(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164592
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】パネル
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062471
(22)【出願日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2021069028
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 攻一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】米野 孝
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA04
3D022BB01
3D022BC09
3D022BC10
(57)【要約】
【課題】パネル重量の著しい増大を抑制しつつパネル強度を高めることができる、パネルを提供する。
【解決手段】本発明によれば、コア材と、面材を備えるパネルであって、前記コア材は、基材と、前記基材よりも強度が高い材料で構成された補強材を備え、前記基材と前記補強材は、それぞれ、前記面材に接着されている、パネルが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材と、面材を備えるパネルであって、
前記コア材は、基材と、前記基材よりも強度が高い材料で構成された補強材を備え、
前記基材と前記補強材は、それぞれ、前記面材に接着されている、パネル。
【請求項2】
請求項1に記載のパネルであって、
前記基材及び前記補強材は、発泡体で構成され、前記補強材を構成する発泡体の発泡倍率は、前記基材を構成する発泡体の発泡倍率よりも低い、パネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のパネルであって、
前記補強材は、柱部と、前記柱部の一端又は両端に設けられたフランジ部を備え、前記フランジ部が前記面材に接着されている、パネル。
【請求項4】
パネルの製造方法であって、
前記面材を前記コア材に対して押し付けることによって、前記コア材に前記面材を接着する面材固定工程を備え、
前記コア材は、基材と、前記基材よりも強度が高い材料で構成された補強材を備え、
前記面材が前記基材と前記補強材の両方に接着される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記面材固定工程は、前記補強材に重なるようにスペーサーを配置した状態で行われ、
前記スペーサーは、前記面材固定工程の前の状態で、前記補強材よりも圧縮変形されやすい材料で構成される、方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の方法であって、
前記押し付けの際に前記面材に加わる力によって、前記補強材が、前記基材に対して、前記コア材の厚さ方向に移動可能に構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室に設置されるラゲッジボード等として利用可能なパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中空板に薄板状の鋼板を取り付けて構成されるパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、中空板に鋼板を取り付けることによって強度を高めているが、それでも強度が不足する場合がある。強度を高めるには鋼板の厚さを増大させればいいが、その場合、パネルの重量が著しく増大してしまう。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、パネル重量の著しい増大を抑制しつつパネル強度を高めることができる、パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)コア材と、面材を備えるパネルであって、前記コア材は、基材と、前記基材よりも強度が高い材料で構成された補強材を備え、前記基材と前記補強材は、それぞれ、前記面材に接着されている、パネル。
(2)(1)に記載のパネルであって、前記基材及び前記補強材は、発泡体で構成され、前記補強材を構成する発泡体の発泡倍率は、前記基材を構成する発泡体の発泡倍率よりも低い、パネル。
(3)(1)又は(2)に記載のパネルであって、前記補強材は、柱部と、前記柱部の一端又は両端に設けられたフランジ部を備え、前記フランジ部が前記面材に接着されている、パネル。
(4)パネルの製造方法であって、前記面材を前記コア材に対して押し付けることによって、前記コア材に前記面材を接着する面材固定工程を備え、前記コア材は、基材と、前記基材よりも強度が高い材料で構成された補強材を備え、前記面材が前記基材と前記補強材の両方に接着される、方法。
(5)(4)に記載の方法であって、前記面材固定工程は、前記補強材に重なるようにスペーサーを配置した状態で行われ、前記スペーサーは、前記面材固定工程の前の状態で、前記補強材よりも圧縮変形されやすい材料で構成される、方法。
(6)(4)又は(5)に記載の方法であって、前記押し付けの際に前記面材に加わる力によって、前記補強材が、前記基材に対して、前記コア材の厚さ方向に移動可能に構成される、方法。
【0007】
本発明のパネルでは、コア材を基材と補強材で構成した上で、補強材を面材に接着している。このような形態では、強度が必要な箇所にのみ補強材を配置して強度を高めることができるので、補強材の使用量を必要最小限にすることができる。このため、パネル重量の著しい増大を抑制しつつパネル強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、本発明の一実施形態のパネル1の斜視図であり、
図1Bは、コア材2の斜視図である。
【
図3】パネル1の長手方向の両端が支持部材7で支持されている状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6Aは、第6実施形態で用いるコア材2であって、基材4から補強材5及びスペーサー9が突出している状態を示し、
図6Bは、コア材2を一対の面材3a,3bで挟んでプレスした後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態
1-1.パネル1の構造
図1~
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るパネル1は、コア材2と、面材3を備える。パネル1は、略直方体形状であることが好ましい。パネル1は、車両の荷室に設置されるラゲッジボード等として利用可能である。
【0011】
コア材2は、好ましくは板状の部材である。コア材2の厚さは、例えば、5~25mmであり、8~20mmが好ましい。この厚さは、具体的には例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。コア材2の厚さは、コア材2の、互いに対向する第1及び第2主面2a,2bの距離が最も大きくなる部位での距離を意味する。コア材2には、好ましくは、凹部が設けられ、凹部内に、面材3が固定される。これによって、面材3がコア材2から剥がれることが抑制される。コア材2は、基材4と、補強材5を備える。
【0012】
基材4は、発泡体であっても非発泡体であってもよい。また、基材4は、中空体であっても中実体であってもよい。
【0013】
基材4の例としては、ビーズ発泡成形によって得られるビーズ発泡成形体、1枚の発泡又は非発泡の樹脂シートに凹凸形状を付与して得られる発泡又は非発泡シート成形体、発泡又は非発泡の、筒状パリソン又は2枚の樹脂シートを成形して得られる発泡又は非発泡中空成形体などが挙げられる。
【0014】
ビーズ発泡成形体は、例えば、発泡ポリスチレン、発泡アクリロニトリルスチレン、発泡ポリプロピレンなどで構成することができ、その発泡倍率は、例えば20~50倍であり、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
発泡パリソン又は発泡樹脂シートは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンで構成することができ、これを用いた成形体の発泡倍率は、例えば1.1~8倍であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0016】
補強材5は、基材4よりも強度が高い材料で構成される。補強材5としては、金属、木、樹脂などが挙げられる。プラスチックは、発泡体であっても非発泡体であってもよい。本明細書において、「強度」は、25℃でのヤング率を意味する。{補強材5の強度/基材4の強度}の値は、例えば1.1以上であり、1.5以上が好ましく、2以上が好ましい。この値は、例えば、1.1~1000であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2,3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、1000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以上であってもよい。
【0017】
本実施形態では、基材4及び補強材5が発泡体で形成されており、補強材5の発泡倍率が基材4よりも低い。発泡体は、発泡倍率が低い方が強度が高いので、補強材5の発泡倍率を基材4よりも低くすることによって、補強材5の強度を基材4よりも高くすることができる。また、基材4と補強材5は、同一樹脂で構成されていることが好ましい。この場合、基材4と補強材5が溶着されやすいので、例えば、インサート成形によって、基材4と補強材5を一体化させることが容易である。補強材5の発泡倍率をM1とし、基材4の発泡倍率をM2とすると、M1/M2は、例えば0.1~0.9であり、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
補強材5の比重は、通常、基材4よりも大きい。{補強材5の比重/基材4の比重}の値は、例えば1.1以上である。この値は、例えば、1.1~1000であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2,3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、1000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以上であってもよい。
【0019】
補強材5は、細長い部材であることが好ましく、長手方向の長さをLとし、長手方向に垂直な断面での外接円径が最大となる部位での外接円径をDとすると、L/Dは、5以上が好ましく、10以上がさらに好ましく、20以上がさらに好ましい。L/Dは、例えば、5~1000であり、具体的には例えば、5、10、15,20、50、100、1000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以上であってもよい。補強材5は、長手方向に沿って断面形状が一定であることが好ましい。
【0020】
補強材5は、コア材2中の任意の位置に任意のサイズで設けることができる。但し、補強材5は、通常、基材4よりも比重が高いので、重量増大を抑制するために、補強材5の使用量は必要最小限であることが好ましい。コア材2の体積をV1とし、補強材5の体積をV2とすると、V2/V1は、0.5以下が好ましく、0.3以下がさらに好ましい。V2/V1は、例えば0.001~0.5であり、具体的には例えば、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。コア材2の質量をW1とし、補強材5の質量をW2とすると、W2/W1は、0.8以下が好ましく、0.5以下がさらに好ましく、0.3以下がさらに好ましい。W2/W1は、例えば0.001~0.8であり、具体的には例えば、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。
【0021】
補強材5は、一例では、補強材5の長手方向がコア材2の長手方向又は短手方向に沿うように配置される。補強材5の長手方向に沿ったコア材2の長さをLCとし、補強材5の長手方向の長さをLとすると、L/LCは、0.5以上が好ましく、0.8以上が好ましい。この場合、パネル1の広い範囲に渡ってパネル1の強度を高めることができる。L/LCは、例えば0.5~1.0であり、具体的には例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
コア材2の厚さに対する補強材5の厚さは、例えば0.1~1.0であり、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
コア材の短手方向の長さ(長手方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向の長さ)は、例えば10~100mmであり、20~40mmが好ましい。この長さは、具体的には例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
一例では、コア材2の長手方向の長手方向の長さをLLとし、補強材5の、コア材2の長手方向の中央からの距離をDとすると、D/LLが0.20~0.45となる位置に、補強材5の長手方向がコア材2の短手方向に沿うように配置されることが好ましい。
図3に示すように、パネル1の長手方向の両端が支持部材7で支持されている状態で、パネル1の長手方向の中央近傍に比較的大型の荷物8が載せられると、D/LLが0.20~0.45になる位置でパネル1が座屈しやすい傾向があるので、このような位置に補強材5を設けることによってパネル1の座屈を抑制することができる。D/LLは、例えば具体的には例えば、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0025】
補強材5は、コア材2の厚さ全体に設けられていてもよく、厚さ方向の一部にのみ設けられていてもよい。補強材5は、コア材2の片面にのみ露出していてもよく、コア材2の両面に露出していてもよい。
【0026】
補強材5が露出している面では、基材4と補強材5が面一になっていることが好ましい。これによって、基材4と補強材5を面材3に接着することが容易になる。
【0027】
面材3は、板状の部材であり、基材4及び補強材5に接着することによってコア材2に固定される。面材3を基材4のみではなく、補強材5にも接着することによって面材3と補強材5が一体化されて補強材5を設けたことによる補強効果が顕著になるとともに振動時に補強材5が他の部材と干渉して異音が発生することが抑制される。面材3は、単位厚さ当たりの強度が基材4よりも高い材料で構成することができ、例えば、金属(アルミ、鉄など)や繊維強化樹脂などで構成可能である。面材3の厚さは、例えば、0.1~3mmであり、0.3~1.5mmが好ましい。この深さは、例えば、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、本明細書において、厚さ、深さ等の値は、別途明記しない限り、平均値を意味する。
【0028】
面材3は、接着層6を介して基材4及び補強材5に接着することができる。接着層6を構成する接着剤としては、ウレタン系の接着剤やオレフィン系の接着剤が挙げられる。接着層6の厚さは、例えば、0.01~0.5mmであり、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
面材3は、コア材2の第1及び第2主面2a,2bの一方のみに設けてもよいが、第1及び第2主面2a,2bの両方に設けてもよい。
【0030】
1-2.パネル1の製造方法
パネル1は、以下の方法で製造することができる。
【0031】
(1)コア材準備工程
コア準備工程では、コア材2を準備する。コア材2は、基材4の成形の際に補強材5をインサートするインサート成形によって形成したり、基材4と補強材5を別々の準備した後に両者を接合(嵌合、接着、溶着など)したりすることによって形成することができる。
【0032】
(2)面材固定工程
面材固定工程では、基材4と補強材5を、それぞれ、面材3に接着する。この接着は、基材4と補強材5上に接着剤を塗布(例:スプレー塗布、ビード塗布)し、その後、面材3をコア材2に(つまり、基材4と補強材5に)押し付けることによって行うことができる。この押し付けは、例えば、ロールプレス機を用いて実施することができる。ロールプレス機は、互いに逆方向に回転する一対のローラで対象物をプレスすることができる。また、この押し付けは、コア材2を一対の面材3で挟んで状態でプレスすることによって行うことができる。
【0033】
2.第2実施形態
図4Aを用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、補強材5の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0034】
本実施形態では、補強材5は、H形状であり、補強材5は、柱部5aと、柱部5aの両端に設けられたフランジ部5b,5cを備え、フランジ部5b,5cの両方が面材3に接着されている。
【0035】
H形状の補強材5は、体積当たりの強度向上効果が高いので、このような形状の補強材を用いることによって、パネル1の強度を顕著に高めることができる。また、本実施形態では、フランジ部5b,5cのそれぞれが面材3に接着されているので、強度向上効果が一層顕著である。
【0036】
フランジ部5b,5cのそれぞれの厚さは、例えば0.5~5mmであり、1~3mmが好ましい。この厚さは、具体的には例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0037】
3.第3実施形態
図4Bを用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に類似しており、補強材5を面材3に接着する態様の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0038】
本実施形態では、補強材5の構成は、第2実施形態と同じであるが、フランジ部5bのみが面材3に接着されていて、フランジ部5cは面材3に接着されていない。このような形態であっても、強度向上及び異音抑制の効果が奏される。
【0039】
4.第4実施形態
図4Cを用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に類似しており、補強材5の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0040】
本実施形態では、補強材5は、柱部5aの一端にフランジ部5bを備え、柱部5aの他端にはフランジ部が設けられていない。フランジ部5bが面材3に接着されている。柱部5aの他端は、面材に接着されていてもいなくてもよい。このような形態であっても、強度向上及び異音抑制の効果が奏される。
【0041】
5.第5実施形態
図4Dを用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に類似しており、補強材5の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0042】
本実施形態では、補強材5は、柱部5aの一端にフランジ部5bを備え、柱部5aの他端にはフランジ部が設けられていない。フランジ部5bは、面材3に接着されている。柱部5aの他端は、面材3には到達せず、コア材2の途中まで延びている。このような形態であっても、強度向上及び異音抑制の効果が奏される。
【0043】
6.第6実施形態
図5~
図6を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0044】
(本実施形態が解決しようとする課題)
第2実施形態のように、基材4と補強材5の厚さが等しく、補強材5が基材4の厚さ方向の全体に渡って設けられている場合、製造ばらつき等が原因で、基材4の厚さが標準値よりも小さくなってしまうと、面材3をコア材2に押し付けたときに、面材3は、補強材5に強く押し付けられ、基材4に押し付けられる力が弱くなって接着不良を発生させてしまう場合がある。この問題は、補強材5が圧縮変形されにくい材料である場合に顕著である。補強材5が圧縮変形されにくい材料である場合、プレスをしても補強材5がほとんど圧縮変形されず、面材3が基材4に押し付けられる力が強くならないからである。
【0045】
このような問題の発生を避けるために、基材4の厚さの標準値を補強材5よりも大きくした上で、基材4を圧縮変形させることによって、面材3を基材4と補強材5の両方に接着させることも考えられる。基材4の厚さの想定されるばらつきが±1mmである場合、例えば、基材4の厚さを20mmとし、補強材5の厚さを19mmとする。この場合、基材4が補強材5よりも薄くなることが抑制されるので、面材3と基材4の接着不良が発生することを抑制することができる。
【0046】
しかし、基材4の厚さが標準値よりも厚くなってしまう場合があり、この場合、プレス時に基材4を十分に圧縮変形させることができず、面材3に加えた力が補強材5に加わりにくく、面材3と補強材5の接着不良が発生しやすくなるという新たな問題が発生する。
【0047】
このため、基材4の厚さにばらつきがある場合に、面材3を基材4と補強材5の両方に確実に接着させることは容易ではない。
【0048】
(第1手段:スペーサー9)
上記課題を解決するための第1手段として、本実施形態では、
図5Aに示すように、基材4の厚さの標準値を補強材5の厚さよりも大きくした上で、補強材5に重なるようにスペーサー9を配置した状態で、
図6Bに示すように面材固定工程を行う。スペーサー9は、コア材2に面材3を接着する接着工程の前の状態(つまり、圧縮変形される前の状態)で、補強材5よりも圧縮変形されやすい材料で構成されている。圧縮変形のされやすさは、例えば、JIS K 7220に従って測定した10%圧縮応力に基づいて評価することができる。
【0049】
スペーサー9を設けることによって、基材4が補強材5よりも厚い場合でも面材3に加えた力が補強材5に加わりやすくなるので、面材3と補強材5の接着不良の発生が抑制される。また、スペーサー9が補強材5よりも圧縮変形されやすい材料で構成されているので、
図6Aに示すように、補強材5とスペーサー9の合計厚さが基材4の厚さよりも大きくて、スペーサー9が基材4から突出している場合には、
図6Bに示すように、スペーサー9が圧縮変形されることによって、スペーサー9の突出量が低減されるので、面材3と基材4の接着不良の発生が抑制される。
【0050】
スペーサー9は、基材4よりも圧縮変形されやすい材料で構成されることが好ましい。スペーサー9は、基材4よりも薄いので、スペーサー9と基材4が同じ厚みだけ圧縮されたときに、スペーサー9の方が、圧縮率が高くなって、圧縮による硬化が顕著になる。このため、面材3bをスペーサー9に押し付けてスペーサー9を圧縮変形させたときに、面材3bにスペーサー9の形状が浮き出やすい。スペーサー9を基材4よりも圧縮変形されやすい材料で構成することによって、このような問題を緩和することができる。
【0051】
スペーサー9は、例えば、発泡体で構成することができる。この場合、発泡体の倍率を変化させることによって、スペーサー9の圧縮変形のされやすさを変化させることができる。
【0052】
スペーサー9は、好ましくは、板状である。補強材5の厚さをT1とし、スペーサー9の厚さをT2とすると、T2/T1は、0.01~0.5が好ましい。この値が小さすぎると、スペーサー9を設けたことによる効果が不十分になりやすく、この値が大きすぎると、補強材5による補強効果が不十分になりやすい。T2/T1は、具体的には例えば、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2,0.3,0.4,0.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0053】
補強材5の厚さは、基材4よりも薄いことが好ましい。また、補強材5とスペーサー9の合計厚さは、基材4の厚さに一致することが好ましいが、基材4の厚さよりも、幾分、厚くても薄くてもいい。補強材5とスペーサー9の合計厚さと、基材4の厚さの差は、例えば、1mm以下であり、0.5mm以下が好ましい。基材4の厚さをT3とすると、(T1+T2)/T3は、例えば、0.95~1.05であり、0.98~1.02が好ましい。
【0054】
スペーサー9は、補強材5に接着されていてもいなくてもよい。また、スペーサー9が配置されていない面(本実施形態では第1主面2a)において、補強材5が面材3aに接着されていればよく、スペーサー9は、面材3bに接着されていてもいなくてもよい。スペーサー9は、補強材5に接着されていてもいなくてもよい。
【0055】
(第2手段:基材4に対して補強材5が移動可能)
上記課題を解決するための第2手段として、本実施形態では、面材3をコア材2に押し付ける際に、面材3に加わる力によって、補強材5が、基材4に対して、コア材2の厚さ方向に移動可能に構成されるという構成を採用している。第2手段は、単独で採用することも可能であるが、第1手段と共に採用することが好ましい。
【0056】
図6Aに示すように、コア材2の第1主面2a側において、補強材5が基材4から突出する場合には、第2主面2b側にスペーサー9を配置しても、面材固定工程において第1主面2a側での補強材5の突出が解消されない場合がある。本実施形態では、補強材5が面材3で押圧されると補強材5が基材4に対してコア材2の厚さ方向に移動して、補強材5の突出が緩和される。これによって、面材3と基材4の接着不良の発生が抑制される。
【0057】
上記構成は、例えば、
図5A~
図5Bに示すように、基材4の突出部4aが、補強材5のフランジ部5b,5cの間に配置される構成の場合、フランジ部5b,5cの内面間の距離D1を、突出部4aの厚さT4よりも大きくすることによって実現することができる。
【0058】
D1/T4は、例えば、1.01~1.2であり、具体的には例えば、1.01、1.05、1.1、1.15、1.2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0059】
このような構成を採用した場合、基材4に対して補強材5を移動可能にすることができるものの、面材固定工程前の状態で、基材4と補強材5が容易に分離されてしまって、製造工程において取り扱いにくい場合がある。
【0060】
そこで、
図5Bに示すように、フランジ部5b,5cには、内面から突出する爪5b1,5c1を設けている。爪5b1,5c1を突出部4aに食い込ませることによって、基材4と補強材5を分離されにくくすることができる。また、爪5b1,5c1以外の部位では、フランジ部5b,5cの内面と突出部4aの間に隙間があるので、コア材2の厚さ方向の力が補強材5に加わると、爪5b1,5c1の何れかの食い込み量が大きくなることによって、補強材5が、基材4に対して、コア材2の厚さ方向に移動可能となる。
【0061】
7.その他実施形態
必要な場合には、コア材2及び面材3を覆うように表皮材を設けてもよい。これによって、美観向上が得られるとともに、面材3がコア材2から剥離することが抑制できる。表皮材は、一例では、不織布であり、接着層を介して、面材3及びコア材2に接着することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 :パネル
2 :コア材
2a :第1主面
2b :第2主面
3 :面材
3a :面材
3b :面材
4 :基材
4a :突出部
5 :補強材
5a :柱部
5b :フランジ部
5b1:爪
5c :フランジ部
5c1:爪
6 :接着層
7 :支持部材
8 :荷物
9 :スペーサー