(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164596
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ビフェニル-2,2’-ジオールの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/16 20060101AFI20221020BHJP
C07C 39/15 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
C07C37/16
C07C39/15
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022063721
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】21168829.6
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディルク フリダッグ
(72)【発明者】
【氏名】アンナ キアラ サレー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランケ
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ブレヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス クノサラ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB48
4H006AC23
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC19
4H006BE10
4H006BE32
4H006FC22
4H006FE13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビフェニル-2,2’-ジオールを向上した収率で調製することができる方法を提供する。
【解決手段】a)n-ドデシル硫酸ナトリウムを加える工程と、
b)塩基を加える工程と、
c)特定のフェノール類を加える工程と、
d)前記工程a)~前記工程c)の反応混合物を加熱する工程と、
e)前記反応混合物に過酸化水素を加える工程と、
f)前記反応混合物を冷却してビフェニル-2,2’-ジオールを沈殿させる工程と、
を含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)n-ドデシル硫酸ナトリウムを加える工程と、
b)塩基を加える工程と、
c)式(I):
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4は、-H、-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
6-C
20)-アリールから選択され、
前記アルキル基およびアリール基は、置換された-(C
1-C
12)-アルキル基、置換された-O-(C
1-C
12)-アルキル、置換された-(C
6-C
20)-アリール、置換された-O-(C
6-C
20)-アリールが、1つまたは複数の置換基を有するように置換されていてよく、
前記置換基は、それぞれ独立して、-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、ハロゲンから選択される。)
のフェノールを加える工程と、
d)前記工程a)~前記工程c)の反応混合物を加熱する工程と、
e)前記反応混合物に過酸化水素を加える工程と、
f)前記反応混合物を冷却して生成物(II):
【化2】
を沈殿させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記R1、R2、R3、R4が-H、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記R2およびR4がそれぞれ-Hである、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記R1およびR3が-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記R1およびR3が-(C1-C12)-アルキルである、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記フェノール(I)が構造(3):
【化3】
を有する、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記工程b)の前記塩基が水酸化ナトリウムである、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記工程d)における前記加熱は、50℃~100℃の範囲の温度で実施される、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記工程e)における前記過酸化水素の添加は、過酸化水素溶液の滴下添加により行われる、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記工程d)で設定した前記温度は、前記過酸化水素を添加している間維持される、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記工程d)で設定した前記温度は、前記過酸化水素の添加後、10分~2時間にわたって維持される、請求項1~請求項10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
追加工程:f2)前記反応混合物を能動冷却する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記能動冷却は、氷浴を用いて行われる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
追加工程:g)前記沈殿生成物を水で洗浄する工程を含む、請求項1~請求項13のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフェニル-2,2’-ジオールの調製方法に関する。フェニル環は、OH基に加えて、別の置換基を有していてもよい。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第11~12頁において、2,2’-ビス(3,5-ジメチルフェノール)の合成(1)を記載している。
【0003】
【0004】
2,4-ジメチルフェノールは、添加されたFeSO4とNa2S2O8と反応する。生成物(1)が69%の収率で得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ビフェニル-2,2’-ジオールを向上した収率で調製することができる方法を提供することであった。
【0007】
この目的は、請求項1記載の方法によって達成される。
以下:
a)n-ドデシル硫酸ナトリウムを加える工程と、
b)塩基を加える工程と、
c)式(I):
【0008】
【0009】
(式中、R1、R2、R3、R4は、-H、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキル、-(C6-C20)-アリール、-O-(C6-C20)-アリールから選択され、
アルキル基およびアリール基は、置換された-(C1-C12)-アルキル基、置換された-O-(C1-C12)-アルキル、置換された-(C6-C20)-アリール、置換された-O-(C6-C20)-アリールが、1つまたは複数の置換基を有するように置換されていてよく、
置換基は、それぞれ独立して、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキル、ハロゲンから選択される。)
のフェノールを加える工程と、
d)工程a)~工程c)の反応混合物を加熱する工程と、
e)反応混合物に過酸化水素を加える工程と、
f)反応混合物を冷却して生成物(II):
【0010】
【0011】
を沈殿させる工程と、
を含む方法。
【0012】
方法の一変形例では、R1、R2、R3、R4は、-H、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される。
【0013】
方法の一変形例では、R2およびR4は、それぞれ-Hである。
【0014】
方法の一変形では、R1およびR3は、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される。
【0015】
方法の一変形例では、R1およびR3は、-(C1-C12)-アルキルである。
【0016】
方法の一変形では、フェノール(I)は、構造(3):
【0017】
【0018】
を有する。
【0019】
方法の一変形例では、工程b)の塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0020】
方法の一変形例では、工程d)における加熱は、50℃~100℃の範囲の温度で実施される。
方法の一変形例では、工程d)における加熱は、65℃~95℃の範囲の温度で実施される。
【0021】
方法の一変形例では、工程e)における過酸化水素の添加は、過酸化水素溶液の滴下添加によって実施される。
【0022】
方法の一変形例では、工程d)で設定した温度は、過酸化水素を添加している間維持される。
【0023】
方法の一変形例では、工程d)で設定した温度は、過酸化水素を添加した後10分から2時間にわたって維持される。
【0024】
方法の一変形例では、この方法は、追加工程f2):反応混合物を能動冷却する工程を含んでいる。
【0025】
方法の一変形例では、能動的冷却は、氷浴を用いて行われる。
【0026】
方法の一変形例では、この方法は、追加工程g):沈殿生成物を水で洗浄する工程を含んでいる。
【0027】
本発明は、以下、実施例によって詳細に説明される。
【実施例0028】
3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチルビフェニル-2,2’-ジオールの合成(2)
【0029】
【0030】
脱塩水400mL中のn-ドデシル硫酸ナトリウム1.2g(4ミリモル)の溶液に、水酸化ナトリウム64g(1.6モル)および2,4-ジ-tert-ブチルフェノール(3)166.72g(0.8モル)を、攪拌しながら連続して加える。続いて、この溶液を85℃に加熱する。次に、90分かけて、35%過酸化水素溶液58.4mL(0.674モル)を滴下して加え、反応温度を85℃~90℃の間に維持する。この反応は発熱性であるため、反応温度の維持は、浴温を70℃に下げることによって確保した。滴下添加後、混合物を85℃でさらに30分間撹拌する。続いて、油浴を22℃に設定し、反応溶液を約2時間冷却した。続いて、反応溶液をさらに1時間氷浴に入れる。次に、反応溶液を濾過し、残留物を水40mLで2回洗浄した。得られた固体を真空中で18時間乾燥させた。収量は166.3g(99.2%)であった。
【0031】
実施した実験により、本発明の目的が本発明に係る方法によって達成されることが実証されている。