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特開2022-164608ロボットドリルシステム及びロボットドリルシステムを用いて穿孔する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164608
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ロボットドリルシステム及びロボットドリルシステムを用いて穿孔する方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022066105
(22)【出願日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】63/175,781
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コクラン, ジェーソン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ボンチャン, レン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】アミルサドリ, アシュカン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS12
3C707ES15
3C707KS03
3C707KS33
3C707KS37
3C707KT01
3C707KT06
3C707KX06
3C707LT11
3C707LU08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロボットドリルシステム及びロボットドリルシステムを用いて穿孔する方法を提供する。
【解決手段】ツールヘッドのロボット挿入をもたらすために、少なくとも1つのロボットアクチュエータによって移動されるロボットマニピュレータアームを用いて、初期挿入軌道に沿ってドリルテンプレートの孔内にロボットドリルのツールヘッドを挿入することを含む。初期挿入軌道に沿ってツールヘッドを挿入している間、孔の壁に対するツールヘッドの拘束に応じて、ツールヘッドのロボット挿入を停止し、ツールヘッドを孔に対するツールヘッド軸の修正された位置合わせへと再配向するために、ツールヘッドの自己中心化デバイスを起動することを含む。自己中心化デバイスは、拡張可能なコレットを含んでよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なコレット(7)及びエンドエフェクタ(9)を備えたツールヘッド(5)であって、前記拡張可能なコレット(7)は、ドリルテンプレート(23)の孔(21)の中への挿入のための後退した構成(11)と拡張した構成(13)との間で拡張するように構成されている、ツールヘッド(5)と、
前記ツールヘッド(5)を支持するためのロボットマニピュレータアーム(15)と、
前記ドリルテンプレート(23)の前記孔(21)に向けられた前記ツールヘッド(5)のロボット挿入をもたらすように、前記ロボットマニピュレータアーム(15)を移動させるための少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)と、
前記ドリルテンプレート(23)の前記孔(21)内の前記拡張可能なコレット(7)の拘束を検出するための少なくとも1つのセンサ(19)とを備え、
前記孔(21)内の前記拡張可能なコレット(7)の拘束を検出したことに応じて、前記ツールヘッド(5)のロボット挿入が停止され、前記拡張可能なコレット(7)は、前記エンドエフェクタ(9)を前記孔(21)内の中心に置くために、前記拡張した構成(13)へ拡張するように構成され、
前記後退した構成(11)にある前記拡張可能なコレット(7)の後退した直径(27)は、テンプレート孔の前記孔(21)の直径の少なくとも95%であるが、100%未満である、ロボットドリルシステム(1)。
【請求項2】
前記孔(21)内の前記拡張可能なコレット(7)の拘束を検出したことに応じて、ロボット挿入が停止され、前記ロボットマニピュレータアーム(15)及び前記少なくとも1つのアクチュエータ(17)は、前記ツールヘッド(5)の前記拡張可能なコレット(7)を拡張させること(130)によって生成される力によって、前記ロボットマニピュレータアーム(15)が、前記孔(21)に対する修正された位置合わせ(43)へと自由に再配置可能である従順な自由駆動モードに切り替えられ(124)る、請求項1に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項3】
初期挿入軌道(37)に沿って前記孔(21)に向けられた前記ツールヘッド(5)の挿入をガイドするように、制限された精度のセンサフィードバック信号(35)を提供するための、制限された精度のセンサ(33)を更に備える、請求項1又は2に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項4】
前記制限された精度のセンサ(33)は、ビデオカメラ又は深度カメラシステムである、請求項3に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項5】
前記後退した直径(27)は、
(i)前記テンプレート孔の直径の95%から97%、
(ii)前記テンプレート孔の直径の97%から99%、又は
(iii)前記テンプレート孔の直径の少なくとも99%であるが、100%未満、のうちの少なくとも1つの範囲にある、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項6】
前記ツールヘッド(5)は、前記孔(21)の中への前記ツールヘッド(5)の挿入を補助するための導入溝(29)を含み、前記導入溝(29)は、前記後退した直径(27)未満且つ前記テンプレート孔の直径の少なくとも75%である導入直径(34)を有する導入縁部(31)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項7】
拘束を検出するための前記少なくとも1つのセンサ(19)は、
前記少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)における電流、電圧、及び/又は熱の変化を検出するためのセンサ、
前記ツールヘッド(5)、前記コレット(7)、前記ロボットアクチュエータ(17)、又は前記ドリルテンプレート(23)のうちの1以上における少なくとも1つの力を検出するための力センサ、
前記コレット(7)又は前記ツールヘッド(5)の加速度の変化を検出するための加速度計、並びに
前記コレット(7)又は前記ツールヘッド(5)と前記ドリルテンプレート(23)との間の電気的導通又はキャパシタンスの変化を検出するためのセンサ、のうちの1以上を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項8】
前記拡張可能なコレット(7)と前記孔(21)の壁(22)との間の力を表すコレットセンサ出力を出力するためのコレットセンサ(53)を更に備え、
前記拡張可能なコレット(7)を前記拡張した構成(13)に構成することは、前記コレットセンサ出力が閾値に到達するか又はそれを超えるまで、前記拡張可能なコレット(7)の直径を拡張することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
【請求項9】
ロボットドリルシステム(1)を用いて穿孔する方法(100、200)であって、
ツールヘッド(5)のロボット挿入をもたらすために、少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)によって移動されるロボットマニピュレータアーム(15)を用いて、初期挿入軌道(37)に沿ってドリルテンプレート(23)の孔(21)内に前記ロボットドリル(1)の前記ツールヘッド(5)を挿入すること、
前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束を検知すること、
前記初期挿入軌道(37)に沿って前記ツールヘッド(5)を挿入している間、前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束に応じて、前記ツールヘッド(5)のロボット挿入を停止し(122)、前記ツールヘッド(5)を前記孔(21)に対するツールヘッド軸(49)の修正された位置合わせ(43)へと再配向するために、前記ツールヘッド(5)の自己中心化デバイス(41)を起動すること(130)、
更新された挿入軌道(45)に沿って前記孔(21)の中に前記ツールヘッド(5)を挿入すること(140)であって、前記更新された挿入軌道(45)は、前記修正された位置合わせ(43)に基づく、前記ツールヘッド(5)を挿入すること(140)、及び
前記ツールヘッド(5)のエンドエフェクタ(9)を起動すること(150)を含む、方法(100、200)。
【請求項10】
前記壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束に応じて、前記方法(100、200)は更に、
前記初期挿入軌道(37)に沿って前記孔(21)に向けられた前記ツールヘッド(5)のロボット挿入を停止すること(122)と、
前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(130)によって生成される力によって、前記ツールヘッド(5)が、前記孔(21)に対する前記ツールヘッド軸(49)の前記修正された位置合わせ(43)へと再配置移動することを容易にするための従順な自由駆動モードに、前記ロボットマニピュレータアーム(15)を切り替えること(124)とを含み、
前記ツールヘッド(5)を、前記孔(21)に対する前記修正された位置合わせ(43)へと再配置するために、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(130)に続いて、前記方法(100、200)は更に、
少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)の選択的な起動が、前記ツールヘッド(5)のロボット挿入をもたらすために前記ロボットマニピュレータアーム(15)を移動させるように、前記ロボットマニピュレータアーム(15)を駆動モードに構成すること(132)、及び
前記ツールヘッドの前記自己中心化デバイス(41)を起動解除すること(134)を含む、請求項9に記載の穿孔する方法(100、200)。
【請求項11】
前記ツールヘッド(5)を、前記孔(21)に対する前記修正された位置合わせ(43)へと再配置するために、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(130)に続いて、前記方法(100、200)は更に、
前記更新された挿入軌道(45)に沿って前記ツールヘッド(5)を挿入するための更新された制御信号を計算すること(136)を含み、
前記更新された挿入軌道(45)に沿って前記孔(21)の中に前記ツールヘッド(5)を挿入することは、
前記更新された制御信号に従って、前記ロボットアクチュエータ(17)を選択的に起動すること(142)を含む、請求項10に記載方法(100、200)。
【請求項12】
前記更新された挿入軌道(45)に沿って前記孔(21)の中に前記ツールヘッド(5)を挿入することは、
前記ツールヘッド(5)を指定された位置(47)に挿入することを更に含み、
前記ツールヘッド(5)が前記指定された位置(47)に配置されていることに応じて、前記方法(100、200)は更に、
前記ロボットアクチュエータ(17)の選択的な起動を停止すること(146)、及び
前記ツールヘッド(5)の前記エンドエフェクタ(9)を起動するときに、前記ツールヘッド(5)を前記指定された位置(47)に固定するために、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(148)を含む、請求項11に記載の穿孔する方法(100、200)。
【請求項13】
前記孔(21)に対する前記ツールヘッド(5)の前記修正された位置合わせ(43)は、前記ツールヘッド(5)のツールヘッド軸(49)が、前記孔(21)の孔軸(51)と同軸になるようにすることを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の穿孔する方法(100、200)。
【請求項14】
前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束を検知することは、
前記ロボットドリル(1)の前記自己中心化デバイス(41)、前記ツールヘッド(5)、前記ロボットアクチュエータ(17)、又は前記ドリルテンプレート(23)のうちの1以上における力を検出することと、
前記自己中心化デバイス(41)又は前記ツールヘッド(5)と前記ドリルテンプレート(23)との間の電気的導通又はキャパシタンスの変化を検出することと、
前記自己中心化デバイス(41)又は前記ツールヘッド(5)の加速度の変化を検出することと、
前記ロボットドリル(1)のアクチュエータ又は他の構成要素における電流、電圧、熱の変化を検出することと、のうちの1以上を含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項15】
前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(148)は、前記ツールヘッド(5)のコレット(7)と前記孔(21)の壁(22)との間の力の閾値が到達されるか又はそれを超えるまで、前記壁(22)に向けて前記コレット(7)を拡張することを含む、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、ロボット穿孔に関する。特に、本開示の実施例は、ドリルテンプレートを使用するロボットドリルシステム、ロボットドリル方法、及びロボット穿孔のコンピュータに実装された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルテンプレート内の孔を使用するロボット穿孔などのようなロボットペグインホール(robotic peg-in-hole)工程を実行するときに、ロボットは先ず孔を検出しなければならない。1つのアプローチは、レーザースキャナを使用して表面の特徴を精密に位置特定することであるが、高精度である反面、時間がかかり得る。もう1つのアプローチは、較正された視覚システムを使用することであるが、より速い反面、精度が劣り得る。
【0003】
電力供給ドリルでは、孔に対するペグ(peg)の許容誤差が非常に厳しい。計測誤差とロボットシステムの位置精度との組み合わせは、低価格のロボットシステムが、ペグインホール工程に必要な位置合わせを実現することを阻害する可能性がある。特に、拘束(binding)を引き起こすことなしに、ドリルヘッド(ペグ)とドリルテンプレートの孔との間の正確な位置合わせを実現することを阻害する可能性がある。他のシステムは、より大きくより高価なロボット及びファクトリインフラを用いて、システムの剛性を高めることによって精度を上げてよい。しかし、そのような解決法は、位置特定誤差及びドリルテンプレートの位置合わせ誤差のために、移動式ロボット穿孔システムには実用的でない場合がある。
【0004】
本明細書を通して、「含む、備える(comprise)」という語、又は「含んでいる、備えている/含むこと、備えること(comprising)」などの変形例は、記載された要素、整数、又はステップ、或いは要素、整数、又はステップの群を含むが、任意の他の要素、整数、又はステップ、或いは要素、整数、又はステップの群を除外しないことを意味すると理解される。
【0005】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、物品などに関するいかなる議論も、これらの事項の一部又は全部が、添付の各請求項の優先日前に存在した本開示に関連する分野において、先行技術基盤の一部を形成するか又は一般的な知識であったと認めるものとして解釈されてはならない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ツールヘッド、ツールヘッドを支持するためのロボットマニピュレータ、少なくとも1つのロボットアクチュエータ、及び少なくとも1つのセンサを含む、ロボットドリルシステムを提供する。ツールヘッドは、拡張可能なコレットとエンドエフェクタとを含む。その場合、拡張可能なコレットは、ドリルテンプレートの孔の中に挿入するための後退した構成と、拡張した構成との間で拡張するように構成されている。少なくとも1つのロボットアクチュエータは、ドリルテンプレートの孔に向けられたツールヘッドのロボット挿入をもたらすために、ロボットマニピュレータアームを移動させるように構成されている。少なくとも1つのセンサは、ドリルテンプレートの孔内の拡張可能なコレットの拘束を検出するように構成されている。孔内の拡張可能なコレットの拘束を検出したことに応じて、ツールヘッドのロボット挿入は停止され、拡張可能なコレットは、エンドエフェクタを孔内の中心に置くために、拡張した構成に拡張するように構成されている。後退した構成にある拡張可能なコレットの後退した直径は、テンプレート孔の孔の直径少なくとも95%であるが、100%未満である。
【0007】
本開示はまた、ロボットドリルシステムを用いて穿孔する方法も提供する。該方法は、ツールヘッドのロボット挿入をもたらすために、少なくとも1つのロボットアクチュエータによって移動されるロボットマニピュレータアームを用いて、初期挿入軌道に沿ってドリルテンプレートの孔内にロボットドリルのツールヘッドを挿入することを含む。該方法はまた、孔の壁に対するツールヘッドの拘束を検知することも含む。初期挿入軌道に沿ってツールヘッドを挿入している間、孔の壁に対するツールヘッドの拘束に応じて、該方法は、ツールヘッドのロボット挿入を停止し、ツールヘッドを、孔に対するツールヘッド軸の修正された位置合わせへと再配向するために、ツールヘッドの自己中心化デバイスを起動することを含む。該方法はまた、更新された挿入軌道に沿って孔の中にツールヘッドを挿入することも含む。その場合、更新された挿入軌道は、修正された位置合わせに基づく。該方法は、ツールヘッドのエンドエフェクタを起動することを含む。
【0008】
本開示は、内部にコンピュータ可読プログラムコードを有する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を提供する。該プログラムコードは、プロセッサによって実行されたときに、コンピュータシステムに、少なくとも、初期挿入軌道に沿ってドリルテンプレートの孔に向けてロボットドリルのツールヘッドを挿入するためのロボットアクチュエータに対する初期制御信号を計算すること、初期挿入軌道に沿って孔に向けてツールヘッドを挿入するために、ロボットアクチュエータに制御信号を送信すること、及び、孔の壁に対するツールヘッドの拘束を表すセンサ信号を受信すること、を実行させる。コンピュータ可読プログラムは、コンピュータシステムに、センサ信号に基づいて、孔の壁に対するツールヘッドの拘束を判定すること、それに応じて、孔に対する修正された位置合わせへとツールヘッドを再配置するために、ツールヘッドの自己中心化デバイスを起動するよう起動制御信号を送信すること、孔に対するツールヘッドの修正された位置合わせに基づいて、更新された挿入軌道を計算すること、更新された挿入軌道に沿って孔に向けてツールヘッドを挿入するために、ロボットアクチュエータに更新された制御信号を送信すること、及び、ツールヘッドのエンドエフェクタを起動するために、エンドエフェクタ制御信号を送信すること、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ロボットドリルシステムの例示的な一実施形態の概略図を示す。
図2図2(a)から図2(f)は、ドリルテンプレートの孔の中に挿入されているロボットドリルシステムのツールヘッドのシーケンスを示す。図2(a)は、初期挿入軌道における挿入中のツールヘッドの拘束を示す。図2(b)は、拡張可能なコレット7を拡張することなどの、ツールヘッドの自己中心化デバイスを起動することを示す。図2(c)は、自己中心化デバイスの起動による、修正された位置合わせへと再配向されたツールヘッドを示す。図2(d)は、自己中心化デバイスが起動解除された、修正された位置合わせにあるツールヘッドを示す。図2(e)は、更新された挿入軌道に沿ってツールヘッドを挿入することを示す。図2(f)は、ツールヘッドを孔に固定するために自己中心化デバイスを起動し、エンドエフェクタ9を起動することを示す。
図3】ロボットドリルシステムを用いた穿孔の方法の例示的な一実施形態のフロー図である。
図4】更新された挿入軌道に沿ってツールヘッドを挿入するために、更新された制御信号を計算することを含む、穿孔の方法における更なるステップのフロー図である。
図5】ドリルテンプレートの孔にツールヘッドを固定することを含む、穿孔の方法における更なるステップのフロー図である。
図6】ロボットドリルシステムを制御するコンピュータに実装された方法の例示的な一実施形態のフロー図である。
図7図7(a)は、後退した構成にあるツールヘッドの端面図を示す。図7(b)は、拡張した構成にあるツールヘッドの端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概要
図1は、ワークピース8においてエンドエフェクタ9を起動するためのロボットドリルシステム1の一実施例を示している。図3は、ロボットドリルシステム1を用いる穿孔の方法100を示している。それは、図2(a)から図2(f)で示されているシーケンスによって例示される。
【0011】
ロボットドリルシステム1は、ワークピース8に対して工程を実行するために、ツールヘッド5のエンドエフェクタ9用の(1以上の)位置に対応する1以上の孔21を有する、ドリルテンプレート23と共に使用される。ドリルテンプレート23は、ツールヘッド5をワークピースにガイドするための治具として使用される。
【0012】
ロボットドリルシステム1は、ツールヘッド5を支持するためのマニピュレータアーム15を含む。1以上のロボットアクチュエータ17が、ドリルテンプレート23の孔21に向けられたツールヘッド5のロボット挿入110をもたらすために、ロボットマニピュレータアームを移動させるように設けられる。
【0013】
ツールヘッド5は、選択的に起動される自己中心化デバイス41及びエンドエフェクタ9を含む。幾つかの特定の実施例では、自己中心化デバイス41が、拡張可能なコレット7である。それは、孔21の中への挿入のための後退した構成11と拡張した構成13との間で拡張するように構成されている。エンドエフェクタ9は、ワークピース8に対する工程を実行し、例えば、ドリルビット、切削ツール、又は他のツールヘッドを含み得る。
【0014】
ロボットドリルシステム1はまた、ドリルテンプレート23の孔21内のツールヘッド5の拘束を検出するための少なくとも1つのセンサ19も含む。これは、孔21に対する自己中心化デバイス41又は拡張可能なコレット7の少なくとも部分の拘束を検知すること(120)を含み得る。
【0015】
孔5に向けられたツールヘッド5のロボット挿入中に拘束が検出された場合、それに応じて、ロボットドリルシステム1は、ロボット挿入を停止する。ツールヘッド5の位置合わせを修正するために、自己中心化デバイスが起動される(130)。拡張可能なコレット7の具体的な一実施例では、これが、孔21の壁22に向けて拡張可能なコレット7の直径を拡張することを含む。この拡張された構成13では、拡張可能なコレット7が、ツールヘッド5及びエンドエフェクタ9を孔21の中心に置く。
【0016】
ツールヘッド5の位置合わせを修正することに続いて、ロボットマニピュレータアームは、修正された位置合わせ43に基づく更新された軌道に沿って、ツールヘッド5を孔21の中に挿入すること(140)ができる。これは、ツールヘッド5が所望の指定された位置47の中に挿入されることを可能にする。その後、エンドエフェクタ9は、ワークピース8に対して工程を実行するように起動され得る(150)。
【0017】
ロボットドリルシステム1及び方法100は、ドリルテンプレート23内のエンドエフェクタ9の正確な配置を可能にする。特に、拡張可能なコレット7などの自己中心化デバイス41を使用して、ツールヘッド5の位置合わせを修正する。これは、ツールヘッド5を精密に位置特定することが困難であり、ツールヘッド5がテンプレート23に拘束される芳しくない結果を伴う、より精度が低いセンサ及び構成要素を使用するシステムにとっては有利であり得る。
【0018】
次に、ロボットドリルシステム1の構成要素の詳細な一実施例が説明される。
【0019】
ツールヘッド5
図1図7(a)、及び図7(b)を参照すると、ツールヘッド5は、ワークピース8に対して工程を実行するためのエンドエフェクタ9、及びエンドエフェクタ9の位置合わせを修正するための自己中心化デバイス41を含む。
【0020】
ツールヘッド5は、拘束を検出するためのセンサ19、自己中心化デバイス41における力を検出するためのコレットセンサ53、及びエンドエフェクタ9を駆動するためのアクチュエータなどのような、他の構成要素を含んでよい。
【0021】
エンドエフェクタ9
エンドエフェクタ9は、ワークピース8に対して工程を実行する。これは、除去加工工程(演繹的製造工程としても知られる)を含み得る。一実施例では、エンドエフェクタ9が、ドリルビットを有するドリルを含む。エンドエフェクタは、ドリルビットを選択的に回転させてワークピース8の中に穿孔するためのモータなどの回転式アクチュエータを含んでよく、又はそれに関連付けられてよい。
【0022】
幾つかの実施例では、エンドエフェクタ9の少なくとも部分が、ツールヘッド軸49に沿ってツールヘッド5の他の部分(拡張可能なコレット7など)に対して直線的に延伸可能である。これは、ツールヘッド5の残りの部分が静止した状態で維持されている間に穿孔することにおいて助けとなり得る。
【0023】
自己中心化デバイス41
自己中心化デバイス41は、孔21の中心にエンドエフェクタ9を置く(エンドエフェクタ9を孔21に位置合わせすることを含む)ように構成されている。これは、孔21の壁22に対して力を与えるツールヘッド5の自己中心化デバイス41を用いて実現され得る。それによって、エンドエフェクタ9の相対位置が、孔21の中心に置かれる。
【0024】
幾つかの実施例では、自己中心化デバイス41が、拡張可能なコレット7を含む。その場合、拡張可能なコレット7の外径は、選択的に調整可能である(それについては、以下でより詳細に説明されることになる)。他の実施例では、自己中心化デバイス41が、複数の径方向に拡張可能なアームを含む。それによって、中心に対する各拡張可能なアームの遠位端の選択的な距離が同期される。他の中心化デバイスが、エンドエフェクタ9を中心に置くために採用されてよいことは、理解されるだろう。
【0025】
拡張可能なコレット7
図1図2図7(a)、及び図7(b)で示されている例示的な一実施例では、自己中心化デバイス41が、拡張可能なコレット7の形態を採り得る。それは、孔の中への挿入中の後退した構成11と、孔21内でエンドエフェクタ9を中心に置くための拡張した構成13と、の間で拡張するように構成されている。
【0026】
拡張可能なコレットは、実質的に円筒形状の外面を有してよい。それによって、拡張した構成13(テンプレート孔の直径に近くなり得る又は同じであり得る)にあるときに、外面が、孔21の対応する円筒形状壁22と実質的に均一に接触する。外面は、コレット7の拡張及び後退を容易にするための幾つかのスロットを有してよい。
【0027】
幾つかの実施例では、拡張可能なコレット7の後退した直径27が、テンプレート孔の孔21の直径の少なくとも95%であるが、100%未満である。幾つかの実施例では、拡張可能なコレット7の後退した直径27が、テンプレート孔の直径の95%から97%の範囲にある。幾つかの実施例では、拡張可能なコレット7の後退した直径27が、テンプレート孔の直径の97%から99%の範囲にある。幾つかの更なる実施例では、拡張可能なコレットの後退した直径27が、テンプレート孔の直径の少なくとも99%であるが、100%未満の範囲にある。
【0028】
拡張可能なコレット7の拡張した構成13は、予測されるテンプレート孔の直径の100%又は約100%の拡張した直径28を含んでよい。これは、緊密で正確な適合を提供し得る。それによって、エンドエフェクタ9が、孔21の中心にあり、孔21と正確に位置合わせされていることが信頼可能である。
【0029】
幾つかの更なる実施例では、拡張可能なコレット7が、拡張可能なコレットが予測されるテンプレート孔の直径よりも大きい拘束されない拡張した直径28を有することを可能にするように構成されている。これによって、拡張可能なコレット7が、拡張可能なコレット7及び対応するツールヘッド5をドリルテンプレート23の孔21内に緊密に適合させるために、より拡張した直径28に向けて拡張することが可能になる。これは、エンドエフェクタ9の起動中に、孔21内にツールヘッド5を固定するという更なる1つの機能向けに有用であり得る。
【0030】
幾つかの実施例では、コレットセンサ53が、拡張可能なコレット7と孔21の壁との間の力を表すコレットセンサ出力を出力するように構成されている。拡張した構成に向けて拡張するときに、拡張可能なコレット7の直径は、コレットセンサ出力が閾値に到達するか又はそれを超えるまで拡張する。これは、ドリルテンプレート23に対する損傷を防止するために、拡張可能なコレット7の拡張の量を制限するために有用であり得る。コレットセンサ出力はまた、拡張可能なコレットが孔21に緊密に適合し、固定されたことの表示としても使用されてよい。
【0031】
幾つかの実施例では、拡張可能なコレット7が、ガス圧システムを用いて拡張し、後退するように構成されている。これは、拡張可能なコレット7を拡張するために、ガス圧アクチュエータを使用することも含んでよい。幾つかの実施例では、ガス圧システムのガス圧シリンダー内の圧力を指定し又は他の方法で制御することによって、拡張可能なコレット7がドリルテンプレート23の孔21の壁に与える力が制御される。
【0032】
導入溝29(Lead-in chamfer)
ロボットマニピュレータアーム15は、ツールヘッド5の少なくとも部分をドリルテンプレート23の孔21の中に挿入するように構成されている。それは、ペグインホール動作と考えられ得る。ツールヘッド5の挿入を補助するために、ツールヘッド5は、導入溝29を含んでよい。導入溝29は、導入縁部31を含む。その場合、導入縁部31は、拡張可能なコレット7の後退した直径27未満の導入直径34を有する。幾つかの実施例では、導入直径が、テンプレート孔の孔21の直径の少なくとも75%である。他の実施例では、導入直径が、テンプレート孔の直径の少なくとも80%である。また更なる実施例では、導入直径が、テンプレート孔の直径の少なくとも90%である。別の一実施例では、導入直径が、テンプレート孔の直径の少なくとも95%である。
【0033】
幾つかの実施例では、導入直径が、円錐台形状の部分を含む。
【0034】
ロボットマニピュレータアーム15及びロボットアクチュエータ17
ロボットマニピュレータアーム15は、複数の自由度で関節接合することができる。幾つかの実施例では、これが、x、y、及びz軸においてツールヘッド5を並進移動させることができるロボットマニピュレータアーム15を含み得る。ロボットマニピュレータアーム15はまた、対応するx、y、及びz軸の周りでツールヘッド5を回転させてもよい。
【0035】
ロボットマニピュレータアーム15は、1以上のロボットアクチュエータ17によって移動される。ロボットアクチュエータ17は、リニア若しくは回転モータ、ガス圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0036】
ロボットマニピュレータアーム15は、センサ及びコントローラ30と協力して、駆動モード又は自由駆動モードに構成されてよい。駆動モードでは、コントローラ30が、ツールヘッドの挿入をもたらすようにマニピュレータアームを移動させるための指示命令を受け取り、それに応じて、その挿入動作に影響を与えるように、ロボットアクチュエータ17のうちの1以上を選択的に起動させるための制御信号を送信する。駆動モードはまた、孔21からのツールヘッド5の後退やドリルテンプレート23の別の孔に向けられたツールヘッド5の移動などのような、ツールヘッド5のロボットマニピュレータアームの他の所望の移動向けにも使用されてよい。
【0037】
ロボットマニピュレータアーム15はまた、従順な自由駆動モード(「ゼログラビティー」モードとしても知られる)に構成されてもよい。従順な自由駆動モードでは、ロボットマニピュレータアーム15が、ツールヘッドの移動を容易にするために自由に再配置可能であるように構成されている。ロボットマニピュレータアーム15は、ロボットマニピュレータアーム15又はツールヘッド5に印加される外力に基づいて移動する(並進移動及び回転を含む)。これは、ロボットマニピュレータアーム内のセンサがロボットマニピュレータアーム15の構成要素への外力を検出し、力及び/又は移動に従ってロボットアクチュエータ17を作動させることを含み得る。
【0038】
従順な自由駆動モードは、自己中心化デバイス41が起動されたときに生成される力によって、ツールヘッド5及びエンドエフェクタ9が、孔21に対するツールヘッド軸49の修正された位置合わせ43へと移動することを可能にする。
【0039】
センサ19
ロボットドリルシステム1は、孔21に対する拡張可能なコレット7の拘束を検出するための1以上のセンサ19、19’、19”を含む。幾つかの実施例では、センサ19が、拡張可能なコレット7に向けられた力を検出するコレットセンサ53と同様又は同じであってよい。
【0040】
他の実施例では、センサ19、19’、19”が、孔の壁に対するツールヘッド5の拘束を間接的に検出してよい。例えば、ロボットアクチュエータ17に関連付けられたロボットマニピュレータアーム15の他の部分への力又は測定基準(metrics)を測定する。
【0041】
幾つかの実施例では、センサ19が、少なくとも1つのロボットアクチュエータ17における電流、電圧、及び/又は熱の変化を検出するためのセンサを含んでよい。これを使用して、拘束を表すツールヘッド5における移動の抵抗力を推測することができる。
【0042】
幾つかの実施例では、センサ19が、ツールヘッド5、拡張可能なコレット7、ロボットアクチュエータ17、ロボットマニピュレータアーム15、又はドリルテンプレート23における少なくとも1つの力を検出するための力センサを含む。幾つかの実施例では、力センサが、力を検出するための大きさベースのセンサ(magnitude based sensor)であってよい。幾つかの実施例では、これが、任意の方向における力を検出するより廉価なセンサ(特定の構成要素の方向において(1以上の)力を検出するより高価なセンサとは対照的に)に基づいてよい。
【0043】
幾つかの実施例では、センサ19が、コレット7又はツールヘッド5の加速度の変化を検出するための加速度計を含んでよい。
【0044】
幾つかの実施例では、センサが、コレット7やツールヘッド5とドリルテンプレート23との間の電気的導通又はキャパシタンスの変化を検出する。
【0045】
幾つかの実施例では、ツールヘッド5に、ツールヘッド5が指定された位置(ドリルテンプレート23の孔21内のツールヘッド5の適正な深さなど)に挿入されたことを検出するためのツールヘッドセンサが設けられている。これは、鉄合金(ferrous metal)の存在を検出するための誘導センサを含み得る。幾つかの実施例では、ドリルテンプレート23が、鉄合金を含む。それによって、誘導センサは、ドリルテンプレート23の鉄合金に対する近接を検出したことに基づく出力を提供する。これは、エンドエフェクタ9用のインターロックシステムの部分として使用され得る。それによって、エンドエフェクタ9は、誘導センサがツールヘッド5が指定された位置にあることを表す出力を提供した場合、選択的にのみ起動され得る。幾つかの実施例では、指定された位置が、ツールヘッドにあるツールヘッドセンサとドリルテンプレート23との間の距離のある範囲を含んでよい。一実施例では、ある範囲が、ツールヘッドセンサとドリルテンプレート23との間の1から2mmを含んでよい。
【0046】
他の実施例では、ツールヘッドに、ツールヘッド5とドリルテンプレートとの間の相対距離を表す出力を提供するための光学式距離センサが設けられてよい。これを使用して、ツールヘッド5が、ドリルテンプレート23の孔21内の指定された深さに進んだかどうかを判定することができる。
【0047】
ロボットドリルシステム1のセンサ19はまた、ツールヘッド5の位置及び/又は位置合わせを表す位置センサ信号を送信するための位置センサも含んでよい。これは、修正された位置合わせにあるツールヘッドの位置及び/又は位置合わせを特定することを含み得る。幾つかの実施例では、これが、ロボットマニピュレータアーム15、ロボットアクチュエータ17、及びツールヘッド3に関連付けられた回転エンコーダを含み得る。ロボットドリルシステム1に対するツールヘッド5の相対位置及び/又は位置合わせの情報を含み得るこの情報は、更新された挿入軌道を計算するためにコントローラによって使用され得る。
【0048】
制限された精度のセンサ33
ロボットドリルシステム1は、初期挿入軌道に沿って孔21に向けられたツールヘッド5の挿入をガイドするように、制限された精度のセンサフィードバック信号35を提供するための、制限された精度のセンサ33を含んでよい。
【0049】
幾つかの実施例では、制限された精度のセンサ33がカメラである。制限された精度のセンサフィードバック信号35は、ドリルテンプレート23の孔21に対するツールヘッド5(又はロボットマニピュレータアーム15の他の構成要素)の画像(又はビデオ)を含んでよい。この情報は、孔21の中にツールヘッド5の部分を初期的に挿入するのに十分な細密さの初期挿入軌道37を特定するために、コントローラ30によって使用され得る。初期挿入の後で、制限された精度のセンサによって提供される精度が、孔21の中へのツールヘッド5の精密な配置向けに不十分である場合、自己中心化デバイス41を使用する上述された方法が、ツールヘッド5の位置合わせを修正するために使用される。
【0050】
幾つかの実施例では、制限された精度のセンサ33が、深さ検知能力を有する深度カメラを含む。例えば、複数のカメラを有するシステムが、ステレオ距離(stereo depth)データを提供する。他の実施例では、制限された精度のセンサ33が、深さを特定するために、光パターンを投影し、反射した光パターンを捕捉することを含む、(1以上の)符号化された光学式深度カメラを含む。
【0051】
ビデオカメラなどの制限された精度のセンサ33を使用する利点は、廉価であることである。ビデオカメラはまた、大きいドリルテンプレート23及びワークピース8に対する工程を可能にするために、広い視野を有するように構成され得る点においても適合可能である。これはまた、移動可能であり、容易に設定され、容易に初期化され得る、ロボットドリルシステム1も可能にする。これは、構成要素の精密な位置合わせ及び較正を必要とする高価なレーザースキャナに依存するシステムとは対照的であり得る。
【0052】
コントローラ(30)
コントローラ30は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータ可読プログラムコードを実行するための1以上のプロセッサを含んでよい。コントローラは、コンピュータ、コンピュータシステム、又はネットワーク上の分散型コンピュータシステムを含んでよい。他の実施例では、コントローラ30が、縮小命令セットコンピュータを含むマイクロプロセッサを含み得る。
【0053】
コントローラ30は、方法100を実行し、ロボットドリルシステム1を制御するために、プログラム指示命令コードを実行するように構成されている。これは、センサ19、53からセンサ信号を受信すること、並びに、ロボットアクチュエータ17、自己中心化デバイス41、及びエンドエフェクタ9に、制御信号を送信することを含み得る。コントローラ30はまた、ロボットドリルシステム1用の制御信号及び挿入軌道を計算するために使用されてもよい。この一実施例では、プログラムコードの実行が、コンピュータシステムに、図6で示されている方法200を実行させる。
【0054】
ドリルテンプレート23及びワークピース8
ドリルテンプレート23は、安定な剛性材料で構築されてよい。これは、(1以上の)孔21の位置のばらつきを最小化するために、動作温度範囲内で最小の熱膨張又は収縮を有するように選択された材料を含み得る。幾つかの実施例では、ドリルテンプレート23が、金属合金で構築されてよい。幾つかの実施例では、ドリルテンプレート23が、鉄合金、又は半鉄合金(半鉄アルミニウム合金など)で構築される。
【0055】
ワークピース8は、穿孔を必要とする様々な固体材料を含んでよい。これは、複合材料(例えば、繊維強化プラスチック)、金属合金、木材などを含み得る。幾つかの実施例では、ワークピース8が、航空機の構成要素であってよい。
【0056】
ロボット穿孔中に、ドリルテンプレート23は、一貫したやり方でワークピース8に好適に位置付けられている。これは、ワークピース8に対してドリルテンプレート23を取り付けることを含んでよい。幾つかの実施例では、これが、治具を用いて、ドリルテンプレート23をワークピース8に固定すること、ドリルテンプレート23をワークピース8に締結すること、又は他の方法でドリルテンプレート23をワークピース8に位置付けることを含み得る。
【0057】
ロボット穿孔の方法100
次に、ロボット穿孔の方法100の特定の一実施例が、図3から図6を参照しながら説明されることになる。その一実施例は、図2(a)から図2(f)で示されている対応するシーケンスを参照しながら説明されることになる。
【0058】
該方法は、コントローラ30が、初期挿入軌道37に沿ってドリルテンプレート23の孔21に向けてツールヘッド5を挿入するためのロボットアクチュエータ17に対する初期制御信号を計算すること(210)を含む。これは、孔21に対するツールヘッド5の位置及び/又は配向のフィードバック信号35を、制限された精度のセンサから受信すること、及び、孔21の中にツールヘッド5を配置するために初期挿入軌道37を計算することを含み得る。
【0059】
次いで、初期制御信号が、ロボットアクチュエータ17に送信される(220)。それによって、ロボットマニピュレータアーム15が、初期挿入軌道37に沿って孔21の中にツールヘッド5を挿入すること(110)ができる。ツールヘッド5を挿入するときに、拡張可能なコレット7は、典型的には、後退した構成11にある。
【0060】
初期挿入軌道37に沿ってツールヘッド5が挿入されたときに、ツールヘッド5を、孔21に不精密に位置合わせることをもたらすわずかな誤差が存在してよい。これらの誤差は、センサ内の誤差、較正問題、計算における誤差などによってもたらされ得る。結果として、ツールヘッド5は、孔21に入ってよく(導入溝によって補助される)、次いで、孔21の壁22に拘束されてよい。これは、図2(a)で最も良く示されている。図2(a)では、ツールヘッドが、孔軸51から外れた軸を有する初期挿入軌道37に沿って挿入されている。結果として、後退した構成11にある拡張可能なコレット7が、壁22の部分に接触し、それに拘束される。
【0061】
センサ19は、壁22に対するツールヘッド5の拘束を検知し(120)、それに応じて、この状態を表すセンサ信号をコントローラ30に送信する。次いで、コントローラ30は、これらのセンサ信号を受信する(230)と、壁22に対するツールヘッドの拘束を判定する(240)。それに応じて、コントローラは、ツールヘッド5のロボット挿入を停止させる(122)ための制御信号を送信し(250)、修正された位置合わせ43へとツールヘッド5を再配向及び再配置するために、自己中心化デバイス41を起動する(130)ように、起動制御信号を送信する(250)。
【0062】
修正された位置合わせ43への再配置動作を容易にするために、ロボットドリルシステム1は、自己中心化デバイス41の起動(130)によって生成された力が、ツールヘッド3を移動させることを可能にするように、従順な自由駆動モードに切り替えられ(124)てよい。図2(c)の一実施例では、自己中心化デバイスを起動することが、孔21の壁22に向けてツールヘッド5の拡張可能なコレット7を拡張することを含む。精密な修正された位置合わせを提供するために、これは、拡張可能なコレット7と壁22との間の力の閾値が到達されるまで、拡張可能なコレット7を拡張することを含み得る。これは、コレットセンサ53のコレットセンサ出力に基づいて判定され得る。
【0063】
修正された位置合わせ43は、ツールヘッド5を配置することを含んでよい。それによって、ツールヘッド軸49は、孔軸51と同軸になる。この動きは、図2(b)から図2(c)への移行において最も良く示されている。その場合、拡張可能なコレット7(自己中心化デバイス41としての)は、拡張した構成に拡張する。それによって、拡張可能なコレット7の円筒形状の外面が、孔21の壁22と実質的に重なる。図2(c)では、ツールヘッド5が、修正された位置合わせ43で示されている。その場合、ツールヘッド軸49は、孔軸51と同軸である。
【0064】
1以上の自己中心化デバイスセンサ(コレットセンサ53など)は、ツールヘッド5が修正された位置合わせ43にあることを検出してよく、対応する自己中心化デバイスセンサの出力信号をコントローラ30に送信してよい。修正された位置合わせを表すセンサ信号を受信する(245)と、コントローラ30は、自己中心化デバイス41を起動解除するために、起動解除制御信号を送信する(246)。
【0065】
ツールヘッド5において、自己中心化デバイス41が起動解除される(134)。図2(d)で示されているように、これは、拡張可能なコレット7を後退した構成11に構成することを含み得る。
【0066】
次のステップは、ツールヘッド5を孔21の中に更に挿入することである。これを実現するために、コントローラ30は、ロボットマニピュレータアーム15を駆動モードに戻すように構成する(132)。それによって、ロボットアクチュエータ17の選択的な起動が、ツールヘッド5の更なる挿入をもたらし得る。
【0067】
コントローラ30はまた、修正された位置合わせ43に基づいて、更新された挿入軌道45を計算する(260)ようにも構成されている。図4及び図6で示されているように、これは、孔軸51と同軸である現在のツールヘッド軸49に沿って、ツールヘッド5を進めるために、必要とされる制御信号を計算すること(136)を含んでよい。修正された位置合わせを計算するために、コントローラ30は、修正された位置合わせにあるツールヘッド5の位置及び/又は位置合わせを表す位置センサ出力を、1以上のツールヘッド位置センサから受信して(262)よい。次いで、コントローラ30は、この必要とされる位置センサ出力に少なくとも部分的に基づいて、更新された挿入軌道を計算してよい。幾つかの実施例では、この更新された位置センサ出力を使用して、ロボットドリルシステム1を再較正することができる。
【0068】
コントローラ30は、ロボットマニピュレータアーム15を駆動するために、ロボットアクチュエータ17を選択的に起動させる(142)ように、更新された制御信号を送信する(270)。それによって、ツールヘッド5は、更新された挿入軌道45に沿って孔21の中に挿入され(140)る。これは、図2(e)で最も良く示されている。この図では、ツールヘッド5が、拡張可能なコレット7が後退した状態で、孔21の中に挿入される。
【0069】
1以上のツールヘッドセンサ55は、更新された挿入軌道45に沿った更なる前進中に、ツールヘッド5の位置又は更なる移動を検出する。ツールヘッドセンサ55(上述の誘導センサ又は光センサなど)は、孔21内の指定された位置にツールヘッド5が挿入され(144)たことを表すツールヘッド信号を送信する。幾つかの実施例では、図5で示されているように、これが、ツールヘッド5が孔21内の指定された深さに到達したことを含む。コントローラ30は、ツールヘッド5が指定された位置47にあることを表すツールヘッドセンサ信号を受信したこと(275)に応じて、更なる挿入が停止されるように、ロボットアクチュエータ17の更なる起動を停止する(146)ための制御信号を送信する。コントローラ30はまた、孔21に対して指定された位置にツールヘッド5を固定するために、ツールヘッドの自己中心化デバイス41を起動する(148)ための起動制御信号も送信する(276)。
【0070】
幾つかの実施例では、拡張可能なコレット7を拡張することが、ツールヘッド5を、ドリルテンプレート23の孔21の更に中へ移動させるように引き込み得る。他の実施例では、拡張可能なコレット7を拡張することが、ツールヘッド5を、ドリルテンプレート23の孔21からわずかに離れるように引き戻すことをもたらし得る。指定された位置は、エンドエフェクタ9が、起動中に孔21内の所望の相対位置に位置付けられるように、そのような移動を補償するようオフセットされ得る。
【0071】
ツールヘッド5が指定された位置に固定されたことに応じて、コントローラ30は、ツールヘッド5のエンドエフェクタ9を起動する(150)ためのエンドエフェクタ制御信号を更に送信する(280)。
【0072】
これは、図2(f)で最も良く示されている。この図では、ツールヘッド5を孔21の壁22に固定するために、拡張可能なコレット7が拡張した構成13にあり、エンドエフェクタ9が、ワークピース8内に孔を穿つために起動される。これは、エンドエフェクタ9が、孔21に固定された拡張可能なコレット7に対して、ツールヘッド軸49を通って更に前方に進むことを含み得る。
【0073】
孔内でエンドエフェクタ9の工程が実行されると、ロボットドリルシステム1は、孔21からツールヘッド5を引き戻し、ワークピース8に対して次の工程を実行するために、ドリルテンプレートの別の孔の中への挿入に進み得る。
【0074】
複数の条項
本開示は、以下の条項による例示的な実施形態を含む。
条項1.
拡張可能なコレット(7)及びエンドエフェクタ(9)を備えたツールヘッド(5)であって、前記拡張可能なコレット(7)は、ドリルテンプレート(23)の孔(21)の中への挿入のための後退した構成(11)と拡張した構成(13)との間で拡張するように構成されている、ツールヘッド(5)と、
前記ツールヘッド(5)を支持するためのロボットマニピュレータアーム(15)と、
前記ドリルテンプレート(23)の前記孔(21)に向けられた前記ツールヘッド(5)のロボット挿入をもたらすように、前記ロボットマニピュレータアーム(15)を移動させるための少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)と、
前記ドリルテンプレート(23)の前記孔(21)内の前記拡張可能なコレット(7)の拘束を検出するための少なくとも1つのセンサ(19)とを備え、
前記孔(21)内の前記拡張可能なコレット(7)の拘束を検出したことに応じて、前記ツールヘッド(5)のロボット挿入が停止され、前記拡張可能なコレット(7)は、前記エンドエフェクタ(9)を前記孔(21)内の中心に置くために、前記拡張した構成(13)へ拡張するように構成され、
前記後退した構成(11)にある前記拡張可能なコレット(7)の後退した直径(27)は、テンプレート孔の前記孔(21)の直径の少なくとも95%であるが、100%未満である、ロボットドリルシステム(1)。
条項2.
前記孔(21)内の前記拡張可能なコレット(7)の拘束を検出したことに応じて、ロボット挿入が停止され、前記ロボットマニピュレータアーム(15)及び前記少なくとも1つのアクチュエータ(17)は、前記ツールヘッド(5)の前記拡張可能なコレット(7)を拡張させること(130)によって生成される力によって、前記ロボットマニピュレータアームが、前記孔に対する修正された位置合わせへと自由に再配置可能である従順な自由駆動モードに切り替えられる、条項1に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項3.
初期挿入軌道(37)に沿って前記孔(21)に向けられた前記ツールヘッド(5)の挿入をガイドするように、制限された精度のセンサフィードバック信号(35)を提供するための、制限された精度のセンサ(33)を更に備える、条項1又は2に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項4.
前記制限された精度のセンサ(33)は、ビデオカメラ又は深度カメラシステムである、条項3に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項5.
前記後退した直径(27)は、
前記テンプレート孔の直径の95%から97%、
前記テンプレート孔の直径の97%から99%、又は
前記テンプレート孔の直径の少なくとも99%であるが、100%未満、のうちの少なくとも1つの範囲にある、条項1から4のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項6.
前記ツールヘッド(5)は、前記孔(21)の中への前記ツールヘッド(5)の挿入を補助するための導入溝(29)を含み、前記導入溝(29)は、前記後退した直径(27)未満且つ前記テンプレート孔の直径の少なくとも75%である導入直径(34)を有する導入縁部(31)を含む、条項1から5のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項7.
拘束を検出するための前記少なくとも1つのセンサ(19)は、
前記少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)における電流、電圧、及び/又は熱の変化を検出するためのセンサ、
前記ツールヘッド(5)、前記コレット(7)、前記ロボットアクチュエータ(17)、又は前記ドリルテンプレート(23)のうちの1以上における少なくとも1つの力を検出するための力センサ、
前記コレット(7)又は前記ツールヘッド(5)の加速度の変化を検出するための加速度計、並びに
前記コレット(7)又は前記ツールヘッド(5)と前記ドリルテンプレート(23)との間の電気的導通又はキャパシタンスの変化を検出するためのセンサ、のうちの1以上を含む、条項1から6のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項8.
前記拡張可能なコレット(7)と前記孔(21)の壁(22)との間の力を表すコレットセンサ出力を出力するためのコレットセンサ(53)を更に備え、
前記拡張可能なコレット(7)を前記拡張した構成(13)に構成することは、前記コレットセンサ出力が閾値に到達するか又はそれを超えるまで、前記拡張可能なコレット(7)の直径を拡張することを含む、条項1から7のいずれか一項に記載のロボットドリルシステム(1)。
条項9.
ロボットドリルシステム(1)を用いて穿孔する方法であって、
ツールヘッド(5)のロボット挿入をもたらすために、少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)によって移動されるロボットマニピュレータアーム(15)を用いて、初期挿入軌道(37)に沿ってドリルテンプレート(23)の孔(21)内にロボットドリル(3)の前記ツールヘッド(5)を挿入すること(110)、
前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッドの拘束を検知すること(120)、
前記初期挿入軌道(37)に沿って前記ツールヘッド(5)を挿入している間、前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束に応じて、前記ツールヘッド(5)のロボット挿入を停止し(122)、前記ツールヘッド(5)を前記孔(21)に対するツールヘッド軸(49)の修正された位置合わせ(43)へと再配向するために、前記ツールヘッド(5)の自己中心化デバイス(41)を起動すること(130)、
更新された挿入軌道(45)に沿って前記孔(21)の中に前記ツールヘッドを挿入すること(140)であって、前記更新された挿入軌道は、前記修正された位置合わせ(43)に基づく、前記ツールヘッドを挿入すること(140)、及び
前記ツールヘッド(5)のエンドエフェクタ(9)を起動すること(150)を含む、方法。
条項10.
前記壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束に応じて、前記方法は更に、
前記初期挿入軌道(37)に沿って前記孔(21)に向けられた前記ツールヘッド(5)のロボット挿入を停止すること(122)と、
前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(130)によって生成される力によって、前記ツールヘッド(5)が、前記孔(21)に対する前記ツールヘッド軸(49)の前記修正された位置合わせ(43)へと再配置移動することを容易にするための従順な自由駆動モードに、前記ロボットマニピュレータアームを切り替えること(124)とを含み、
前記ツールヘッド(5)を、前記孔(21)に対する前記修正された位置合わせへと再配置するために、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動することに続いて、前記方法は更に、
少なくとも1つのロボットアクチュエータ(17)の選択的な起動が、前記ツールヘッド(5)のロボット挿入をもたらすために前記ロボットマニピュレータアーム(15)を移動させるように、前記ロボットマニピュレータアーム(15)を駆動モードに構成すること(132)、及び
前記ツールヘッドの前記自己中心化デバイスを起動解除すること(134)を含む、条項9に記載の穿孔する方法。
条項11.
前記ツールヘッド(5)を、前記孔(21)に対する前記修正された位置合わせへと再配置するために、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイスを起動すること(130)に続いて、前記方法は更に、
前記更新された挿入軌道(45)に沿って前記ツールヘッド(5)を挿入するための更新された制御信号を計算すること(136)を含み、
前記更新された挿入軌道に沿って前記孔の中に前記ツールヘッドを挿入すること(140)は、
前記更新された制御信号に従って、前記ロボットアクチュエータ(17)を選択的に起動すること(142)を含む、条項10に記載方法。
条項12.
前記更新された挿入軌道(45)に沿って前記孔(21)の中に前記ツールヘッド(5)を挿入することは、
前記ツールヘッド(5)を指定された位置(47)に挿入すること(144)を更に含み、
前記ツールヘッドが前記指定された位置(47)に配置されていることに応じて、前記方法は更に、
前記ロボットアクチュエータ(17)の選択的な起動を停止すること(146)、及び
前記ツールヘッド(5)の前記エンドエフェクタ(9)を起動するときに、前記ツールヘッド(5)を前記指定された位置(47)に固定するために、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動すること(148)を含む、条項11に記載の穿孔する方法。
条項13.
前記孔(21)に対する前記ツールヘッド(5)の前記修正された位置合わせ(43)は、前記ツールヘッド(5)のツールヘッド軸(49)が、前記孔(21)の孔軸(51)と同軸になるようにすることを含む、条項9から12のいずれか一項に記載の穿孔する方法。
条項14.
前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束を検知すること(120)は、
前記ロボットドリル(3)の前記自己中心化デバイス(41)、前記ツールヘッド(5)、前記ロボットアクチュエータ(17)、又は前記ドリルテンプレート(23)のうちの1以上における力を検出することと、
前記自己中心化デバイス(41)又は前記ツールヘッド(5)と前記ドリルテンプレートとの間の電気的導通又はキャパシタンスの変化を検出することと、
前記自己中心化デバイス(41)又は前記ツールヘッド(5)の加速度の変化を検出することと、
前記ロボットドリル(3)のアクチュエータ又は他の構成要素における電流、電圧、熱の変化を検出することと、のうちの1以上を含む、条項9から13のいずれか一項に記載の方法。
条項15.
前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイスを起動すること(130、148)は、前記孔(21)の壁(22)に向けて前記ツールヘッド(5)のコレット(7)を拡張することを含む、条項9から14のいずれか一項に記載の方法。
条項16.
前記自己中心化デバイスを起動すること(130、148)は、前記ツールヘッド(5)のコレット(7)と前記壁(22)との間の力の閾値が到達されるか又はそれを超えるまで、前記コレット(7)を拡張することを含む、条項15に記載の方法。
条項17.
コンピュータ可読プログラムコードを記憶した非一過性のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムコードは、プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、少なくとも、
初期挿入軌道に沿ってドリルテンプレートの孔に向けてロボットドリルのツールヘッドを挿入するためのロボットアクチュエータ(17)に対する初期制御信号を計算すること(210)、
前記初期挿入軌道に沿って前記孔に向けて前記ツールヘッドを挿入するために、ロボットアクチュエータに制御信号を送信すること(220)、
前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッド(5)の拘束を表すセンサ信号を受信すること(230)、
前記センサ信号に基づいて、前記孔(21)の壁(22)に対する前記ツールヘッドの拘束を判定し(240)、それに応じて、前記孔に対する修正された位置合わせへと前記ツールヘッドを再配置するために、前記ツールヘッド(5)の自己中心化デバイス(41)を起動するよう起動制御信号を送信すること(250)、
前記ツールヘッド(5)の前記修正された位置合わせに基づいて、更新された挿入軌道を計算すること(260)、
前記更新された軌道に沿って前記孔に向けて前記ツールヘッドを挿入するために、ロボットアクチュエータに更新された制御信号を送信すること(270)、及び
前記ツールヘッドのエンドエフェクタを起動するために、エンドエフェクタ制御信号を送信すること(280)、を実行させる、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
条項18.
プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、更に、
1以上の位置センサから、前記修正された位置合わせにある前記ツールヘッドの位置及び/又は位置合わせを表す位置センサ信号を受信すること(262)を実行させ、
更新された挿入軌道を計算すること(260)は、前記システムが、前記修正された位置合わせにある前記ツールヘッドの前記位置センサ信号に基づいて、更新された挿入軌道を計算することを含む、請求項17に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
条項19.
前記修正された位置合わせにおいて、ツールヘッド軸(49)は、前記孔の孔軸(51)と同軸であり、
更新された挿入軌道(260)を計算すること(260)は、前記システムが、前記中心に置かれたツールヘッド(5)の前記ツールヘッド軸(49)に沿って更新された挿入軌道を計算することを含む、条項18に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
条項20.
ロボットアクチュエータ(17)に対する初期制御信号を計算すること(210)は、前記コンピュータシステムが、
制限された精度のセンサ(33)から、前記ドリルテンプレート(23)の前記孔(21)に対する前記ツールヘッド(5)の位置又は配向についての、制限された精度のセンサフィードバック信号(35)を受信することを含み、
前記初期制御信号は、前記制限された精度のセンサフィードバック信号(35)に少なくとも部分的に基づく、条項17から19のいずれか一項に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
条項21.
前記プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、更に、
自己中心化デバイスセンサ(53)から、前記ツールヘッド(5)が前記孔(21)に対する前記修正された位置合わせ(43)にあることを表す自己中心化デバイスセンサ出力を受け取ること(245)、及び
前記ツールヘッド(5)が前記修正された位置合わせ(43)にあることを表す前記自己中心化デバイスセンサ出力を受信したことに応じて、前記ツールヘッド(5)の前記自己中心化デバイス(41)を起動解除するための起動解除制御信号を送信すること(246)、を実行させる、条項17から20のいずれか一項に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
条項22.
前記プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、更に、
ツールヘッドセンサ(55)から、前記ツールヘッド(5)が前記孔(21)内の指定された位置(47)にあることを表すツールヘッドセンサ信号を受信すること(275)と、
前記ツールヘッドが前記指定された位置に配置されていることに応じて、前記孔(21)に対する前記指定された位置に前記ツールヘッドを固定するために、前記ツールヘッドの前記自己中心化デバイス(41)を起動するための起動制御信号を送信すること(276)と、を実行させ、
前記ツールヘッドが前記孔に対する前記指定された位置に固定されていることに応じて、前記コンピュータシステムに、前記ツールヘッドの前記エンドエフェクタを起動するための前記エンドエフェクタ制御信号を送信すること(280)を実行させる、条項17から21のいずれか一項に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【0075】
上述の開示は、個別の有用性を備えた複数の個々の実施例を包括し得る。これらの各々の開示は、好ましい形態(複数可)で開示されているが、本明細書で開示且つ例示されたそれらの特定の実施形態は、数多くの変形例が可能であることから、限定的な意味で捉えるべきではない。本開示内で使用されている限り、項の見出しは構成上の目的のものに過ぎない。本開示の主題は、本明細書に記載の様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、新規的且つ非自明の組み合わせ及び部分的組み合わせの全てを含む。下記の特許請求の範囲は、新規かつ非自明と見なされる、ある組み合わせ及び部分的組み合わせを特に指し示すものである。特徴、機能、要素、及び/又は特性のその他の組み合わせ及び部分的な組み合わせは、この出願又は関連出願からの優先権を主張する出願において特許請求され得る。更に、そのような特許請求の範囲は、出願当初の特許請求の範囲より広いか、狭いか、等しいか、又はそれと異なるかにかかわらず、本開示の主題の範囲内に含まれるとみなされる。
【0076】
当業者は、本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上述された実施形態に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることを理解されたい。したがって、本実施形態は、あらゆる点において、例示的であり且つ限定的でないと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】