(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164836
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】合成構造体
(51)【国際特許分類】
E21D 11/08 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E21D11/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138214
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2019094984の分割
【原出願日】2019-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆一
(72)【発明者】
【氏名】峯▲崎▼ 晃洋
(57)【要約】
【課題】コンクリートに伝わるずれせん断応力に対して、別個にずれ止め部材を設置することなく低コストでずれせん断力に抵抗する機能を発揮できる。
【解決手段】セグメント1は略円弧版形状に湾曲した合成セグメントであり、コンクリートC内で内周面10と外周面11に対向して一対の主鋼材14及び主鋼材15が配設されている。一対の主鋼材14及び主鋼材15は所定間隔に配列された複数の連結部材16で連結されている。連結部材16は、連結部材16の長手方向に直交する断面視で幅広の長辺の面がコンクリートを伝達する応力を受ける最も大きな受圧面16aであり、受圧面16aを主鋼材14,15の長手方向に直交する方向に位置させる。セグメント1にかかる土圧等の荷重は応力としてコンクリートCを伝達し、連結部材16の受圧面16aで受け止めてずれせん断応力に抵抗する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメントを形成するコンクリートと、
前記コンクリート内で前記セグメントの内周面及び外周面にそれぞれ対向して配置された第一の主鋼材及び第二の主鋼材と、
前記第一の主鋼材及び第二の主鋼材を連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記連結部材の長手方向に直交する断面視で幅広の長辺の面が前記コンクリートを伝達する応力を受ける最も大きな受圧面であり、当該受圧面が前記主鋼材の長手方向に交差する方向に位置する、
ことを特徴とする合成構造体。
【請求項2】
前記連結部材は、前記主鋼材の長手方向に直交する方向に前記受圧面が位置している請求項1に記載された合成構造体。
【請求項3】
前記連結部材は、前記主鋼材の長手方向に鋭角で交差する方向に前記受圧面が位置している請求項1に記載された合成構造体。
【請求項4】
少なくとも一部の前記連結部材の受圧面は他の前記連結部材の受圧面と異なる角度に位置している請求項1に記載された合成構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート内に対向して配設した鋼材を連結部材で連結した合成構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばシールドトンネル等の筒状構造物の構築に用いられるセグメントとして、SRC構造(鉄骨鉄筋構造)の合成セグメントが知られている。このセグメント100は、
図10及び
図11に示すように、コンクリート101内の外周面と内周面に外周側主鋼材102と内周側主鋼材103が配設され、これらの主鋼材102、103は複数の束材104で所定間隔に連結されている。
この束材104は外周側主鋼材102と内周側主鋼材103を連結している。束材104は長板状であり、その長辺の面を各主鋼材102、103の長手方向に沿って溶接等で連結している。
【0003】
このセグメント100をリング状に連結して筒状構造物に構築したシールドトンネル等では、リング状の各セグメント100に地盤の土圧等の荷重が外側から径方向内側に印加されるため、
図12(a)に示すようにコンクリート101を伝わる応力Fが応力Fに直交する束材104の短辺の面にかかっていた。しかし、この応力Fが過大であると、コンクリート101と束材104との接触面にせん断力が働き、コンクリートと鋼材とが分離する等して亀裂や割裂といった破壊が生じるおそれがあった(
図12(b)参照)。
【0004】
このような問題を改善する技術として、例えば特許文献1に記載されたセグメントが提案されている。このセグメントでは、外周側主鋼材と内周側主鋼材の内面に断面台形状や三角形状のジベルを配列している。セグメントに土圧等の荷重が作用してコンクリートと鋼材の間にずれせん断力が発生した場合、これらのジベルによってずれ止めに抵抗していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、セグメント内の主鋼材の内面に断面台形状や三角形状のジベル等のずれ止め手段を形成するのは製造工程が複雑になるため手間がかかり、製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、コンクリートに伝わるずれせん断力に対して別個のずれ止め部材を設置することなく抵抗できる合成構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明に係る合成構造体は、セグメントを形成するコンクリートと、コンクリート内でセグメントの内周面と外周面に対向して配置された第一の主鋼材及び第二の主鋼材と、第一の主鋼材及び第二の主鋼材を連結すると共に、長手方向に直交する断面を形成する複数の面のうちでコンクリートを伝達する応力を受ける最も大きな受圧面が主鋼材の長手方向に交差する方向に位置する連結部材と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、セグメントの外周側から荷重がかかって応力がコンクリートに伝達されると、連結部材のコンクリートを伝達する応力を受ける最も大きな受圧面で応力を受けて、ずれせん断力に抵抗できるためコンクリートに亀裂や割裂等が生じることを抑制できる。しかも、連結部材だけでずれせん断力に抵抗できるためジベル等の別個のずれ止め部材を設置する必要がなく製造コストが低廉になる。
【0009】
また、連結部材は、主鋼材の長手方向に直交する方向に受圧面が位置していることが好ましい。
連結部材の受圧面を主鋼材の長手方向に直交する方向に位置させることで、コンクリートを伝達するずれせん断力に対する抵抗が最も大きくなる。
【0010】
また、連結部材は、主鋼材の長手方向に鋭角で交差する方向に受圧面が位置していてもよい。
連結部材の受圧面を主鋼材の長手方向に鋭角で交差する方向に位置させることで、コンクリートを伝達するずれせん断力に有効に抵抗することができて、コンクリートに亀裂等が生じることを防止できる。
【0011】
また、少なくとも一部の連結部材の受圧面は他の連結部材の受圧面と異なる角度に位置していてもよい。
一部の連結部材の受圧面の角度を他の連結部材の受圧面と異なる角度に位置させることで、コンクリートを伝達するずれせん断力に有効に抵抗することができて、コンクリートに亀裂等が生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による合成構造体によれば、連結部材の長辺を主鋼材の長手方向に交差する方向に設置したため、コンクリートに伝達される応力を受ける受圧面でずれせん断力を受けることができる。しかも、別個にずれ止め部材を設置する必要がなく製造コストが低廉である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態によるセグメントを一部破断して示す要部斜視図である。
【
図2】
図1に示すセグメントのA-A線縦断面図である。
【
図3】
図1に示すセグメントのB-B線断面図である。
【
図4】実施形態によるセグメントを筒状構造物に構築したシールドトンネルの部分断面図である。
【
図5】
図4に示すセグメントの連結部材にかかる応力を示す説明図である。
【
図6】第二実施形態によるセグメントの縦断面図である。
【
図7】第一変形例によるセグメントの主鋼材とコンクリートの断面図である。
【
図8】第二変形例によるセグメントの主鋼材とコンクリートの断面図である。
【
図9】(a)、(b)、(c)、(d)は連結部材の受圧面を示す長手方向に直交する断面図である。
【
図12】
図11のC-C線断面を示すもので、(a)はコンクリートに伝わる応力と束材との関係を示す図、(b)は応力によってコンクリートに割裂が生じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態や変形例による合成構造体について
図1乃至
図8に基づいて説明する。
図1乃至
図6は、本発明の第一実施形態によるセグメント1を示すものである。
図1乃至
図3に示すセグメント1は、例えばシールド工法によって掘削されたトンネルの内周壁に沿って設置されるトンネル覆工体(筒状壁体)を形成するものであり、コンクリート3内に鋼材2を配置させて略円弧板状に湾曲形成されたSRC(Steel Reinforced Concrete)構造の合成セグメントである。
【0015】
図1乃至
図3に示すように、セグメント1は略長方形板状のものを長辺に沿って円弧状に湾曲して形成したものである。セグメント1は短辺側(トンネルの軸方向に沿う辺側)の側面(継手面)である一対の接合端面5と長辺側(トンネルの周方向に沿う辺側)の側面である一対の主桁面6とを有している。セグメント1の接合端面5と主桁面6で囲われた領域の内周側を内周面10とし、外周側を外周面11とし、セグメント1の外面はコンクリートCで覆われている。
各接合端面5には、セグメント1をトンネル周方向にリング状に連結するためのセグメント間継手7が設けられている。各セグメント間継手7は雄型継手部(図示省略)と雌型継手部7aとをそれぞれ有している。各主桁面6には、セグメント1をトンネル軸方向に連結するためのリング間継手8が設けられている。各リング間継手8は雄型継手部8aと雌型継手部(図示省略)とをそれぞれ有している。
【0016】
図1から
図3に示すように、鋼材2は、トンネル周方向に沿って略円弧状に湾曲されるとともに円弧板状をなすセグメント1の内周面10側及び外周面11側にそれぞれ配置される主鋼材14及び主鋼材15と、一対の主鋼材14、15同士を連結する連結部材16とを備えている。主鋼材14、15は、例えばスチールなどの材料からなり、所定幅で帯状に延びる板状でその長手方向に沿って円弧状に湾曲して形成されている。
一方の主鋼材14はトンネルの内空側に寄った内周面10側に、他方の主鋼材15は地山側に寄った外周面11側に配置され、セグメント1の厚み方向に対向して配置されている。一対の主鋼材14、15の組み合わせは、トンネル軸方向に所定間隔を開けて略平行に複数、例えば3組設けられている。
【0017】
連結部材16は束材であり、例えば長手方向に直交する断面視で長方形状をなす平板形状を有している。連結部材16は断面視で幅広の長辺の面16aと幅の狭い短辺の面16bとを有している。長辺の面16aは後述するずれせん断応力Fを受ける最も面積の大きい面であり、以下の説明では受圧面16aという。連結部材16は、受圧面16aを主鋼材14、15の長手方向に略直交する向きに設置して、両端部が一対の主鋼材14、15に溶接等で連結されている。換言すると、連結部材16は、受圧面16aを主鋼材14、15の長手方向に沿って配設して連結した従来の束材に対して、向きを90度回転させて配設している。
本実施形態では、連結部材16の受圧面16aの幅は主鋼材14、15の幅より短く形成され、主鋼材14,15の幅方向の中央に受圧面16aを位置させて連結されている。しかし、連結部材16は受圧面16aを主鋼材14、15の幅方向のいずれかの側面に当接させて連結してもよいし、受圧面16aの幅を主鋼材14、15の幅と同一長さ以上に形成してもよい。
【0018】
連結部材16は主鋼材14、15の長手方向に沿って所定間隔で複数枚、例えば4枚配列されている。両端の連結部材16は主鋼材14、15の両端より内側に引っ込んで連結されているが、両端に連結されていてもよい。
図示していないが、複数本並んだ各一対の主鋼材14,15及びその連結部材16は例えば主筋と配筋を格子状に組んだ格子鉄筋等によって互いに連結されていてもよい。これにより、コンクリートCと主鋼材14,15との一体性が向上し、より高強度になる。
【0019】
本実施形態によるセグメント1は上述した構成を有しており、次にセグメント1の作用について図面に基づいて説明する。
図4に示すように、セグメント1がトンネル覆工体としてトンネル内に設置された状態において、例えば地山の土圧などの荷重が作用してセグメント1に曲げ応力が発生するため、トンネル周方向に沿った方向に過大な力が働くことがある。この場合、リング状のセグメント1の径方向内側に荷重が作用すると、各セグメント1のコンクリートCには
図5に示すように一対の主鋼材14、15の長手方向に応力Fが働く。このコンクリートCを伝わる応力Fは連結部材16の受圧面16aで受け止めるため、連結部材16の受圧面積が大きく応力Fによるずれせん断力に抵抗することができる。そのため、コンクリートCに亀裂や割裂等が働くことを防止できる。
【0020】
上述したように本実施形態によるセグメント1によれば、コンクリートC内で一対の主鋼材14、15を連結する連結部材16が断面長方形の長辺の面である受圧面16aを主鋼材14、15の長手方向に略直交する向きに配設したため、受圧面積が大きくせん断力に抵抗できるという効果がある。
受圧面16aによって連結部材25によるずれせん断応力Fを受ける面積を増大できて曲げ剛性を高くできるため、コンクリートCを伝わるずれせん断応力Fを受け止めて耐ずれ性を向上できて、コンクリートCに割裂や亀裂等の発生を抑制できる。しかも、従来のセグメントのように、ジベル等のずれ止め部材を設置することなくずれせん断応力Fに抵抗するため、セグメント1を低コストで製造できる。
【0021】
以上、本発明の第一実施形態によるセグメント1について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例や他の実施形態等について説明するが、上述の第一実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0022】
次に、本発明の第二実施形態によるコンクリート平板20について
図6に示す断面図により説明する。
本第二実施形態によるコンクリート平板20では、第一実施形態によるセグメント1に代えて、コンクリート構造体として橋梁、道路等に採用されると共に工場等で製造されるコンクリート平板20について説明する。
図6(a)はコンクリート平板の
図2に対応する主鋼材23、24の長手方向に沿う断面図、(b)は同図(a)に直交する方向の断面図である。
図6(a)及び(b)に示すように、本第二実施形態によるコンクリート平板20は、第一実施形態によるセグメント1と相違して湾曲していない平面視略長方形の箱形状をなしている。コンクリート平板20における長辺方向の両端面を接合端面21とし、短辺方向の両端面を主桁面22とし、図示しない継手部によって隣接するコンクリート平板20に接合される構成となっている。接合端面21と主桁面22で囲われたコンクリート平板20の下側の面を内周面10、上側の面を外周面11とする。
【0023】
このコンクリート平板20は、コンクリートC内には短辺に沿って延びる上下方向に対向した一対の主鋼材23、24が設けられている。主鋼材23、24同士は、第一実施形態と同様に、その長手方向に沿って所定間隔で設けた複数の連結部材25によって連結されている。しかも、連結部材25は断面略長方形板状の束材であり、その長辺の面が主鋼材23、24の長手方向に略直交する方向に配設された受圧面25aであり、短辺の面25bが主鋼材23、24の長手方向に順次配設されている。
また、コンクリート平板20では、連結部材25で連結された一対の主鋼材23、24の組み合わせが、主桁面22に沿って所定間隔で4組配列されている。
【0024】
第二実施形態によるコンクリート平板20は、例えば設置された床面の上部を車両が走行したときに荷重が作用し、内部の主鋼材23、24の長手方向(つまり、
図6(a)に示すコンクリート平板20の短手方向)にコンクリートCを伝達するずれせん断応力Fが働く。この場合でも、ずれせん断応力Fは連結部材25における受圧面積の大きい受圧面25aで受け止めてずれせん断応力Fに抵抗することができる。
【0025】
そのため、本実施形態によるコンクリート平板20においても、連結部材25の受圧面25aによって荷重を受ける面積を増大できて曲げ剛性を高くできるため、コンクリートCを伝わるずれせん断応力Fを受け止めて耐ずれ性を向上できて、コンクリートCに割裂や亀裂の発生を抑制できる。しかも、本実施形態では連結部材25の向きを略90°変えるだけであり、主鋼材23,24にジベル等を設けないため製造コストを低減できる。
【0026】
次に、
図7は第一実施形態によるセグメント1の変形例によるセグメント1Aを示すものであり、主鋼材14、15を連結する連結部材16の部分の水平断面図である。
図7に示す変形例では、上下方向に配設された一対の主鋼材14、15の間に連結する複数の連結部材16の受圧面16aの角度を主鋼材14,15の長手方向に対して90度より小さい適宜の鋭角θに設定したものである。この場合、連結部材16の受圧面16aの角度θが90度に近い程、受圧面積が大きい。なお、連結部材16の受圧面16aの角度θは鋭角に変えて鈍角でもよく、主鋼材14,15の長手方向に対して非平行をなす斜めの角度で交差するよう設定されていれば鋭角に含まれ、従来のセグメントより受圧面積を大きくできる。
本第一変形例のセグメント1Aにおいても、セグメント1Aに印加される荷重によってコンクリートCを伝達するずれせん断応力Fを連結部材16の受圧面16aで受け止めてずれせん断応力Fに抵抗できる。
【0027】
図8は第二変形例によるセグメント1Bにおける主鋼材14、15を連結する連結部材16の部分を示す水平断面図である。
図8に示すセグメント1Bでは、コンクリートC内に配設した一対の主鋼材14、15を連結する複数の連結部材16の受圧面16aの角度θを任意に設定したものである。そのため、一対の主鋼材14、15間に連結した複数の連結部材16の受圧面16aの角度θを例えばそれぞれ異なる角度に設定した。
図8に示す一の連結部材16では角度θが鋭角であり、隣接する他の連結部材16では受圧面16aの角度θが鈍角に設定され、逆向きとされている。
この場合、複数の連結部材16は一部の連結部材16の受圧面16aだけが他の連結部材の受圧面16aと角度θが相違していてもよい。或いは、複数の連結部材16は個々の受圧面16aがそれぞれ異なる角度θに設置されていてもよい。
【0028】
なお、第二実施形態ではコンクリート平板20をコンクリート構造体としているが、これに限定されることはなく、例えばSRC構造をなす建築構造物の梁材や柱材などとして使用されるコンクリート構造体であってもかまわない。
また、セグメント1、1A、1Bやコンクリート平板20は予め工場などで製作されるコンクリート製品であることに限定されることはなく、現場でコンクリート打設して構築されるSRC構造であってもよい。要は、コンクリート内部に複数の鋼材が配置され、それらの鋼材を連結するための連結機能とずれせん断応力Fに抵抗する機能とを備えた連結部材16、25等が設けられていればよい。
【0029】
また、連結部材16、25は上述した各実施形態や変形例等では断面長方形の平板形状としているが、この形状に限定されることはない。例えば、連結部材16、25は
図9(a)、(b)、(c)、(d)に示すように断面三角形状や断面略台形状、断面略円弧板状等でもよい。この場合、各連結部材16,25の受圧面16a、25aがコンクリートCを伝達する応力に直交して配設されていることが好ましい。
【0030】
また、コンクリート構造物のセグメントの別の形態として、例えば第一実施形態でセグメント1内の外周側に配置される主鋼材14、15、23、24をコンクリートCの外周面に面一となるように配置し、その主鋼材14、15の側面に接続するようにセグメント1の外面にスキンプレートを設ける構成のセグメントであってもかまわない。
なお、本発明において、主鋼材14、23は第一の主鋼材、主鋼材15、24は第二の主鋼材に含まれる。
上述した第一実施形態によるセグメント1や第一及び第二変形例によるセグメント1A、1B、第二実施形態によるコンクリート平板20等はコンクリート構造体であり、合成構造体に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1 セグメント
5、21 接合端面
6、22 主桁面
10 内周面
11 外周面
14、15、23、24 主鋼材
16、25 連結部材
16a、25a 受圧面
20 コンクリート平板
C コンクリート