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特開2022-164941遠隔等で腕相撲等を可能にするコンピュータプログラム、装置及び方法
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  • 特開-遠隔等で腕相撲等を可能にするコンピュータプログラム、装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164941
(43)【公開日】2022-10-28
(54)【発明の名称】遠隔等で腕相撲等を可能にするコンピュータプログラム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/24 20060101AFI20221021BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20221021BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
A63F9/24 A
G06F3/01 560
A63B69/00 513Z
A63B69/00 513A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070058
(22)【出願日】2021-04-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 研究発表会での発表資料(2021.3.27)
(71)【出願人】
【識別番号】301062798
【氏名又は名称】ナレルシステム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村圭介
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA76
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555CB59
5E555DA24
5E555DA31
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遠隔等で腕相撲等を可能にするコンピュータプログラム、装置及び方法を実現すること
【解決手段】腕相撲において利用者が用いた力に関する値を測定し、デジタル値として別のコンピュータに送信することにより、利用者が相手と直接対面せずに腕相撲を行うことを可能にする。アームの、単位時間あたりの位相変動(位置的又は角度的)が大きくなりすぎないように制限する。作用点の角度的な位相を180度未満に制限する。利用者と相手とのそれぞれの位相のゲインがゼロサムになるように制御する。制限又は制御を、腕相撲の作用点又は該作用点を支えるアームにリンクされたモータ又はアクチュエータへの制御によって行う。単位時間ごとに、作用点のあるべき位相変動を求めてその位相変動が実現されるように制御する。前記作用点のあるべき位相変動を、前記単位時間内での利用者と相手との最大トルク差、仕事量(平均トルク)差又はその両方によって求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕相撲において利用者が用いた力に関する値を測定し、
デジタル値として別のコンピュータに送信することにより、
利用者が相手と直接対面せずに腕相撲を行うことを可能にする
コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記利用者又は該利用者の相手が用いた力によって位相が変わりうる
作用点もしくは該作用点を支えるアームの、
単位時間あたりの位相変動(位置的又は角度的)が大きくなりすぎないように
制限する
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記利用者又は該利用者の相手が用いた力によって変わりうる作用点の角度的な位相を
180度未満に制限する
請求項1又は2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記利用者と該利用者の相手とのそれぞれの位相のゲインがゼロサムになるように制御する
請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記制限又は制御を、
腕相撲の作用点又は該作用点を支えるアームにリンクされたモータ又はアクチュエータへの制御によって行う
請求項2から4のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
単位時間ごとに、
作用点のあるべき位相変動を求めて
その位相変動が実現されるように制御する
請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記作用点のあるべき位相変動を、
前記単位時間内での利用者と相手との最大トルク差、仕事量(平均トルク)差又はその両方によって求める
請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータプログラムを備えた
遠隔腕相撲対戦用装置。
【請求項9】
物理的に角度リミッタを構成した
請求項8に記載の遠隔腕相撲対戦用装置。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項のコンピュータプログラム、又は、請求項8~9のいずれか一項の装置を用いた
遠隔腕相撲対戦方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項のコンピュータプログラム、又は、請求項8~9のいずれか一項の装置を用いた、
遠隔での、あしずもう(開閉する力比べ)、しりずもう(押す力比べ)、前/後の頭部ずもう(押す力比べ)、ゆびずもう(押したり引いたりする力比べ)、本当の押し相撲(力とスタミナと駆け引きを争う)、複数の装置を設置して打撃戦(より早く、より多くの作用点又はいずれかの作用点をリミットまで押したほうが勝ちとするゲームルール等)、又は、これらの組合せである対戦方法。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項のコンピュータプログラム、又は、請求項8~9のいずれか一項の装置(ただし、いずれも、作用点を利用者が手前に引くゲームとする)を用い、
相手毎のトルクや仕事量についてのあらかじめ得られたデータを用いて相手役の引き具合をシミュレーションする
遠隔つなひき方法
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項のコンピュータプログラム、又は、請求項8~9のいずれか一項の装置(ただし、いずれも、作用点を利用者が手前に引くゲームとする)を用い、
釣りに見立てた際のトルクや仕事量についてのあらかじめ得られたデータを用いて相手役の引き具合をシミュレーションする
釣り体験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔等で腕相撲等を可能にするコンピュータプログラム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
状況の変化に対応するためのコンピュータプログラム、装置、方法等が実現されている(例、下記の特許文献1)。
しかし、遠隔等の腕相撲等に関連して生ずる必要な制御(安全、健康、福祉等のため)は需要があったにも関わらず、おこなえていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-171353 場コンディショニングシステム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、遠隔等で腕相撲等を可能にするコンピュータプログラム、装置及び方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため、
本発明は、
腕相撲において利用者が用いた力に関する値を測定し、
デジタル値として別のコンピュータに送信することにより、
利用者が相手と直接対面せずに腕相撲を行うことを可能にする
コンピュータプログラム
を提供する。
>これにより、利用者同士が離れていても対戦を可能にする。
>呼気や唾液等により感染しにくい「清潔な対戦」を日常的に可能とする。
【0006】
また、このコンピュータプログラムは、
前記利用者又は該利用者の相手が用いた力によって位相が変わりうる
作用点もしくは該作用点を支えるアームの、
単位時間あたりの位相変動(位置的又は角度的)が大きくなりすぎないように
制限する
ことが有利である。
:単位時間とは、例えば、10ms~100ms~1000msの間であり典型的には100msである。
:位相変動とは、例えば、1度~5度~45度の間であり典型的には5度である。
>これにより、利用者の実力差等による急激な位相変化による利用者の身体への危険性を
減少することができる。
【0007】
また、このコンピュータプログラムは、
前記利用者又は該利用者の相手が用いた力によって変わりうる作用点の角度的な位相を
180度未満に制限する
ことが有利である。
:180度未満とは、179度~160度~150度~120度~90度~60度~30度の
間であり、典型的には90度である。
>これにより、利用者の実力差等による大幅な位相変化による利用者の身体への危険性を
減少することができる。
【0008】
また、このコンピュータプログラムは、
前記利用者と該利用者の相手とのそれぞれの位相のゲインがゼロサムになるように制御する
ことができる。
:ゼロサムは、デジタル値でもよくアナログ値でもよい。いずれも、ゼロサムの誤差を一定範囲で許容するように制御することができる。
>これにより、遠隔等であっても相対の腕相撲と同様の矛盾の小さいゲーム世界を実現することができる。
【0009】
また、このコンピュータプログラムは、
前記制限又は制御を、
腕相撲の作用点又は該作用点を支えるアームにリンクされたモータ又はアクチュエータへの制御によって行う
ことができる。
:モータ又はアクチュエータとしては、サーボモータ、ステッピングモータ、その他のモータ、油圧シリンダ、バネ等を含む。
:「モータ又はアクチュエータへの制御」は、アナログ制御、デジタル制御又はその両方であってもよい。
>これによって機器を簡潔にできる場合がある。
【0010】
また、このコンピュータプログラムは、
単位時間ごとに、
作用点のあるべき位相変動を求めて
その位相変動が実現されるように制御する
ことが有利である。
>これにより遠隔の対戦においても必要なリアルタイム性が実現される。
【0011】
また、このコンピュータプログラムは、
前記作用点のあるべき位相変動を、
前記単位時間内での利用者と相手との最大トルク差、仕事量(平均トルク)差又はその両方によって求める
ことが有利である。
>これにより単位時間(=ゲームの部分時間)における現実的な勝敗(位相のゲイン/ロス量又は維持)をリアルタイムに実現することができる。
:最大トルクは、単位時間内でのモータの最大消費電流や負荷トルクを直接測定(モータ・ドライバ基盤の機能により出力)したり、トルク制限を単位時間の中で徐々に緩和し(=トルクを強め)ながら細かな位相変動を測定することを単位時間ごとに繰り返したり、することにより求めてもよい。
:仕事量は、求めたトルクを単位時間内で積分したりすることにより求めることができる。
:なお、これらは水泳や相撲やジョギングにおける同様のガジェット(別の実施形態)において最大トルクや仕事量や走った/泳いだ距離等を想定するために用いることができる。
:また、最大トルクは、単位時間の一部の時間(例えば単位時間の最初のK分の1時間)において位相(角度等)を電子プログラム的にサーボモータ(利用者の力に対して十分な位相維持能力をもつ)により固定したアームに加わる利用者からのトルクや圧力を、アームや作用点に機械的に付した圧力センサーやトルクセンサーで測定してもよい。作用点でなくアームの途中にセンサー等を付す場合、アームを利用者の力に応じた安定した湾曲率をもつ素材としたり、アームを節点のある二重構造として節点にかかる圧力等により、利用者からの力・トルクを測定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明は、
かかるコンピュータプログラムを備えた
遠隔腕相撲対戦用装置を提供する。
【0013】
この遠隔腕相撲対戦用装置は、
物理的に角度リミッタを構成する
ことが有利である。
>これにより電子的なエラーがおこっても、利用者の関節や拳などの安全性を確保することができる。
【0014】
また、本発明は、
かかるコンピュータプログラム、又は、かかる装置を用いた
遠隔腕相撲対戦方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、
かかるコンピュータプログラム、又は、かかる装置を用いた
遠隔での、あしずもう(開閉する力比べ)、しりずもう(押す力比べ)、前/後の頭部ずもう(押す力比べ)、ゆびずもう(押したり引いたりする力比べ)、本当の押し相撲(力とスタミナと駆け引きを争う)、複数の装置を設置して打撃戦(より早く、より多くの作用点又はいずれかの作用点をリミットまで押したほうが勝ちとするゲームルール等)、又は、これらの組合せである対戦方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、
かかるコンピュータプログラム、又は、かかる装置(ただし、いずれも、作用点を利用者が手前に引くゲームとする)を用い、相手毎のトルクや仕事量についてのあらかじめ得られたデータを用いて相手役の引き具合をシミュレーションする
遠隔つなひき方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、
かかるコンピュータプログラム、又は、かかる装置(ただし、いずれも、作用点を利用者が手前に引くゲームとする)を用い、釣りに見立てた際のトルクや仕事量についてのあらかじめ得られたデータを用いて相手役の引き具合をシミュレーションする
釣り体験方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による一実施例(サーボモータとスマートフォンで実現)を示す説明図(利用者側から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最も簡便な一実施形態(アクチュエータとセンサーはサーボモータ内臓のもののみ)について図1を用いて説明するが、アームの湾曲率を測定するセンサーや、アームの節点(いずれも図示しない別の実施形態)や作用点にかかる圧力や仕事量等を測定するセンサーを用いて利用者のその特定単位時間におけるトルクや仕事量を計算する実施形態も本発明に含まれる。
【0020】
A ガジェットの概要
スマートフォンとサーボモータと一軸アームを中心に構成したもっと簡便なガジェットの実施形態である。


B リアルタイム人対戦の制御アルゴリズムは次のような特徴をもつものとする。

B1)実力差があってもアームが高速回転しないようにする(サーボ制御)

B2)勝っても負けても45度以上曲がらないようにして手と関節等を守る

B3)N度(例:5度)毎にトルク制限値(サーボモータ等のモータ・ドライバ基盤等のソフトウエア機能)をM段階
で制御し、その現在の角度位相での勝敗を決める(5度ゲイン/ロス)
⇒別の実施形態では、モータ(サーボに限らない)への入力電圧を測定
することにより仕事量だけでなく、その角度位相での勝敗を決定する

B4)M段階で弱いトルクから強いトルクに遷移させ、利用者が負け始めた
らそれ以上のトルクをかけないようにして安全を確保しながら、利用者の
N度ロスを実現する(十分強いサーボモータにより)

B5)消費電圧(アナログ・デジタル両方)の積分等を測定してそのプレイ
ヤーの仕事量の概要を測定する


C 事後再現する人対戦のシミュレーションは次のような特徴をもつもとする。

C1)様々な人との様々な対戦データを蓄積する

C2)深層学習によりその人の戦術・戦略・実力を再現する

ア 位相ごとのその利用者の最大トルク
イ 対戦に使える最大仕事量
ウ どのようなときに特定の利用者がどのような発声・会話をするか?
エ 発声内容等はトルク等にどのように影響するか?(発声したほうが、よりつよい瞬間(単位時間)トルクが出るなど)
オ ゲーム内でのそれまでのゲーム展開ごとに利用者が次にどんな戦術を選ぶか
・攻める
・維持する
・負けてでも休む


D 日々のトレーニングの為のアルゴリズムは次のような特徴のあるものとする。
D1)それぞれの角度位相での最大トルクを向上させるメニュー
D2)毎日の仕事量の確保により運動不足等を解消するためのメニュー
D3)発声をスマホや音声でプロンプトすることにより、認知症の予防等に資する
D4)トレーニング中は、他のトレーニング中の人との会話をつないだりして生きがいの向上に資する(地域の腕相撲取りランキング等も表示)
D5)ネットと接続して日々のクイズ(雑学や専門分野)を出したり答えてもらったりできる


E 深層学習するデータと再現するパラメータの例としては次のようなものを採用する。

E1) ゲーム開始後の時点t(0.1秒単位)でのそれぞれのトルク

E2) 時点tでの角度位相

E3) 時点tでのそれぞれの仕事量の積分値

E4) 時点tでのそれぞれのトルクの加速度

E5) 時点tでのそれぞれの発声内容


F 釣りへの応用と「生きがい」補助機能としては次のようなものを実装する(別の実施形態)

F1)ガジェットの一方を魚釣りの「魚種に応じた引きと粘り」に対応した
ゲーム(健康促進)とする。魚以外も登場!

・クロダイ ・スズキ ・野ゴイ ・ヘラブナ ・クジラ ・ヒグマ

F2)対戦者との会話(スマホ)や地域ランキング(年齢・性別・体重等によるハンディ制御あり)による

・独居老人間の「対話」と「スポーツ」の盛り上げによる
・孤立の解消と「いきがい」の補助
【符号の説明】
【0021】
1 腕相撲端末
2 スマートフォン(対戦相手の様子を表示できる画面と操作できるタッチパネルと相手の音声等を再生できるスピーカを有し、サーバーとHTTPS、他のガジェットとP2P、等で通信する)
11 持ち手(木、金属、ゴムその他の樹脂等とそれに布や紙を巻きつけたものであってよい)
12 アーム(木、金属、樹脂等の他、各種素材のバネ等の弾性体でもよい。弾性体でない場合は、腕相撲の腕の傾斜方向に回転軸や回転平面が傾斜可能である(ある意味、3次元の持ち手軌跡を可能とする)ことが好ましい)
13 回転軸(金属製のピン、人骨型関節等、2/3次元の回転を実現したものであってよい)
14 減速ギア等を図示しない1つ以上のモータ等(アナログ/デジタルのサーボモータ、ステッピングモータ、ブラシつき/レスモータ等)
15 軸受け台座
16a 角度リミッタ1(垂直から45度。別の実施形態では30度、40度、50度、60度、66度、70度、75度、80度、85度付近であってもよい)
16b 角度リミッタ2(逆方向に45度。別の実施形態では30度、40度、50度、60度、66度、70度、75度、80度、85度付近であってもよい)
17 軸受け台座安定板(使うほうの手の肘や使わないほうの手をのせて安定させる)
18 中央コントローラ(モータ・アクチュエータ等を制御するデジタル・アナログ回路(モータ・ドライバ基盤等)を有する専用/汎用のコンピュータ)
19 モータ制御線・電力線等
20 中央コントローラとスマートフォンの間の通信路(USB/赤外線/WIFI等)
図1