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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164623
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】糖質排泄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/17 20060101AFI20221020BHJP
   A61K 36/539 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/346 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/284 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/538 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/744 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/65 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/234 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/238 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/634 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20221020BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221020BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/232 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/534 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 36/725 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A61K36/17
A61K36/539
A61K36/484
A61K36/346
A61K36/284
A61K36/538
A61K36/744
A61K36/65
A61K36/234
A61K36/238
A61K36/634
A61K36/9068
A61P3/08
A61K9/20
A61P43/00 121
A61K36/232
A61K36/534
A61K36/725
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067219
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2021069389
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】牧野 利明
(72)【発明者】
【氏名】北村 美穂
(72)【発明者】
【氏名】清宮 暁
(72)【発明者】
【氏名】杉平 貴史
(72)【発明者】
【氏名】塚本 恒星
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 康平
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC21
4C076FF70
4C088AB04
4C088AB12
4C088AB14
4C088AB26
4C088AB30
4C088AB38
4C088AB40
4C088AB41
4C088AB58
4C088AB60
4C088AB64
4C088AB81
4C088MA07
4C088MA35
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZC35
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】新規な剤等を提供する。
【解決手段】剤を、防風通聖散エキスを含み、便中糖質排泄(排泄促進)のための剤等とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防風通聖散エキスを含む、便中糖質排泄剤。
【請求項2】
防風通聖散エキスを含む、糖質吸収抑制剤。
【請求項3】
防風通聖散エキスを含む、糖質吸収遅延剤。
【請求項4】
防風通聖散エキスを含む、血中糖質濃度上昇抑制剤。
【請求項5】
糖質を摂取する対象に投与するための、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
糖質摂取に関連して投与するための、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
糖質摂取の12時間前~12時間後までの間に経口投与する、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項8】
1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後までの間に経口投与する、又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後までの間に経口投与する、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項9】
糖質が、フルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種を構成成分とする糖を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
糖質が、フルクトースを構成成分とする糖を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項11】
錠剤である、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項12】
糖質を摂取する対象に糖質摂取に関連して投与するための、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項13】
1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後までの間に経口投与する、又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後までの間に経口投与する、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項14】
糖質が、フルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種を構成成分とする糖を含み、1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後までの間に経口投与する、又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後までの間に経口投与する、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項15】
糖質が、フルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種を構成成分とする糖を含み、1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後までの間に経口投与する又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後までの間に経口投与するための錠剤である、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項16】
下記(1)~(5)の少なくとも1つを充足する錠剤である、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
(1)1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上含む錠剤
(2)1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上含み、質量が200~800mgの錠剤
(3)1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上かつ90mg以上含み、質量が200~800mgの錠剤
(4)1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、メタケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有せず、防風通聖散エキスを45質量%以上含む錠剤
(5)1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、メタケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有せず、防風通聖散エキスを45質量%以上及び90mg以上含み、質量が200~800mgの錠剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
防風通聖散(防風通聖散エキス)は、肥満症を改善する漢方薬として知られている。
このような防風通聖散が、肥満症を改善する具体的な現象(機能)としては、脂肪の分解・燃焼が想定されており、例えば、特許文献1では、防風通聖散エキスが、便への脂質(コレステロール)の排泄促進機能を有することを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-52921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な剤等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のように、防風通聖散は、従来、肥満症の改善に有効であることが知られており、その具体的な現象(機能)の1つとして、脂質(脂肪)の便への排泄が想定されている。
【0006】
このような中、本発明者は、肥満と脂質(脂肪)という従来公知の関係とは全く異なる発想にて検討を進めたところ、極めて意外なことに、防風通聖散エキスが、糖質(糖)を排泄する機能、糖質(糖)の吸収を抑制や遅延する機能、血中における糖質濃度の上昇(急激な上昇)を抑制(糖質濃度を低減)する機能等を有すること等を見出し、さらなる検討を重ねて、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
防風通聖散エキスを含む、便中糖質排泄(排泄促進)剤。
[2]
防風通聖散エキスを含む、糖質吸収抑制剤。
[3]
防風通聖散エキスを含む、糖質吸収遅延剤。
[4]
防風通聖散エキスを含む、血中糖質濃度(血中に吸収される糖質の濃度)上昇抑制剤[血中における糖質濃度上昇を抑制するための剤、血中糖質濃度低減剤(血中における糖質濃度を低減するための剤)、血中への糖質吸収緩和剤(血中への糖質の吸収を緩和するための剤)]。
[5]
糖質を摂取(特に、経口摂取)する対象(特に、ヒト、成人)に投与(特に経口投与)するための、[1]~[4]のいずれかに記載の剤。
[6]
糖質摂取に関連して投与(特に経口投与)するための、[1]~[5]のいずれかに記載の剤。
[7]
糖質摂取の12時間前~12時間後(例えば、10時間前~10時間後、8時間前~8時間後、6時間前~6時間後)までの間に経口投与(内服)する、[1]~[6]のいずれかに記載の剤。
[8]
1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後(例えば、6時間前~6時間後)までの間に経口投与(内服)する、又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後(例えば、10時間前~10時間後)までの間に経口投与する、[1]~[7]のいずれかに記載の剤。
[9]
糖質が、フルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種を構成成分(構成糖、消化ないし分解により生体内でフルクトース及び/又はグルコースを生成する糖質)とする糖を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の剤。
[10]
糖質が、フルクトース(果糖)を構成成分(構成糖)とする糖を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の剤。
[11]
錠剤である、[1]~[10]のいずれかに記載の剤。
[12]
糖質を摂取する対象に糖質摂取に関連して投与するための、[1]~[11]のいずれかに記載の剤。
[13]
1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後(例えば、6時間前~6時間後)までの間に経口投与する、又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後(例えば、10時間前~10時間後)までの間に経口投与する、[1]~[12]のいずれかに記載の剤。
[14]
糖質が、フルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種を構成成分とする糖を含み、1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後(例えば、6時間前~6時間後)までの間に経口投与する、又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後(例えば、10時間前~10時間後)までの間に経口投与する、[1]~[13]のいずれかに記載の剤。
[15]
糖質が、フルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種を構成成分とする糖を含み、1日3回、糖質摂取の8時間前~8時間後(例えば、6時間前~6時間後)までの間に経口投与する又は1日2回、糖質摂取12時間前~12時間後(例えば、10時間前~10時間後)までの間に経口投与する、ための錠剤である、[1]~[14]のいずれかに記載の剤。
[16]
後述の錠剤、例えば、下記(1)~(5)の少なくとも1つを充足する錠剤である、[1]~[15]のいずれかに記載の剤。
(1)1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上含む錠剤
(2)1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上含み、質量が200~800mgの錠剤。
(3)1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上かつ90mg以上含み、質量が200~800mgの錠剤。
(4)1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、メタケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有せず、防風通聖散エキスを45質量%以上(例えば、45~88質量%)含む錠剤。
(5)1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、メタケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有せず、防風通聖散エキスを45質量%以上(例えば、45~88質量%)及び90mg以上含み、質量が200~800mgの錠剤。
【0008】
なお、本発明の剤として使用可能な錠剤として、下記に示す錠剤等を挙げることができる。下記に示すような錠剤の一態様では、防風通聖散エキスを比較的高い含有量(例えば、45質量%以上)で含有しうる。
【0009】
このような錠剤は、1日あたりの特定の有効成分(すなわち、防風通聖散エキス)の服用量を比較的高くした(例えば、5000mg超、6000mg超等とする)錠剤として好適である。そのため、本発明の剤を錠剤とする場合においても、効率よい服用や機能(糖質(糖)を排泄する機能、糖質(糖)の吸収を抑制する機能等)発現等の点で有用である。このような錠剤では、多種多様な有効成分(漢方エキス等)の中でも、防風通聖散エキスを選択することにより、意外なことに、錠剤中の有効成分量が高くても、錠剤の高い成形性及び/又は物性が損なわれない場合が多い。
【0010】
特に、このような錠剤では、極めて意外なことに、成形性や物性を損なうどころか、むしろ、防風通聖散エキス含量を増大させることで、成形性及び/又は物性[例えば、硬さ(硬度)]を向上(又は改善)できる場合がある。そして、このような錠剤では、成形性や物性を両立(特にバランス良く両立)しうる。
【0011】
[項1]
1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上含む錠剤。
[項2]
1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上含み、質量が200~800mgの錠剤。
[項3]
1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを45質量%以上かつ90mg以上含み、質量が200~800mgの錠剤。
[項4]
1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、メタケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有せず、防風通聖散エキスを45質量%以上(例えば、45~88質量%)含む錠剤。
[項5]
1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスを服用するための錠剤であって、メタケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有せず、防風通聖散エキスを45質量%以上(例えば、45~88質量%)及び90mg以上含み、質量が200~800mgの錠剤。
[項6]
防風通聖散エキスを50質量%以上かつ100mg以上含み、質量が250~700mgである、[項1]~[項5]のいずれかに記載の錠剤。
[項7]
防風通聖散エキスを60質量%以上かつ150mg以上含み、質量が300~600mgである、[項1]~[項6]のいずれかに記載の錠剤。
[項8]
1回あたり15錠以下で1日2回又は3回服用するための、[項1]~[項7]のいずれかに記載の錠剤。
[項9]
1日あたり、防風通聖散エキスを13000mg以下、総体積15000mm以下の量で服用するための、[項1]~[項8]のいずれかに記載の錠剤。
[項10]
1回あたり12錠以下で1日2回又は3回、1日あたり、防風通聖散エキスを12000mg以下、総体積15000mm以下の量で服用するための錠剤であって、防風通聖散エキスを60質量%以上かつ200mg以上含み、質量が300~600mgである、[項1]~[項9]のいずれかに記載の錠剤。
[項11]
[項1]~[項3]、[項6]~[項10]のいずれかに記載の錠剤を複数個組み合わせた錠剤(複数錠剤、組み合わせ錠剤)であって、6000mg超の防風通聖散エキスとなるように複数個を組み合わせた錠剤(1日あたり6000mg超の防風通聖散エキスとなるように服用させるための複数錠剤)。
[項12]
[項4]~[項10]のいずれかに記載の錠剤を複数個組み合わせた錠剤(複数錠剤、組み合わせ錠剤)であって、5000mg超の防風通聖散エキスとなるように複数個を組み合わせた錠剤(1日あたり5000mg超の防風通聖散エキスとなるように服用させるための複数錠剤)。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、新規な剤等を提供できる。例えば、このような剤は、防風通聖散エキスを含み、糖質の排泄(促進)、糖質の吸収抑制、糖質の吸収遅延及び/又は糖質の血中濃度上昇抑制のために利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.剤]
本発明の剤は、防風通聖散エキスを含有する。
【0014】
そして、この本発明の剤は、例えば、下記(1)~(4)から選択された少なくとも1種のため(用途)に好適に利用できる。
【0015】
(1)糖質の排泄(促進)
(2)糖質の吸収抑制
(3)糖質の吸収遅延
(4)糖質の血中濃度上昇抑制(糖質の血中濃度低減、糖質の血中吸収緩和)。
【0016】
なお、(1)において、排泄(排出)は、通常、便(少なくとも便)に対する排泄(便中への排泄)である場合が多い。また、(2)及び(3)において、吸収は、通常、血中(少なくとも血中)への吸収(移行)である場合が多い。
【0017】
このような用途(機能、目的)において、糖質(炭水化物)としては、後述のもの(摂取する糖質として例示のもの)が挙げられる。
【0018】
特に、このような排泄[又は排出(促進)]される糖質や吸収される糖質は、生体内に存在又は摂取する糖質がオリゴ糖ないし多糖であっても、単糖にまで分解(消化酵素による分解等)ないし代謝(消化)されていてもよい。
【0019】
そのため、このような糖質は、単糖[例えば、フルクトース、グルコース及びガラクトースから選択された少なくとも1種、好ましくはフルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種(例えば、フルクトース)]を少なくとも含んでいてもよい。
【0020】
防風通聖散エキス(防風通聖散、防風通聖散成分)としては、例えば、防風、黄ごん、大黄、芒硝、麻黄、石膏、白朮、荊芥、連翹、桔梗、山梔子、芍薬、当帰、川きゅう、薄荷、滑石、生姜及び甘草を含有する混合物(混合原料)の抽出物等が挙げられる。
【0021】
混合物において、各成分の比率は限定されず、例えば、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2~1.5質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2~1.5質量部、連翹1.2~1.5質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2~1.5質量部、芍薬1.2~1.5質量部、当帰1.2~1.5質量部、川きゅう1.2~1.5質量部、薄荷1.2~1.5質量部、滑石3質量部、生姜0.3~0.5質量部(ヒネショウガを使用する場合1.2~1.5質量部)、及び甘草2質量部を含む混合物等が挙げられる。
【0022】
このような混合物は、一例であり、混合物には、例えば、他の生薬(例えば、白朮)を含まないもの、配合比率を適宜変更したもの等も含まれる。
【0023】
エキスにおいて、抽出溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、アルコール(例えば、エタノール等)が好ましく、水を用いることがより好ましい(すなわち、防風通聖散エキスは水抽出物であるのがより好ましい)。
抽出溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してよい。
【0024】
防風通聖散エキスは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
剤は、防風通聖散エキスのみで構成してもよく、他の成分を含んでいてもよい。
【0026】
例えば、剤は、防風通聖散エキスを含む限り、他の有効成分(例えば、漢方エキス)を含んでいてもよく、有効成分として実質的に防風通聖散エキスのみを含んでいてもよい。
特に、剤は、糖質の排泄(促進)及び/又は糖質の吸収抑制等という前記用途(機能)に関する有効成分として、実質的に防風通聖散エキスのみを含んでいてもよい。
剤が、防風通聖散エキス以外の他の有効成分を含む場合、有効成分全体に対する他の有効成分の割合は、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下等であってもよい。
【0027】
剤は、必要に応じて、有効成分以外の他の成分(非有効成分)を含んでいてもよい。このような成分(添加剤)としては、剤の形態等に応じて選択でき、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、矯味剤、防腐剤、キレート剤、抗酸化剤、清涼化剤、コーティング剤、安定化剤、流動化剤、粘稠剤、溶解補助剤、増粘剤、緩衝剤、香料、着色剤、吸着剤、湿潤剤、防湿剤、帯電防止剤、可塑剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0028】
具体的な添加剤の例としては、例えば、糖類(例えば、乳糖、白糖等)、糖アルコール類(例えば、マンニトール、ソルビトール等)、セルロース類[例えば、結晶セルロース、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエーテル類)等]、無機物質[例えば、ステアリン酸塩(ステアリンマグネシウム等)、タルク、酸化チタン、二酸化ケイ素、無水ケイ酸、ケイ酸塩(例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム)、これらの含水物(例えば、含水二酸化ケイ素)等]が挙げられる。
【0029】
他の成分(添加剤)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0030】
これらの中でも、糖アルコール、セルロース類、無機物質等を好適に使用してもよい。
【0031】
剤の投与(服用)形態(ルート)は、特に限定されず、非経口投与(注射投与等)であってもよいが、好ましくは経口投与(内服、服用)であってもよい。
【0032】
剤の投与対象としては、非ヒト動物(例えば、犬、猫等の哺乳類)であってもよく、好ましくはヒトであってもよい。ヒトは、大人、子供等のいずれであってもよいが、特に、成人(15歳以上等)であってもよい。
【0033】
剤の投与対象は、糖質を摂取する対象[特に、ヒト(成人等)]であってもよい。本発明の剤は、生体内に存在する糖質の排泄(排出)や吸収抑制等に有用であるが、特に、摂取(服用)した糖質に対して、糖質の排泄(排出)や吸収抑制等に有用なようである。
【0034】
そのため、剤は、糖質摂取に関連して投与(特に、経口投与)してもよい。
【0035】
このような投与としては、例えば、糖質摂取の前から後までの適当な時間内[又は糖質摂取に対して所定の時間間隔、例えば、糖質摂取の(糖質を摂取したタイミングを基準として)12時間前~12時間後まで、好ましくは8時間前~8時間後まで、さらに好ましくは6時間前~6時間後まで(例えば、4時間前~4時間後まで、3時間前~3時間後まで、2時間前~2時間後まで、1時間前~1時間後まで、30分前~30分後まで、20分前~20分後まで等)]の投与等が挙げられる。
このような投与のタイミング(投与可能な時間)は、剤の投与回数に応じて選択することもできる{例えば、剤の投与回数が少ないほど、投与可能なタイミングを長く設定する[例えば、1日3回投与の場合には、糖質摂取の8時間前~8時間後(例えば、6時間前~6時間後)とし、1日2回投与の場合には、1日3回の場合に比べて長くする[例えば、糖質摂取の12時間前~12時間後(例えば、10時間後~10時間前)とする]等}。
なお、剤の投与(投与のタイミング)は、いわゆる、食前(例えば、1時間以内、30分以内、20分以内)、食後、食間(例えば、食後2~3時間)等であってもよく、これらの適当な範囲内(例えば、食前~食後4時間まで、食前~食後2時間等)であってもよい。
【0036】
糖質摂取(摂取する糖質)において、糖質(炭水化物)としては、特に限定されないが、通常、単糖を構成成分とするものであってもよい。このような糖質としては、単糖(単糖類)そのものの他、単糖を構成糖とする糖[例えば、オリゴ糖(例えば、2ないし10程度の単糖の重合物)、多糖(多糖類)等]が挙げられる。
【0037】
なお、オリゴ糖や多糖は、生体内において分解(消化酵素による分解等)ないし代謝(消化)により、単糖を生成するものであってもよい。
【0038】
具体的な単糖としては、例えば、フルクトース(果糖)、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース等が挙げられる。
【0039】
単糖を構成糖とする糖としては、例えば、オリゴ糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトース等の二糖)、デンプン等が挙げられる。
【0040】
糖質は、単独で又は2種以上組み合わせてこれらの糖(糖質)を含んでいてもよい。
【0041】
代表的な糖質には、フルクトース、グルコース及びガラクトースから選択された少なくとも1種を構成成分とする糖、好ましくはフルクトース及びグルコースから選択された少なくとも1種(例えば、フルクトース)を構成成分とする糖[例えば、フルクトース、フルクトースを構成糖とする糖(スクロース等)]等が挙げられる。
【0042】
そのため、糖質(摂取する糖質)は、このような糖質(糖)を少なくとも含んでいてもよい。
【0043】
糖質摂取は、糖質を摂取できる限り特に限定されず、糖質そのものであってもよいし、糖質を含む、飲食品や食事(食餌)等の摂取であってもよい。
【0044】
糖質摂取において、糖質の摂取量は、特に限定されない。
例えば、糖質の摂取量は、1日あたり、1g以上、好ましくは5g以上、さらに好ましくは10g以上等であってもよい。1日あたりの糖質の摂取量の上限もまた限定されず、例えば、350g、250g、200g、150g、100g、50g等が挙げられる。
【0045】
その他、糖質の摂取量は、1食(1回)あたり、0.3g以上、好ましくは1.5g以上、さらに好ましくは3g以上等であってもよい。1回あたりの糖質の摂取量の上限もまた限定されず、例えば、100g、70g、30g、15g等が挙げられる。
【0046】
剤の投与回数は、剤の形態等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、1日あたり1回以上(例えば、1~10回)、2回以上(例えば、2~6回)であってもよく、特に2回又は3回であってもよい。
【0047】
また、剤の投与回数は、糖質摂取と関連させてもよい。例えば、1回の糖質摂取に関連して1回投与してもよい。代表的には、1日2回以上(例えば、2回又は3回)糖質を摂取(例えば、糖質を含む食事ににより摂取)し、この1回の摂取毎に関連して(例えば、摂取の6時間前~6時間後までの間に1回)、剤を投与してもよい。
【0048】
剤の形態(剤形)としては、特に限定されず、投与形態などに応じて選択でき、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤(シロップ剤等)、ソフトカプセル剤、注射剤等が挙げられる。
【0049】
代表的な剤の形態は、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤等が挙げられ、特に、服用しやすい等の観点から、錠剤を好適に使用してもよい。
そのため、以下では、好ましい形態である錠剤である場合に特化した内容(錠剤の中でも好ましい態様)等を含めて説明する。
【0050】
錠剤は、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを実質的に含有しなくてもよい。
【0051】
剤において、防風通聖散エキスの割合は、剤の形態等に応じて選択できる。例えば、剤(錠剤等)において、防風通聖散エキスの含有割合は、0.1質量%以上(例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上)等であってもよく、比較的高割合、例えば、30質量%以上(例えば、40質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、45質量%以上(例えば、48質量%以上)、好ましくは50質量%以上(例えば、53質量%以上)、さらに好ましくは55質量%以上(例えば、58質量%以上)、特に60質量%以上(例えば、63質量%以上)程度であってもよく、65質量%以上(例えば、68質量%以上)、70質量%以上(例えば、73質量%以上)、75質量%以上(例えば、78質量%以上)、80質量%以上(例えば、83質量%以上)、85質量%以上(例えば、88質量%以上)、90質量%以上(例えば、93質量%以上)等であってもよい。
【0052】
なお、防風通聖散エキスの含有割合の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよく、100質量%未満、例えば、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%、83質量%、82質量%、81質量%、80質量%、79質量%、78質量%、77質量%、76質量%、75質量%、74質量%、73質量%、72質量%、71質量%、70質量%等であってもよい。
【0053】
このような防風通聖散エキスの含有割合の上限値は、成形性の他、含有させる他の成分の種類やその使用目的、他の物性や性能(例えば、崩壊性等)等の観点から適宜選択してもよい。例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを実質的に含有しない剤(錠剤等)等において、防風通聖散エキス(又は有効成分)の含有割合の上限値は、88質量%以下(例えば、87質量%以下、87質量%未満等)としてもよい。
【0054】
なお、剤(錠剤等)が、防風通聖散エキス以外の他の成分を含有する場合、当該他の成分の含有割合は、防風通聖散エキス及び他の成分の総量に対して、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等であってもよく、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上等であってもよい。
【0055】
例えば、剤(錠剤等)が滑沢剤を含有する場合、滑沢剤の割合は、例えば、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上等であってもよく、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下等であってもよい。
【0056】
剤が錠剤である場合、錠剤(1つの錠剤、単一の錠剤、以下、用法・用量でない、質量(mg)やサイズ(体積、mm)等において同様)の質量は、防風通聖散エキスの含有割合や所望の服用量(有効摂取量)等に応じて選択できるが、あまり大きすぎないのが好ましく、例えば、1200mg以下(例えば、1100mg以下)、好ましくは1000mg以下(例えば、900mg以下)、さらに好ましくは800mg以下(例えば、750mg以下)、特に700mg以下(例えば、650mg以下)、特に好ましくは600mg以下(例えば、550mg以下)であってもよく、500mg以下、490mg以下、480mg以下、470mg以下、460mg以下、450mg以下、440mg以下、430mg以下、420mg以下、410mg以下、400mg以下、390mg以下、380mg以下、370mg以下、360mg以下、350mg以下等であってもよい。
【0057】
錠剤の質量の下限値は、特に限定されないが、例えば、50mg、100mg、120mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、好ましくは200mg以上(例えば、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg)、さらに好ましくは300mg以上(例えば、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg)等であってもよい。
【0058】
剤が錠剤である場合、錠剤の大きさ(サイズ)は、例えば、防風通聖散エキスの含有割合や所望の服用量(有効摂取量)等に応じて選択できるが、あまり大きすぎないのが好ましく、例えば、1000mm以下(例えば、950mm以下)、好ましくは900mm以下(例えば、850mm以下)、さらに好ましくは800mm以下(例えば、750mm以下)、特に700mm以下(例えば、650mm以下)、特に好ましくは600mm以下(例えば、550mm以下)、であってもよく、500mm以下(例えば、450mm以下)、400mm以下(例えば、350mm以下)、300mm以下(例えば、250mm以下)等であってもよい。
【0059】
錠剤の大きさ(サイズ)の下限値は、特に限定されないが、例えば、200mm、250mm、300mm等であってもよく、好ましくは350mm以上(例えば、360mm、370mm、380mm、390mm、)、さらに好ましくは400mm以上(例えば、410mm、420mm、430mm、440mm、450mm、460mm、470mm、480mm、490mm、500mm)等であってもよい。
【0060】
剤が錠剤である場合、錠剤において、防風通聖散エキス(又は有効成分)の含有量は、錠剤の質量等に応じて選択できるが、例えば、50mg以上(例えば、60mg以上)程度の範囲から選択してもよく、70mg以上(例えば、80mg以上)、好ましくは90mg以上(例えば、95mg以上)、さらに好ましくは100mg以上(例えば、105mg以上)、特に110mg以上(例えば、115mg以上)、特に好ましくは120mg以上(例えば、125mg以上)であってもよく、130mg以上、140mg以上、150mg以上、160mg以上、170mg以上、180mg以上、190mg以上、200mg以上、210mg以上、220mg以上、230mg以上、240mg以上、250mg以上、260mg以上、270mg以上、280mg以上、290mg以上、300mg以上、310mg以上、320mg以上、330mg以上、340mg以上、350mg以上、360mg以上、370mg以上、380mg以上、390mg以上、400mg以上、410mg以上、420mg以上、430mg以上、440mg以上、450mg以上、510mg以上、520mg以上、530mg以上、540mg以上、550mg以上等であってもよい。
【0061】
なお、錠剤において、防風通聖散エキス(又は有効成分)の含有量の上限値は、錠剤の質量等に応じて選択できるが、例えば、1000mg、950mg、900mg、850mg、800mg、750mg、700mg、650mg、600mg、550mg、500mg、490mg、480mg、470mg、460mg、450mg、440mg、430mg、420mg、410mg、400mg、390mg、380mg、370mg、360mg、350mg、340mg、330mg、320mg、310mg、300mg、250mg、200mg、150mg等であってもよい。
【0062】
錠剤は、崩壊錠であってもよい。
【0063】
錠剤(錠剤の形状)は、特に限定されず、例えば、円形錠(いわゆる普通錠)、異形錠(カプレット、リング錠、花形、星形、ハート形等)等のいずれであってもよい。
【0064】
錠剤には、コーティング処理(例えば、糖衣、フィルムコート等)がなされてもよい。
【0065】
錠剤は、限定されないが、特に比較的高い用量で使用するための錠剤であってもよい。
【0066】
このような錠剤の用量(有効成分の服用量、経口投与量、摂取量、有効摂取量)は、例えば、防風通聖散エキス(有効成分)として、1日あたり3000mg以上の範囲から選択してもよく、好ましくは4000mg以上、さらに好ましくは5000mg以上(例えば、5000mg超、5050mg以上)であってもよく、5100mg以上、5200mg以上、5300mg以上、5400mg以上、5500mg以上、5600mg以上、5700mg以上、5800mg以上、5900m以上、特に6000m以上(例えば、6000mg超、6030mg以上、6050mg以上、6080mg以上、6100mg以上、6150mg以上、6200mg以上、6250mg以上、6300mg以上等)であってもよい。
【0067】
錠剤の用量の上限値は、特に限定されないが、例えば、1日あたりの防風通聖散エキス(有効成分)として、20000mg、19000mg、18000mg、17000mg、16000mg、15000mg、14000mg、13000mg、12000mg、11000mg、10000mg、9500mg、9000mg、8500mg、8400mg、8300mg、8200mg、8100mg、8000mg、7900mg、7800mg、7700mg、7600mg、7500mg、7400mg、7300mg、7200mg、7100mg、7000mg、6900mg、6800mg、6700mg、6600mg、6500mg、6400mg等であってもよい。
【0068】
錠剤(錠剤自体)の用量(服用量、経口投与量、摂取量)としては、有効成分の有効摂取量や錠剤における含有割合等にもよるが、例えば、1日あたり、30000mg以下(例えば、25000mg以下)の範囲から選択してもよく、好ましくは20000mg以下(例えば、18000mg以下)、さらに好ましくは15000mg以下(例えば、13000mg以下)、特に好ましくは12000mg以下(例えば、11000mg以下)であってもよく、10000mg以下、9500mg以下、9000mg以下、8500mg以下、8200mg以下、8000mg以下、7900mg以下、7800mg以下、7700mg以下、7600mg以下、7500mg以下、7400mg以下、7300mg以下、7200mg以下、7100mg以下、7000mg以下等であってもよい。
【0069】
錠剤(錠剤自体)の用量の下限値は、特に限定されないが、例えば、1日あたり300mg、3500mg、4000mg、4500mg、4800mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg等であってもよい。
【0070】
錠剤(錠剤自体)の用量(服用量、経口投与量、摂取量)としては、有効成分の有効摂取量や錠剤における含有割合等にもよるが、例えば、1日あたり(1日あたり服用する錠剤の総体積として)、20000mm以下(例えば、17500mm以下)の範囲から選択してもよく、好ましくは15000mm以下(例えば、12500mm以下)、さらに好ましくは10000mm以下(例えば、9500mm以下)、特に好ましくは9000mm以下(例えば、8500mm以下)であってもよく、8000mm以下、7500mm以下、7000mm以下、6500mm以下、6000mm以下、5500mm以下、5000mm以下等であってもよい。
【0071】
錠剤(錠剤自体)の用量の下限値は、特に限定されないが、例えば、1日あたり2000mm、2500mm、3000mm、3500mm、4000mm、4500mm、5000mm、5500mm、6000mm、6500mm、7000mm、7500mm等であってもよい。
【0072】
錠剤の用法は、例えば、1日あたり1回以上(例えば、1~10回)であればよいが、例えば、2回以上(例えば、2~6回)であってもよく、特に2回又は3回であってもよい。
【0073】
1日あたりの錠剤数(服用数、投与数、摂取数)は、有効摂取量や錠剤における含有割合等にもよるが、60錠以下(例えば、55錠以下)程度の範囲から選択してもよく、例えば、50錠以下(例えば、48錠以下)、好ましくは45錠以下(例えば、42錠以下)、さらに好ましくは39錠以下(例えば、36錠剤以下)、特に33錠以下(例えば、30錠剤以下)、特に好ましくは27錠以下(例えば、24錠以下)であってもよく、21錠以下、18錠以下、15錠剤以下等であってもよい。
【0074】
なお、1日あたりの錠剤数の下限値は、例えば、3錠、6錠、9錠、12錠、15錠等であってもよい。
【0075】
1回あたりの錠剤数(服用数、投与数、摂取数)は、用法等にもよるが、20錠以下(例えば、19錠以下)程度の範囲から選択してもよく、例えば、18錠以下(例えば、17錠以下)、好ましくは16錠以下(例えば、15錠以下)、さらに好ましくは14錠以下(例えば、13錠以下)、特に12錠以下(例えば、11錠以下)、特に好ましくは10錠以下(例えば、9錠以下)、最も好ましくは8錠以下(例えば、7錠以下、6錠以下、5錠以下、4錠以下等)であってもよい。
なお、1回あたりの錠剤数の下限値は、例えば、1錠、2錠、3錠、4錠、5錠等であってもよい。
【0076】
本発明には、このような用法・用量に対応する、複数の錠剤(複数錠剤、組み合わせ錠剤)も包含する。
【0077】
例えば、錠剤Xの1日あたりの用量がAmgである場合、複数錠剤は、錠剤XをAmgの防風通聖散エキスとなるように複数個組み合わせた錠剤(1日あたり用量Amgを服用するための複数錠剤)となる。
複数錠剤の具体的な錠剤数(1日あたりの錠剤数)は、例えば、前記例示の範囲から選択できる。
【0078】
また、錠剤Xの1回あたりの用量がBmgである場合、複数錠剤は、錠剤XをBmgの防風通聖散エキスとなるように複数個組み合わせた錠剤(1回あたり用量Bmgを服用するための複数錠剤)となる。
複数錠剤の具体的な錠剤数(1回あたりの錠剤数)は、例えば、前記例示の範囲から選択できる。
【0079】
錠剤は、錠剤を有効成分(防風通聖散エキス)で構成できる限り、特に限定されず、慣用の方法(成形方法)にて製造できる。
このような成形方法(錠剤成形法)としては、例えば、直接粉末圧縮法(直打法)、顆粒圧縮法(間接打錠法)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
成形方法において、錠剤の構成成分やその割合等は、上記と同様のものを(又は上記のものとなるように)選択すればよい。
【0081】
[2.糖質の排泄(促進)等]
本発明の剤によれば、防風通聖散エキス(の投与)により、糖質の排泄(促進)、糖質の吸収抑制、糖質の吸収遅延、及び/又は血中糖質濃度の上昇抑制のために利用できる。
【0082】
従って、本発明の実施形態として、以下の方法が提供される。
【0083】
(1)防風通聖散エキス[又は防風通聖散エキスを含む剤(錠剤等)]を投与(特に、経口投与)し、糖質を排泄(促進)する方法。
(2)防風通聖散エキス[又は防風通聖散エキスを含む剤(錠剤等)]を投与(特に、経口投与)し、糖質の吸収を抑制する方法。
(3)防風通聖散エキス[又は防風通聖散エキスを含む剤(錠剤等)]を投与(特に、経口投与)し、糖質の吸収を遅延させる方法。
(4)防風通聖散エキス[又は防風通聖散エキスを含む剤(錠剤等)]を投与(特に、経口投与)し、血中における糖質濃度の上昇を抑制(糖質濃度を低減)する方法。
【0084】
このような方法において、剤の形態や態様、投与対象、投与方法等は、前記と同様のものを選択できる。
【実施例0085】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0086】
[試験法1]
9週齢のC57BL/6Jマウスを試験に用いた。
下記表1に示す通り、3群に群分けした(各群n=6)マウスに、胃ゾンデを用いて、2回の強制経口投与を行った。なお、表1に記載の通り、糖質には、代表的な単糖であるフルクトースを使用した。
【0087】
【表1】
【0088】
なお、各群の投与量は上記表1の通りであり、防風通聖散エキス及びフルクトースは、いずれも、注射用水にて上記表1に記載の濃度に調製し、投与した。
【0089】
また、防風通聖散エキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部を含有するものを常法により製造して使用した。
【0090】
さらに、1回目と2回目の強制経口投与は遅滞なく(1回目投与から2回目の投与まで概ね2分以内に)行った。
【0091】
[試験法2]
8週齢のWister ratを試験に用いた。
下記表2に示す通り、4群に群分けした(各群n=4)ラットに胃ゾンデを用いて2回続けて強制経口投与を実施した。なお、表2に記載の通り、糖質には、代表的な単糖であるフルクトースを使用した。
【0092】
【表2】
【0093】
なお、各群の投与量は上記表2の通りであり、防風通聖散エキス及びフルクトースは、いずれも、注射用水にて上記表2に記載の濃度に調製し、投与した。
【0094】
また、防風通聖散エキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部を含有するものを常法により製造して使用した。
【0095】
[試験法3]
9週齢のWister ratを試験に用いた。
下記表3に示す通り、2群に群分けした(各群n=3~4)ラットに胃ゾンデを用いて2回続けて強制経口投与を実施した。なお、表3に記載の通り、糖質には、代表的な単糖であるフルクトースを使用した。
【0096】
【表3】
【0097】
なお、各群の投与量は上記表3の通りであり、防風通聖散エキス及びフルクトースは、いずれも、注射用水にて上記表3に記載の濃度に調製し、投与した。
【0098】
また、防風通聖散エキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部を含有するものを常法により製造して使用した。
【0099】
[試験法4]
8週齢のC57BL/6Jマウスを試験に用いた。
下記表4に示す通り、4群に群分けした(各群n=6)マウスに、胃ゾンデを用いて、2回の強制経口投与を行った。なお、表4に記載の通り、糖質には、代表的な単糖であるグルコースを使用した。
【0100】
【表4】
【0101】
なお、各群の投与量は上記表4の通りであり、各エキス及びフルクトースは、いずれも、注射用水にて上記表4に記載の濃度に調製し、投与した。
【0102】
また、防風通聖散エキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部を含有するものを常法により製造して使用した。
【0103】
さらに、1回目と2回目の強制経口投与は遅滞なく(1回目投与から2回目の投与まで概ね2分以内に)行った。
【0104】
[試験法5]
8週齢のC57BL/6Jマウスを試験に用いた。
下記表5に示す通り、4群に群分けした(各群n=6)マウスに、胃ゾンデを用いて、2回の強制経口投与を行った。なお、表5に記載の通り、糖質には、代表的な単糖であるフルクトースを使用した。
【0105】
【表5】
【0106】
なお、各群の投与量は上記表5の通りであり、各エキス及びフルクトースは、いずれも、注射用水にて上記表5に記載の濃度に調製し、投与した。
【0107】
防風通聖散エキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部を含有するものを常法により製造して使用した。
【0108】
また、Aエキスには、質量比として、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部含有するものを、Bエキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、山梔子1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、及び滑石3質量部を含有するものを、それぞれ、常法により製造して使用した。
【0109】
さらに、1回目と2回目の強制経口投与は遅滞なく(1回目投与から2回目の投与まで概ね2分以内に)行った。
【0110】
[実験例1]
試験法1において、(1)2回目の経口投与後4時間経過するまでの糞便(0~4時間の糞便)、(2)4時間経過後8時間経過するまでの糞便(4~8時間の糞便)を、それぞれ、各マウスから回収し、糞便1gに含まれるフルクトース量を算出した。
【0111】
なお、算出方法は、以下の通りである。
回収された糞便1gあたりに10mLの注射用水を添加し、4℃、O/Nで浸漬した。翌日、遠心を行い、上清をフルクトースの抽出液とした。EnzyChromTM Fructose Assay Kit (EFRU-100)(BioAssay Systems)を用いて得られた抽出液中のフルクトース濃度を測定し、当該濃度から糞便1gに含まれるフルクトース量を算出した。
【0112】
そして、各群におけるフルクトース量の平均(相加平均)値を算出し、フルクトース投与群におけるフルクトース量の平均値1Aと、フルクトース及び防風通聖散エキス投与群におけるフルクトース量の平均値1Bとの差(1B-1A)を算出した。
【0113】
算出結果を下記表6に示す。
【0114】
【表6】
【0115】
上記表6の結果から明らかなように、フルクトース及び防風通聖散エキス投与群では、フルクトース投与群に比べて、糞便中にフルクトースが高濃度で含まれる(排泄又は排出されている)ことを確認できた。
また、このようなフルクトースの排泄は、フルクトースを投与してから4時間経過後も持続することがわかった。
【0116】
[実験例2]
試験法1において、2回目の経口投与後8時間経過するまでの糞便(0~8時間の糞便)を、それぞれ、各マウスから回収し、糞便に含まれる総フルクトース量を算出した。
【0117】
なお、算出方法は、実験例1と同様の方法とした。すなわち、回収された糞便1gあたりに10mLの注射用水を添加し、4℃、O/Nで浸漬した。翌日、遠心を行い、上清をフルクトースの抽出液とした。EnzyChromTM Fructose Assay Kit (EFRU-100)(BioAssay Systems)を用いて得られた抽出液中のフルクトース濃度を測定し、当該濃度と糞便の総量から、総フルクトース量を算出した。
【0118】
そして、各群における総フルクトース量の平均(相加平均)値を算出し、コントロール群における総フルクトース量の平均値2Aを100とした場合の、フルクトース投与群における総フルクトース量の平均値2B、又はフルクトース及び防風通聖散エキス投与群における総フルクトース量の平均値2Cとの差[100(2B/2A-1)、100(2C/2A―1)]を算出した。
【0119】
算出結果を下記表7に示す。
【0120】
【表7】
【0121】
上記表7の結果からも明らかなように、フルクトース及び防風通聖散エキスを投与した群では、フルクトース投与群に比べて、総量としても顕著にフルクトースが糞便中に排泄(排出)されたことを確認できた。
【0122】
[実験例3]
試験法2において、投与30分経過後、各ラットの肝門脈より採血(ヘパリンでリンスしたシリンジを使用)し、下記方法によりフルクトースの血中濃度を測定した。
【0123】
採血後、遠心して得られた血漿中に含まれるフルクトース濃度を、EnzyChromTM Fructose Assay Kit (EFRU-100)(BioAssay Systems)を用いて定量した。
【0124】
そして、各群におけるフルクトースの血中濃度の平均(相加平均)値を算出し、コントロール群(1)におけるフルクトースの血中濃度の平均値3Aと、フルクトース投与群(2)におけるフルクトースの血中濃度の平均値3B、フルクトース及び防風通聖散エキス投与(1000mg/kg)群(3)におけるフルクトースの血中濃度の平均値3C、又はフルクトース及び防風通聖散エキス投与(2500mg/kg)群(3)におけるフルクトースの血中濃度の平均値3Dとの差(3B-3A、3C-3A、3D-3A)を算出した。
【0125】
算出結果を下記表8に示す。
【0126】
【表8】
【0127】
上記表8の結果からも明らかなように、フルクトース及び防風通聖散エキスを投与した群では、フルクトース投与群に比べて、フルクトース血中濃度が顕著に抑えられていることを確認できた。
なお、この結果は、フルクトースの吸収が抑制されること、さらには、便中へのフルクトースの排泄(実験例1及び2の結果)を示唆(支持)している。
【0128】
[実験例4]
試験法3において、投与30分後、60分後、90分後、120分後、240分後、各ラットの頸静脈より採血(ヘパリンでリンスしたシリンジを使用)し、採血後、遠心して得られた血漿中に含まれるフルクトース濃度を、EnzyChromTM Fructose Assay Kit (EFRU-100)(BioAssay Systems)を用いて定量し、平均値を算出した。結果を下記表9に示す。
【0129】
【表9】
【0130】
上記表9の結果からも明らかなように、フルクトース及び防風通聖散エキスを投与した群では、フルクトース投与群に比べて、投与後もフルクトース血中濃度が顕著に抑えられていることを確認できた。また、240分後の結果を含めて考慮すると、防風通聖散エキスにより、フルクトースの吸収が遅くなっており、フルクトースの血中濃度の上昇も抑えられていることが確認できた。
【0131】
[実験例5]
試験法4において、投与30分経過後、各マウスの肝門脈より採血(ヘパリンでリンスしたシリンジを使用)し、下記方法によりフルクトースの血中濃度を測定した。
【0132】
採血後、遠心して得られた血漿中に含まれるフルクトース濃度を、EnzyChromTM Fructose Assay Kit (EFRU-100)(BioAssay Systems)を用いて定量した。
【0133】
そして、各群におけるグルコースの血中濃度の平均(相加平均)値を算出した。なお、防風通聖散エキスに含まれるグルコースの影響を排除(補正)するため、防風通聖散エキス投与群(2)の血中グルコース濃度も算出(測定)し、当該算出(測定)値をグルコース及び防風通聖散エキス群(4)の評価に用いた。
具体的には、防風通聖散エキス投与群(2)において、コントロール群(1)のグルコースの血中濃度の平均値5Aと防風通聖散エキス群(2)のグルコースの血中濃度の平均値5Bの差を、グルコース群(3)のグルコースの血中濃度の平均値5Cに足すことで得られる想定値を100とした場合の、グルコース及び防風通聖散エキス群(4)の血中グルコース濃度の平均値5Dの値[100{5D/(5B-5A+5C)}]を算出した。
【0134】
算出結果を下記表10に示す。
【0135】
【表10】
【0136】
上記表10の結果からも明らかなように、防風通聖散エキスは、グルコースの血中濃度もまた抑えることを確認できた。
なお、この結果は、防風通聖散が幅広い糖質に対して吸収抑制作用があることを示唆(支持)している。
【0137】
[実験例6]
試験法5において、投与30分経過後、各マウスの肝門脈より採血(ヘパリンでリンスしたシリンジを使用)し、下記方法によりフルクトースの血中濃度を測定した。
【0138】
採血後、遠心して得られた血漿中に含まれるフルクトース濃度を、EnzyChromTM Fructose Assay Kit (EFRU-100)(BioAssay Systems)を用いて定量した。
【0139】
そして、各群におけるフルクトースの血中濃度の平均(相加平均)値を算出し、フルクトース群(1)におけるフルクトースの血中濃度の平均値1Aを100とした場合の、フルクトース及び防風通聖散エキス群(2)におけるフルクトースの血中濃度の平均値1B、フルクトース及びAエキス群(3)におけるフルクトースの血中濃度の平均値1C、又はフルクトース及びBエキス群(4)におけるフルクトースの血中濃度の平均値1Dの値[100(1B/1A)、100(1C/1A)、100(1D/1A)]を算出した。
【0140】
算出結果を下記表11に示す。
【0141】
【表11】
【0142】
上記表11の結果からも明らかなように、フルクトース及び防風通聖散エキスを投与した群において、フルクトースの血中濃度の抑制作用が最も減弱していることを確認できた。
なお、Aエキス及びBエキスは、いずれも、防風通聖散エキスを構成する成分(生薬)の一部(防風通聖散エキスから一部の生薬を除いたもの)に対応し、その投与量も防風通聖散エキスの投与量に対応させたものである。
そのため、表11の結果は、防風通聖散エキスが、その構成成分(生薬)の組み合わせ(さらにはその配合割合)において、糖の吸収が抑制されること、さらには、便中への糖の排泄(実験例1及び2の結果)を示唆(支持)している。
【0143】
前記のように、剤の好適な形態として、錠剤が挙げられる。以下、本発明の剤(錠剤)として好適な錠剤の作成例を挙げる。
【0144】
[試験例1]
下記のようにして、各種錠剤を作成した。
【0145】
<錠剤(A1)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス630g、D-マンニトール762.8g、結晶セルロース40gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム7.2gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧5kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠600mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0146】
<錠剤(A2)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス630g、D-マンニトール415g、結晶セルロース30gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム5.4gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧5kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠600mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0147】
<錠剤(A3)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス630g、D-マンニトール241g、結晶セルロース25gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム4.5gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧5kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠600mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0148】
<錠剤(A4)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス1260g、D-マンニトール133g、結晶セルロース40gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム7.2gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧5kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠600mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0149】
<錠剤(B1)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス630g、D-マンニトール762.8g、結晶セルロース40gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム7.2gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧5kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠300mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0150】
<錠剤(B2)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス630g、D-マンニトール241g、結晶セルロース25gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム4.5gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧4kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠300mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0151】
<錠剤(B3)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で防風通聖散エキス1260g、D-マンニトール133g、結晶セルロース40gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム7.2gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧13kN、予圧5kN、回転盤回転数30rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠300mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0152】
<錠剤(C1)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で抑肝散エキス315g、D-マンニトール381g、結晶セルロース20gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム3.6gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧15kN、予圧7kN、回転盤回転数15rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠600mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0153】
<錠剤(C2)>
表12に記載の処方に基づき、ビニールチューブ内で抑肝散エキス630g、D-マンニトール6.4g、結晶セルロース20gを混合した。その後、混合物を解砕機にて解砕の後、ステアリン酸マグネシウム3.6gを混合し、打錠用粉を調製した。この打錠用粉を本圧15kN、予圧7kN、回転盤回転数15rpm、攪拌羽根回転数50rpmという打錠条件にて1錠600mgとなるように打錠を行い、錠剤を得た。
【0154】
なお、防風通聖散エキスには、質量比として、防風1.2質量部、黄ごん2質量部、大黄1.5質量部、芒硝1.5質量部、麻黄1.2質量部、石膏2質量部、白朮2質量部、荊芥1.2質量部、連翹1.2質量部、桔梗2質量部、山梔子1.2質量部、芍薬1.2質量部、当帰1.2質量部、川きゅう1.2質量部、薄荷1.2質量部、滑石3質量部、生姜0.4質量部、及び甘草2質量部を含有するものを常法により製造して使用した。
【0155】
得られた錠剤について、硬度計(PHARMA TEST社製、PTTB311E)を使用して硬度H1を測定し(n=5)、有効成分とマンニトール量のみ異なり、有効成分量が最も少ないもの(この例では43.8質量%である場合A1、B1又はC1)の硬度H2に対する比率(H1/H2)を算出した。
【0156】
また、打錠終了時の非キャッピング率[1-(キャッピングが発生した錠剤数/錠剤数)]X1を調べ、有効成分量及びマンニトール量のみ異なり、有効成分量が最も少ないもの(この例ではA1、B1又はC1)の非キャッピング率X2に対する比率(X1/X2)を算出した。
【0157】
【表12】
【0158】
[試験例2]
試験例1で得られた錠剤を用いて、1日3回の用法、下記表9~10に示す用量(防風通聖散エキスとして1日あたりの用量)にて、錠剤数等を決定し、当該用法・用量にて服用し、下記のようにして服用性を調査した。
同じ錠剤で、1日あたりの有効成分量が最も少ないもの(この例ではA1又はB1)と比べた、服用性を下記基準にて評価した。
【0159】
3点:非常に服用しやすくなった
2点:服用しやすくなった
1点:やや服用しやすくなった
0点:服用しやすさに変わりはない
-1点:やや服用しにくくなった
-2点:服用しにくくなった
-3点:非常に服用しにくくなった
【0160】
なお、服用性は、1錠あたりの錠剤の飲みやすさと、1回あたり及び1日あたりの服用錠数の多少を加味して、各パネラーが総合的に評価した。
【0161】
結果を下記表13~14に示す。
なお、表において、服用性(点)は、各パネラーの点数の平均値(平均点)である。
【0162】
また、表において、錠剤の1日又は1回あたりの個数や体積は、平均値(計算値)である。
そして、1日の服用錠数が小数点を含む場合には、小数第一位を四捨五入して調整し、1回あたりの服用数が整数となるよう、かつバラツキがないよう服用した。
例えば、錠剤種B2、用量4000mg/日(表13の2番目の行)は、「19.0個/日」「6.3個/回」と計算されるが、実際の服用は、1日あたり、「6個」、「6個」、「7個」」の計3回として服用した。
また、錠剤種B1、用量5000mg/日(表13の4番目の行)は、「38.1個/日」「12.7個/回」と計算されるが、実際の服用は、1日あたり、「13個」、「13個」、「12個」の計3回として服用した。
【0163】
【表13】
【0164】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明では、新規な剤等を提供できる。