(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164633
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】スイッチの動作機構
(51)【国際特許分類】
H01H 33/42 20060101AFI20221020BHJP
H01H 3/46 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01H33/42 K
H01H33/42 Q
H01H3/46
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067484
(22)【出願日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】2105357.4
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2115136.0
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・クノル
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・ポストマス
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA08
5G028EB01
5G028EB10
5G028EB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガス絶縁開閉装置の気密区画内で、開位置と閉位置との間を移動させるための動作機構と、気密区画外でスイッチの動作を伝達される部位との接続部での絶縁ガス漏れを低減する。
【解決手段】一次シャフト16と、一次シャフト16と同軸に配設された二次シャフト13との間に配設された連結部14,15であって、第1の回転位置と第2の回転位置との間での一次シャフト16及び二次シャフト13の相対的な軸方向回転を可能にする回転遊びを有し、一次シャフト16を第1の回転方向に付勢するためのばね17と、一次シャフト16から半径方向に延伸する制御レバー23と、一次シャフト16から半径方向に延伸する係合解除レバー18と、一次シャフト16の第1の回転方向への回転を制限するために係合解除レバー18の経路内に移動可能なローラ19と、を有するラッチを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開位置と閉位置との間でスイッチを移動させるための操作レバー(1)と前記スイッチの可動部に配設された動作ピン(24)とを有する前記スイッチを動作させるための装置であって、
-一次シャフト(16)と、
-前記一次シャフト(16)と同軸に配設された二次シャフト(13)であって、前記二次シャフト(13)を回転させることによって前記スイッチの前記操作レバー(1)をロック及び係合解除するように配設されたDシャフト部分(10)を有する、二次シャフト(13)と、
-前記一次シャフト(16)と前記二次シャフト(13)との間に配設された連結部(14、15)であって、第1の回転位置と第2の回転位置との間での前記一次シャフト(16)及び前記二次シャフト(13)の相対的な軸方向回転を可能にする回転遊びを有する、連結部(14、15)と、
-前記一次シャフト(16)を第1の回転方向に付勢するための一次ばね(17)と、
-前記一次シャフト(16)から半径方向に延伸する制御レバー(23)であって、前記動作ピン(24)が前記一次シャフト(16)を第2の回転方向に移動させることができるように、接点の前記動作ピン(24)と接触する、制御レバー(23)と、
-前記一次シャフト(16)から半径方向に延伸する係合解除レバー(18)と、前記一次シャフト(16)の前記第1の回転方向への回転を制限するために前記係合解除レバー(18)の経路内に移動可能なローラ(19)と、を有するラッチと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記連結部は、2つの連結ヨーク形状部品(14、15)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ラッチの前記ローラ(19)は、前記一次シャフト(16)に平行な補助シャフト(22)の周りを回転するレバー(21)上に配設され、ばね(20)が、前記ローラ(19)を前記第2の回転方向に付勢するために前記係合解除レバー(18)と接触して設けられ、アクチュエータが、前記ローラ(19)と共に前記レバー(21)を前記第1の回転方向に付勢するように配設されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記二次シャフト(13)を第2の回転方向に付勢するための二次ばね(11)を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
開位置と閉位置との間でスイッチを移動させるための操作レバー(1)と前記スイッチの可動部に配設された動作ピン(24)とを有する前記スイッチを動作させること及び請求項1から4のいずれか一項に記載の装置の組み合わせ。
【請求項6】
前記スイッチは、互いに対して移動可能な2つの接点と、前記接点のうちの1つに接続された動作ロッド(4)とを更に含み、前記操作レバー(1)は前記動作ロッド(4)に接続され、前記動作ピン(24)は前記動作ロッド(4)に固定的に配設されている、請求項5に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記操作レバー(1)の自由端に、前記スイッチの前記閉位置において前記二次シャフト(13)の前記D字形部分(10)の湾曲した表面と接触するローラ(12)が設けられている、請求項4又は5に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開位置と閉位置との間でスイッチを移動させるための操作レバーとスイッチの可動部に配設された動作ピンとを有するスイッチを動作させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置では、区画内の絶縁ガスの量及び品質は安定しているべきである。したがって、漏れは可能な限り回避されるべきである。しかしながら、好ましくは気密区画内に配設された開閉装置のスイッチを動作させるための動作機構は、動作可能でなければならない。必要な変位及び荷重を区画の内側から外側に、及び外側から内側に伝達できるようにするには、機械的接続が必要である。絶縁ガスの漏れを低減又は防止するには、動作機構の要素の数及びサイズを最小限に抑える必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、絶縁ガスの漏れが低減又は防止される、序文に記載の動作機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明によれば、開位置と閉位置との間でスイッチを移動させるための操作レバーと、スイッチの可動部に配設された動作ピンと、を有するスイッチ(すなわち、切り替え/動作機構)を動作させるための装置によって達成され、装置は、
-一次シャフトと、
-一次シャフトと同軸に配設された二次シャフトであって、二次シャフトを回転させることによってスイッチの操作レバーをロック及び係合解除するように配設されたDシャフト部分を有する、二次シャフトと、
-一次シャフトと二次シャフトとの間に配設された連結部であって、第1の回転位置と第2の回転位置との間での一次シャフト及び二次シャフトの相対的な軸方向回転を可能にする回転遊びを有する、連結部と、
-一次シャフトを第1の回転方向に付勢するためのばねと、
-一次シャフトから半径方向に延伸する制御レバーであって、動作ピンが一次シャフトを第2の回転方向に移動させることができるように、接点の動作ピンと接触する、制御レバーと、
-一次シャフトから半径方向に延伸する係合解除レバーと、一次シャフトの第1の回転方向への回転を制限するために係合解除レバーの経路内に移動可能なローラと、を有するラッチと、
を備える。
【0005】
同軸に配設された一次シャフト及び二次シャフトを使用することの利点は、気密区画に必要な開口部が少なくなり、漏れが低減又は回避されることである。なお、その引き外し及びリセットは、本発明による装置を用いて行うことができる。
【0006】
連結部が回転遊びを有することにより、スイッチの操作レバーがロックされ、一次シャフトが二次シャフトに結合されて第1の回転方向への回転が制限されるように、Dシャフト部分を位置決めすることが可能となる。一次ばねは、一次シャフトを第1の回転方向に付勢し、一次シャフトは、ラッチが係合解除されるとすぐに、Dシャフト部分が操作レバーを係合解除してスイッチが開位置に移動することができるように、二次シャフトを回転させる。
【0007】
次いで、スイッチが開位置に移動すると、動作ピンの移動が、一次シャフトから半径方向に延伸する制御レバーを使用して、一次シャフトの第2の回転方向への回転運動へと伝達されることにより、ラッチが一次シャフトの第1の回転方向への回転を再びリセット及び制限することができる。
【0008】
連結部の回転遊びにより、二次シャフトは、一次シャフトの回転に直接結合されず、スイッチが再び閉位置に移動されてスイッチの操作レバーが戻された瞬間に、Dシャフト部分が回転することを可能にする。
【0009】
本発明による装置の好ましい一実施形態では、連結部は、2つの連結ヨーク形状部品を含む。
【0010】
連結ヨーク部品は、ヨーク部品の幅を寸法決めすることによって回転遊びを可能にし、両方のヨーク部品が互いに回転接触している時に力を確実に伝達する。
【0011】
本発明による装置の別の好ましい一実施形態では、ラッチのローラは、一次シャフトに平行な補助シャフトの周りを回転するレバー上に配設され、ばねが、ローラを第2の回転方向に付勢するために係合解除レバーと接触して設けられ、アクチュエータが、ローラと共にレバーを第1の回転方向に付勢するように配設されている。
【0012】
アクチュエータは、一次シャフトの係合解除をトリガすることを可能にし、一次シャフトは次いで、スイッチが開位置に向かって移動することができるように、Dシャフト部分を回転させて操作レバーを係合解除する。ばねは、アクチュエータが動作停止された後にレバーが元の位置に戻ることを可能にする。
【0013】
本発明による装置の更なる一実施形態は、二次シャフトを第2の回転方向に付勢するための二次ばねを更に備える。これにより、Dシャフト部分は、スイッチの操作レバーがロックされていた回転位置に戻ることができる。操作レバーが閉スイッチ位置に戻ると、レバーはDシャフト部分と接触する。連結部の回転遊びにより、操作レバーはDシャフト部分を第1の回転方向に押すことができ、それにより、動作レバーは通過することができ、Dシャフト部分は二次ばねによってロック位置に戻ることができる。
【0014】
本発明はまた、開位置と閉位置との間でスイッチを移動させるための操作レバーとスイッチの可動部に配設された動作ピンとを有するスイッチを動作させること及び先行する請求項のいずれか一項に記載の装置の組み合わせに関する。
【0015】
本発明による組み合わせの好ましい一実施形態では、スイッチは、互いに対して移動可能な2つの接点と、これらの接点のうちの1つに接続された動作ロッドとを更に含み、操作レバーは動作ロッドに接続され、動作ピンは動作ロッドに固定的に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明のこれら及び他の特徴を、添付の図面と併せて説明する。
【
図1A】本発明による組み合わせの一実施形態を概略的に示す。
【
図1B】本発明による組み合わせの一実施形態を概略的に示す。
【
図1C】本発明による組み合わせの一実施形態を概略的に示す。
【
図5】本発明の構成(5A)を先行技術の構成(5B)と比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは、第2のリンク3と共にリンク機構を形成する第1のリンク2に接続された操作レバー1を概略的に示す。第2のリンク3は、スイッチを操作するために使用することができるブリッジ4にヒンジ結合されている。
【0018】
第1のリンク2と第2のリンク3との間のヒンジにローラ5が配設されている。このローラ5は、カムシャフト7上に配設されたカム6によって操作される。リンク機構2、3の閉動作を補助するばね8がカムシャフト7に接続されている。
【0019】
更に、Dシャフト部分10が、二次ばね11によって第2の回転運動へと付勢される。操作レバー1の自由端には、Dシャフト部分10と協働することができるローラ12も設けられている。
【0020】
図1Aは、ブリッジ4及び、開位置でブリッジ4を使用して操作される任意のスイッチを示す。カムシャフト7の回転により、ばね8によって補助されたカム6は、
図1B及び
図1Cに示すように、リンク機構2、3が伸展してブリッジ4を下方に押すようにローラ5を押す。
【0021】
リンク機構2、3の伸展により、操作レバー1の自由端上のローラ12は、
図1Bに示すようにDシャフト部分10の平坦部分と接触し、
図1Cに示すようにDシャフト部分10を通過する。ローラ12がDシャフト部分10を通過すると、二次ばね11は、ローラ12及び操作レバー1がロック位置となるようにDシャフト部分10を回転させることができる。
【0022】
図2は、Dシャフト部分10を有する
図1A~
図1Cによる組み合わせの装置を示す。このDシャフト部分10は、2つの連結ヨーク部分14、15によって一次シャフト16に結合された二次シャフト13上に配設されている。ヨーク部分14、15は、一次シャフト16と二次シャフト13との間に回転遊びを提供する。
【0023】
一次ばね17は、一次シャフト16上に設けられて、一次シャフト16を第1の回転方向に付勢する。係合解除レバー18と、係合解除レバー18の経路内に移動可能なローラ19と、係合解除レバー18を第2の回転方向に付勢するばね20とを含むラッチが設けられている。ローラ19は、補助シャフト22の周りを回転するレバー21上に配設されている。
【0024】
また、制御レバー23が、一次シャフト16から半径方向に延伸している。制御レバー23は、ブリッジ4に固定的に配設され、ブリッジ4と共に移動する動作ピン24によって制御することができる。
【0025】
図2では、一次シャフト16の第1の回転方向への回転は、レバー18及びローラ19によって制限されている。また、操作レバー1のローラ12の移動は、(
図1Cにも示されるように)Dシャフト部分10によってロックされている。
【0026】
図3では、レバー21は、例えばアクチュエータによってレバー21に力Fを加えることによって、第1の回転方向に回転される。その結果、ローラ19は、ばね17が一次シャフト16を付勢することができるように、係合解除レバー18と係合解除する。連結部によって、二次シャフト13も第1の回転方向に付勢されるため、Dシャフト部分10がローラ12を係合解除し、操作レバー1が移動することができ、スイッチが開位置に移動することができる。
【0027】
同時に、動作ピンが制御レバー23に向かって移動され、その結果、
図4に示すように、一次シャフト16が一次ばね17の力に抗して第2の回転方向に回転する。これはまた、レバー21がそのばね20によって一次シャフト16の回転運動を再び制限することができる位置に戻ることを可能にする。言い換えれば、レバー21は、一次シャフト16の回転を制御する(阻止するか又は可能にする)ことができる。
図4に示す構成は、
図1Aに示す位置に対応する。
【0028】
図4の破線ボックス26内に、気密区画内にある切り替え機構の構成要素を示す。ボックス26は、気密区画の概略図である。同軸に配設された一次シャフト及び二次シャフトを使用することにより、区画26に必要とされる開口部が少なくなり、ガス漏れが低減又は回避される。なお、スイッチの引き外し及びリセットは、本発明による装置を用いて行うことができる。
【0029】
図5Aを参照すると、装置は、スイッチブリッジと共に示されている。一次シャフト16上に配設された軸受ハウジング50が図示されている。軸受ハウジングは、区画26(図示せず)上に固定され、区画からのガス漏れを低減するために一次シャフト16の周りにシールを有する。一次ばね17、係合解除レバー18を有するラッチ、及びレバー21は、区画の外側に配設されている。実際の切り替え機構、すなわち、スイッチの操作レバー1をロック及び係合解除するための制御レバー23及びD字形部分10は、(
図4に示す破線ボックス26内に示すように)気密区画内に配設されている。
【0030】
同軸シャフトを提供することによって、すなわち、機構を単一の軸に沿って配設することによって、スイッチの開閉及びスイッチ接点の位置指示の両方を容易にするために軸受50に必要な開口部は1つのみとなる。例えば、スイッチ接点の位置指示のために、シャフト延長部52を一次シャフト及び二次シャフトと同軸に配設することができる。
【0031】
対照的に、
図5Bに示されるような以前から知られている(又は従来技術の)構成では、2つの異なる軸上のシャフト、すなわち、接点の開放を制御するための第1のシャフト/軸54と、スイッチ接点の位置指示のための第2のシャフト/軸56と、を使用することが必要である。結果として、
図5Bの軸受50’に2つの穴が存在し、したがって、切り替え機構を囲む気密区画に2つの穴が存在する。しかしながら、本明細書に記載の特定の機構は、これらの異なる接触位置及びスイッチ係合解除シャフトを同軸に配設することを可能にし、気密区画26からのガス漏れを低減することによって、先行技術を超える利点を提供する。
【0032】
図5Aを更に参照すると、レバー21を手動で作動又は動作させて力Fを加えるためのロッド58を設けてもよい。追加的に又は代替的に、レバー21を自動操作して(手動での作動とは無関係に)力Fを自動的に加えるための機構60を設けてもよい。いくつかの例では、機構60は、1つ以上のソレノイドを備える。
図5Aには2つのソレノイドが示されているが、必要なソレノイドは1つだけであってもよい。
【外国語明細書】