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特開2022-164617粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置
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  • 特開-粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D  HUD用ディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164617
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20221020BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221020BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20221020BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
C09J7/38
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066832
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049247
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ちゃん▼秀
(72)【発明者】
【氏名】崔 倫善
(72)【発明者】
【氏名】李 振鎬
【テーマコード(参考)】
2H149
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA17
2H149AB03
2H149AB18
2H149BA02
2H149CA02
2H149EA12
2H149FA42Z
2H149FA66
2H149FC10
2H149FD09
2H149FD12
2H149FD25
2H149FD31
2H149FD33
2H149FD35
2H149FD47
4J004AA10
4J004AB04
4J004AB07
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004FA08
4J040FA081
4J040FA292
4J040JB02
4J040JB08
4J040KA13
4J040KA16
4J040KA29
4J040LA10
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB05
4J040NA18
(57)【要約】
【課題】本発明は、粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置に関する。
【解決手段】本発明の様々な実施形態に係る粘着剤組成物は、アクリル酸エステル系モノマー、アクリル酸、開始剤、及び硬化剤を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸エステル系モノマーと、
アクリル酸系モノマーと、
開始剤と、
硬化剤と、
を含む、粘着剤組成物。
【請求項2】
アクリル酸エステル系モノマーは、炭素数が2~14個であるアルキル基を含むアルキルアクリル酸エステルモノマー、又は、水酸化アクリル酸エステルモノマー、
を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
アルキルアクリル酸エステルモノマーは、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記アルキルアクリル酸エステルモノマーは、粘着剤組成物に50重量%以上で含まれる、請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
水酸化アクリル酸エステルモノマーは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシプロピレン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記水酸化アクリル酸エステルモノマーは、粘着剤組成物に5重量%~30重量%で含まれる、請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
アクリル酸エステル系モノマーは、環型の脂肪族モノマーとしてイソボニル(メタ)アクリレートをさらに含み、
前記環型の脂肪族モノマーは、粘着剤組成物に10重量%以下で含まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
アクリル酸系モノマーは、(メタ)アクリル酸を含み、
前記アクリル酸系モノマーは、粘着剤組成物に10重量%~40重量%で含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
開始剤は、
ベンゾイン系化合物、ヒドロキシケトン系化合物、アミノケトン系化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して、0.01重量部~3重量部として含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
硬化剤は、多官能フェノール類化合物、アミン類化合物、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物及びハロゲン化物、多官能アクリル系化合物、ウレタン系化合物、イソシアネート系化合物、アルコール系化合物、ポリアミド、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して、0.01重量部~5重量部として含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
波長550nmの光に対する透過度が92%以上であり、ヘイズ(haze)が2%未満である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の粘着剤組成物を熱硬化又は光硬化して製造した粘着層であって、
前記粘着層は、基材上に形成可能である、
粘着層。
【請求項11】
粘着層は、
5μm~100μmの厚さであり、
前記粘着剤組成物をロールツーロールコーティング(roll-to-roll coating)、ディップコーティング(dip coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)又はスプレーコーティング(spray coating)で前記基材上に塗布して形成される、請求項10に記載の粘着層。
【請求項12】
粘着層のせん断弾性率G’は、85℃において3kPa~30kPaであり、25℃において10kPa~100kPaである、請求項10に記載の粘着層。
【請求項13】
粘着層のASTM D903による剥離強度は、1、000gf/inch以上である、請求項10に記載の粘着層。
【請求項14】
ガラスを含む透明基板と、
前記透明基板上に形成される偏光フィルム層と、
前記偏光フィルム層上に形成されるレンチキュラーレンズと、
を含み、
前記レンチキュラーレンズは、
粘着層、前記粘着層上に形成されるベース基板、及び前記ベース基板上に形成されるパターン層を含み、
前記粘着層は、請求項10に記載の粘着層である、3D HUD用ディスプレイ装置。
【請求項15】
粘着層は、95℃において200時間放置した後のベース基板の垂直方向に対する収縮率が0.03%以下であり、前記ベース基板のマシーン方向に対する収縮率が0.2%以下である、請求項14に記載の3D HUD用ディスプレイ装置。
【請求項16】
移動手段に装着されて3D HUDを実現する、請求項14に記載の3D HUD用ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像を認知するための要因のうち最も主要な要因は、ユーザの両眼に見える映像の差である。ユーザの両眼に互いに異なる映像を見せる方法として、偏光を用いた分割、時分割、原色の波長を相違にした波長分割などを、所望する映像をフィルタリングするメガネ方式と、パララックスバリア(parallax barrier)、レンチキュラーレンズ(lenticular lens)、又は、方向性バックライトユニット(directional BLU)など、3D変換装置を用いて各映像を特定の空間のみで見られるようにした裸眼方式が挙げられる。裸眼方式の場合、メガネ着用の不便が軽減されるという長所がある。このような3D映像は、鏡及びレンズなどの光学系を介して提供されてもよい。この場合、光学系により光の方向が変更されることから、3D映像レンダリング時において光の方向変化を考慮する必要がある。
【0003】
HUD(head up display)システムは、運転者の前方に虚像(virtual image)を生成し、虚像内に情報を表示して運転者に様々な情報を提供することができる。運転者へ提供される情報は、車両速度、ガソリンの残量、エンジンRPM(revolution per minute)などの計器盤情報及びナビゲーション情報を含む。運転者は、運転中に視線を移さずに前方に表示されている情報を容易に把握できるため、運転の安定性が高まる。HUDシステムは、計器盤情報及びナビゲーション情報以外にも、前方の視野が良くない場合を補助する車線表示、工事表示、交通事故表示、通行人を示す警告表示などを運転者に拡張現実(AR:Augmented Reality)方式に提供することができる。
【0004】
但し、HUDを用いて3Dを実現するためには、モアレパターン(Moire pattern)とクロストーク(crosstalk)を抑制するための精密なアイトラッキング技術とフォーカシングが求められ、高輝度のLCDバックライトユニット及びレンズの寸法安定性(dimensional stability)が確保される必要がある。
【0005】
上記の背景技術は、発明者が本明細書の開示内容を導き出す過程で保持したり習得したものであり、全てが本出願前に一般公衆に公開された公知技術ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、3D HUDに利用可能な粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置を提供する。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、上記で言及されていない更なる課題は、以下の記載によって当技術分野の通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、様々な実施形態に関する粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置に関する。
【0009】
本発明の様々な実施形態に関する粘着剤組成物としては、アクリル酸エステル系モノマー、アクリル酸、開始剤、及び硬化剤があげられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、3D HUDに利用可能な粘着剤組成物、粘着層及びこれを含む3D HUD用ディスプレイ装置を提供することができる。
【0011】
本発明の様々な実施形態に係る粘着剤組成物を用いて製造した粘着層は、高温、低温、多湿、直射光線などの外部環境の条件で透明度を保持し、剥離強度に優れ、視認性に優れる。
【0012】
本発明の様々な実施形態によると、粘着層は、高温におけるせん断の弾性率が低いため、応力の伝達を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズの斜視図である。
図2】様々な実施形態に係る3D HUD用ディスプレイ装置の斜視図である。
図3】様々な実施形態に係る3D HUD用ディスプレイ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して実施形態について詳説する。しかし、本明細書で開示する特定の構造的又は機能的な説明は単に実施形態を説明するための目的として例示したものであり、実施形態は様々な異なる形態で実施され、本発明は本明細書で説明した実施形態に限定されるものではない。実施形態に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれているものと理解されなければならない。
【0015】
実施形態で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なる意味で用いられているのでない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0016】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味である。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0017】
また、添付図面を参照して説明する場合、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0018】
また、実施形態の構成要素の説明において、第1,第2,A,B,(a),(b)などの用語を使用することがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語によって該当の構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。
【0019】
いずれか一つの実施形態に含まれている構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施形態で同じ名称を用いて説明する。反対となる記載がない以上、いずれか一つの実施形態に記載した説明は、他の実施形態にも適用され、重複する範囲において具体的な説明は省略する。
【0020】
様々な実施形態によると、3Dディスプレイを実現する方法として、裸眼式システムとメガネ式システムを用いてもよい。3Dを実現するために、特別に考案されているメガネの必要ない裸眼式システムの一例示として、レンチキュラーレンズを使用する方式がある。
【0021】
様々な実施形態によると、レンチキュラーレンズは、一面上の複数の凸状の形態を有するレンチキュール(lenticule)が形成されるレンズの総称であって、立体的な3D情報を表現するためにレンチキュラーレンズを3D表示装置に導入することができる。
【0022】
様々な実施形態によると、移動手段にレンチキュラーレンズを導入することができ、レンチキュラーレンズは、特に、3D HUDをユーザに提供できる長所がある。移動手段は、移動方向にフロントガラス(wind shield)があり、ここでHUDが表示されることができ、特に、3D HUDを表現するためには、ユーザの左眼と右眼に視覚情報の差が存在する映像を提供しなければならない。
【0023】
様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズは、粘着層、前記粘着層上に形成されるベース基板、及び前記ベース基板上に形成されるパターン層を含む。
【0024】
図1は、様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズの斜視図である。
【0025】
図1を参照すると、レンチキュラーレンズ1は、粘着層101、ベース基板102、及びパターン層103を含む。
【0026】
様々な実施形態によると、粘着層101は、粘着剤組成物を熱硬化又は光硬化して製造され得る。
【0027】
様々な実施形態によると、粘着層101は、ベース基板102上に粘着剤組成物を塗布して形成され得る。
【0028】
様々な移動手段、一例示として自動車の場合、車両内の温度が急激に変わろ(温度可変範囲:-40℃~90℃)、直射光線に容易に露出され、雪や雨などの気象環境に応じて様々な湿度状況に置かれる。
【0029】
様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズは、移動手段に装着されるために、前記言及した野外露出による高温、高湿、太陽光などに対する耐性が強く、これによって移動手段に適切なレンチキュラーレンズを提供することができる。
【0030】
様々な実施形態によると、粘着剤組成物は、アクリル酸エステル系モノマー、開始剤、及び硬化剤を含んでもよい。
【0031】
様々な実施形態に係る粘着剤組成物は、粘着層として形成されているとき、外部環境による収縮を最小化し、特に、レンチキュラーレンズに付着可能な基材(例えば、偏光フィルム層)の膨張、収縮による応力をレンチキュラーレンズに伝達しないという長所がある。
【0032】
様々な実施形態によると、前記アクリル酸エステル系モノマーは、炭素の数が2~14個であるアルキル基を含んでいるアルキルアクリル酸エステルモノマーを含むことができる。
【0033】
様々な実施形態によると、アルキルアクリル酸エステルモノマーは、エチル(メタ)アクリレート(ethyl(meth)acrylate)、n-プロピル(メタ)アクリレート(n-propyl(meth)acrylate)、イソプロピル(メタ)アクリレート(isopropyl(meth)acrylate)、n-ブチル(メタ)アクリレート(n-butyl(meth)acrylate)、t-ブチル(メタ)アクリレート(t-butyl(meth)acrylate)、sec-ブチル(メタ)アクリレート(sec-butyl(meth)acrylate)、ペンチル(メタ)アクリレート(pentyl(meth)acrylate)、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート(2-ethylhexyl(meth)acrylate)、n-オクチル(メタ)アクリレート(n-octyl(meth)acrylate)、イソオクチル(メタ)アクリレート(isooctyl(meth)acrylate)、イソノニル(メタ)アクリレート(isononyl(meth)acrylate)、ラウリル(メタ)アクリレート(lauryl(meth)acrylate)及びテトラデシル(メタ)アクリレート(tetradecyl(meth)acrylate)からなる群より選択される少なくとも1つを含み、前記アルキルアクリル酸エステルモノマーは、前記粘着剤組成物に50重量%以上で含まれていてもよい。
【0034】
様々な実施形態によると、アルキルアクリル酸エステルモノマーは、好ましくは、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0035】
様々な実施形態によると、アルキルアクリル酸エステルモノマーは、炭素数が2~14個であるアルキル基を含むが、アルキル基の炭素数が15個以上である場合、粘着剤組成物のガラス転移温度(Tg)が高くなり、粘着性が低下し得る。
【0036】
様々な実施形態によると、アルキルアクリル酸エステルモノマーは、粘着剤組成物に50重量%以上で含まれていてもよい。
【0037】
様々な実施形態によると、アルキルアクリル酸エステルモノマーは、好ましくは、粘着剤組成物に50重量%~70重量%で含まれていてもよい。
【0038】
様々な実施形態によると、粘着剤組成物のうち、アルキルアクリル酸エステルモノマーが50重量%未満である場合、粘着剤組成物の強度が高まる。
【0039】
様々な実施形態によると、前記アクリル酸エステル系モノマーは、水酸化アクリル酸エステルモノマーを含むことができる。
【0040】
様々な実施形態によると、前記水酸化アクリル酸エステルモノマーは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2-hydroxyethyl(meth)acrylate)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(2-hydroxypropyl(meth)acrylate)、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(4-hydroxybutyl(meth)acrylate)、2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート(2-hydroxy propylene glycol(meth)acrylate)及び2-ヒドロキシプロピレン(メタ)アクリレート(2-hydroxy propylene(meth)acrylate)からなる群より選択される少なくとも1つを含み、前記水酸化アクリル酸エステルモノマーは、前記粘着剤組成物に5重量%~30重量%で含まれていてもよい。
【0041】
様々な実施形態によると、水酸化アクリル酸エステルモノマーは、アクリル酸エステルモノマーに水酸基(-OH)が結合されているものを意味する。
【0042】
様々な実施形態によると、水酸化アクリル酸エステルモノマーは、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0043】
様々な実施形態によると、水酸化アクリル酸エステルモノマーは、粘着剤組成物に5重量%~30重量%で含まれていてもよい。
【0044】
様々な実施形態によると、水酸化アクリル酸エステルモノマーが5重量%未満である場合、剥離強度が低くなり、裁断特性(例えば、カッティング(cutting)又はパンチング(punching))が低下し、30重量%を超過する場合、粘着剤組成物が固くなり、付着力が低下し、粘度が高くなって加工性が低下する恐れがある。
【0045】
様々な実施形態によると、前記アクリル酸エステル系モノマーは、環型の脂肪族モノマーとしてイソボニル(メタ)アクリレート(isobornyl(meth)acrylate)をさらに含み、前記環型の脂肪族モノマーは、前記粘着剤組成物に10重量%以下で含まれていてもよい。
【0046】
様々な実施形態によると、環型の脂肪族モノマーは、好ましくは、イソボニルアクリレートであってもよい。
【0047】
様々な実施形態によると、環型の脂肪族モノマーは、粘着剤組成物に10重量%以下で含まれていてもよい。
【0048】
様々な実施形態によると、環型の脂肪族モノマーが粘着剤組成物に10重量%を超過する場合、製品が固くなって基板との付着力が低下してしまう。
【0049】
様々な実施形態によると、前記アクリル酸系モノマーは、(メタ)アクリル酸((meth)acrylic acid)を含み、前記アクリル酸系モノマーは、前記粘着剤組成物のうち、10重量%~40重量%で含まれていてもよい。
【0050】
様々な実施形態によると、アクリル酸系モノマーは、好ましくは、アクリル酸であってもよい。
【0051】
様々な実施形態によると、アクリル酸系モノマーは、粘着剤組成物に10重量%~40重量%で含まれていてもよく、前記寸法範囲を超過する場合、製品の基板との剥離強度が低下することがある。
【0052】
様々な実施形態によると、前記開始剤は、ベンゾイン系化合物、ヒドロキシケトン系化合物、アミノケトン系化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含み、前記アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して0.01重量部~3重量部として含まれてもよい。
【0053】
様々な実施形態によると、開始剤は、UV、可視光、電磁波、又は熱によってラジカルを発生させて粘着剤組成物の硬化反応を誘導することができる。
【0054】
様々な実施形態によると、開始剤は、アクリル酸エステル系モノマー100の重量部に対して0.01重量部~3重量部として含まれてもよい。
【0055】
様々な実施形態によると、アクリル酸エステル系モノマー100の重量部を基準にし開始剤が0.01重量部未満である場合、反応が生じないか反応時間が長くなり、一方、3重量部を超過する場合、粘着剤組成物を硬化させた時の重合度が低下するか、未反応の開始剤が不純物として残存することがある。
【0056】
様々な実施形態によると、前記硬化剤は、多官能フェノール類化合物、アミン類化合物、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物、及びハロゲン化物、多官能アクリル系化合物、ウレタン系化合物、イソシアネート系化合物、アルコール系化合物、ポリアミド、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1つを含み、前記アクリル酸エステル系モノマー100重量部に0.01重量部~5重量部として含まれてもよい。
【0057】
様々な実施形態によると、硬化剤は、アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して、0.01重量部~5重量部として含まれてもよい。
【0058】
様々な実施形態によると、アクリル酸エステル系モノマー100重量部を基準にして硬化剤が0.01重量部未満である場合、反応時間が長くなったり硬化が十分に行われない可能性があり、5重量部を超過する場合、粘着剤組成物を硬化させたとき、固かったり未反応の硬化剤が不純物として残存することがある。
【0059】
様々な実施形態によると、前記粘着剤組成物は、波長550nmの光に対する透過度が92%以上であり、ヘイズ(haze)が2%未満であり得る。
【0060】
様々な実施形態に係る粘着層は、様々な実施形態に係る粘着剤組成物を熱硬化又は光硬化して製造されたものである。
【0061】
様々な実施形態によると、粘着層は、基材上に形成することができる。
【0062】
様々な実施形態によると、前記粘着層の厚さは、5μm~100μmであり、前記粘着剤組成物をロールツーロールコーティング(roll-to-roll coating)、ディップコーティング(dip coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)又は、スプレーコーティング(spray coating)で前記基材上に塗布して形成されてもよい。
【0063】
様々な実施形態によると、粘着層の厚さは、好ましくは、5μm~20μmであってもよい。
【0064】
様々な実施形態によると、粘着層の厚さが100μmよりも厚くなる場合、粘着層を一構成として含むディスプレイ装置の視認性が低下し、粘着層の厚さが5μmよりも薄い場合、付着力が不足して容易に分解又は剥離される場合がある。
【0065】
様々な実施形態によると、粘着層のせん断の弾性率G’は、85℃において3kPa~30kPaであり、25℃において10kPa~100kPaであってもよい。
【0066】
様々な実施形態によると、25℃における粘着層のせん断弾性率は、好ましくは、30kPa~70kPaであってもよく、85℃における粘着層のせん断弾性率は、好ましくは、5kPa~15kPaであってもよい。
【0067】
様々な実施形態によると、温度差の激しい環境で耐久性を獲得するには、常温でのせん断弾性率のみならず、高温でのせん断弾性率も考慮された粘着層を使用することが好ましく、高温でのせん断弾性率が低いほど、様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズの収縮を抑制することができる。
【0068】
様々な実施形態によると、前記粘着層は、ASTM D903による剥離強度が1、000gf/inch以上のものであってもよい。
【0069】
様々な実施形態によると、剥離強度はASTM D903により、パネル又はガラス板の表面に25mmの幅になるよう粘着層を用いてフィルム又はレンチキュラーレンズを付着した後、フィルム又はレンチキュラーレンズの自由端を回してパネル又はガラス板の自由端と反対方向に引っ張って測定されてもよい。
【0070】
様々な実施形態によると、粘着層の剥離強度は、好ましくは、1、500gf/inch以上であってもよい。
【0071】
様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズは、粘着層、前記粘着層上に形成されるベース基板及び前記ベース基板上に形成されるパターン層を含んでもよい。
【0072】
図1は、様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズの斜視図である。
【0073】
図1を参照すると、レンチキュラーレンズ1は、粘着層101、ベース基板102、及びパターン層103を含む。
【0074】
様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズは、ベース基板102上にパターン層103を形成した後、パターン層103が形成されたベース基板102の一面の反対面に粘着層101を形成する。但し、ベース基板102上に粘着層101を先に形成した後、反対面にパターン層103を形成してもよい。
【0075】
様々な実施形態によると、パターン層103は、ベース基板102上にアクリル系高分子を均一の厚さでスロットダイコーティング、ロールコーティング、又はバーコーティングにより塗布してから紫外線下で硬化し、パターンを有するようインプリンティングして形成することができる。
【0076】
様々な実施形態によると、パターン層103は、ベース基板102上にアクリル系高分子を塗布することで、10μm~100μmの厚さでアクリル系高分子が塗布されてから、パターンが形成されることができる。
【0077】
様々な実施形態によると、前記ベース基板は、ポリエチレンテレフタラート(PET)を含んでもよい。
【0078】
様々な実施形態によると、前記ベース基板は、一軸延伸されたポリエチレンテレフタラートを含んでもよい。
【0079】
様々な実施形態によると、一軸延伸されたフィルムをベース基板として使用する場合、2軸延伸されたフィルムを使用する場合に比べて、光学的特性に優れる。
【0080】
様々な実施形態によると、2軸延伸されたポリエチレンテレフタラートは、光学的異方性の特性を有しているため、線偏光した光が通過するとき、ベース基板の位置に応じて位相遅延が相違に発生することで円偏光又は楕円偏光された光に変わり、これにより映像の輝度が低下する。一軸延伸されたポリエチレンテレフタラートは、位相の差が一定に保たれるものとして、ベース基板の位置に関わらず位相遅延が一定に保持されることができる。
【0081】
様々な実施形態によると、ベース基板に含まれるポリエチレンテレフタラートのマシーン方向(MD、machine direction)が、本発明の様々な実施形態に係るレンチキュラーレンズに付着されている偏光フィルム層の偏光方向とその差が5°以下になるよう、レンチキュラーレンズが形成されてもよい。
【0082】
様々な実施形態によると、前記ベース基板の厚さは、50μm~100μmであってもよい。
【0083】
様々な実施形態によると、ベースの基板の厚さは、好ましくは、60μm~80μmであってもよい。
【0084】
様々な実施形態によると、前記ベース基板の波長550nmにおける光学遅延値(optical retardation)は、7、000nm以上であってもよい。
【0085】
様々な実施形態によると、光学遅延R値と輝度Iの関係は、下記の数式(1)により示される。
【0086】
【数1】
様々な実施形態によると、特定の光学遅延R値を有するとき、輝度はサイン関数の形態に示され、R値は屈折率の偏差、波長、及びフィルムの積で算出されてもよい。
【0087】
様々な実施形態によると、R値が低い場合、可視光線の領域で輝度の低い波長及び高い波長が交互に発生して輝度の偏差が大きく発生し、色の分散が発生し得る。R値が7、000nm以上である場合、全領域の波長で均等な輝度を示し、色の分散を除外することがでる。
【0088】
様々な実施形態によると、波長550mmにおける光学遅延値は、好ましくは、8000以上であってもよく、より好ましくは、10、000nm以上であってもよい。
【0089】
様々な実施形態によると、前記ベース基板は、水分透過度が100g/mday以下であり、63℃において相対湿度93%の条件下で500時間放置したとき、幅方向(TD、transverse direction)への収縮率が0.1%以下であってもよい。
【0090】
様々な実施形態によると、ベース基板は、特に、高湿条件でフィルムが水分を容易に吸収しないため、温度に関わらず均等な性能を示すことができる。
【0091】
様々な実施形態によると、前記パターン層は、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つのアクリル系高分子を含んでもよい。
【0092】
様々な実施形態によると、パターン層は、エチレン酸化物(ethylene oxide)及びウレタンアクリレート(urethane acrylate)をさらに含んでもよい。
【0093】
様々な実施形態によると、エチレン酸化物及びウレタンアクリレートがさらに含まれると、パターン層のベース基板との接合性がさらに優れる。
【0094】
様々な実施形態によると、パターン層は、アクリル系高分子をベース基板上に塗布して形成されてもよい。
【0095】
様々な実施形態によると、パターン層は、アクリル系高分子をベース基板上に塗布した後、光硬化を経てからモールドを用いてインプリンティングしてパターンが形成されてもよい。
【0096】
様々な実施形態によると、前記パターン層は、断面上に半円形のパターンを含んでもよい。
【0097】
様々な実施形態によると、パターン層は、断面上に半円形のパターンが複数形成されているパターンを含んでもよく、左右映像を分離するためのものである。
【0098】
様々な実施形態によると、パターン層は、複数のレンチキュールを含んでもよい。
【0099】
様々な実施形態によると、パターン層のパターンは、複数の反円筒状のレンチキュールを含むものとして、レンチキュラーレンズの配向は正縦方向でなく、10°~15°傾いてもよい。
【0100】
様々な実施形態によると、レンチキュラーレンズの配向は、レンチキュラーレンズを上面から見て、レンチキュールの長手方向とレンチキュラーレンズの一隅部の法線がなしている角を測定したものである。
【0101】
様々な実施形態によると、パターン層は、垂直方向に反時計回りに10°~15°の角度で傾いてもよく(slanted)、好ましくは、約12°の角度で傾いてもよい。
【0102】
様々な実施形態によると、パターン層の傾斜角度が15°以上である場合、モアレが増加し、また3D映像の解像度が低下し、パターン層の傾斜角度が10°以下である場合は、モアレが増加し、ブラックマトリックスが見えて映像の品質が低下する。
【0103】
様々な実施形態によると、前記パターン層のパターンのピッチは、60μm~150μmであり、高さは3μm~20μmであってもよい。
【0104】
様々な実施形態によると、パターン層のパターンは、アクリル系高分子を一部インプリンティングして形成されてもよい。
【0105】
様々な実施形態によると、パターン層のパターンのピッチは、好ましくは、60μm~100μmであってもよい。
【0106】
様々な実施形態によると、前記パターン層は、屈折率が1.45~1.60であり、波長550nmの光に対する透過度が92%以上であり、ヘイズが2%以下であってもよい。
【0107】
様々な実施形態によると、前記パターン層は、多官能フェノール類化合物、アミン類化合物、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物、及びハロゲン化物、多官能アクリル系化合物、ウレタン系化合物、イソシアネート系化合物、アルコール系化合物、ポリアミド、ポリスルフィド、及び三フッ化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1つの開始剤を含んでもよい。
【0108】
様々な実施形態によると、パターン層は、ベース基板上にアクリル系高分子を塗布した後、光硬化を用いて硬化して形成されてもよく、開始剤は光硬化のために含まれてもよい。
【0109】
様々な実施形態によると、前記パターン層のパターンは、モールディングを用いたインプリンティングを介して形成されてもよい。
【0110】
様々な実施形態によると、前記パターン層は、芳香族モノマーを20重量%以下で含んでもよい。
【0111】
様々な実施形態によると、芳香族モノマーは、熱及びUVによる変色特性があることから、この変色を防ぐためにこれを少量含むことが好ましい。
【0112】
様々な実施形態によると、好ましくは、パターン層は、芳香族モノマーを5重量%以下で含んでもよく、より好ましくは、芳香族モノマーを3重量%以下で含んでもよい。
【0113】
様々な実施形態によると、前記粘着層の厚さは、10μm~30μmであってもよい。
【0114】
様々な実施形態に係る3D HUD用ディスプレイ装置は、ガラスを含む透明基板、前記透明基板上に形成される偏光フィルム層、及び前記偏光フィルム層上に形成されるレンチキュラーレンズを含み、前記レンチキュラーレンズは、粘着層、前記粘着層上に形成されるベース基板、及び前記ベース基板上に形成されるパターン層を含む。
【0115】
図2は、様々な実施形態に係る3D HUD用ディスプレイ装置の斜視図である。
【0116】
図2を参照すると、3D HUD用ディスプレイ装置2は、透明基板220、偏光フィルム層210、及びレンチキュラーレンズ200(図1に示すレンチキュラーレンズ1)を含み、レンチキュラーレンズ200(図1に示すレンチキュラーレンズ1)は、粘着層201、ベース基板202、及びパターン層203を含む。
【0117】
図2を参照すると、偏光フィルム層210は、偏光層212及び前記偏光層の両面に付着される保護層として、第1保護層211及び第2保護層213が形成される。
【0118】
様々な実施形態によると、偏光層212は、PVA(polyvinyl alcohol)を含んでもよく、前記偏光層の下面に形成されている第1保護層はPMMAを含んでもよく、第1保護層が形成されている偏光層の一面の反対面に形成されている第2保護層は、TAC(triacetyl cellulose)を含んでもよい。
【0119】
図3は、様々な実施形態に係る3D HUD用ディスプレイ装置の断面図である。
【0120】
図3を参照すると、3D HUD用ディスプレイ装置3の偏光フィルム層310(図2に示す偏光フィルム層210)は、長時間の間に高温又は直射光線などの外部刺激により収縮が生じる恐れがある。偏光フィルム層310の収縮による応力を粘着層301(図1に示す粘着層101)が緩和させ、ベース基板302(図1に示すベース基板102)及びパターン層303(図1に示すパターン層103)に伝達しない。
【0121】
図3を参照すると、粘着層301(図1に示す粘着層101)は、偏光フィルム層310(図2に示す偏光フィルム層210)の収縮による応力を伝達しないことからパターン層303(図1に示すパターン層103)が変形されず、レンチキュラーレンズを通過した左右映像の重複が発生せず、また、虹染みも発生せず、光の入射角による位相差の値が変わらない。
【0122】
様々な実施形態によると、レンチキュラーレンズからの左側映像と右側映像の重複は、クロストーク(cross-talk、X-talk、%)を算出して示すことができる。サブピクセルからの光Isub pixelは、左側映像の輝度Ileft、右側映像の輝度Iright及び不要な反射及び散乱により消失する輝度Istray lightの合計として定義(数式(1))され、ここで、クロストークは、実際の3D映像に寄与しない映像の比率として定義される(数式(2))。
【0123】
(数1)
sub pixel=Ileft+Iright+Istray light (1)
【0124】
(数2)
X-talk[%]=Istray light/(Ileft+Iright)×100 (2)
様々な実施形態によると、ディスプレイ装置は、95℃において200時間放置した後のクロストークは2%以下であってもよい。
【0125】
下記の表1は、レンチキュラーレンズの収縮によるクロストークを測定した値を示す。
【0126】
【表1】
前記表1を参照すると、レンチキュラーレンズの収縮率の増加に伴ってクロストークが幾何級数的に増加する現像を確認することができ、クロストークが2%以下に保持するためには、レンズの収縮率が0.05%以下であることが好ましい。
【0127】
様々な実施形態によると、ベース基板は、延伸して形成され、特に、マシーン方向(MD)に一軸延伸して形成されてもよい。
【0128】
様々な実施形態によると、前記粘着層は、95℃において200時間放置した後の前記ベース基板の垂直方向(TD)に対する収縮率が0.03%以下であり、前記ベース基板のマシーン方向に対する収縮率が0.2%以下であってもよい。
【0129】
様々な実施形態によると、前記ディスプレイ装置は、移動手段に装着されて3D HUDを実現することができる。
【0130】
以下、実施形態及び比較例に基づいて本発明をより詳しく説明する。
【0131】
但し、下記の実施形態は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施形態に限定されることはない。
【0132】
製造例1:粘着剤組成物の製造
様々な実施形態及び比較例による粘着剤組成物を製造した。様々な実施形態及び比較例による粘着剤組成物の成分は、下記の表2に示した。表2の粘着剤組成物において、1-ドデカンチオールは硬化剤として機能することもできる。
【0133】
【表2】
試験例1:せん断応力の測定
前記表2の実施形態及び比較例による粘着剤組成物を硬化させて製造した粘着フィルムについて、せん断応力を測定し、下記の表3に示した。せん断応力は、25℃及び85℃でそれぞれ測定した。
【0134】
【表3】
試験例2:剥離強度(peel strength)の測定
前記表2の実施形態及び比較例による粘着剤組成物を用いて製造したレンチキュラーレンズをLCDパネル又はガラスパネル上に25mm付着した後、これを取り外すために必要な付着力を測定して下記の表4に示した。ASTM D903の測定方法に基づいて測定した。
【0135】
【表4】
試験例3:レンチキュラーレンズの収縮率測定
前記表2の実施形態及び比較例による粘着剤組成物を用いて製造したレンチキュラーレンズを提供し、レンズの収縮率を測定した。レンズの収縮率試験は、200時間の間に90℃の高温で実行し、90.5mm×50.7mmの大きさのレンチキュラーレンズの各角部分において0.7mm離れた位置に基準点(align mark)を表示した後、試験実行してから光学顕微鏡で差を測定した。
【0136】
前記表2の実施形態及び比較例による粘着剤組成物を用いて製造したレンチキュラーレンズのレンズの収縮率を測定し、下記の表5に示した。
【0137】
【表5】
前記試験例1~3による結果をまとめると、実施形態1及び2による粘着剤組成物を用いて製造した粘着層の場合、剥離強度1、000gf/inch以上を確保し、85℃の高温でせん断応力が10kPa以下として極めて低い値を有することが確認できた。また、この場合、レンズ方向ごとのレンズの収縮率が極めて低く、偏光フィルム層の収縮がレンチキュラーレンズに転移することを効果的に抑制したことが確認できる。
【0138】
一方、比較例1~5による粘着剤組成物を用いて製造した粘着層の場合、レンズの収縮率が極めて高いか剥離強度が低く、苛酷条件において作動する3D HUD用ディスプレイ装置に使用するには不足していることが確認できる。
【0139】
製造例2:パターン層組成物の製造
様々な実施形態及び比較例による組成物を製造した。様々な実施形態及び比較例による組成物の成分は下記の表6に示した。
【0140】
【表6】
試験例4:レンチキュラーレンズの光学的特性測定
前記表6の様々な実施形態及び比較例による組成物を用いてベース基板上にパターン層を製造し、各パターン層に対して屈折率、モールド異形成、及びUV変色性を測定した。
【0141】
特に、UV変色性は、キセノンアーク(Xenon arc)ランプにおいて、ブラックパネル温度63℃、チャンバ温度50℃、湿度50%RH(相対湿度)、照度65W/mの条件下でASTM E313、ASTM E1164の基準として変色の程度を測定した。変色の程度は、Minolta CR-400を利用して、x及びy値が変わる程度を測定した後、基準である1%又は5%を越えるか否かについて、下記の表7に示した。モールド異形成に関連して、容易に分離されないか、はがされてシミが発生したり、高さ、幅、又は表面変形が5%以上発生した場合について、結果値「Bad」のように表記した。
【0142】
【表7】
試験例5:ベース基板との付着性
前記表6による様々な実施形態及び比較例の組成物を用いてベース基板上にパターン層を製造し、ベース基板とパターン層との間の付着性を測定した。ベース基板としてPET基板を用いた。
【0143】
付着力の測定において、ASTM 3359又はJIS K5900 5-6による方法に基づいて剥離後のパターンを測定し、0B~5Bの値として判断して下記の表8に示した。
【0144】
【表8】
前記試験例4及び5による結果をまとめると、実施形態3~6による組成物を用いて製造したパターン層を含む場合、芳香族モノマーに比べて脂肪族モノマーを多く含み、UVによる変色性が小さいことが確認することができる。
【0145】
一方、比較例6~10による組成物を用いて製造したパターン層の場合、ベース基板との付着性が低下したり、耐候性結果によるUV変色性が高く、苛酷な条件で作動する3D HUD用ディスプレイ装置に使用されるには不足していることが確認できる。
【0146】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0147】
従って、他の実現、他の実施形態及び特許請求の範囲との均等物なども添付された特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0148】
1:レンチキュラーレンズ
101:粘着層
102:ベース基板
103:パターン層
2:3D HUD用ディスプレイ装置
200:レンチキュラーレンズ
201:粘着層
202:ベース基板
203:パターン層
210:偏光フィルム層
211:第1保護層
212:偏光層
213:第2保護層
220:透明基板
3:3D HUD用ディスプレイ装置
301:粘着層
302:ベース基板
303:パターン層
310:偏光フィルム層
図1
図2
図3