(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164705
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】薬品払出システム、調整システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20221020BHJP
【FI】
G16H40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128311
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2022541248の分割
【原出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2021069764
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022001830
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 知也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 謙順
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】異なる種類の薬品の払い出しが可能な薬品払出部を利用した薬品の払い出しを支援することが可能な薬品払出システム及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る薬品払出システム(500)は、異なる種類の薬品の払い出しが可能な複数の状態に調整可能な調整部を備える薬品払出部(2)から薬品が払い出されたか否かを判定する判定処理部(212)と、前記判定処理部(212)により前記薬品払出部(2)から薬品が払い出されたと判定された場合に、当該薬品払出部(2)及び当該薬品の種類との対応関係が特定可能な払出確認情報を記憶部(206、202)に記憶する記憶処理部(213)とを備える。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる種類の薬品の払い出しが可能な複数の状態に調整可能な薬品払出部から薬品が払い出されたか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部により前記薬品払出部から薬品が払い出されたと判定された場合に、当該薬品払出部との対応関係が特定可能な状態で払出確認情報を記憶部に記憶する記憶処理部と、
を備える、薬品払出システム。
【請求項2】
前記薬品払出部に対応する前記払出確認情報が前記記憶部に記憶されていない場合は、当該薬品払出部から薬品払出データに基づいて薬品を払い出す薬品払出動作を制限する制限処理部を更に備える、
請求項1に記載の薬品払出システム。
【請求項3】
前記判定処理部は、前記薬品払出部に割り当てられる払出対象の薬品の種類に応じた当該薬品払出部の調整後に実行され、当該薬品払出部から薬品を払い出すテスト払出動作において、当該薬品払出部から薬品が払い出されたか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の薬品払出システム。
【請求項4】
前記記憶処理部は、前記払出確認情報と、前記薬品払出部と、当該薬品払出部に割り当てられた前記薬品の種類との対応関係が特定可能な状態で当該払出確認情報を記憶する、
請求項3に記載の薬品払出システム。
【請求項5】
前記薬品払出部から払い出される薬品を検出可能な払出検出部を更に備え、
前記判定処理部は、前記薬品払出部についての前記テスト払出動作において、予め設定された特定数の薬品の払い出しが前記払出検出部で検出されたことを条件に、当該薬品払出部から薬品が払い出されたと判定する、
請求項3又は4に記載の薬品払出システム。
【請求項6】
前記判定処理部は、前記薬品払出部についての前記テスト払出動作が実行された後に、特定のユーザー操作が行われたことを条件に、当該薬品払出部から薬品が払い出されたと判定する、
請求項3又は4に記載の薬品払出システム。
【請求項7】
前記判定処理部は、前記薬品払出部についての前記テスト払出動作が終了したことを条件に、前記薬品払出部から薬品が払い出されたと判定する、
請求項3又は4に記載の薬品払出システム。
【請求項8】
前記テスト払出動作の開始前に、前記薬品払出部に充填する薬品の数量、充填日、又は使用期限のいずれか一又は複数の入力を受け付け可能な受付処理部を更に備える、
請求項3~7のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項9】
前記薬品払出部に薬品を充填する際に表示される表示画面に、当該薬品払出部に対応する前記払出確認情報の有無を表示する表示処理部を更に備える、
請求項1~8のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項10】
前記記憶部は、前記払出確認情報に対応する前記薬品払出部に設けられている、
請求項1~9のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項11】
前記記憶処理部は、前記払出確認情報と、前記薬品払出部の識別情報と、当該薬品払出部に割り当てられた前記薬品の種類とを対応付けて前記記憶部に記憶する、
請求項1~10のいずれかに記載の薬品払出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる種類の薬品の払い出しが可能な薬品カセットなどの薬品払出部を備える薬品払出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、処方データに基づいて薬品カセットから薬品を自動で払い出し可能な薬品払出装置が知られている。また、この種の薬品払出装置で用いられる薬品カセットとして、例えば薬品の払出経路の寸法などが調整可能であって、薬品の払出経路の寸法の調整によって複数種類の薬品の払い出しに利用可能な構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬品カセットは、ユーザーが手動で調整可能であることも考えられる。この場合、ユーザーが払出対象の薬品の種類に応じて薬品の払出経路の寸法を予め正しく調整していなければ、薬品カセットから払出対象の薬品を正しく払い出すことはできない。
【0005】
本発明の目的は、異なる種類の薬品の払い出しが可能な薬品払出部を利用した薬品の払い出しを支援することが可能な薬品払出システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬品払出システムは、異なる種類の薬品の払い出しが可能な複数の状態に調整可能な薬品払出部から薬品が払い出されたか否かを判定する判定処理部と、前記判定処理部により前記薬品払出部から薬品が払い出されたと判定された場合に、当該薬品払出部との対応関係が特定可能な状態で払出確認情報を記憶部に記憶する記憶処理部と、を備える。
【0007】
本発明に係るプログラムは、異なる種類の薬品の払い出しが可能な複数の状態に調整可能な薬品払出部から薬品が払い出されたか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記薬品払出部から薬品が払い出されたと判定された場合に、当該薬品払出部との対応関係が特定可能な状態で払出確認情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、をプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異なる種類の薬品の払い出しが可能な薬品払出部を利用した薬品の払い出しを支援することが可能な薬品払出システム及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、調整装置を備えた薬品払出装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、薬品カセットとベースの斜視図である。
【
図3】
図3は、薬品カセットの蓋を取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、薬品カセットの底から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、薬品カセットのロータを取り外した状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、カセット本体のロータ駆動部の分解斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、カセット本体の仕切調整機構の分解斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、仕切部材の進入位置を示すカセット本体の断面図である。
【
図14】
図14は、深さ調整機構による深さの調整状態を説明するカセット本体の断面図である。
【
図15】
図15は、高さ調整機構による高さの調整状態を説明するカセット本体の断面図である。
【
図16】
図16は、幅調整機構による幅の調整状態を説明する可動部材と幅調整部材の平面図(a)及び底面図(b)である。
【
図22】
図22は、回転部材の正面図(a)、縦断面図(b)、横断面図(c)である。
【
図25】
図25は、グリップ部の外側部材の下方から見た斜視図である。
【
図26】
図26は、軸部の第1部材の下方から見た斜視図である。
【
図27】
図27は、軸部の第2部材の下方から見た斜視図である。
【
図28】
図28は、調整部材の断面図(a)、グリップ部上昇時の断面図(b)、トルクリミッタ作動時の断面図(c)である。
【
図30】
図30は、薬品払出システムのシステム構成図である。
【
図32】
図32は、薬品払出システムで用いられる情報の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、薬品払出システムで実行される薬品割当処理の一例を示すフローチャートである。
【
図34】
図34は、薬品払出システムで実行される調整支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図35】
図35は、薬品払出システムで実行される調整支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図36】
図36は、薬品払出システムで実行される調整支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図37】
図37は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図38】
図38は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図39】
図39は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図40】
図40は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図41】
図41は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図42】
図42は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図43】
図43は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図45】
図45は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図46】
図46は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図47】
図47は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図48】
図48は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図49】
図49は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図50】
図50は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図51】
図51は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図52】
図52は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図53】
図53は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図54】
図54は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図55】
図55は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図56】
図56は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図57】
図57は、薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図58】
図58は、薬品払出システムで実行される薬品払出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図59】
図59は、薬品払出システムで実行される作業支援表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図60】
図60は、薬品払出システムで実行される薬品投入支援処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係る薬品払出装置1は、複数のベース3と、当該ベース3各々に着脱可能な複数の薬品カセット2と、コード読取部304と、調整装置100とを備える。
【0012】
薬品払出装置1は、上位システムから入力される処方データなどの薬品払出データに基づいて、当該薬品払出装置1に装着された一又は複数の薬品カセット2から払出対象の錠剤を払い出し、例えば服用時期などの所定の単位ごとに対応する薬包紙に分包する薬品払出動作を実行することが可能である。前記処方データは、薬品払出データの一例であり、薬品払出装置1は、処方データに基づいて生成される分包データに基づいて薬品払出動作を実行してもよい。
【0013】
薬品カセット2は、異なる種類の錠剤の払い出しが可能な複数の状態に調整可能な薬品払出部の一例である。具体的に、薬品カセット2は、当該薬品カセット2における錠剤の払出経路(後述の錠剤案内路8b)を、異なる種類の錠剤の払い出しが可能な複数の状態に調整するための後述の調整部を備える。そして、薬品カセット2では、前記調整部によって、前記払出経路の寸法が調整されることにより、当該薬品カセット2が、異なる種類の錠剤の払い出しが可能な複数の状態に変位可能である。調整装置100は、ユーザーが薬品払出装置1の薬品カセット2の前記調整部を操作することにより当該薬品カセット2の状態を手動で調整する手動調整作業で用いられる。なお、本実施形態における錠剤は、本発明における薬品の一例である。
【0014】
しかしながら、ユーザーが払出対象の薬品の種類に応じて前記調整部を予め正しく調整していなければ、薬品カセット2から払出対象の薬品を正しく払い出すことはできない。これに対し、本実施形態に係る薬品払出システム500では、異なる種類の薬品の払い出しが可能な薬品カセット2を利用した薬品の払い出しを支援することが可能である。
【0015】
<薬品カセットの構成>
図2は、薬品払出装置1に装着される薬品カセット2及びベース3を示す。薬品カセット2は、カセット本体5と、該カセット本体5の上方開口を開閉かつ着脱可能に覆う蓋6と、カセット本体5の下部に設けられたスカート部7と、
図3に示すようにカセット本体5に収容されたロータ8とを含む。
【0016】
また、カセット本体5の底部には、RFIDタグ206が設けられている。なお、本実施形態では、RFIDタグ206が本発明係る記憶部の一例である。一方、ベース3には、薬品カセット2が装着された場合に当該薬品カセット2のRFIDタグ206から情報を読み取り可能な位置にデータ読取部306が設けられている。
【0017】
蓋6の上面とスカート部7の正面には、薬品カセット2に収容される錠剤を識別することができるラベル又はカードが収容されるポケット6a、7aが形成されている。
図4に示すように、スカート部7の内側面には、
図2に示すベース3の装着ガイド3aに摺接するスライド部7bと、装着ガイド3aの係止部3bに係合する弾性係合片7cとが設けられている。
【0018】
<カセット本体の構造>
図5に示すように、カセット本体5は、上方に開口する矩形の上部5aと、逆円錐状の傾斜部5bと、円筒筒状部5cと、底部5dとを含む。底部5dから傾斜部5bまでの内部空間には、ロータ8が収容されるとともに、ロータ8より上方に多数の錠剤Tが収容可能になっている。傾斜部5bの下部から底部5dにかけて錠剤排出孔9が形成されている。錠剤排出孔9は、
図2に示すベース3に形成された錠剤排出路3cに連通している。カセット本体5の外側には、仕切部材20と、該仕切部材20の位置を調整する後述する仕切調整機構M1とが取り付けられている。該仕切部材20の先端は傾斜部5bの外側から錠剤排出孔9の上方に形成された
図6に示すスリット9aを介して内側に差し込まれている。底部5dの中央には、
図6に示すロータ駆動部10が収容されるロータ軸孔11が形成されている。
【0019】
<ロータ駆動部>
図7に示すように、ロータ駆動部10は、ロータ軸孔11に貫通する駆動軸12と、該駆動軸12の上端に係合して該駆動軸12と一体に回転する係合軸13と、駆動軸12の下端に係合して該駆動軸12と一体に回転する駆動ギア14と、係合軸13、駆動軸12及び駆動ギア14を貫通してこれらを一体化する中心軸15とを含む。係合軸13は、駆動軸12の上端面に当接する円形の基部13aと、該基部13aの外周縁から下方に突出する周6等配位置にある係合片13bと、隣接する係合片13bの下端を連結する連結部13cとを含む。係合片13b及び連結部13cの内面は、リング16を介して、ロータ軸孔11の縁に設けられた環状突起11aの外周面に摺動自在に設けられている。
【0020】
係合片13bは、ロータ8を装着したときに、
図10に示すロータ8の係合凹部41aの係合片44間のスリット44aに係合して、ロータ駆動部10の回転力をロータ8に伝達する。なお、ロータ8には種々の大きさのものがあるが、ロータ8のカセット本体5のロータ駆動部10への装着間違いを防止するために、ロータ8の大きさ毎に、係合片13b及びスリット44aの数を6個、5個、4個にしてもよい。
【0021】
中心軸15の上端には、鍔15a及び孔15bが形成されている。中心軸の孔15bには、環状の磁石15cが3個の積重ねられた状態で挿入され、ねじ15dで固定されている。磁石15cは、1個の円柱状のものでもよい。中心軸15の下端は、
図4に示すカセット本体5の底部5dに取り付けられたギアカバー17を貫通してC形止め輪15eにより抜け止めされている。駆動ギア14は、
図4に示す中間ギア18を介して、
図2に示すベース3のモータギア3dに係合して駆動されるようになっている。モータギア3dは、ベース3に装着された薬品カセット2から錠剤を払い出す際に駆動されるモータに連結されており、当該モータの駆動力がモータギア3dから駆動ギア14に伝達されることにより、薬品カセット2から錠剤が払い出される。
【0022】
駆動ギア14には、
図4に示すように、カセット本体5の底面に設けられた係止レバー19の一端の係止爪19aが係止している。係止レバー19の他端の作動部19bは薬品カセット2の装着方向に延びている。薬品カセット2をベース3に装着すると、係止レバー19の作動部19bが
図2に示すベース3の所定の当接部3eに当接して係止レバー19をばね19cの付勢力に抗して回動させ、係止爪19aが駆動ギア14から離脱して、駆動ギア14が回転駆動可能となる。また、薬品カセット2をベース3から引き出すと、係止レバー19の作動部19bがベース3の当接部3eから離れ、係止レバー19がばね19cの付勢力で回動し、係止爪19aが駆動ギア14に係止して、駆動ギア14の回転が阻止される。この結果、引き出した薬品カセット2のロータ8の不意の回転により錠剤Tが落下するのを防止することができる。
【0023】
<仕切調整機構>
図8Aに示すように、仕切部材20は、上に凸に湾曲した櫛状に形成されている。仕切部材20は、仕切調整機構M1によりロータ8に対して進退移動可能になっている。仕切調整機構M1は、第1固定部材21と、第2固定部材22と、可動部材23と、仕切調整部材24とを含む。
【0024】
第1固定部材21の中央には、可動部材23のスライド部23cとストッパ28が収容される上ケース部21aが形成されている。第1固定部材21の上ケース部21aの両側には取付孔21bが形成されている。第1固定部材21の下面には、可動部材23を押圧して安定させる1対の弾性片21cが形成されている。弾性片21cの先端には、可動部材23の溝23dに係合する突部21dが形成されている。
【0025】
第2固定部材22の中央には、可動部材23のスライド部23cとストッパ28が収容される下ケース部22aが形成されている。第2固定部材22の下ケース部22aの両側の下縁には、逆U字形の切欠き22bが形成されている。第1固定部材21の上ケース部21aと第2固定部材22の下ケース部22aは、互いに組み合わされると、可動部材23のスライド部23cを収容する下方に開口した可動部材収容部25と、ストッパ28が収容されるストッパ収容部26とを形成する。可動部材収容部25の上ケース部21aの下縁と下ケース部22aの上縁には、仕切調整部材24の軸方向の両端を軸方向に移動不能に支持する半円の切欠き27が形成されている。
【0026】
可動部材23は、下端に仕切部材20を保持する保持部23aと、上端にねじ穴23bを有するスライド部23cとが形成されている。可動部材23の上面両端部には、溝23dが形成されている。
【0027】
仕切調整部材24は、可動部材23のスライド部23cのねじ穴23bに螺合するねじ部24aと係合ギア24bを有している。係合ギア24bにはストッパ28が係止して所要位置に固定できるようになっている。可動部材23の溝23dと、第1固定部材21の突部21dが係合することにより、可動部材23は仕切調整部材24の回転方向に固定されているので、仕切調整部材24が回転すると、可動部材23が仕切調整部材24の軸方向に移動するようになっている。
【0028】
仕切調整機構M1を組み立てるには、まず、可動部材23のスライド部23cを、第2固定部材22の下ケース部22aに下方から収容し、仕切調整部材24をスライド部23cに螺合して貫通させた後、仕切調整部材24の両端を下ケース部22の切欠き27に載置する。また、第2固定部材22の下ケース部22aにストッパ28を収容する。この状態で、仕切調整部材24が第1固定部材21と第2固定部材の切欠き27が形成する孔を貫通するように第2固定部材22に第1固定部材21を重ね合わせると、上ケース部21aに設けられた弾性係止片22eの爪22fが下ケース部22aの下縁に係止して一体に組み付けられる。また、係合ギア24bよりも切欠き27の大きさが小さいので、係合ギア24bは軸方向に移動不能に上ケース部22aと下ケース部22bに固定される。続いて、第2固定部材22の切欠き22bと第1固定部材21の取付孔21bに固定ねじ29を通してカセット本体5の背面のねじ穴5eにねじ込むことで、カセット本体5に固定される。
【0029】
仕切調整機構M1の仕切調整部材24を回転させると、スライド部23cが第1固定部材21の上ケース部21aと第2固定部材22の下ケース部22bの可動部材収容部25内で移動するので、
図8Bに示すように、可動部材23に保持した仕切部材20がカセット本体5内のロータ8に向かって前進又は後退して、仕切部材20の先端位置20aを調整することができる。すなわち、
図8B(a)に示すように、錠剤Tの厚さが厚い場合は、後に詳述するようにロータ8のロータ本体31を上昇させて下部傾斜外面35cとカセット本体5の傾斜部5bとの間の錠剤案内路8bの溝の深さDを大きくするが、これに伴って、仕切部材20の先端もロータ8に向かって前進させる。
図8B(b)に示すように、錠剤Tの厚さが薄い場合は、ロータ8のロータ本体31を下降させて下部傾斜外面35cとカセット本体5の傾斜部5bとの間の錠剤案内路8bの溝の深さDを小さくするが、これに伴って、仕切部材20の先端もロータ8にから後退させる。
【0030】
<ロータの全体構造>
ロータ8は、
図9、10に示すように、概略、上面が円錐形、側面が逆円錐形、底面が平坦な形状を有している。ロータ8の側面上部には、周方向に錠剤ポケット8aが設けられ、該錠剤ポケット8aから下方に延びる複数の錠剤案内路8bが周方向に等間隔に設けられている。
【0031】
錠剤ポケット8aは、後述するロータ本体31の外周面と、後述する第1可動部材60の第1水平突片73と第2可動部材61の第2水平突片82とで形成され、カセット本体5の傾斜部5bに囲まれて、カセット本体5内に収容された錠剤Tを受け入れて周方向に整列させる。
【0032】
錠剤案内路8bは、後述するロータ本体31の下部傾斜外面35cと、後述する第1可動部材60の第1垂直突片72と、後述する第2可動部材61の第2垂直突片81と、後述する環状昇降部材51の錠剤支持台55とにより溝状に形成される。そして、錠剤案内路8bは、カセット本体5の傾斜部5bに覆われて、錠剤ポケット8aに整列している錠剤Tを受け入れて下方に案内する。
【0033】
錠剤案内路8bは、薬品カセット2に収容される錠剤の形状又は大きさに応じて、溝の深さ、高さ、幅を調整し、錠剤が円滑に錠剤案内路8bを通過し、
図5に示す錠剤排出孔9から排出されるようにする必要がある。即ち、薬品カセット2は、当該薬品カセット2に設けられたロータ8の錠剤案内路8bの調整により、任意の錠剤の種類の錠剤を払い出すことが可能である。
【0034】
錠剤案内路8bの溝の「深さ」は、錠剤案内路8bを通る錠剤の厚さ方向の寸法であって、カセット本体5の傾斜部5bとロータ本体31の下向き突部35の下部傾斜外面35cとの間の寸法D(
図8B、
図9参照)である。錠剤案内路8bの溝の「高さ」は、錠剤案内路8bを通る錠剤の高さ方向の寸法であって、仕切部材20とロータ8の環状昇降部材51の錠剤支持台55との間の寸法H(
図9参照)である。錠剤案内路8bの溝の「幅」は、錠剤案内路8bを通る錠剤の幅方向の寸法であって、第1可動部材60の第1垂直突片72と第2可動部材61の第2垂直突片81との間の寸法W(
図9参照)である。
【0035】
ロータ8は、錠剤案内路8bの溝形状を調整するために、深さ調整機構M2、高さ調整機構M3、幅調整機構M4などを含む調整部を有している。前記調整部は、ユーザーによって操作されることにより、薬品カセット2のロータ8を、異なる種類の薬品の払い出しが可能な複数の状態に調整することが可能である。以下、これらを順に説明する。
【0036】
<深さ調整機構>
図11は、深さ調整機構M2を構成する部材を示す。深さ調整機構M2は、ロータカバー30と、ロータ本体31と、ロータベース32と、深さ調整部材33とを含む。
【0037】
ロータカバー30は、全体的に傘形状を有している。ロータカバー30の上面は円錘形に形成されている。
【0038】
ロータ本体31は、円形の基部34と、下向き突部35と、環状部36と、ガイド部37とを有している。
【0039】
基部34にはその中央に軸部38が設けられ、該軸部38に図示しないねじ孔が形成されている。基部34の上面には、後述する高さ調整部材52と幅調整部材64が露出する2つの孔34a、34bが形成されている。
【0040】
下向き突部35は、基部34の外周縁の6等配位置から下方に延びている。下向き突部35は、垂直な内面35aと、基部34の外周縁から外方に下向きに傾斜する上部傾斜外面35bと、該上部傾斜外面35bの下端から内方に下向きに傾斜する下部傾斜外面35cと、両側面35dとを含み、側面から見て三角形に形成されている。下部傾斜外面35cは錠剤案内路8bの溝の底面を形成している。下向き突部35の下端には、スリット35eが形成されている。
【0041】
環状部36は、基部34の外側に同心に形成され、下向き突部35を介して基部34と接続されている。
【0042】
ガイド部37は、下向き突部35の間で、基部34の外周縁の6等配位置から下方に延びている。ガイド部37の内面の両側には、後述するロータベース32のガイド片40がスライド可能に係合するガイド縁37aが形成されている。ガイド片40とガイド縁37aが係合することによって、ロータ本体31とロータベース32は一体的に回転する。6個のガイド部37の内いずれか1のガイド部37の下端には、ゼロ点を検出する検出部となる突起37bが形成されている。
【0043】
ロータベース32は、環状の基部39と、ガイド片40と、係合部41とを有している。
【0044】
基部39は、上面に環状壁42が形成されている。環状壁42には、周6等配位置に軸方向に延びる垂直スリット42aが形成されている。
【0045】
ガイド片40は、基部39の外周縁の周6等配位置であって、かつ、隣接する垂直スリット42aの間に、上方に突出している。ガイド片40はロータ本体31のガイド部37のガイド縁37aにスライド可能に係合するように形成されている。ガイド片40と環状壁42の間には補強リブ43が設けられている。
【0046】
係合部41は、基部39の内周縁の周6等配位置から上方に立ち上がる係合片44と、該係合片44の上端に設けられた円形突部45を有している。係合部41は、裏面からみると、
図10に示すように、ロータ駆動部10が係合する係合凹部41aを形成している。隣接する係合片44の間のスリット44aには、ロータ駆動部10の係合片13bが係合している。円形突部45の内部には、ロータ駆動部10の中心軸15に設けられた磁石15cに吸着する磁性板46が埋設されている。円形突部45の上面の中心には深さ調整部材33が支持されている。円形突部45には、深さ調整部材33の自由な回転を防止するストッパ48を収容する穴45aと、後述する第2支持部材63の2つのねじ挿通孔93に挿通された図示しないねじが螺合する2つのねじ孔45bが形成されている。
【0047】
円形突部45と環状壁42との間には、後述する高さ調整機構M3を収容する環状凹部47が形成されている。
【0048】
深さ調整部材33は、雄ねじ部33aと下端のギア部33bとを有している。雄ねじ部33aはロータ本体31の軸部38の図示しないねじ孔に螺合し、下端のギア部33bはロータベース32の円形突部45に支持されている。雄ねじ部33aの上端は、係合部33cが形成され、ロータ本体31の軸部38から突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。ギア部33bの歯間には弾性片からなるストッパ48の先端が係止している。
【0049】
深さ調整部材33は、ギア部33bが第1支持部材62とロータベース32によって軸方向の移動が拘束され、またロータ本体31のガイド縁37aがロータベース32のガイド片40と係合することによってロータ本体31がロータベース32に対して回転することが拘束されている。このように、ロータベース32が回転しない状態で、深さ調整部材33を回転させると、深さ調整部材33の雄ねじ部33aと螺合する図示しないねじ孔を有するロータ本体31がロータ8の回転軸方向に上昇又は下降する。これに伴い、錠剤案内路8bの底面を形成するロータ本体31の下向き突部35の下部傾斜外面35cも上昇又は下降する。
【0050】
図14を参照すると、下向き突部35の下部傾斜外面35cは、上から下に向かうにつれて径方向に外方から内方に向かって傾斜し、カセット本体5の逆円錐状の傾斜部5bと平行になっている。このため、ロータ本体31の下向き突部35の下部傾斜外面35cが下降すると、下向き突部35の下部傾斜外面35cとカセット本体5の円錐状の傾斜部5bとの間の距離が縮小し、錠剤案内路8bの深さを浅く(D1)することができる。逆に、ロータ本体31の下向き突部35の下部傾斜外面35cが上昇すると、下向き突部35の下部傾斜外面35cとカセット本体5の逆円錐状の傾斜部5bとの間の距離が拡大し、錠剤案内路8bの深さを深く(D2)することができる。このように、深さ調整部材33を左又は右に回転することで、錠剤案内路8bを通る錠剤Tの厚さに応じて、錠剤案内路8bの深さを調整することができる。なお、
図11に示す深さ調整部材33のギア部33bが回転する毎に、ストッパ48の先端がギア部33bの歯を乗り越えて歯間に係合するので、深さ調整部材33を適当な位置で止めて、ロータ本体31を所望の高さ位置に固定することができる。
【0051】
<高さ調整機構>
図12は、高さ調整機構M3を構成する部材を示す。高さ調整機構M3は、筒状回転部材50と、環状昇降部材51と、高さ調整部材52とを含む。
【0052】
筒状回転部材50は、外周下部に雄ねじ部50aが形成され、内周上部に従動ギア50bが形成されている。従動ギア50bには筒状回転部材50の自由な回転を防止するストッパ53が係合している。
【0053】
環状昇降部材51は、外周の6等配位置に放射状にアーム54が突設され、各アーム54の先端に錠剤支持台55が形成されている。錠剤支持台55は、錠剤案内路8b内の最下位の錠剤Tを支持できるように、錠剤案内路8bに直交するように傾斜している。環状昇降部材51の内面には筒状回転部材50の雄ねじ部50aと螺合する雌ねじ部51aが形成されている。
【0054】
高さ調整部材52は、下端に筒状回転部材50の従動ギア50bに噛み合う駆動ギ52aを有している。高さ調整部材52の上端は、係合部52bが形成され、ロータ本体31の基部34の上面の孔34aから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。高さ調整部材52は、後述する第2支持部材63の孔90の縁に上下方向に移動不能に保持されている。
【0055】
筒状回転部材50と環状昇降部材51は互いに螺合した状態で、ロータベース32の環状凹部47に収容され、環状昇降部材51のアーム54がロータベース32の環状壁42の垂直スリット42aにスライド可能に嵌入し、錠剤支持台55がロータベース32の環状壁42の外側に突出し、錠剤案内路8b内の最下位の錠剤Tを支持するようになっている。
【0056】
図15に示すように、錠剤Tの高さに相当する錠剤案内路8bの高さHを調整するには、高さ調整機構M3の高さ調整部材52を左又は右に回転させる。本発明では、仕切部材20はカセット本体5に対して高さ方向に固定されているので、錠剤案内路8bの高さHを調整するのに、仕切部材20自体を移動させるのではなく、仕切部材20の下方にある錠剤支持台55を昇降させ、仕切部材20と錠剤支持台55との間の距離を調整することで、錠剤案内路8bの錠剤支持台55から仕切部材20の高さHを調整するのである。
【0057】
高さ調整部材52を回転させると、筒状回転部材50が回転する。筒状回転部材50は、第2支持部材63とロータベース32により上下の移動が拘束されている。筒状回転部材50の雄ねじ部50aに螺合する雌ねじ部51aを有する環状昇降部材51はアーム54がロータベース32の環状壁42の垂直スリット42aを貫通していて回転が拘束されている。このため、筒状回転部材50の回転により、環状昇降部材51が昇降し、環状昇降部材51の錠剤支持台55が昇降する。
【0058】
すなわち、
図15に示すように、筒状回転部材50が一方に回転すると、環状昇降部材51の錠剤支持台55が上昇し、錠剤支持台55に対する仕切部材20の位置、すなわち、高さが低く(H1)なる。逆に、筒状回転部材50が他方に回転すると、環状昇降部材51の錠剤支持台55が下降し、錠剤支持台55に対する仕切部材20の位置、すなわち、高さが高く(H2)なる。なお、高さ調整部材52の回転により筒状回転部材50が回転する毎に、ストッパ53の先端が筒状回転部材50の従動ギア50bの歯を乗り越えて歯間に係合するので、高さ調整部材52を適当な位置で止めて、錠剤支持台55を所望の高さ位置に固定することができる。
【0059】
<幅調整機構>
図13は、幅調整機構M4を構成する部材を示す。幅調整機構M4は、第1可動部材60と、第2可動部材61と、第1支持部材62と、第2支持部材63と、幅調整部材64とを含む。
【0060】
図13に示すように、第1可動部材60は、上部材60aと下部材60bからなるが、上部材60aの係合突部65と下部材60bの係合突部66が係合して両者は一体に回転可能である。
【0061】
第1可動部材60の上部材60aには、環状の基部67の内周に略半円型の切欠き68と長孔69が隣り合って形成されている。第1可動部材60を上から見て切欠き68の中心に対して対向する切欠き68の縁には、第1可動部材60の円周方向に対向するA突起68aとB突起68bが形成されている。A突起68aとB突起68bは、後述する第1調整軸94のAカム94aとBカム94bに摺接するカムフォロアとなる。
【0062】
第1可動部材60の下部材60bは、円環状の基部70と、6つの壁部71と、第1垂直突片72と、第1水平突片73とを有している。6つの壁部71は、基部70の外周縁の周6等配位置から下向きに突出している。第1垂直突片72は、壁部71の正面から見て左側端から外方に突出し、前述した錠剤案内路8bの右側面を形成するものである。第1垂直突片72には仕切部材20が嵌入する切欠き72aが形成されている。第1水平突片73は、第1垂直突片72の上端から周方向に水平に正面から見て右側に向かって延び、前述した錠剤ポケット8aの底面を形成するものである。
【0063】
第2可動部材61は、第1可動部材60と同様に、上部材61aと下部材61bからなるが、上部材61aの係合突部74と下部材61bの係合凹部75が係合して両者は一体に回転可能である。
【0064】
第2可動部材61の上部材61aには、環状の基部76の内周に略半円型の切欠き77と長孔78が隣り合って形成されている。第2可動部材61を上から見て対向する切欠き77の縁には、第2可動部材61の円周方向に対向するA突起77aとB突起77bが形成されている。A突起77aとB突起77bは、後述する第2調整軸のAカム95aとBカム95bに摺接するカムフォロアとなる。
【0065】
第2可動部材61の下部材61bは、円環状の基部79と、6つの壁部80と、第2垂直突片81と、第2水平突片82とを有している。6つの壁部80は、基部79の外周縁の周6等配位置から下向きに突出している。第2垂直突片81は、壁部80の正面から見て右側端から外方に突出し、前述した錠剤案内路8bの左側面を形成するものである。第2垂直突片81には仕切部材20が嵌入する切欠き81aが形成されている。第2水平突片82は、第2垂直突片81の上端から周方向に水平に正面から見て左側に向かって延び、第1可動部材60の第1水平突片73ととともに、前述した錠剤ポケット8aの底面を形成するものである。第2可動部材61の第2水平突片82の先端部は、第1可動部材60の第1水平突片73の先端部の下に重なるように形成されている。
【0066】
第1支持部材62は、第1可動部材60の上部材60aの内径より大きい外径を有する円形形状を有し、下面に円形の突部83を有している。第1支持部材62の中央には、後述する幅調整部材64が貫通する孔84、84aと、深さ調整機構M2の深さ調整部材33が貫通する孔85と、高さ調整機構M3の高さ調整部材52が貫通する孔86と、2つのねじ挿通孔87とが形成されている。
【0067】
第2支持部材63は、第1可動部材60の上部材60aの内径より大きい外径を有する円形形状を有し、上面に第1支持部材62の円形の突部83が嵌合する環状突部88が形成されている。第2支持部材63の中央には、深さ調整機構M2の深さ調整部材33が貫通する孔89と、高さ調整機構M3の高さ調整部材52が貫通する孔90及び切欠き90aと、後述する幅調整部材64の第1調整軸94が貫通する孔91aと、第2調整軸95が嵌合する孔91bと、第1支持部材62の2つのねじ挿通孔87に挿通される図示しないねじが螺合する2つのねじ孔92と、2つのねじ挿通孔93が形成されている。
【0068】
第1支持部材62のねじ挿通孔87から第2支持部材63のねじ孔92に図示しないねじを挿入して締め付けることで、第1支持部材62と第2支持部材63は第1可動部材60、第2可動部材61を挟持した状態で一体とになっている。また、第2支持部材63のねじ挿通孔93からロータベース32のねじ孔45bに図示しないねじを挿入して締め付けることで、第2支持部材63がロータベース32に固定されるとともに、第2支持部材63とロータベース32の間に高さ調整機構M3の筒状回転部材50が保持され、軸方向の移動が拘束される。
【0069】
幅調整部材64は、第1調整軸94と第2調整軸95からなっている。第1調整軸94は、切欠き68内に配置されている。第2調整軸95は、長孔69内に配置されている。第2調整軸95には、幅調整部材64の自由な回転を防止するストッパ96が設けられている。
【0070】
第1調整軸94は、上端から順にAカム94a、Bカム94b、ギア94cが形成されている。Aカム94aは、
図16に示すように、幅調整部材64を上から見て時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第1可動部材60のA突起68aと摺接するようになっている。Bカム94bは、幅調整部材64を上から見て反時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第1可動部材60のB突起68bと摺接するようになっている。Aカム94aの最大半径部とBカム94bの最大半径部は180°離れて位置する。第1調整軸94の上端は第1支持部材62の孔84aに支持され、下端は第2支持部材63の孔91aに支持されている。
【0071】
同様に、第2調整軸95は、下端から順にAカム95a、Bカム95b、ギア95c、係合部95dが形成されている。Aカム95aは、幅調整部材64を下から見て時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第2可動部材61のA突起77aと摺接するようになっている。Bカム95bは、幅調整部材64を下から見て反時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第2可動部材61のB突起77bと摺接するようになっている。Aカム95aの最大半径部とBカム95bの最大半径部は180°離れて位置する。第2調整軸95のギア95cは、ギア94cと噛合して連動するように構成されている。第2調整軸95の上端は第1支持部材62の長孔69を貫通してロータ本体31から突出して孔34aから露出し、外部から回転調整可能になっている。第2調整軸95の下端は第2支持部材63の孔91bに支持されている。なお、第1調整軸94の上端が第1支持部材62を貫通してロータ本体31から突出して露出し、外部から回転調整可能にしてもよい。
【0072】
第2調整軸95を
図16(a)において時計回りに回転させると、第2調整軸95のギア95cから第1調整軸94のギア94cに回転力が伝達され、第1調整軸94は反時計周りに回転する。第1調整軸94の回転により、第1調整軸94のAカム94aが第1可動部材60のA突起68aに摺接して押圧するので、第1可動部材60は
図16(a)において時計回りに回動する。一方、第2調整軸95の回転により、
図16(b)に示すように、第2調整軸95のAカム95aが第2可動部材61のA突起77aに摺接して押圧するので、第2可動部材61は
図16(b)において時計回り、
図16(a)において反時計回りに回動する。
【0073】
続いて、第2調整軸95を
図16(a)において反時計回りに回転させると、第2調整軸95のギア95cから第1調整軸94のギア94cに回転力が伝達され、第1調整軸94は時計周りに回転する。第1調整軸94の回転により、第1調整軸94のBカム94bが第1可動部材60のB突起68bに摺接して押圧するので、第1可動部材60は
図16(a)において反時計回りに回動する。一方、第2調整軸95の回転により、
図16(b)に示すように、第2調整軸95のBカム95bが第2可動部材61のB突起77bに摺接して押圧するので、第2可動部材61は
図16(b)において反時計回り、
図16(a)において時計回りに回動する。
【0074】
このように、第1可動部材60と第2可動部材61は互いに反対方向に回転し、第1可動部材60の第1垂直突片72と第2可動部材61の第2垂直突片81の間隔、すなわち、錠剤案内路8bの幅を拡大又は縮小することができる。
【0075】
次に、以上の構成からなる薬品カセット2におけるロータ8の動作を説明する。
【0076】
既に述べたように、
図5に示すカセット本体5とロータ8の間には、ロータ8の側面上部に周方向に延びる錠剤ポケット8aと、ロータ8の側面上部から下方に延びる複数の錠剤案内路8bとを有している。
【0077】
図5を参照すると、カセット本体5に収容された錠剤Tは、ロータ8の回転により撹拌されながら錠剤ポケット8aに進入し、錠剤ポケット8aから錠剤案内路8bに進入し、錠剤案内路8bが錠剤排出孔9に近づくと、錠剤案内路8bの最下位の錠剤Tとそれより上の錠剤Tとの間にカセット本体5に固定された仕切部材20が進入する。仕切部材20より上方の錠剤Tは仕切部材20によって下方に落下するのを阻止される。仕切部材20より下方の最下位の錠剤Tは、錠剤支持台55にあるが、錠剤支持台55は傾斜しているので、当該錠剤支持台55上で錠剤排出孔9に向かって倒れ、錠剤排出孔9から排出される。錠剤排出孔9から排出された錠剤Tは、
図2に示すベース2の錠剤排出路3cを通って払い出される。これにより、錠剤案内路8bが錠剤排出孔9に回ってくる毎に、錠剤Tが1個ずつ排出される。ロータ8の回転角度を調整することで、処方に応じた数の錠剤Tを払い出すことができる。
【0078】
錠剤案内路8bは、前述した仕切調整機構M1、深さ調整機構M2、高さ調整機構M3、幅調整機構M4を用いて、錠剤Tの厚さに対する仕切部材20の進入位置、錠剤Tの厚さに相当する深さD、錠剤の高さに相当する高さH、錠剤Tの幅に相当する幅Wを調整することができる。このため、カセット本体5に収容する錠剤Tの形状又は大きさに応じて、適切な大きさの錠剤案内路8bにすることができる。錠剤Tが異なるごとに、薬品カセット2全体又はロータ8を交換することなく、同じ薬品カセット2又はロータ8を用いて、種々の錠剤Tに合わせた錠剤案内路8bに調整することで、排出することができる。このような調整は、以下に説明する調整装置を用いて手動で行うことができる。
【0079】
<調整装置>
図17は、本発明に係る薬品カセットの調整装置100を示す。調整装置100は、既に説明した薬品カセット2の錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅、及び仕切部材20の進入位置を手動で調整するためのものである。
【0080】
すなわち、調整装置100は、薬品カセット2の錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅を調整するそれぞれの深さ調整機構M2、高さ調整機構M3、幅調整機構M4の各調整部材33、52、64の係合部33c、52b、95dに係合して該調整機構を作動させ、カセット本体5内に収容される錠剤Tの形状又は大きさに応じて錠剤案内路8bの溝の寸法を調整する。また、調整装置100は、仕切部材20の進入位置を調整する仕切調整機構M1の仕切調整部材24の係合ギア24bに係合して、該仕切調整機構M1を作動させ、カセット本体5内に収容される錠剤Tの形状又は大きさ、錠剤案内路8bの溝の深さに応じて仕切部材20の進入位置を調整するものである。
【0081】
調整装置100は、装置本体101と、調整部材102と、工具103と、制御装置200とを備える。
【0082】
装置本体101は、ベース部105と、ベース部105の後部から上方に立ち上がる中間部106と、中間部106の上端から前方に突出するガイド部107とを有している。
【0083】
ベース部105の上面は、薬品カセット2のロータ8が載置されるロータ台108となっている。ロータ台108の上面には、ロータ装着突部109が設けられている。ロータ装着突部109は、カセット本体5のロータ駆動部10の係合軸13と同様の形状を有し、薬品カセット2を装着できるようになっている。
【0084】
図19に示すように、ロータ台108の裏面には、ブラケット110、111、112を介して、ゼロ点検出センサ113、ゼロ点検出センサ114、ゼロ点検出センサ115、116がそれぞれ設けられている。各センサ113、114、115、116は、リミットスイッチからなり、
図33、35、36に示すように、各センサ113、114、115、116の各検出部113a、114a、115a、116aは、ロータ台108から上方に突出している。
図35に示すように、ゼロ点検出センサ113の検出部113aは、ロータ台108に載置されるロータ8の錠剤支持台55の下面、
図34に示すように、ゼロ点検出センサ114の検出部114aは、ガイド部37の突起37b、
図33に示すように、ゼロ点検出センサ115、116の検出部115a、116aは、第1垂直突片72の下端、第2垂直突片81の下端にそれぞれ対向し、当接可能になっている。
図17に戻ると、検出部113a、114a、115a、116aは、ロータ台108に設けられたU字形のガード部117、118、119によって、異物との接触が防止されている。
【0085】
また、
図19に示すように、ロータ台108の裏面には、ブラケット120を介して基板121が取り付けられている。基板121は、ゼロ点検出センサ113、ゼロ点検出センサ114、ゼロ点検出センサ115、116及び後述するエンコーダ131からの信号を受信し、後述する制御装置200に送信するとともに、それらに電力を供給する。ベース部105には、基板121と制御装置200を連結するためのUSB端子122が設けられている。
【0086】
中間部106の内部には、
図18に示すように、調整部材102の中心軸155が収納される筒部123が設けられている。筒部123は、後述するガイド部107の収納口124と連通し、上下方向に伸び、下方に向かって縮径している。
【0087】
ガイド部107は、
図17に示すように、上ケース107aと下ケース107bで構成されている。ガイド部107の後部には、上ケース107aから下ケース107bまで貫通し、調整部材102の収納時に中心軸155が挿入される収納口124が形成されている。ガイド部107の上ケース107aの前部には、調整部材102の使用時に中心軸155が挿入される3つの上ガイド穴125a、125b、125cが形成され、下ケース107bには、上ガイド穴125a、125b、125cと対応する位置に下ガイド穴126(
図22(b)参照。)が形成されている。上ガイド穴125a、125b、125cの近傍には、何の調整をするためのガイド穴かを示す表示127a、127b、127cが設けられている。なお、以下では、上ガイド穴125a、125b、125cを上ガイド穴125と総称することがある。ガイド部107の後部側面には、工具103を取り付けるための突起128(
図18参照)が形成されている。ガイド部107の内部には、3つの回転部材129(すなわち、第1回転部材129a、第2回転部材129b、及び第3回転部材129c)と、中間歯車130と、エンコーダ131とが設けられている。
【0088】
3つの回転部材129は同一の形状を有する。
図22に示すように、回転部材129は、後述する調整部材102の中心軸155と係合する係合穴132が形成された円筒形状を有している。回転部材129の上端は、係合穴132が上ガイド穴125と連通するように、上ガイド穴125の周囲に形成された環状のリブ133に回転可能に係合している。同様に、回転部材129の下端は、係合穴132が下ガイド穴126と連通するように、下ガイド穴126の周囲に形成された環状のリブ134に回転可能に係合している。回転部材129の係合穴132の内面には、軸方向に延びる4つの係合溝135が周方向に等間隔に形成されている。回転部材129には、隣接する2つの係合溝135に対向する2つの軸方向に延びる直線部136a、136bと、直線部136a、136bの上端を連結する円弧部136cとからなる逆U字形のスリット136を形成することにより、弾性片137が設けられている。弾性片137の内面には、係合穴132の内面よりも内側に偏位した押圧部138が形成されている。押圧部138は、係合穴132に挿入された調整部材102の中心軸155と係合穴132との間のガタ付きを防止するガタ付き防止部となっている。回転部材129の弾性片137より下部には、回転歯車139が設けられている。
図21に示すように、第1回転部材129aの回転歯車139は、第2回転部材129bの回転歯車139と噛み合い、第3回転部材129cの回転歯車139は第1回転部材129aの回転歯車139及び第2回転部材129bの回転歯車139から離れている。
【0089】
中間歯車130は、上ケース107aと下ケース107bに回転可能に支持された軸部140と、当該軸部140に自由回転可能に嵌合された歯部141とを有している。歯部141は、軸部140に対して若干の隙間があり、軸部140に直交する方向に移動可能になっている。中間歯車130の歯部141は、第2回転部材129bの回転歯車139と、第3回転部材129cの回転歯車139とに噛み合っている。
【0090】
エンコーダ131は、調整装置100におけるロータ8の前記調整部の操作量を検出するために用いられる。具体的に、エンコーダ131は、中間歯車130と噛み合う検出歯車142を有する。エンコーダ131は、下ケース107bに回動可能に設けられたレバー143に取り付けられている。レバー143は、エンコーダ131の検出歯車142が中間歯車130に噛み合う方向にコイルばね144により付勢されている。レバー143とコイルばね144は、中間歯車130の歯部141と検出歯車142の間、及び中間歯車130の歯部141と第2回転部材129b及び第3回転部材120cの回転歯車139との間のバックラッシュを防止するバックラッシュ防止部となっている。中間歯車130の歯部141は、検出歯車142に押されることで検出歯車142との噛み合いを維持するとともに、軸部140に対して直交する方向に移動することで、第2回転部材129b及び第3回転部材120cの回転歯車139とガタ付くことなく噛み合うことで、ギア間のバックラッシュが防止されている。
【0091】
エンコーダ131は、調整部材102の中心軸155が第1回転部材129aの係合穴132に挿入された場合、第1回転部材129aの回転歯車139、第2回転部材129bの回転歯車139、中間歯車130及び検出歯車142を介して、調整部材102の中心軸155の回転量を検出する。調整部材102の中心軸155が第2回転部材129bの係合穴132に挿入された場合、第2回転部材129bの回転歯車139、中間歯車130及び検出歯車142を介して、調整部材102の中心軸155の回転量を検出する。調整部材102の中心軸155が第3回転部材129cの係合穴132に挿入された場合、第3回転部材129cの回転歯車139、中間歯車130及び検出歯車142を介して、調整部材102の中心軸155の回転量を検出する。エンコーダ131により検出された調整部材102の回転量は、コード145及びコネクタ146を介して、ベース部105の基板121に送信される。
【0092】
調整部材102は、
図23に示すように、大別すると、グリップ部147と軸部148とを有する。
【0093】
グリップ部147は、
図24に示すように、外側部材149と、内側部材150とで構成されている。
【0094】
外側部材149は、上端が天壁149aで閉じられ下端が開放された円錐台形の筒状の大摘み部149bと、天壁149aから軸方向に突出する小摘み部149cとを有する。小摘み部149cの上端に六角レンチ149dが取り付けられている。六角レンチ149dは、薬品カセット2の仕切調整機構M1の仕切調整部材24に設けた図示しない六角穴に係合して仕切調整機構M1を駆動するためにものである。大摘み部149bの天壁149aの表面には、原点方向を示す矢印のマーク149eが設けられている。大摘み部149bの天壁149aの裏面には、
図25に示すように、軸穴149fと、軸回りに環状に整列した凹凸からなる係合部149gとが形成されている。
【0095】
内側部材150は、
図24に示すように、半割円筒状に形成され、外側部材149の内側の
図25に示す取付座151に取付ねじ152で取り付けられている。内側部材150の内周には、フランジ150aが径方向内側に突出するように形成されている。
【0096】
軸部148は、第1部材153と、第2部材154と、中心軸155とで構成されている。
【0097】
第1部材153は、グリップ部147の内側部材150の内部に収容される大きさで、
図28に示すように、内側円筒部153aと、外側円筒部153bとを有している。内側円筒部153aの上端は上係合部153cにより閉じられ、下端は開放されている。上係合部153cは、中心に軸穴153dが形成されるとともに、上面に軸回りに環状に整列した凹凸が形成されている。内側円筒部153aの上係合部153cは、グリップ部147の係合部149gと係合可能になっている。内側円筒部153aの下端は開放され、外周に下係合部153eを有している。下係合部153eの下面には、
図26に示すように、軸回りに環状に整列した凹凸が形成されている。外側円筒部153bの上端は開放され、下端は下係合部153eの上面に接続されている。外側円筒部153bの外周には、グリップ部147の内側部材150のフランジ150aが進入する外周凹部153fが形成されている。
【0098】
第2部材154の上部は、第1部材153の内側円筒部153aの内部に嵌合する大きさの円筒状に形成されている。第2部材154の上端は閉じられ、中心に軸穴154aが形成されている。第2部材154の下端は開放され、外周に環状の係合部154bが形成されている。係合部154bの上面には、軸の回りに環状に整列した凹凸が形成されている。第2部材154の係合部154bは、第1部材153の下係合部153eと係合可能になっている。第2部材154の内面には、
図27に示すように、軸方向に延びる4つの係合溝154cが周方向に等間隔に形成されている。
【0099】
中心軸155は、
図24において上から下に向かって、基端部155aと、第1係合部155bと、第2係合部155cと、先端部155dとがこの順で有している。基端部155aは、第2部材154の軸穴154a、第1部材153の軸穴153d、及びグリップ部147の外側部材149の軸穴149fに嵌合する円柱状に形成されている。基端部155aの外周面には、後述する止め輪158が係合する外周溝155eが形成されている。第1係合部155bは、クロス形の横断面を有し、第2部材154の係合溝154cに係合可能になっている。第2係合部155cは、第1係合部155bよりも小さいクロス形の横断面を有し、ガイド部107の回転部材129の係合穴132の係合溝135に係合可能になっている。先端部155dは円柱状で、その先端は、薬品カセット2の各調整部材33、52、64の係合部33c、52b、95dに係合可能になっている。
【0100】
中心軸155は、基端部155aにコイルばね156を装着し、該基端部155aを第2部材154の軸穴154a、第1部材153の軸穴153dを貫通させ、第1部材153から突出する基端部155aの外周溝155eにワッシャ157を介して止め輪158を装着することにより、抜け止めされている。コイルばね156は、第1係合部155bと第2部材154との間に圧縮状態で装着されている。これにより、中心軸155は、第1係合部155bが第2部材154の係合溝154cに係合し、第2部材154がコイルばね156により第1部材153に向かって付勢され、第2部材154の係合部154bが第1部材153の上係合部153cに係合して、第1部材153及び第2部材154と一体回転可能になっている。
【0101】
グリップ部147は、内側部材150のフランジ150aが軸部148の第1部材153の外周凹部153fに嵌入するように、半割の内側部材150を軸部148の第1部材153に組み付けた状態で、外側部材149の取付座151に取付けねじ152で固定することにより、軸部148に取り付けられる。これにより、グリップ部147は、軸部148に対して軸方向に摺動可能で、係合部149gが第1部材153の上係合部153cと係合して軸部148の中心軸155と一体回転可能に係合する係合位置と、係合部149gが第1部材153の上係合部153cから離れて中心軸155に対して空回りする非係合位置とに移動可能になっている。
【0102】
工具103は、
図29に示すように、薬品カセット2を嵩上げするために図示しない嵩上げユニットが取付けられている場合に、当該嵩上げユニットをカセット本体5から取り外すための金具159と、ロータカバー30を取り外すためのピン160を有する。
【0103】
<薬品払出システム500>
以下、上述の薬品払出装置1、調整装置100、及び制御装置200を備える薬品払出システム500のシステム構成について説明する。
【0104】
図30に示されるように、薬品払出システム500は、薬品払出装置1、調整装置100、及び制御装置200を備える。薬品払出装置1、調整装置100、及び制御装置200は、通信経路Nを介して接続される。通信経路Nは、信号線、USBケーブル、又はLANケーブル等の線材であってもよく、無線LAN又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信による無線通信経路であってもよい。そして、制御装置200は、薬品払出装置1及び調整装置100の動作を制御することが可能である。制御装置200は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0105】
なお、薬品払出装置1、調整装置100、又は制御装置200のいずれか一つを本発明に係る薬品払出システム又は調整システムとして捉えてもよい。また、本発明に係る薬品払出システムの構成要素が、薬品払出装置1、調整装置100、及び制御装置200のいずれか二つ以上の装置に分散して設けられていてもよく、この場合、当該二つ以上の装置を含むシステムが本発明に係る薬品払出システム又は調整システムの一例である。なお、調整装置100及び制御装置200は薬品払出装置1に搭載又は内蔵されていてもよい。
【0106】
また、本実施形態では、薬品払出装置1が、薬品カセット2から錠剤を払い出し可能な構成を例に挙げて説明するが、薬品払出システム500は、薬品払出装置1に代えて、散薬又は水剤などの各種の剤形の薬品が収容された薬品払出部から当該薬品を払い出し可能な薬品払出装置を備えていてもよい。
【0107】
<調整装置100>
図30及び
図31に示されるように、調整装置100は、操作量検出部501及び初期位置検出部502を備え、制御装置200に接続されている。操作量検出部501は、エンコーダ131を含み、当該エンコーダ131による検出結果を制御装置200に入力する。また、初期位置検出部502は、ゼロ点検出センサ113~116を含み、当該ゼロ点検出センサ113~116による検出結果を制御装置200に入力する。
【0108】
<薬品払出装置1>
図30に示されるように、薬品払出装置1は、制御部310、手撒きユニット302、払出検出部303、コード読取部304、データ記録部305、データ読取部306、及び薬品カセット2等を備える。
【0109】
制御部310は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。
【0110】
具体的に、制御部310は、払出実行処理部311などの各種の処理部を含む。具体的に、制御部310は、前記CPUを用いて、前記ROM等に予め記憶されたプログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。なお、前記処理部の一部又は全部が電子回路であってもよい。
【0111】
払出実行処理部311は、制御装置200の制御部210から入力される処方データに基づいて薬品払出装置1を制御し、薬品カセット2及び手撒きユニット302などを用いて錠剤を払い出すための処理を実行する。
【0112】
手撒きユニット302は、薬品カセット2に収容されていない錠剤の種類の錠剤を払い出すために用いられ、一般にDTA(Detachable Tablet Adapter)とも称される。なお、手撒きユニット302は、例えば1錠未満の半錠又は1/4錠などの錠剤のように薬品カセット2からの払い出しに適さない薬品の払い出しにも用いられる。具体的に、手撒きユニット302は、マトリクス状(格子状)に設けられた複数のDTAセルを含む。そして、前記DTAセル各々には、処方データに処方薬として含まれる錠剤の種類であって薬品カセット2から払い出し可能ではない錠剤の種類の錠剤が服用時期の単位で投入される。その後、手撒きユニット302は、処方データに基づいて、前記DTAセルに投入された錠剤が必要なタイミングで前記DTAセル各々の底面をモータ等の所定の駆動手段で開くことによって、当該DTAセル各々に投入されている錠剤を払い出すことが可能である。なお、前記手撒きユニット302と同様に前記DTAセルの単位で薬品を払出可能な手撒きユニットは、例えば特開2006-110386号公報に開示されている。
【0113】
払出検出部303は、薬品払出装置1において薬品カセット2から錠剤が払い出される錠剤を検出する光学式センサを含み、当該光学式センサによる検出結果を制御装置200に入力する。これにより、制御装置200では、払出検出部303による検出結果に基づいて、薬品カセット2からの錠剤の払い出しの有無、及び錠剤の払い出し数などを検出することが可能である。さらに、払出検出部303は、薬品払出装置1において薬品カセット2から錠剤が払い出される錠剤を撮影する撮像部などを含み、当該撮像部によって撮影された錠剤画像を制御装置200に入力する。
【0114】
コード読取部304は、一次元コード又は二次元コードなどのコードから情報を読み取ることが可能である。例えば、コード読取部304は、錠剤が収容されている薬箱に付されたコードから錠剤の薬品識別情報を読み取るため、又は、処方箋などに示されたコードから処方箋識別情報を読み取るために用いられる。前記薬品識別情報は、錠剤を識別可能な情報として錠剤の種類ごとに対応して予め定められた情報である。
【0115】
データ記録部305は、所謂RFIDリーダライタであって、薬品払出装置1の充填台1aの下方に内蔵されており、当該充填台1aに薬品カセット2が載置された場合に、当該薬品カセット2のRFIDタグ206にアクセス可能な位置に設けられている。そして、データ記録部305は、制御装置200によって制御され、薬品カセット2に設けられたRFIDタグ206からデータを読み取ることが可能であると共に、当該RFIDタグ206にデータを書き込むことが可能である。
【0116】
データ読取部306は、所謂RFIDリーダであって、薬品払出装置1のベース3に薬品カセット2が装着された場合に、当該ベース3に装着されている薬品カセット2のRFIDタグ206にアクセス可能な位置に設けられている。そして、データ読取部306は、制御装置200によって制御され、薬品カセット2に設けられたRFIDタグ206からデータを読み取ることが可能である。なお、他の実施形態として、データ読取部306が、RFIDタグ206にデータを書き込み可能なリーダライタであってもよい。この場合、薬品カセット2がベース3に装着された状態で、当該薬品カセット2のRFIDタグ206に後述の払出確認情報などが書き込まれてもよい。
【0117】
薬品カセット2に設けられたRFIDタグ206は、データを記憶することが可能な不揮発性の記憶部の一例である。なお、RFIDタグ206に代えて、例えば接点式の接続方式でデータの読み書きが可能な記憶部が用いられてもよい。RFIDタグ206は、
図30に示されるように、書込可能領域261及び書込不可領域262を含む記憶領域を有する。書込可能領域261は、データ記録部305及びデータ読取部306によるデータの読み出しが可能な領域であり、データ記録部305によるデータの書き込みも可能な領域である。書込不可領域262は、データ記録部305及びデータ読取部306によるデータの読み出しは可能であるが、データ記録部305によるデータの書き込みはできない領域である。
【0118】
具体的に、書込可能領域261には、RFIDタグ206が設けられる薬品カセット2に割り当てられる錠剤の種類を識別するための薬品コード又は薬品名などの薬品識別情報を少なくとも含む割当薬品情報D21(
図32(B)参照)が記憶される。割当薬品情報D21には、薬品コードなどの薬品識別情報の他に、安定係数、配置制限、サイズ種別、枝番号、機種番号、払出確認フラグ、カセット番号などの情報も含まれる。なお、割当薬品情報D21に、錠剤の寸法(長さ、幅、高さ、厚さ)又は錠剤に適した錠剤案内路8bの寸法(深さ、高さ、幅)が記憶されていてもよい。
【0119】
前記安定係数は、錠剤の形状・固さによる跳ねやすさ、転がりやすさを示す係数で、例えば、個々の薬品カセット2から払い出される錠剤が落下して排出口で安定するまでの時間(最大)を算出するために用いられる。前記配置制限は、薬品カセット2を薬品払出装置1に装着する際、装着可能な位置の制限に関する情報であって、例えば、「全段可能」、「半分以下」、「下2列のみ」のように薬品カセット2を装着可能な位置を高さで制限するための情報である。前記サイズ種別とは、薬品カセット2のサイズであり、例えばL、LM、M、S、SSのように収容可能な錠剤の数量に応じて定められている。前記枝番号とは、同種の錠剤を収容する薬品カセット2が複数ある場合、それぞれを区別するために付される番号である。前記機種番号とは、薬品払出装置1が複数台ある場合に、当該薬品カセット2が実装される薬品払出装置1の識別番号である。
【0120】
前記払出確認フラグは、初期値が「1」である。そして、制御装置200は、薬品カセット2に割り当てられる払出対象の錠剤の種類に応じて当該薬品カセット2の前記調整部が調整された後に実行される後述のテスト払出動作が完了したと判定した場合に「0」に設定する。本実施形態では、前記払出確認フラグの「0」が払出確認情報の一例である。
【0121】
前記カセット番号は、薬品払出装置1において薬品カセット2を識別するために当該薬品カセット2に割り当てられるカセット識別情報である。例えば、制御装置200は、所定のユーザー操作に応じて薬品カセット2のカセット番号を設定し、当該カセット番号をデータ記録部305によって薬品カセット2のRFIDタグ206の前記割当薬品情報D21に記憶する。なお、制御装置200は、薬品払出装置1において同一の前記カセット番号の重複登録を禁止する。
【0122】
一方、書込不可領域262には、RFIDタグ206が設けられる薬品カセット2を識別するための固有識別情報を示すカセットID、及び当該薬品カセット2のカセットタイプなどの情報を含むカセット情報D22(
図32(B)参照)が予め記憶されている。前記カセットタイプとは、払い出し可能な錠剤の適合条件が異なる複数タイプの薬品カセット2を識別するための情報である。具体的に、前記適合条件には、錠剤の幅、高さ、厚さなどのサイズについての最小値及び最大値の一方又は両方が含まれる。また、前記適合条件には、例えばカプセル錠又は平丸錠などの錠剤の形状が含まれていてもよい。
【0123】
<制御装置200>
図30及び
図31に示されるように、制御装置200は、制御部210、表示部201、記憶部202、及び操作部203等を備えるコンピュータなどの情報処理装置であり、薬品払出装置1及び調整装置100に接続されている。
【0124】
表示部201は、各種の情報を表示可能な液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクターなどの表示手段であり、音声を出力可能なスピーカーも有する。
【0125】
記憶部202には、薬品実装マスタD11、割当対応情報D31、及びベースマスタD41などの各種のデータが記憶される。
【0126】
図32(A)に示されるように、薬品実装マスタD11では、錠剤ごとに、薬品コードと、薬品名と、安定係数と、配置制限と、カセットタイプとが対応付けて記憶されている。薬品コード又は薬品名は、錠剤の種類を識別可能な薬品識別情報の一例である。なお、薬品実装マスタD11には、薬品払出装置1で払い出し可能な錠剤として予め登録された錠剤の情報が含まれる。一方、記憶部202には、薬品実装マスタD11に登録されている錠剤の種類数以上の種類の薬品について、薬品実装マスタD11と同様の情報が記憶された薬品マスタが記憶されていてもよい。
【0127】
また、薬品実装マスタD11では、錠剤ごとに、錠剤の長さ、幅、高さ、厚さなどの寸法が対応付けて記憶されている。さらに、薬品実装マスタD11では、錠剤ごとに、錠剤に適した錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅などの寸法を示す調整深さ、調整高さ、調整幅などの調整寸法と、当該錠剤に適した仕切部材20の錠剤案内路8bへの調整進入位置とが対応付けて記憶されている。
【0128】
なお、薬品実装マスタD11に前記調整寸法が記憶されておらず、当該調整寸法を算出するために用いられる補正係数等が記憶されており、制御装置200が、前記補正係数と前記錠剤の寸法とに基づいて前記調整寸法を導出してもよい。同様に、薬品実装マスタD11に前記調整進入位置が記憶されておらず、当該調整進入位置を補正係数等(錠剤の厚さ等)が薬品実装マスタD11に記憶されており、制御装置200が、前記補正係数と前記錠剤の寸法とに基づいて前記調整進入位置を導出してもよい。
【0129】
その他、薬品実装マスタD11には、薬品ごとに、薬品分類(分類コード)、薬品成分(成分コード)、JANコード、RSSコード、YJコード、GS1コード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項、サイズ種別、及び錠剤の外観画像なども対応付けて記憶されている。また、薬品実装マスタD11は、ユーザー操作などに基づいて制御装置200によって編集されることがある。
【0130】
図32(C)に示されるように、割当対応情報D31では、薬品カセット2の固有識別情報であるカセットIDと、当該薬品カセット2に割り当てられている錠剤の薬品識別情報である薬品コードとが対応付けられている。これにより、制御部210は、割当対応情報D31における薬品コードとカセットIDとの対応関係を参照して薬品払出装置1を制御し、処方データに示される特定の種類の錠剤を当該錠剤の種類が割り当てられた薬品カセット2から払い出すことが可能である。なお、割当対応情報D31には、薬品払出装置1に装着可能な薬品カセット2の数よりも多くの薬品カセット2についての情報が記憶可能であり、薬品払出装置1では、割当対応情報D31に記憶されている薬品カセット2のうち薬品払出装置1に装着されている薬品カセット2を用いて錠剤の払い出しが可能であってもよい。また、薬品実装マスタD11に割当対応情報D31が含まれていてもよい。
【0131】
図32(D)に示されるように、ベースマスタD41では、薬品払出システム500に接続されている薬品払出装置1各々について、当該薬品払出装置1に装着されている薬品カセット2のカセットIDと当該薬品カセット2が装着されている薬品払出装置1のベース3を識別するためのベース番号とが対応付けて記憶される。制御部210は、薬品払出装置1において薬品カセット2の着脱が検出された場合に、当該薬品カセット2の着脱結果に応じてベースマスタD41を更新する。これにより、制御部210は、薬品払出装置1各々に対応するベースマスタD41に基づいて、薬品払出システム500において、薬品払出装置1各々に装着されている薬品カセット2、及び当該薬品カセット2が装着されているベース3を特定することが可能である。
【0132】
操作部203は、ユーザー操作を受け付け可能なマウス、キーボード、タッチパネルなどの操作手段である。なお、表示部201及び操作部203は、ユーザー操作を受け付け可能なタッチパネルディスプレイであってもよい。
【0133】
制御部210は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。
【0134】
そして、制御部210は、割当処理部211、判定処理部212、記憶処理部213、制限処理部214、コード出力処理部215、受付処理部216、検出処理部217、表示処理部218、報知処理部219、払出処理部220等の各種の処理部を含む。具体的に、制御部210は、前記CPUを用いて、前記ROM又は記憶部202に予め記憶された薬品払出プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。なお、前記処理部の一部又は全部が電子回路であってもよい。
【0135】
割当処理部211は、薬品カセット2に割り当てる錠剤の種類の選択をユーザー操作に応じて受け付け、当該錠剤の種類を当該薬品カセット2に割り当てる。例えば、割当処理部211は、コード読取部304を用いて、錠剤の種類を識別可能な薬品識別情報をコードから読み取るためのユーザー操作が行われた場合に、その読み取られた錠剤の種類を割当対象の錠剤の種類として受け付ける。また、割当処理部211は、表示部201に選択候補の錠剤の種類の一覧を表示させ、操作部203に対するユーザー操作に応じて、薬品カセット2に割り当てる錠剤の種類の選択を受け付けてもよい。そして、割当処理部211は、選択された錠剤の種類に対応する薬品コードと薬品カセット2のカセットIDを対応付けて割当対応情報D31に記憶することにより、薬品カセット2に錠剤の種類を割り当てる。
【0136】
判定処理部212は、異なる種類の錠剤の払出が可能な複数の状態に調整可能な前記調整部を備える薬品カセット2から錠剤が払い出されたか否かを判定する。具体的に、判定処理部212は、薬品カセット2に割り当てられる払出対象の錠剤の種類に応じた前記調整部の調整後に、当該薬品カセット2から薬品を払い出すテスト払出動作を薬品払出装置1に実行させる。即ち、前記テスト払出動作は、薬品カセット2の調整後に実際に実行される処方データに基づく薬品カセット2の薬品払出動作ではなく、薬品カセット2の調整後から処方データに基づく薬品カセット2の薬品払出動作が実行されるまでの間に実行されるものである。そして、前記テスト払出動作において、前記薬品カセット2から錠剤が払い出されたか否かを判定する。
【0137】
具体的に、判定処理部212は、薬品カセット2に割り当てられる払出対象の錠剤の種類に応じた前記調整部の調整後に実行される当該薬品カセット2についての前記テスト払出動作において、予め設定された特定数の錠剤の払い出しが払出検出部303で検出されたことを条件に、当該薬品カセット2から錠剤が払い出されたと判定する。
【0138】
また、判定処理部212は、薬品カセット2に割り当てられる払出対象の錠剤の種類に応じた前記調整部の調整後に、薬品カセット2についての前記テスト払出動作が実行された後に、特定のユーザー操作が行われたことを条件に、当該薬品カセット2から前記払出対象の薬品が払い出されたと判定してもよい。例えば、ユーザーは、前記テスト払出動作により薬品カセット2から錠剤が払い出されたか否かを目視で確認し、当該薬品カセット2から正常に錠剤が払い出された場合に、操作部203に対して確認操作を行うことが考えられる。そして、判定処理部212は、前記テスト払出動作の実行後に前記確認操作が行われた場合に、薬品カセット2から錠剤が払い出されたと判断する。
【0139】
また、判定処理部212は、薬品カセット2に割り当てられる払出対象の錠剤の種類に応じた前記調整部の調整後に実行される薬品カセット2についての前記テスト払出動作が終了した場合に、当該薬品カセット2から薬品が払い出されたと判定してもよい。即ち、判定処理部212は、前記テスト払出動作が終了した場合に、払出検出部303による検出又はユーザーによる確認操作を要することなく薬品カセット2から錠剤が払い出されたものと擬制してもよい。
【0140】
記憶処理部213は、判定処理部212により薬品カセット2から錠剤が払い出されたと判定された場合に、当該薬品カセット2及び当該錠剤の種類との対応関係が特定可能な状態で払出確認情報を予め設定された記憶部に記憶する。具体的に、記憶処理部213は、判定処理部212により薬品カセット2から薬品が払い出されたと判定された場合に、当該薬品カセット2のRFIDタグ206の割当薬品情報D21に記憶されている前記払出確認フラグを「1」から「0」に更新する。このように、前記払出確認情報が薬品カセット2のRFIDタグ206(記憶部の一例)の割当薬品情報D21に記憶されることにより、前記払出確認情報は、当該薬品カセット2及び当該薬品カセット2に割り当てられた薬品の薬品コード(薬品の種類)の両方との対応関係が特定可能な状態となる。なお、他の実施形態として、前記払出確認情報と、前記薬品カセット2のカセットID又はカセット番号と、当該薬品カセット2に割り当てられた薬品の種類を示す薬品コードとが対応付けられて記憶部202に記憶されてもよい。この場合、記憶部202が本発明に係る記憶部の一例である。
【0141】
また、薬品カセット2に対応付けて記憶される前記払出確認情報として、前記薬品コードなどの薬品識別情報が用いられてもよい。具体的に、制御部210は、後述のテスト払出動作において薬品カセット2から錠剤が払い出されるまでの間は当該薬品カセット2に薬品識別情報を割り当てず、テスト払出動作において薬品カセット2から錠剤が払い出された場合に当該薬品カセット2に薬品識別情報を割り当てる。例えば、制御部210は、テスト払出動作において薬品カセット2から錠剤が払い出されるまでの間は当該薬品カセット2のRFIDタグ206の割当薬品情報D21に薬品コードを記憶させず、テスト払出動作において薬品カセット2から錠剤が払い出された場合に当該薬品カセット2のRFIDタグ206の割当薬品情報D21に薬品コードを記憶させることが考えられる。
【0142】
制限処理部214は、薬品カセット2に対応する前記払出確認情報がRFIDタグ206に記憶されていない場合に、当該薬品カセット2から前記処方データに基づいて薬品を払い出す薬品払出動作を制限する。具体的に、制限処理部214は、薬品カセット2のRFIDタグ206に記憶されている前記払出確認フラグが「0」である場合に、当該薬品カセット2を使用する薬品払出動作を許可する。一方、制限処理部214は、薬品カセット2のRFIDタグ206に記憶されている前記払出確認フラグが「1」である場合には、当該薬品カセット2を使用する薬品払出動作を制限する。なお、前記制限の内容は、薬品払出動作の実行を禁止すること、又は、薬品払出動作の開始に際してユーザーによる確認操作を要すること等である。
【0143】
なお、他の実施形態として、制限処理部214に代えて、薬品払出装置1の払出実行処理部311が、薬品カセット2に対応する前記払出確認情報がRFIDタグ206に記憶されていない場合に、当該薬品カセット2から前記処方データに基づいて薬品を払い出す薬品払出動作を制限してもよい。この場合、払出実行処理部311が本発明に係る制限処理部の一例である。
【0144】
コード出力処理部215は、照合用コードを含むラベルL1に対応するラベル情報を出力することが可能である。前記照合用コードは、コード読取部304によって読み取り可能な一次元コード又は二次元コードであって、調整装置100を用いて行われる錠剤の種類に応じた薬品カセット2の調整後に発行され、当該錠剤の種類及び当該薬品カセット2のカセットIDを示す。例えば、コード出力処理部215は、制御装置200又は薬品払出装置1などに接続される不図示のプリンタ又はラベル印刷装置などに前記ラベル情報を出力してカード又はシール等の印刷物として印刷する。
【0145】
受付処理部216は、前記テスト払出動作の開始前に、薬品カセット2に充填する薬品の数量、充填日、又は使用期限のいずれか一又は複数の入力を受け付け可能である。即ち、ユーザーは、前記テスト払出動作が終了していなくても、薬品カセット2に充填する薬品の数量、充填日、又は使用期限のいずれか一又は複数を先に入力することが可能である。これにより、ユーザーは、前記テスト払出動作に際して薬品カセット2に錠剤を充填する際に、その後に使用される錠剤を纏めて充填しておくことが可能となる。
【0146】
検出処理部217は、薬品カセット2における錠剤の払出経路である錠剤案内路8bの溝の寸法を手動調整可能な前記調整部による現在の調整値を検出可能である。具体的に、検出処理部217は、操作量検出部501及び初期位置検出部502による検出結果に基づいて、錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅の現在の調整値を検出することが可能である。例えば、検出処理部217は、錠剤案内路8bの溝の深さの寸法の調整開始後、初期位置検出部502によりゼロ点(初期状態)の検出が行われてから操作量検出部501で検出される操作量に基づいて錠剤案内路8bの溝の深さの現在の調整値を算出する。なお、本実施形態において、初期位置検出部502によって検出されるゼロ点は現在の調整値が0となる位置である。
【0147】
表示処理部218は、検出処理部217により検出される現在の調整値と調整の目標値とを比較可能に表示する表示する。また、表示処理部218は、前記現在の調整値と前記目標値との差分を特定可能な調整値情報を表示する。具体的に、表示処理部218は、前記目標値に対応する面積、長さ、又は幅を有する第1領域において、当該目標値と前記現在の調整値との差分に対応する面積、長さ、又は幅を有する第2領域と、当該現在の調整値に対応する面積、長さ、又は幅を有する第3領域とを表示する。さらに、表示処理部218は、薬品カセット2に薬品を充填する際に表示される表示画面に、当該薬品カセット2に対応する前記払出確認情報の有無を表示する。
【0148】
また、表示処理部218は、前記調整部を用いた前記手動調整作業に含まれる複数の作業工程グループを一覧表示することが可能であり、当該一覧表示を行うときの表示処理部218は本発明に係る第1表示処理部に相当する。さらに、表示処理部218は、前記第1表示処理部により前記作業工程グループが表示された後に、当該作業工程グループ各々に含まれる一又は複数の作業工程を順に表示することが可能であり、当該表示を行うときの表示処理部218は本発明に係る第2表示処理部に相当する。なお、薬品払出システム500において、前記第1表示処理部及び前記第2表示処理部は、異なる処理部として設けられていてもよい。
【0149】
報知処理部219は、前記現在の調整値と前記目標値との差分が予め設定された特定範囲以下に達した場合に報知する。これにより、ユーザーは、前記調整部による錠剤案内路8bの溝の調整の適否を容易に判断することが可能である。なお、報知処理部219による報知は、表示出力、音声出力、又はLED点灯状態出力などの各種の報知態様であってよい。
【0150】
払出処理部220は、処方データを薬品払出データとして薬品払出装置1に入力し、当該薬品払出装置1に、当該処方データに基づく薬品払出動作を実行させる。また、払出処理部220は、処方データに基づいて、薬品払出装置1に分包動作を実行させるための分包データを生成し、当該分包データを前記薬品払出データとして薬品払出装置1に入力してもよい。
【0151】
以下、本実施形態に係る薬品払出システム500で実行される薬品割当処理、調整支援処理、薬品払出処理の手順の一例について説明する。なお、当該薬品払出システム500全体として薬品割当処理、調整支援処理、薬品払出処理が実行されれば、各ステップの処理主体及び実行タイミングはここで説明するものに限らない。
【0152】
[薬品割当処理]
まず、
図33を参照しつつ、前記薬品割当処理の手順の一例について説明する。例えば、制御装置200の制御部210は、操作部203に対する所定のユーザー操作に応じて前記薬品割当処理を開始する。ユーザーは、薬品カセット2を薬品払出装置1の充填台1aに載置した後、所定のユーザー操作を行って、制御部210に前記薬品割当処理を実行させる。
【0153】
<ステップS21>
ステップS21において、制御部210は、薬品カセット2に新たに割り当てる錠剤の種類をユーザーに選択させるための処理を実行し、処理をステップS22に移行させる。以下、薬品カセット2に新たに割り当てる錠剤の種類を割当錠剤と称することがある。なお、ステップS21は制御部210の割当処理部211によって実行される。
【0154】
具体的に、ユーザーは、コード読取部304を用いて、前記割当錠剤に対応する錠剤が収容されている薬箱などに付された一次元コード又は二次元コードなどのコードから薬品識別情報を読み取る。これにより、制御部210は、コード読取部304によって読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類を前記割当錠剤として選択する。
【0155】
なお、他の実施形態として、制御部210は、薬品実装マスタD11に基づいて、前記割当錠剤を選択するための薬品選択画面を表示部201に表示させ、当該薬品選択画面における錠剤の種類の選択操作を受け付けてもよい。
【0156】
<ステップS22>
ステップS22において、制御部210は、薬品カセット2への前記割当錠剤の割り当ての開始操作を受け付けるための割当開始画面P1を表示部201に表示させる。
図37に示されるように、割当開始画面P1には、ステップS21で選択された前記割当錠剤に関する情報が表示される表示領域A1と、薬品カセット2に現在割り当てられている錠剤の種類に関する情報が表示される表示領域A2とが含まれる。以下、薬品カセット2に現在割り当てられている錠剤の種類を「既割当錠剤」と称することがある。
【0157】
具体的に、制御部210は、前記割当錠剤の情報を薬品実装マスタD11に基づいて表示領域A1に表示させる。例えば、表示領域A1には、前記割当錠剤を識別可能な薬品コード及び薬品名、当該前記割当錠剤に適合する薬品カセット2のカセットタイプ、当該前記割当錠剤に対応する錠剤の外観画像などが表示される。
【0158】
また、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206から割当薬品情報D21及びカセット情報D22を読み取り、前記既割当錠剤の情報を表示領域A2に表示させる。例えば、表示領域A2には、既割当錠剤を識別可能な薬品コード及び薬品名、当該薬品カセット2のカセットタイプ、当該薬品カセット2に割り当てられた既割当錠剤に対応する錠剤の外観画像などが表示される。
【0159】
また、割当開始画面P1には、表示領域A1に表示される前記割当錠剤の情報を拡張するための操作キーK3が含まれる。制御部210は、操作キーK3が操作されると、割当開始画面P1における表示領域A1を
図38に示すように拡張させる。そして、制御部210は、薬品実装マスタD11に基づいて、前記割当錠剤に対応するJANコード又はGS1コード、錠剤のサイズ(長さ、幅、高さ、厚さ)、安定係数、配置制限、サイズ種別などの前記割当錠剤に関する情報を拡張後の表示領域A1に追加で表示させる。その後、制御部210は、操作キーK3が再度操作されると、割当開始画面P1における表示領域A1の拡張を解除する。なお、制御部210は、ステップS21で選択された前記割当錠剤が、充填台1aに載置されている薬品カセット2に適合しているか否かを判定し、適合しない場合にエラー報知してもよい。また、制御部210は、表示領域A1におけるユーザー操作に応じて、薬品実装マスタD11に登録されている錠剤の種類に対応する錠剤の長さ、幅、高さ、厚さ等の寸法値を変更することが可能であってもよい。
【0160】
<ステップS23>
ステップS23において、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206から、薬品カセット2の固有識別情報としてカセット情報D22に記憶されている「カセットID」の情報を読み取り、今回の割当対象の薬品カセット2の固有識別情報として記憶部202に記憶する。なお、「カセットID」に代えて、割当薬品情報D21に含まれる「カセット番号」が用いられてもよい。
【0161】
<ステップS24>
ステップS24において、制御部210は、薬品カセット2への前記割当錠剤の割り当ての開始操作が行われたか否かを判断する。具体的に、割当開始画面P1には、薬品カセット2への前記割当錠剤の割り当ての開始操作を受け付けるための操作キーK1が表示されており、制御部210は、操作キーK1が操作された場合に、薬品カセット2への前記割当錠剤の割り当ての開始操作が行われたと判断する。ここで、開始操作が行われたと判断された場合(S24:Yes)、処理がステップS25に移行する。なお、開始操作が行われたと判断されるまでの間は(S24:No)、処理が当該ステップS24で待機し、その間、制御部210は、前記割当錠剤の変更操作、又は割り当ての中止操作などを受け付けることが可能である。
【0162】
<ステップS25>
ステップS25において、制御部210は、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206の情報を照合する。具体的に、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206から、薬品カセット2の固有識別情報としてカセット情報D22に記憶されている「カセットID」の情報を読み取る。そして、制御部210は、RFIDタグ206から読み取られた「カセットID」の情報と、前記ステップS23で記憶部202に記憶された今回の割当対象の薬品カセット2の固有識別情報である「カセットID」とを照合する。ここで、制御部210は、照合結果が一致である場合は、処理をステップS26に移行させる。なお、照合結果が一致でない場合、制御部210は、例えば所定のエラー報知処理を実行して処理をステップS24に戻す。これにより、前記ステップS24における割り当て開始操作の前後で、充填台1aに載置されている薬品カセット2が変更されることが抑止される。
【0163】
<ステップS26>
ステップS26において、制御部210は、薬品カセット2に対する現在の錠剤の種類の割り当てを解除するための処理を実行し、当該薬品割当処理を終了する。具体的に、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206に記憶されている割当薬品情報D21の内容を消去する。なお、払出確認フラグは初期値が「1」であるため、割当薬品情報D21の払出確認フラグが「0」である場合には、ステップS26において「1」にリセットされる。即ち、前記ステップS26では、前記払出確認情報が消去されることになる。このように、薬品カセット2に割り当てられる錠剤が変更される場合には、前記払出確認フラグが「1」にリセット(払出確認情報が消去)されるため、割り当てられる錠剤が変更された後は、新たに前記払出確認フラグが「0」に更新(払出確認情報が記憶)されるまでは、後述の薬品払出処理(
図58参照)において、当該薬品カセット2を用いた薬品払出動作が制限されることになる。
【0164】
また、ステップS26において、制御部210は、記憶部202に記憶されている割当対応情報D31において、充填台1aに載置された薬品カセット2に対応付けられた薬品コードを消去する。即ち、調整装置100による薬品カセット2の調整中は、当該薬品カセット2に錠剤の種類が割り当てられていない状態となる。これにより、ロータ8の調整が正常に終わっていない薬品カセット2が薬品払出装置1で使用されること抑止される。
【0165】
[調整支援処理]
次に、
図34~
図36を参照しつつ、前記調整支援処理の手順の一例について説明する。制御部210は、前記薬品割当処理の終了後に続けて前記調整支援処理を開始する。また、制御部210は、前記薬品割当処理の終了後、所定のユーザー操作に応じて任意のタイミングで前記調整支援処理を実行してもよい。
【0166】
<ステップS31>
ステップS31において、制御部210は、ユーザーによって行われる前記手動調整作業の概要を表示する概要表示画面P10を表示部201に表示する。具体的に、制御部210は、調整装置100の前記調整部を用いた前記手動調整作業に含まれる複数の作業工程グループを一覧表示する。前記一覧表示は、制御部210の表示処理部218によって実行される。前記工程グループ各々には、一又は複数の作業工程が含まれる。なお、前記手動調整作業は、ユーザーが、調整装置100を用いて、薬品カセット2のロータ8に設けられた前記調整部を操作し、当該薬品カセット2のロータ8の錠剤案内路8bの溝の寸法を割当状態に応じて調整する作業である。ステップS31は、制御部210の表示処理部218によって実行される。
【0167】
図39に示されるように、概要表示画面P10では、前記手動調整作業の全行程における予め設定された複数の工程グループの内容が一画面に纏めて表示されている。具体的に、
図39に示される概要表示画面P10では、「ロータを外す」、「調整する」、「ロータを戻す」、「充填して、払出しテスト」の4つの前記工程グループに対応する4つの分割領域A10が表示されている。分割領域A10各々には、当該分割領域A10に対応する前記工程グループにおける主な作業内容を示す文字、画像、写真、又は動画などの作業概要情報が表示される。これにより、ユーザーは、前記手動調整作業の開始前に当該手動調整作業の概要を容易に把握することが可能である。
【0168】
また、概要表示画面P10には、ユーザーが概要表示画面P10の確認後に操作する操作キーK10が表示されており、制御部210は、操作キーK10が操作されると、処理をステップS32に移行させる。
【0169】
<ステップS32>
ステップS32において、制御部210は、前記工程グループのうちユーザーが薬品カセット2からロータ8を取り外すロータ外し工程を支援するための作業支援画面P11を表示部201に表示する。
【0170】
図40に示されるように、作業支援画面P11には、前記ロータ外し工程に含まれる作業工程の内容を示す文字、画像、写真、又は動画などが表示される表示領域A111、及び前記ロータ外し工程における作業工程の進行状況を示す表示領域A112などが表示される。例えば、前記ロータ外し工程に4つの作業工程が含まれており、表示領域A112に現在表示中の作業工程が一つ目の作業工程である場合には、その旨を示す文字(例えば「1/4」)の情報が表示される。
【0171】
また、作業支援画面P11には、前記ロータ外し工程における作業工程を進めるための操作キーK111及び操作キーK112が表示されており、制御部210は、操作キーK111又は操作キーK112の操作に応じて、作業支援画面P11に表示される前記ロータ外し工程における作業工程を一つ進める。なお、作業支援画面P11には、前記ロータ外し工程における作業工程を戻すための操作キーK113も表示されており、制御部210は、操作キーK113の操作に応じて、作業支援画面P11に表示される前記ロータ外し工程における作業工程を一つ戻す。そして、制御部210は、前記ロータ外し工程に含まれる最後の作業工程に対応して表示される作業支援画面P11において、操作キーK111が操作されると、処理をステップS33に移行させる。
【0172】
これにより、ユーザーは、前記表示領域A111の表示を順に参照し、薬品カセット2からロータ8を取り外すための前記ロータ外し工程を容易に実行することが可能である。例えば、前記ロータ外し工程には、薬品カセット2の仕切調整機構M1を操作して仕切部材20を後退させる工程、薬品カセット2からロータ8を取り外す工程、ロータ8のロータカバー30を取り外す工程、及びロータ8を調整装置100のロータ台108に装着する工程が含まれる。なお、本実施形態では、調整装置100を用いたロータ8の調整時に、当該ロータ8が薬品カセット2に対して着脱される場合を例に挙げて説明するが、調整装置100が、薬品カセット2にロータ8が装着された状態で当該ロータ8を調整可能な構成であってもよい。
【0173】
<ステップS33~S35>
ステップS33~S35において、制御部210は、前記工程グループのうちユーザーがロータ8における錠剤案内路8bの溝の寸法(深さ、高さ、幅)を調整する寸法調整工程を支援するための作業支援画面P21を表示部201に表示する。前記寸法調整工程には、ロータ8の錠剤案内路8bの溝の高さ、深さ、幅を順に調整するための高さ調整工程、深さ調整工程、幅調整工程の3つの作業工程が含まれる。
【0174】
図41に示されるように、作業支援画面P21には、前記寸法調整工程に含まれる作業工程の内容を示す文字、画像、写真、又は動画などが表示される表示領域A211、前記寸法調整工程における作業工程の進行状況を示す表示領域A212、及び寸法の調整に関する情報を示す表示領域A213などが表示される。
【0175】
表示領域A213には、ロータ8の錠剤案内路8bの溝の高さ、深さ、幅のそれぞれに対応する表示領域A214、A215、A216が含まれる。また、表示領域A214~A216には、スタート位置、調整値、目標値のそれぞれに関する情報が表示される表示領域A217~A219が含まれる。
【0176】
表示領域A217は、ゼロ点検出センサ113~116によって調整対象の寸法についてゼロ点の検出が行われたか否かを表示するための領域である。表示領域A218は、調整対象の寸法について、現在の調整値と調整の目標値との差分を特定可能な調整差分情報を表示するための領域である。
【0177】
そして、制御部210は、
図41~
図43に示されるように、表示領域A218には、前記目標値に対応する面積を有する円環状の第1領域F111を有する調整表示画像F11を前記調整差分情報として表示する。なお、調整表示画像F11の中央の領域F110には、現在の調整値を示す数値が表示される。また、表示領域A218には、現在の調整値を目標値に近づけるためにユーザーが調整部材102を回転させるべき回転方向を示唆する矢印画像F12も表示される。例えば、現在の調整値が目標値に達するまでの間は矢印画像F12として時計回り方向の回転を示唆する画像が表示され、現在の調整値が目標値以上に達すると矢印画像F12として反時計回り方向の回転を示唆する画像が表示される。
【0178】
また、制御部210は、前記調整表示画像F11において、前記目標値と現在の調整値との差分に対応する面積を有する第2領域F112と、前記現在の調整値に対応する面積を有する第3領域F113とを着色などにより識別可能な態様で表示する。そして、制御部210は、前記目標値に対する現在の調整値の到達度に応じて第1領域F111における第2領域F112及び第3領域F113の面積を更新する。具体的に、第3領域F113が、第1領域F111における所定の位置から現在の調整値が前記目標値に近づくに従って第3領域F113の面積が周方向に拡大し、現在の調整値と前記目標値とが一致する場合に、第1領域F111の全体に第3領域F113が表示されることになる。これにより、ユーザーは、前記調整差分情報を参照することにより、現在の調整値と目標値との差分の大きさを容易に把握しながら調整作業を行うことができ、調整が完了したことを容易に把握することも可能である。なお、調整表示画像F11の形状は円環状に限らず、例えば長さ又は幅によって数値の大小を表現可能な棒状の画像であってもよい。
【0179】
表示領域A219は、錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅などの調整の目標値を表示するための領域である。なお、制御部210は、薬品実装マスタD11に登録されている前記割当錠剤に対応する調整深さ、調整高さ、調整幅の各寸法に基づいて、錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅などの調整の目標値を特定する。調整深さ、調整高さ、調整幅の各寸法と、錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅などの調整の目標値とは同じ数値であってもよいが、前記目標値は、調整深さ、調整高さ、調整幅の各寸法を、エンコーダ131によって検出される変位量に変換した値であってもよい。また、制御部210は、錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅の目標値を、上位コンピュータ又はインターネット上のデータベースからダウンロードしてもよい。
【0180】
ここで、
図44を参照しつつ、ステップS33~S35のうちステップS33における高さ調整工程を例に挙げて、ユーザーが行う高さ調整工程の内容、及び調整支援画面P21の表示内容について説明する。なお、ステップS33~S35によって実行される表示処理は、制御部210の表示処理部218によって実行される。
【0181】
まず、制御部210は、調整支援画面P21の表示領域A213において、最初の調整対象となる高さに対応する表示領域A214をハイライト表示し、高さの調整中である旨を表示する。さらに、制御部210は、表示領域A211に作業の内容を表示すると共に、表示領域A218に調整部材102を回転させるべき回転方向を示唆する矢印画像F12を表示する。また、制御部210は、ゼロ点検出センサ113によってゼロ点の検出が行われるまでの間、表示領域A214の表示領域A217にゼロ点検出が行われていない旨を示す「未検出」を表示する。なお、表示領域A215、A216においても表示領域A217にも「未検出」が表示される。
【0182】
ここで、ユーザーは、装置本体101の収納口124から調整部材102を取り出して、調整部材102の中心軸155を装置本体101の「Length(高さ)」の上ガイド穴125から下ガイド穴126に向かって挿入し、
図44(a)に示すように、ロータ8の高さ調整機構M3の係合部52bに係合させる。これにより、調整部材102の中心軸155は、回転部材129の係合穴132に係合し、回転部材129と一体に回転可能となる。ここで、回転部材129の回転は、中間歯車130を介してエンコーダ131の検出歯車142に伝達され、エンコーダ131により回転量が検出され、該回転量は、制御装置200に送信される。
【0183】
調整部材102は、グリップ部147を持った状態では、
図28(b)に示すように、軸部148はその自重によりグリップ部147に対して下方に下がり、グリップ部147の外側部材149gが第1部材153の上係合部153cから離脱する。この結果、中心軸155が係合部95dに係合していない状態で、グリップ部147を回しても、その回転力は中心軸155に伝達されないので、エンコーダ131は回転を検出しない。中心軸155を係合部95dに押さえ付けると、中心軸155がグリップ部147に対して相対的に移動し、係合部149gと上係合部153cとが係合するので、グリップ部147を回転させることにより、中心軸155が回転する。また、中心軸155が係合部95dに係合している状態で、ゼロ点を越えて無理に回すとトルクがかかるので、トルクリミッタが作動し、
図28(c)に示すように、第1部材153の下係合部153eが第2部材154の係合部154bから離脱し、グリップ部147の回転は中心軸155に伝達されない。この結果、回転部材129、中間歯車130、エンコーダ131等の回転機構や、ロータ8の調整機構が破損することはない。
【0184】
次に、ユーザーは、グリップ部147を下方に押し付けながら、グリップ部147に矢印で示す原点方向に、中心軸155をゼロ点検出センサ113がオンになるまで回す。そして、ゼロ点検出センサ113がオンすると、原点方向と逆方向にゼロ点検出センサ113がオフになるまで回し、ゼロ点検出センサ113がオフすると、原点方向に再度ゼロ点検出センサ113がオンするまで回す。
【0185】
ここで、制御部210は、2度目のゼロ点検出センサ113がオンすると、錠剤案内路8bの溝の高さの現在値をリセットし、エンコーダ131による回転部材129の現在値の検出を開始する。このように、制御部210は、初期位置検出部502によってゼロ点検出が行われてから操作量検出部501によって検出される操作量に基づいて現在の調整値を検出する。即ち、制御部210は、操作量検出部501及び初期位置検出部502による検出結果に基づいて前記調整部による現在の調整値を検出する。なお、係る検出処理は、制御部210の検出処理部217によって実行される検出ステップの一例である。
【0186】
また、制御部210は、ゼロ点検出センサ113によって2度目のゼロ点の検出が行われると、表示領域A214の表示領域A217にゼロ点検出が行われた旨を示す「検出OK」を表示する。さらに、制御部210は、高さに対応する表示領域A214における表示領域A218に調整表示画像F11における第2領域F112及び第3領域F113の表示を開始させると共に、表示領域A219に調整の目標値を表示させる。なお、本実施形態では、最初からゼロ点検出センサ113が検出されている場合を想定し、2度のゼロ点検出が行われた場合にゼロ点検出が行われたと判断されるが、他の実施形態として1度のみゼロ点検出が行われたか否かが判断されてもよい。
【0187】
その後、制御部210は、エンコーダ131によって検出される回転部材129の操作量に基づいて現在の調整値を加算又は減算して前記調整差分情報として表示される調整表示画像F11を更新する。具体的に、制御部210は、現在の調整値を領域F110に表示させると共に、当該現在の調整値に応じて第3領域F113を随時更新する。即ち、ユーザーによって調整部材102が回転されて現在の調整値が目標値に近づくに従って、第1領域F111において、第3領域F113の面積が所定位置から時計回りに増加し、第2領域F112の面積が減少する。これにより、ユーザーは、現在の調整値が目標値に近づいていることを一見して把握することが可能である。
【0188】
さらに、制御部210は、ゼロ点検出センサ113によってゼロ点検出が行われた後、現在の調整値と目標値との差分に応じた音声を表示部201から再生することにより、ユーザーに調整の状況を報知する。具体的に、制御部210は、予め設定された第1の電子音の鳴動間隔を、現在の調整値と目標値との差分が小さくなるほど短くし、現在の調整値と目標値との差分が予め設定された特定範囲以下となった場合に、予め設定された第2の電子音又は音声を再生する。このような報知処理は、制御部210の報知処理部219によって実行される。これにより、ユーザーは、前記第1の電子音に鳴動間隔によって、現在の調整値と目標値との差分の大きさを把握しながら調整作業を行うことが可能である。また、ユーザーは、前記第2の電子音又は音声の再生によって調整が完了したことを容易に把握することが可能である。なお、制御部210は、調整表示画像F11の表示、又は前記音声の再生のいずれか一方のみを実行してもよい。
【0189】
そして、前記ユーザーは、現在値が目標値になるまで、グリップ部147を原点方向と逆方向に回転する。このとき、大摘み部149bを持って回すことが好ましい。小摘み部149cでは、回転量が大きくなり、目標値を通り過ぎることがあるからである。グリップ部147を回転している間、現在値が表示部A219に表示される。現在値が目標値になると、ユーザーは、グリップ部147の回転を停止し、調整部材102を装置本体101から取り外す。
【0190】
ここで、作業支援画面P21には、前記寸法調整工程における作業工程を進めるための操作キーK211及び操作キーK212が表示されており、制御部210は、操作キーK211又は操作キーK212の操作に応じて、作業支援画面P21に表示される前記寸法調整工程における作業工程を一つ進める。なお、作業支援画面P21には、前記寸法調整工程における作業工程を戻すための操作キーK213も表示されており、制御部210は、操作キーK213の操作に応じて、作業支援画面P21に表示される前記寸法調整工程における作業工程を一つ戻す。
【0191】
以上のようにしてステップS33における錠剤案内路8bの溝の高さの調整が終了すると、続くステップS34では、錠剤案内路8bの溝の深さの調整を支援するための処理が実行される。このとき、ユーザーは、調整部材102の中心軸155を装置本体101の「Depth(深さ)」の上ガイド穴125から下ガイド穴126に向かって挿入し、
図44(b)に示すように、ロータ8の深さ整機構M2の係合部33cに係合させる。そして、高さの調整と同様に、調整部材102を回転させて、錠剤案内路8bの溝の高さを調整する。また、ステップS34では、
図42に示されるように、高さの調整と同様に、錠剤案内路8bの溝の高さの調整について作業支援画面P21に調整状況が表示される。なお、制御部210は、高さの調整が完了しているため、
図42に示されるように、表示領域A124に「OK」の文字を大きく表示させる。また、表示領域A124がグレーアウト表示されてもよい。
【0192】
また、ステップS34における錠剤案内路8bの溝の深さの調整が終了すると、続くステップS35では、錠剤案内路8bの溝の幅の調整を支援するための処理が実行される。このとき、ユーザーは、調整部材102の中心軸155を装置本体101の「Width(幅)」の上ガイド穴125から下ガイド穴126に向かって挿入し、
図44(a)に示すように、ロータ8の幅調整機構M4の係合部95dに係合させる。そして、高さの調整と同様に、調整部材102を回転させて、錠剤案内路8bの溝の幅を調整する。また、ステップS35では、
図43に示されるように、高さの調整と同様に、錠剤案内路8bの溝の幅の調整について作業支援画面P21に調整状況が表示される。なお、本実施形態では、錠剤案内路8bの溝の幅については、二つのゼロ点検出センサ115及び116が設けられているため、制御装置200は、ゼロ点検出センサ115及びゼロ点検出センサ116の両方の検出信号がONである場合に、錠剤案内路8bの溝の幅についてゼロ点検出が完了したと判断する。一方、他の実施形態として、錠剤案内路8bの溝の幅に対応して一つのゼロ点検出センサ115又は116のみが設けられていてもよい。
【0193】
そして、制御部210は、前記寸法調整工程に含まれる最後の作業工程に対応して表示される幅の調整時の作業支援画面P11において、操作キーK211が操作されると、処理をステップS33に移行させる。
【0194】
このように、ユーザーは、作業支援画面P21を参照しながら、調整部材102を用いてロータ8の前記調整部を操作し、当該ロータ8の錠剤案内路8bの溝の寸法を調整するための作業を容易に行うことができる。
【0195】
<ステップS36>
ステップS36において、制御部210は、前記工程グループのうちユーザーが薬品カセット2にロータ8を戻すロータ戻し工程を支援するための作業支援画面P31を表示部201に表示する。
【0196】
図45に示されるように、作業支援画面P31には、前記ロータ戻し工程に含まれる作業工程の内容を示す文字、画像、写真、又は動画などが表示される表示領域A311、及び前記ロータ戻し工程における作業工程の進行状況を示す表示領域A312などが表示される。
【0197】
また、作業支援画面P31には、前記ロータ戻し工程における作業工程を進めるための操作キーK311及び操作キーK312が表示されており、制御部210は、操作キーK311又は操作キーK312の操作に応じて、作業支援画面P11に表示される前記ロータ戻し工程における作業工程を一つ進める。なお、作業支援画面P31には、前記ロータ戻し工程における作業工程を戻すための操作キーK313も表示されており、制御部210は、操作キーK313の操作に応じて、作業支援画面P31に表示される前記ロータ戻し工程における作業工程を一つ戻す。そして、制御部210は、前記ロータ戻し工程に含まれる最後の作業工程に対応して表示される作業支援画面P31において、操作キーK311が操作されると、処理をステップS37に移行させる。
【0198】
これにより、ユーザーは、前記表示領域A311の表示を順に参照し、薬品カセット2にロータ8を戻すための前記ロータ戻し工程を容易に実行することが可能である。例えば、前記ロータ戻し工程には、調整装置100のロータ台108からロータ8を取り外す工程、ロータ8にロータカバー30を取り付ける工程、ロータ8を薬品カセット2に取り付ける工程、薬品カセット2の蓋6を閉じる工程、薬品カセット2の仕切調整機構M1を操作して仕切部材20を閉じる工程、及び薬品カセット2を薬品払出装置1の充填台1aに載置する工程が含まれる。
【0199】
具体的に、薬品カセット2の仕切調整機構M1を操作して仕切部材20を閉じる工程において、ユーザーは、調整部材102のグリップ部147の六角レンチ149dにより仕切調整機構M1の仕切調整部24を進入方向に回転し、仕切部材20がロータ8に接触して撓むまで回す。続いて、ユーザーは、仕切調整部24を後退方向に回し、仕切部材20がロータ8から僅かに離れる位置で回転を止める。そして、ユーザーは、薬品カセット2の駆動ギア14を回してロータ8を回転させ、仕切部材20がロータ8に当たらないことを確認する。
【0200】
<ステップS37>
ステップS37において、制御部210は、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206の情報を照合する。具体的に、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206から、薬品カセット2の固有識別情報としてカセット情報D22に記憶されている「カセットID」の情報を読み取る。そして、制御部210は、RFIDタグ206から読み取られた「カセットID」の情報と、前記ステップS23で記憶部202に記憶された今回の割当対象の薬品カセット2の固有識別情報である「カセットID」とを照合する。そして、制御部210は、照合結果が一致である場合は、処理をステップS38に移行させ、照合結果が一致でない場合は、所定のエラー報知処理を実行する。これにより、次のステップS38において誤った薬品カセット2のRFIDタグ206に情報が書き込まれることが抑止される。
【0201】
<ステップS38>
ステップS38において、制御部210は、データ記録部305を用いて薬品カセット2のRFIDタグ206の書込可能領域261の割当薬品情報D21に、ステップS21で選択された前記割当錠剤に対応する薬品コード、安定係数、配置制限、サイズ種別、枝番号、機種番号などの情報を記憶する。なお、このとき割当薬品情報D21における払出確認フラグは初期値の「1」であり、後述のステップS56で「0」に更新されることになる。
【0202】
これにより、制御部210は、割当薬品情報D21を参照することにより、例えば薬品コードが記憶されており、払出確認フラグが「1」である場合には、当該割当薬品情報D21が記憶されたRFIDタグ206を備える薬品カセット2が、前記手動調整作業が完了後であって、後述のテスト払出処理の実行前の状態であることを特定することが可能である。一方、制御部210は、割当薬品情報D21を参照することにより、例えば薬品コードが記憶されていない場合には、当該割当薬品情報D21が記憶されたRFIDタグ206を備える薬品カセット2が、前記手動調整作業が完了前であることを特定することが可能である。さらに、制御部210は、割当薬品情報D21を参照することにより、例えば薬品コードが記憶されており、且つ、払出確認フラグが「0」である場合には、当該割当薬品情報D21が記憶されたRFIDタグ206を備える薬品カセット2が、前記手動調整作業が完了後であって、且つ、後述のテスト払出処理の実行後の状態であることを特定することが可能である。
【0203】
<ステップS39>
ステップS39において、制御部210は、割当対応情報D31における薬品カセット2に対応する薬品識別情報を、前記割当錠剤に対応する薬品識別情報に更新する。このように、ステップS38~S39において、制御部210は、薬品カセット2と前記割当錠剤とを対応付けることにより、前記割当錠剤を薬品カセット2に割り当てる。なお、ステップS38~S39は制御部210の割当処理部211によって実行される。
【0204】
<ステップS40>
ステップS40において、制御部210は、調整支援処理で照合用コードを含むラベルL1を出力する設定が有効であるか否かを判断する。例えば、制御部210は、薬品払出装置1の初期設定において、調整支援処理におけるラベルL1の出力設定を、ユーザー操作に応じて有効又は無効に設定可能である。例えば、前記照合用コードは、前記割当錠剤に対応する薬品コード又は薬品名などの薬品識別情報と、薬品カセット2の固有識別情報であるカセット番号とを含む。ここで、ラベルL1の出力設定が有効であると判断されると(S40:Yes)、処理がステップS41に移行する。また、ラベルL1の出力設定が有効でないと判断されると(S40:No)、処理がステップS401に移行する。
【0205】
<ステップS41>
ステップS41において、制御部210は、前記照合用コードを含むラベルL1に対応するラベル情報を出力するためのコード出力処理を実行し、処理をステップS42に移行させる。なお、ラベル情報には、前記照合用コードとは別に、前記割当錠剤に対応する薬品コード又は薬品名などの薬品識別情報を示す文字、薬品カセット2の固有識別情報であるカセット番号を示す文字、及び前記割当錠剤に対応する錠剤の外観画像などの他の情報が含まれていてもよい。なお、ステップS40は、制御部210のコード出力処理部215によって実行される。
【0206】
具体的に、ステップS41において、制御部210は、ユーザー操作に応じてコード出力処理を実行する。例えば、制御部210は、
図46に示される印刷画面P41を表示部201に表示させる。印刷画面P41には、ラベルL1の印刷プレビューが表示される領域A411と、ユーザー操作を受け付ける印刷キーK41などが表示される領域A412とを含む。そして、印刷画面P41に表示された印刷キーK41がユーザーによって操作された場合に、前記ラベル情報を制御装置200に接続される不図示のプリンタ又はラベル印刷装置などに送信してラベルL1を印刷する。例えば、前記ラベル情報には、前記照合用コードが示されたラベルL1が2枚含まれており、当該ラベルL1各々は、薬品カセット2のポケット6a、7aに挿入され、又は、薬品カセット2の前面又は側面と上面(蓋6)とに貼付される。なお、前記ラベル情報には、前記照合用コードが示されたラベルL1が一枚又は三枚以上含まれていてもよい。また、前記ラベル情報の出力態様は、印刷に限らず、メール又はSNS等を用いた通信端末への送信出力であってもよい。
【0207】
<ステップS401>
ステップS401において、制御部210は、前記手動調整作業が完了した旨を示す調整完了画面P42を、ステップS22で表示された割当開始画面P1上にポップアップ表示し、処理をステップS42に移行させる。
図47に示されるように、調整完了画面P42には、前記手動調整作業が完了した旨及びロータ8が取り外し可能である旨などが表示される。そして、制御部210は、調整完了画面P42を閉じるためのユーザー操作が行われると、処理をステップS42に移行させる。
【0208】
<ステップS42>
図35に示されるように、ステップS42において、制御部210は、前記手動調整作業に続けて、当該手動調整作業で調整された後の薬品カセット2から錠剤を払い出すテスト払出動作を実行するか否かを判断する。ここで、続けて前記テスト払出動作を実行すると判断した場合(S42:Yes)、処理がステップS43に移行し、続けて前記テスト払出動作を実行しないと判断した場合(S42:No)、当該調整支援処理が終了する。
【0209】
例えば、制御部210は、
図48及び
図49に示されるように、続けて前記テスト払出動作を実行するか否かをユーザーに選択させるための選択画面P51を表示部201に表示させる。選択画面P51には、続けて前記テスト払出動作を実行することを選択するための操作キーK511と、後で前記テスト払出動作を実行することを選択するための操作キーK512とが表示される。そして、制御部210は、操作キーK511が操作されると、
図48に示されるように、続けて前記テスト払出動作を実行するために必要なユーザーの作業内容の概要を文字、画像、写真、又は動画などで表示する。一方、制御部210は、操作キーK512が操作されると、
図49に示されるように、後で前記テスト払出動作を実行するために必要なユーザーの作業内容の概要を文字、画像、写真、又は動画などで表示する。
【0210】
<ステップS43>
ステップS43において、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206から割当薬品情報D21及びカセット情報D22を読み取り、今回のテスト払出動作の対象となる薬品カセット2の情報として記憶部202に記憶する。なお、薬品カセット2に設けられるRFIDタグ206は情報が記録可能な記録媒体の一例であって、RFIDタグ206に代えて、バーコードリーダーで読み取り可能な一次元コード又は二次元コードなどを用いてRFIDタグ206と同様の情報が記録(印刷)された貼付ラベルなどの記録媒体が用いられてもよい。
【0211】
<ステップS44>
ステップS44において、制御部210は、コード読取部304によって、ラベルL1に含まれる前記照合用コードが読み取られたか否かを判断する。例えば、制御部210は、コード読取部304を用いた前記照合用コードの読み取りを促すための文字、画像、写真、又は動画などを表示する作業支援画面P61を表示部201に表示させる。また、制御部210は、割当薬品情報D21の払出確認フラグの情報に基づいて、作業支援画面P61における表示領域A611に、前記テスト払出動作において錠剤が払い出されたことを示す前記払出確認情報の有無(「照合済み」、「未照合」など)を表示させる。なお、前記作業支援画面P61の表示は、制御部210の表示処理部218によって実行される。
【0212】
ここで、ユーザーがコード読取部304を用いて、ラベルL1に含まれる前記照合用コードを読み取ると、ステップS44において、前記照合用コードが読み取られたと判断され(S44:Yes)、処理がステップS45に移行する。なお、前記照合用コードが読み取られるまでの間は(S44:Yes)、処理がステップS44で待機する。
【0213】
<ステップS45>
ステップS45において、制御部210は、ステップS43でRFIDタグ206から読み取られた割当薬品情報D21と、ステップS44でラベルL1から読み取られた前記照合用コードとを照合する。具体的に、制御部210は、割当薬品情報D21に含まれるカセット番号と、ステップS44でラベルL1から読み取られた前記照合用コードに含まれるカセット番号とを照合する。そして、制御部210は、照合結果が一致である場合には、処理をステップS46に移行させ、照合結果が不一致である場合には、所定のエラー報知を実行する。なお、制御部210は、前記照合結果が一致である場合には、作業支援画面P61において、当該照合結果を識別可能に表示する。
【0214】
<ステップS46>
ステップS46において、制御部210は、コード読取部304を用いて、前記割当錠剤が収容されている薬箱などに付されたコードから薬品識別情報が読み取られたか否かを判断する。例えば、制御部210は、コード読取部304を用いた前記割当錠剤に対応する錠剤の前記コードの読み取りを促すための文字、画像、写真、又は動画などを表示部201に表示させる。これにより、ユーザーは、コード読取部304を用いて、前記割当錠剤が収容されている薬箱などに付されたコードから薬品識別情報を読み取る。そして、前記薬品識別情報が読み取られたと判断すると(S46:Yes)、処理がステップS47に移行し、前記薬品識別情報が読み取られるまでの間は(S46:Yes)、処理がステップS46で待機する。
【0215】
<ステップS47>
ステップS47において、制御部210は、ステップS43でRFIDタグ206から読み取られた割当薬品情報D21と、ステップS46で読み取られた前記薬品識別情報とを照合する。具体的に、制御部210は、割当薬品情報D21に含まれる薬品コードなどの薬品識別情報と、ステップS47で読み取られた前記薬品識別情報とを照合する。そして、制御部210は、照合結果が一致である場合には、処理をステップS48に移行させ、照合結果が不一致である場合には、所定のエラー報知を実行する。なお、制御部210は、前記照合結果が一致である場合には、作業支援画面P61において、当該照合結果を識別可能に表示する。
【0216】
<ステップS48>
ステップS48において、制御部210は、作業支援画面P61において、薬品カセット2に充填する錠剤の数量、充填日、又は使用期限のいずれか一又は複数の入力を受け付ける。即ち、制御部210は、薬品カセット2についての前記テスト払出動作の開始前の時点で、当該薬品カセット2に充填する錠剤に関する情報の入力を受け付けることが可能である。なお、ステップS48は、制御部210の受付処理部216によって実行される。そして、制御部210は、作業支援画面P61に表示される登録キーK61が操作されると、処理をステップS49に移行させる。また、制御部210は、登録キーK61が操作されたとき薬品カセット2に充填する錠剤の数量、充填日、又は使用期限などの入力を受け付けていない場合であっても、処理をステップS49に移行する。
【0217】
<ステップS49>
ステップS49において、制御部210は、前記工程グループのうち、前記テスト払出動作の実行に際してユーザーが行うテスト払出工程を支援するための作業支援画面P71を表示部201に表示する。特に、ステップS49では、前記テスト払出工程のうち、前記テスト払出動作の実行前にユーザーが行う第1テスト払出工程を支援するための作業支援画面P71が表示される。なお、前記テスト払出工程のうち、前記テスト払出動作の実行後にユーザーが行う第2テスト払出工程を支援するための作業支援画面P71は、後述のステップS54で表示される。
【0218】
図51に示されるように、作業支援画面P71には、前記テスト払出工程に含まれる作業工程の内容を示す文字、画像、写真、又は動画などが表示される表示領域A711、及び前記テスト払出工程における作業工程の進行状況を示す表示領域A712などが表示される。
【0219】
また、作業支援画面P71には、前記テスト払出工程における作業工程を進めるための操作キーK711及び操作キーK712が表示されており、制御部210は、操作キーK711又は操作キーK712の操作に応じて、作業支援画面P71に表示される前記テスト払出工程における作業工程を一つ進める。なお、作業支援画面P71には、前記テスト払出工程における作業工程を戻すための操作キーK713も表示されており、制御部210は、操作キーK713の操作に応じて、作業支援画面P71に表示される前記テスト払出工程における作業工程を一つ戻す。そして、制御部210は、前記テスト払出工程に含まれる最後の作業工程に対応して表示される作業支援画面P71において、操作キーK711が操作されると、処理をステップS50に移行させる。
【0220】
これにより、ユーザーは、前記表示領域A711の表示を順に参照し、前記テスト払出動作の実行前にユーザーが行う前記第1テスト払出工程を容易に実行することが可能である。例えば、前記第1テスト払出工程には、薬品カセット2にラベルL1のシールを貼る工程、薬品カセット2に貼付されたラベルL1の前記照合用コードをコード読取部304で読み取る工程、前記割当錠剤が収容されている薬箱などに付されたコードを読み取る工程、薬品カセット2に前記割当錠剤に対応する錠剤を充填する工程、及び薬品カセット2を薬品払出装置1に装着する工程が含まれる。
【0221】
<ステップS50>
ステップS50において、制御部210は、前記テスト払出動作を薬品払出装置1に実行させ、当該テスト払出動作が完了すると、処理をステップS51に移行させる。具体的に、制御部210は、前記テスト払出動作を実行するために予め設定されるテスト用払出データを薬品払出装置1に入力し、当該薬品払出装置1に前記テスト用払出データに基づく前記テスト払出動作を実行させる。なお、ステップS50の処理は、制御部210の判定処理部212によって実行される。
【0222】
前記テスト用払出データは、予め設定された特定数の前記割当錠剤を薬品カセット2から払い出すためのデータである。特に、前記テスト用払出データは、前記特定数の前記割当錠剤を予め設定された特定包数の薬包紙に分包するためのデータであってもよい。例えば、前記特定数及び前記特定包数のそれぞれは、予め設定された固定値であり、前記テスト払出動作における払出対象の錠剤の種類については、前記調整支援処理ごとに制御部210によって前記割当錠剤が設定される。
【0223】
このとき、薬品払出装置1では、前記テスト用払出データに示された錠数の前記割当錠剤が薬品カセット2から払い出され、一又は複数の薬包紙に分包される分包処理を実行する。例えば、2包の薬包紙に5錠ずつ前記割当錠剤が分包される。また、薬品払出装置1では、前記分包処理が実行される際に、払出検出部303によって、薬品カセット2から払い出される錠剤の数がカウントされると共に、当該薬品カセット2から払い出された錠剤の写真が撮影され、当該錠剤の数及び当該錠剤の写真が制御装置200に送信される。なお、払出検出部303によって撮影される錠剤の写真は、錠剤ごとに撮影されるものであってもよく、薬包紙で包装された後の状態で薬包紙ごとに撮影されてもよい。
【0224】
<ステップS51>
ステップS51において、制御部210は、前記テスト払出動作の結果を示すテスト払出結果画面P81を表示部201に表示する。
図52及び
図53に示されるように、テスト払出結果画面P81には、前記テスト払出動作において薬品払出装置1で払出検出部303によって撮影される撮影画像F811と、前記テスト払出動作において払出検出部303により検出された錠剤の払出錠数の適否などの情報が表示される表示領域A811などが表示される。例えば、
図52には、前記テスト払出動作が正常に行われた場合のテスト払出結果画面P81の表示例が示されており、
図53には、前記テスト払出動作が正常に行われなかった場合のテスト払出結果画面P81の表示例が示されている。
【0225】
なお、制御部210は、前記テスト払出動作における錠剤の払出錠数を、払出検出部303によって撮影される撮影画像F811に基づいてカウントしてもよい。また、制御部210は、撮影画像F811に基づいて、前記テスト払出動作において実際に払い出された錠剤の種別が前記割当錠剤であるか否かを判定し、その判定結果をテスト払出結果画面P81に表示してもよい。
【0226】
<ステップS52>
ステップS52において、制御部210は、前記テスト払出動作により薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されたか否かを判定する。なお、ステップS52の処理は、制御部210の判定処理部212によって実行される判定ステップの一例である。
【0227】
具体的に、制御部210は、テスト払出結果画面P81には、ユーザーが前記テスト払出動作の結果に問題ないことを確認した場合に操作する操作キーK811が表示されており、ステップS52において、制御部210は、操作キーK811が操作されたか否かを判定する。即ち、制御部210は、薬品カセット2についての前記テスト払出動作が実行された後に、特定のユーザー操作が行われたことを条件に、当該薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されたと判定する。
【0228】
ここで、前記テスト払出動作により薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されたと判断すると(S52:Yes)、処理がステップS53に移行し、前記テスト払出動作により薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されていないと判断すると(S52:No)、処理がステップS521に移行する。なお、テスト払出結果画面P81における撮影画像F811の表示が省略され、ユーザーが、実際に薬品払出装置1から払い出された錠剤を目視で確認して操作キーK811の操作を行ってもよい。
【0229】
他の実施形態として、制御部210が、払出検出部303による検出結果に基づいて、前記テスト払出動作において実際に払い出された錠剤の数が前記特定数であるか否かを自動的に判定し、判定結果が一致であることを条件に、前記テスト払出動作により薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されたと判定してもよい。
【0230】
また、他の実施形態として、制御部210が、撮影画像F811に基づいて、前記テスト払出動作において実際に払い出された錠剤の種別が前記割当錠剤であるか否かを自動的に判定し、判定結果が一致であることを条件に前記テスト払出動作により薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されたと判定してもよい。
【0231】
さらに、他の実施形態として、制御部210が、薬品カセット2についての前記テスト払出動作が終了したことを条件に前記テスト払出動作により薬品カセット2から正しく錠剤が払い出されたと判定してもよい。
【0232】
<ステップS521>
ステップS521において、制御部210は、前記テスト払出動作をやり直し要求がユーザーによって行われたか否かを判断する。具体的に、テスト払出結果画面P81には、前記テスト払出動作をやり直す場合にユーザーが操作する操作キーK812が表示されており、ステップS521において、制御部210は、操作キーK812が操作されたか否かを判断する。ここで、前記テスト払出動作のやり直し要求が行われたと判断すると(S521:Yes)、処理がステップS522に移行し、前記テスト払出動作のやり直し要求が行われていないと判断すると(S521:No)、処理がステップS524に移行する。
【0233】
<ステップS522~S523>
ステップS522~S523において、制御部210は、前記テスト払出動作のやり直し手法の選択を受け付ける。
【0234】
具体的に、制御部210は、テスト払出結果画面P81に、前記テスト払出動作のやり直し手法の選択を受け付けるための選択画面P811を表示部201に表示する。
図54に示されるように、選択画面P811には、前記テスト払出動作からやり直す場合にユーザーが操作する操作キーK814と、前記手動調整作業からやり直す場合にユーザーが操作する操作キーK815とが表示されている。
【0235】
そして、制御部210は、操作キーK814が操作されると、前記テスト払出動作からやり直すと判定し(S522:Yes)、処理をステップS50に移行させる。なお、少なくとも前記手動調整作業を再実行することなく前記テスト払出動作を再実行することが可能であれば、処理の移行先は前記ステップS50に限らない。
【0236】
一方、制御部210は、操作キーK815が操作されると、前記手動調整作業からやり直すと判定し(S523:Yes)、処理をステップS21に移行させる。なお、少なくとも前記手動調整作業及び前記テスト払出動作を再実行することができれば、処理の移行先は前記ステップS21に限らない。
【0237】
<ステップS524>
ステップS524において、制御部210は、前記テスト払出動作の異常により前記調整支援処理を途中で終了するか否かを判断する。具体的に、テスト払出結果画面P81には、前記テスト払出動作の異常により前記調整支援処理を途中で終了する場合にユーザーが操作する操作キーK813が表示されており、ステップS524において、制御部210は、操作キーK813が操作されたか否かを判断する。ここで、前記調整支援処理を途中で終了すると判断すると(S524:Yes)、処理がステップS525に移行し、前記調整支援処理を途中で終了すると判断していなければ(S524:No)、処理が前記ステップS52に戻される。なお、制御部210は、予め設定された回数だけ前記テスト払出動作が実行されても、前記テスト払出動作が正常に行われない場合に、自動的に前記調整支援処理を途中で終了すると判断してもよい(S54:Yes)。
【0238】
<ステップS525>
ステップS525において、制御部210は、例えば
図54に示されるようなエラー報知画面P812を表示部201に表示し、ユーザーにエラーを報知する。例えば、前記エラー報知では、前記テスト払出動作の異常があるために前記調整支援処理を途中で終了する等のメッセージが報知される。そして、制御部210は、エラー報知画面P812に表示される閉じるキーK816が操作されると、当該エラー報知画面P812を閉じて、調整支援処理を終了する。なお、制御部210は、前記薬品割当処理及び前記調整支援処理をそれぞれ終了する際には、前記薬品割当処理及び前記調整支援処理の内容を履歴情報として記憶部202に記憶してもよい。
【0239】
具体的に、制御部210は、前記テスト払出動作において、薬品カセット2から特定数の錠剤の払出動作が実行されたときに、薬品カセット2から払い出される錠剤が払出検出部303で検出されない場合には、錠剤が払い出せない旨を前記エラー報知画面P812に表示させることが考えられる。また、制御部210は、前記テスト払出動作において、薬品カセット2から特定数の錠剤の払出動作が実行されたときに、薬品カセット2から払い出されて払出検出部303で検出される錠剤の数を判定し、その錠剤の数が前記特定数と異なる場合に、錠剤の払出数が異なる旨のエラー(過多又は不足など)を前記エラー報知画面P812に表示させてもよい。なお、制御部210は、前記エラーの内容に応じて予め設定された一又は複数の確認箇所又は確認内容をユーザーに報知するためのメッセージ又は画像などをエラー報知画面P812に表示してもよい。
【0240】
<ステップS53>
前記ステップS52において前記テスト払出動作の結果が正常であることがユーザーによって確認された場合(S52:Yes)、続くステップS53において、制御部210は、ユーザーの承認を受け付けるための承認画面P82を表示部201に表示する。
図56に示されるように、承認画面P82では、今回の前記調整支援処理で調整された薬品カセット2のカセット番号、前記割当錠剤の薬品名が表示されており、前記調整支援処理によって薬品カセット2の調整を担当したユーザー名が入力可能である。そして、制御部210は、前記ユーザー名が入力された後、承認画面P82に表示されている操作キーK821が操作されると、処理をステップS54に移行させる。
【0241】
<ステップS54>
ステップS54において、制御部210は、前記テスト払出工程のうち、前記テスト払出動作の実行後にユーザーが行う前記第2テスト払出工程を支援するための作業支援画面P71を表示する。例えば、前記第2テスト払出工程には、薬品カセット2を薬品払出装置1から取り外す工程、及び薬品カセット2を薬品払出装置1の充填台1aに載置する工程が含まれる。作業支援画面P71は、前記テスト払出動作の実行前に前記ステップS49で表示される作業支援画面P71と同様であるため詳細な説明を省略するが、例えば
図57には、薬品カセット2を薬品払出装置1から取り外す工程が表示された作業支援画面P71が示されている。これにより、ユーザーは、前記表示領域A711の表示を順に参照し、前記テスト払出動作の実行後にユーザーが行う前記第2テスト払出工程を容易に実行することが可能である。
【0242】
<ステップS55>
ステップS55において、制御部210は、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206の情報を照合する。具体的に、制御部210は、データ記録部305を制御し、充填台1aに載置されている薬品カセット2のRFIDタグ206からカセット情報D22を読み取る。そして、制御部210は、RFIDタグ206から読み取られた「カセットID」の情報と、前記ステップS23で記憶部202に記憶された今回の調整対象の薬品カセット2の固有識別情報である「カセットID」とを照合する。そして、制御部210は、照合結果が一致である場合は、処理をステップS56に移行させ、照合結果が一致でない場合は、所定のエラー報知処理を実行する。これにより、次のステップS56において誤った薬品カセット2のRFIDタグ206に情報が書き込まれることが抑止される。
【0243】
<ステップS56>
ステップS56において、制御部210は、データ記録部305を用いて、薬品カセット2のRFIDタグ206に、当該薬品カセット2を対象にした前記テスト払出動作が終了している旨を示す前記払出確認情報を記憶する。具体的に、制御部210は、RFIDタグ206の書込可能領域261の割当薬品情報D21に含まれる払出確認フラグを「1」から「0」に更新する。なお、ステップS56は制御部210の記憶処理部213によって実行される記憶ステップの一例である。また、本実施形態では、ユーザーによる承認(S53)及びRFIDタグ206の情報の照合(S55)などが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態として、前記ステップS52において前記テスト払出動作の結果が正常であることがユーザーによって確認された場合に、前記ステップS56の記憶ステップが実行されてもよい。
【0244】
<ステップS57>
ステップS57において、制御部210は、割当対応情報D31における薬品カセット2に対応する薬品識別情報を、前記ステップS21で選択された前記割当錠剤に対応する薬品識別情報に更新する。これにより、薬品払出装置1では、制御部210が、割当対応情報D31に基づいて、前記割当錠剤と薬品カセット2との対応関係を特定することが可能となる。なお、制御部210は、前記ステップS39及び前記ステップS57のいずれか一方のみを実行してもよい。また、制御部210は、前記ステップS39では、薬品カセット2のカセット番号と割当錠剤との対応関係を仮登録し、前記ステップS57では、その仮登録を本登録として確定してもよい。さらに、制御部210は、前記ステップS39では、割当対応情報D31に薬品カセット2のカセット番号を登録しておき、前記ステップS57において、前記カセット番号に対応付けて前記割当錠剤の薬品コードを登録してもよい。
【0245】
なお、ステップS57において、制御部210は、前記払出確認情報を、前記割当錠剤及び薬品カセット2のカセットIDなどのカセット識別情報と対応付けて割当対応情報D31において記憶してもよい。そして、制御部210は、割当対応情報D31に前記払出確認情報が記憶されていない錠剤の種類及び薬品カセット2については前記処方データに基づく払い出しを制限することが考えられる。
【0246】
以上説明したように、薬品払出システム500では、前記薬品割当処理及び前記調整支援処理が実行されることにより、ユーザーによる薬品カセット2への錠剤の種類の割当作業、及び薬品カセット2の手動調整作業を支援することができ、ユーザーの作業効率を高めることが可能である。
【0247】
また、薬品払出システム500では、前記調整支援処理において、前記調整部を用いた前記手動調整作業に含まれる複数の作業工程グループが一覧表示され、その後に、当該作業工程グループ各々に含まれる一又は複数の作業工程が順に表示される。なお、このような処理は、制御部210の表示処理部218によって実行される表示ステップの一例である。これにより、ユーザーは、複数の作業工程グループのそれぞれにおける作業工程を開始する前に、前記手動調整作業の全体において行うべき作業工程グループ各々の内容を把握することができる。
【0248】
[薬品払出処理]
次に、
図58を参照しつつ、前記薬品払出処理の手順の一例について説明する。なお、当該薬品払出処理は、制御装置200の制御部210の払出処理部220によって実行される払出ステップの一例である。なお、当該薬品払出処理は、薬品払出装置1の制御部310によって実行されてもよい。
【0249】
<ステップS61>
ステップS61において、制御部210は、特定の処方データについての調剤開始操作が操作部203に対して行われたか否かを判断する。例えば、制御部210は、不図示の電子カルテシステム等の上位システムから制御装置200に入力される処方データから任意の処方データが調剤対象としてユーザー操作によって選択され、当該処方データについての調剤を開始するための操作が操作部203に対して行われた場合に調剤開始操作が行われたと判断する。ここで、調剤開始操作が行われたと判断されると(S61:Yes)、処理がステップS62に移行し、調剤開始操作が行われたと判断されるまでの間は(S61:No)、処理がステップS61で待機する。
【0250】
<ステップS62>
ステップS62において、制御部210は、処方データに処方薬として含まれる錠剤を払い出すための制御対象を割当対応情報D31に基づいて特定する。具体的に、制御部210は、割当対応情報D31に基づいて、払い出し対象の錠剤の種類(薬品コード)に対応する薬品カセット2を特定する。また、制御部210は、ベースマスタD41に基づいて、前記特定された薬品カセット2が装着されているベース3を特定する。なお、処方データに処方薬として複数の錠剤の種類が含まれる場合には、当該錠剤各々を払い出すための複数の制御対象が特定される。そして、全ての錠剤を払い出すための制御対象が特定されると、処理がステップS63に移行する。
【0251】
また、ステップS62において、制御部210は、前記処方データに処方薬として含まれる錠剤のうち薬品払出装置1において薬品カセット2から払い出しが可能でない錠剤については、手撒きユニット302を制御対象として特定する。その後、制御部210は、手撒きユニット302の前記DTAセル各々への錠剤の投入を支援するための表示画面などを表示部201に表示させる。そして、後述の薬品払出動作では、手撒きユニット302から払い出される錠剤についても、薬品カセット2から払い出される錠剤と共に、服用時期各々に対応する分包紙に分包される。
【0252】
<ステップS63>
ステップS63において、制御部210は、ステップS62で特定された薬品カセット2各々について前記テスト払出動作が既に完了しているか否かを判断する。具体的に、制御部210は、薬品カセット2各々が装着されたベース3に設けられたデータ読取部306を制御し、ステップS62で特定された薬品カセット2各々のRFIDタグ206から割当薬品情報D21を読み取る。そして、制御部210は、薬品カセット2から読み取られた割当薬品情報D21に記憶されている前記払出確認フラグが「0」である場合に、当該薬品カセット2についての前記テスト払出動作が既に完了していると判断する。
【0253】
ここで、前記テスト払出動作が既に完了していると判断されると(S63:Yes)、処理がステップS67に移行し、前記テスト払出動作が未だ完了していないと判断されると(S63:No)、処理がステップS64に移行する。なお、薬品カセット2各々について前記払出確認情報が記憶部202に記憶される構成では、制御部210が、記憶部202に記憶されている前記払出確認情報に基づいて前記テスト払出動作が既に完了しているか否かを判定すればよい。
【0254】
なお、前記薬品払出処理では、制御部210が、前記ステップS62において、処方データに処方薬として含まれる錠剤の種類(薬品コード)が割り当てられた薬品カセット2が特定される。そのため、前記ステップS63では、割当薬品情報D21において、処方データに処方薬として含まれる錠剤の種類(薬品コード)が記憶されており、且つ、払出確認フラグが「1」である場合に、当該割当薬品情報D21に対応する薬品カセット2は、前記手動調整作業の完了後であって、前記テスト払出処理の実行前の状態であると判断し(S63:Yes)、処理をステップS64に移行させることになる。
【0255】
<ステップS64>
ステップS64において、制御部210は、薬品カセット2の前記テスト払出動作が完了していない旨のメッセージを表示部201に表示してユーザーに報知し、前記テスト払出動作を開始するための処理を実行した後、処理をステップS65に移行する。例えば、制御部210は、表示部201に、前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2について、前記テスト払出動作を実行するか否かを問い合わせるための表示画面を表示させ、当該表示画面における前記テスト払出動作の実行要求操作を受け付ける。そして、制御部210は、前記実行要求操作を受け付けると、前記調整支援処理のステップS43以降の処理を実行することにより、前記テスト払出動作を実行する。なお、制御部210は、前記薬品払出処理を、前記薬品割当処理又は前記調整支援処理などの他の処理と並行して実行することが可能である。
【0256】
また、制御部210は、前記薬品払出処理が実行されるタイミングに限らず、当該薬品払出処理の開始前などの任意のタイミングで、前記テスト払出動作を実行する対象となる薬品カセット2をユーザー操作に応じて選択し、当該薬品カセット2について前記テスト払出動作を実行することも可能である。例えば、制御部210は、薬品カセット2各々の割当薬品情報D21に基づいて、前記テスト払出動作が未完了である錠剤の種別又は薬品カセット2を検索して選択候補として表示し、当該選択候補のいずれかがユーザー操作によって選択された場合に、当該選択候補に対応する薬品カセット2についての前記テスト払出動作を開始する。
【0257】
<ステップS65>
ステップS65において、制御部210は、前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2についての前記テスト払出動作の完了を待ち受ける(S65:No)。具体的に、制御部210は、前記テスト払出動作が未完了であった薬品カセット2のRFIDタグ206に前記払出確認情報を記憶した場合に、前記テスト払出動作が完了したと判断する。ここで、前記テスト払出動作が完了したと判断されると(S65:Yes)、処理がステップS66に移行する。一方、制御部210は、前記テスト払出動作が完了するまでの間は(S65:No)、処理がステップS65で待機させることにより、後述のステップS66における前記薬品払出動作の実行を禁止する。このように、制御部210は、薬品カセット2に対応する前記払出確認情報がRFIDタグ206に記憶されていない場合には前記薬品払出動作を制限する。
【0258】
なお、他の実施形態として、制御部210が、ステップS62で特定された薬品カセット2のいずれかについて前記テスト払出動作が完了していない旨をユーザーに報知した後、前記薬品払出動作の実行を許可する旨のユーザー操作が行われた場合に、処理をステップS66に移行させて当該薬品払出動作を開始させてもよい。この場合にも、制御部210は、前記ユーザー操作が行われるまでの間、前記薬品払出動作の実行を制限することになる。
【0259】
<ステップS66>
ステップS66において、制御部210は、ステップS62で特定された薬品カセット2各々から錠剤を払い出す薬品払出動作を薬品払出装置1に実行させるための薬品払出開始指示を当該薬品払出装置1に送信し、処理をステップS61に戻す。具体的に、前記薬品払出開始指示には、処方データに基づいて特定された薬品カセット2のカセットID、当該薬品カセット2に割り当てられた錠剤の種類に対応する安定係数、処方データに示された処方量に対応する払出錠数などの情報が含まれる。これにより、薬品払出装置1では、制御部310の払出実行処理部311が、前記薬品払出開始指示に基づいて、薬品カセット2各々から払出錠数の錠剤の払い出しを実行する。また、制御部210は、前記処方データに基づく薬品払出動作において手撒きユニット302を用いる必要がある場合には、前記薬品払出開始指示に、手撒きユニット302の前記DTAセル各々に投入されている錠剤の情報なども含めて送信する。これにより、薬品払出装置1は、前記薬品払出開始指示に基づく薬品払出動作において手撒きユニット302から錠剤を適宜払い出すことが可能である。
【0260】
以上説明したように、薬品払出システム500では、前記薬品払出処理が実行されることにより、前記テスト払出処理が実行されていない薬品カセット2を用いて薬品払出動作が実行されることが抑止される。これにより、例えば前記薬品払出動作において必要数の錠剤が払い出されないという不具合などが抑止される。
【0261】
[他の実施形態]
前記実施形態に係る調整装置100では、高さ調整工程、深さ調整工程、幅調整工程の実行順序が予め定められており、その実行順序が表示されることにより、調整部材102が、高さ、深さ、幅のいずれに対応する上ガイド穴125から下ガイド穴126に向かって挿入されているかを検出するための光学式センサなどが省略可能である。一方、調整部材102が挿入される調整箇所(高さ、深さ、幅)に対応するガイド穴125ごとに、調整部材102の挿入を検出するための光学式センサなどの挿入検出部が調整装置100に設けられていてもよい。これにより、制御部210は、前記挿入検出部の検出結果に基づいて、調整部材102の挿入箇所、即ち調整箇所を認識することができる。そのため、例えば、制御部210は、前記挿入検出部の検出結果に応じて、高さ調整工程、深さ調整工程、幅調整工程のいずれを実行するかを選択することが考えられる。従って、調整箇所の調整順番が予め定められている必要、又は、ユーザーが調整箇所を選択する必要がなく、ユーザーは、高さ調整工程、深さ調整工程、幅調整工程を任意の順で実行することが可能である。
【0262】
前記実施形態に係る調整装置100では、錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、及び幅を調整可能な構成であるが、他の実施形態として、溝の深さ、高さ、幅のいずれか一つ又は二つが調整可能な構成であってもよい。
【0263】
前記実施形態に係る調整装置100は、ユーザーが調整部材102を用いて手動で錠剤案内路8bの溝の寸法を調整する構成であるが、他の実施形態として、調整装置100又は調整部材102にモータなどの駆動部と当該駆動部に電力を供給するバッテリとが設けられており、当該駆動部の駆動力によりグリップ部147が回転可能な構成であってもよい。
【0264】
前記実施形態に係る薬品払出システム500では、ロータ8が薬品カセット2から取り出された後で調整されるが、他の実施形態として、ロータ8が薬品カセット2に装着された状態でロータ8の錠剤案内路8bの溝の寸法が調整可能な構成であってもよい。例えば、薬品カセット2の蓋6を開けてロータカバー30を外した状態で、調整部材102により、薬品カセット2内にあるロータ8の錠剤案内路8bの溝の深さ、高さ、幅の少なくともいずれか1つ、又は仕切部材20の進入位置が調整可能な構成であることが考えられる。
【0265】
また、薬品払出装置1の他の構成として、薬品カセット2が装着されるベース3各々に、当該薬品カセット2における払出経路を自動で調整可能な調整部が設けられることも考えられる。このような構成では、薬品カセット2がベース3に装着された後に、当該薬品カセット2の払出経路が前記調整部によって自動で調整可能であるため、薬品カセット2の払出経路の調整ミス及び調整忘れ、又は薬品カセット2の払出経路の調整後の装着間違いなどの人為的ミスが生じにくい。しかしながら、本実施形態に係る薬品払出システム500では、ユーザーが手動で薬品カセット2の払出経路を調整するための調整装置100が薬品払出装置1とは別で設けられており、ベース3各々に薬品カセット2における払出経路を自動で調整可能な調整部が薬品払出装置1に設けられていない。そのため、薬品払出システム500では、前述したように処方データに基づく薬品払出動作が実行される前に前記テスト払出動作が実行される。これにより、薬品払出システム500では、前述の薬品カセット2の調整ミス、調整忘れ、装着間違いなどの人為的ミスの発生が抑制される。
【0266】
[作業支援表示機能]
ところで、薬品払出システム500が使用される施設に在庫のない錠剤又は未入荷の新薬などのように、ユーザーの手元に錠剤がない状態であっても、業務効率化などの観点から、その錠剤の入荷前に、当該錠剤の種類を薬品カセット2に割り当てて当該薬品カセット2について前記手動調整作業を実施したい状況が想定される。
【0267】
そのため、薬品払出システム500では、制御部210が、前記テスト払出動作が未完了である錠剤の種類又は薬品カセット2を検索し、検索結果を前記テスト払出動作の実行対象の選択候補として表示する作業支援表示機能を備える。そして、制御部210は、前記選択候補の中から選択された錠剤の種類又は薬品カセット2について前記テスト払出動作を実行する。なお、制御部210は、前記テスト払出動作の実行対象の選択候補の表示を、ユーザー操作に応じて実行してもよく、予め設定された特定タイミングで自動的に実行してもよい。例えば、前記特定タイミングは、前記テスト払出動作が実行されていない薬品カセット2に割り当てられた種類の錠剤の入荷予定時期、又は、前記手動調整作業が実行される際に前記テスト払出動作を実行する実行予定時期などのようにユーザーによって任意に設定され、薬品カセット2ごとに対応付けて記憶される時期である。
【0268】
これにより、ユーザーは、手元に錠剤がない状態では前記テスト払出動作を実行させずに前記調整支援処理を終了させた後、例えば錠剤が入荷されたタイミングなどの任意のタイミングで、前記作業支援表示機能によって表示される前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2を容易に選択して当該テスト払出動作を実行させることが可能である。
【0269】
具体的に、
図59は、前記作業支援表示機能を実現するために制御部210が実行する作業支援表示処理の一例を示すフローチャートである。なお、制御部210は、薬品割当処理(
図33参照)、調整支援処理(
図34~
図36参照)、薬品払出処理(
図58参照)などの他の処理と並行して前記作業支援表示処理を実行してもよい。また、前記作業支援表示処理の一部又は全部は、薬品払出装置1の制御部310によって実行されてもよい。
【0270】
<ステップS71>
図59に示されるように、ステップS71において、制御部210は、ユーザーによって操作部203に対して前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2(未完了薬品払出部に相当)を表示させるための未完了表示操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記未完了表示操作が行われたと判断されると(S71:Yes)、処理がステップS72に移行し、前記未完了表示操作が行われていないと判断されると(S71:No)、処理がステップS711に移行する。
【0271】
<ステップS72>
ステップS72において、制御部210は、割当薬品情報D21に基づいて前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2を検索する。具体的に、制御部210は、割当薬品情報D21に含まれる払出確認フラグが「1」である薬品カセット2を未完了の薬品カセット2として検索する。なお、ここでは、前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2が処理対象として検索される場合を例に挙げて説明するが、薬品カセット2に代えて、前記テスト払出動作が未完了の錠剤の種類が処理対象として検索されて表示されてもよい。
【0272】
<ステップS73>
ステップS73において、制御部210は、前記ステップS72の検索結果として抽出された薬品カセット2を選択候補として一覧表示する未完了一覧表示画面を表示部201に表示させる。例えば、前記未完了一覧表示画面には、前記テスト払出動作が完了していない薬品カセット2のカセット番号と薬品カセット2に割り当てられた錠剤の識別情報(薬品コード)とが表示される。なお、前記ステップS73における表示処理は、制御部210の表示処理部218によって実行される。
【0273】
<ステップS711>
ステップS711において、制御部210は、前記特定タイミングが到来した薬品カセット2が存在するか否かを判断する。ここで、前記特定タイミングが到来した薬品カセット2が存在すると判断されると(S711:Yes)、処理がステップS712に移行し、前記特定タイミングが到来した薬品カセット2が存在していなければ(S711:No)、処理が前記ステップS71に戻される。
【0274】
<ステップS712>
ステップS712において、制御部210は、前記ステップS711で前記特定タイミングが到来したと判断された一又は複数の薬品カセトット2を選択候補として表示するための対象一覧表示画面を表示部201に表示させる。なお、制御部210は、前記対象一覧表示画面において、前記特定タイミングが到来したと判断した一又は複数の薬品カセット2のみを表示してもよいが、前記ステップS73で表示される前記未完了一覧表示画面と同様に現時点で前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2を一覧表示してもよい。また、制御部210は、前記ステップS73で表示される前記未完了一覧表示画面と同様に現時点で前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2を一覧表示すると共に、当該薬品カセット2各々について前記特定タイミングの到来の有無を識別可能に表示してもよい。なお、前記ステップS712における表示処理は、制御部210の表示処理部218によって実行される。
【0275】
<ステップS74>
ステップS74において、制御部210は、前記ステップS73又はS712で表示される薬品カセット2のいずれかについて前記テスト払出動作を実行するためのユーザーによる選択操作を待ち受ける(S74:No)。そして、薬品カセット2の選択操作が行われると(S74:Yes)、当該選択操作によって選択された薬品カセット2を処理対象として前記ステップS43以降の処理が実行されることにより前記テスト払出動作が実行される。なお、前記未完了一覧表示画面を閉じるための所定の操作が行われると、制御部210は前記未完了一覧表示画面を閉じて処理を前記ステップS71に戻す。
【0276】
また、前記ステップS74において薬品カセット2の選択操作が行われたと判断された場合、制御部210は、選択された薬品カセット2を識別可能な態様でユーザーに報知する。例えば、制御部210は、選択された薬品カセット2のカセット番号を、当該薬品カセット2の割当薬品情報D21に基づいて特定して表示部201に表示させる。また、薬品カセット2が着脱されるベース3にLEDなどの発光部が設けられている場合、制御部210は、選択された薬品カセット2が装着されているベース3の前記発光部を点灯又は点滅させてもよい。
【0277】
また、ここでは、割当薬品情報D21の前記払出確認情報を本発明に係る特定の情報の一例として説明した。一方、割当薬品情報D21に、本発明に係る特定の情報の一例として、前記ステップS45における照合動作が完了したか否かを示す照合確認情報が含まれることが考えられる。具体的に、前記照合確認情報は、初期値が「1」であり、薬品カセット2に錠剤の種類が割り当てられた場合にも制御部210によって「1」にリセットされる照合確認フラグである。また、制御部210は、前記ステップS45におけるラベルL1の照合結果が一致である場合には、当該ラベルL1の照合動作が完了したと判断し、前記照合確認フラグを「0」に設定する。このように、制御部210は、前記照合確認フラグを「0」に設定することにより、前記照合確認情報として薬品カセット2について照合動作が完了している旨を記憶し、前記照合確認フラグを「1」に設定することにより、前記照合確認情報として薬品カセット2について照合動作が完了していない旨を記憶してもよい。なお、前記照合確認情報などの特定の情報をRFIDタグ206などの記憶部に記憶するための処理は、制御部210の記憶処理部213によって実行される。また、前記照合確認情報はRFIDタグ206に限らず、前記払出確認情報と同様に、前記薬品カセット2のカセットID又はカセット番号、及び当該薬品カセット2に割り当てられた薬品の種類を示す薬品コードなどと対応付けられて記憶部202に記憶されてもよい。これにより、制御部210は、薬品カセット2各々について、前記テスト払出動作が完了しているか否かを前記払出確認情報に基づいて判断することができると共に、前記照合動作が完了しているか否かを前記照合確認情報に基づいて判断することも可能である。
【0278】
そして、制御部210は、前記ステップS71における前記未完了表示操作の際に、前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2の一覧を表示させるか、前記照合動作が未完了の薬品カセット2(未完了薬品払出部に相当)の一覧を表示させるかの選択操作を受け付けてもよい。その後、制御部210は、前記未完了表示操作の際に前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2の一覧を表示させる旨が選択されていた場合には、前記ステップS72~S73によって、前記テスト払出動作が未完了の薬品カセット2の一覧を前記払出確認フラグに基づいて表示させる。一方、制御部210は、前記未完了表示操作の際に前記照合動作が未完了の薬品カセット2の一覧を表示させる旨が選択されていた場合には、前記ステップS72~S73によって、前記照合動作が未完了の薬品カセット2の一覧を前記照合確認情報に基づいて表示させる。なお、制御部210は、前記テスト払出動作が未完了である薬品カセット2の一覧、又は、前記照合動作が未完了である薬品カセット2の一覧のいずれか一方のみを表示可能であってもよく、両方を同時に識別可能に表示可能であってもよい。
【0279】
[薬品投入支援機能]
薬品払出装置1のユーザーは、錠剤を当該錠剤の種類に対応する薬品カセット2に投入する薬品投入作業を行うことがある。例えば、薬品払出装置1から払い出された錠剤を薬品カセット2に戻すことがある。さらに、患者が所持している錠剤、又は、他の調剤機器などから払い出された錠剤などを薬品払出装置1の薬品カセット2に戻すことも考えられる。ここで、ユーザーが錠剤を薬品カセット2に戻す際には、当該錠剤の種類を判断する必要がある。これに対し、例えば、特開2020-25870号公報には、カメラによって撮影された画像に基づいて錠剤の種類を自動的に判別し、錠剤を種類ごとに仕分けて収容部に格納する薬剤仕分装置が開示されている。なお、錠剤の種類の判別手法は、画像に基づくものに限らず、成分検出などの他の手法であってもよい。また、この種の前記薬剤仕分装置で仕分された錠剤の格納に用いられる収容部には、当該収容部に収容されている錠剤の薬品識別情報(薬品名又は薬品コードなど)が記憶されるRFIDタグのような記録媒体が設けられることがある。そして、前記薬剤仕分装置は、前記収容部に格納する錠剤の種類を当該収容部の前記記録媒体に記録することが可能である。
【0280】
これにより、薬品払出装置1では、前記収容部のRFIDタグに記録された薬品識別情報をデータ記録部305で読み取ることにより、前記収容部に格納された錠剤の種類を識別することが可能である。なお、前記収容部のRFIDタグには、当該収容部に収容するべき錠剤の種類の情報が予め記録されていてもよい。ここで、薬品払出装置1において、前記収容部のRFIDタグから読み取られた薬品識別情報を表示すれば、ユーザーは、前記収容部に収容されている錠剤の種類を把握することは可能である。しかしながら、薬品払出装置1に、前記収容部に収容されている錠剤の種類に対応する薬品カセット2が存在しない場合には、当該錠剤を薬品カセット2に戻すことができない。
【0281】
これに対し、薬品払出装置1では、制御部210が、後述の薬品投入支援処理を実行することにより、前記収容部に収容された錠剤を薬品カセット2に投入する際の作業効率を高めることのできる薬品投入支援機能を備える。以下、
図60を参照しつつ、前記薬品投入支援処理の一例について説明する。なお、制御部210は、薬品割当処理(
図33参照)、調整支援処理(
図34~
図36参照)、薬品払出処理(
図58参照)、作業支援表示処理(
図59参照)などの他の処理と並行して前記薬品投入支援処理を実行してもよい。また、前記薬品投入支援処理の一部又は全部は、薬品払出装置1の制御部310によって実行されてもよい。
【0282】
<ステップS81>
ステップS81において、制御部210は、薬品カセット2に錠剤を投入するための投入開始操作を待ち受ける(S81:No)。ここで、前記投入開始操作が行われたと判断されると(S81:Yes)、処理がステップS82に移行する。
【0283】
<ステップS82>
ステップS82において、制御部210は、薬品払出装置1の充填台1aの下方に内蔵されたデータ記録部305を用いて、当該充填台1aに載置された前記収容部の前記RFIDタグから当該収容部に収容されている錠剤の薬品識別情報を読み取る。なお、前記収容部に収容されている錠剤の薬品識別情報の記録媒体はRFIDに限らず、例えば当該錠剤の薬品識別情報を示す一次元コード又は二次元コードが印刷されたラベルなどが前記収容部に貼付されており、薬品払出装置1では、バーコードリーダー等を用いて前記ラベルから前記薬品識別情報が読み取られてもよい。
【0284】
<ステップS83>
ステップS83において、制御部210は、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類が対応付けられた薬品カセット2が薬品払出装置1に存在するか否かを割当対応情報D31などに基づいて判断する。ここで、前記錠剤の種類が対応付けられた薬品カセット2が薬品払出装置1に存在すると判断されると(S83:Yes)、処理がステップS84に移行し、前記錠剤の種類が対応付けられた薬品カセット2が薬品払出装置1に存在しないと判断されると(S83:No)、処理がステップS831に移行する。
【0285】
<ステップS831>
ステップS831において、制御部210は、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類が、薬品払出装置1で使用可能な薬品カセット2に適合するか否かを判断する。具体的に、薬品実装マスタD11において、薬品の種類ごとに、当該薬品の種類に適合する薬品カセット2のタイプを示すカセット適合情報が設定されていることが考えられる。
【0286】
例えば、払出可能な錠剤のサイズ又は形状が異なる複数タイプの薬品カセット2が薬品払出装置1で使用可能である場合には、錠剤の種類ごとに、当該錠剤の種類に適合する薬品カセット2のタイプが前記カセット適合情報として薬品実装マスタD11に登録される。また、例えば割れやすい錠剤の種類、特殊な形状の錠剤の種類、又は有色の粉が薬品カセット2に付着する錠剤の種類などの予め設定された錠剤の種類は、いずれの薬品カセット2にも適合しない旨が前記カセット適合情報として薬品実装マスタD11に登録される。制御部210は、薬品実装マスタD11の前記カセット適合情報に基づいて、前記錠剤の種類が薬品カセット2に適合するか否かを判断する。
【0287】
なお、薬品払出装置1において、複数タイプの薬品カセット2が使用可能である場合には、前記ステップS831において、前記錠剤の種類が、前記複数タイプの薬品カセット2のいずれに適合するかが判断される。例えば、以下では、調整装置100を用いてユーザーによる手動で払出経路の調整が可能なタイプの薬品カセット2を手動調整カセット2Aと称することがある。また、薬品払出装置1において、一又は複数のベース3に、薬品カセット2を異なる種類の薬品の払い出しが可能な複数の状態に自動的に調整可能な調整部が設けられており、当該調整部で調整可能なタイプの薬品カセット2(以下、「自動調整カセット2B」と称することがある)が使用可能であることが考えられる。さらに、薬品払出装置1において、一又は複数のベース3に、予め定められた特定種類の錠剤のみが払出可能なタイプの薬品カセット2(以下、「固定カセット2C」と称することがある)が着脱可能であることも考えられる。この場合、制御部210は、前記ステップS831において、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類が、手動調整カセット2A、自動調整カセット2B、又は固定カセット2Cの複数タイプの薬品カセット2のいずれに適合するかを判断する。
【0288】
そして、前記錠剤の種類がいずれかのタイプの薬品カセット2に適合すると判断されると(S831:Yes)、処理がステップS832に移行し、前記錠剤の種類がいずれのタイプの薬品カセット2にも適合しないと判断されると(S831:No)、処理がステップS835に移行する。
【0289】
<ステップS8311>
ステップS8311において、制御部210は、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類に適合するタイプの薬品カセット2が存在しない旨などの特定のメッセージを表示部201に表示させることによりユーザーに報知する。例えば、表示部201には、前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類については薬品カセット2が使用できない旨のメッセージなどが表示される。
【0290】
<ステップS832>
一方、ステップS832において、制御部210は、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類に対応付けられた薬品カセット2が存在しない場合に表示する表示画面として予め設定されたカセット準備案内画面を表示部201に表示させる。なお、本実施形態では、前記ステップS831において前記錠剤の種類が薬品カセット2に適合するか否かが判断される場合について説明するため、前記カセット準備案内画面は、前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類に対応付けられた薬品カセット2が存在せず、且つ、当該錠剤の種類が薬品カセット2に適合する場合に表示される。一方、前記ステップS831は省略されてもよく、この場合、前記カセット準備案内画面は、前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類に対応付けられた薬品カセット2が存在しない場合に表示されることになる。例えば、前記カセット準備案内画面には、前記錠剤の種類が対応付けられた薬品カセット2が存在しない旨のメッセージなどが表示される。
【0291】
また、前記カセット準備案内画面には、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2の準備を促すためのメッセージ、又は薬品カセット2の準備を開始するための準備開始ボタンなどが案内情報として表示されてもよい。例えば、前記錠剤の種類に適合する薬品カセット2が手動調整カセット2Aである場合には、前記カセット準備案内画面には、前記錠剤の種類を手動調整カセット2Aに割り当てることを促すためのメッセージ、又は、前記錠剤の種類を手動調整カセット2Aに割り当てる処理を開始するための割当開始ボタンなどが案内情報として表示されてもよい。同様に、前記錠剤の種類に適合する薬品カセット2が自動調整カセット2Bである場合には、前記カセット準備案内画面には、前記錠剤の種類を自動調整カセット2Bに割り当てることを促すためのメッセージ、又は、前記錠剤の種類を自動調整カセット2Bに割り当てる処理を開始するための割当開始ボタンなどが案内情報として表示されてもよい。さらに、前記錠剤の種類に適合する薬品カセット2が固定カセット2Cである場合には、前記カセット準備案内画面には、前記錠剤の種類に対応する固定カセット2Cの発注を促すためのメッセージ、又は、前記錠剤の種類に対応する固定カセット2Cの発注を開始するための発注開始ボタンなどが案内情報として表示されてもよい。なお、前記錠剤の種類が複数のタイプの薬品カセット2に適合する場合には、複数の前記案内情報が同時に表示されてもよい。
【0292】
<ステップS833>
ステップS833において、制御部210は、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2の準備を開始するか否かを判断する。例えば、制御部210は、前記カセット準備案内画面に表示された前記割当開始ボタン又は前記発注開始ボタンなどのように薬品カセット2の準備を開始するための操作ボタンがユーザーによって操作された場合に前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2の準備を開始すると判断する。ここで、薬品カセット2を準備すると判断されると(S833:Yes)、処理がステップS834に移行する。一方、例えば前記カセット準備案内画面においてキャンセルボタンなどのユーザー操作が行われた場合には、薬品カセット2を準備しないと判断され(S833:No)、処理が前記ステップS81に戻される。
【0293】
<ステップS834>
ステップS834において、制御部210は、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2を準備するためのカセット準備処理を実行した後、処理を前記ステップS81に戻す。
【0294】
例えば、制御部210は、前記錠剤の種類が適合する薬品カセット2が手動調整カセット2Aである場合であって、前記割当開始操作が操作された場合、前記カセット準備処理として前記薬品割当処理及び前記調整支援処理を実行する。この場合、前記薬品割当処理の前記ステップS21では、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類が前記割当錠剤として選択され、その後の処理が実行される。これにより、前記錠剤の種類を薬品カセット2に割り当てるための処理、及び当該錠剤の種類に応じて薬品カセット2の払出経路を調整するための処理などが実行され、当該薬品カセット2から前記錠剤の種類に対応する錠剤を払い出すことが可能となる。なお、このような前記調整支援処理は、薬品払出装置1で使用可能な手動調整カセット2Aに錠剤の種類が未割当の手動調整カセット2Aが存在する場合に実行される。
【0295】
また、制御部210は、前記錠剤の種類が適合する薬品カセット2が自動調整カセット2Bである場合であって、前記割当開始操作が操作された場合には、前記カセット準備処理として、前記薬品割当処理と、前記調整部により自動調整カセット2Bの払出経路を自動で調整するめの処理とを実行してもよい。なお、制御部210は、前記錠剤の種類が適合する薬品カセット2が自動調整カセット2Bである場合には、前記割当開始操作などのユーザー操作を要することなく、前記薬品割当処理と前記調整部による自動調整カセット2Bの払出経路の自動調整とを自動的に実行してもよい。なお、このような前記調整支援処理は、薬品払出装置1で使用可能な自動調整カセット2Bに錠剤の種類が未割当の自動調整カセット2Bが存在する場合にのみ実行されてもよい。このように、自動調整カセット2Bについて前記薬品割当処理と前記調整部による自動調整カセット2Bの払出経路の自動調整とを実行するときの制御部210が本発明に係る調整処理部の一例である。
【0296】
また、制御部210は、前記発注開始ボタンが操作された場合、前記カセット準備処理として、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類に対応する固定カセット2Cの発注情報を予め設定された発注先に送信するための処理を実行する。これにより、前記錠剤の種類に対応する固定カセット2Cが前記発注先から薬品払出装置1のユーザーに納品され、当該固定カセット2Cを用いた錠剤の払い出しが可能となる。
【0297】
なお、ここでは、必要に応じて前記ステップS834が実行可能である場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態として、前記ステップS834におけるカセット準備処理が実行されず、ユーザーに、薬品カセット2の準備を促すメッセージなどが表示されるのみであってもよい。
【0298】
<ステップS84~S86>
前記ステップS83で前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2が薬品払出装置1に存在すると判断されると(S83:Yes)、続くステップS84~S86において、制御部210は、前記ステップS63~S65と同様に、当該薬品カセット22について前記テスト払出動作が完了しているか否かを判断し、未完了である場合には前記テスト払出動作を実行し、当該テスト払出動作が完了すると処理がステップS87に移行する。なお、他の実施形態として、薬品カセット22について前記テスト払出動作が完了していない場合に、前記ステップS85~S86が実行されずに処理がステップS87に移行することも考えられる。
【0299】
<ステップS87>
ステップS87において、制御部210は、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2に当該種類の錠剤を投入するための錠剤投入処理を実行し、処理を前記ステップS81に戻す。具体的に、制御部210は、前記錠剤投入処理において、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2が装着されている位置を表示させる。例えば、制御部210は、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2のカセット番号又はカセットIDを割当薬品情報D21又は割当対応情報D31などに基づいて表示部201に表示させる。また、薬品カセット2が着脱されるベース3にLEDなどの発光部が設けられている場合、制御部210は、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2が装着されたベース3の前記発光部を点灯させてもよい。さらに、薬品払出装置1が、複数の薬品カセット2を当該薬品カセット2から錠剤が払出可能な第1位置と、当該薬品カセット2を着脱するための第2位置との間で移動可能な構成であることも考えられる。この場合、制御部210は、前記錠剤投入処理において、前記錠剤の種類に対応する薬品カセット2を前記第2位置に移動させることも考えられる。
【0300】
以上説明したように、前記薬品投入支援機能によれば、ユーザーが薬品払出装置1に投入したい錠剤の種類に対応する薬品カセット2が存在しない場合に、ユーザーが行うべき作業がユーザーに案内されることになるため、ユーザーの作業効率が高まる。
【0301】
ところで、前記収容部のRFIDタグには、前記薬品識別情報と共に、当該薬品識別情報が前記収容部のRFIDタグに記憶されているものであることが識別可能な記録媒体特定情報が含まれることが考えられる。これにより、制御部210は、前記ステップS82で読み取られた前記薬品識別情報が前記収容部のRFIDタグから読み取られた場合と前記収容部のRFIDタグとは異なる記録媒体から読み取られた場合とで異なる処理を実行することが可能である。
【0302】
例えば、前記収容部が薬品カセット2への錠剤の返却用として使用される運用である場合であって、前記薬品識別情報に対応する錠剤の種類が手動調整カセット2A及び自動調整カセット2Bの両方に適合する状況を考える。この場合、制御部210は、前記薬品識別情報が前記収容部のRFIDタグから読み取られたものである場合に、当該薬品識別情報に対応する錠剤の種別を自動調整カセット2Bに割り当てることを促すためのメッセージ、又は、前記錠剤の種類を自動調整カセット2Bに割り当てる処理を開始するための割当開始ボタンなどを案内情報として表示する。一方、制御部210は、前記薬品識別情報が前記収容部のRFIDタグから読み取られたものでない場合には、当該薬品識別情報に対応する錠剤の種別を手動調整カセット2Aに割り当てることを促すためのメッセージ、又は、前記錠剤の種類を手動調整カセット2Aに割り当てる処理を開始するための割当開始ボタンなどを案内情報として表示する。
【0303】
[清掃通知機能]
薬品払出装置1では、薬品カセット2又は当該薬品カセット2からの錠剤の払出経路が錠剤の粉末又は破片などで汚れることがある。これに対し、薬品払出システム500は、予め設定される清掃条件が満たされた場合に、薬品カセット2の清掃を促すための清掃通知画面を表示部201に表示させる清掃通知機能を備えてもよい。これにより、薬品カセット2又は払出経路の清掃が適宜ユーザーに促され、当該薬品カセット2又は払出経路などが適宜清掃されることが期待されるため、当該薬品カセット2から払い出された錠剤が汚れているという状況が抑止される。なお、前記清掃通知機能は、制御装置200の制御部210によって清掃通知処理が実行されることによって実現される。また、前記清掃通知処理は、薬品払出装置1の制御部310によって実行されてもよい。
【0304】
例えば、前記清掃条件として、下記第1清掃条件~第4清掃条件のいずれか一つ又は複数が設定されていることが考えらえる。そして、制御部210は、下記第1清掃条件~第4清掃条件のいずれか一つが満たされた場合に前記清掃条件が満たされたと判断する。また、制御部210は、下記第1清掃条件~第4清掃条件のいずれか複数が満たされた場合に前記清掃条件が満たされたと判断してもよい。
【0305】
<第1清掃条件>
前記第1清掃条件は、薬品カセット2から錠剤が予め設定された特定数量払い出されることである。前記特定数量は、薬品カセット2ごと又は錠剤の種類ごとに、当該薬品カセット2の清掃が必要であると判断するための判断指標として予め設定可能であってもよい。
【0306】
<第2清掃条件>
前記第2清掃条件は、予め設定された第1清掃推奨薬品が薬品カセット2から予め設定された特定数量払い出されることである。例えば、薬品実装マスタD11において、錠剤ごとに、当該錠剤が第1清掃推奨薬品であるか否かを示す第1清掃推奨薬品情報が記憶されていることが考えられる。そして、制御部210は、前記第1清掃推奨薬品情報に基づいて前記第2清掃条件が満たされたか否かを判断する。前記特定数量は、薬品カセット2ごと又は錠剤の種類ごとに予め設定可能であってもよい。
【0307】
<第3清掃条件>
前記第3清掃条件は、予め設定された第2清掃推奨薬品が薬品カセット2に割り当てられ、当該薬品カセット2から前記第2清掃推奨薬品が払い出された後、当該薬品カセット2に当該第2清掃推奨薬品とは異なる種類の錠剤が割り当てられることである。例えば、薬品実装マスタD11において、錠剤ごとに、当該錠剤が第2清掃推奨薬品であるか否かを示す第2清掃推奨薬品情報が記憶されていることが考えられる。そして、制御部210は、前記第2清掃推奨薬品情報に基づいて前記第3清掃条件が満たされたか否かを判断する。なお、前記薬品カセット2の割り当て前後の錠剤の種類の組み合わせのうち、前記第3清掃条件が満たされると判定される組み合わせが予め設定可能であってもよい。
【0308】
<第4清掃条件>
前記第4清掃条件は、薬品カセット2に錠剤の種類が割り当てられた後、当該薬品カセット2に割り当てられている錠剤の種類が変更されることなく、予め設定された一定期間が経過することである。なお、前記一定期間は、薬品カセット2ごと又は錠剤の種類ごとに予め設定可能であってもよい。