー121に入射することで今度は受光ユニット123へと反射される。
【0029】
受光ユニット123は例えば、赤外帯域のレーザ光に対して高感度なSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等の半導体受光素子、及びレンズ等の受光光学系を主体に、構成されている。受光ユニット123は、照射ビームに対して走査ミラー121を介して受光した反射ビームを、検出する。これにより受光ユニット123は、検出視野角ψ内の物標をセンシングする。
【0030】
受光処理回路124は、例えば走査ドライバ及び信号処理チップ等の集積回路を主体に、構成されている。受光処理回路124は、受光ユニット123の受光素子を構成する複数画素を、センシング制御装置3からの制御信号に従って走査する。受光処理回路124は、検出視野角ψ内においてセンシングした物標の反射点距離に応じて、各画素毎に取得される距離値を三次元データ化することで、センシングデータとしての距離画像データを取得する。受光処理回路124は、検出視野角ψ内においてセンシングした物標の反射点強度に応じて、各画素毎に取得される強度値を二次元データ化することで、センシングデータとして距離画像データに対応した強度画像データも取得する。
【0031】
図1に示すようにイメージセンサ2は、車両5において左側部を構成するドアミラー51に、配置される。これによりイメージセンサ2は、図4~6の如く任意傾斜角θでのビームセンサ12よりも、車両5の走行方向においては前方、且つ車両5の上下方向においては低くなる位置に、配置される。イメージセンサ2は、自動制御運転モードを含む車両5の運転に活用可能な外界データを取得する、所謂車載カメラである。イメージセンサ2は、図1,2に示すように、カメラケーシング25、撮像ユニット23、及び撮像処理回路24を有している。
【0032】
図1に示すカメラケーシング25は、例えば金属、樹脂、又はそれらの組み合わせ等により、箱状に形成されている。カメラケーシング25は、車両5の左側ドアミラー51に装着される。イメージセンサ2のカメラケーシング25以外の構成要素23,24は、カメラケーシング25内に収容されて支持されている。
【0033】
図2に示す撮像ユニット23は例えば、CMOS等の半導体撮像素子、及びレンズ等の魚眼式撮像光学系を主体に、構成されている。撮像ユニット23の画角によって図8,9に示すように決まる撮像視野角ωは、車両5の左側方に向けて撮像軸Aiまわりに設定されている。撮像ユニット23の撮像視野角ωは、ビームセンサ12の任意傾斜角θでの検出視野角ψ(図4~6参照)に対して、部分的に重畳可能となっている。撮像ユニット23は、撮像視野角ω内の物標により反射された外光を、検出する。これにより撮像ユニット23は、撮像視野角ω内の物標を撮像する。
【0034】
図2に示す撮像処理回路24は、例えば走査ドライバ及び信号処理チップ等の集積回路を主体に、構成されている。撮像処理回路24は、撮像ユニット23を構成する複数画素を、センシング制御装置3からの制御信号に従って走査する。撮像処理回路24は、撮像視野角ω内において撮像した物標の反射点強度に応じて、各画素毎に取得される強度値(即ち、輝度値)を二次元データ化することで、撮像データとしてのカメラ画像データを取得する。
【0035】
尚、撮像ユニット23では、可視光フィルタ及び赤外光フィルタのそれぞれ設けられる複数ずつのサブ画素により、各画素が構成されていてもよい。これにより、例えば昼間等の明環境では可視光に対するカメラ画像データ、また夜間等の暗環境では赤外光に対するカメラ画像データが、撮像処理回路24により取得されるとよい。この場合、イメージセンサ2が撮像感度を有する赤外帯域の光として、ビームセンサ12からの照射ビームを活用することで、明暗環境によらずイメージセンサ2による物標の撮像が可能となる。
【0036】
センサ系6においてセンシングモジュール1及びイメージセンサ2以外の要素は、車両5の外界データを取得する外界センサであってもよい。外界センサは、センシングモジュール1及びイメージセンサ2と同様に、車両5の外界に存在する物標をセンシングして外界データを取得する、物標センシングタイプであってもよい。物標センシングタイプの外界センサは、例えばレーダ、LiDAR、カメラ、及びソナー等のうち、少なくとも一種類である。外界センサは、車両5の外界に存在するGNSS(Global Navigation Satellite System)の人工衛星から測位信号を受信して外界データを取得する、測位タイプであってもよい。測位タイプの外界センサは、例えばGNSS受信機等である。外界センサは、車両5の外界に存在するV2Xシステムの通信信号を受信して外界データを取得する、通信タイプであってもよい。通信タイプの外界センサは、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communications)通信機、及びセルラV2X(C-V2X)通信機等のうち、少なくとも一種類である。
【0037】
センサ系6においてセンシングモジュール1及びイメージセンサ2以外の要素は、車両5の内界データを取得する内界センサであってもよい。内界センサは、車両5の内界における特定の運動物理量をセンシングして内界データを取得する、物理量センシングタイプであってもよい。物理量センシングタイプの内界センサは、例えば走行速度センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサ等のうち、少なくとも一種類である。内界センサは、車両5の内界において乗員の特定状態又は特定操作をセンシングして内界データを取得する、乗員センシングタイプであってもよい。乗員センシングタイプの内界センサは、例えば始動センサ、ドアロックセンサ、ドア開閉センサ、操舵センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、方向指示センサ、着座センサ、ドライバステータスモニタ、及び車内機器センサ等のうち、少なくとも一種類である。
【0038】
センシング制御装置3は、例えばLAN(Local Area Network)、ワイヤハーネス、及び内部バス等のうち、少なくとも一種類を介してセンサ系6に接続されている。これによりセンシング制御装置3は、センシングモジュール1及びイメージセンサ2の左右組に共通に設けられ、それら左右組の各々を個別に制御可能となっている。そこで以降の説明では、センシングモジュール1及びその構成要素11,12、並びにイメージセンサ2に関しては、左右組のいずれかを特定する記載がない限り、左右組の双方を表しているものとする。
【0039】
センシング制御装置3は、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成される。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、ビームセンサ12を含むセンシングモジュール1と共にイメージセンサ2を制御することに特化した、センサECU(Electronic Control Unit)であってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の運転制御を統合する、統合ECUであってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の運転制御における運転タスクを判断する、判断ECUであってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の運転制御を監視する、監視ECUであってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の運転制御を評価する、評価ECUであってもよい。
【0040】
センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の走行経路をナビゲートする、ナビゲーションECUであってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の自己状態量を推定する、ロケータECUであってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5の走行アクチュエータを制御する、アクチュエータECUであってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5において表示及び音声での情報提示を制御する、HCU(HMI(Human Machine Interface) Control Unit)であってもよい。センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、車両5との間で通信可能な外部センタ又はモバイル端末を構築する、少なくとも一つの外部コンピュータであってもよい。
【0041】
センシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、メモリ30及びプロセッサ32を、少なくとも一つずつ有している。メモリ30は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ32は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
【0042】
プロセッサ32は、メモリ30に記憶されたセンシング制御プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これによりセンシング制御装置3は、センシングモジュール1及びイメージセンサ2を制御するための機能ブロックを、複数構築する。このようにセンシング制御装置3では、センシングモジュール1及びイメージセンサ2を制御するためにメモリ30に記憶されたセンシング制御プログラムが、複数の命令をプロセッサ32に実行させることで、複数の機能ブロックが構築される。図10に示すようにセンシング制御装置3によって構築される複数の機能ブロックには、シーン判別ブロック300、傾斜角制御ブロック301、位置認識ブロック302,304、及び校正ブロック303,305が含まれる。
【0043】
シーン判別ブロック300は、センシングモジュール1のセンシングデータ及びイメージセンサ2の撮像データを含む、センサ系6の取得データに基づいて車両5の運転シーンを判別することで、当該運転シーンに関連するシーン情報を取得する。判別される運転シーンは、例えばシステム起動、乗車、発車、合流走行、レーン走行、交差点走行、駐車、降車、システム終了等のうち、少なくとも一種類である。ここでレーン走行には、例えば単独走行、他道路ユーザによる幅寄せ、他道路ユーザの割り込み、他道路ユーザのすり抜け、車両5のすり抜け、及び横断歩道通過等のうち、少なくとも一種類が含まれていてもよい。また交差点走行には、例えば交差点直進、及び交差点ターン等のうち、少なくとも一種類が含まれていてもよい。
【0044】
傾斜角制御ブロック301は、シーン判別ブロック300により取得されたシーン情報に応じて、センシングモジュール1のアクチュエータ11を制御する。これにより傾斜角制御ブロック301は、センシングモジュール1のビームセンサ12に関して、アクチュエータ11により位置決め調整可能な検出軸Abの傾斜角θを、可変制御する。
【0045】
具体的に傾斜角制御ブロック301は、ビームセンサ12の傾斜角θを制御(以下、単に傾斜角制御又は制御ともいう)するトリガとなる条件として、トリガ条件の成立をシーン情報に基づき判定する。トリガ条件は、直前の運転シーンとは異なる、現在の運転シーンへの遷移と、現在の運転シーンにおいてビームセンサ12がセンシング対象として監視する物標の、イメージセンサ2による撮像とのうち、少なくとも一方を含む。ここで特にシーンの遷移は、例えばイメージセンサ2での撮像による取得データ、ビームセンサ12による取得データ、外界センサでのセンシングによる取得データ、外界センサでの通信による取得データ、及び地図データ等のうち、少なくとも一種類に基づき判断される。
【0046】
また特に本実施形態では、傾斜角制御のトリガとして撮像が判定されるセンシング対象物標には、図11に示すように車両5から設定距離範囲内となる車両近傍箇所を相対移動すると予測される特定道路ユーザ7が、選定される。また特に本実施形態では、傾斜角制御のトリガとして撮像が判定されるセンシング対象物標には、図12に示すように車両5から設定距離範囲内となる車両近傍箇所に存在又は相対接近すると予測される特定静止物8が、選定される。
【0047】
図10に示す傾斜角制御ブロック301は、トリガ条件が成立した場合にビームセンサ12の傾斜角θを、シーン情報に応じた角度へ更新する。特に本実施形態の傾斜角制御ブロック301は、シーン情報のうち、現在の運転シーンにおいてビームセンサ12のセンシング対象とする物標(トリガ条件としてイメージセンサ2による撮像された物標を含む)に応じた角度へ、傾斜角θを更新する。このとき傾斜角θは、ビームセンサ12によるセンシング対象物標の、車両5に対する離間距離及び相対移動方向のうち少なくとも一方に応じた角度へ、制御されるとよい。尚、トリガ条件の成立後に傾斜角制御ブロック301は、別のトリガ条件が成立するまで、ビームセンサ12の傾斜角θを維持することとなる。
【0048】
第一位置認識ブロック302は、車両5において図13に示すように検出視野角ψ内に入るイメージセンサ2のビームセンサ12に対する相対位置関係を、基準角度θbでのビームセンサ12によるセンシングデータに基づき認識する。具体的に第一位置認識ブロック302は、傾斜角制御ブロック301が傾斜角θを基準角度θbに制御した運転シーンにおいて、センシングデータとしての強度画像データDbをビームセンサ12から取得する。第一位置認識ブロック302は、図14に示すように取得した強度画像データDbにおいて、イメージセンサ2が映る画素位置Piの初期位置Pi0に対する位置偏差ΔPiを、ビームセンサ12に対するイメージセンサ2の相対位置関係として認識する。
【0049】
ここで初期位置Pi0は、基準角度θbとして初期角度θb0(図13の破線参照)が設定された車両5の初期状態において、当該初期角度θb0のビームセンサ12によって図15に示すように撮像された初期強度画像データDb0にイメージセンサ2が映る画素位置を、意味する。そこで初期位置Pi0及び初期角度θb0は、センシングシステム4の車両5への搭載後となる、例えば車両5のラインオフ時又はシェイクダウン時等の初期状態下、第一位置認識ブロック302により取得されてメモリ30に記憶される。
【0050】
図10に示す第一校正ブロック303は、傾斜角制御ブロック301による設定角度範囲内での制御において傾斜角θを校正するキャリブレーション値を、第一位置認識ブロック302により認識される相対位置関係に基づき取得する。このとき第一校正ブロック303は、図13に示すような初期角度θb0に対する基準角度θbの角度偏差Δθを、キャリブレーション値として取得する。これは、第一位置認識ブロック302により認識される相対位置関係、即ち強度画像データDbにおける位置偏差ΔPiが、図14に示すように角度偏差Δθとの間には一対一の相関を有していることに、依拠する。ここで角度偏差Δθは、例えばアクチュエータ11の装着状態、又はビームセンサ12の支持状態等に関する、初期角度θb0からの経年変化によって発生する。
【0051】
このように第一校正ブロック303によって取得された角度偏差Δθ分を、傾斜角制御ブロック301は、基準角度θbの初期角度θb0を起点とした傾斜角θの理論制御値に対して、加算補正又は減算補正する。これにより傾斜角制御ブロック301は、加算補正又は減算補正された傾斜角θに、ビームセンサ12を制御することとなる。
【0052】
図10に示す第二位置認識ブロック304は、車両5において図16に示すように撮像視野角ω内に入るビームセンサ12のイメージセンサ2に対する相対位置関係を、イメージセンサ2による撮像データに基づき認識する。具体的に第二位置認識ブロック304は、センシング対象物標である特定道路ユーザ7又は特定静止物8(図16は特定静止物8の例)の撮像をトリガとして、傾斜角制御ブロック301が傾斜角θを基準角度θbに制御した運転シーンにおいて、撮像データとしてのカメラ画像データDiをイメージセンサ2から取得する。第二位置認識ブロック304は、図17に示すように取得したカメラ画像データDiにおいて、ビームセンサ12が映る画素位置Pbの初期位置Pb0に対する位置偏差ΔPbを、イメージセンサ2に対するビームセンサ12の相対位置関係として認識する。
【0053】
ここで初期位置Pb0は、車両5の初期状態における初期装着姿勢(図16の破線参照)のイメージセンサ2によって図18に示すように撮像された初期カメラ画像データDi0にビームセンサ12が映る画素位置を、意味する。そこで初期位置Pb0は、センシングシステム4の車両5への搭載後となる、例えば車両5のラインオフ時又はシェイクダウン時等の初期状態下、第二位置認識ブロック304により取得されてメモリ30に記憶される。
【0054】
図10に示す第二校正ブロック305は、傾斜角制御ブロック301により傾斜角θが制御されるトリガのタイミングとして、トリガ条件の成立タイミングを校正するキャリブレーション値を、第二位置認識ブロック304により認識される相対位置関係に基づき取得する。このとき第二校正ブロック305は、図17に示すようなカメラ画像データDiにおいてセンシング対象物標である特定道路ユーザ7又は特定静止物8(図17は特定静止物8の例)の撮像が傾斜角制御のトリガとなる画素位置Ptに対して、位置偏差ΔPb分ずらす補正を行うように、キャリブレーション値としての補正量を取得する。これは、第二位置認識ブロック304により認識される相対位置関係、即ちカメラ画像データDiにおける位置偏差ΔPbが、傾斜角制御のトリガとなる画素位置Ptにおいてセンシング対象物標の撮像されるトリガタイミングのズレΔtとの間には一対一の相関を有していることに、依拠する。ここで、図16に示すトリガタイミングのズレΔtは、例えばイメージセンサ2の装着状態等に関する、初期装着姿勢からの経年変化によって発生する。
【0055】
このように第二校正ブロック305によって取得された位置偏差ΔPb分を、傾斜角制御ブロック301は、傾斜角制御のトリガとなる画素位置の理論制御位置に対して、加算補正又は減算補正する。これにより傾斜角制御ブロック301は、カメラ画像データDiにおいて加算補正又は減算補正された画素位置にセンシング対象物標が撮像された場合に、トリガ条件成立の判定を下すこととなる。
【0056】
次に、センシング制御装置3がセンシングモジュール1及びイメージセンサ2を制御するセンシング制御方法のフローのうち、シーン判別ブロック300及び傾斜角制御ブロック301の共同によるメイン制御フローを、説明する。メイン制御フローは、車両5の起動中に繰り返し実行される。尚、メイン制御フローにおける各「S」は、センシング制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味する。
【0057】
図19に示すように、メイン制御フローのS10においてシーン判別ブロック300は、車両5の運転シーンを判別することで、当該運転シーンに関連するシーン情報を取得する。続くS11において傾斜角制御ブロック301は、シーン判別ブロック300により取得されたシーン情報に応じて、ビームセンサ12の傾斜角θを設定角度範囲内に制御する、傾斜角制御ルーチンを実行する。図20に示すように、傾斜角制御ルーチンのS110において傾斜角制御ブロック301は、ビームセンサ12の傾斜角θを制御するトリガ条件が成立したか否かを、シーン情報に基づき判定する。
【0058】
S110においてトリガ条件が未成立の場合には、傾斜角制御ルーチンがS111へ移行する。S111において傾斜角制御ブロック301は、ビームセンサ12の傾斜角θを維持する。一方、S110においてトリガ条件が成立した場合には、傾斜角制御ルーチンがS112へ移行する。S112において傾斜角制御ブロック301は、ビームセンサ12の傾斜角θを、シーン情報に応じた角度へ更新する。ここで特に、運転シーンの遷移に伴って監視されるセンシング対象物標として、特定道路ユーザ7又は特定静止物8がイメージセンサ2により撮像されることをトリガとするトリガ条件が、S110において成立すると、S112においてビームセンサ12の傾斜角θが、当該センシング対象物標に応じた角度へ更新される。S111,112のいずれの実行終了後にも、傾斜角制御ルーチンを含むメイン制御フローの今回実行が終了する。
【0059】
このようなメイン制御フローによるユースケースを、以下に説明する。
【0060】
図21,12に示すような車両5の駐車状態からのリモート操作に従うシステム起動に伴って、センシング対象物標である特定静止物8としての乗降構造物がイメージセンサ2により撮像されると、ビームセンサ12の傾斜角θは基準角度θbとしての最下傾斜角θlに制御される。このシステム起動時制御により最下傾斜角θlのビームセンサ12が乗降構造物をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の現在位置推定が可能となる。
【0061】
図22,11に示すような車両5のシステム起動状態からのドアロック解除又はドア開放に伴って、センシング対象物標である特定道路ユーザ7として車両5に搭乗する乗員がイメージセンサ2により撮像されると、ビームセンサ12の傾斜角θは最下傾斜角θlに制御される。この乗車時制御により最下傾斜角θlのビームセンサ12が乗員の搭乗及びドア閉動作をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の発車許可判断が可能となる。
【0062】
図23に示すような車両5の乗員搭乗状態からの発車に伴って、検出視野角ψが最下傾斜角θl時よりも遠方を捉えるように、ビームセンサ12の傾斜角θは上方の中間傾斜角θmに制御される。発車後の合流走行のうち、図24に示すような車両5のレーンチェンジに伴って、レーンチェンジ先への他道路ユーザの進入を警戒するため、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも遠方を捉えるように、レーンチェンジ側(図24では右側)となるビームセンサ12の傾斜角θがさらに上方の最上傾斜角θhに制御される。
【0063】
発車後の合流走行のうち、図25,26に示すようなレーンチェンジ先の他道路ユーザ間へ向かう車両5の割り込みに伴って、当該他道路ユーザとの過度な接近を警戒するため、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも車両近傍箇所を捉えるように、レーンチェンジ側(図25,26では右側)となるビームセンサ12の傾斜角θは下方の最下傾斜角θlに制御される。この割り込み時制御は、車両5の走行速度が低速又は減速の状態から、センシング対象物標である特定道路ユーザ7としてのレーンチェンジ先車両がイメージセンサ2により撮像されることを、トリガ条件としてもよい。また、割り込み時制御により最下傾斜角θlのビームセンサ12がレーンチェンジ先車両をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の走行経路判断が可能となる。
【0064】
合流走行のうち、図50,51に示すように合流元レーンと合流先レーンとの間に障害物9aが認識されることに伴って、合流先の他道路ユーザを警戒するために合流側(図50,51では右側)となるビームセンサ12の傾斜角θは、当該レーン間障害物9aの高さに応じた中間傾斜角θm又は最上傾斜角θh(図50,51はθmの例)に制御される。この合流時制御は、例えば地図データ、外界センサでの通信による取得データ、外界センサでのセンシングによる取得データ、イメージセンサ2での撮像による取得データ、及びビームセンサ12による取得データ等のうち、少なくとも一種類に基づきレーン間障害物9aが認識されることを、トリガ条件としてもよい。ここで撮像データに基づきレーン間障害物9aが認識される場合、イメージセンサ2による当該レーン間障害物9aの撮像がトリガ条件である、ともいえる。また、合流時制御により中間傾斜角θm又は最上傾斜角θhのビームセンサ12が合流先車両をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の走行経路判断が可能となる。
【0065】
発車後のレーン走行のうち、図27に示すような車両5の単独走行中は、ビームセンサ12の傾斜角θが中間傾斜角θmに制御される。レーン走行のうち単独走行中に、図28に示すような他道路ユーザによる車両5への幅寄せが生じるのに伴って、ビームセンサ12の傾斜角θは中間傾斜角θmに制御される。レーン走行のうち単独走行中に、図29に示すような車両5に対する他道路ユーザの割り込みが生じるのに伴って、ビームセンサ12の傾斜角θは中間傾斜角θmに制御される。
【0066】
レーン走行のうち単独走行中に、図30,31に示すような駐車中の他道路ユーザに対する車両5のすり抜けが生じるのに伴って、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも車両近傍箇所を捉えるように、当該他道路ユーザ側(図30,31では左側)となるビームセンサ12の傾斜角θは下方の最下傾斜角θlに制御される。このすり抜け時制御は、車両5の走行速度が低速又は減速の状態から、センシング対象物標である特定道路ユーザ7としての駐車車両がイメージセンサ2により撮像されることを、トリガ条件としてもよい。また、すり抜け時制御により最下傾斜角θlのビームセンサ12が駐車車両をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の走行経路判断が可能となる。
【0067】
レーン走行のうち単独走行中に、図32に示すような車両5に対する他道路ユーザのすり抜けが生じるのに伴って、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも車両近傍箇所を捉えるように、ビームセンサ12の傾斜角θは下方の最下傾斜角θlに制御される。このすり抜け時制御は、センシング対象物標である特定道路ユーザ7としてのバイク又は自転車がイメージセンサ2により撮像されることを、トリガ条件としてもよい。
【0068】
レーン走行のうち単独走行中に、図33に示すような車両5の横断歩道通過に先立って、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも遠方を捉えるように、ビームセンサ12の傾斜角θは上方の最上傾斜角θhに制御される。この横断歩道通過時制御は、横断者の有無に応じて横断歩道前後での停車及び発車の要否を判断するために、実行される。
【0069】
レーン走行中に生じる交差点走行のうち、図34,35に示すような交差点直進時には、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも遠方を捉えるように、ビームセンサ12の傾斜角θは上方の最上傾斜角θhに制御される。この交差点直進時制御は、図34に示すような直進に伴う車両5の横断歩道通過に先立って、横断者の有無に応じた横断歩道前後での停車及び発車の要否を判断するために、実行されてもよい。また、交差点直進時制御は、図35に示すような直進する車両5に対しての他道路ユーザの優先順位違反を警戒するために、実行されてもよい。
【0070】
レーン走行中に生じる交差点走行のうち、図36~44に示すような交差点での右折又は左折となる交差点ターン時には、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも遠方を捉えるように、ビームセンサ12の傾斜角θは上方の最上傾斜角θhに制御される。この交差点ターン時制御は、図36,37に示すような右折又は左折に伴う車両5の横断歩道通過に先立って、横断者の有無に応じた横断歩道前後での停車及び発車の要否を判断するために、実行されてもよい。また、交差点ターン時制御は、図38,39に示すような右折又は左折する車両5に対しての他道路ユーザの優先順位違反を警戒するために、実行されてもよい。さらにまた、交差点ターン時制御は、図40,41に示すような車両5の右折又は左折に伴う他道路ユーザの割り込みを警戒するために、実行されてもよい。
【0071】
但し、交差点ターン時制御では、図42~44に示すような車両5の右折又は左折に伴う他道路ユーザの巻き込みを予防するため、当該巻き込みのトリガ条件が成立すると、検出視野角ψが最上傾斜角θh時よりも車両近傍箇所を捉えるように、ターン側(図42では右側、図43,44では左側)となるビームセンサ12の傾斜角θは下方の最下傾斜角θlに制御される。この巻き込み予防制御は、車両5における方向指示状態又は設定操舵角以上の操舵状態から、センシング対象物標である特定道路ユーザ7としてのバイク、自転車、又は歩行者がイメージセンサ2により撮像されることを、トリガ条件としてもよい。また、巻き込み予防制御により最下傾斜角θlのビームセンサ12がバイク、自転車、又は人をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の走行経路判断が可能となる。
【0072】
交差点への進入走行のうち、図52,53に示すように交差点への進入箇所周辺に障害物9bが認識されることに伴って、進入先の他道路ユーザを警戒するために当該周辺障害物9b側(図52,53では左右両側)となるビームセンサ12の傾斜角θは、当該周辺障害物9bの高さに応じた中間傾斜角θm又は最上傾斜角θh(図52,53は左側θm且つ右側θhの例)に制御される。この進入時制御は、例えば地図データ、外界センサでの通信による取得データ、外界センサでのセンシングによる取得データ、イメージセンサ2での撮像による取得データ、及びビームセンサ12による取得データ等のうち、少なくとも一種類に基づき進入箇所の周辺障害物9bが認識されることを、トリガ条件としてもよい。ここで撮像データに基づき進入箇所の周辺障害物9bが認識される場合、イメージセンサ2による当該周辺障害物9bの撮像がトリガ条件である、ともいえる。また、進入時制御により中間傾斜角θm又は最上傾斜角θhのビームセンサ12が進入先の他車両、バイク、自転車、又は人をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づく車両5の走行経路判断が可能となる。
【0073】
図54に示すようにキャビン5aの後部に荷台5bを備える貨物車両5がカーブ走行するのに伴って、当該荷台5bがビームセンサ12の検出視野角ψ内に入り込み可能な中間傾斜角θm又は最上傾斜角θh(図54はθhの例)に、カーブ側(図54の例では左側)となるビームセンサ12の傾斜角θが制御される。こうした貨物車両5のカーブ走行時制御では、例えば乗員の操舵角又はキャビン5aの転舵角、荷台5bの全長、及びキャビン5aに対する荷台5bの相対連結角度等のうち少なくとも一種類に応じて、傾斜角θが調整されるとよい。また、貨物車両5のカーブ走行時制御により中間傾斜角θm又は最上傾斜角θhのビームセンサ12がバイク、自転車、又は人をセンシングすることで、当該センシングの結果に基づき貨物車両5の走行経路判断及び荷台5bによる巻き込みの予防が可能となる。さらに、以上のカーブ走行時制御は、貨物車両5の右折時及び左折時にも同様に、適用されてもよい。
【0074】
図45に示すような車両5の走行状態からの駐車に伴って、障害物との過度な接近を警戒するため、検出視野角ψが中間傾斜角θm時よりも車両近傍箇所を捉えるように、ビームセンサ12の傾斜角θは下方の最下傾斜角θlに制御される。図46に示すような車両5の駐車状態からのドアロック解除又はドア開放に伴って、センシング対象物標である特定道路ユーザ7として車両5から降車する乗員がイメージセンサ2により撮像されると、ビームセンサ12の傾斜角θは最下傾斜角θlに制御される。図47に示すような車両5の駐車状態からのシステム終了に伴って、ビームセンサ12の傾斜角θは最下傾斜角θlに制御される。
【0075】
次に、センシング制御装置3がセンシングモジュール1及びイメージセンサ2を制御するセンシング制御方法のフローのうち、第一位置認識ブロック302及び第一校正ブロック303の共同による第一校正フローを、説明する。車両5の起動中に第一校正フローは、設定回数(例えば起動直後に一回等)、実行される。尚、第一校正フローにおける各「S」も、センシング制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味する。
【0076】
図48に示すように、第一校正フローのS20において第一位置認識ブロック302は、車両5において検出視野角ψ内に入るイメージセンサ2のビームセンサ12に対する相対位置関係を、基準角度θbでのビームセンサ12によるセンシングデータに基づき認識する。続くS21において第一校正ブロック303は、メイン制御フローによる設定角度範囲内での制御において傾斜角θを校正するキャリブレーション値として、基準角度θbの初期角度θb0に対する角度偏差Δθを、S20で認識の相対位置関係に基づき取得する。S21の実行終了後には、第一校正フローの今回実行が終了する。
【0077】
次に、センシング制御装置3がセンシングモジュール1及びイメージセンサ2を制御するセンシング制御方法のフローのうち、第二位置認識ブロック304及び第二校正ブロック305の共同による第二校正フローを、説明する。車両5の起動中に第二校正フローは、メイン制御フローのうちS11による傾斜角制御ルーチンのS110において、イメージセンサ2によるセンシング対象物標の撮像がトリガとなるトリガ条件の成立に伴って、設定回数(例えば起動後最初の成立時に一回等)、実行される。ここで、センシング対象物標の撮像によるトリガ条件の成立時には、メイン制御フローのうちS11による傾斜角制御ルーチンのS112では第二校正フローと並行して、ビームセンサ12の傾斜角θがセンシング対象物標に応じた角度へと制御される。尚、第二校正フローにおける各「S」も、センシング制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味する。
【0078】
図49に示すように、第二校正フローのS30において第二位置認識ブロック304は、車両5において撮像視野角ω内に入るビームセンサ12のイメージセンサ2に対する相対位置関係を、イメージセンサ2による撮像データに基づき認識する。続くS31において第二校正ブロック305は、メイン制御フローにより傾斜角θが制御されるトリガのタイミング(即ち、トリガ条件の成立タイミング)を校正するキャリブレーション値を、第二位置認識ブロック304により認識される相対位置関係に基づき、取得する。S31の実行終了後には、第二校正フローの今回実行が終了する。
【0079】
(作用効果)
以上説明した本実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0080】
本実施形態によると、車両5の上下方向に沿った基準軸Acに対して調整可能なビームセンサ12の傾斜角θは、判別された運転シーンに関連するシーン情報に応じて、制御される。これによれば、検出視野角ψ自体の増大を可及的に抑えつつも、運転シーンに合わせた制御によりビームセンサ12の傾斜角θが変化して検出視野角ψの動く範囲を、見かけ上の広いセンシングエリアとして確保することが可能となる。
【0081】
本実施形態によると、シーン情報のうち、ビームセンサ12によるセンシング対象物標の車両5に対する離間距離に応じた角度へ、ビームセンサ12の傾斜角θが制御される。このような傾斜角制御によれば、ビームセンサ12の見かけ上での広いセンシングエリアにおいて、センシング対象物標の遠近に合わせた方向に、検出視野角ψを設定することが可能となる。
【0082】
本実施形態によると、シーン情報のうち、ビームセンサ12によるセンシング対象物標の車両5に対する相対移動方向に応じた角度へ、ビームセンサ12の傾斜角θが制御される。このような傾斜角制御によれば、ビームセンサ12の見かけ上での広いセンシングエリアにおいて、センシング対象物標の運動に合わせた方向に、検出視野角ψを設定することが可能となる。
【0083】
本実施形態によると、ビームセンサ12の検出視野角ψと重畳可能な撮像視野角ω内においてイメージセンサ2により撮像される、ビームセンサ12のセンシング対象物標が監視される。そこで、センシング対象物標のイメージセンサ2による撮像をトリガとして、ビームセンサ12の傾斜角θは、当該センシング対象物標に応じた角度へ制御される。このような傾斜角制御によれば、ビームセンサ12の見かけ上での広いセンシングエリアにおいて、センシング対象物標のセンシングに適したタイミング及び方向に、検出視野角ψを設定することが可能となる。
【0084】
本実施形態によると、車両5からの設定距離範囲内を相対移動すると予測される、センシング対象物標のイメージセンサ2による撮像をトリガとして、ビームセンサ12の傾斜角θが制御される。このような傾斜角制御によれば、ビームセンサ12の見かけ上での広いセンシングエリアにおいて、車両5に近接した設定距離範囲内を相対移動するセンシング対象物標に合わせた方向に、検出視野角ψを設定することが可能となる。
【0085】
本実施形態によると、車両5の走行方向においてビームセンサ12よりも前方のイメージセンサ2による、センシング対象物標の撮像をトリガとして、ビームセンサ12の傾斜角θが制御される。これによれば、走行する車両5に対して相対的に接近するセンシング対象物標を、ビームセンサ12よりも早くイメージセンサ2により撮像して、ビームセンサ12に対する傾斜角制御に反映させることができる。故にビームセンサ12では、イメージセンサ2によってセンシング対象物標が撮像される運転シーンに適した方向へ可及的に早期に、検出視野角ψを設定することが可能となる。
【0086】
本実施形態によると、車両5の上下方向においてビームセンサ12よりも低い位置のイメージセンサ2による、センシング対象物標の撮像をトリガとして、ビームセンサ12の傾斜角θが制御される。これによれば、上方となるビームセンサ12に対して制御された傾斜角θの検出視野角ψではカバーし切れないエリアを、下方となるイメージセンサ2の撮像視野角ωにより補完して、ビームセンサ12における傾斜角制御に反映させることができる。故にビームセンサ12では、検出視野角ψにおいてセンシング外となる物標であっても、イメージセンサ2によっては撮像される運転シーンに適した方向へ、検出視野角ψを設定することが可能となる。
【0087】
(他の実施形態)
以上、一実施形態について説明したが、本開示は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0088】
変形例においてセンシング制御装置3を構成する専用コンピュータは、デジタル回路、及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして含んでいてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリを、有していてもよい。
【0089】
変形例のビームセンサ12において傾斜角θは、設定角度範囲内において最下傾斜角θl及び最上傾斜角θhの二つの角度に、切り替え調整されてもよい。変形例のビームセンサ12において傾斜角θは、設定角度範囲内において最下傾斜角θl及び最上傾斜角θhと、相異なる二つ以上の中間傾斜角θmとに、切り替え調整されてもよい。変形例のビームセンサ12において傾斜角θは、設定角度範囲内において連続的に可変調整されてもよい。変形例のビームセンサ12において傾斜角θの基準角度θbは、設定角度範囲内であれば、例えば最上傾斜角θh又は中間傾斜角θmに、設定されてもよい。
【0090】
変形例のビームセンサ12は、第二仮想平面V2上において照射ビームの拡散角度に固定される第二視野角ψ2と、第一仮想平面V1上での走査角度によって決まる第一視野角ψ1とを、有していてもよい。変形例のビームセンサ12は、第一仮想平面V1上において照射ビームの拡散角度に固定される第一視野角ψ1と、第二仮想平面V2上において照射ビームの拡散角度に固定される第二視野角ψ2とを、有していてもよい。
【0091】
変形例においてイメージセンサ2は、ビームセンサ12及びアクチュエータ11を含むセンシングモジュール1と共に、車両5のルーフ50上に配置されてもよい。変形例において、ビームセンサ12及びアクチュエータ11を含むセンシングモジュール1は、車両5におけるルーフ50よりも下方に、配置されてもよい。この場合にイメージセンサ2は、車両5の上下方向においてセンシングモジュール1よりも高い位置に、配置されてもよい。
【0092】
変形例のイメージセンサ2は、車両5の固定される走行方向においてビームセンサ12よりも後方となる位置に、配置されてもよい。走行方向の前後入れ替え可能な変形例の車両5において、入れ替え前の走行方向でのビームセンサ12よりも前方となる位置と、入れ替え後の走行方向でのビームセンサ12よりも前方となる位置とに、個別のイメージセンサ2が配置されてもよい。
【0093】
変形例において、ビームセンサ12の検出視野角ψ及びイメージセンサ2の撮像視野角ωは、車両5の固定される走行方向の前方に、向けられてもよい。変形例において、ビームセンサ12の検出視野角ψ及びイメージセンサ2の撮像視野角ωは、車両5の固定される走行方向の後方に、向けられてもよい。走行方向の前後入れ替え可能な変形例の車両5において、入れ替え前の走行方向での前方を向く箇所と、入れ替え後の走行方向での前方を向く箇所とに、ビームセンサ12の検出視野角ψ及びイメージセンサ2の撮像視野角ωが個別に設定されてもよい。
【0094】
変形例のセンシングシステム4には、イメージセンサ2が設けられていなくてもよい。この場合に、メイン制御フローの傾斜角制御ルーチンでは、傾斜角制御ブロック301による傾斜角制御のうち、イメージセンサ2によるセンシング対象物標の撮像をトリガ条件とした制御は省かれる。
【0095】
変形例では、イメージセンサ2が設けられているか否かに関わらず、第一位置認識ブロック302及び第一校正ブロック303、並びにそれらブロック302,303による第一校正フローが省かれてもよい。変形例では、イメージセンサ2が設けられているか否かに関わらず、第二位置認識ブロック304及び第二校正ブロック305、並びにそれらブロック304,305による第二校正フローが省かれてもよい。
【0096】
変形例のビームセンサ12としては、LiDARに代えて、例えばミリ波等の電磁波を照射ビームとして強度画像データDbを取得する、所謂イメージングレーダが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
2:イメージセンサ、5:車両、12:ビームセンサ、30:メモリ、32:プロセッサ、Ac:基準軸、θ:傾斜角、ψ:検出視野角、ω:撮像視野角
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