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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164574
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】冷却剤回路を制御するための弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/074 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
F16K11/074 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022044820
(22)【出願日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】10 2021 109 701.0
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522112799
【氏名又は名称】オットー エーゲルホフ ゲーエムベーハー アンド シーオー.ケージー
【氏名又は名称原語表記】OTTO EGELHOF GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ロビン,ジャン-ジャック
(72)【発明者】
【氏名】エーメン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ウィラーズ,アイケ
(72)【発明者】
【氏名】フォン ラート,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ボーネンステンゲル,ピーター
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA23
3H067CC02
3H067DD03
3H067EB23
3H067EC12
3H067ED20
3H067FF11
3H067GG12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】弁を通した冷却剤の流れの方向に関わらず、位置の切替えにおける封止制御を可能にする。
【解決手段】弁は、ハウジング12に設けられた調整チャンバを有し、入口開口部と出口開口部34、35との間に延びる。弁は、ハウジングに設けられ、調整チャンバに隣接した差込み開口部を有する。弁は、調整チャンバの中に少なくとも部分的に挿入可能な弁装置を有し、入口開口部と出口開口部との間における、媒体の流れ経路を制御可能である。弁は、調整チャンバに配置された、弁装置の回転摺動装置を有する。回転摺動装置は、回転摺動支持部に対して回転可能な制御ディスクを有する。回転摺動支持部は、ハウジングに対して非回転で設けられ、出口開口部に割り当てられる。摺動支持部は、ハウジングに浮動式に取付けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは熱ポンプ機能を伴う、冷凍システムの冷却剤回路を制御するための弁であって、
少なくとも1つの入口開口部(17)及び少なくとも1つの出口開口部(34、35)を伴うハウジング(12)を有し、
前記ハウジング(12)に設けられ、少なくとも1つの前記入口開口部(17)と少なくとも1つの前記出口開口部(34、35)との間に延びた、調整チャンバ(32)を有し、
前記ハウジング(12)に設けられ、前記調整チャンバ(32)に隣接した、差込み開口部(29)を有し、
前記調整チャンバ(32)の中に少なくとも部分的に挿入可能で、それによって、少なくとも1つの前記入口開口部(17)と少なくとも1つの前記出口開口部(34、35)との間における、媒体のフロー経路が制御可能である、弁装置(22)を有し、
前記弁装置(22)の前記調整チャンバ(32)に配置され、少なくとも1つの回転摺動支持部(57)に対して回転可能な制御ディスク(55)を伴う回転摺動装置(52)であって、少なくとも1つの前記回転摺動支持部(57)は、前記ハウジング(12)に非回転で設けられ、かつ少なくとも1つの前記出口開口部(34、35)に割り当てられた、回転摺動装置(52)を有し、
少なくとも1つの前記回転摺動支持部(57)が、前記ハウジング(12)に浮動式に取付けられることを特徴とする、弁。
【請求項2】
少なくとも1つの前記回転摺動支持部(57)は、少なくとも1つの前記出口開口部(34、35)及び/または少なくとも1つの前記入口開口部(17)の長手方向軸(91)に対して、軸方向に浮動式に取付けられることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
少なくとも1つの前記回転摺動支持部(57)は、少なくとも一部で、またはその上に配置されたスリーブ部分(76)によって、前記出口開口部(34、35)に係合し、かつ前記ハウジング(12)に浮動式に取付けられることを特徴とする、請求項2に記載の弁。
【請求項4】
少なくとも1つの回転摺動支持部(57)は、前記ハウジング(12)に接続可能な受入れアダプタ(65)によって保持されることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項5】
弾性的に撓曲可能な要素(85)は、前記受入れアダプタ(65)の端部面(83)と、前記回転摺動支持部(57)の前記制御ディスク(55)に向かう封止表面(78)の反対側の、前記回転摺動支持部(57)の支持表面(79)と、の間に設けられることを特徴とする、請求項4に記載の弁。
【請求項6】
前記弾性的に撓曲可能な要素(85)は、前記端部面(83)の凹部及び/または前記支持表面(79)に設けられることを特徴とする、請求項5に記載の弁。
【請求項7】
前記受入れアダプタ(65)は保持部分(86)を有し、前記保持部分(86)は、前記端部面(83)を囲み、かつ前記回転摺動支持部(57)の固定部分(81)の周りに係合した外側周辺に当接することを特徴とする、請求項4に記載の弁。
【請求項8】
前記回転摺動支持部(57)は、前記回転摺動支持部(57)の前記外側周辺に、円筒形の固定部分(81)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の弁。
【請求項9】
前記保持部分(86)は、前記受入れアダプタ(65)の前記端部面(83)から始まる円筒形周辺表面(89)を有し、それによって、前記回転摺動支持部(57)は、中央で前記受入れアダプタ(65)に誘導され、前記端部面に把持要素(87)を有し、前記把持要素(87)は、前記回転摺動支持部(57)の前記固定部分(81)の周りまたは背後で係合することを特徴とする、請求項7に記載の弁。
【請求項10】
前記円筒形周辺表面(89)の高さ、及び/または前記保持部分(86)における前記把持用縁部(87)の長さ、及び/または前記回転摺動支持部(57)における前記固定部分(81)の高さ、に依存して、軸方向空隙(88)は、前記回転摺動支持部(57)の前記支持表面(79)と、前記アダプタレシーバ(65)の前記端部面(83)との間に設定可能であることを特徴とする、請求項9に記載の弁。
【請求項11】
前記軸方向空隙(88)は、0.01mmよりも大きいことを特徴とする、請求項10に記載の弁。
【請求項12】
前記受入れアダプタ(65)は、少なくとも1つの差込みスリーブ(71)を有し、前記差込みスリーブ(71)は、前記ハウジング(12)における少なくとも1つの前記出口開口部(34、35)の中に差込み可能であることを特徴とする、請求項4に記載の弁。
【請求項13】
前記差込みスリーブ(71)は、前記出口開口部(34、35)の中に押圧されるか、または封止リング(72)を用いて封止的に前記出口開口部(34、35)の中に差込まれることを特徴とする、請求項12に記載の弁。
【請求項14】
少なくとも1つのバネ要素(73)は、前記受入れアダプタ(65)と、前記ハウジング(12)のベース(75)、または前記出口開口部(34、35)に隣接した前記調整チャンバ(32)の前記ベース(75)と、の間に設けられることを特徴とする、請求項4に記載の弁。
【請求項15】
少なくとも1つの前記バネ要素(73)は、波形バネ、コイルバネ、ディスクバネ、O型リング封止、またはゴム製バネ要素、として形成されることを特徴とする、請求項11に記載の弁。
【請求項16】
前記回転摺動支持部(57)はセラミックから形成されるか、または前記回転摺動支持部(57)は研磨もしくは切込みのある表面を伴い、及び/もしくは滑りコーティングを伴う金属から形成されるか、または前記回転摺動支持部(57)は、プラスチックもしくは滑りコーティングを有するプラスチップから形成されることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項17】
前記アダプタレシーバ(65)は、詳細には貴金属もしくは軽金属の金属材料、またはプラスチックもしくは金属プラスチック合成材料から形成されることを特徴とする、請求項4に記載の弁。
【請求項18】
いくつかの出口開口部(34、35)を伴い、受入れアダプタ(65)は出口開口部(34、35)の中にいずれの場合も挿入可能であり、いずれの場合も1つの回転摺動部(57)を受入れることを特徴とする、請求項4に記載の弁。
【請求項19】
前記出口開口部(34、35)または前記入口開口部(17)の前記長手方向軸(91)から始まり、前記ハウジング(12)の封止ライン(94)までの、半径Rが与えられ、そこにおいて封止部(72)は、前記ポート開口部(34、35)または前記入口開口部(17)に前記ハウジング(12)に対して径方向に当接かつ封止し、前記出口開口部(34、35)または前記入口開口部(17)の前記長手方向軸(91)から始まり、前記回転摺動体(55)と前記回転摺動支持部(57)との間に形成された封止ライン(95)までの、半径Rが与えられ、R:Rの比率は、0.25~4の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは熱ポンプ機能を伴う、冷凍システムの冷却剤回路を制御するための弁に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却剤回路を制御するための多方弁は、独国特許出願公開第102017102841号明細書で知られている。この多方弁はハウジングを備え、その中で弁装置には、回転摺動装置が設けられる。ハウジングは、第1及び第2の入口開口部を備え、調整チャンバに接続される。ハウジングにおける第1及び第2の出口開口部も、調整チャンバに接続される。回転摺動装置は、モータによって駆動されるシャフトを介して制御される。冷却剤回路を制御するためのいくつかの切替え位置、及びサービス位置を、このような多方弁によって制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017102841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目標は、冷却剤回路を制御するための回転摺動装置を伴う弁を提案することであり、その弁は、弁を通した冷却剤の流れの方向に関わらず、位置の切替えにおける封止制御を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目標は、冷却剤回路を制御するための弁によって解決される。この弁において、弁装置の回転摺動装置は、制御ディスク及び少なくとも1つの回転摺動支持部を有する。この制御ディスクは、回転摺動支持部に対して回転可能であり、ハウジング内において非回転で設けられ、かつハウジング内の少なくとも2つの出口に割り当てられる。ここで、回転摺動支持部は、ハウジング内に浮動式に収められる。回転摺動支持部の、この浮動装置は、回転摺動支持部がストレスを受けることなく、ハウジング内に配置されるという利点を有する。したがって、制御ディスクにおける少なくとも回転摺動支持部の平面接触を可能にでき、それによって、制御ディスクと少なくとも1つの回転摺動装置との間の、しっかりとした配置が、冷却剤の貫流方向及び/または切替え位置に関わらず、実現される。
【0006】
好ましくは、回転摺動支持部は、ハウジング内に浮動式に、少なくとも1つの出口開口部の長手方向軸に向かう軸方向に取付けられる。この回転摺動支持部は、少なくとも1つの出口開口部に対して内力を受けることなく、ハウジングに位置付けることができる。したがって、制御ディスクに非平面当接をもたらし、それによって漏洩をもたらし得る内力または保持力は、回転摺動支持部に作用することはできない。
【0007】
好ましくは、回転摺動支持部は、ハウジングに接続することができる受入れアダプタによって保持される。したがって、内力または保持力は、ハウジングにおいて回転摺動支持部を非回転で固定するための受入れアダプタによって、受入れられ得る。内力または保持力は、受入れアダプタとハウジングとの間にのみ作用する。回転摺動支持部を、浮動式に取付けるか、または内力を受けずに、かつ好ましくは少なくとも1つの出口開口部の長手方向に対して軸方向に、保持させることができる。
【0008】
さらに、好ましくは、受入れアダプタの端部面と、制御ディスクに向けられた封止面の反対側の、回転摺動支持部の支持面と、の間の受入れアダプタには、弾性的に撓曲可能な要素が設けられる。それによって、回転摺動支持部を、受入れアダプタの端部面に対して、最小の空間または軸方向間隙で、保持することができる。これによって、冷却剤のフロー自体を制御するための制御ディスクが回転運動する際に、弁装置の長手方向軸からの小さい角度の逸脱でさえ、この弾性的に撓曲可能な要素によって補うことを可能にする。回転摺動支持部の、制御ディスクに対する平坦な装着、かつそれによる回転摺動装置の封止設計を、維持することができる。
【0009】
回転摺動支持部と受入れアダプタとの間の、弾性的に撓曲可能な要素は、好ましくは受入れアダプタの端部面における凹部に設けられる。代替として、弾性的に撓曲可能な要素を、回転摺動支持部の凹部、または回転摺動支持部の支持表面に設けることもできる。したがって、構造的に簡単な設計を作り出すことができる。好ましくは、弾性的に撓曲可能な要素を、凹部に位置的に固定して設けることができる。この凹部は環状に形成され、それぞれが出口開口部、または少なくとも2つの出口開口部を同時に囲む。好ましくは、凹部は傾斜を有することができ、それはアダプタレシーバの通過開口部の方向に向く。それによって、弾性的に撓曲可能な要素を、凹部にしっかりと位置付けるのを保証するために、径方向外側に固定するよう保持させることができる。
【0010】
回転摺動支持部を受入れるための、受入れアダプタは、好ましくは端部面を囲んだ保持部分を有し、かつ端部面の外周に設けられる。この保持部分は、回転摺動支持部の外周に設けられた固定部分の周りに係合する。したがって一方では、回転摺動支持部は、受入れアダプタに対して径方向に固定保持されるのを可能にし、他方では、受入れアダプタの端部面に対して軸方向の空隙を伴って位置付けることができ、それは、ハウジングにおける出口開口部の長手方向軸に対して径方向に整合される。
【0011】
受入れアダプタの保持部分は、端部面に基づいた円筒形周辺表面を有することができ、それを通して、回転摺動支持部の固定部分は中央に誘導され、周辺表面の端部面の側端部において、把持用縁部を備えることができる。この把持用縁部は、固定部分の周りまたは背後に係合する。このような設計の結果として、回転摺動支持部の、受入れアダプタに対する簡単な取付けを可能にすることもでき、詳細には、例えば折り曲げ、押込み、またはプレスすることができる材料で作られた把持部分の設計を伴う。
【0012】
有利には、回転摺動支持部の支持表面と端部面との間の、軸方向の空隙は、円筒形の周辺表面の高さ、及び/または保持部分の把持要素の長さ、及び/または回転摺動支持部の固定部分の高さ、によって設定することができる。有利には、この軸方向の空隙は、0.01mmよりも大きく設計される。したがって弾性的に撓曲可能な要素は、回転摺動支持部の支持表面を、受入れアダプタの端部面から離して保持することができる。
【0013】
受入れアダプタのさらに好ましい設計は、少なくとも1つの差込みスリーブを提供する。差込みスリーブは、弁のハウジングにおける少なくとも1つの出口開口部の中に差込むことができる。このように、受入れアダプタの簡単な取付け及び位置固定を実行することができる。
【0014】
好ましい実施形態によると、差込みスリーブは、受入れアダプタの出口開口部の中に押圧される。したがって、差込みスリーブとハウジングとの間の封止装置を、簡単な方法で作り出すことができる。代替として、封止要素、詳細には封止リングまたはO型環状封止も、差込みスリーブとハウジングにおける少なくとも1つの出口開口部との間を、封止するよう使用することができる。
【0015】
少なくとも1つのバネ要素が、受入れアダプタとハウジングのベースとの間、かつ出口開口部に隣接して、設けられる。これによって、受入れアダプタをハウジングのベースに対して軸方向に移動可能に取付けることを可能にする。ハウジングのベースは、調整チャンバの制限部を同時に形成する。この弾性のために、弁装置及び/もしくはハウジングの調整チャンバの公差、ならびに/または温度に依存した変化も、補うことができる。弁装置を、ハウジングの中への差込み開口部によって使用することができ、回転摺動装置をアダプタレシーバに向けて、調整チャンバに位置付けられる。
【0016】
受入れアダプタを、ハウジングまたはハウジングの少なくとも1つの出口開口部に、弾力的に受入れるためのバネ要素を、波形バネ、コイルバネ、ディスクバネ、ゴム製バネ要素として、またはO型環状封止として、形成することができる。このようなバネ要素は、調整チャンバにおいて一般的な圧力、及び他の外形要件に依存して、選択して使用することができる。
【0017】
回転摺動支持部は、好ましくはセラミックから形成される。ほとんどの部分のために、制御ディスクもセラミックから形成され、それによって回転摺動装置を形成する同じ材料の対が、互いに対して当接する。代替として、回転摺動支持部は、金属からも形成することができ、金属は研磨もしくは切込みのある表面を伴い、及び/または滑りコーティングを伴うか、もしくは滑りコーティングを有するプラスチップで作られる。
【0018】
アダプタレシーバは、好ましくは金属材料から形成される。これは、制御することになる媒体の使用の観点から選択することができる。例えば、貴金属または軽金属も使用することができる。
【0019】
弁の好ましい実施形態によると、受入れアダプタをそれぞれ、ハウジングの各出口開口部の中に挿入することができ、この受入れアダプタは、1つの回転摺動レシーバのみを受入れる。したがって、例えば2つの出口開口部を伴って、他方から独立した各回転摺動支持部は、その封止表面で制御ディスクと当接することができ、かつ他方の回転摺動支持部から独立して、オフセット及び/または封止された装置のための公差を補うことを可能にする。
【0020】
弁の別の好ましい実施形態によると、出口開口部または入口開口部の長手方向軸から始まり、ハウジングの封止ラインまでの、半径R1が与えられる。そこに封止リングが当接し、装着開口部または入口開口部をハウジングに対して径方向に封止する。さらに、出口開口部または入口開口部の長手方向軸から始まり、回転摺動部と回転摺動支持部との間に形成された封止ラインまでの、半径R2が与えられる。R1:R2の比率は、0.25~4の範囲である。したがって、作用する圧力及び/またはそれらの作用方向に依存して、回転摺動支持部における回転摺動体の押圧力、または回転摺動支持部からの回転摺動部の解放もしくは昇降、が設定される。
【0021】
本発明、及び本発明の別の有利な実施形態及び展開を、図面に示された例によって以下でより詳細に記載し説明する。本発明によると、説明及び図面で確認できる特徴を、個々に、または任意の組み合わせによって共同で適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】多方弁の斜視図である。
図2図1による多方弁の概略側面図である。
図3図1による多方弁の概略長手方向断面図である。
図4図1による多方弁の、多方弁装置の概略拡大断面図である。
図5図3または図4による回転摺動装置の概略拡大図である。
図6図5による回転摺動装置の、代替の実施形態における概略拡大断面図である。
図7図3または図4による回転摺動装置の、別の代替の実施形態における概略断面図である。
図8図5による回転摺動装置の、別の代替の実施形態における概略拡大図である。
図9図8の代替装置の概略図である。
図10図9の別の代替装置の概略図である。
図11図1の弁の、代替の実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1において、弁11の斜視図が示される。この弁11は、多方弁として形成される。この多方弁は、熱ポンプ機能を伴う冷凍システムの冷却剤回路12を、制御する働きをすることができる。
【0024】
この弁11はハウジング12を備え、それは例えば矩形断面を有する。このハウジング12は、端部面に取付けインターフェース14を有し、そこに例えば穴が、締付け要素を装着するために設けられる。冷却剤の供給または排出のためのポート16は、別の側部表面に設けられる。第1の弁装置21、及びこの反対側の第2の弁装置22は、ハウジング12の端部面18、及び反対側の端部面19に配置される。いずれの場合も、1つの駆動部23のみが、この弁装置21、22に設けられる。弁装置21、22は、図3図5による断面図で、より詳細に以下で説明する。
【0025】
図2による弁11の側面図において、3つの別のポート25、26、27が、例えばハウジング12の別の側面に設けられる。これらのポート25、26、27は、好ましくは駆動部23の長手方向軸24に対して平行に整合された側部表面に、設けられる。
【0026】
弁11の別の好ましい実施形態によると、全てのポート16、25、26、27は、ハウジング12の側部表面に配置される。代替として、ポート16、25、26、27は、ハウジングの各側部表面に設けることもできる。ハウジングの側部表面12ごとのポート数、及びそれらの整合を、設定状況に適応させることができる。
【0027】
図3において、図1による弁11の長手方向断面が示される。第1の弁装置21及び第2の弁装置22の、それぞれの駆動部23は、一部のみが示される。
【0028】
この長手方向断面は、弁11のハウジング12が、好ましくは単一部品として形成されることを示す。いずれの場合も、差込み開口部29、30が端部面18、19に設けられ、これらに調整チャンバ29、30がそれぞれ装着される。第1のポート25は、調整チャンバ31に割り当てられる。2つのチャネル34、35は、2つの調整チャンバ31、32の間に設けられ、一方のチャネル34はポート26に接続され、別のチャネル35はポート27に接続される。第1の調整チャンバ31の反対側における、第2の調整チャンバ32は、ポート16に接続される。
【0029】
この弁11は、ハウジング12において互いに反対側にある、第1の弁装置21及び第2の弁装置22を受入れる。これらは各々、差込み開口部29、30を介して、対応した調整チャンバ31、32の中に差込むことでき、かつ、詳細には示されないが、解放可能な締付け手段を介してそれらの中に固定することができる。弁装置21、22は、同一の構造を有する。これらは、ベース本体41を備え、それは差込み開口部29、30の中に挿入することができる。少なくとも1つの封止部42が、この調整チャンバ31、32を外側に封止するために、ベース本体の外側周辺に設けられる。ベース本体41において、シャフト43が、シャフトマウント45によって回転可能に誘導される。加えて、調整チャンバに対する封止部が、シャフト封止部44によって設けられ、それはシャフト43とベース本体41との間に配置される。歯状のスプロケット47が、シャフト43の端部面の端部に設けられる。この歯状のスプロケットは、駆動部23の相補的な駆動要素48に対して、動力供給されて駆動される(図4)。
【0030】
加えて、少なくとも1つの封止部49(図4)を、ベース本体41と、駆動部23またはそのハウジングと、の間に設けることができる。
【0031】
駆動部23の反対側で、シャフト43は回転摺動装置51、52に接続される。第1の弁装置21の回転摺動装置51は、好ましくは第2の弁装置22の回転摺動装置52から逸れる。第2の弁装置22は、図4において以下でさらに詳細に説明する。
【0032】
駆動体53は、回転摺動装置51、52とシャフト44との間に設けられる。この駆動体はシャフト43に固定接続され、回転摺動装置51、52の回転摺動支持部56、57に対する回転摺動部54、55の回転運動を制御する。シャフト43は駆動体53に溶接される。詳細には、例えばレーザ溶接、またはハンダ付け、折り曲げ、もしくはリベット留めされる。
【0033】
ポート25は、冷却剤の入口として形成される。したがってこの第1の調整チャンバ31において、高圧が一般的である。第1の弁装置21は、調整チャンバ31の高圧側に設けられ、それに従って形成される。
【0034】
ポート26、27は、低圧側に設けられる。さらに、第2の弁装置22は、第2の調整チャンバ32の低圧側に配置される。ポート16は、出口として形成される。チャネル34、35の中に通じるポート26、27を、入口として及び出口として両方制御することができ、これらは制御に関わらず低圧側に供給される。
【0035】
ハウジング12から調整チャンバ31の中への入口25、及び第2の調整チャンバ32からハウジング12を出るポート16は、好ましくはそれぞれの弁装置21、22に対して中心を外れて設けられる。これらは中心を外れて出て調整チャンバ31、32の中に通じ、ベース本体41の丸みを帯びた部分を用いて冷却剤を供給する。それによって、流れを最適化された供給及び/または冷却剤の排出を可能にする。さらに、調整チャンバ31の中に入るポート25の入口縁部、及び調整チャンバ32と出口16との間の縁部は、内側の面取りを有し、それによって、調整チャンバ31へのポート25及び/または調整チャンバ32からポート16の間における圧力低下を、軽減させることを可能にする。ポート26、27も、チャネル34、35に対して中心を外して位置付けられる。
【0036】
調整チャンバ31、32は、互いに反対側にあり、第1及び第2の弁装置21、22を挿入した後に、シャフト43の長手方向軸が好ましくは共通の長手方向軸に載るように、互いに対して整合される。チャネル34、35は、ハウジング12の長手方向軸またはシャフト43の長手方向軸に対して同軸に整合される。代替として、シャフト43の長手方向軸を、共通のハウジング12において互いに平行に、オフセットして整合させることもできる。弁装置21、22の2本のシャフト43における長手方向軸は、共通のハウジング12において180°未満の角度で配置される。設定の配置に依存して、調整チャンバ31、32の、90°の角度または90~180°の角度における整合を提供することもでき、チャネル34、35は、それに応じて流れの点で好ましい外形を有する。
【0037】
回転摺動装置51、52の各々は、例えば2つの貫通開口部61、62を備えた、回転可能な第1の回転摺動部54、55を有する。回転摺動支持部56、57は、これらの回転摺動部54、55に割り当てられる。これらは、好ましくは各々が2つの貫通開口部63、64を有する。対応した貫通開口部を、回転摺動支持部56、57に対する第1の回転摺動部54、55の、対応した重ね合わせ、またはオフセットによって、閉鎖または完全に解放することができ、かつ個々に、または両方とも、部分的に開けることができる。これは、図7図12、及び図14で、以下で説明する。回転摺動支持部56、57における、それぞれの貫通開口部63、64は、チャネル34、35に対して同一面に整合される。
【0038】
回転摺動部54、55、及び回転摺動支持部56、57は、好ましくはセラミックから形成される。これらは、プラスチックまたは金属からも形成することができる。
【0039】
弁11の、この設計を用いて、入口として設計されたポート25を介して入る冷却剤は、チャネル34のみ、もしくはチャネル35のみ、のいずれかで、例えば第1の弁装置21を通して供給されるか、または、両方のチャネル34、35に、冷却に比例して各々供給される。第2の弁装置21の、第2の回転摺動装置52における、切替え位置に依存して、チャネル34に存在する冷却剤は、例えば出口として形成されたポート26を介して、流れ出ることができる。同じことがチャネル35に提供された冷却剤に適用され、それは、ポート27を介して排出することができる。切替え位置を、出口として形成されたポート16が冷却剤を排出するよう、採用することもできる。
【0040】
第2の弁装置22の、概略拡大断面図が図4に示され、それは以下では弁装置22としてのみ言及される。この断面図は図3の断面図に対して90°回転されている。この断面図のおかげで、駆動体53が、ピン68によって回転可能な回転摺動部55に装着され、かつ回転可能に接続されていることが、明白である。例えば、詳細には嵌合ピンであるピン68を、駆動体53の中に押圧して、回転可能な回転摺動部55の凹部に係合できる。ここで好ましくは、ピン68と回転摺動部55との間の圧入が提供される。好ましくは、プラスチック製スリーブを伴うピン68は、回転摺動部55の穴の中に押圧され、横力を受けずに回転モーメントを伝達する。駆動体53と回転摺動部55との間の、この接続には、図4による回転摺動装置51を伴って設けることもできる。
【0041】
第2の調整チャンバ32に配置された、回転摺動装置52は、一般的な圧力比率のために、回転摺動装置51から逸らせて形成される。調整チャンバ32内には低圧が存在する。冷却剤は、まだチャネル34、35において高圧で存在する。第2の回転摺動装置52の回転摺動支持部57と、調整チャンバ32との間の封止装置を可能にするために、差込みスリーブ71が、チャネル34及び35のそれぞれに挿入される。これは、封止部72によって、チャネル34、35の外側に対して封止される。この差込みスリーブ71は、チャネル34、35の長手方向軸に対して軸方向に、移動可能に位置付けられる。好ましくは、バネ要素73は、差込みスリーブ71の肩部74と調整チャンバ32のベース75との間に、位置付けられる。これによって、差込みスリーブ71は、回転摺動装置52の方向に押圧される。流れの方向における入力側を見ると、差込みスリーブ71はチャンバ77を有して、流れの観点で好ましい配置を形成することができる。この反対に、差込みスリーブ71は、回転摺動支持部57に対して所定の位置に位置付けるために、当接表面またはレシーバを有し、及び/またはそれに係合することができる。回転摺動支持部57を、2つの環状体によって形成することができる。2つの環状本体は、差込みスリーブ71に受入れられ、かつ保持される。次にこれらは、回転可能な回転摺動部または制御ディスク55の、封止表面78または摺動表面に当接できる。
【0042】
図4に示された断面図は、弁11とすることもでき、そこではポート26、27を省くか、または閉鎖することができ、それによってハウジング12は、1つの入口開口部17及び2つの出口開口部34、35を伴うポート16を有する。媒体の流れ方向を、追加で入口開口部17によって、または出口開口部34、35によって提供することができる。流れ方向を、反対方向に実施することもできる。すなわち、出口開口部34、35は入口として形成され、入口開口部17は出口として形成される。
【0043】
制御ディスク55及び少なくとも1つの回転摺動支持部57を伴い、好ましくは非回転の制御ディスクの形態である、回転摺動装置52は、受入れアダプタ65における回転摺動支持部57の配置及びレシーバによって、制御することができる。受入れアダプタ65は、好ましくは少なくとも1つの差込みスリーブ71を、両方の貫流方向に有することができる。
【0044】
回転摺動支持部57の、出口開口部34、35に対する配置における第1の実施形態は、図5に拡大して示される。この実施形態は、図3及び図4におけるものに相当する。回転摺動支持部57は、受入れアダプタ65によって受入れられ、かつ保持される。回転摺動支持部57は、円形として形成され、封止表面78を備える。封止表面78は、制御ディスク55に向き、制御ディスク55に当接する。回転摺動支持部57は、封止表面78の反対側に支持表面79を有する。固定部分81は、回転摺動支持部57の外側周辺に設けられ、この固定部分は、封止表面78に向けられたものよりも大きい、支持表面79に向けられた外側周辺を備える。回転摺動支持部57は、受入れアダプタ65の端部面83に対して位置付けられる。凹部84は、端部面83に設けられ、弾性的に撓曲可能な要素84を受入れる働きをする。この弾性的に撓曲可能な要素85は、回転摺動支持部57の支持表面69を、端部面83から距離を離して位置付ける。受入れアダプタ65は、保持部分86をさらに備える。これは、円筒形の周辺表面89を備え、かつ端部面83の反対側に、把持用縁部87を備える。この把持用縁部87は、回転摺動支持部57の固定部分81の周り、または背後に係合する。回転摺動支持部57の支持表面79と、受入れアダプタ65の端部面83との間の、軸方向間隙88は、この把持用縁部87によって固定される。ここで、回転摺動支持部57は、弾性的に撓曲可能な要素85に、端部面83に対して予め内力を与えることによって、受入れアダプタ65に固定される。回転摺動支持部57は、出口開口部34、35の長手方向軸91に沿った軸方向間隙88のために、軸方向に移動可能とすることができる。同時に、回転摺動支持部57は、受入れアダプタ65に関する長手方向軸91に対して傾く動きを補うことができる。
【0045】
受入れアダプタ65は、好ましくはその上に1つの部材で配置された、差込みスリーブ71を有する。少なくとも1つのバネ要素73は、出口開口部34、35における受入れアダプタ65の収縮した可撓的な配置のために、詳細には長手方向軸91に沿った軸方向に、設けられる。このバネ要素73を、コイルバネ、ディスクバネ、または同様のもの、などのように形成することができる。好ましくは波形バネが設けられる。
【0046】
図6において、受入れアダプタ65の代替の設計が、図5による回転摺動支持部57を受入れるために設けられる。この実施形態において、差込みスリーブ71は、押込みスリーブとして形成され、出口開口部34、35の中に直接押圧される。したがって、図5における実施形態による封止要素72及びバネ要素73を、省くことができる。
【0047】
回転摺動支持部57の、受入れアダプタ65の端部面83への配置及び受入れは、図5による実施形態に相当する。しかし、図6によるこの実施形態において、軸方向間隙88は、図5による実施形態におけるものよりも大きく寸法決めできる。なぜなら、バネ要素73は、図6による実施形態で省かれるからである。したがって、次に、弁装置22をハウジング12の調整チャンバ32の中に挿入した後に、公差に対する十分な調節を実行することができる。
【0048】
図7において、図3及び図4に対する回転摺動支持部52の代替が示される。これから逸れることで、回転摺動支持部57を、単一の環状体として形成することができ、それは1つまたは複数の貫通開口部61を有する。この単一の回転摺動支持部57は、受入れアダプタ65によって、好ましくは少なくとも2つの貫通開口部63、64を用いて受入れられる。回転摺動支持部57の、受入れアダプタ65に対する配置及び固定を、図5及び図6の実施形態と同じように実行することができる。受入れアダプタ65は、回転摺動支持部57の端部面83の反対側において、2つの差込みスリーブ71を有する。これらの差込みスリーブは、出口開口部34、35の中に挿入することができる。これらの差込みスリーブ71は、各々別個で形成することができるか、または好ましくは一体で受入れアダプタ65に、共に設けることができる。
【0049】
第2の回転摺動装置52における受入れアダプタ65の、代替の実施形態の概略部分拡大図が、図8に示される。この代替の実施形態は、構成要素数が減少される。回転摺動支持部57、受入れアダプタ65、及びスリーブ位置76を伴う差込みスリーブ71は、共通の構成要素に互いに融合される。したがって、環状体は、その上部端部面に封止表面78を備えて提供される。この反対側で、この構造的に簡単に形成された回転摺動支持部57を、出口開口部34、35の中に差込んで位置付けることができるよう、スリーブ部分76が形成される。スリーブ部分76は、壁厚の点で封止表面78よりも狭くなるよう形成され、それによって肩部92は移行領域に形成される。肩部は、ハウジング12のベース75と出口開口部34、35の壁部分との間の移行領域に形成され、この肩部は、寸法の点で肩部92に調節される。したがって、スリーブ部分76を封止して出口開口部34、35に誘導するために、封止要素72、詳細には封止リングを、2つの肩部の間に位置付けることができる。有利には、回転摺動支持部57はセラミックから、詳細にはセラミックリングとして形成され、それは封止要素72によって、出口開口部34、35に収縮させて取付けられる。
【0050】
この実施形態において、半径R1は、出口開口部34、35の長手方向軸91から封止ライン94まで延びる。封止ライン94は、ハウジング12とハウジング12の肩部との間に提供され、ハウジング12の肩部は、出口開口部34、35に隣接する。封止効果は、図8に示された回転摺動部55と、回転摺動支持部57の封止表面78との間に提供され、この封止効果は、封止ライン95を封止表面78の幅の中央に形成する。半径R2は、長手方向軸91から封止ライン95まで延びる。半径R2は、半径R1よりも僅かに短い。封止ライン95を、径方向外側にずらすことによって、半径R2は、半径R1に合致するか、または大きくすることもできる。R1及びR2が同じであるように示された例において、一方の側における、媒体が回転摺動時支部57を押圧する力と、他方の側における、回転摺動支持部57の、回転摺動部55への方向の反力と、の同じ力比率が存在できる。これらの比率は、図5図6、及び/または図7による実施形態にも類似的に適用される。半径R1は、ハウジング12の封止部72と長手方向軸91との間の半径を表わす。半径R2は、長手方向91または得られた封止ライン95に対する、封止表面78と当接した回転摺動部55との間の半径を表わす。
【0051】
回転摺動装置52には、両方向に制御される媒体によって加えられる圧力が、供給され得る。一方では、圧力下にある媒体を、入口開口部17を介してハウジング12に供給し、それによって入力側において、圧力下にある媒体は、第2の回転摺動装置52または初めに回転摺動部55に作用することができる。代替として、圧力下にある媒体を、出口開口部34、35を介してハウジング12に供給することもでき、それによってまず回転摺動支持部57に、圧力入力側において圧力が供給され、それは次に回転摺動部55に作用する。
【0052】
動作のタイプに依存して、及び/または設計比率に依存して、様々な押圧比率を、回転摺動部55及び回転摺動支持部57の外形によって作り出すことができる。
【0053】
図8に対する別の実施形態が、図9に示される。半径R1は、半径R2よりも大きくなるよう形成される。半径R1は、長手方向軸91と出口開口部34、35の周辺壁との間に延び、その上に封止部72が当接する。入口開口部17を介して回転摺動装置52に作用する圧力を伴い、図8による実施形態と比較して低下した圧力が、回転摺動部55に作用する。回転摺動装置52に、出口開口部34、35を介して圧力が加えられた場合、回転摺動支持部57の増加した圧力を、回転摺動部55において実現することができる。したがって、高圧でも、回転摺動支持部57の封止表面78と回転摺動部55との間の、しっかりした当接及び封止を、半径R2に対する半径R1を選択することによって、得ることができる。
【0054】
回転摺動部55及び回転摺動支持部57の外形に関する、図9に対する代替の実施形態が、図10に示される。この実施形態において、半径R1は、半径R2よりも小さくなるよう形成される。半径R2によって生じた回転摺動部55の大きい表面によって、圧力下にある媒体が、出口開口部34、35を介して供給されて、入口開口部17を介して流れ出た場合、回転摺動部55における回転摺動支持部57の低圧力が実現される。圧力下にある媒体の流れる方向が逆になった場合、すなわち媒体が入口開口部17を介して供給された場合、回転摺動支持部57における回転摺動部55の高圧力が、回転摺動部55と回転摺動支持部57との間の密度を増加させることによって実現され、かつ得られる。
【0055】
図1に従って多方弁として形成された、弁11の代替の実施形態における概略拡大図が、図11に示される。弁11の、この実施形態は、単方向弁である。この単方向弁11は、貫流チャネルを備え、それは開閉させることができる。閉位置と開位置との間の異なる断面を、制御することもできる。この単方向弁11は、好ましくは所謂双方向弁として形成される。媒体の貫流、及び弁を流れ抜ける体積の制御を、両方の流れ方向で選択的に実行することができる。
【0056】
弁11は、端部面19にポートを伴う出口開口部34を有する、ハウジング12を備える。差込み開口部30は、この端部面19の反対側に設けられ、この差込み開口部において、弁装置22を位置付けることができる。この弁装置22は、ベース本体41を備え、それは差込み開口部30の中に挿入することができ、特にネジで、例えば固定手段38を用いてハウジング12に接続させることができる。少なくとも1つの封止部42が、ベース本体41とハウジング12との間に設けられる。それによって、このインターフェースは封止される。さらに、この封止部42は、調整チャンバ32を外側に対して封止する働きもする。ベース本体41において、シャフト43が、シャフト軸受45を介して回転可能に誘導される。加えて、調整チャンバ32に対する封止部が、シャフト封止部によって設けられ、それはシャフト43とベース本体41との間に配置される。歯状のスプロケット47が、シャフト43の端部面の端部に設けられ、駆動部23の相補的な駆動要素48に対して、動力供給されて接続される。
【0057】
加えて、封止部49を、ベース本体41と、駆動部23またはそのハウジングとの間に、設けることができる。
【0058】
駆動部23の反対側で、シャフト43は回転摺動装置52に接続される。この回転摺動装置52は、図4による回転摺動装置51、52から部分的に逸れる。この回転摺動装置52は、シャフト43に非回転で接続された回転摺動部55を備える。この回転摺動部55は、ベース本体41とハウジング12との間に形成されたハウジング部分56に、自由に回転可能に位置付けられる。
【0059】
ベース本体41は、入口開口部17へ移行するポート16を有する。この入口開口部17は、調整チャンバ32を介して回転摺動部55へ通じる。この反対側に、出口開口部34が設けられる。調整チャンバ32も、回転摺動部55と出口開口部34との間に形成される。弁11を通る媒体の流れ方向に依存して、調整チャンバ32は、回転摺動部55の上流にそれぞれ形成される。高圧が、この調整チャンバ32に存在する。
【0060】
代替として、ポート16を、図4による実施形態と同じようにハウジング12に配置することができ、ベース本体41をハウジング12の中に、上から挿入することができる。
【0061】
回転摺動装置52の回転摺動部55は、少なくとも1つの貫通開口部62を有する。回転摺動支持部57に対する回転摺動部55の重ね合わせ、またはオフセットを、回転摺動部55の回転運動を制御することによって制御でき、それによって、少なくとも1つの通路開口部62は閉鎖されるか、部分的に解放されるか、または完全に開放される。いずれの場合も、回転摺動支持部57は、回転摺動部55の両方の側に配置される。2つの反対側の回転摺動支持部57を、同じもので形成することができる。好ましくは、回転摺動支持部57は、図5図6図8図9、及び/または図10による実施形態を有することができ、それによって、これら実施形態の全ての範囲に対してそれぞれ参照が成される。
【0062】
回転摺動部55に対する回転摺動支持部57の反対側の配置によって、回転摺動部55を、シャフト43に対して軸方向に上下に動かせるよう、すなわち浮動式に取付けることができる。回転方向において、回転摺動部55とシャフト43との間の非回転接続が、好ましくは提供される。回転摺動部55に対して鏡像のように配置された、回転摺動支持部57の間における、回転摺動部55の浮遊式の取付けによって、弁11は、両方向を通して流すことができる。加えて、それぞれの貫流方向に関わらず、同じ比率が回転摺動装置52に与えられ得る。それによって、この弁11、特にこの単方向弁11を、広く使用することができる。
【符号の説明】
【0063】
11 弁
12 ハウジング
14 取付けインターフェース
16 ポート
17 入口開口部
18 端部面
19 端部面
21 第1の弁装置
22 第2の弁装置
23 駆動部
24 長手方向軸
25 ポート(ポート1)
26 ポート(ポート2)
27 ポート(ポート3)
29 差込み開口部
30 差込み開口部
31 調整チャンバ
32 調整チャンバ
34 チャネル
35 チャネル
41 ベース本体
42 封止部
43 シャフト
44 シャフト封止部
45 シャフト取付け部
47 スプロケット
48 駆動要素
49 封止部
51 回転摺動装置
52 回転摺動装置
53 駆動体
54 回転摺動部
55 回転摺動部
57 回転摺動支持部
61 貫通開口部
62 貫通開口部
63 貫通開口部
64 貫通開口部
65 受入れアダプタ
68 ピン
71 差込みスリーブ
72 封止要素
73 バネ要素
74 肩部
75 ベース
76 スリーブ部分
77 チャンバ
78 封止表面
79 支持表面
81 固定部分
83 端部面
84 凹部
85 可撓性要素
86 保持部分
87 把持用縁部
88 軸方向間隙
89 円筒形周辺表面
91 長手方向軸
92 肩部
94 封止ライン
95 封止ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】