(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164907
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ラベル投入装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/20 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B65B61/20
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140416
(22)【出願日】2022-09-03
(62)【分割の表示】P 2018096892の分割
【原出願日】2018-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
(57)【要約】
【課題】卵パックのラベル配置領域に確実にラベルを投入可能なラベル投入装置を提供する。
【解決手段】卵パックの2列に並んだ卵の間に形成されたラベル配置領域に向けてラベルを一枚ずつ投入するラベル投入装置であって、前記ラベルの基端部を挟んで、卵パックに投入する直前のラベルを前記ラベル配置領域に沿って立たせて保持する保持機構と、前記ラベル配置領域に沿って搬送される卵パックと同じ方向に、前記保持機構で保持されたラベルを放出する放出機構とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵パックの2列に並んだ卵の間に形成されたラベル配置領域に向けてラベルを一枚ずつ投入するラベル投入装置であって、
前記ラベルの基端部を挟んで、卵パックに投入する直前のラベルを前記ラベル配置領域に沿って立たせて保持する保持機構と、
前記ラベル配置領域に沿って搬送される卵パックと同じ方向に、前記保持機構で保持されたラベルを放出する放出機構とを備えたラベル投入装置。
【請求項2】
前記保持機構は、前記ラベルの先端部が前記ラベルの基端部よりも下方に位置するように保持する請求項1記載のラベル投入装置。
【請求項3】
前記放出機構は、前記保持機構を兼ねている請求項1または2記載のラベル投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵パックにラベルを投入するラベル投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
卵パックにラベルを投入するラベル投入装置の一例として、特許文献1に示すものが知られている。このラベル投入装置は、卵パックの2列に並んだ卵の間に形成されたラベル配置領域に向けてラベルを一枚ずつ落とすものである。卵パックに落とされる直前のラベルは、対をなすガイド板で作られた略V字状の空間内に収容される。そして、一方のガイド板が開いて投入通路が開放されると、ラベルの自重によりガイド板に沿ってラベルが下方に落ち、パックにラベルが入る。
【0003】
このラベル投入装置は、特許文献1の
図2等に示されるように卵パックが短手方向に搬送される場合と、特許文献1の
図8に示されるように卵パックが長手方向に搬送される場合と、両方の場合に用いられる。いずれの場合でも、通常、卵パックの搬送は止めずにラベルが投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
卵パックの卵の間に投入されるラベルは、比較的薄くて小さい紙である。そのため、上述したラベル投入装置は、ラベル配置領域に向けてラベルをガイドしているものの、ラベルは、ガイド板の状態やガイド板付近の環境の影響を大きく受ける。そこで、所望の位置に所望の姿勢でラベルを投入できない、という問題が生じることがあった。この問題は、特に、卵パックが長手方向に搬送される場合に多く生じる傾向がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目したものであり、卵パックのラベル配置領域に確実にラベルを投入可能なラベル投入装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラベル投入装置は、卵パックの2列に並んだ卵の間に形成されたラベル配置領域に向けてラベルを一枚ずつ投入するラベル投入装置であって、前記ラベルの基端部を挟んで、卵パックに投入する直前のラベルを前記ラベル配置領域に沿って立たせて保持する保持機構と、前記ラベル配置領域に沿って搬送される卵パックと同じ方向に、前記保持機構で保持されたラベルを放出する放出機構とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、卵パックのラベル配置領域に確実にラベルを投入可能なラベル投入装置を提供できる。
【0009】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態を示すラベル投入装置を模式的に表した側面図である。
【
図2】
図1のA方向から見たラベル投入装置を模式的に表した図である。
【
図3】
図1のB方向から見たラベル投入装置を模式的に表した図である。
【
図4】同実施形態のラベル投入装置が、ラベルを卵パックに投入する直前の様子を示す側面図である。
【
図5】同実施形態のラベル投入装置が、ラベルを卵パックに投入する様子を示す側面図である。
【
図6】同実施形態のラベル投入装置でラベルが卵パックに投入された後の状態を示す図である。
【
図7】本発明の変形例にかかるラベル投入装置が複数台並べられたラベル投入システムを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図7を用いて説明する。
【0012】
本実施形態のラベル投入装置10は、
図1~
図5に示すように、卵パックPEの2列に並んだ卵Eの間に形成されたラベル配置領域Rに向けてラベルLを一枚ずつ投入するものである。ラベル投入装置10は、搬送機構1と、保持機構2と、放出機構3とを備える。具体的には、ラベル投入装置10は、ラベルストッカー4と、複数のローラ5とを主体に構成されたものである。
【0013】
ラベルストッカー4は、
図1に示すように、複数枚のラベルLがセットされる。各ラベルLは、立てられた状態で一番奥側にあるものから順に取り出される。
【0014】
ローラ5は、
図1~
図5に示すように、回転軸51を中心として回転可能なもので、ローラ5の表面とラベルLの表面との摩擦を利用する。ローラ5は、対をなして設けられている。ラベルLの裏面L2側に接するローラ5は、駆動ローラであり、ラベルLの表面L1側に接するローラ5は、従動ローラである。対をなすローラ5は、ラベルLの搬送路6に沿って複数組配置されている。ローラ5は、ラベルLを下流側へと送る搬送機構1としての役割を果たす。また、ローラ5は、ラベルLを表面L1と裏面L2の両側から挟んで、下方に落ちないようにする保持機構2としての役割を果たす。本実施形態の搬送路6は、一直線状に形成されており、卵パックPEの搬送方向に対してラベルLの角度が一定に保たれる。なお、搬送路6は、図示したものに限られず、例えば、ラベルLが厚み方向に曲げられるようにローラ5等が配置されて、搬送路6の少なくとも一部が曲線状に形成されたものであってもよい。
【0015】
図1~
図5に示すように、ローラ5のうち、ラベルストッカー4から一番離れた場所、言い換えれば、搬送路6の端部に位置するローラ5aは、搬送機構1及び保持機構2の役割に加えて、ラベルLを解き放って卵パックPEへラベルLを渡す放出機構3としての役割を果たす。このローラ5aが位置する部分を、放出口7と呼ぶ。
【0016】
放出口のローラ5aは、卵パックPEに投入する直前のラベルLaの基端部L4を挟んで保持する。また、放出口のローラ5aは、卵パックPEに投入する直前のラベルLaを、ラベル配置領域Rに沿って立たせて保持する。ローラ5は、ラベル配置領域Rに沿って搬送される卵パックPEと同じ方向に、卵パックPEに投入する直前のラベルLaを放出する。なお、ラベルLaは、ラベルLのうち、放出口7まで到達したものであり、ラベルLと同一の構成である。
【0017】
各ローラ5は、
図1等に示すように、回転軸51が垂直方向から傾いて配置されている。ラベル投入装置10の搬送路6は、卵パックPEが搬送されるパック搬送装置20に対して傾いている。ラベル投入装置10は、放出口7の高さ位置が、ラベルストッカー4の高さ位置よりも低く設定されている。ローラ5は、ラベルLの先端部L3がラベルLの基端部L4よりも下方に位置するように保持する。
【0018】
ラベル投入装置10は、
図1~
図5に示すように、パック搬送装置20の上方に設置される。具体的には、ラベル投入装置10の搬送路6が、パック搬送装置20の搬送方向に沿うように、ラベル投入装置10が配置される。
【0019】
パック搬送装置20は、
図1~
図5に示すように、例えば、ベルトコンベヤであり、容器Pを長手方向に搬送するものである。パック搬送装置20は、連続的に容器Pを搬送するものであり、上流側には容器Pの到来を検知するセンサ(図示しない)が設けられている。このセンサで検出した信号は、ラベル投入装置10の制御部8へ出力される。なお、符号20aは、ラベル投入装置10の搬送路6に対するパック卵PEのラベル配置領域Rの位置を合わせるために、パック卵PEをガイドする案内部である。
【0020】
ラベル投入装置10は、制御部8によって制御される。制御部8は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部等の専用ないし汎用のコンピュータにより構成されている。そして、内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUやその他の周辺機器が協働することによって、制御部8としての機能が発揮される。
【0021】
次に、このラベル投入装置10で用いられるラベルLと卵パックPEについて説明する。なお、ここで説明するラベルLと卵パックPEは、それぞれ一例であり、種々変更可能である。
【0022】
ラベルLは、
図1~
図6に示すように、例えば、比較的薄い紙でできた平面視長方形状のものである。ラベルLは、短辺に対応する前縁L5及び後縁L6と、長辺に対応する下縁L7及び上縁L8とを備える。ラベルLには、表面L1側に卵に関する情報が種々印刷されている。卵に関する情報としては、例えば、卵重や計量責任者名、包装場所や賞味期限、保存方法、使用方法などが挙げられるが、図ではこれらを簡略化して示したり、省略したりしている。
【0023】
卵パックPEは、
図1~
図6に示すように、いわゆるレギュラーパックと呼ばれる、容器Pに複数個の卵Eが詰められた状態のものである。容器Pは、合成樹脂製の透明なものであり、本体部P1と蓋P2とを備えている。本体部P1は、例えば10個の収容座P4を備えている。各収容座P4には、卵Eが縦向きに載せられて、卵Eの上半部が露出した状態で、下半部が収容される。本体部P1は、2列に並んだ収容座P4の間に、複数の収容座P4を区画する突起P5を備える。突起P5は、収容される卵E同士の接触を防ぐ目的の他に、ラベルLの下縁L7を支持するものである。突起P5は、本実施形態のラベル配置領域Rは、この突起P5を含む容器Pの中央付近である。蓋P2は、連結部P3を介して開閉可能なものであり、本体部P1と一体に形成されている。
【0024】
次に、このラベル投入装置10の作動について、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0025】
図4に示すように、まず、容器Pに10個の卵Eが収容された卵パックPEが、蓋P2が開いた状態で、パック搬送装置20により搬送される。容器Pは、容器Pの長手方向に、言い換えれば、一直線状をなすラベル配置領域Rに沿って搬送される。
【0026】
図4に示すように、次に容器Pに投入されるラベルLaは、放出口のローラ5aに保持されている。ラベルLaは、その基端部L4が放出口のローラ5aに挟まれて保持されているが、その他の部分は、どこにも支持されていない。言い換えれば、ラベルLaの基端部L4のみが固定されている状態である。ラベルLaは、その平面が、パック搬送装置20の搬送面に対して直交する状態で保持されている。
【0027】
また、
図4に示すように、このラベルLaは、側面視でパック搬送装置20に対して斜めに保持されている。言い換えれば、ラベルLaは、パック搬送装置20の搬送方向に対して傾いて配置されている。ラベルLaの先端部L3は、ラベルLaの基端部L4よりも下方に位置する。より具体的には、ラベルLaの前縁L5と下縁L7とが交わる角部が、ラベルLaの後縁L6と下縁L7とが交わる角部よりも、パック搬送装置20に近い場所に位置している。
【0028】
この状態から、センサが容器Pの到来を検知すると、制御部8は、容器Pが放出口7の下に来た時点で、放出口7からラベルLaを容器Pに向けて投入するように、ローラ5aを制御する。放出口7は、ラベル配置領域Rが真下を通過するように、パック搬送装置20とラベル投入装置10との相対的な位置が規定されている。そのため、ローラ5aによって放出口7から放出されたラベルLaには、重力の他に、ラベル配置領域Rに沿った方向への慣性力がはたらく。ラベルLaは、
図5に示す状態を経て、先端部L3が先に卵パックPEに接触する。ラベルLaは両側の卵Eにガイドされながら、その後、基端部L4が卵パックPEに接触する。このようにして、所望のラベル配置領域RへラベルLが収容される。
【0029】
以上に説明したように、本実施形態のラベル投入装置10は、卵パックPEの2列に並んだ卵Eの間に形成されたラベル配置領域Rに向けてラベルLを一枚ずつ投入するものであって、保持機構2と、放出機構3とを備える。保持機構2は、ラベルLaの基端部L4を挟んで、卵パックPEに投入する直前のラベルLaをラベル配置領域Rに沿って立たせて保持する。放出機構3は、ラベル配置領域Rに沿って搬送される卵パックPEと同じ方向に、保持機構2で保持されたラベルLを放出する。このようなものであれば、卵パックPEのラベル配置領域Rに確実にラベルLを投入できる。
【0030】
保持機構2は、ラベルLaの先端部L3がラベルLaの基端部L4よりも下方に位置するように保持するので、投入する直前のラベルLaをできるだけ卵パックPEに近付けておくことができる。また、放出機構3は、保持機構2を兼ねているローラ5aであるので、放出口7の構成を簡素なものとすることができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0032】
図1~
図5に示すラベル投入装置10は、ラベルLの表面L1に印字を行う印字機構(図示しない)と、印字されたものを確認するための印字確認機構(図示しない)を備えることが可能なタイプである。
図7に示すラベル投入装置10のように、印字機構及び印字確認機構を備えないタイプのものであってもよい。このようなものであれば、搬送路6が比較的短く設定可能である。
図7では、上述した実施形態と同一またはこれに準ずる部分は同じ符号を付している。
【0033】
ラベル投入装置10は、
図7に示すように、卵パックPEの搬送方向に沿って複数台並べて使用する場合にも好ましい。各ラベル投入装置10には、異なる種類のラベルLがそれぞれ収容されている。どの卵パックPEにどのラベル投入装置10のラベルLを投入させるかは、制御部8からの指令に基づき制御される。本実施形態のように、ラベル投入装置10の搬送路6が、パック搬送装置20の搬送方向に対して傾斜したものであれば、一のラベル投入装置10の放出口7が、隣のラベル投入装置10のラベルストッカー4と干渉することがない。なお、
図1~
図5に示すラベル投入装置10を同様に並べてもよい。
【0034】
保持機構2は、ローラ5に限られず、ラベルLを保持することができればどのようなものであってもよい。保持機構2は、一対のローラ5である必要はなく、例えば、固定されたガイドと、このガイドと協働してラベルLを保持する回転ローラとから構成されるものであってもよい。同様に、放出機構3は、ローラ5に限られず、ラベルLを放出することができればどのようなものであってもよい。放出機構3は、一対のローラ5である必要はなく、例えば、固定されたガイドと、このガイドと協働してラベルLを放出する回転ローラとから構成されるものであってもよい。
【0035】
上述した実施形態では、一対のローラ5が、保持機構2の役割と放出機構3の役割を兼ねていたが、これに限られず、それぞれの役割を果たす別々の部材を備えていてもよい。
【0036】
ラベル投入装置10は、搬送路6が水平になるように配置されたものであってもよい。このラベル投入装置10は、パック搬送装置20の搬送方向とラベル投入装置10の搬送路6が平行になるように配置されている。このようなものであれば、ラベルLの先端部L3と基端部L4とが同一の高さ位置に保持され、ラベルLが卵パックPEに入った後と同じ姿勢を保って、放出口7で待機できる。
【0037】
保持機構2は、ラベルLをラベル配置領域Rに沿って立たせるものであればどのようなものであってもよい。例えば、ラベルLは、完全に直立したものには限られず、ラベル配置領域Rに収まるようなものであれば、厚み方向に若干倒れていてもよい。
【0038】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、卵パックにラベルを投入可能なラベル投入装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…ラベル投入装置
2…保持機構
3…放出機構
PE…卵パック
E…卵
R…ラベル配置領域
L…ラベル
L3…先端部
L4…基端部