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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164814
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】SiOCN薄膜の形成
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20221020BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20221020BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20221020BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01L21/318 C
H01L21/302 105A
C23C16/42
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022137662
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2021153262の分割
【原出願日】2016-11-10
(31)【優先権主張番号】14/939,984
(32)【優先日】2015-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/342,943
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】ポレ ヴィルジャミ ジェイ.
(57)【要約】
【課題】シリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)薄膜を反応空間において基板上に堆積する方法を提供する。
【解決手段】該方法は、基板をケイ素前駆体及び酸素を含まない第2の反応物と交互に順次接触するステップを含む少なくとも1つのプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)サイクルを含んでもよい。一部の実施形態においては、該方法は、耐酸性ウェットエッチング性が改善されたSiOCN膜の堆積を可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間においてプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)プロセスによって基板上にシリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)薄膜を形成する方法であって、前記PEALDプロセスが、
前記基板の表面を気相ケイ素前駆体と前記基板の前記表面で接触するステップと、
吸着されたケイ素種を、酸素を含まないガスから形成されたプラズマによって生成された少なくとも1つの反応種と接触するステップと、
場合によっては、所望の厚さのSiOCN膜が形成されるまで前記接触するステップを繰り返すステップと、
を含む少なくとも1つの堆積サイクルを含み、
前記ケイ素前駆体は、以下の一般式の1つのような式を有し、
(RO)4-xSi(RII-NH (1)
式中、xは、1から4の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)Si-RII-NH (2)
式中、Rは、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)4-xSi(-[CH-NH (3)
式中、xは、1から4の整数であり、
nは、1から5の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基である、
方法。
【請求項2】
前記SiOCN薄膜は、前記基板上の3次元構造体上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3次元構造体のほぼ垂直な表面に形成されたSiOCNのウェットエッチング速度と前記3次元構造体のほぼ水平な表面に形成された前記SiOCNのウェットエッチング速度とのウェットエッチング速度比は、0.5重量%希釈HF中で約5:1を超える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記3次元構造体のほぼ垂直な表面に形成されたSiOCNのウェットエッチング速度と前記3次元構造体のほぼ水平な表面に形成された前記SiOCNのウェットエッチング速度とのウェットエッチング速度比は、0.5重量%希釈HF中で約1:2未満である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ケイ素前駆体は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応種は、水素プラズマ、水素原子、水素ラジカル又は水素イオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応種は、希ガスを含む第2の反応物から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応種は、更に窒素プラズマ、窒素原子、窒素ラジカル又は窒素イオンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の反応物は、Hを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記基板表面は、有機材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記有機材料は、フォトレジスト材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
所定数の堆積サイクル後に実施される水素プラズマトリートメントサイクルを更に含み、前記水素プラズマトリートメントサイクルは、前記基板を水素からプラズマによって生成された反応種と接触するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
所定数の堆積サイクル後に1以上の間隔で実施される1以上の水素プラズマトリートメントサイクルと、堆積サイクルとの比は、約1:1から約1:10である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酸素を含まないガスから形成されたプラズマによって生成された前記少なくとも1つの反応種は、Nからのプラズマによって生成された反応種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
所定数の堆積サイクルの実施後に実施される第2の水素プラズマ堆積ステップを更に含み、前記水素プラズマ堆積ステップは、
前記基板の表面を気相ケイ素前駆体と前記基板の前記表面で接触するステップと、
吸着されたケイ素種を、Hから形成されたプラズマによって生成された反応種と接触するステップと、
場合によっては、所望の厚さのSiOCN膜が形成されるまで前記接触するステップを繰り返すステップと、
を含む少なくとも1つのサイクルを含み、
前記ケイ素前駆体は、以下の一般式の1つのような式を有し、
(RO)4-xSi(RII-NH (1)
式中、xは、1から4の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)Si-RII-NH (2)
式中、Rは、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)4-xSi(-[CH-NH (3)
式中、xは、1から4の整数であり、
nは、1から5の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、スペーサデファインドダブルパターニング(SDDP)プロセスにおいてSiOCNスペーサを基板上に形成するために用いられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、スペーサデファインドクアドラプルパターニング(SQDP)プロセスにおいてSiOCNスペーサを基板上に形成するために用いられる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
反応種は、100ワット(W)から約1000WのRFパワーを第2の反応物に印加することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記堆積サイクルは、約300℃から約400℃のプロセス温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記堆積サイクルは、約100℃未満のプロセス温度で実施される、請求項1に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2015年11月12日に出願された米国特許出願第14/939,984号の一部継続出願である2016年11月3日に出願された米国特許出願第15/342,943号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、半導体素子製造の分野に関し、より詳細には、望ましい耐薬品性を有するシリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN:Silicon oxycarboniride)膜の形成に関する。
【背景技術】
【0003】
誘電率(k)値が比較的低く、酸性ウェットエッチング速度が比較的遅い誘電材料がますます必要とされている。シリコンオキシカーボナイトライドは、これらの要件をある程度満たし得るものである。一般に、SiOCNの堆積プロセスは、ハロゲン化物を含む前駆体及び/又は酸素プラズマを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
一部の実施形態においては、反応空間において基板上にシリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)薄膜を形成するためのプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD:plasma enhanced atomic layer deposition)プロセスを提供する。一部の実施形態においては、PEALDプロセスは、基板の表面を気相ケイ素前駆体と基板の表面で接触するステップと、吸着ケイ素種を酸素を含まないガスから形成されたプラズマによって生成された少なくとも1つの反応種と接触するステップと、場合によっては、所望の厚さのSiOCN膜が形成されるまで接触ステップを繰り返すステップとを含む、少なくとも1つの堆積サイクルを含んでもよい。一部の実施形態においては、PEALDプロセスに使用されるケイ素前駆体は、以下の一般式の1つのような式を有する。
(RO)4-xSi(RII-NH (1)
式中、xは、1から4の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)Si-RII-NH (2)
式中、Rは、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)4-xSi(-[CH-NH (3)
式中、xは、1から4の整数であり、
nは、1から5の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基である。
【0005】
一部の実施形態においては、SiOCN薄膜のウェットエッチング速度と熱酸化ケイ素のウェットエッチング速度との比は、約5未満であってもよい。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜のウェットエッチング速度と熱酸化ケイ素のウェットエッチング速度との比は、約0.3未満であってもよい。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜のウェットエッチング速度と熱酸化ケイ素のウェットエッチング速度との比は、約0.1未満であってもよい。
【0006】
一部の実施形態においては、SiOCN薄膜を基板上の3次元構造体上に堆積させてもよい。一部の実施形態においては、3次元構造体の上面に形成されたSiOCNのウェットエッチング速度と3次元構造体の側壁表面に形成されたSiOCNのウェットエッチング速度とのウェットエッチング速度比は、希釈HF中で約1:1、約1:5、又は約2:1未満であってもよい。
【0007】
一部の実施形態においては、気相ケイ素前駆体は、ハロゲンを含まなくてもよい。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(3-aminopropyl)trimethoxysilane)(APTMS)を含んでもよい。一部の実施形態においては、反応種は、水素プラズマ、水素原子、水素ラジカル又は水素イオンを含んでもよい。一部の実施形態においては、反応種は、希ガスを含む第2の反応物から生成されてもよい。一部の実施形態においては、反応種は、さらに、窒素プラズマ、窒素原子、窒素ラジカル又は窒素イオンを含んでもよい。一部の実施形態においては、水素を含む第2の反応物からプラズマによって反応種を生成してもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、Hを含んでもよい。
【0008】
一部の実施形態においては、基板表面は、有機材料を含んでもよい。一部の実施形態においては、有機材料は、フォトレジスト材料を含む。
【0009】
一部の実施形態においては、本方法は、さらに、所望の数の堆積サイクル後に実施される水素プラズマトリートメントサイクルを含んでもよく、水素プラズマトリートメントサイクルは、基板を、水素からプラズマによって生成された反応種と接触するステップを含む。一部の実施形態においては、水素プラズマトリートメントサイクルは、堆積プロセス中に1回を超えて実施されてもよい。一部の実施形態においては、水素プラズマトリートメントサイクルと堆積サイクルとの比は、約1:1から約1:10である。一部の実施形態においては、少なくとも1つの反応種は、Nからプラズマによって生成された反応種を含む。
【0010】
一部の実施形態においては、本方法は、さらに、所望の数の堆積サイクルの実施後に実施される第2の水素プラズマ堆積ステップを含んでもよく、水素プラズマ堆積ステップは、基板の表面を気相ケイ素前駆体と接触させてケイ素種を基板の表面で形成するステップと、吸着されたケイ素種をHから形成されたプラズマによって生成された反応種と接触するステップと、場合によっては、所望の厚さのSiOCN膜が形成されるまで接触するステップを繰り返すステップと、を含む少なくとも1つのサイクルを含み、ケイ素前駆体は、以下の一般式の1つのような式を有する。
(RO)4-xSi(RII-NH (1)
式中、xは、1から4の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)Si-RII-NH (2)
式中、Rは、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
(RO)4-xSi(-[CH-NH (3)
式中、xは、1から4の整数であり、
nは、1から5の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基である。
【0011】
一部の実施形態においては、本方法は、スペーサデファインドダブルパターニング(SDDP:spacer defined double patterning)プロセスにおいてSiOCNスペーサを基板上に形成するために用いられる。一部の実施形態においては、本方法は、スペーサデファインドクアドラプルパターニング(SQDP:spacer defined quadruple patterning)プロセスにおいてSiOCNスペーサを基板上に形成するために用いられる。
【0012】
一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、少なくとも20原子%の酸素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、少なくとも5原子%の炭素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、少なくとも5原子%の窒素を含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態においては、反応空間において基板上にシリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)薄膜を形成するプロセスを提供する。一部の実施形態においては、プロセスは、複数の堆積サイクルを含んでもよく、少なくとも1つの堆積サイクルは、基板の表面をケイ素前駆体及び少なくとも1種の反応種を含む第2の反応物と交互に順次接触するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、堆積サイクルを2回以上繰り返してSiOCN薄膜を形成してもよい。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、以下の一般式を有してもよい。
Si(OR4-x-y-z-n(RIINRIIIIV(OH)
式中、nは0から3の整数であり、xは1から4の整数であり、yは0から3の整数であり、zは0から3の整数であり、4-x-y-z-nは0から3であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
III及びRIVは、独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であり、
Lは、独立に選択されるアルキル基又はハロゲンである。
【0014】
一部の実施形態においては、少なくとも1つの反応種は、酸素を含まないガスから形成されたプラズマによって生成させてもよい。
【0015】
一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、以下の一般式を有してもよい。
Si(OR4-x-n(RIINRIIIIV
式中、nは0から3の整数であり、xは1から3の整数であり、
Lは、独立に選択されるアルキル基又はハロゲンであり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
III及びRIVは、独立に選択されるアルキル基及び/又は水素である。
【0016】
一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、以下の一般式を有してもよい。
Si(OR4-x-y-z(RIINRIIIIV(OH)
式中、xは1から4の整数であり、yは0から3の整数であり、zは0から3の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
III及びRIVは、独立に選択されるアルキル基及び/又は水素である。
【0017】
一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、以下の一般式を有してもよい。
Si(OR4-x(RIINRIIIIV
式中、xは、1から4の整数であり、
は、独立に選択されるアルキル基であり、
IIは、独立に選択される炭化水素であり、
III及びRIVは、独立に選択されるアルキル基及び/又は水素である。
【0018】
一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、APTMSを含んでもよい。一部の実施形態においては、少なくとも1つの堆積サイクルは、PEALDサイクルであってもよい。一部の実施形態においては、反応種は、約100ワット(W)から約1000WのRF電力を第2の反応物に印加することによってを生成されてもよい。一部の実施形態においては、堆積サイクルは、約300℃から約400℃のプロセス温度で実施されてもよい。一部の実施形態においては、堆積サイクルは、約100℃未満のプロセス温度で実施されてもよい。一部の実施形態においては、基板は、有機材料を含んでもよい。
【0019】
一部の実施形態においては、反応空間において基板上にシリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)薄膜を堆積するプロセスを提供する。一部の実施形態においては、こうしたプロセスは、炭素を介してケイ素原子に結合し、かつ炭素鎖に結合したNH基を含む少なくとも1つのリガンドと、酸素原子を介してケイ素原子に結合し、アルキル基が酸素原子に結合した少なくとも1つのリガンドとを含むケイ素前駆体を基板の表面と接触するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、プロセスは、さらに、基板をパージガス及び/又は真空に暴露して、もしあれば、過剰のチタン反応物及び反応副生物を除去するステップと、基板の表面を水素を含む第2の反応物と接触するステップであって、ここで、第2の反応物は、プラズマによって生成された少なくとも1つの反応種を含む、ステップと、基板をパージガス及び/又は真空に暴露して、もしあれば、過剰の第2の反応物及び反応副生物を除去するステップと、所望の厚さのSiOCN薄膜が形成されるまで接触するステップを繰り返すステップと、を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一部の実施形態に係るプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)プロセスによってシリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)薄膜を堆積するプロセスフロー図である。
図2】本開示の一部の実施形態に係る、堆積されたSiOCN薄膜における第2の反応物ガス混合比の関数としての膜の1サイクル当たりの成長(GPC:growth per cycle)、屈折率、及びウェットエッチング速度比(WERR:wet etch rate ratio)を示すグラフである。
図3】熱酸化物(TOX:thermal oxide)及び本開示の一部の実施形態に係る、堆積されたSiOCN薄膜におけるエッチ量(dHFウェットエッチング)対エッチ時間を示すグラフである。
図4】本開示の一部の実施形態に係る、堆積されたSiOCN薄膜の組成のX線光電子分光法(XPS:X-ray photoelectron spectroscopy)深度プロファイルを示すグラフである。
図5図5A~Bは、2分間のdHF浸漬暴露前後の本開示の一部の実施形態に係る、堆積されたSiOCN薄膜の透過型電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope)画像である。図5C~Dは、2分間のdHF浸漬暴露前後の本開示の一部の実施形態に係る、堆積されたSiOCN薄膜の透過型電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope)画像である。
図6】Nプラズマ及びOプラズマを用いて形成された自己整合スペーサを概略的に示す図である。
図7】一部の実施形態に係る、堆積された試料SiOCN膜を0.5重量%希釈HFに2分間暴露した前後の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
シリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)膜は、当業者には明らかなように、例えば、集積回路製作において、多種多様な適用例がある。より具体的には、エッチ速度が遅いSiOCN膜は、半導体産業と半導体産業の外部の両方で多種多様な適用例がある。SiOCN膜は、例えば、エッチストップ層、犠牲層、low-kスペーサ、反射防止層(ARL:anti-reflection layer)及び不動態化層として有用である。
【0022】
本開示の一部の実施形態によれば、種々のSiOCN膜、前駆体、及び前記膜を堆積する方法が提供される。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、例えばdHF中で、ウェットエッチング速度が比較的遅い。
【0023】
一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、プラズマエンハンスト原子層堆積(plasma-enhanced atomic layer deposition)(PEALD)プロセスによって基板上に堆積される。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、液相法で堆積されない。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、フィン型FET素子の形成におけるフィンなどの3次元構造体上に堆積される。
【0024】
シリコンオキシカーボナイトライド膜の式は、便宜上、かつ簡潔にするために、本明細書では一般にSiOCNと称する。本明細書では、SiOCNは、膜中のSi、O、C、N及び/又は任意の他の元素のいずれかの結合又は化学状態、例えば、酸化状態を限定、制限又は規定することを意図したものではない。さらに、一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、Si、O、C及び/又はNに加えて1以上の元素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-C結合、Si-O結合及び/又はSi-N結合を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-C結合及びSi-O結合を含むことができ、Si-N結合を含まなくてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-C結合よりも多くのSi-O結合を含むことができ、例えば、Si-O結合とSi-C結合との比は、約1:1から約10:1であってもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準(原子%)で約0%から約10%の窒素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCNは、原子基準で約0%から約30%の炭素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で約0%から約60%の酸素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で約0%から約50%のケイ素を含んでもよい。
【0025】
ALD型プロセスは、制御された一般に自己制限的な表面反応に基づく。気相反応は、一般に、基板を反応物と交互に順次接触することによって回避される。気相反応物は、例えば、過剰の反応物及び/又は反応副生物を反応物パルスの間に除去することによって、反応室中で互いに分離される。反応物は、基板表面の近くからパージガス及び/又は真空を利用して除去してもよい。一部の実施形態においては、過剰の反応物及び/又は反応副生物は、例えば、不活性ガスでパージして、反応空間から除去される。
【0026】
一部の実施形態においては、プラズマエンハンストALD(PEALD)プロセスは、SiOCN膜を堆積するために用いられる。一部の実施形態においては、本明細書に記載のPEALDプロセスは、酸素プラズマを含まない。簡潔に述べると、基板又は被処理体は、反応室内に配置され、交互に繰り返す表面反応に供される。一部の実施形態においては、薄いSiOCN膜を自己制限的なALDサイクルの反復によって形成する。一部の実施形態においては、SiOCN膜を形成するために、各ALDサイクルは、少なくとも2つの異なる段階を含む。反応物の接触及び基板からの除去を1段階と考えてもよい。第1の段階においては、ケイ素を含む気相第1反応物は、基板と接触し、基板表面に約1つ以下の単層を形成する。この反応物を本明細書では「ケイ素前駆体」、「ケイ素含有前駆体」又は「ケイ素反応物」とも称し、例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)としてもよい。
【0027】
第2の段階においては、反応種を含む第2の反応物は、基板と接触し、吸着されたケイ素をSiOCNに転化してもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、水素前駆体を含む。一部の実施形態においては、反応種は励起種を含む。一部の実施形態においては、第2の反応物は、水素含有プラズマ由来の種を含む。一部の実施形態においては、第2の反応物は、水素ラジカル、水素原子及び/又は水素プラズマを含む。第2の反応物は、水素前駆体ではない別の種を含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、窒素のプラズマ、窒素のラジカル又は原子状窒素を何らかの形で含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの希ガス由来の種を、例えば、ラジカルとして、プラズマの形で、又は元素の形で含んでもよい。希ガス由来のこれらの反応種は、必ずしも材料を堆積膜に与えないが、一部の状況においては、膜成長に寄与し、プラズマの形成及び点火(ignition)に役立つことができる。一部の実施形態においては、プラズマの形成に使用されるガスは、堆積プロセスを通して常に流されてもよいが、断続的にしか活性化されない。一部の実施形態においては、プラズマの形成に使用されるガスは、酸素を含まない。一部の実施形態においては、吸着されたケイ素前駆体は、酸素からプラズマによって生成された反応種と接触しない。一部の実施形態においては、反応種を含む第2の反応物は、酸素を含まないガス中で生成される。例えば、一部の実施形態においては、第2の反応物は、酸素を含まないガス中で発生したプラズマを含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、約1原子%(at%)未満の酸素、約0.1原子%未満の酸素、約0.01原子%未満の酸素、又は約0.001原子%未満の酸素を含むガス中で生成されてもよい。
【0028】
一部の実施形態においては、PEALDプロセスは、例えば、まず、窒素のプラズマ、窒素のラジカル、又は原子状窒素を何らかの形で含む第2の反応物を1つ以上の堆積サイクルに利用して所望の厚さの層を形成し、次いで所望の厚さのSiOCN層が堆積されると、水素ラジカル、水素原子及び/又は水素プラズマを含む第2の反応物を利用することによって、変更されてもよい。
【0029】
一部の実施形態においては、PEALDプロセスは、不活性ガス、例えば、Ar、Heなどの希ガスからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物を1以上の堆積サイクルに利用して所望の厚さの層を形成し、次いで所望の厚さのSiOCN層が堆積されると、水素ラジカル、水素原子及び/又は水素プラズマを含む第2の反応物を利用してもよい。
【0030】
一部の実施形態においては、本明細書に記載のPEALDプロセスは、有機表面、例えば、フォトレジスト材料を含む表面を含む基板上にSiOCN薄膜を堆積するために、使用されてもよい。一部の実施形態においては、本明細書に記載のPEALDプロセスは、水素プラズマによる劣化又は変形を受けやすい表面、例えば、フォトレジスト表面を含む基板上にSiOCN薄膜を堆積するために、使用されてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜を堆積させるプロセスは、本明細書に記載の2つの異なるPEALDプロセスを組み合わせてもよい。例えば、窒素のプラズマ、窒素のラジカル、又は原子状窒素を何らかの形で含む第2の反応物を利用する第1のPEALDプロセスは、水素プラズマの影響を受けやすい表面に、表面を水素プラズマから保護するのに十分な厚さのSiOCN層を堆積しうる。次いで、水素ラジカル、水素原子及び/又は水素プラズマを含む第2の反応物を利用する第2のPEALDプロセスは、所望の厚さの更なるSiOCN層を第1のSiOCN層の上に直接堆積しうる。
【0031】
更なる段階が追加され、また、段階が必要に応じて省略されて、最終膜の組成を調節してもよい。
【0032】
Ar、Heなどのキャリアガスを利用して1以上の反応物が供給されてもよい。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体及び第2の反応物がキャリアガスを利用して供給される。
【0033】
一部の実施形態においては、2つの段階が重複しても、組み合わされてもよい。例えば、ケイ素前駆体及び第2の反応物は、部分的又は完全に重複する段階で同時に基板と接触されてもよい。さらに、第1及び第2の段階、並びに第1及び第2の反応物と称するとはいえ、段階の順序を変えてもよく、ALDサイクルは、段階の任意の一つから開始されてもよい。すなわち、別段の記載がない限り、反応物は、基板と任意の順序で接触することができ、プロセスは、反応物のどれからでも開始してもよい。
【0034】
以下でより詳細に考察するように、SiOCN膜を堆積する一部の実施形態においては、1以上の堆積サイクルは、基板をケイ素前駆体、続いて第2の前駆体と接触することによって開始する。別の実施形態においては、堆積は、基板を第2の前駆体、続いてケイ素前駆体と接触することによって開始してもよい。
【0035】
一部の実施形態においては、半導体被処理体などの堆積させようとする基板は、反応空間又は反応器内に搬入される。反応器は、集積回路の形成において種々のプロセスがその中で実施されるクラスタツールの一部としてもよい。一部の実施形態においては、フロー型反応器が利用される。一部の実施形態においては、シャワーヘッド型の反応器が利用される。一部の実施形態においては、空間分割型反応器が利用される。一部の実施形態においては、大量生産可能な単一ウエハALD反応器が利用される。別の実施形態においては、複数の基板を含むバッチ反応器が使用される。バッチALD反応器を使用する実施形態の場合、基板の数は、10から200個の範囲、50から150個の範囲、又は100から130個の範囲である。
【0036】
使用することができる適切な反応器の例としては、アリゾナ州フェニックスのASM America,Inc.及びオランダ、アルメアのASM Europe B.V.から入手可能なPulsar(登録商標)2000、Pulsar(登録商標)3000などのPulsar(登録商標)反応器、EmerALD(登録商標)反応器、Advance(登録商標)400シリーズ反応器などの市販装置が挙げられる。他の市販反応器としては、商品名Eagle(登録商標)XP及びXP8のASM Japan K.K(東京、日本)製反応器が挙げられる。
【0037】
一部の実施形態においては、必要に応じて、被処理体の露出表面は、前処理して、ALDプロセスの第1の段階と反応する反応部位を用意してもよい。一部の実施形態においては、別個の前処理ステップが不要である。一部の実施形態においては、基板は、前処理され、所望の表面終端を施される。一部の実施形態においては、基板は、プラズマで前処理される。
【0038】
一部の実施形態においては、前処理ステップは、有機材料を基板の表面の少なくとも一部に堆積するステップを含んでもよい。しかしながら、一部の実施形態においては、既に有機材料を含む基板が提供されてもよい。一部の実施形態においては、前処理ステップは、ポリマー材料を基板の表面の少なくとも一部に堆積するステップを含んでもよい。例えば、一部の実施形態においては、前処理ステップは、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ尿素、又は別のこうしたポリマー材料を基板の少なくとも一部に形成するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、ポリマーは、二量体、三量体、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ポリエステル又はポリイミンを含んでもよい。一部の実施形態においては、形成された有機材料は、別のポリマー形態、又は上記材料の混合物を含んでもよい。
【0039】
一部の実施形態においては、前処理ステップは、フォトレジストなどのレジスト材料を含む層を堆積又は形成するステップを含んでもよい。すなわち、一部の実施形態においては、前処理ステップは、例えば、フォトリソグラフィ又は写真製版プロセスに使用することができる感光性材料を含む層を形成又は堆積するステップを含んでもよい。例えば、一部の実施形態においては、前処理ステップは、EUVレジストとも称される、極端紫外線リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジスト材料を形成又は堆積するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、前処理ステップは、液浸リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジスト、例えば、193iレジストとも称される、波長193nmの光を用いた液浸リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジストを形成又は堆積するステップを含んでもよい。
【0040】
過剰の反応物及び反応副生物があれば、過剰の反応物及び反応副生物は、反応物接触段階の間に基板の近傍から、特に基板表面から除去される。一部の実施形態においては、過剰の反応物及び反応副生物があれば、例えば、不活性ガスでパージするなど、反応物接触段階の間に反応室をパージすることによって、過剰の反応物及び反応副生物は、基板表面から除去される。各反応物の流量及び接触時間は、調節可能であり、除去ステップも同様であり、膜の品質及び諸性質の制御が可能である。
【0041】
上述したように、一部の実施形態においては、ガスが各堆積サイクル中又は全ALDプロセス中に反応室に連続的に供給され、反応種は、反応室又は反応室の上流においてガス中でプラズマを発生することによって供給される。一部の実施形態においては、ガスは窒素を含む。一部の実施形態においては、ガスは窒素である。一部の実施形態においては、ガスは、ヘリウム、アルゴンなどの希ガスを含んでもよい。一部の実施形態においては、ガスはヘリウム又は窒素である。流動ガスは、第1及び/又は第2の反応物(又は反応種)のパージガスとしても機能してもよい。例えば、流動窒素は、第1のケイ素前駆体のパージガスとしても機能してもよく、第2の反応物として(反応種の供給源として)も機能してもよい。一部の実施形態においては、窒素、アルゴン又はヘリウムは、第1の前駆体のパージガス、及びケイ素前駆体をSiOCN膜に転化するための励起種の供給源として機能してもよい。一部の実施形態においては、プラズマをその中で発生するガスは、窒素を含まず、吸着されたケイ素前駆体は、窒素からプラズマによって生成された反応種と接触しない。一部の実施形態においては、プラズマをその中で発生するガスは、酸素を含まず、吸着されたケイ素前駆体は、酸素からプラズマによって生成された反応種と接触しない。
【0042】
サイクルは、所望の厚さ及び組成の膜が得られるまで繰り返される。一部の実施形態においては、前駆体流量、接触時間、除去時間及び/又は反応物自体などの堆積パラメータは、所望の特性を有する膜を得るために、ALDプロセス中に1回以上の堆積サイクルにおいて変更されてもよい。
【0043】
一部の実施形態においては、基板の表面は、反応物と接触される。一部の実施形態においては、1パルスの反応物は、基板を含む反応空間に供給される。「パルス」という用語は、反応物を反応室に所定の時間供給することを含むと理解される。「パルス」という用語は、パルスの長さ又は持続時間を限定せず、パルスを任意の時間とすることができる。一部の実施形態においては、基板は、反応物を含む反応空間に移される。一部の実施形態においては、続いて、基板は、第1の反応物を含む反応空間から第2の反応物を含む第2の異なる反応空間に移される。
【0044】
一部の実施形態においては、基板は、最初にケイ素反応物と接触される。最初の表面終端後、必要に応じて、又は所望であれば、基板は、第1のケイ素反応物と接触される。一部の実施形態においては、第1のケイ素反応物パルスは、被処理体に供給される。一部の実施形態によれば、第1の反応物パルスは、キャリアガス流、及び目的とする被処理体表面と反応しやすいAPTMSなどの揮発性ケイ素種を含む。したがって、ケイ素反応物は、これらの被処理体表面に吸着する。第1の反応物パルスは、被処理体表面を自己飽和させて、第1の反応物パルスの過剰の成分がこのプロセスによって形成された分子層と更に反応しないようにする。
【0045】
第1のケイ素反応物パルスは、ガス状で供給されることができる。ケイ素前駆体ガスは、プロセス条件下で露出表面を飽和するのに十分な濃度で被処理体に該種を移送するのに十分な蒸気圧を示す場合、本明細書では「揮発性」とみなす。
【0046】
一部の実施形態においては、ケイ素反応物は、表面と約0.05秒から約5.0秒、約0.1秒から約3秒、又は約0.2秒から約1.0秒間接触する。最適接触時間は、個々の状況に基づいて当業者が明示的に決定されることができる。
【0047】
約1つの分子層が基板表面に吸着するのに十分な時間の後、過剰の第1のケイ素反応物、及び反応副生物があれば、それらを基板表面から除去する。一部の実施形態においては、過剰の反応物及び反応副生物があればその除去は、反応室のパージを含んでもよい。一部の実施形態においては、過剰の反応物及び反応副生物があれば、それらを反応空間から拡散する又はパージするのに十分な時間キャリアガス又はパージガスを流し続けながら、第1の反応物の流れを停止することによって、反応室はパージされてもよい。一部の実施形態においては、過剰の第1の前駆体は、ALDサイクル全体を通して流れる窒素、アルゴンなどの不活性ガスを利用してパージされる。一部の実施形態においては、基板は、第1の反応物を含む反応空間から第2の異なる反応空間に移される。一部の実施形態においては、第1の反応物は、約0.1秒から約10秒、約0.3秒から約5秒、又は約0.3秒から約1秒間除去される。ケイ素反応物の接触及び除去は、ALDサイクルの第1又はケイ素段階とみなすことができる。
【0048】
第2の段階においては、水素プラズマなどの反応種を含む第2の反応物は、被処理体に供給される。水素プラズマは、反応室又は反応室の上流において水素中でプラズマを発生することによって、例えば、水素(H)をリモートプラズマ発生装置に流すことによって、形成されてもよい。
【0049】
一部の実施形態においては、プラズマは、流動Hガス中で発生される。一部の実施形態においては、プラズマが点火される前に、又は水素原子若しくはラジカルが形成される前に、Hは反応室に供給される。一部の実施形態においては、Hは反応室に連続的に供給され、水素含有プラズマ、原子又はラジカルを必要に応じて生成又は供給される。
【0050】
一般に、例えば水素プラズマを含む、第2の反応物は、基板と約0.1秒から約10秒間接触される。一部の実施形態においては、水素含有プラズマなどの第2の反応物は、基板と約0.1秒から約10秒、0.5秒から約5秒、又は0.5秒から約2.0秒間接触される。しかしながら、反応器タイプ、基板タイプ及びその表面積に応じて、第2の反応物接触時間は、約10秒よりもさらに長くされてもよい。一部の実施形態においては、接触時間は、数分間にされることができる。最適接触時間は、個々の状況に基づいて当業者が明示的に決定されることができる。
【0051】
一部の実施形態においては、第2の反応物は、2以上のパルスのどの間でも他の反応物導入せずに、2つ以上の異なるパルスで供給される。例えば、一部の実施形態においては、水素含有プラズマなどのプラズマは、連続したパルスの間にSi前駆体を導入せずに、2以上の連続したパルスで供給される。一部の実施形態においては、プラズマ放電を第1の時間供給し、プラズマ放電を、第2の時間、例えば、約0.1秒から約10秒、約0.5秒から約5秒、又は約1.0秒から約4.0秒間消し、Si前駆体又はパージステップの前などの別の前駆体又は除去ステップの導入の前に、それを再度第3の時間励起することによって、2以上の連続したプラズマパルスは、プラズマの供給中に発生される。追加のパルスのプラズマは、同様に導入されることができる。一部の実施形態においては、プラズマは、パルスの各々において同じ時間点火される。
【0052】
一部の実施形態においては、プラズマ、例えば、水素含有プラズマは、一部の実施形態においては約10Wから約2000W、約50Wから約1000W、又は約100Wから約500WのRFパワーを印加することによって、発生されてもよい。一部の実施形態においては、窒素含有プラズマの発生に使用されるプラズマパワーは、約500Wから約1,500W、700Wから約1200W、又は約800Wから約1,000Wであることができる。一部の実施形態においては、RFパワー密度は、約0.02W/cmから約2.0W/cm、又は約0.05W/cmから約1.5W/cmであってもよい。RFパワーは、プラズマ接触時間中に流れる、反応室を通って連続的に流れる、及び/又はリモートプラズマ発生装置を通って流れる第2の反応物に印加されてもよい。したがって、一部の実施形態においては、プラズマは、in-situで発生され、別の実施形態においては、プラズマは、リモートで発生される。一部の実施形態においては、シャワーヘッド反応器が利用され、プラズマは、サセプタ(その上に基板が位置する)とシャワーヘッドプレートの間で発生される。一部の実施形態においては、サセプタとシャワーヘッドプレートの間隔は、約0.1cmから約20cm、約0.5cmから約5cm、又は約0.8cmから約3.0cmである。
【0053】
以前に吸着した分子層をプラズマパルスで完全に飽和させ、プラズマパルスと反応させるのに十分な時間の後に、いかなる過剰の反応物及び反応副生物も基板表面から除去される。
【0054】
一部の実施形態においては、過剰の反応物及び反応副生物があれば、過剰の反応物及び反応副生物の除去は、反応室のパージを含んでもよい。一部の実施形態においては、過剰の反応物及び反応副生物があれば、過剰の反応物及び反応副生物を反応空間から拡散する又はパージするのに十分な時間、キャリアガス又はパージガスを流し続けながら、第2の反応物の流れを停止することによって、反応室は、パージされてもよい。

一部の実施形態においては、過剰の第2の前駆体は、ALDサイクル全体を通して流れる窒素、アルゴンなどの不活性ガスを利用してパージされる。一部の実施形態においては、基板は、第2の反応物を含む反応空間から異なる反応空間に移されてもよい。除去は、一部の実施形態においては、約0.1秒から約10秒、約0.1秒から約4秒、又は約0.1秒から約0.5秒であってもよい。共に、反応種の接触と除去は、SiOCN原子層堆積サイクルにおける第2の反応種段階を成す。
【0055】
2つの段階は共に1つのALDサイクルを成し、繰り返されて、所望の厚さのSiOCN薄膜を形成する。ALDサイクルは一般に本明細書ではケイ素段階で始まるとするが、別の実施形態においては、サイクルが反応種段階で開始し得ることが企図される。当業者は、第1の前駆体段階が、一般に、前のサイクルの最終段階によって残された終端と反応することを認識するはずである。したがって、反応種段階が第1のALDサイクルにおける第1段階であれば、反応物は、基板表面に前もって吸着し得ない、又は反応空間に存在し得ないが、それに続くサイクルにおいては、反応種段階は、ケイ素段階に効果的に続く。一部の実施形態においては、1以上の異なるALDサイクルが堆積プロセスにおいて用意される。
【0056】
本開示の一部の実施形態によれば、PEALD反応は、約25℃から約700℃、約50℃から約600℃、約100℃から約450℃、又は約200℃から約400℃の温度で実施されてもよい。一部の実施形態においては、最適反応器温度は、最大許容熱収支によって制限されてもよい。したがって、一部の実施形態においては、反応温度は約300℃から約400℃である。一部の適用例においては、最高温度が約400℃であり、したがって、PEALDプロセスをその反応温度で行う。
【0057】
薄膜が堆積する基板は、種々のタイプの材料を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、集積回路被処理体を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板はケイ素を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、酸化ケイ素、例えば、熱酸化物を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、high-k誘電材料を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は炭素を含んでもよい。例えば、基板は、アモルファスカーボン層、グラフェン及び/又はカーボンナノチューブを含んでもよい。
【0058】
一部の実施形態においては、基板は、W、Cu、Ni、Co及び/又はAlを含めて、ただしそれだけに限定されない金属を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、TiN及び/又はTaNを含めて、ただしそれだけに限定されない金属窒化物を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、TiC及び/又はTaCを含めて、ただしそれだけに限定されない金属炭化物を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、MoS、SbTe及び/又はGeTeを含めて、ただしそれだけに限定されない金属カルコゲニドを含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、酸素プラズマプロセスへの暴露によって酸化されるが、本明細書に記載のPEALDプロセスによって酸化されない材料を含んでもよい。
【0059】
一部の実施形態においては、本明細書に記載のPEALDプロセスに使用される基板は、有機材料を含んでもよい。例えば、基板は、プラスチック、ポリマー及び/又はフォトレジストなどの有機材料を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ尿素、又は別のこうしたポリマー材料を含んでもよい。
【0060】
一部の実施形態においては、基板は、フォトレジストなどのレジスト材料を含んでもよい。すなわち、一部の実施形態においては、基板は、例えば、フォトリソグラフィ又は写真製版プロセスに使用することができる感光性材料を含んでもよい。例えば、一部の実施形態においては、基板は、EUVレジストとも称される、極端紫外線リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジスト材料を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、液浸リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジスト、例えば、193iレジストとも称される、波長193nmの光を用いた液浸リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジストを含んでもよい。
【0061】
基板が有機材料を含む一部の実施形態においては、PEALDプロセスの反応温度は、有機材料が劣化又は分解し得る温度よりも低くてもよい。基板が有機材料を含む一部の実施形態においては、PEALDプロセスの反応温度は、約200℃未満であってもよい。一部の実施形態においては、反応温度は、約150℃未満、約100℃未満、約75℃未満又は約50℃未満であってもよい。
【0062】
基板が有機材料を含む一部の実施形態においては、最高プロセス温度は、100℃もの低温であってもよい。基板が有機材料を含む一部の実施形態においては、酸素から発生するプラズマがないことにより、酸素から発生されるプラズマを含む堆積プロセスにおいて劣化する有機材料上でのSiOCN薄膜の堆積を可能にしてもよい。一部の実施形態においては、窒素のプラズマ、窒素のラジカル、又は原子状窒素を何らかの形で含む第2の反応物を含む本明細書に記載のPEALDプロセスは、酸素又は水素から発生されるプラズマを含む堆積プロセスにおいて劣化する有機材料上でのSiOCN薄膜の堆積を可能にしてもよい。

一部の実施形態においては、こうしたSiOCN薄膜は、有機材料の保護層として機能してもよく、有機材料を劣化又は損傷させるPEALDプロセスによって更なるSiOCN膜の堆積を可能にしてもよい。
【0063】
本開示の一部の実施形態によれば、処理中の反応室の圧力は、約0.01Torrから約50Torr、又は約0.1Torrから約10Torrに維持される。一部の実施形態においては、反応室の圧力は、約6Torr又は約20Torrを超える。一部の実施形態においては、SiOCN堆積プロセスは、約20Torrから約500Torr、約20Torrから約50Torr、又は約20Torrから約30Torrの圧力で実施されうる。
【0064】
一部の実施形態においては、SiOCN堆積プロセスは、複数の堆積サイクルを含むことができ、少なくとも1つの堆積サイクルは、高圧領域で行われる。例えば、PEALDプロセスの堆積サイクルは、基板をケイ素前駆体及び第2の反応物と高圧下で交互に順次接触するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、PEALDプロセスの1以上の堆積サイクルは、約6Torrから約500Torr、約6Torrから約50Torr、又は約6Torrから約100Torrのプロセス圧力で実施されうる。一部の実施形態においては、1以上の堆積サイクルは、約20Torrから約500Torr、約30Torrから約500Torr、約40Torrから約500Torr、又は約50Torrから約500Torrを含めて、約20Torrを超えるプロセス圧力で実施されうる。一部の実施形態においては、1以上の堆積サイクルは、約20Torrから約30Torr、約20Torrから約100Torr、約30Torrから約100Torr、約40Torrから約100Torr、又は約50Torrから約100Torrのプロセス圧力で実施されうる。
【0065】
SiOCNのPEALD
上述したように、また、以下でより詳細に考察するように、一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、プラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)プロセスによって反応空間において基板上に堆積されうる。一部の実施形態によれば、SiOCN薄膜は、PEALDプロセスによってフィン型FET適用例などにおける3次元的形状を有する基板上に堆積される。一部の実施形態においては、本明細書に記載のPEALDプロセスは、種々の用途に使用されてもよい。例えば、本明細書に記載のPEALDプロセスは、ハードマスク層、犠牲層、保護層又はlow-kスペーサの形成に使用されてもよい。本明細書に記載のPEALDプロセスは、例えば、メモリ素子用途に使用されてもよい。
【0066】
一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、Oプラズマに損傷なしに耐えることができない基板、例えば、有機及び/又はフォトレジスト材料を含む基板上に本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積されてもよい。
【0067】
図1を参照し、一部の実施形態によれば、
ステップ120において、ケイ素種が基板の表面に吸着するように基板を気相ケイ素含有前駆体と接触するステップと、
ステップ130において、過剰のケイ素含有前駆体及び反応副生物があれば、過剰のケイ素含有前駆体及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
ステップ140において、基板をプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物と接触させ、それによって吸着ケイ素種をSiOCNに転化するステップと、
ステップ150において、過剰の第2の反応物及び反応副生物があれば、過剰の第2の反応物及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
ステップ160において、場合によっては、接触及び除去ステップを繰り返して、所望の厚さ及び組成のSiOCN薄膜を形成するステップと、
を含む少なくとも1つのサイクルを含むPEALD堆積プロセス100によって、SiOCN薄膜は、反応空間において基板上に堆積される。
【0068】
一部の実施形態においては、ステップ140は、基板を第2の反応物と接触する前に、プラズマ又は反応種をリモートで生成又は形成するステップを含んでもよい。
【0069】
一部の実施形態によれば、SiOCNプラズマALD堆積サイクルは、SiOCN薄膜を堆積するために用いられてもよい。ある実施形態においては、複数のSiOCN堆積サイクルを含むALD型プロセスによって、SiOCN薄膜は、基板上に形成される。各SiOCN堆積サイクルは、
ケイ素化合物が基板表面に吸着するように基板を気相ケイ素反応物と接触するステップと、
基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップと、
第2の反応物中でプラズマを形成することによって生成された反応種と基板を接触するステップと、
基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップと、
場合によっては、所望の厚さ及び組成のSiOCN薄膜が得られるまで、接触及び暴露するステップを繰り返すステップと、
を含む。
【0070】
一部の実施形態においては、基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップは、前駆体又は反応物の流れを停止している間に不活性キャリアガスの流れを継続するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップは、反応室への前駆体及びキャリアガスの流れを停止するステップと、例えば真空ポンプによって、反応室を排気するステップとを含んでもよい。一部の実施形態においては、基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップは、基板を第1の反応室からパージガスを含む第2の異なる反応室に移すステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップは、基板を第1の反応室から減圧下の第2の異なる反応室に移すステップを含んでもよい。
【0071】
一部の実施形態によれば、
ケイ素種が基板の表面に吸着するように基板をAPTMSと接触するステップと、
過剰のAPTMS及び反応副生物があれば、過剰のAPTMS及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
基板をプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物と接触するステップであって、ここで、反応種は水素を含む、ステップと、
過剰の第2の反応物及び反応副生物があれば、過剰の第2の反応物及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
場合によっては、接触及び除去ステップを繰り返して、所望の厚さ及び組成のSiOCN薄膜を形成するステップと、
を含む少なくとも1回のサイクルを含むPEALD堆積プロセスによって、SiOCN薄膜は、反応空間において基板上に堆積される。
【0072】
一部の実施形態においては、基板を第2の反応物と接触するステップは、基板を第2の反応物と接触する前にプラズマ又は反応種をリモートで生成又は形成するステップを含んでもよい。
【0073】
ある実施形態においては、SiOCN薄膜は、複数のSiOCN堆積サイクルを含むALD型プロセスによって基板上に形成され、各SiOCN堆積サイクルは、基板を第1の気相ケイ素前駆体及び反応種を含む第2の反応物と交互に順次接触するステップを含む。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体はAPTMSを含んでもよく、第2の反応種は水素を含んでもよい。
【0074】
例えば、上述したように、一部の実施形態においては、SiOCNは、水素プラズマを第2の反応物として含む本明細書に記載のPEALDプロセスによって劣化する表面、例えば、有機表面に堆積されてもよい。したがって、一部の実施形態においては、SiOCN膜を堆積するPEALDプロセスは、有機表面のパッシベーション層又は保護層として機能する第1のSiOCN層を形成するために、第2の反応物としての窒素含有ガス及び/又は希ガスなどの不活性ガスから発生されるプラズマを利用する幾つかの堆積サイクルから開始してもよい。次いで、さらに、SiOCN材料は、水素プラズマを含む第2の反応物を含む堆積サイクルを利用して第1のSiOCN層上に堆積されてもよい。
【0075】
一部の実施形態においては、
ケイ素種が基板の表面に吸着するように基板を気相ケイ素含有前駆体と接触するステップと、
過剰のケイ素含有前駆体及び反応副生物があれば、過剰のケイ素含有前駆体及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
基板を窒素含有ガス及び/又は希ガス(単数又は複数)などの不活性ガスからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物と接触するステップと、
過剰の第2の反応物及び反応副生物があれば、過剰の第2の反応物及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
場合によっては、接触及び除去するステップを繰り返して、所望の厚さ及び組成の第1のSiOCN層を形成するステップと、
を含む2以上の堆積サイクルを含む第1のプラズマ堆積プロセス、及び
ケイ素種が基板の表面に吸着するように基板を気相ケイ素含有前駆体と接触するステップと、
過剰のケイ素含有前駆体及び反応副生物があれば、過剰のケイ素含有前駆体及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
基板をプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物と接触するステップであって、ここで、反応種は水素を含む、ステップと、
過剰の第2の反応物及び反応副生物があれば、過剰の第2の反応物及び反応副生物を基板表面から除去するステップと、
場合によっては、接触及び除去するステップを繰り返して、所望の厚さ及び組成の第2のSiOCN層を形成するステップと、
を含む2以上の堆積サイクルを含む第2の水素含有プラズマ堆積プロセス
を含む方法によって、SiOCN薄膜は、反応空間において基板上に堆積されてもよい。
【0076】
一部の実施形態においては、第1のSiOCN層と第2のSiOCN層は、分離した層でなくてもよく、所望の厚さの連続SiOCN膜を形成してもよい。一部の実施形態においては、第1のSiOCN層は、第2のSiOCN層とは異なる層であってもよい。一部の実施形態においては、第2のSiOCN層は、第1のSiOCN層よりも低密度であってもよい。一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセス及び第2の水素含有プラズマ堆積プロセスを含む方法によって堆積したSiOCN膜は、Hプラズマを含まない方法によって堆積したSiOCN膜よりも低密度であってもよい。
【0077】
一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセスは水素プラズマを含まず、任意の数の堆積サイクルを含んでもよい。しかしながら、一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセスは、第2の水素含有プラズマ堆積プロセスに起因する劣化から下地材料を保護するのに十分な厚さのSiOCN層を形成するのに十分な堆積サイクルを有してもよい。例えば、一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセスによって堆積した第1のSiOCN層の厚さは、最高約20nm厚であってもよい。一部の実施形態においては、第1のSiOCN層の厚さは、約0.1nmから約3nmであってもよい。一部の実施形態においては、第1のSiOCN層の厚さは、約3nm以上、約4nm以上又は約5nm以上であってもよい。
【0078】
一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセスは、約5堆積サイクル以上、約10堆積サイクル以上、約20堆積サイクル以上、約50堆積サイクル以上、約100堆積サイクル以上又は約250堆積サイクル以上を含んでもよい。一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセスは、約500堆積サイクル以下、約250堆積サイクル以下、約100堆積サイクル以下、約50堆積サイクル以下、約30堆積サイクル以下又は約20堆積サイクル以下を含んでもよい。
【0079】
一部の実施形態においては、水素含有堆積プロセスは、任意の数の堆積サイクルを含んでもよい。一部の実施形態においては、窒素含有プラズマ堆積プロセスにおける堆積サイクル数、及び水素含有プラズマ堆積プロセスにおける堆積サイクル数は、独立に選択されてもよい。
【0080】
一部の実施形態においては、基板は、有機表面を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、ポリマー表面を含んでもよい。例えば、一部の実施形態においては、基板は、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ尿素(polyuria)、又は別のこうしたポリマーを含んでもよい。一部の実施形態においては、ポリマーは、二量体、三量体、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ポリエステル又はポリイミンを含んでもよい。一部の実施形態においては、有機表面は、別のポリマー形態、又は上記材料の混合物を含んでもよい。一部の実施形態においては、有機材料は、グラフェン又は別の形態の炭素を含んでもよい。一部の実施形態においては、有機材料は、アモルファス炭素を含んでもよい。一部の実施形態においては、アモルファス炭素は、水素を含んでもよい。一部の実施形態においては、基板は、フォトレジスト材料を含んでもよい。一部の実施形態においては、例えば雰囲気からの、基板表面の炭化水素汚染がない。
【0081】
一部の実施形態においては、基板表面は、フォトレジストなどのレジストを含んでもよい。すなわち、一部の実施形態においては、基板表面は、例えば、フォトリソグラフィ又は写真製版プロセスに使用することができる感光性材料を含んでもよい。例えば、一部の実施形態においては、基板表面は、EUVレジストとも称される、極端紫外線リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジストを含んでもよい。一部の実施形態においては、基板表面は、液浸リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジスト、例えば、193iレジストとも称される、波長193nmの光を用いた液浸リソグラフィプロセスに使用することができるフォトレジストを含んでもよい。
【0082】
基板が有機材料を含んでもよい一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセスによって形成された第1のSiOCN層は、有機材料の保護層として機能してもよい。すなわち、一部の実施形態においては、第1のSiOCN層は、後続プロセス中に、例えば、第2の水素含有プラズマ堆積プロセス中に、有機材料を劣化又は除去から保護するのに役立つ。一部の実施形態においては、第1のSiOCN層は、第2の水素含有プラズマ堆積プロセス中に、水素プラズマが有機材料と接触する、有機材料を劣化させる、又は有機材料を除去するのを防止するのに役立つ。
【0083】
基板が有機表面を含む一部の実施形態においては、第1のプラズマ堆積プロセス及び水素含有プラズマ堆積プロセスを含むSiOCN堆積方法は、有機表面の厚さで測定して、有機表面の約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又は約1%未満を除去又は劣化してもよい。一部の実施形態においては、SiOCNを堆積する方法によって実質的にどの材料も有機表面から除去せず、劣化しない場合もある。
【0084】
一部の実施形態においては、反応空間において基板上にSiOCN薄膜を形成する方法は、基板を気相ケイ素含有前駆体、及び窒素含有ガス及び/又は希ガスなどの不活性ガスからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物と交互に順次接触するステップを含む複数の堆積サイクルを含んでもよい。一部の実施形態においては、該方法は、さらに、基板をプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物と接触するステップを含む水素プラズマトリートメントサイクルを含むことができ、反応種は水素を含み、水素プラズマトリートメントサイクルを、場合によっては、所望の数の堆積サイクル後に実施することができる。一部の実施形態においては、更なる堆積サイクルは、水素プラズマトリートメントサイクル後に実施されてもよい。
【0085】
一部の実施形態においては、水素プラズマトリートメントサイクルは、n回の堆積サイクルごとに実施されてもよい。ここで、nは整数である。一部の実施形態においては、水素プラズマトリートメントサイクルは、1、5、10、25、50、100、500、2000回以上の堆積サイクルごとに実施されてもよい。例えば、一部の実施形態においては、1回の水素プラズマトリートメントサイクルは、50回の堆積サイクルを含むSiOCN堆積方法において5回の堆積サイクルごとに実施されてもよい。一部の実施形態においては、堆積サイクルは、Nからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物を含んでもよい。
【0086】
一部の実施形態においては、第1の水素プラズマトリートメントサイクルは、第1の数の窒素含有プラズマ堆積サイクルなどの堆積サイクルで実施されてもよく、第2の水素プラズマトリートメントサイクルは、第2の異なる数の堆積サイクルで実施されてもよい。すなわち、一部の実施形態においては、水素プラズマ処理サイクルと堆積サイクルの比は、1:1から1:2000、1:1から1:500、1:1から1:100、1:1から1:50、1:1から1:25、1:1から1:10、1:1から1:5、又は1:1から1:2であってもよい。
【0087】
一部の実施形態においては、水素プラズマトリートメントサイクルは、基板を水素を含む反応種と約0.1秒から約20秒間接触するステップを含んでもよい。一部の実施形態においては、水素を含む反応種は、基板と約0.1秒から約10秒、0.5秒から約5秒、又は0.5秒から約2.0秒間接触する。一部の実施形態においては、水素プラズマトリートメントサイクルは、基板を水素を含む反応種と約4秒間接触するステップを含んでもよい。しかしながら、反応器タイプ、基板タイプ及びその表面積、所望の膜特性、並びに他の因子に応じて、水素を含む反応種接触時間は、約20秒よりもさらに長くてもよい。一部の実施形態においては、接触時間は、数分間であってもよい。最適接触時間は、個々の状況に基づいて当業者が容易に決定することができる。
【0088】
一部の実施形態においては、ケイ素含有前駆体は、APTMSを含んでもよい。一部の実施形態においては、堆積サイクルの第2の反応物は、Nからプラズマによって生成された反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、水素プラズマ処理サイクルの第2の反応物は、Hからプラズマによって生成された種を含んでもよい。
【0089】
一部の実施形態においては、PEALDプロセスは、約100℃から約650℃、約100℃から約550℃、約100℃から約450℃、約200℃から約600℃、又は約200℃から約400℃の温度で実施される。一部の実施形態においては、温度は約300℃である。一部の実施形態においては、例えば、基板が有機フォトレジストなどの有機材料を含む場合、PEALDプロセスは、約100℃未満の温度で実施されてもよい。一部の実施形態においては、PEALDプロセスは、約75℃未満又は約50℃未満の温度で実施される。一部の実施形態においては、RFパワーを第2の反応物に印加することによってプラズマが発生されてもよい。RFパワーを第2の反応物に印加し、それによって反応種が生成されてもよい。一部の実施形態においては、反応室を連続的に流れる、及び/又はリモートプラズマ発生装置を流れる第2の反応物にRFパワーを印加することができる。したがって、一部の実施形態においては、プラズマは、in situで発生され、別の実施形態においては、プラズマは、リモートで発生される。一部の実施形態においては、第2の反応物に印加されるRFパワーは、約10Wから約2000W、約100Wから約1000W、又は約200Wから約500Wである。一部の実施形態においては、第2の反応物に印加されるRFパワーは、約200Wである。一部の実施形態においては、窒素含有プラズマの発生に使用するプラズマパワーは、約500Wから約1500W、約800Wから約1200Wでありうる。
【0090】
以下でより詳細に考察するように、SiOCN膜を堆積する一部の実施形態においては、1以上のPEALD堆積サイクルは、ケイ素前駆体、続いて第2の反応物の供給によって開始する。別の実施形態においては、第2の反応物、続いてケイ素前駆体の供給によって堆積は、開始されてもよい。当業者は、第1の前駆体段階が、一般に、前のサイクルの最終段階によって残された終端と反応することを認識するはずである。したがって、反応種段階が第1のPEALDサイクルにおける第1段階であれば、反応物は、基板表面に前もって吸着しない、又は反応空間に存在しないが、それに続くPEALDサイクルにおいては、反応種段階はケイ素段階に効果的に続く。一部の実施形態においては、1回以上の異なるPEALDサブサイクルが、SiOCN薄膜を形成するプロセスにおいて用意される。
【0091】
Si前駆体
幾つかの異なる適切なSi前駆体は、本開示のPEALDプロセスに使用されてもよい。一部の実施形態においては、PEALDプロセスによるSiOCNの堆積に適切な少なくとも幾つかのSi前駆体は、以下の一般式を有する。
(1)Si(OR4-x(RIINRIIIIV
式中、x=1~4であり、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素基であってもよく、RIII及びRIVは独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であってもよい。一部の実施形態においては、R及びRIIは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルなどのC~Cアルキルリガンドである。一部の実施形態においては、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなどのC~Cアルキルリガンドであってもよい。一部の実施形態においては、RIIはC炭化水素ではない。一部の実施形態においては、RIIは、C~C炭化水素又はC~C炭化水素である。一部の実施形態においては、RIIは、1以上の二重結合を含む炭化水素などの不飽和炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、水素の1つが除去されたアルキル基であってもよい。一部の実施形態においては、RIII及びRIVは水素である。一部の実施形態においては、Rはメチルであり、RIIはn-プロピルであり、RIIIは水素であり、RIVは水素であり、x=1である。
【0092】
例えば、Si前駆体は、(結合を示すためにより詳細な様式で書かれた)式(R-O-)4-xSi(-RII-NRIIIIVを有してもよく、式中、x=1~4であり、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素であってもよく、RIII及びRIVは、独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であってもよい。
【0093】
一部の実施形態によれば、一部のSi前駆体は以下の一般式を有してもよい。
(2) Si(OR4-x-y-z(RIINRIIIIV(OH)
式中、x=1~4、y=0~3及びz=0~3であり、R及びRIIは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素であってもよく、RIII及びRIVは独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、1以上の二重結合を含む炭化水素などの不飽和炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、水素の1つが除去されたアルキル基であってもよい。
【0094】
一部の実施形態によれば、一部のSi前駆体は以下の一般式を有してもよい。
(3)LSi(OR4-x-n(RIINRIIIIV
式中、n=1~3、x=0~3であり、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素であってもよく、RIII及びRIVは独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であってもよく、Lは独立に選択されるアルキル基又はハロゲンである。一部の実施形態においては、RIIは、1以上の二重結合を含む炭化水素などの不飽和炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、水素の1つが除去されたアルキル基であってもよい。
【0095】
一部の実施形態によれば、一部のSi前駆体は、以下の一般式を有してもよい。
(4)LSi(OR4-x-y-z-n(RIINRIIIIV(OH)
式中、n=0~3、x=1~4、y=0~3、z=0~3であり、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素であってもよく、RIII及びRIVは独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であってもよく、Lは独立に選択されるアルキル基又はハロゲンである。一部の実施形態においては、RIIは、1以上の二重結合を含む炭化水素などの不飽和炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、水素の1つが除去されたアルキル基であってもよい。
【0096】
一部の実施形態によれば、一部のSi前駆体は以下の一般式を有してもよい。
5)(RO)4-xSi(RII-NH
式中、x=1~4であり、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、R及びRIIは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルなどのC~Cアルキルリガンドである。一部の実施形態においては、Rはメチルであり、RIIはn-プロピルであり、x=1である。一部の実施形態においては、RIIは、1以上の二重結合を含む炭化水素などの不飽和炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、水素の1つが除去されたアルキル基であってもよい。
【0097】
一部の実施形態によれば、一部のSi前駆体は以下の一般式を有してもよい。
6)(RO)Si-RII-NH
式中、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよく、RIIは独立に選択される炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、R及びRIIは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルなどのC~Cアルキルリガンドである。一部の実施形態においては、RIIは、1以上の二重結合を含む炭化水素などの不飽和炭化水素であってもよい。一部の実施形態においては、RIIは、水素の1つが除去されたアルキル基であってもよい。
【0098】
一部の実施形態によれば、一部のSi前駆体は以下の一般式を有してもよい。
7)(RO)4-xSi(-[CH-NH
式中、x=1~4、n=1~5であり、Rは独立に選択されるアルキル基であってもよい。一部の実施形態においては、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルなどのC~Cアルキルリガンドである。一部の実施形態においては、Rはメチルであり、x=1である。
【0099】
一部の実施形態においては、ケイ素前駆体はハロゲンを含まない。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、少なくとも1つのアミノアルキルリガンドを含んでもよい。一部の実施形態によれば、適切なケイ素前駆体は、炭素を介してケイ素に結合し、炭素鎖に結合した少なくとも1つのNH基を含む少なくとも1個のリガンド、例えば、アミノアルキルリガンドを含んでもよい。一部の実施形態によれば、適切なケイ素前駆体は、炭素を介してケイ素に結合し、炭素鎖に結合したNH基を含む少なくとも1つのリガンド、例えば、アミノアルキルリガンドを含むことができ、さらに、酸素原子を介してケイ素に結合し、アルキル基が酸素に結合した少なくとも1つのリガンド、例えば、アルコキシドリガンドを含んでもよい。一部の実施形態によれば、適切なケイ素前駆体は、炭素を介してケイ素に結合し、炭素鎖に結合した少なくとも1つのNRIIIIV基を含む少なくとも1つのリガンド、例えば、アミノアルキルリガンドを含んでもよい。式中、RIII及びRIVは、独立に選択されるアルキル基及び/又は水素であってもよい。一部の実施形態によれば、適切なケイ素前駆体は、炭素を介してケイ素に結合し、少なくとも1つの窒素が炭素に結合した少なくとも1つのリガンドを含んでもよい。さらに、炭素を介してケイ素に結合し、少なくとも1つの窒素が炭素に結合した1個のリガンドは、窒素に結合した水素を含んでもよい。一部の実施形態によれば、炭素を介してケイ素に結合したリガンドに加えて、適切なケイ素前駆体は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、tert-ブトキシリガンドなどのアルコキシリガンドも含んでもよい。一部の実施形態によれば、上記の式の幾つかを含めて、適切なケイ素前駆体は、炭素を介してケイ素に結合し、炭素鎖に結合したアルキルアミノ又は-NH基などのアミノ基が存在し、炭素鎖が、炭素と水素のみを含むC~C炭化水素、C~C炭化水素又はC~C炭化水素、線状、分枝又は環式である、炭素鎖を含む。一部の実施形態においては、炭素鎖は、不飽和とすることができ、二重炭素-炭素結合を含んでもよい。幾つかの別の実施形態においては、炭素鎖は、炭素及び水素以外の原子を含んでもよい。
【0100】
一部の実施形態によれば、適切なケイ素前駆体は、一般式(1)から(7)のいずれかを有する少なくとも化合物を含んでもよい。一部の実施形態においては、ハロゲン化物/ハロゲンは、F、Cl、Br及びIを含んでもよい。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)を含んでもよい。
【0101】
一部の実施形態においては、1より多いケイ素前駆体は、ALD段階中に同時に基板表面と接触してもよい。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、本明細書に記載のケイ素前駆体の2以上を含んでもよい。一部の実施形態においては、第1のケイ素前駆体は、第1のALDサイクルに使用され、第2の異なるALD前駆体は、その後のALDサイクルに使用される。一部の実施形態においては、例えば、堆積SiOCN膜のある種の性質を最適化するために、複数のケイ素前駆体は、単一のALD段階中に使用されてもよい。一部の実施形態においては、1のケイ素前駆体のみが堆積中に基板と接触してもよい。一部の実施形態においては、1のケイ素前駆体及び1の第2の反応物又は第2の反応物の組成物のみが堆積プロセス中に存在してもよい。一部の実施形態においては、堆積プロセス中に金属前駆体が存在しない。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、シリル化剤として使用されない。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体接触ステップの堆積温度及び/又は期間は、ケイ素前駆体が分解しないように選択される。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、ケイ素前駆体接触ステップ中に分解してもよい。一部の実施形態においては、ケイ素前駆体は、塩素、フッ素などのハロゲンを含まない。
【0102】
第2の反応物
上述したように、本開示に係るSiOCNを堆積するための第2の反応物は、反応種を含んでもよい水素前駆体を含んでもよい。一部の実施形態においては、反応種としては、ラジカル、プラズマ及び/又は励起原子若しくは種が挙げられるが、それだけに限定されない。こうした反応種は、例えば、プラズマ放電、熱線又は別の適切な方法によって生成されてもよい。一部の実施形態においては、反応種は、反応室から遠隔で、例えば、反応室の上流で生成されてもよい(「リモートプラズマ」)。一部の実施形態においては、反応種は、反応室において、基板のすぐ近くで、又は直接基板上で生成されてもよい(「ダイレクトプラズマ」)。
【0103】
PEALDプロセスの適切なプラズマ組成物としては、何らかの形の水素のプラズマ、ラジカル又は原子状水素である水素反応種が挙げられる。一部の実施形態においては、第2の反応物は、少なくとも部分的にHから形成された反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、何らかの形の窒素のプラズマ、ラジカル又は原子状窒素の形の窒素反応種も供給される。さらに、一部の実施形態においては、プラズマは、He、Ne、Ar、Kr及びXe、又はAr若しくはHeなどの希ガスも、プラズマの形で、ラジカルとして、又は原子の形で含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、酸素から生成する種を含まない。したがって、一部の実施形態においては、反応種は、酸素を含むガスから生成されない。一部の実施形態においては、反応種を含む第2の反応物は、酸素を含まないガスから生成される。例えば、一部の実施形態においては、第2の反応物は、酸素を含まないガスから発生したプラズマを含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、約1原子%(at%)未満の酸素、約0.1原子%未満の酸素、約0.01原子%未満の酸素、又は約0.001原子%未満の酸素を含むガスから生成されてもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、O、HO又はOを含まない。
【0104】
したがって、一部の実施形態においては、第2の反応物は、NH、NなどのNとHの両方を有する化合物、N/Hの混合物、又はN-H結合を有する他の前駆体から形成された反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、少なくとも部分的に、Nから形成されてもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、少なくとも部分的に、H及びNから形成されてもよく、HとNとは、約100:1から約1:100、約20:1から約1:20、約10:1から約1:10、約5:1から約1:5、及び/又は約2:1から約4:1、ある場合には1:1の流量比(H/N)で供給される。例えば、SiOCNを堆積するための水素含有プラズマは、NとHの両方を本明細書に記載の1以上の比を用いて発生されることができる。
【0105】
一部の実施形態においては、水素プラズマは、窒素含有種(例えば、窒素イオン、ラジカル、原子状窒素)を含まなくてもよい、又は実質的に含まなくてもよい。例えば、窒素含有ガスは、水素プラズマの発生に使用されない。一部の実施形態においては、窒素含有ガス(例えば、Nガス)は、水素プラズマステップ中に反応室に流されない。
【0106】
一部の実施形態においては、第2の反応物は、Nを含む化合物から形成された反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、Nから形成されてもよい。すなわち、一部の実施形態においては、反応種は、Nなどの窒素を含むガスから生成される。一部の実施形態においては、第2の反応物は、Nから生成する反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、Nから生成する反応種である。
【0107】
一部の実施形態においては、第2の反応物は、希ガス、例えばAr又はHeなどの不活性ガスからプラズマによって形成された反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、1種以上のガス、例えば、窒素含有ガス及びAr、Heなどの希ガスからプラズマによって形成された反応種を含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、水素を含まない。一部の実施形態においては、第2の反応物は、Hを含む化合物から形成された反応種を含まない。
【0108】
一部の実施形態においては、水素プラズマは、酸素含有種(例えば、酸素イオン、ラジカル、原子状酸素)を含まなくてもよい、又は実質的に含まなくてもよい。例えば、酸素含有ガスは、水素プラズマの発生に使用されない。一部の実施形態においては、酸素含有ガス(例えば、Oガス)は、水素プラズマステップ中に反応室に流されない。
【0109】
一部の実施形態においては、第2の反応物は、窒素から生成される種を含まない。したがって、一部の実施形態においては、反応種は、窒素を含むガスから生成されない。一部の実施形態においては、反応種を含む第2の反応物は、窒素を含まないガスから生成される。例えば、一部の実施形態においては、第2の反応物は、窒素を含まないガスから発生されたプラズマを含んでもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、約1原子%(at%)未満の窒素、約0.1原子%未満の窒素、約0.01原子%未満の窒素、又は約0.001原子%未満の窒素を含むガスから生成されてもよい。一部の実施形態においては、第2の反応物は、N、NH又はNを含まない。
【0110】
一部の実施形態においては、酸素含有ガスは、水素プラズマの発生に使用されない。一部の実施形態においては、酸素含有ガス(例えば、Oガス)は、水素プラズマステップ中に反応室に流されない。
【0111】
一部の実施形態においては、プラズマなどの反応種の生成に使用されるガスは、本質的に水素からなってもよい。一部の実施形態においては、プラズマなどの反応種の生成に使用されるガスは、本質的に窒素からなってもよい。一部の実施形態においては、プラズマなどの反応種の生成に使用されるガスは、本質的にアルゴン又は別の希ガスからなってもよい。一部の実施形態においては、水素含有プラズマの発生に使用するプラズマパワーは、約10ワット(W)から約2,000W、約50Wから約1000W、約100Wから約1000W、又は約100Wから約500Wでありうる。一部の実施形態においては、水素含有プラズマの発生に使用するプラズマパワーは、約100Wから約300Wでありうる。一部の実施形態においては、プラズマパワーは、幾つかの堆積サイクルにわたって次第に又は徐々に増加又は減少されてもよい。例えば、一部の実施形態においては、水素含有プラズマの発生に使用するプラズマパワーは、第1の数の堆積サイクルでは約100Wとすることができ、第2の数の堆積サイクルでは200Wに増加されてもよく、第3の数の堆積サイクルでは400Wに更に増加されてもよい。
【0112】
SiOCN膜特性
本明細書で述べる実施形態の幾つかによって堆積したSiOCN薄膜は、不純物レベル又は濃度を約3原子%未満、約1原子%未満、約0.5原子%未満又は約0.1原子%未満にしてもよい。幾つかの薄膜においては、水素を除いた全不純物レベルは、約5原子%未満、約2原子%未満、約1原子%未満又は約0.2原子%未満であってもよい。さらに、幾つかの薄膜においては、水素レベルは、約30原子%未満、約20原子%未満、約15原子%未満又は約10原子%未満であってもよい。本明細書では、不純物は、Si、O、C及び/又はN以外の任意の元素と考えられてもよい。
【0113】
一部の実施形態においては、堆積SiOCN膜は、測定可能な量の水素を含まない。しかし、一部の実施形態においては、水素を含むSiOCN膜が堆積される。一部の実施形態においては、堆積SiOCN膜は、約30原子%未満、約20原子%未満、約15原子%未満、約10原子%未満又は約5原子%未満の水素を含む。一部の実施形態においては、薄膜は、アルゴンを含まない。
【0114】
一部の実施形態によれば、SiOCN薄膜は、約50%を超える、約80%を超える、約90%を超える、又は約95%を超えるステップカバレッジ及びパターンローディング効果を示すことができる。ある場合には、ステップカバレッジ及びパターンローディング効果は約98%を超え、ある場合には約100%であってもよい(測定ツール又は方法の精度内で)。一部の実施形態においては、ステップカバレッジ及びパターンローディング効果は、約100%を超え、約110%を超え、約120%を超え、約130%を超え、又は約140%を超え得る。これらの値は、アスペクト比が2以上、一部の実施形態においてはアスペクト比が約3以上、一部の実施形態においてはアスペクト比が約5以上、一部の実施形態においてはアスペクト比が約8以上の形状で得ることができる。
【0115】
一部の実施形態においては、ステップカバレッジは、約50%から約110%、約80%から約110%、約90%から約110%、約95%から110%、約98%から110%、又は約100%から110%であってもよい。一部の実施形態においては、ステップカバレッジは、約50%から約100%、約80%から約100%、約90%から約100%、約95%から100%、又は約98%から100%であってもよい。
【0116】
一部の実施形態においては、膜の成長速度は、約0.01Å/サイクルから約5Å/サイクル、約0.05Å/サイクルから約2Å/サイクルである。一部の実施形態においては、膜の成長速度は、約0.05Å/サイクルを超え、約0.1Å/サイクルを超え、約0.15Å/サイクルを超え、約0.3Å/サイクルを超え、約0.3Å/サイクルを超え、約0.4Å/サイクルを超える。本明細書では「パターンローディング効果」は、この分野におけるその通常の意味で使用される。パターンローディング効果は、不純物含有量、密度、電気的性質及びエッチ速度に関して認めることができるが、別段の記載がない限り、本明細書で使用するパターンローディング効果という用語は、構造が存在する基板の領域における膜厚の変化を指す。すなわち、パターンローディング効果は、オープンフィールドに面した3次元構造体/形状の側壁又は底部上の膜厚に対する、3次元構造体内部の形状の側壁又は底部における膜厚として示されうる。本明細書では、100%のパターンローディング効果(又は比が1)は、形状にかかわらず基板全体の完全に均一な膜特性を表し、すなわち、換言すれば、パターンローディング効果(形状対オープンフィールドにおける厚さなどの特定の膜特性の相違)がない。
【0117】
一部の実施形態においては、SiOCN膜は、約3nmから約50nm、約5nmから約30nm、約5nmから約20nmの厚さで堆積される。これらの厚さは、約100nm未満、約50nm未満、約30nm未満、約20nm未満、及びある場合には約15nm未満の形状サイズ(幅)で得られうる。一部の実施形態によれば、SiOCN膜は3次元構造体上に堆積され、側壁における厚さは10nmをわずかに超えてもよい。一部の実施形態においては、50nmを超えるSiOCN膜が堆積されうる。一部の実施形態においては、100nmを超えるSiOCN膜が堆積されうる。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、約1nmを超える、約2nmを超える、約3nmを超える、約5nmを超える、約10nmを超える厚さで堆積される。一部の実施形態によれば、種々のウェットエッチング速度(WER:wet etch rate)のSiOCN膜が堆積されてもよい。0.5重量%dHFのブランケットWER(nm/min)を用いるときには、SiOCN膜のWER値は、約5未満、約4未満、約2未満又は約1未満であってもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜のWER値は、1よりもかなり小さくてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜のWER値は、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満であってもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜のWER値を約0.05未満、約0.025未満又は約0.02未満であってもよい。
【0118】
熱酸化物のWERに対する0.5重量%dHFのブランケットWER(nm/min)は、約3未満、約2未満、約1未満及び約0.5未満であってもよい。一部の実施形態においては、TOXのWERに対する0.5重量%dHFのブランケットWERは、約0.1未満であってもよい。
【0119】
PEALDプロセスを約100℃未満の温度で実施する一部の実施形態においては、熱酸化物のWERに対する0.5重量%dHFのブランケットWER(nm/min)は、約10未満、約5未満、約3未満及び約2未満又は約1未満であってもよい。
【0120】
さらに、一部の実施形態においては、0.5重量%dHFにおいてフィン、トレンチなどの3次元形状の上面に堆積したSiOCN膜のエッチ速度に対する、フィン、トレンチなどの3次元形状の上に堆積したSiOCN膜の側壁エッチ速度、例えば、WERの比は、約1から約2、約2から約5、約5から約10、約10から約20、又はある場合には約20以上であってもよい。一部の実施形態においては、3次元形状上に堆積したSiOCN膜のWERと3次元形状の上面に堆積したSiOCN膜のWERとの比は、約2以上、約5以上、約10以上、約15以上又は約20以上であってもよい。
【0121】
一部の実施形態においては、3次元形状のほぼ垂直な表面、例えば、側壁表面の上又は中に堆積したSiOCN膜のWERと、3次元形状のほぼ水平な表面、例えば、上面の上又は中に堆積したSiOCN膜のWERとの比は、約1から約0.5、約0.5から約0.2、約0.2から約0.1、約0.1から約0.05、又はある場合には約0.05未満であってもよい。一部の実施形態においては、3次元形状のほぼ垂直な表面に堆積したSiOCN膜のWERと、3次元形状のほぼ水平な表面に堆積したSiOCN膜のWERとの比は、約0.5以下、約0.2以下、約0.1以下又は約0.05以下であってもよい。
【0122】
一部の実施形態においては、本明細書に記載のプロセスによって堆積したSiOCNのWERとTOXのWERとの比は、約5から約10、約2から約5、約1から約2、約0.5から約1、又は約0.1から約0.5であってもよい。一部の実施形態においては、本明細書に記載のプロセスによって堆積したSiOCNのWERと、TOXのWERとの比は、約0.1以上、約0.5以上、約1以上、約2以上、約5以上又は約10以上であってもよい。
【0123】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の1つ以上のプロセスによって形成されたSiOCNは、有利には、ほぼ垂直な領域のWERとほぼ水平な領域のWERの比を、例えば0.5重量%dHFにおいて、約1にすることができる。例えば、基板表面の3次元構造体のほぼ垂直な表面(例えば、側壁表面)に形成されたSiOCN薄膜のウェットエッチング速度と、ほぼ水平な表面(例えば、上面)に形成されたSiOCN薄膜のウェットエッチング速度との比は、同じ又はほぼ同じにすることができる。一部の実施形態においては、比は、約4から約0.5、約2から約0.75、約1.25から約0.8、又は約1.1から約0.9でありうる。これらの比は、アスペクト比が約2以上、約3以上、約5以上、更には約8以上の形状で得られうる。
【0124】
一部の実施形態においては、本開示によるSiOCN膜のエッチングの量は、0.5%HF浸漬プロセスにおいて熱SiO(TOX)で認められたエッチングの量の約1分の1、2分の1、5分の1、10分の1以下にしてもよい(例えば、約2から約3nmのTOXを除去するプロセスにおいては、本明細書に開示した方法によって堆積したときに、約1分の1、2分の1、5分の1、10分の1以下のSiOCNを除去する)。
【0125】
一部の実施形態においては、約2nm未満のSiOCN膜は、エッチング時間5分の0.5%HF浸漬プロセスにおいて除去されてもよい。一部の実施形態においては、約2nm未満のSiOCN膜は、エッチング時間60分の0.5%HF浸漬プロセスにおいて除去されてもよい。
【0126】
本明細書に記載のすべての原子パーセンテージ(すなわち、原子%)値は、簡潔にするために、また、水素を定量的に正確に分析することが困難であるので、別段の記載がない限り、水素を除外する。しかし、一部の実施形態においては、水素を妥当な精度で分析できる場合、膜の水素含有量は、約20原子%未満、約10原子%未満又は約5原子%未満である。一部の実施形態においては、堆積SiOCN薄膜は、原子基準(原子%)で最高約70%の酸素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で約10%から約70%、約15%から約50%、又は約20%から約40%の酸素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で少なくとも約20%、約40%又は約50%の酸素を含んでもよい。
【0127】
一部の実施形態においては、堆積SiOCN薄膜は、原子基準(原子%)で最高約40%の炭素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で約0.5%から約40%、約1%から約30%、又は約5%から約20%の炭素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で少なくとも約1%、約10%又は約20%の炭素を含んでもよい。
【0128】
一部の実施形態においては、堆積SiOCN薄膜は、原子基準(原子%)で最高約30%の窒素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で約0.51%から約30%、約1%から約20%、又は約3%から約15%の窒素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で少なくとも約1%、約5%又は約10%の窒素を含んでもよい。
【0129】
一部の実施形態においては、堆積SiOCN薄膜は、原子基準(原子%)で最高約50%のケイ素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で約10%から約50%、約15%から約40%、又は約20%から約35%のケイ素を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、原子基準で少なくとも約15%、約20%、約25%又は約30%のケイ素を含んでもよい。
【0130】
一部の実施形態においては、堆積SiOCN薄膜は、約30原子%から約40原子%のケイ素、約25原子%から約40原子%の酸素、約10原子%から約20原子%の炭素、及び約10原子%の窒素を含んでもよい。一部の実施形態においては、堆積SiOCN膜は、約33%のケイ素及び約67%の酸素を含んでもよい。上述したように、一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-C結合、Si-O結合及び/又はSi-N結合を含んでもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-C結合及びSi-O結合を含んでもよく、Si-N結合を含まなくてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-N結合及びSi-O結合を含むことができ、Si-C結合を含まなくてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-N結合及びSi-C結合を含んでもよく、Si-O結合を含まなくてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、Si-C結合よりも多くのSi-O結合を含んでもよく、例えば、Si-O結合とSi-C結合の比は、約1:1から約10:1としてもよい。一部の実施形態においては、堆積SiOCN膜は、SiN、SiO、SiC、SiCN、SiON及び/又はSiOCのうち1以上を含んでもよい。
【0131】
一部の実施形態においては、SiOCN膜はlow-k膜ではなく、例えば、SiOCN膜は多孔質膜ではない。一部の実施形態においては、SiOCNは連続膜である。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値が約10未満である。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値が約7未満である。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値が約3.9から約10である。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値が約5.5未満、約5.0未満、約4.8未満、約4.6未満である。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値が約3.8から約7、約3.8から約5.5、約3.8から約5.0、約4.0から約4.8、約4.1から約4.7である。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値がどのlow-k膜のk値よりも高い。一部の実施形態においては、SiOCN膜はk値が純粋なSiOよりも高い。
【0132】
一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、積層又はナノ積層構造を含まない。
【0133】
一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、自己組織化単分子膜(SAM:self-assembled monolayer)ではない。一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、互いに結合していない別々の個体分子からならない。一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、実質的に結合又は連結した材料を含む。一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、機能層ではなく、アミノ官能性を持たず、及び/又は機能表面として使用されない。一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、-NH基で終端されない。一部の実施形態においては、本開示に係る堆積したSiOCN膜は、多量の-NH基を含まない。
【0134】
集積化
一部の実施形態においては、本明細書に記載のSiOCN薄膜堆積プロセスを使用して、例えば自己整合パターニングプロセスなどのマルチパターニングプロセスに使用される、SiOCN薄膜が形成されてもよい。一部の実施形態においては、SiOCN薄膜は、有機材料、例えば、フォトレジストを含むパターン形成有機材料を含む基板上に、マルチパターニングプロセスの一部として形成又は堆積されてもよい。一部の実施形態においては、本明細書に記載のSiOCN堆積プロセスは、スペーサデファインドダブルパターニング(SDDP)プロセス又はスペーサデファインドクアドラプルパターニング(SDQP)プロセスの一部として使用されてもよい。
【0135】
例として、直接SDDPプロセスにおいては、SiOCNは、本明細書に記載された、一部の実施形態によるプラズマALDプロセスによって、3次元レジスト形状を含むパターン形成フォトレジスト層などのパターン形成レジスト層を含む基板上の反応空間においてコンフォーマルに(conformally)堆積する。本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積したSiOCN膜は、レジスト形状との平滑な境界を有し、レジスト形状をさほど損傷、劣化又は変形させない。次いで、コンフォーマル及び平滑なSiOCN膜は、一方向にエッチングされて、SiOCNがレジスト形状及び基板の水平表面から除去され、レジスト形状の側壁に堆積される、又は側壁から延在するSiOCNのみを残すことができる。次いで、レジストは、エッチングプロセスによって除去されて、SiOCNスペーサを残すことができる。
【0136】
一部の実施形態においては、基板は、熱SiO層をケイ素基板上に含む。一部の実施形態においては、基板は、ケイ素基板上のSi、SiO、SiN層などのシリコンベース層を含む。一部の実施形態においては、基板は犠牲層を含む。一部の実施形態においては、基板は、ポリマー又はフォトレジスト材料などのレジスト材料を含む。一部の実施形態においては、基板は、3次元隆起形状などの少なくとも1つの形状を含む。実施形態においては、形状は、ほぼ垂直の側壁を含む高架構造を含む。本発明の一部の実施形態においては、形状は、パターン形成フォトレジスト膜の形状を含む。
【0137】
更なる例として、直接SDQPプロセスにおいては、第1のSiOCN膜は、Nから生成した反応種を含む第2の反応物を含む一部の実施形態によるPEALDプロセスによって、3次元レジスト形状を含むパターン形成フォトレジスト層などのパターン形成レジスト層を含む基板上の反応空間においてコンフォーマルに堆積する。しかし、一部の実施形態においては、SiOCN膜は、窒素含有ガス及び/又は希ガスなどの不活性ガスからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物を含む第1の数の堆積サイクルと、第2の反応物として水素プラズマを含む第2の数の堆積サイクルとを含むプロセスによって堆積されてもよい。例えば、SiOCN膜は、第2の反応物として窒素プラズマを含む第1の数の堆積サイクルと第2の反応物として水素プラズマを含む第2の数の堆積サイクルとを含むプロセスによって堆積されてもよい。
【0138】
本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積した第1のSiOCN膜は、レジスト形状との平滑な境界を有し、レジスト形状をさほど損傷、劣化又は変形させない。次いで、コンフォーマル及び平滑な第1のSiOCN膜は、一方向にエッチングされ、SiOCNがレジスト形状及び基板の水平表面から除去され、レジスト形状の側壁に堆積する、又は側壁から延在するSiOCNのみを残すことができる。次いで、レジストは、エッチングプロセスによって除去され、第1のSiOCN形状を残すことができる。
【0139】
この第1のSiOCN形状は、化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polish)に供して、ほぼ平坦な上面を形成することができる。第2のSiOCN膜は、Hから生成した反応種を含む第2の反応物を含む一部の実施形態によるPEALDプロセスによって、第1のSiOCN形状を含む基板上の反応空間においてコンフォーマルに堆積する。次いで、コンフォーマル及び平滑な第2のSiOCN膜は、一方向にエッチングされ、SiOCNが第1のSiOCN形状及び基板の水平表面から除去され、第1のSiOCN形状の側壁に堆積する、又は側壁から延在するSiOCNのみを残すことができる。次いで、第1のSiOCN膜が除去され、SiOCNスペーサを残すことができる。
【0140】
図6に示すように、3次元レジスト形状を含むパターン形成フォトレジスト層などのパターン形成有機層を含む基板上の反応空間において、本明細書に記載された、一部の実施形態によるプラズマALDプロセスによってコンフォーマルに堆積したSiOCN膜601は、酸素含有プラズマを含むほぼ類似したPEALDプロセスによって堆積したSiOCN膜602に比べて、レジスト形状をさほど損傷、劣化又は変形させない場合がある。一部の実施形態においては、SiOCN膜は、3次元レジスト形状などの有機材料の上に、3次元レジスト形状の構造や形を実質的に変えずに堆積されてもよい。例えば、SiOCN膜は、一部の実施形態に従って堆積されてもよく、それが堆積した3次元レジスト形状の端部をさほど丸くしない場合がある。
【0141】
[実施例1]
例示的なSiOCN薄膜を本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積させた。堆積温度は300℃であり、APTMSをケイ素前駆体として使用した。200WのRFパワーを第2の反応物に印加することによってプラズマを発生させた。HとNとの混合物を、Arキャリアガスと一緒に供給した第2の反応物として使用した。図2に、本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積されたSiOCN膜の1サイクル当たりの成長(Å/サイクル)、屈折率、及びTOXと比べたWERRを第2の反応物ガス比の関数として示す。第2の反応物ガス比は、図2のX軸に沿って示され、第2の反応物におけるHとNの両方に対するNの比(N:(H+N))である。
【0142】
図2を見て分かるように、SiOCN膜の成長速度は、第2の反応物におけるN:(H+N)比が増加すると増加した。堆積膜の屈折率は、第2の反応物におけるN:(H+N)比が増加すると減少した。堆積SiOCN膜のWERとTOXのWERとの比(WERR/TOX)は、第2の反応物におけるN:(H+N)比が増加すると増加することが認められた。意義深いことに、N:(H+N)比50%及び0%(第2の反応物中にNがない)で堆積したSiOCN膜のWERR/TOXは、1未満であることが認められた。いかなる理論に拘束されるものではないが、第2の反応物中にHが存在すると、堆積SiOCN薄膜における液体化学薬品耐性(wet chemical resistance)が高くなると考えられる。
【0143】
図3に、本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積されたSiOCN薄膜とTOXとの両方のエッチング量対エッチング時間を示す。エッチングプロセスは、0.5%HF浸漬プロセスであった。図3を見て分かるように、堆積SiOCNは、TOXよりもかなり大きい耐エッチ性を示す。0.5%HFに60分間浸漬暴露後、2nm未満のSiOCN膜を除去した。
【0144】
本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積されたSiOCN膜の組成をX線光電子分光法(XPS)によって分析した。堆積温度は300℃であり、APTMSをケイ素前駆体として使用した。結果を以下の表1に示す。2つの異なるSi結合エネルギーが特定され、堆積膜におけるSi-C及びSiO結合の存在を示した。
【0145】
【表1】
【0146】
さらに、図4に、本明細書に記載のPEALDプロセスによって堆積させた例示的なSiOCN膜について、膜組成を深さの関数として示す。
【0147】
[実施例2]
図5A及び5Bは、それぞれ、dHFウェットエッチング溶液に2分間浸漬暴露前後のトレンチ構造上に形成されたSiOCN膜の断面図を示す走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscopy)画像である。図5A及び5BのSiOCN膜は、本明細書に記載のPEALDプロセスによって形成された。堆積温度は300℃であり、APTMSをケイ素前駆体として使用した。400WのRFパワーをHを含む第2の反応物に印加することによってプラズマを発生させた。プラズマパルス時間は8秒であった。図5C及び5Dは、それぞれ、dHFウェットエッチング溶液に2分間浸漬暴露前後のトレンチ構造上に形成されたSiOCN膜の断面図を示す走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscopy)画像である。図5C及び5DのSiOCN膜は、本明細書に記載のPEALDプロセスによって形成された。堆積温度は300℃であり、APTMSをケイ素前駆体として使用した。400WのRFパワーをH及びNを含む第2の反応物に印加することによってプラズマを発生させた。プラズマパルス時間は8秒であった。
【0148】
図5A及び5Cに示すように、Nを含まない第2の反応物を用いたPEALDプロセスによって形成されたSiOCN膜は、H及びNを含む第2の反応物を用いたPEALDプロセスによって形成されたSiOCN膜に比べて、ウェットエッチング浸漬前のコンフォーマリティ(conformality)が改善された。Nを含まない第2の反応物を用いて形成されたSiOCN膜はステップカバレッジが114%から136%であり、H及びNを含む第2の反応物を用いて形成されたSiOCN膜はステップカバレッジが54%であった。図5B及び5Dに示すように、Nを含まない第2の反応物を用いて形成されたSiOCN膜のコンフォーマリティは、ウェットエッチング浸漬後も維持されたが、H及びNを含む第2の反応物を用いて形成されたSiOCN膜のコンフォーマリティは減少した。
【0149】
さらに、Nを含まない第2の反応物を用いて形成されたSiOCN膜は、膜の水平領域のTOXに対するウェットエッチング速度比(WERR/TOX)が0.2であり、膜の垂直領域(側壁表面)のWERR/TOXが1.0であった。H及びNを含む第2の反応物を用いて形成されたSiOCN膜は、トレンチ構造の上に堆積した膜の水平領域のTOXに対するウェットエッチング速度比(WERR/TOX)が2.0であり、トレンチ構造の底部に堆積した膜の領域のWERR/TOXが1.4であり、膜の垂直領域(側壁表面)のWERR/TOXが1.6であった。
【0150】
[実施例3]
例示的なSiOCN膜を本明細書に記載の方法によって堆積させた。ケイ素前駆体としてのAPTMSとNからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物とを含む複数の堆積サイクルと、所与の数の堆積サイクルの後に繰り返される水素プラズマサイクルとを含む、一部の実施形態によるPEALDプロセスによって、SiOCN膜を堆積させた。水素プラズマサイクルは、基板を、Hからプラズマによって生成された反応種と約4秒間接触するステップを含んだ。
【0151】
3回の堆積サイクルごと、5回の堆積サイクルごと、及び10回の堆積サイクルごとに水素プラズマサイクルを繰り返すステップを含む上記方法によって、試料SiOCN膜を調製した。水素プラズマサイクルを含むと、水素プラズマサイクルを含まない方法によって堆積した膜に比べて、全膜厚が約20%から40%減少することが判明した。試料SiOCN膜の屈折率を測定し、水素プラズマサイクルを含まない方法によって堆積した膜に比べて、約0.1から0.2低いことが判明した。1サイクル当たりの成長(GPC)は、水素プラズマサイクル間の堆積サイクル数の増加に伴いほぼ直線的に増加することも判明した。
【0152】
試料SiOCN膜は、Hからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物を含み、かつ水素プラズマサイクルを含まないことを除いて、同様の堆積方法によって堆積した試料SiOCN膜よりも厚いことも判明した。
【0153】
別の試料SiOCN膜を上述したように調製した。ただし、水素プラズマサイクルの接触時間は20秒であった。この試料は、水素プラズマ接触時間が4秒である方法によって調製された試料膜よりも屈折率が低く、約1.45であることが判明した。
【0154】
[実施例4]
表面にポリイミド膜を含む基板上に試料SiOCN膜を堆積させた。第1の窒素含有プラズマ堆積ステップ及び第2の水素含有プラズマ堆積ステップを含む本明細書に記載のPEALD法によって試料SiOCN膜を堆積させた。第1の窒素含有プラズマ堆積ステップは、ケイ素前駆体としてのAPTMSとNからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物とを使用して、第1のSiOCN層を形成した。第2の水素含有プラズマ堆積ステップは、第2のSiOCN層を形成するために、ケイ素前駆体としてのAPTMSとHからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物とを含んだ。
【0155】
試料SiOCN膜の最終厚さを、熱酸化ケイ素の直上の第1及び第2のSiOCN層の別個の試料堆積物の累積厚さに基づく計算厚さと比較した。試料SiOCN膜の測定厚さは、第1の窒素含有プラズマ堆積ステップサイクル数の増加に伴い計算厚さに近づくことが判明した。100回の第1の窒素含有プラズマ堆積ステップサイクルによって堆積したSiOCN試料膜は、計算膜厚の約80%であることが判明したが、300回の第1の窒素含有プラズマ堆積ステップサイクルによって堆積したSiOCN試料膜は、ほぼ計算膜厚であることが判明した。計算膜厚と試料膜厚の大きな相違は、50回以下の第1の窒素含有プラズマ堆積ステップサイクルによって堆積したSiOCN試料膜で認められ、試料膜の厚さは計算膜厚の約25%であった。
【0156】
いかなる理論に拘束されるものではないが、50サイクル以下の窒素含有プラズマ堆積ステップでは、第1のSiOCN層が薄すぎて、有機基板表面を第2の水素含有プラズマ堆積ステップに起因する劣化から効果的に保護できず、有機表面材料の損失が測定膜厚を減少させたと考えられる。
【0157】
50サイクルの第1の窒素含有プラズマ堆積ステップと、プラズマパワー100Wで100サイクル、続いてプラズマパワー200Wで100サイクル、更にプラズマパワー400Wで300サイクルの第2の水素含有プラズマ堆積ステップとを含む方法によって別の試料SiOCN膜を調製した。第2の水素含有プラズマ堆積ステップのプラズマパワーを徐々に増加させることによって、比較的薄い第1のSiOCN層でも、有機基板表面を第2の水素含有プラズマ堆積ステップに起因する劣化から十分に保護することが判明した。
【0158】
[実施例5]
図7に、ケイ素前駆体としてのAPTMSと反応室に100sccmで流入するHからプラズマによって生成された反応種を含む第2の反応物とを利用した本明細書に記載のPEALDプロセスによって、3次元トレンチ構造を含む基板上に堆積された試料SiOCN膜701を示す。堆積中の反応室の圧力は4Torrであり、温度は225℃であり、200WのRFパワーを第2の反応物に印加することによって第2の反応物を生成させた。各堆積サイクルにおいてケイ素前駆体を反応室に4秒間パルスし、4秒間パージし、一方、第2の反応物を反応室に4秒間パルスし、0.5秒間パージした。
【0159】
次いで、試料SiOCN膜を0.5重量%dHFに2分間暴露した。エッチングされた試料SiOCN膜702は、基板の垂直表面に堆積したSiOCN膜のウェットエッチング速度と基板の水平表面に堆積したSiOCN膜のウェットエッチング速度との比が約21であった。
【0160】
本明細書では「約」という用語は、所与の値の15%以内、10%以内、5%以内又は1%以内である値を指し得る。
【0161】
「膜」及び「薄膜」という用語を本明細書では簡潔にするために使用する。「膜」及び「薄膜」は、本明細書に開示した方法によって堆積された任意の連続又は非連続構造体及び材料を意味するものとする。例えば、「膜」及び「薄膜」は、2D材料、ナノロッド、ナノチューブ、又はナノ粒子、更には単一の部分的若しくは完全な分子層、又は部分的若しくは完全な原子層、又は原子及び/又は分子のクラスタを含み得る。「膜」及び「薄膜」は、ピンホールを含みながらも少なくとも部分的に連続である材料又は層を含み得る。
【0162】
多数の多様な改変を本発明の精神から逸脱することなく成し得ることを当業者は理解されたい。記述した形状、構造、特性及び前駆体は、任意の適切な様式で組み合わせることができる。したがって、本発明の形態は、単なる説明のためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが明白に理解されるはずである。すべての改変及び変更が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間において基板上にケイ素、酸素及び炭素を含む薄膜を形成するプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)方法であって、
前記PEALD方法は
前記基板の表面を気相ケイ素前駆体に接触させ、それにより前記基板の表面上にケイ素種を吸着させるステップと、
吸着されたケイ素種を、酸素を含まないガスから形成されたプラズマによって生成された少なくとも1つの反応種と接触するステップと
含む少なくとも1つの堆積サイクルを含み、
前記ケイ素前駆体は、ケイ素原子、前記ケイ素原子に結合したアルコキシド基、及びアミノ基を含み、
前記基板は、ガスから形成された酸素含有反応種とは接触されない、
方法。
【請求項2】
前記PEALD方法は、さらに、所望の厚さのケイ素、酸素及び炭素を含む薄膜が形成されるまで前記堆積サイクルを繰り返すステップを含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記ケイ素前駆体は、炭素を介してケイ素に結合する炭素鎖を含む、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記炭素鎖は、炭素及び水素以外の原子を含む、請求項3に記載の方法
【請求項5】
前記アミノ基は、炭素を介して前記ケイ素原子に結合する、請求項1に記載の方法
【請求項6】
前記薄膜は、最高10原子%の窒素を含む、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記薄膜は、少なくとも20原子%の酸素を含む、請求項1に記載の方法
【請求項8】
前記薄膜は、少なくとも5原子%の炭素を含む、請求項1に記載の方法
【請求項9】
前記薄膜のウェットエッチング速度と熱酸化ケイ素のウェットエッチング速度との比は、5未満である、請求項1に記載の方法
【請求項10】
前記薄膜は、三次元構造体上に堆積される、請求項1に記載の方法
【請求項11】
前記三次元構造体の上面に形成された前記薄膜のウェットエッチング速度と前記三次元構造体の側壁表面に形成された前記薄膜のウェットエッチング速度とのウェットエッチング速度比は、希釈HF中で1:1である、請求項10に記載の方法
【請求項12】
前記ケイ素前駆体は、ハロゲンを含まない、請求項1に記載の方法
【請求項13】
前記基板は、金属、金属窒化物、金属炭化物、又は金属カルコゲニドを含む、請求項1に記載の方法
【請求項14】
前記基板は、有機材料を含む、請求項1に記載の方法
【請求項15】
前記反応種は、水素プラズマ、水素原子、水素ラジカル、又は水素イオンを含む、請求項1に記載の方法
【請求項16】
前記反応種は、さらに、窒素プラズマ、窒素原子、窒素ラジカル、又は窒素イオンを含む、請求項15に記載の方法
【請求項17】
前記反応種は、希ガスを含む第2の反応物から生成される、請求項1に記載の方法
【請求項18】
前記反応種は、水素を含む第2の反応物からプラズマによって生成される、請求項1に記載の方法
【請求項19】
前記第2の反応物は、H を含む、請求項18に記載の方法
【請求項20】
前記堆積サイクルは、00℃未満のプロセス温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】