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特開2022-164982是正処置活動の支援装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164982
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】是正処置活動の支援装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221024BHJP
   G06F 16/28 20190101ALI20221024BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06F16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070115
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田淵 淳也
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175FB04
5B175JA02
5L049AA06
5L049EE00
(57)【要約】
【課題】大量収集した状態報告(CR)に含まれる自由記述式の文書形式の入力データの統計的な解析を可能にする是正処置活動の支援技術を提供する。
【解決手段】支援装置20において、第1端末11から第1情報41を受信しデータベース21に蓄積させる第1送受信部22aと、第1情報41を第2端末12に送信しこの第2端末12で入力された第2情報42を受信しデータベース21に蓄積させる第2送受信部22bと、情報41,42に含まれる入力データ54を指定した抽出条件51を第2端末12から取得する取得部52と、指定条件51で指定された指定データ64とその他の分解データ62との関連性を解析する解析部56と、解析結果を視覚化したレポート58を作成し第2端末12に表示させる作成部57と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末に表示される起票フォームに入力された第1情報を受信し蓄積させる第1送受信部と、
前記第1情報を第2端末に送信し、この第2端末に表示されるレビューフォームに入力された第2情報を受信し、この第2情報を前記第1情報にリンクして蓄積させる第2送受信部と、
前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報に含まれる入力データのうち文章データをワード単位の分解データに分解する分解部と、
前記分解データのいずれかを検索により指定する指定条件を前記第2端末から取得する条件取得部と、
前記指定条件で複数の前記分解データから指定された指定データとその他の分解データとの関連性を解析する解析部と、
前記解析結果を視覚化したレポートを作成し、前記第2端末に表示させる作成部と、を備える是正処置活動の支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の是正処置活動の支援装置において、
前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報を第3端末に送信し、この第3端末に表示される前記レビューフォームに入力された第3情報を受信し、この第3情報をさらに前記リンクさせて蓄積させる第3送受信部と、を備え、
前記第3情報に含まれる前記入力データの前記文章データも前記分解データに分解され、
前記指定条件は、前記第3情報の前記分解データも前記関連性の解析対象に含める是正処置活動の支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の是正処置活動の支援装置において、
前記起票フォーム又は前記レビューフォームにおける前記入力データは、予め登録されている複数の選択肢から選択された選択データも含み、
前記指定データとの前記関連性が解析される前記選択データを、前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報から抽出する抽出部、を備える是正処置活動の支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の是正処置活動の支援装置において、
前記指定データと前記選択データがメイングループを形成し、前記選択データと前記その他の分解データとがサブグループを形成するように、前記レポートが作成される是正処置活動の支援装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の是正処置活動の支援装置において、
前記入力データの採択条件も前記第2端末から併せて取得し、
前記採択条件で採択された前記入力データを含む前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報の前記分解データが前記関連性の解析対象となる是正処置活動の支援装置。
【請求項6】
第1端末に表示される起票フォームに入力された第1情報を受信し蓄積させるステップと、
前記第1情報を第2端末に送信し、この第2端末に表示されるレビューフォームに入力された第2情報を受信し、この第2情報を前記第1情報にリンクして蓄積させるステップと、
前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報に含まれる入力データのうち文章データをワード単位の分解データに分解するステップと、
前記分解データのいずれかを検索により指定する指定条件を前記第2端末から取得するステップと、
前記指定条件で複数の前記分解データから指定された指定データとその他の分解データとの関連性を解析するステップと、
前記解析結果を視覚化したレポートを作成し、前記第2端末に表示させるステップと、を含む是正処置活動の支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、
第1端末に表示される起票フォームに入力された第1情報を受信し蓄積させるステップ、
前記第1情報を第2端末に送信し、この第2端末に表示されるレビューフォームに入力された第2情報を受信し、この第2情報を前記第1情報にリンクして蓄積させるステップ、
前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報に含まれる入力データのうち文章データをワード単位の分解データに分解するステップ、
前記分解データのいずれかを検索により指定する指定条件を前記第2端末から取得するステップ、
前記指定条件で複数の前記分解データから指定された指定データとその他の分解データとの関連性を解析するステップ、
前記解析結果を視覚化したレポートを作成し、前記第2端末に表示させるステップ、を実行させる是正処置活動の支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不適合事象や安全に影響を及ぼす可能性のある問題点に対する是正処置活動の支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設では、保安に関する品質保証活動を、品質マネジメント文書に記載された各種ルールに基づいて実施している。そして、是正処置活動(CAP:Corrective Action Program)を展開し、このルールの要求事項を満たさない不適合事象や安全に影響を及ぼす可能性のある問題点を吸い上げて、確実に是正される仕組みを構築している。
【0003】
このCAP活動は、原子力施設の業務に従事する要員が、本来あるべきでないと気付いた現場の状態を、状態報告(CR:Condition Report)で指摘することから始まる。このCRは、業務に従事する全ての要員(協力会社も含む)が提出でき、これら要員の活動を通して得た全ての気付きを幅広く収集することを目的とする。
【0004】
提出された個々のCRに対し、記載された現場の状態が将来もたらす可能性のあるリスクを想定し、その重要性に基づいて分類するスクリーニングが行なわれる。この重要性に基づく分類は、品質(原子力安全のパフォーマンス)に影響を及ぼす状態(CAQ:Condition Adverse to Quality)であるか、そのような影響を及ぼさない状態(Non-CAQ)であるかに基づいて決定される。
【0005】
そしてCAQに分類されたCRは、是正処置管理に移され、指摘された現場状態を処置する担当部門が決定されたうえで、その対策の計画・進捗がCAP活動の一環としてフォローされる。一方においてNon-CAQに分類されたCRは、必要に応じて問題の原因を特定しその改善を図るが、CAP活動から除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6672514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CAP活動が活発になるにしたがい、不適合情報に加えて、気付き、監査やパトロール等の所見、協力会社からの情報等、提出される状態報告(CR)が大幅に増加している。そしてこのCAP活動の一環として、収集された大量の状態報告(CR)の入力データを統計的に処理し、原子力施設の状態の分析及び把握を行っている。
【0008】
しかし、入力データを利用しての統計的な解析は、プルダウンメニュー形式の選択肢型の入力データを対象とするものであった。このため、自由記述式の文書形式の入力データは、統計的な解析の対象から外れている課題があった。
【0009】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、大量収集した状態報告(CR)に含まれる自由記述式の文書形式の入力データの統計的な解析を可能にする是正処置活動の支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る是正処置活動の支援装置は、第1端末に表示される起票フォームに入力された第1情報を受信し蓄積させる第1送受信部と、前記第1情報を第2端末に送信しこの第2端末に表示されるレビューフォームに入力された第2情報を受信しこの第2情報を前記第1情報にリンクして蓄積させる第2送受信部と、前記第1情報及びこれにリンクする前記第2情報に含まれる入力データのうち文章データをワード単位の分解データに分解する分解部と、前記分解データのいずれかを検索により指定する指定条件を前記第2端末から取得する条件取得部と、前記指定条件で複数の前記分解データから指定された指定データとその他の分解データとの関連性を解析する解析部と、前記解析結果を視覚化したレポートを作成し、前記第2端末に表示させる作成部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態により、大量収集した状態報告(CR)に含まれる自由記述式の文書形式の入力データの統計的な解析を可能にする是正処置活動の支援技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る是正処置活動の支援装置を適用したシステムの全体イメージ図。
図2】本発明の実施形態に係る是正処置活動の支援装置のブロック図。
図3】第1端末に表示される起票フォームのイメージ図。
図4】(A)(B)第2端末及び第3端末に表示されるレビューフォームのイメージ図。
図5】第2端末に表示されるレポート作成フォームのイメージ図。
図6】共起ネットワークで統計的にデータ解析して作成したレポートのイメージ図。
図7】タグクラウドで統計的にデータ解析して作成したレポートのイメージ図。
図8】クラスタ分析で統計的にデータ解析して作成したレポートのイメージ図。
図9】(A)(B)(C)統計的なデータ解析の結果から集計したグラフのイメージ図。
図10】(A)(B)統計的なデータ解析の結果から集計したグラフのイメージ図。
図11】本発明の実施形態に係る是正処置活動の支援方法及び是正処置活動の支援プログラムの処理順序を説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る是正処置活動の支援装置20(以下、単に「支援装置20」という)を適用したシステム10の全体イメージ図である。このシステム10は、事業会社が運用する管理サーバ(支援装置20)と、現場状態の気付きを状態報告(CR:Condition Report)で指摘するCR提出者の第1端末11(11a,11b,11c,11d)と、提出された個々の状態報告CRを重要性に基づき分類するスクリーニング部門の第2端末12と、この分類で是正処置が必要とされた(CAQに分類された)状態報告CRの処置担当部門の第3端末13と、が通信ネットワーク15に接続して構成される。
【0014】
ここで、管理サーバ(支援装置20)、スクリーニング部門の第2端末12、処置担当部門の第3端末13は、事業会社で管理されるものである。そして、CR提出者の第1端末11(11a,11b,11c)は、事業会社で管理される第1端末11dとは別に、協力会社A,B,Cで管理されるものである。
【0015】
なおここで、第1端末11、第2端末12及び第3端末13の各々は、それぞれCR提出者としての権限を有する者、スクリーニング部門の権限を有する者、及び処置担当部門の権限を有する者が、通信ネットワーク15を介して管理サーバ(支援装置20)にログインした端末を指す。したがって、第1端末11、第2端末12及び第3端末13は、物理的に三台存在することを意味するわけでなく、それぞれの権限を有する者がログインできるものであれば、台数に限定はない。
【0016】
原子力施設で展開される是正処置活動(CAP:Corrective Action Program)は、業務に従事する全ての要員から幅広く状態報告CRを収集することにしている。CR提出者の第1端末11が、事業会社だけでなく協力会社でも管理されることにより、現場等における気付きを幅広く収集することができる。これにより、品質マネジメント文書に記載された各種ルールの要求事項を満たさない不適合事象や安全に影響を及ぼす可能性のある問題点を、漏らすことなく吸い上げて、確実に是正する。
【0017】
図2は本発明の実施形態に係る支援装置20のブロック図である。このように支援装置20は、第1端末11に表示される起票フォーム23(図3)に入力された第1情報41を受信しデータベース21に蓄積させる第1送受信部22aと、第1情報41を第2端末12に送信しこの第2端末12に表示されるレビューフォーム25a(図4(A))に入力された第2情報42を受信しこの第2情報42を第1情報41にリンクしてデータベース21に蓄積させる第2送受信部22bと、第1情報41及びこれにリンクする第2情報42に含まれる入力データ54(図3図4)のうち文章データ61をワード単位の分解データ62に分解する分解部50と、分解データ62のいずれかを検索により指定する指定条件51(図5)を第2端末12から取得する条件取得部52と、指定条件51で複数の分解データ62から指定された指定データ64とその他の分解データ62との関連性を解析する解析部56と、解析結果を視覚化したレポート58(図6図8)を作成し第2端末12に表示させる作成部57と、を備えている。
【0018】
さらに、支援装置20は、第1情報41及びこれにリンクする第2情報42を第3端末13に送信しこの第3端末13に表示されるレビューフォーム25b(図4(B))に入力された第3情報43を受信しこの第3情報43をさらにリンクさせてデータベース21に蓄積させる第3送受信部22cと、を備えている。そして、この第3情報43に含まれる入力データ54の文章データ61も分解データ62(図3)に分解され、指定条件51(図5)は、第3情報43の分解データ62も関連性の解析対象に含めることができる。そして、レポート作成部57は、第3情報43の分解データ62も含めて統計的に解析しレポート58を作成することができる。
【0019】
なお、第1送受信部22a、第2送受信部22b、第3送受信部22cは、論理構成的に分離されているにすぎず、物理構成的には支援装置20と通信ネットワーク15との間でデータ交換を行う送受信回路22からなる。
【0020】
データリンク部29は、これら端末11,12,13の各々から通信ネットワーク15を介して支援装置20に送信された第1情報41、第2情報42、第3情報43を、関連するもの同士でリンクさせ一つのレコードとして、データベース21に蓄積するものである。
【0021】
この支援装置20は、図示を省略するが、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するCPUと、ROM及びRAMで構成される主記憶部と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部と、ネットワークカードなどで構成される通信制御部と、キーボードやマウスなどの入力部と、モニタなどの出力部とで構成される。
【0022】
そして支援装置20の各機能は、CPUや主記憶部の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPUの制御の下で通信制御部や入力部、出力部などを動作させ、主記憶部や補助記憶部におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベース21は主記憶部や補助記憶部内に格納される。なお実施形態においてこのデータベース21は、支援装置20の内部に構築されているが、通信ネットワーク15上の他のデバイスに構築される場合もある。
【0023】
CR提出者の第1端末11、スクリーニング部門の第2端末12、処置担当部門の第3端末13は、インターネット等の通信ネットワーク15上のサイトを閲覧することができるブラウザを標準搭載している汎用コンピュータを使用することができる。これら端末11,12,13の各々は、通信ネットワーク15に接続することができる環境にあれば設置場所は限定されない。端末11,12,13からそれぞれ権限を有する者がシステムにログインする際の認証に必要なIDとパスワードが、支援装置20に予め登録されている。
【0024】
図3は第1端末11に表示される起票フォーム23のイメージ図である。原子力施設の従業員は、日常活動を通して本来あるべきでない姿の気付きを得た場合、CR提出者として第1端末11(図2)から支援装置20にアクセスする。そして、この第1端末11から第1要求信号31(図2)が発信されると、支援装置20から第1端末11に起票フォーム23が送信され表示部に表示される。なお、この起票フォーム23は、通信ネットワーク15を介して第1端末11に送信される場合の他に、第1端末11に予めインストールされているソフトウェアによって表示される場合がある。
【0025】
そして、このCR提出者は、第1端末11の入力部(図2)から第1情報41(状態報告CR)をこの起票フォーム23に入力する。この第1情報41は、具体的には、図3の起票フォーム23に示される、CR指摘事象の「件名」「発見日」「報告者」「発見場所」「一時処置」「詳細情報」といった入力データ54の集合体である。
【0026】
入力データ54は、予め登録されている複数の選択肢から選択される選択データ65と、キーボード等の文字入力手段により自在に作成される文章データ61とに、大きく分類される。なお選択データ65のうち「会社」「プラント」「ユニット」等は、プルダウンメニューに選択肢が一覧されている。そして、選択データ65のうち「一時処置」は選択肢のそれぞれに選択ボタンが配置されている。
【0027】
この「一時処置」は、CR提出者が気付いた事象に対し、一時処置を「完了」したか、「未完了」であるか、「不要」であるかを選択して入力する項目である。このように起票フォーム23(図3)の各項目を入力後、「申請」ボタンを押すことで、第1情報41が第1端末11から第1送受信部22aに送信され、データベース21に蓄積される。
【0028】
図4(A)(B)は第1端末11及び第2端末12に表示されるレビューフォーム25のイメージ図である。なお図4(A)と図4(B)は、レビューフォーム25(25a,25b)の連続するイメージを表している。スクリーニング部門の担当者は、定期的に第2端末12(図2)から支援装置20にアクセスする。もしくは新規の第1情報41がデータベース21に蓄積される度に、そのことを知らせるCR受理通知(図示略)が第2端末12に発信されるようにしてもよい。
【0029】
そして、この第2端末12から第2要求信号32(図2)が発信されると、支援装置20から第1情報41と共にレビューフォーム25が送信され表示部に表示される。なお、このレビューフォーム25は、通信ネットワーク15を介して第2端末12に送信される場合の他に、第2端末12に予めインストールされているソフトウェアによって表示される場合がある。
【0030】
そして、このスクリーニング部門の担当者は、第2端末12の入力部(図2)から第2情報42をこのレビューフォーム25aに入力する。この第2情報42は、具体的には、図4(A)のレビューフォーム25aに示される、「CAQ分類」、「分類コード」、「担当」といった入力データ54の集合体である。なお、図4(A)において入力データ54は、選択データ65のみ例示されているが、文章データ61が含まれる場合もある。
【0031】
「CAQ分類」に入力する項目は、CR指摘事象が、品質(原子力安全のパフォーマンス)に影響を及ぼす状態(CAQ:Condition Adverse to Quality)であるか、そのような影響を及ぼさない状態(Non-CAQ)であるかに基づいて決定される。そしてCAQに分類された場合は、さらに「担当」の項目において担当部門が決定され、CR指摘事象の是正処置の対策(計画策定及びその進捗状況)が監視される。なおリスク及び不確実性の観点から、CAQの分類を重要性に応じて「高」「中」「低」に細分化することができる。一方においてNon-CAQに分類された場合は、担当部門が決定されず、CAP活動から除外される。
【0032】
入力データ54のうち選択データ65は、レビューフォーム25において、予め登録されている複数の中からが選択することができる。実施形態において「分類コード」は、「プロセス」「事象」「原因」「設備信頼性」「安全文化」のように項目38が複数設定されており、それぞれの項目38において予め登録されている複数の入力値39から択一的に入力データ54(選択データ65)が選択される。また、これら項目38の入力値39は、このように選択肢から指定されるものである場合の他に直接入力した文字である場合もある。
【0033】
そして、第2端末12でレビューフォーム25aの「CAQ分類」、「分類コード」、「担当」にデータが入力され、「登録」ボタンが押されると、これら入力データ54を含む第2情報42がデータベース21に蓄積される。
【0034】
図2に戻って説明を続ける。処置担当部門の担当者は、定期的に第3端末13から支援装置20にアクセスする。第3端末13から第3要求信号33が発信されると、この第3要求信号33に含まれる第3端末13の識別データ(処置担当部門の権限を有する者のID)と第2情報42に含まれる識別データ(「担当」の入力データ54;図4(A))とが対比される。そして、両者が一致するものが複数ある場合は、択一的に選択された第2情報42及びこれにリンクする第1情報41と共にレビューフォーム25が第3送受信部22cから第3端末13に送信され表示部に表示される。
【0035】
なお、このレビューフォーム25は、通信ネットワーク15を介して第3端末13に送信される場合の他に、第3端末13に予めインストールされているソフトウェアによって表示される場合がある。また新規の第2情報42(図2)がデータベース21に蓄積される度に、該当する「担当」の入力データ54を持つ第3端末13に向けてそのことを知らせる受理通知(図示略)が発信されるようにしてもよい。
【0036】
そして、この処置担当部門の担当者は、第3端末13の入力部から第3情報43をレビューフォーム25bに入力する。この第3情報43は、具体的には、図4(B)のレビューフォーム25bに示される、「分析」「対策」「期限」の項目で入力された入力データ54の集合体である。なお第3端末13に表示されるレビューフォーム25において、「CAQ分類」、「分類コード」、「担当」の項目は、入力が制限されている。
【0037】
「分析」の項目にはCR指摘事象が発生した理由の分析結果が文章データ61として入力される。「対策」にはCR指摘事象を是正するための具体的な計画策定及び計画の進捗状況が文章データ61として入力される。そして「期限」には、是正処置の完了予定時期が入力される。これら入力データ54は、時間経過に従ってCR指摘事象への取り組みが進展するたびに、第3端末13から更新されるものである。
【0038】
第2端末12(図2)は、第3端末13がレビューフォーム25に入力した第3情報43を、随時閲覧することができる。レビューフォーム25には、「ステータス」の項目において複数の段階(「スクリーニング」「是正処置」「完了」)を表示するボタンが配置されている。それぞれの「ステータス」の段階は、CR指摘事象に対する一連のCAP活動の進行状況を示している。これら「ステータス」(の入力データ54)は、第2情報42に含められ、データベース21に蓄積される。
【0039】
図示される「ステータス」は、「スクリーニング」「是正処置」「完了」の三種類の段階が例示されているが、第1情報41が受理されてから是正処置が完了するまでの段階的なステータスを表すことができればこの段階の数に限定は無い。
【0040】
図5は第2端末12に表示されるレポート作成フォーム48のイメージ図である。図6は共起ネットワークで統計的にデータ解析して作成したレポート58aのイメージ図である。図7はタグクラウドで統計的にデータ解析して作成したレポート58bのイメージ図である。図8はクラスタ分析で統計的にデータ解析して作成したレポート58cのイメージ図である。
【0041】
CAP活動が展開されていくに従い、相互にリンクする第1情報41、第2情報42及び第3情報43を単位とするレコードが、データベース21(図2)に蓄積されていく。そして、大量に蓄積された情報41,42,43のレコードを統計的に解析し、その結果をレポート58(58a,58b,58c)に表示して、原子力施設の状態の分析及び把握が行なわれる。
【0042】
図2に戻って説明を続ける。
分解部50は、起票フォーム23(図3)で入力された第1情報41及びこれにリンクしてレビューフォーム25(図4)で入力された第2情報42(及び第3情報43)に含まれる入力データ54のうち文章データ61を、データベース21から抽出する。そして、図3の下側に示すように、抽出された文章データ61を、ワード単位の分解データ62に分解する。
【0043】
ところで、文章データ61の抽出は、データベース21に大量に蓄積されている第1情報41及び第2情報42の中から「○○が△△した」とか「○○を△△した」などのトラブル(イベント)を表す文章データ61を選択的の検索・抽出するようになっている。このように、主体(○○)と事象(△△)がセットになった文章データ61だけを検索することで有用な文章データ61のみを抽出することができ、情報ノイズを削減することができる。
【0044】
第2端末12では、レポート作成フォーム48(図5)の指定条件51の「検索ワード」の欄に指定データ64を入力し、複数の分解データ62の中から一つを指定データ64に指定する。条件取得部52は、この第2端末12で「検索ワード」が指定された指定条件51を取得する。
【0045】
解析部56は、指定条件51で指定された指定データ64とその他の分解データ62との関連性を解析するものである。具体的に適用される統計的な解析手法として、共起ネットワーク(図6)、タグクラウド(図7)、クラスタ解析(図8)が例示されるが、適用される解析手法はこれらに限定されない。
【0046】
ここで図6に示す、共起ネットワークは、指定データ64(ここでは「紛失」)に対し、出現パターンの似通ったその他の分解データ62(ここでは、クリアファイル、クリップ、コピー等)を線で結んだものである。なお、図6ではさらに、その他の分解データ62をワードの種別(モノ、アクション、弱み)で分岐してサブグループ化したものを例示している。
【0047】
他方において、このようなサブグループ化は、起票フォーム23又はレビューフォーム25における入力データ54の選択肢である選択データ65で分岐することもできる。この場合、支援装置20は、抽出部53において、指定データ64との関連性を解析する選択データ65を、データベース21から抽出する。これにより、指定データ64が中心となり結ばれる選択データ55の群がメイングループを形成する。そして、それぞれの選択データ55が中心となり結ばれるその他の分解データ62の群がサブグループを形成する。
【0048】
図7に示すタグクラウドは、語彙(分解データ62)の出現頻度に応じて語彙を提示したものである。図8に示すクラスタ解析は、教師なし学習で類似の語彙のグルーピングしたものである。作成部57は、レポート作成フォーム48(図5)の指定条件51の「レポート種類」の設定に従って、図6から図8に示されるような、解析結果を視覚化したレポート58を作成し第2端末12に表示させる。
【0049】
ところで図5に示される採択条件55は、情報41,42,43のレコードに含まれる入力データ54(図3図4)を指定し、統計的な解析を行うデータ範囲を決定するものである。この入力データ54の指定は、起票フォーム23やレビューフォーム25に含まれる項目38(図4(A))及び/又はそれぞれの項目38の入力値39を指定することによる。そしてレポート作成フォーム48(図5)において、採択条件55は、論理積(AND)、論理和(OR)及び否定(NOT)で「入力データ」を組み合わせて指定できる。さらに情報41,42,43のレコードが作成された「データ期間」も採択条件55とすることができる。
【0050】
条件取得部52は、レポート作成フォーム48(図5)で入力された指定条件51と併せて採択条件55も第2端末12から取得する。そして、分析部56において、採択条件55で採択された入力データ54を含む第1情報41及びこれにリンクする第2情報42の分解データ62が関連性を統計的に解析する対象となる。
【0051】
図5に示すように、第2端末12のレポート作成フォーム48の隣接する位置には、検索情報リスト37が表示されている。レポート作成フォーム48の指定条件51の「検索ワード」に指定データ64を入力すると、データベース21に蓄積されている第1情報41及び第2情報42のなかからこの指定データ64を含む文章データ61が検索されリスト表示される。
【0052】
図5に示される指定条件51の「レポート種類」は、作成されるレポート58(58a,58b,58c)の種類を指定するものである。さらにレポート58の種類として、図6から図8に示されるような統計的なデータ解析の結果から、例えば、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、散布図、レーダ図及びこれらの組み合わせ等によって、図9図10に示されるように集計したグラフを作成することができる。
【0053】
図11のシーケンス図に基づいて実施形態に係る是正処置活動の支援方法及び是正処置活動の支援プログラムの処理順序を説明する(適宜、図2参照)。CR提出者は、現場等においてあるべきでない状態に気付いた場合(S11)、第1端末11に表示される起票フォーム23(図3)に第1情報41を入力する。この第1情報41は、支援装置20において受信され(S12)、データベース21に蓄積される(S13)。そして、この第1情報41は、支援装置20から第2端末12に送信される(S14)。
【0054】
スクリーニング部門では、第2端末12に表示されるレビューフォーム25a(図4(A))に第2情報42を入力する(S15)。そして、この第2情報42は、支援装置20において受信され(S16)、第1情報41にリンクしてデータベース21に蓄積される(S17)。そして、支援装置20は、第1情報41及びこれにリンクする第2情報42を第3端末13に送信する(S18)。
【0055】
処置担当部門では、第3端末13に表示されるレビューフォーム25b(図4(B))に第3情報43を入力する(S19)。そして、この第3情報43は、支援装置20において受信され(S20)、第1情報41及び第2情報42にリンクしてデータベース21に蓄積される(S21)。そして、このデータベース21に蓄積される入力データ54(図3図4)のうち文章データ61がワード単位の分解データ62に分解される(S22)。
【0056】
スクリーニング部門では、第2端末12に表示されるレポート作成フォーム48(図5)において、複数の分解データ62から検索して指定データ64にする指定条件51を設定する(S23)。そして、この指定条件51は、支援装置20において取得される(S24)。支援装置20では、指定データ64とその他の分解データ62との関連性を解析する(S25)。そして、支援装置20において、解析結果を視覚化したレポート58を作成し(S26)、第2端末12に表示させる(S27、END)。
【0057】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の是正処置活動の支援装置によれば、入力データのうち文章データをワード単位の分解データに分解し、その中から指定された指定データとその他の分解データとの関連性を示したレポートを作成することにより、大量収集した状態報告(CR)に含まれる自由記述式の文書形式の入力データの統計的な解析を可能にする。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0059】
また是正処置活動の支援プログラムは、ROM等に予め組み込んで提供したり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供したりするようにしてもよい。もしくは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。また、是正処置活動の支援装置は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、通信ネットワーク又は専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【符号の説明】
【0060】
10…システム、11(11a,11b,11c,11d)…第1端末、12…第2端末、13(13a,13b,13c)…第3端末、15…通信ネットワーク、20…是正処置活動の支援装置、21…データベース、22…送受信回路、22a…第1送受信部、22b…第2送受信部、22c…第3送受信部、23…起票フォーム、25…レビューフォーム、29…データリンク部、31…第1要求信号、32…第2要求信号、33…第3要求信号、37…検索情報リスト、38…項目、39…入力値、41…第1情報、42…第2情報、43…第3情報、48…レポート作成フォーム、50…文章データ分解部(分解部)、51…指定条件、52…条件取得部、53…選択データ抽出部(抽出部)、54…入力データ、55…採択条件、56…解析部、57…レポート作成部(作成部)、58(58a,58b,58c,58d)…レポート、61…文章データ、62…分解データ、64…指定データ、65…選択データ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11