(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164919
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】通風遮光ネット構造
(51)【国際特許分類】
F24F 1/58 20110101AFI20221020BHJP
【FI】
F24F1/58
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140680
(22)【出願日】2022-09-05
(62)【分割の表示】P 2018013799の分割
【原出願日】2018-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】517126554
【氏名又は名称】エコネット鹿児島株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514215457
【氏名又は名称】株式会社イノベックス
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】河口 大志
(72)【発明者】
【氏名】小西 茂久
(72)【発明者】
【氏名】小野田 光秀
(72)【発明者】
【氏名】中田 浩義
(57)【要約】
【課題】
優れた消費電力等の運転負荷低減効果を達成することができ、かつ、耐久性に優れた通風遮光ネット構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
通気性を有する遮光シートと、室外機周りに配置した前記遮光シートが張られた遮光シート枠と、を有する通風遮光ネット構造10であって、前記遮光シート枠が、前記室外機の吸込口が陰となるように被覆し吸込口の面との隙間を20cm以上とする吸込口遮光部11と、前記室外機の排気口の排気方向と前記室外機の前記吸込口の吸気方向との間に配置される吸排気短絡防止部12とを有し、前記遮光シートの遮光率が70%以上95%以下であり、前記遮光シートの強度が850N以上であり、前記遮光シートの伸度が30%以上である通風遮光ネット構造10。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する遮光シートと、室外機周りに配置した前記遮光シートが張られた遮光シート枠と、を有する通風遮光ネット構造であって、
前記遮光シート枠が、前記室外機の吸込口が陰となるように被覆し吸込口の面との隙間を20cm以上とする吸込口遮光部と、前記室外機の排気口の排気方向と前記室外機の前記吸込口の吸気方向との間に配置される吸排気短絡防止部とを有し、
前記遮光シートの遮光率が70%以上95%以下であり、前記遮光シートの強度が850N以上であり、前記遮光シートの伸度が30%以上である通風遮光ネット構造。
【請求項2】
前記室外機の点検口側に設けられる室外機遮光部を有する請求項1記載の通風遮光ネット構造。
【請求項3】
前記吸込口遮光部が、吸込口の面との隙間を100cm以下とする請求項1または2記載の通風遮光ネット構造。
【請求項4】
前記遮光シートの目付量が、200g/m2以上300g/m2以下である請求項1~3のいずれかに記載の通風遮光ネット構造。
【請求項5】
前記遮光シートの通気率が、25%以上45%以下である請求項1~4のいずれかに記載の通風遮光ネット構造。
【請求項6】
前記遮光シートが、高密度ポリエチレン樹脂組成物の糸をラッセル編みした組織である請求項1~5のいずれかに記載の通風遮光ネット構造。
【請求項7】
前記高密度ポリエチレン樹脂組成物が、黒色顔料および、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の耐候剤からなる添加剤群から選択される少なくとも1以上を含有する請求項6記載の通風遮光ネット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通風遮光ネット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の周囲に設置される空調装置の屋外機(室外機)は、夏季には直射日光に曝されたりし、高温となるため、熱効率が低下し消費電力が高くなるという問題があった。これを解決するために、例えば、特許文献1は、屋外機の周囲に組み立てられるフレームと、このフレームに装着されて屋外機に被蓋される通風遮光ネットとを有する空調装置の屋外機の通風遮光ネット装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数の空調室外機の各外気吸込口よりも上方位置に架け渡され、前記空調室外機間の空間を上下に遮熱する遮熱シートを有する空調室外機用遮熱具が開示されている。また、特許文献3~5には、よしずや簾のように使用するような日除けシートや、農業用などに用いる遮光シート、屋根の上に設置される屋根用シートなどが開示されている。なお、作物栽培用の遮光シート等として用いることができるシートとしては、例えば特許文献6~9が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3171945号公報
【特許文献2】特許第5497119号公報
【特許文献3】特開2001-311284号公報
【特許文献4】特開2001-61357号公報
【特許文献5】特開2009-221837号公報
【特許文献6】特開2000-014256号公報
【特許文献7】特開2008-184697号公報
【特許文献8】特開平9-262029号公報
【特許文献9】特開2017-055686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~9に開示されているように、空調設備の室外機周りや、屋根に、遮光ネット(シート)などを配置し、遮光することが検討されている。
特許文献1には、屋外機の上部や側部被蓋する構造が開示されているが屋外機に対してどのようなシートで具体的にどのように被蓋することが有効か不明な点がある。
特許文献2には、空調室外機用遮熱具が開示されているが、室外機が複数配置されていることを前提にし、吸気口間の上方に設置された遮熱シートのため、単独の室外機でも効果を奏する構造は不明である。また、具体的な遮熱シートの仕様が不明であり、どのような遮熱シートを用いればその効果を得ることができるか不明であった。
特許文献3~9は、それぞれ日除けシート、被覆用シート、屋根用シート、作物栽培用シート等に関するもので、いずれも一定の遮光性を示すものであるが、空調機周辺での使用については不明である。
【0006】
これらの室外機や屋根については、天候や季節の影響を大きく受ける。これは、前述の特許文献等でも課題とされている夏場は直射日光に照らされたり、熱風にさらされて温度が上昇することが一つ目の問題である。一方、冬場は、雪や寒気の影響で、温度が下がりすぎて、室外機のフィンが凍結したり、暖房効果が屋根を介して低下しやすいといった問題が生じることもある。これらの季節変動を踏まえて、季節ごとに遮光ネット等を変更すると管理の負担が大きくなる。
【0007】
前述したような夏場と冬場との相違等も踏まえると、これらの遮光ネット等の構造にはさらなる改良の余地があると考えられる。特に、さらに優れた消費電力等の低減効果や、長期信頼性を向上させるための耐久性を達成することが求められていた。
【0008】
係る状況下、本発明は、優れた消費電力等の運転負荷低減効果を達成することができる通風遮光ネット構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特に室外機の通風遮光についてさらなる検討を行った。その結果、屋根等に設置される日除けシート等の思想のみでは室外機の通風遮光としては不足する点が多岐にわたり採用しにくく、室外機の運転負荷軽減の効果が安定しなかったり得られなかったりする場合があることがわかった。
【0010】
室外機の場合、室外機自体が吸排気するために、その吸排気による気流が室外機の運転負荷にも大きな影響を与えていることが分かった。よって、単に室外機の全体の面を同様に通風遮光するように被覆しても室外機の運転負荷を軽減することはできない場合がある。
【0011】
特許文献2でも前述のように複数の空調室外機の各外気吸込口よりも上方位置に架け渡され、前記空調室外機間の空間を上下に遮熱する構造として開示するにとどまっている。このような構造は室外機が複数配置されていない場合は採用することもできないし、室外機のごく一部のみが遮熱されるだけで効果は限定的である。
【0012】
このような室外機特有の課題を解決するにあたっては、室外機の気流の影響も考慮して、適切な被覆を行い遮光通風することが必要となる。このために通風遮光に適したネットを適切な配置で設けることが重要であることを見出した。
【0013】
本発明者は、これらの知見を踏まえて上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 通気性を有する遮光シートと、室外機周りに配置した前記遮光シートが張られた遮光シート枠と、を有する通風遮光ネット構造であって、
前記遮光シート枠が、前記室外機の吸込口が陰となるように被覆し吸込口の面との隙間を20cm以上とする吸込口遮光部と、前記室外機の排気口の排気方向と前記室外機の前記吸込口の吸気方向との間に配置される吸排気短絡防止部とを有し、
前記遮光シートの遮光率が70%以上95%以下であり、前記遮光シートの強度が850N以上であり、前記遮光シートの伸度が30%以上である通風遮光ネット構造。
<2> 前記室外機の点検口側に設けられる室外機遮光部を有する前記<1>記載の通風遮光ネット構造。
<3> 前記吸込口遮光部が、吸込口の面との隙間が100cm以下である前記<1>または<2>記載の通風遮光ネット構造。
<4> 前記遮光シートの目付量が、200g/m2以上300g/m2以下である前記<>~<3>のいずれかに記載の通風遮光ネット構造。
<5> 前記遮光シートの通気率が、25%以上45%以下である前記<1>~<4>のいずれかに記載の通風遮光ネット構造。
<6> 前記遮光シートが、高密度ポリエチレン樹脂組成物の糸をラッセル編みした組織である前記<1>~<5>のいずれかに記載の通風遮光ネット構造。
<7> 前記高密度ポリエチレン樹脂組成物が、黒色顔料および、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の耐候剤からなる添加剤群から選択される少なくとも1以上を含有する前記<6>記載の通風遮光ネット構造。
【発明の効果】
【0015】
本発明の通風遮光ネット構造を室外機に適用することで、室外機の負荷を低下させて消費電力等の低減を達成することができる。また、その夏季や冬季など年間を通して室外機の運転負荷を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明が適用される室外機の構成概要を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る通風遮光ネット構造の構成概要を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る遮光ネットと遮光ネット枠との構成概要を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る通風遮光ネット構造の吸込口遮光部の構成概要を示す側面図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る通風遮光ネット構造の吸排気短絡防止部の構成概要を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施例に用いた遮光シートの外観を示す写真である。
【
図7】本発明の実施例にかかる電力消費量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0018】
[室外機]
本発明の第一の実施形態に係る通風遮光ネット構造を、説明するにあたり、まず、
図1に室外機の構成概要図を示す。室外機には様々な形式があるが、例えば
図1に示すように、室外機2は吸込口21と排気口22とを備え、点検口23等を備えている。一般的には室外機2は筐体状であり、筐体内に熱交換システムが内蔵されている。室外機2は、空調対象となる建物や部屋の室内機(図示せず)と配管で連結されており、その配管を通して、冷房・暖房等の目的に応じた熱交換を、室外機2や室内機それぞれで行う。そして、冷風や暖風等を室内機で建物や部屋に送風し、一方、室外機2もその運転に応じた熱交換を行い暖風や冷風等を排気する。室外機2は、通常屋外に設置され、その設置場所や季節等の環境影響を受けやすい。本発明はこのような室外機2にかかる環境影響起因の負担を抑制するものである。本発明は、室外機2に図示するものに限らず、吸気、排気の口の数や方向に制限はなく室外機全般に適用することができる。
【0019】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態を
図2に示す。
図2は、
図1に示す室外機2に通風遮光ネット構造10を設置した状態の全体概要を示す斜視図である。以下においては、室外機2の吸込口21側から見たときを室外機2および通風遮光ネット構造の正面として説明する。
【0020】
図3は、通風遮光ネット構造10の室外機2上面の周囲に配置した遮光シート31と遮光シート枠32とを説明するための斜視図である。
図4は、通風遮光ネット構造10の吸込口遮光部11を説明するための通風遮光ネット構造10の側面図である。
図5は、通風遮光ネット構造10の吸排気短絡防止部12を説明するための室外機2および通風遮光ネット構造10の側面図である。
【0021】
[通風遮光ネット構造10]
図2に示す通風遮光ネット構造は、
図1に示した室外機2に取り付けた通風遮光ネット構造10である。
図3に通風遮光ネット構造10の室外機上面に配置したものを例に説明する。通風遮光ネット構造10は、通気性を有する遮光シート31と、室外機周りに配置した前記遮光シートが張られた遮光シート枠32と、を有する。すなわち、遮光シート枠32の枠組みを設けて、その枠組みに遮光シート31を張ったものを用いて、室外機に通風遮光ネット構造を設置する。遮光シート31の遮光率は70%以上95%以下であり、遮光シート31の強度は850N以上であり、遮光シート31の伸度は30%以上である。
【0022】
[吸込口遮光部11]
この通風遮光ネット構造10は、
図2に示すように、遮光シート31が、室外機2の吸込口21が陰となるように被覆し吸込口21の面との隙間を20cm以上とする吸込口遮光部11を有する。
図4を用いて吸込口遮光部11についてさらに詳しく説明する。吸込口遮光部11は、遮光シート31を張った遮光シート枠32を用いて、室外機2の周囲に設置される。
【0023】
吸込口遮光部11は、吸込口21が陰となるように被覆するものである。このため、日光の光線L1が日中ほとんど吸込口21を照らすことが無いように設置される。
【0024】
吸込口遮光部11は、
図4に示すように室外機2の吸込口21の上端側以上の鉛直方向の高さの位置から吸込口21を遮光シート31により覆うように設置した構造である。より具体的には、吸込口遮光部11は、室外機2の吸込口21側を室外機2の正面としたとき、この正面に対向するように鉛直方向に設けた遮光シート面111と、吸込口21側の面の上端から水平方向に遮光シート面111側に延伸した遮光シート面112と、吸込口21側の面の側部側から吸込口21の面と垂直方向に遮光シート面111側に延伸した遮光シート面113とを有する。そして、吸込口遮光部11は、吸込口21の周囲に日陰領域11aをなす構成である。
【0025】
この日陰領域11aをなすことで、吸込口21は、日陰領域11aを通り、日陰領域11aにより季節や時間の影響が抑えられた、温和な気体の吸気F1を吸い込む。遮光シートは通気性も有するため、吸気F1は日陰領域11aの外部から日陰領域11a側に安定して吸い込まれる。
【0026】
このように吸込口遮光部11を有し日陰領域11aをなすことで、室外機2は夏場の特に日中などは直射日光により温度が上昇した空気ではなく、日陰領域11aを介した空気を吸い込むものとなる。また、室外機2自体、特に吸込口21周辺の温度上昇も防止することができ、過熱状態での運転を避けることができる。このため、室外機2の運転負荷は抑制され、低負荷で安定した運転が可能となり消費する電力も低減できる。
【0027】
また、冬場のように気温が下がる時期や特にその夜間は、冷風が吹いたり雪・雨などの影響で室外機2の周囲温度が低すぎて、その温度差を解消するために室外機2の運転負荷が高くなる場合がある。しかし、本実施形態に示すような吸込口遮光部11を有し日陰領域11aをなすことで、吸込口21の周囲での冷たい風などの影響での大きな温度変化影響等を抑制でき、冬場なども、室外機2の運転負荷は抑制され、低負荷で安定した運転が可能となり消費する電力も低減できる。
【0028】
この吸込口遮光部11は、室外機の吸込口が陰となるように被覆し吸込口の面との隙間を20cm以上とする。この隙間は、室外機2における吸込口21の面と、その吸込口21に対向する遮光シートの距離であり、
図4に示す吸込口21の面と遮光シート面111との距離d1である。この距離d1が20cmよりも近すぎる場合、吸込口21の周囲に十分な日陰領域11aが得られず、日陰領域11aによる運転負荷抑制効果等を得られない場合がある。また、吸込口21は空気を吸い込むが、遮光シート面111が近すぎる配置となり空気の吸込みを阻害して却って運転負荷が高くなる場合がある。このため、距離d1は20cm以上とする。
【0029】
この距離d1は、25cm以上が好ましく、30cm以上がより好ましい。一方、その効果が得られる範囲で任意の範囲まで広げても良いが、過剰に遠くに配置しても日陰領域11aをなすことによる効果は飽和し、室外機設置場所の制限により設置が困難であったり、通行や点検時に弊害となる恐れがあるため、上限を設けても良い。この距離d1の上限としては100cm以下が好ましく、80cm以下がより好ましい。
【0030】
[吸排気短絡防止部12]
図2に示すように、通風遮光ネット構造10は、室外機2の排気口22の排気方向と室外機2の吸込口21の吸気方向との間に配置される吸排気短絡防止部12を有している。
【0031】
図5は吸排気短絡防止部12を説明するための図であり、室外機2の側面方向から見た図である。
図5(a)は通風遮光ネット構造を設ける前の室外機2における吸排気を説明するための図である。
【0032】
図5(a)に示すように、室外機2は、吸込口21から吸気F1を吸込み、室外機内で熱交換等に利用され、排気口22から排気F2が排出される。この吸気F1と排気F2とには温度差があるが、通常、室外機2はこれらの吸排気が十分に分離されるように設計されている。しかしながら、室外機2の設置場所の周囲に壁があったり、風が強かったり、室外機2の周囲に遮光シート等を設けたりすると、吸排気短絡(いわゆるショートサーキット)が生じて排気F2が、吸気F1に流れ込む短絡流F3が生じてしまう場合がある。この吸排気短絡が生じると、排気F2の気体よりも温度差が生じるように室外機2内で熱交換等を行う必要が生じてしまうため、運転負荷が高くなる。
【0033】
本発明の実施形態においては、この吸排気短絡を防止するために、遮光シートが張られた遮光シート枠による吸排気短絡防止部12を有する。この吸排気短絡防止部12は、
図5(b)に示すように、室外機2の排気F2方向と、室外機2の吸気F1方向との間に配置される。この吸排気短絡防止部12により、短絡流F3を防止できる。この吸排気短絡防止部12は、前述した吸込口遮光部をなす遮光シート枠と共通する遮光シート枠を用いた構造であってもよい。すなわち、
図4における遮光シート面112が吸排気短絡防止部12および吸込口遮光部11の一部となるものであってよい。
【0034】
[室外機遮光部13]
本実施形態の通風遮光ネット構造10は、さらに、室外機2の点検口23側に設けられる室外機遮光部13を有する。前述した吸込口遮光部11と、吸排気短絡防止部12とを設けることで季節変動等による室外機2の運転負荷を大幅に抑制することができる。これに加えて、室外機2が設置される場所や環境等に応じて許容される範囲で、さらに室外機周辺に遮光シート等を用いて室外機遮光部13を設けることができる。
【0035】
この室外機遮光部13は、室外機2の点検口23の面に対向する位置などに設けることができる。なお、ここで点検口とは、室外機2の吸込口が設けられた面と、排気口が設けられた面以外の面のいずれもを呼ぶものとする。この点検口の面には、室外機の筐体の一部をなす面としての板部が単に設けられていたり、室内機との連結のための配管等が接続されていたり、室外機内の点検や管理のための各種センサー表示部や開口部等が設けられている。
【0036】
この点検口23のいずれかの面に対して、対向するように遮光シートが1面以上設けられ、室外機2との間に日陰領域や、調空領域がなされるものを室外機遮光部13とする。室外機遮光部13は、吸込口遮光部11の吸込口21の面に対する遮光シート31の配置と共通する位置や隙間の考え方により、吸込口21の面に代え点検口23の面に対して配置されるように遮光シート枠32を設けることができる。この室外機遮光部13を、少なくとも点検口23の面のいずれかに設けることで、吸込口遮光部11や吸排気短絡防止部12と協働して、室外機2は複数の方向から日光や風等の影響が抑えられるものとなる。これにより、より室外機2の運転負荷をさらに抑制することができる。
【0037】
[遮光シート枠]
遮光シート31は、遮光シート枠32に張られて、所定の位置に配置される。そして、この遮光シート31を張った遮光シート枠32により、吸込口遮光部11や吸排気短絡防止部12、室外機遮光部13が設けられる。この遮光シート枠(遮光シート枠32)には、遮光シートを張る枠組となるものであれば、任意のものを用いることができる。例えば、棒状体や、板状体を各遮光シートによる面の辺となる位置に配置したり、板状体の遮光シート配置部を開口させたロ字状や、コ字状の枠・板などを用いてもよい。室外機の形状や、その配置場所等により、通風遮光ネット構造は適宜調整して設置されるため、鉄パイプなどの棒状体を用いて枠組を作り、当該棒状体に遮光シートを巻き付けたり、遮光シートを取り付けるためのジョイント部を当該棒状体に設けたり、遮光シートを当該棒状体に固定冶具により固定することが好ましい。
【0038】
[遮光シート]
本発明においては、通気性を有する遮光シート(遮光シート31)を用いる。この遮光シートは、遮光率が70%以上95%以下であり、強度が850N以上であり、伸度が30%以上である。以下、遮光シートの特性についてさらに詳しく説明する。
【0039】
本発明に用いる遮光シートは、遮光率が70%以上95%以下である。室外機は一般に屋外に設置され、日光により室外機が熱せられることによる運転負荷上昇などが問題となるため、この日光を遮光することが有効となる。このため所定の遮光率を達成する遮光シートを用いる。遮光率が70%以上とすることで、日光による室外機の昇温を防止することができる。遮光率の下限は好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。
【0040】
一方、遮光シートは室外機周辺での室外機の吸排気のための気流に影響を与えすぎないほうが良い。このため通気性を有する遮光シートを用いるが、通気性を維持するために遮光シートは孔を有し、その孔から光が透るため遮光性は95%以下が好ましい。また、冬場は光が透ることで室外機周囲が冷たくなりすぎることも抑制できる。遮光率の上限は、93%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。遮光率は、JIS L1055(2009)A法により測定することができる。
【0041】
本発明に用いる遮光シートは、強度が850N以上である。遮光シートが一定の強度を有することで、遮光ネット構造の施工性が向上し、室外機の吸排気による撓み等も抑制できる。遮光シートの強度が低すぎる場合、遮光シート枠に遮光シートを張る際、張る力により破れたり、連結具により傷が生じやすくなったり、外に配置されていることから何らかのものが衝突したときに容易に裂ける恐れがある。このような観点から、遮光シートの強度は、850N以上である。より好ましくは900N以上である。一方、その強度は特に上限を定めなくてもよいが、遮光シートとして汎用することができるような樹脂製シートの物性としての上限や、施工時の裁断・補修・撤去等の取り扱い性を考慮して、強度の上限を設けてもよい。強度の上限としては、1500N以下や、1400N以下、1300N以下、1200N以下とすることができる。
【0042】
遮光シートは、一般に数十m以上のシート帯状体を巻き取った巻体として製造されたものが用いられる。本発明に用いる遮光シートの強度は、この帯状体として、製造時のシートの流れ方向(MD)であるタテ方向と、その流れ方向に直交する方向(TD)のヨコ方向との二方向の強度に関するものである。また、この強度・伸度は通風遮光ネット構造の設置時(例えば設置後2か月以内程度)に測定した値とすることが好ましい。
【0043】
本発明に用いる遮光シートは、伸度が30%以上である。遮光シートが一定の伸度を有することで、施工時の操作性に優れ、室外機の吸排気等による気流に対して適度に受け流す程度の撓みも可能となる。遮光シートの伸度が低すぎる場合、遮光シート枠に張りにくかったり、長期間使用する際に季節要因による伸縮や、物の衝突等により破れやすくなる場合がある。このような観点から、遮光シートの伸度は30%以上である。好ましくは35%以上であり、より好ましくは38%以上である。一方、その伸度は特に上限を定めなくても良いが、強度同様に樹脂製シートの物性の上限や、伸度が高く撓みすぎることで吸排気により変形したり、吸い込まれたりすることを防止するために、伸度の上限を設けても良い。伸度の上限としては、200%以下や、150%以下、100%以下、80%以下、60%以下とすることができる。
【0044】
本発明に用いる遮光シートの強度と伸度は、JIS L1096(2010)8.14.1に記載の方法により測定する。ラベルドストリップ法より、試験機の種類は定速伸長形、試験片の幅は50mm、つかみ間隔は200mm、引張速度は200mm/分として、試験片数5つの平均値とする。
【0045】
本発明に用いる遮光シートは、特許文献6~9を参照して糸や織(編)構造を選択して製造することができる。より具体的には、本発明に用いる遮光シートは、熱可塑性樹脂を用いて製造することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等があげられる。本発明に用いる遮光シートは、高密度ポリエチレン樹脂組成物の糸をラッセル編みした組織であることが好ましい。このような遮光シートとすることで、本発明に求められる遮光率等を満足し、優れた効果を奏し、耐久性にも優れた通風遮光ネット構造とすることができる。
【0046】
高密度ポリエチレン樹脂組成物は、高密度ポリエチレン樹脂を基材の樹脂として、適宜、色材や、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の耐候剤からなる添加剤群を含有する組成物である。このような高密度ポリエチレン樹脂を用いることで、強度や伸度等に優れた遮光シートとすることができる。
【0047】
遮光シートを形成する糸は、撚糸でも不撚糸でもよい。糸自体の強度や伸度、編織構造の遮光シートへの適用しやすさを考慮すると、好ましくは、モノフィラメントやフラットヤーン、スプリットヤーンなどを適宜使用することができ、特にモノフィラメントやフラットヤーンが好ましく用いられる。遮光シートに用いられる糸の太さは、100デシテックス(dtex)~2000デシテックス程度のものが適宜用いられる。この糸の太さは、織形状のタテ糸か、挿入糸かに応じても適宜選択される。糸がこれより細い場合、強度や伸度を達成しにくく、かつ、糸自体の面積が少なくなりやすいため遮光性を調整しにくい場合がある。また、これより太い糸は、糸としての延伸が不十分であり耐久性が低かったり、シートを形成するための打ち込み本数が相対的に低くなるため、シートの耐引裂き性が低下する場合がある。
【0048】
本発明に用いる遮光シートは、編織構造のものが好ましい。編織構造に用いる糸の太さや種類により遮光性や機械強度を調整することができ、編織構造間の孔から通気することができる点で適している。編織構造としては、平織りや、絡み織り、ラッセル編み等の任意の編織構造を採用することができる。特に、遮光性、機械強度、通気性、量産性を維持しつつ、長期間の屋外使用によっても損傷が生じにくいことから、ラッセル編みとすることが好ましい。
【0049】
ラッセル編みとするとき、タテ糸には、好ましくは300~500dtex、より好ましくは350~450dtexの糸を用いることが好ましい。一方、挿入糸には、好ましくは800~1200dtex、より好ましくは900~1100dtexの糸を用いることが好ましい。このような範囲の糸を採用することで、本発明に用いる遮光性シートとしての遮光性、機械強度、通気性を達成しやすい。
【0050】
本発明に適したラッセル編みの編織構造は、例えば、タテ糸(経糸、クサリ)をモノフィラメント2本通しで編み込んだものに、挿入糸(緯糸)を6E間・6目分(1目約4mm)を、モノフィラメントの挿入糸と、テープヤーンの挿入糸とを1本置き交互に糸が重なるように編み込んだものを用いることができる。
【0051】
本発明に用いる遮光シートは、目付量が、200g/m2以上300g/m2以下であることが好ましい。本発明に用いられる遮光シートは、遮光性が高く、室外機の吸排気の影響を受けにくく屋外での長期使用に耐えるために機械強度の高いものが用いられる。一般に本発明に用いられる遮光シートに求められる遮光率を達成する遮光シートは、目付量が200g/m2未満、主に100~180g/m2程度とされることが多い。これは一般的な遮光シートは農作物を作成するときの農業用などで日陰を作るための屋根部等として用いられるため、遮光率と同時に広範に簡易な枠組みで張りやすいものとするための軽さが求められるためである。一方、本発明においては、遮光シートにより覆った室外機周辺での温度変化等を抑制し、長期使用のための強度等も求められるものの、覆う範囲は室外機周辺と限定的で、遮光シート枠により補強しながら使用する。よって重量感や安定感のあるものが好ましく用いられ、目付量が多いシートを用いる弊害も少ない。このような観点から、前述したような目付量のシートを用いることが好ましい。
【0052】
目付量が少なすぎる場合、遮光性が低下しやすかったり、通気性が高すぎて調温性、特に冬場の保温性が低下することがある。一方、目付量を多くしすぎると、遮光性が高くなりすぎたり、通気性が低くなりすぎたり、施工時に取り扱いにくくなる場合がある。目付量の下限は、220g/m2以上が好ましく、230g/m2以上がより好ましい。目付量の上限は、280g/m2以下が好ましく、260g/m2以下がより好ましい。目付量は、遮光シートを裁断し面積あたりの重さを測定した結果から、単位面積あたりの目付量に換算することで求めることができる。
【0053】
本発明に用いる遮光シートは、通気率が、25%以上45%以下であることが好ましい。通気率がこの範囲のとき、遮光シートを挟んだ各領域間での空気の移動が適度に生じ、遮光シートを用いた通風遮光ネット構造としての室外機運転負荷の抑制効果が優れたものとなる。通気率が高すぎる場合、遮光シートが吸排気短絡防止部として機能せず短絡流が生じたり、冬場の保温性等が低下したり、日陰領域での温和な空気が得られずに通風遮光ネットの外気をそのまま吸気して運転負荷の抑制効果が得られない恐れがある。一方、通気率が低すぎる場合、通気性が不足して、吸気量が足りずに適切な空調効果が得られなかったり、室外機の運転負荷が高くなる恐れがある。
【0054】
通気率は、断面積20cm2のパイプに一定の風を吹き込み、パイプに何も取り付けずにパイプを通過するブランクの風量と、パイプにシートを取り付けたときのパイプを通過するシートありの風量とを測定し、「シートありの風量/ブランクの風量」の比について10回試験時の平均値に基づいて、その通気率(%)として求めるものである。同一シートの場所を少し変えて、3回測定した平均を、そのシートの通気率とする。なお、サンプルとサーキュレーターとの距離は60cmとし、サンプルと風量測定器の距離を20cmとして測定する。
【0055】
本発明に用いる遮光シートは、遮光シートに用いられる高密度ポリエチレン樹脂組成物が、黒色顔料および、紫外線安定剤、耐候剤からなる群から選択される少なくとも1以上を含有することが好ましい。黒色顔料を含有することで、遮光性や耐候性を向上させやすくなる。更に紫外線吸収剤や光安定剤を含有することで、屋外で日光に曝露される遮光シートの耐候性がより向上する。これらの耐候剤を含有することで、寒暖差が生じ通年で使用される通風遮光ネット構造の遮光シートとしても優れた耐候性を示す。
【0056】
黒色顔料としては、カーボンブラックを用いることができる。この黒色顔料は他にも有機顔料や無機顔料、アクリル樹脂ビーズ、混合顔料等がある。高密度ポリエチレン樹脂組成物に、希釈比(質量比)10/100~1/100程度の顔料濃度のマスターバッチを添加し、シート全体の高密度ポリエチレン樹脂組成物における顔料濃度として、例えば、0.1~5.0重量%や、0.5~3.0重量%とすることができる。
耐候剤としては、重金属不活性化剤のヒドラジド系・アミド系;紫外線吸収剤のベンゾトリアゾール系・ベンゾフェノン系・トリアジン系;ラジカル補足剤のHALS・フェノール系酸化防止剤;過酸化物分解剤のリン系酸化防止剤・イオウ系酸化防止剤などを用いることができる。また、顔料同様に、シート全体の高密度ポリエチレン樹脂組成物における耐候剤濃度として、例えば、0.1~5.0重量%や、0.5~3.0重量%とすることができる。
【0057】
本発明に用いる遮光シートは、耐候性に優れたものであることが好ましい。この耐候性は、本発明に用いる遮光シートが、主に屋外で使用されることから、紫外線に対して優れた耐候性を有することが好ましい。この指標としては、JIS L1096(2010)に準拠して強度や伸度を測定し、その加速試験を行った時の変化を用いることができる。耐候性評価用の強度や伸度には、試験機を用いて、試験片の幅は25mm、つかみ間隔は100mm、引張速度は100mm/分として、試験片数3つの平均値で求めることができる。加速試験は、メタルハライドランプ方式試験機により行い、連続照射にて、放射照度100mW/cm2(波長295~450nm)、BP温度63℃(±3℃)、湿度60RH%(±5%)で、100時間や、300時間、500時間照射する。この所定時間の照射後の強伸度を求める強度や伸度の保持率を指標とすることができる。本発明に用いる遮光シートとしては、強度や伸度の100時間保持率で80%以上が好ましい。また、300時間保持率で50%以上がより好ましい。また、500時間保持率で30%以上がさらに好ましい。
【0058】
[通風遮光ネット構造]
前述したような構造に基づいて、本発明の通風遮光ネット構造は、さらに季節や天候に応じた変形が可能なように設置しても良い。例えば、室外機の上部側で、遮光シートにより覆う範囲を可変に調整できるようなシート枠構造として、夏場はシート枠構造を上部に移動させて、遮光シートで閉じない範囲を上部に設けて通気口とし外気との循環性を向上させたり、冬場はシート枠構造を下降させて、室外機の吸込口周辺を遮光シートで十分に閉じるように覆うことで外気と循環しにくいものとして保温性を向上させることができる。
【実施例0059】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
[設置条件]
鹿児島県内のホテルの屋上に設置された2台の室外機を、室外機Aと、室外機Bとして、試験を行った。一方の室外機を対照試験として従来のままの通風遮光ネット構造等を設けずに使用するブランクとし、他方に本発明に係る通風遮光ネット構造を設置した実施例として、本発明による効果を確認する試験をおこなった。なお、運転条件や設置場所の影響を確認するために、AとBのブランク、実施例は運転時期により変更して試験した。
室外機(ダイキン社製「RZYP280AA」 高さ1680mm・幅930mm・奥行765mm)は、
図1に準ずる構成で、室外機上部に排気口を有し、側面と背面側に吸込口を有し、他の側面に点検口を有し、室外機下部に足場による空間があり室内機との配管が室外機下部の空間を介して設けられた構造である。
【0061】
[試験期間]
(1) 8/20~8/24(期間中平均気温28.75℃)
室外機A:実施例(通風遮光ネット構造あり)、室外機B:ブランク
(2) 9/7~9/11(期間中平均気温25.97℃)
室外機A:ブランク、室外機B:実施例(通風遮光ネット構造あり)
【0062】
[遮光シート]
黒色顔料を含有する高密度ポリエチレン樹脂組成物を用いて、ラッセル編み構造(打ち込み本数6本/インチ)の遮光シートを製造した。主な仕様は以下のものである。また、この遮光シートの外観を示す写真を
図6に示す。
・経糸:420デシテックス・モノフィラメント
・挿入糸:1060デシテックス・テープ状糸
・遮光率:85%
・強度:タテ方向920N、ヨコ方向935N
・伸度:タテ方向45%、ヨコ方向40%
・目付量:246g/m
2
・通気率:33.2%(通気量平均=8.41(m
3/h/20cm
2))
【0063】
[通風遮光ネット構造]
前記遮光シートを用いて、室外機の周囲に第一の実施形態に則った配置で通風遮光ネット構造を設けた。室外機の上面から、上面と並行の外方向四方に30cm延伸させて遮光シートを張るための遮光シート枠を設け室外機上面と並行方向の遮光シートを設けた。さらに室外機側面の吸込口、点検口面と対向するように室外機上面から延伸させた遮光シート枠の下部に鉛直方向の遮光シート枠を設けて、吸込口面、点検口面と対向する遮光シートを設けた。なお、各面の下方約30cmは配管等が設けられていることから開放状態とした。これにより、室外機の上面側の排気口面を開放し、室外機の上端から全体を覆うような構造で通風遮光ネット構造が設けられている。
・吸込口遮光部
前述した通風遮光ネット構造により、吸込口面と対向して隙間(距離d1)30cmの遮光シートが配置され吸込口遮光部をなす形態としている。
・吸排気短絡防止部
前述した通風遮光ネット構造により、室外機の上面と並行に延伸させた遮光シートが配置され吸排気短絡防止部をなす形態としている。
・室外機遮光部
前述した通風遮光ネット構造により、点検口面と対向して隙間30cmの遮光シートが配置され点検口遮光部をなす形態としている。
【0064】
[結果]
各室外機の消費電力を測定した結果を、
図7に示す。
図7には試験期間(横軸)における、経時的な電流の変化と、消費電力の積算である有効電力量とを示す。
図7の上段のグラフは、8/20~8/24の試験結果である。通風遮光ネット構造を設けた室外機Aの消費電力は173kWhであった。一方、従来のままの室外機Bは282kWhであった。本発明により室外機Aは約39%の消費電力の削減が達成された。
図7の下段のグラフは、9/7~9/11の試験結果である。通風遮光ネット構造を設けた室外機Bの消費電力は130kWhであった。一方、従来のままの室外機Aは203kWhであった。本発明により室外機Bは約36%の消費電力の削減が達成された。
このように、本発明の通風遮光ネット構造を設けることで、室外機が吸込む気流を温和なものとしたり、室外機自体の過熱を避けることで、室外機の負荷が抑制された。
【0065】
なお、これらの室外機に通風遮光ネット構造を設けて通年で運転した結果、夏場のみでなく冬場も従来の同時期よりも消費電力を抑えることができた。さらに、屋外に配置され使用しているが、1年程度の使用後も大きな外観上の変化はなくメンテナンスの負担も少なかった。
本発明によれば、室外機の運転負荷を抑制する通風遮光ネット構造が提供される。この通風遮光ネット構造を設けた室外機は、その運転負荷が抑制されて、使用電力の低減等にも資する。
前記高密度ポリエチレン樹脂組成物が、黒色顔料および、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の耐候剤からなる添加剤群から選択される少なくとも1以上を含有する請求項6記載の通風遮光ネット構造。