(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164567
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61B5/055 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034127
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】202110408895.2
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リジュン
(72)【発明者】
【氏名】郡司 和夫
(72)【発明者】
【氏名】織田 明広
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA03
4C096AA04
4C096AA05
4C096AA17
4C096AB38
4C096AB42
4C096AB44
4C096AC08
4C096AD06
4C096AD07
4C096AD14
4C096AD24
4C096BA18
4C096BB18
4C096BB25
4C096BB32
4C096DC18
4C096DC33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オブリークタイプが同じでイメージングプロトコルが異なるオブリーク画像の間でのイメージング方向の一致性を向上させる。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、画像取得手段と、ジオメトリパラメータ生成手段と、オブリーク画像決定手段と、オブリーク画像生成手段とを備える。画像取得手段は、パイロット画像3次元ボリュームデータを取得する。ジオメトリパラメータ生成手段は、オブリーク画像のイメージング方向を含むジオメトリパラメータを生成する。オブリーク画像決定手段は、検査オーダーに応じて、オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及びオブリークタイプを決定する。オブリーク画像生成手段は、イメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対して、ジオメトリパラメータを用いて、複数のイメージングプロトコル及びオブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のイメージング部位に対して、解剖学的構造を認識可能なパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する画像取得手段と、
前記パイロット画像3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像のイメージング方向を含むジオメトリパラメータを生成するジオメトリパラメータ生成手段と、
前記イメージング部位に対する検査オーダーに応じて、前記オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定するオブリーク画像決定手段と、
前記イメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対して、前記ジオメトリパラメータを用いて、前記複数のイメージングプロトコル及び前記オブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成するオブリーク画像生成手段と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記ジオメトリパラメータは、イメージング方向パラメータを含み、
前記イメージング方向パラメータは、前記オブリークタイプに対応し、
前記オブリーク画像生成手段は、前記イメージングプロトコルのそれぞれに対応する前記正式3次元ボリュームデータ毎に、前記イメージング方向パラメータを含む前記ジオメトリパラメータを用いて、当該イメージングプロトコルに対応する前記オブリークタイプのオブリーク画像を生成する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記ジオメトリパラメータは、イメージング位置パラメータをさらに含み、
前記イメージング位置パラメータは、前記イメージング方向パラメータに対応し、
前記イメージング位置パラメータには、イメージング視野中心点及びイメージング範囲を示す情報が含まれる、
請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記パイロット画像3次元ボリュームデータと前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれとを位置合わせし、当該位置合わせの結果に応じて、前記ジオメトリパラメータを、前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対応するジオメトリパラメータに変換するジオメトリパラメータ変換手段をさらに備え、
前記オブリーク画像生成手段は、変換された前記ジオメトリパラメータ及び前記正式3次元ボリュームデータを用いて、前記複数種類のオブリーク画像を生成する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記パイロット画像3次元ボリュームデータは、前記イメージング部位の解剖学的構造を認識可能なイメージングプロトコルで取得された3次元ボリュームデータである、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記オブリークタイプは、オブリークコロナル、オブリークサジタル、オブリークアキシャルのうちの少なくとも1つを含み、
前記イメージングプロトコルは、縦緩和強調撮像、横緩和強調撮像、プロトン密度強調撮像、FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)撮像、拡散強調撮像、灌流強調撮像のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
被検体のイメージング部位に対して、解剖学的構造を認識可能なパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する画像取得ステップと、
前記パイロット画像3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像のイメージング方向を含むジオメトリパラメータを生成するジオメトリパラメータ生成ステップと、
前記イメージング部位に対する検査オーダーに応じて、前記オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定するオブリーク画像決定ステップと、
前記イメージング部位に対して、前記イメージングプロ後コル毎に正式3次元ボリュームデータを取得する正式画像取得ステップと、
前記イメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータに対して、前記ジオメトリパラメータを用いて、前記イメージングプロトコル及び前記オブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成するオブリーク画像生成ステップと
を含む、磁気共鳴イメージング方法。
【請求項8】
前記パイロット画像3次元ボリュームデータと1つ以上の前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれとのを位置合わせし、当該位置合わせの結果に応じて、前記ジオメトリパラメータを、1つ以上の前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対応する1組以上のジオメトリパラメータに変換するジオメトリパラメータ変換ステップをさらに含み、
前記オブリーク画像生成ステップにおいて、変換された前記ジオメトリパラメータ及び前記正式3次元ボリュームデータを用いて、前記複数種類のオブリーク画像を生成する、
請求項7に記載の磁気共鳴イメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置により医用画像を取得する場合、通常、異なる身体の部位に対して、それぞれの部位を観察することに適したオブリーク(oblique)画像を取得する必要がある。
【0003】
オブリーク画像は、イメージング方向に応じて、オブリークサジタル(oblique sagittal)、オブリークコロナル(oblique coronal)、オブリークアキシャル(oblique axial)などの複数のオブリークタイプに分けられ、かつ、各オブリークタイプの用途も異なる。膝部を例にして、大腿骨顆(femoral condyle)の外縁に平行なオブリークサジタル画像は、後十字靱帯(Posterior Cruciate Ligament:PCL)を観察することに適し、複数の上顆(epicondyles)を通過する線に平行なオブリークサジタル画像及びオブリークコロナル画像は、いずれも前十字靱帯(Anterior Cruciate Ligament:ACL)を観察することに適し、オブリークアキシャル画像は、前十字靱帯が有する前内側束(anteromedial bundle:AM束)と後外側束(posterolateral bundle:PL束)を明瞭に描くとともに、前内側束と後外側束とを個別に評価することができる。
【0004】
また、磁気共鳴イメージング装置を用いてオブリーク画像を取得する場合、通常、イメージング部位及びイメージング目的の違いに対して、縦緩和強調撮像(T1 weighted imaging:T1WI)、横緩和強調撮像(T2 weighted imaging:T2WI)、プロトン密度強調撮像(proton density weighted imaging:PDWI)、FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)撮像、拡散強調撮像(diffusion weighted imaging:DWI)、灌流強調撮像(perfusion weighted imaging:PWI)などを含む複数のイメージングプロトコル(imaging protocol)のうちの1つ又は複数を用いて目標イメージング部位のオブリーク画像を取得する。
【0005】
従来、オブリーク画像として2次元画像を直接に取得する磁気共鳴イメージング装置がある。このような磁気共鳴イメージング装置では、通常、所定のイメージングプロトコル毎に異なるオブリークタイプのオブリーク画像をそれぞれ取得する必要があるため、オブリーク画像のイメージング回数は、各イメージングプロトコルに対応するオブリークタイプの数の和となる。仮に、ある身体の部位に対して実行したいイメージングプロトコルが3つあり、各イメージングプロトコルに対応するオブリークタイプが2つある場合、オブリーク画像のイメージング回数は合計6回となる。これにより、オブリーク画像のイメージング総時間が長すぎるという問題が生じ得る。
【0006】
また、3次元ボリュームデータを取得して後処理することでオブリーク画像を生成する医用画像処理装置もある。このような医用画像処理装置では、異なるイメージングプロトコルに対応する異なる3次元ボリュームデータに対して、それぞれ特徴点(landmark)を検出し、検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像のイメージング方向、イメージング視野(field of view:FOV)などのイメージングジオメトリパラメータを特定したうえで、各イメージングプロトコルに対応する1つ以上のオブリークタイプのオブリーク画像を生成する。
【0007】
しかしながら、このような後処理では、異なるイメージングプロトコル毎に取得し得る特徴点が異なるため、異なる3次元ボリュームデータに対して特徴点の検出を行う際に、いくつかのイメージングプロトコルによる3次元ボリュームデータにおいて所望の特徴点を検出できない場合がある。これにより、異なるイメージングプロトコルに対して生成されたオブリーク画像のイメージング方向が異なってしまう可能性があり、オブリークタイプが同じでイメージングプロトコルが異なるオブリーク画像の間でイメージング方向が一致しないという問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7693321号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/150783号
【特許文献3】国際公開第2013/027540号
【特許文献4】特開2012-101045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、オブリークタイプが同じでイメージングプロトコルが異なるオブリーク画像の間でのイメージング方向の一致性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、画像取得手段と、ジオメトリパラメータ生成手段と、オブリーク画像決定手段と、オブリーク画像生成手段とを備える。画像取得手段は、被検体のイメージング部位に対して、解剖学的構造を認識可能なパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する。ジオメトリパラメータ生成手段は、前記パイロット画像3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像のイメージング方向を含むジオメトリパラメータを生成する。オブリーク画像決定手段は、前記イメージング部位に対する検査オーダーに応じて、前記オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定する。オブリーク画像生成手段は、前記イメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対して、前記ジオメトリパラメータを用いて、前記複数のイメージングプロトコル及び前記オブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によって行われる磁気共鳴イメージング方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、パイロット画像3次元ボリュームデータに基づいて得られた膝部のアキシャル画像を示す模式図である。
【
図3B】
図3Bは、膝部のアキシャル画像から特徴点が認識されたことを示す模式図である。
【
図4】
図4は、検出された特徴点に基づいてオブリーク画像のイメージング方向を特定することを示す模式図である。
【
図5】
図5は、膝部のオブリーク画像に関するジオメトリパラメータの例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によって行われる磁気共鳴イメージング方法の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、ジオメトリパラメータの変換の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、被検体のイメージング部位に対して、解剖学的構造を認識可能なパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する画像取得手段と、前記パイロット画像3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像のイメージング方向を含むジオメトリパラメータを生成するジオメトリパラメータ生成手段と、前記イメージング部位に対する検査オーダーに応じて、前記オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定するオブリーク画像決定手段と、前記イメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対して、前記ジオメトリパラメータを用いて、前記複数のイメージングプロトコル及び前記オブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成するオブリーク画像生成手段とを備える。
【0014】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、前記ジオメトリパラメータは、イメージング方向パラメータを含み、前記イメージング方向パラメータは、前記オブリークタイプに対応し、前記オブリーク画像生成手段は、前記イメージングプロトコルのそれぞれに対応する前記正式3次元ボリュームデータ毎に、前記イメージング方向パラメータを含む前記ジオメトリパラメータを用いて、当該イメージングプロトコルに対応する前記オブリークタイプのオブリーク画像を生成する。
【0015】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、前記ジオメトリパラメータは、イメージング位置パラメータをさらに含み、前記イメージング位置パラメータは、前記イメージング方向パラメータに対応し、前記イメージング位置パラメータには、イメージング視野中心点及びイメージング範囲を示す情報が含まれる。
【0016】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記パイロット画像3次元ボリュームデータと前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれとを位置合わせし、当該位置合わせの結果に応じて、前記ジオメトリパラメータを、前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対応するジオメトリパラメータに変換するジオメトリパラメータ変換手段をさらに備え、前記オブリーク画像生成手段は、変換された前記ジオメトリパラメータ及び前記正式3次元ボリュームデータを用いて、前記複数種類のオブリーク画像を生成する。
【0017】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、前記パイロット画像3次元ボリュームデータは、前記イメージング部位の解剖学的構造を認識可能なイメージングプロトコルで取得された3次元ボリュームデータである。
【0018】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、前記オブリークタイプは、オブリークコロナル、オブリークサジタル、オブリークアキシャルのうちの少なくとも1つを含み、前記イメージングプロトコルは、縦緩和強調撮像、横緩和強調撮像、プロトン密度強調撮像、FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)撮像、拡散強調撮像、灌流強調撮像のうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング方法は、被検体のイメージング部位に対して、解剖学的構造を認識可能なパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する画像取得ステップと、前記パイロット画像3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像のイメージング方向を含むジオメトリパラメータを生成するジオメトリパラメータ生成ステップと、前記イメージング部位に対する検査オーダーに応じて、前記オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定するオブリーク画像決定ステップと、前記イメージング部位に対して、前記イメージングプロ後コル毎に正式3次元ボリュームデータを取得する正式画像取得ステップと、前記イメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータに対して、前記ジオメトリパラメータを用いて、前記イメージングプロトコル及び前記オブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成するオブリーク画像生成ステップとを含む。
【0020】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング方法は、前記パイロット画像3次元ボリュームデータと1つ以上の前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれとのを位置合わせし、当該位置合わせの結果に応じて、前記ジオメトリパラメータを、1つ以上の前記正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対応する1組以上のジオメトリパラメータに変換するジオメトリパラメータ変換ステップをさらに含み、前記オブリーク画像生成ステップにおいて、変換された前記ジオメトリパラメータ及び前記正式3次元ボリュームデータを用いて、前記複数種類のオブリーク画像を生成する。
【0021】
一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法によれば、異なるイメージングプロトコルに対して、同じジオメトリパラメータを用いてイメージング部位に対するオブリーク画像を生成するため、イメージング方向が一致する複数種類のオブリーク画像を自動的に生成することができる。これにより、特徴点が検出されにくいイメージングプロトコルに対しても、他のイメージングプロトコルのイメージング方向と一致するオブリーク画像を生成することができる。
【0022】
また、一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法によれば、オブリーク画像として2次元画像を直接に取得する磁気共鳴イメージング装置と比較して、イメージングプロトコル毎に1回の3次元ボリュームの取得を行うだけでよく、全てのオブリーク画像のイメージングに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0023】
また、一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法によれば、ジオメトリパラメータ変換手段が実行する変換処理により、同じジオメトリパラメータに基づいて各正式3次元ボリュームデータとより一致する複数組のジオメトリパラメータを生成し、さらに、イメージング部位の複数種類のオブリーク画像を生成することで、各3次元ボリュームデータ間の差異によるイメージング方向の誤差がさらに除去され、イメージング方向がより一致する複数種類のオブリーク画像を自動的に生成することができる。特に、イメージング部位が胸部、心臓、腹部などである場合、イメージング部位が呼吸や拍動に伴って変動するため、ジオメトリパラメータ変換処理を行うことで、複数種類のオブリーク画像の間のイメージング方向の一致性を大幅に向上させることができる。
【0024】
(第1の実施形態)
以下、
図1~
図5を参照しながら、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10について説明する。
【0025】
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10を示す機能ブロック図である。
【0026】
例えば、
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置10は、記憶手段100、画像取得手段200、特徴点検出手段300、ジオメトリパラメータ生成手段400、オブリーク画像決定手段500及びオブリーク画像生成手段600を備える。
【0027】
本実施形態における記憶手段100は、様々なデータを記憶する。具体的には、記憶手段100は、被検体(例えば人体)毎に磁気共鳴データ、3次元ボリュームデータ、画像データなどを記憶する。記憶手段100は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。
【0028】
本実施形態における画像取得手段200、特徴点検出手段300、ジオメトリパラメータ生成手段400、オブリーク画像決定手段500及びオブリーク画像生成手段600は、例えば、プロセッサにより実現される。その場合、上記した各処理機能は、例えば、コンピュータが実行可能なプログラムの形で記憶手段100に記憶される。そして、プロセッサは、記憶手段100から各プログラムを読み出し実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。また、記憶手段100にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。その場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0029】
図1における磁気共鳴イメージング装置10は、本実施形態に関わる各機能構成のみを示したものであり、図示していないが、磁気共鳴イメージング装置10は、寝台、寝台制御回路、入力装置、ディスプレイなどの他の機構をさらに備える。
【0030】
画像取得手段200は、被検体のイメージング部位に対して、3次元ボリュームデータを取得する。より詳細には、画像取得手段200は、高周波磁界を発生させて高周波磁場の影響によって被検体から発せられる磁気共鳴信号を受信し、検出された磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成し、磁気共鳴データを記憶手段100に記憶する。画像取得手段200によるこれらの機能は、例えば、不図示の静磁場磁石、静磁場電源、傾斜磁場コイル、傾斜磁場電源、送信コイル、送信回路、受信コイル、受信回路などにより実現される。
【0031】
また、画像取得手段200は、被検体のイメージング部位の磁気共鳴データを3次元空間に配置した後に3次元ボリュームデータを得て、被検体のイメージング部位の3次元ボリュームデータも記憶手段100に記憶する。画像取得手段200が3次元ボリュームデータを生成する機能は、例えば、プロセッサによって実現される。
【0032】
特徴点検出手段300は、被検体の3次元ボリュームデータにおける特徴点を検出する。上記特徴点とは、解剖学的特徴点(anatomical landmark)を意味し、解剖学的標識とも呼ばれる。人体には大量な特徴点が含まれており、これらの特徴点の身体における位置及び形状は年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長などの体格などによって大きく決められる。特徴点検出手段300は、例えば、パターン(pattern)認識などの画像処理により、3次元ボリュームデータに基づく画像から上記特徴点を認識する。例えば、心臓の特徴点には、心基部、心尖部、僧帽弁、血管などが含まれている。
【0033】
ジオメトリパラメータ生成手段400は、3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像に関するジオメトリパラメータを生成する。例えば、ジオメトリパラメータは、オブリーク画像のイメージング方向、イメージング位置などを含む。
【0034】
オブリーク画像決定手段500は、被検体のイメージング部位に対する検査オーダーに応じて、オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定する。
【0035】
ここで、前述した記憶手段100には、さらに、イメージングシーケンスリポジトリ(「検査シーケンスリポジトリ(examination sequence repository)」とも呼ばれる)を記憶する。イメージングシーケンスリポジトリには、予め設定された各器官又は部位のイメージングシーケンスが含まれている。ここで、イメージングシーケンスリポジトリには、イメージング目的に応じて、各器官又は部位の複数のイメージングシーケンスが含まれていてもよい。各イメージングシーケンスには、少なくとも、オブリーク画像のイメージングプロトコル及び各イメージングプロトコルに対応するオブリークタイプが規定されている。そして、オブリーク画像決定手段500は、検査オーダーで指定された被検体の検査部位を用いて、記憶手段100におけるイメージングシーケンスリポジトリを検索することで、当該検査部位に対応するイメージングプロトコル及び各イメージングプロトコルに対応するオブリークタイプを決定する。
【0036】
下記の表1は、記憶手段100に記憶されたイメージングシーケンスリポジトリの一例である。
【表1】
【0037】
例えば、表1に示すように、記憶手段100には、膝部について、「一般検査」、「十字靱帯」、「半月板」などのイメージングシーケンスが記憶されている。例えば、「十字靱帯」のイメージングシーケンスは、オブリーク画像のイメージングプロトコルとして、T1WI、T2WI、PDWIという3種類のイメージングプロトコルを含み、さらに、T1WIに対応するオブリークタイプとして、オブリークサジタル、オブリークコロナル及びオブリークアキシャルを含み、T2WIに対応するオブリークタイプとして、オブリークサジタル及びオブリークコロナルを含み、PDWIに対応するオブリークタイプとして、オブリークサジタル及びオブリークコロナルを含む、と規定されている。
【0038】
オブリーク画像生成手段600は、画像取得手段200により取得された3次元ボリュームデータに対して、ジオメトリパラメータ生成手段400により生成されたジオメトリパラメータを用いて、オブリーク画像決定手段500により決定されたイメージングプロトコル及びオブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成する。
【0039】
以下、被検体のイメージング部位が膝部(右膝部)の十字靱帯である場合を例として、複数種類のオブリーク画像を生成する過程を説明する。
【0040】
図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10によって行われる磁気共鳴イメージング方法の流れを示すフローチャートである。
【0041】
例えば、
図2に示すように、まず、ステップS11において、画像取得手段200が、磁気共鳴イメージング装置10のオペレーターから、例えば医師などによって指定された、イメージング部位が被検体の膝部の十字靱帯であることが記載されている検査オーダーを受け付ける。
【0042】
続いて、ステップS12において、画像取得手段200が、被検体の膝部の十字靱帯に対して、膝部の解剖学的構造を認識可能なパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する。このとき、画像取得手段200は、例えば、膝部の解剖学的構造を認識しやすいパイロット画像3次元ボリュームデータを取得する。例えば、画像取得手段200は、膝部に対して、パターン認識において当該膝部の解剖学的構造を認識しやすいイメージングプロトコルはT1WIであるため、画像を取得する際のイメージングプロトコルをT1WIに設定して、パイロット画像3次元ボリュームデータを取得する。ここで、パイロット画像3次元ボリュームデータのイメージングプロトコルは、従来の経験に基づいて、T1WI等のイメージングプロトコルに予め設定されていてもよい。または、異なるイメージング部位それぞれに対応するイメージングプロトコルを記憶手段100が予め記憶し、ステップS12において、画像取得手段200が、記憶手段100を参照して、対応するイメージングプロトコルを取得してもよい。
【0043】
続いて、ステップS13において、特徴点検出手段300が、ステップS12で取得されたパイロット画像3次元ボリュームデータにおける特徴点を検出する。例えば、特徴点検出手段300は、パターン認識処理により、パイロット画像3次元ボリュームデータに基づいて得られた画像から膝部の解剖学的な特徴点を認識する。
【0044】
図3Aはパイロット画像3次元ボリュームデータに基づいて得られた膝部のアキシャル画像を示す模式図である。また、
図3Bは、膝部のアキシャル画像から特徴点が認識されたことを示す模式図である。
【0045】
図3A及び
図3Bには、パイロット画像3次元ボリュームデータに基づいて膝部の解剖学的な特徴点を認識する例が示されている。
【0046】
例えば、
図3Bに示すように、特徴点検出手段300は、パターン認識処理により、大腿骨内側踝の後側頂点A1と、大腿骨外側踝の後側頂点A2とを認識し、さらに、大腿骨外側踝の外側輪郭における外側頂点A3及び前側頂点A4を認識する。
【0047】
続いて、ステップS14において、ジオメトリパラメータ生成手段400が、ステップs13でパイロット画像3次元ボリュームデータから検出された特徴点に基づいて、オブリーク画像に関するジオメトリパラメータ、例えば、オブリーク画像のイメージング方向、イメージング位置などを含むジオメトリパラメータを生成する。
【0048】
図4は、検出された特徴点に基づいてオブリーク画像のイメージング方向を特定することを示す模式図である。
【0049】
例えば、
図4に示すように、ジオメトリパラメータ生成手段400は、大腿骨内側踝の後側頂点A1及び大腿骨外側踝の後側頂点A2を用いて、オブリークコロナルのイメージング方向を特定し、大腿骨外側踝の外側輪郭における外側頂点A3及び前側頂点A4を用いて、オブリークサジタルのイメージング方向を特定する。より具体的には、ジオメトリパラメータ生成手段400は、後側頂点A1と後側頂点A2とを通る線L1を用いて、オブリークコロナルのイメージング方向を特定し、右側頂点A3と前側頂点A4とを通る線L2を用いて、オブリークサジタルのイメージング方向を特定する。
【0050】
なお、図示していないが、ジオメトリパラメータ生成手段400は、パイロット画像3次元ボリュームデータに基づいて得られた膝部のサジタル画像において、特定の特徴点を認識することで、膝部のオブリークアキシャルのイメージング方向を特定するようにしてもよい。
【0051】
また、ステップS14において、ジオメトリパラメータ生成手段400は、オブリーク画像のイメージング方向を特定する以外に、認識された特徴点に基づいて、各オブリーク画像のイメージング位置を特定する。
【0052】
例えば、
図4に示すようにジオメトリパラメータ生成手段400は、大腿骨内側踝の後側頂点A1、大腿骨外側踝の後側頂点A2、大腿骨外側踝の外側輪郭における右側頂点A3及び前側頂点A4を認識する以外に、大腿骨内側踝の前側頂点A5及び大腿骨内側踝の左側頂点A6を認識する。そして、ジオメトリパラメータ生成手段400は、認識された各特徴点A1~A6に基づいて、膝部のイメージング視野中心点及びイメージング範囲などのイメージング位置を特定する。
【0053】
その後、ジオメトリパラメータ生成手段400は、特定されたオブリーク画像のイメージング方向及びイメージング位置などに応じて、オブリーク画像に関するジオメトリパラメータを生成する。ここで、オブリーク画像に関するジオメトリパラメータは、各オブリーク画像を生成する際に用いられたジオメトリパラメータであり、例えば、オブリーク画像のイメージング方向、イメージング位置などを含むジオメトリパラメータである。
【0054】
図5は、膝部のオブリーク画像に関するジオメトリパラメータの例を示す図である。
【0055】
例えば、
図5に示すように、
図4における線L1の向きに応じて特定されたオブリークコロナルのイメージング方向(図中、「SliceDirection(スライス方向)」と表記する)に関するイメージング方向パラメータは、空間ベクトルを表す以下の3次元座標で示される。
[SliceDirection]
X=0.30
Y=-0.94
Z= 0.06
【0056】
また、複数の特徴点に基づいて算出されたイメージング視野中心点(図中、「FOVCenter」と表記する)及びイメージング範囲(図中、「FOVSize」と表記する)などのイメージング位置パラメータは、以下の3次元空間座標及び空間長さで示される。
[FOVCenter]
X=0.21
Y=0.21
Z=10.46
[FOVSize]
FovC=189.76
FovB=239.86
FovA=239.86
【0057】
なお、
図5では詳細な内容を省略しているが、ジオメトリパラメータには、さらに、オブリークサジタル、オブリークアキシャルに関するジオメトリパラメータが含まれる。同じ理由で、オブリークサジタルに関するジオメトリパラメータは、
図4における線L2の向きに応じて算出することができる。
【0058】
また、オブリークアキシャルに関するジオメトリパラメータは、
図4における特徴点A1~A6及び/又は他の特徴点に基づいて特定されてもよいし、アキシャル画像以外の他の画像(例えば、サジタル画像における特徴点)に基づいて特定されてもよい。また、経験値に基づいて、膝部のオブリークアキシャルに対応するジオメトリパラメータが予め設定されるようにしてもよい。
【0059】
一方、上記ステップS11の後に、ステップS15に進む。ステップS15において、オブリーク画像決定手段500が、ステップS11で受け付けられた検査オーダーに記載されている膝部の十字靱帯に基づいて、記憶手段100に記憶されているイメージングシーケンスリポジトリから膝部の十字靱帯に対応するイメージングシーケンスを取得することで、オブリーク画像の複数のイメージングプロトコル及び当該イメージングプロトコルのそれぞれに対応するオブリークタイプを決定する。
【0060】
そして、オブリーク画像決定手段500は、決定した複数のイメージングプロトコル及び各イメージングプロトコルに対応するオブリークタイプに基づいて、膝部の十字靭帯に対応する複数種類のオブリーク画像を決定する。例えば、表1に示す例では、膝部の十字靱帯に対応するオブリーク画像は、合計で7種類あり、オブリークサジタルT1WI画像、オブリークコロナルT1WI画像、オブリークアキシャルT1WI画像、オブリークサジタルT2WI画像、オブリークコロナルT2WI画像、オブリークサジタルPDWI画像、オブリークコロナルPDWI画像を含む。
【0061】
続いて、ステップS16において、画像取得手段200が、膝部の十字靱帯の正式3次元ボリュームデータを取得する。より具体的には、画像取得手段200は、ステップS15で決定されたイメージングプロトコル毎に、各イメージングプロトコルに対応する正式3次元ボリュームデータをそれぞれ取得する。例えば、画像取得手段200は、膝部の十字靱帯に対応する各イメージングプロトコルに対して、T1WIに対応する正式3次元ボリュームデータ、T2WIに対応する正式3次元ボリュームデータ、及びPDWIに対応する正式3次元ボリュームデータを取得する。
【0062】
続いて、ステップS17において、オブリーク画像生成手段600が、ステップS16でイメージングプロトコル毎に取得された正式3次元ボリュームデータに対して、ステップS14で生成されたジオメトリパラメータを用いて、ステップS15で決定された複数種類のオブリーク画像を生成する。
【0063】
より具体的には、オブリーク画像生成手段600は、T1WIに対応する正式3次元ボリュームデータに対して、ステップS14で生成された、イメージング方向パラメータを含むジオメトリパラメータを用いて、T1WIに対応する3種類のオブリーク画像(すなわち、オブリークサジタルT1WI画像、オブリークコロナルT1WI画像及びオブリークアキシャルT1WI画像)を生成する。また、オブリーク画像生成手段600は、T2WIに対応する正式3次元ボリュームデータに対して、同じジオメトリパラメータを用いて、T2WIに対応する2種類のオブリーク画像(すなわち、オブリークサジタルT2WI画像及びオブリークコロナルT2WI画像)を生成する。また、オブリーク画像生成手段600は、PDWIに対応する正式3次元ボリュームデータに対して、同じジオメトリパラメータを用いて、PDWIに対応する2種類のオブリーク画像(すなわち、オブリークサジタルPDWI画像及びオブリークコロナルPDWI画像)を生成する。
【0064】
なお、オブリーク画像を生成する際には、上記ジオメトリパラメータに加えて、通常、スライス数やスライス厚さ等を含むいくつかの画像再構成パラメータを用いる必要があるが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0065】
上述した第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、T1WI、T2WI、PDWIという3種類の異なるイメージングプロトコルに対して、同じジオメトリパラメータを用いてイメージング部位に対するオブリーク画像を生成するため、イメージング方向が一致する複数種類のオブリーク画像を自動的に生成することができる。
【0066】
例えば、膝部の十字靱帯というイメージング部位に対して、この膝部の解剖学的構造を認識しやすいパイロット画像に基づいてオブリーク画像を生成するジオメトリパラメータを用いることにより、オブリークサジタルT1WI画像、オブリークサジタルT2WI画像、オブリークサジタルPDWI画像のイメージング方向を一致させるとともに、オブリークコロナルT1WI画像、オブリークコロナルT2WI画像、オブリークコロナルPDWI画像のイメージング方向を一致させることができる。これにより、特徴点が検出されにくいイメージングプロトコル(例えば、T2WI)に対しても、他のイメージングプロトコルのイメージング方向と一致するオブリーク画像を生成することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、オブリーク画像として2次元画像を直接に取得する磁気共鳴イメージング装置と比較して、イメージングプロトコル毎に1回の3次元ボリュームの取得を行うだけでよく、全てのオブリーク画像のイメージングに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
以下、
図6~
図7を参照しながら、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20について説明する。
【0069】
図6は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20を示す機能ブロック図である。
【0070】
例えば、
図6に示すように、磁気共鳴イメージング装置20は、記憶手段100、画像取得手段200、特徴点検出手段300、ジオメトリパラメータ生成手段400、オブリーク画像決定手段500及びオブリーク画像生成手段600に加えて、ジオメトリパラメータ変換手段700を備える。なお、以下では、第1の実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0071】
図7は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20によって行われる磁気共鳴イメージング方法の流れを示すフローチャートである。
【0072】
例えば、
図7に示すように、本実施形態では、イメージング部位のオブリーク画像を生成するステッププS1の前に、ステップS18が追加されている。
【0073】
本実施形態では、ステップS18において、ジオメトリパラメータ変換手段700が、ステップS12で取得されたパイロット画像3次元ボリュームデータとステップS16で取得された正式3次元ボリュームデータとを位置合わせし、当該位置合わせの結果に応じて、オブリーク画像イメージングに用いられるジオメトリパラメータを正式3次元ボリュームデータに対応するジオメトリパラメータに変換する。
【0074】
より具体的には、ジオメトリパラメータ変換手段700は、パイロット画像3次元ボリュームデータと複数の正式3次元ボリュームデータのそれぞれとの画像位置合わせ(image registration)を行い、パイロット画像3次元ボリュームデータと各正式3次元ボリュームデータにそれぞれ対応する変換行列を生成し、生成した各変換行列を利用して、ステップS14で生成されたジオメトリパラメータのそれぞれを各正式3次元ボリュームデータに対応するジオメトリパラメータに変換する。
【0075】
図8は、ジオメトリパラメータの変換の例を示す図である。
【0076】
例えば、
図8に示すように、ジオメトリパラメータ変換手段700は、パイロット画像3次元ボリュームデータと、ステップS16で取得されたT1WIに対応する正式3次元ボリュームデータ、T2WIに対応する正式3次元ボリュームデータ及びPDWIに対応する正式3次元ボリュームデータそれぞれとの位置合わせにより、ステップS14で生成されたジオメトリパラメータを、それぞれ、上記3つの正式3次元ボリュームデータのそれぞれに対応する3組のジオメトリパラメータに変換する。すなわち、ジオメトリパラメータ変換手段700は、ステップS14で生成されたジオメトリパラメータを、T1WIに対応するジオメトリパラメータ、T2WIに対応するジオメトリパラメータ及びPDWIに対応するジオメトリパラメータに変換する。
【0077】
そして、第2の実施形態におけるステップS17において、オブリーク画像生成手段600が、変換後の3組のジオメトリパラメータ及び3組のジオメトリパラメータのそれぞれに対応する3つの正式3次元ボリュームデータを用いて、ステップS15で決定されたイメージングプロトコル及びオブリークタイプに対応する複数種類のオブリーク画像を生成する。
【0078】
より具体的には、オブリーク画像生成手段600は、T1WIに対応する正式3次元ボリュームデータに対して、ステップS18で生成された、T1WIに対応するジオメトリパラメータを用いて、T1WIに対応する3種類のオブリーク画像(すなわち、オブリークサジタルT1WI画像、オブリークコロナルT1WI画像及びオブリークアキシャルT1WI画像)を生成する。また、オブリーク画像生成手段600は、T2WIに対応する正式3次元ボリュームデータに対して、T2WIに対応するジオメトリパラメータを用いて、T2WIに対応する2種類のオブリーク画像(すなわち、オブリークサジタルT2WI画像及びオブリークコロナルT2WI画像)を生成する。また、オブリーク画像生成手段600は、PDWIに対応する正式3次元ボリュームデータに対し、PDWIに対応するジオメトリパラメータを用いて、PDWIに対応する2種類のオブリーク画像(すなわち、オブリークサジタルPDWI画像及びオブリークコロナルPDWI画像)を生成する。
【0079】
なお、パイロット画像3次元ボリュームデータ、T1WIに対応する正式3次元ボリュームデータ、T2WIに対応する正式3次元ボリュームデータ及びPDWIに対応する正式3次元ボリュームデータの取得時間はそれぞれ異なるため、同じ解剖学的構造の異なる3次元ボリュームデータにおける座標は異なる場合がある。
【0080】
上述した第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20によれば、ジオメトリパラメータ変換手段700が実行する変換処理により、同じジオメトリパラメータに基づいて各正式3次元ボリュームデータとより一致する複数組のジオメトリパラメータを生成し、さらに、イメージング部位の複数種類のオブリーク画像を生成することで、各3次元ボリュームデータ間の差異によるイメージング方向の誤差がさらに除去され、イメージング方向がより一致する複数種類のオブリーク画像を自動的に生成することができる。特に、イメージング部位が胸部、心臓、腹部などである場合、イメージング部位が呼吸や拍動に伴って変動するため、ジオメトリパラメータ変換処理を行うことで、複数種類のオブリーク画像間のイメージング方向の一致性を大幅に向上させることができる。
【0081】
(変形例)
なお、例えば、上述した実施形態は、適宜に変形して実施することも可能である。
【0082】
例えば、第1の実施形態のステップS14には、認識された特徴点に基づいて各オブリーク画像のイメージング位置の情報を特定可能であることが記載されている。実際には、オブリーク画像のイメージング位置は、経験値に基づいて、異なるイメージング部位及イメージング目的に対して予め設定されるようにしてもよい。また、認識された特徴点に基づいてイメージング視野中心点を特定し、その後、イメージング範囲は経験値に基づいて予め設定された範囲を用いるようにしてもよい。
【0083】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を一つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0085】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0086】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、オブリークタイプが同じでイメージングプロトコルが異なるオブリーク画像の間でのイメージング方向の一致性を向上させることができる。
【0087】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
10,20 磁気共鳴イメージング装置
200 画像取得手段
400 ジオメトリパラメータ生成手段
500 オブリーク画像決定手段
600 オブリーク画像生成手段
700 ジオメトリパラメータ変換手段