(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164992
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】車載用制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20221024BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20221024BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221024BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H02J1/00 309D
H02J3/14
H02J7/00 P
B60R16/02 645D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070137
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】日野 良一
【テーマコード(参考)】
5G066
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G066KA11
5G066KB06
5G066KD01
5G165BB02
5G165CA01
5G165EA02
5G165GA09
5G165HA01
5G165KA04
5G165LA01
5G165NA10
5G503AA07
5G503BB01
5G503CA11
5G503FA06
5G503GD07
(57)【要約】
【課題】電圧低下時に保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制するための動作を、重要度の高い負荷への影響を抑えつつ実行する。
【解決手段】車載用制御装置1は、電圧検出部10A,10Bと、選択部と、を備える。電圧検出部10A,10Bは、電源部90に基づく電力が伝送される経路において電圧を検出する。選択部は、電圧検出部10A,10Bによって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、検出電圧に基づいて遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択する。選択部は、複数の遮断対象負荷の各々に対応付けて定められた重要度に基づき、重要度の低い負荷を優先させて停止負荷を選択する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、
保護対象負荷と、複数の遮断対象負荷と、を含む複数の負荷と、
を有する車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
前記電源部に基づく電力が伝送される経路において電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、前記検出電圧に基づいて複数の前記遮断対象負荷の中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択する選択部と、
を備え、
前記選択部は、複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けて定められた重要度に基づき、前記重要度の低い前記負荷を優先させて前記停止負荷を選択する
車載用制御装置。
【請求項2】
複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けて、各々を停止させた場合の電圧上昇効果を示す電圧値がそれぞれ定められており、
前記選択部は、前記基準電圧を基準とした前記検出電圧の低下度合いと、複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けられた前記電圧値とに基づいて前記停止負荷を選択する
請求項1に記載の車載用制御装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記電圧上昇効果の加算値が前記低下度合いを上回るように前記遮断対象負荷を選択する
請求項2に記載の車載用制御装置。
【請求項4】
前記選択部は、車両内の複数の検出位置で電圧を検出し、いずれかの前記検出位置で検出される検出電圧が前記基準電圧以下に低下した場合に、前記基準電圧以下に低下した前記検出位置で得られた検出電圧に基づいて前記停止負荷を選択する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【請求項5】
前記車載システムは、複数の電源ボックスを有し、
前記電源ボックスの各々は、前記電源部から供給された電力を複数の前記負荷に分配し、
前記電圧検出部は、複数の前記電源ボックスの各々に設けられ、前記電源ボックス内の経路の電圧を検出する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【請求項6】
前記検出電圧が前記基準電圧以下に低下した後、前記検出電圧が安定状態となった場合に、前記重要度に基づき、前記選択部によって選択された前記停止負荷のうち電力の供給を復帰させる復帰負荷を選択する復帰負荷選択部を備える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車用搭載電源回路網におけるエネルギー供給システムが開示されている。特許文献1は、バッテリが弱くなるか故障している場合、新たな負荷を接続すると、システムにおいて電圧の急激な降下が起こることを課題としている。この課題を解決すべく、特許文献1では、必要のない負荷を補助的に接続しておき、新たな負荷が接続されると、補助的に接続された負荷を自動的に遮断することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術を応用することで、出力電圧が低下した場合に、予め定められた保護対象負荷へ供給される電力が不足しないように、その他の負荷を遮断させることが考えられる。また、その他の負荷が複数存在する場合には、重要度の高い負荷への影響を抑えることが望ましい。
【0005】
そこで、本開示は、電圧低下時に保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制するための動作を、重要度の高い負荷への影響を抑えつつ実行しうる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用制御装置は、
電源部と、
保護対象負荷と、複数の遮断対象負荷と、を含む複数の負荷と、
を有する車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
前記電源部に基づく電力が伝送される経路において電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、前記検出電圧に基づいて複数の前記遮断対象負荷の中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択する選択部と、
を備え、
前記選択部は、複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けて定められた重要度に基づき、前記重要度の低い前記負荷を優先させて前記停止負荷を選択する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電圧低下時に保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制するための動作を、重要度の高い負荷への影響を抑えつつ実行しうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車載システムの構成を概略的に示す回路図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の車載システムを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の対応関係データを概念的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の遮断用処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態の復帰用処理のフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態の遮断用処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、第3実施形態の遮断用処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、第4実施形態の遮断対象負荷のグループを概念的に示す説明図である。
【
図9】
図9は、第5実施形態のグループ閾値を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕電源部と、保護対象負荷と、複数の遮断対象負荷と、を含む複数の負荷と、を有する車載システムに用いられる車載用制御装置であって、前記電源部に基づく電力が伝送される経路において電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部によって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、前記検出電圧に基づいて複数の前記遮断対象負荷の中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択する選択部と、を備え、前記選択部は、複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けて定められた重要度に基づき、前記重要度の低い前記負荷を優先させて前記停止負荷を選択する車載用制御装置。
【0011】
この車載用制御装置は、電圧検出部によって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、複数の遮断対象負荷の中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択することで、電圧低下時に保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制することができる。しかも、この車載用制御装置は、電圧低下が生じた場合に、保護対象負荷への電力が低下することを抑えるために、重要度の低い負荷を優先的に停止させることができる。よって、電圧低下時に保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制するための動作を、重要度の高い負荷への影響を抑えつつ実行しうる。
【0012】
〔2〕複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けて、各々を停止させた場合の電圧上昇効果を示す電圧値がそれぞれ定められており、前記選択部は、前記基準電圧を基準とした前記検出電圧の低下度合いと、複数の前記遮断対象負荷の各々に対応付けられた前記電圧値とに基づいて前記停止負荷を選択する〔1〕に記載の車載用制御装置。
【0013】
この構成によれば、検出電圧の低下度合いに見合った停止負荷の選択を演算によって導き出すことができるため、検出電圧の低下度合いに見合った停止負荷の選択を迅速に行うことができる。
【0014】
〔3〕前記選択部は、前記電圧上昇効果の加算値が前記低下度合いを上回るように前記遮断対象負荷を選択する〔2〕に記載の車載用制御装置。
【0015】
この構成によれば、検出電圧の低下度合いを上回る電圧上昇効果を得るための停止負荷の選択を迅速に行うことができる。
【0016】
〔4〕前記選択部は、車両内の複数の検出位置で電圧を検出し、いずれかの前記検出位置で検出される検出電圧が前記基準電圧以下に低下した場合に、前記基準電圧以下に低下した前記検出位置で得られた検出電圧に基づいて前記停止負荷を選択する〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【0017】
この構成によれば、電圧低下の原因により近い位置で検出した電圧に基づいて停止負荷を選択することができるため、検出電圧の実際の低下度合いと演算によって導き出した低下度合いとで誤差が生じにくい。したがって、選択する停止負荷が不足すること、及び選択する停止負荷が過剰となることを抑制することができる。
【0018】
〔5〕前記車載システムは、複数の電源ボックスを有し、前記電源ボックスの各々は、前記電源部から供給された電力を複数の前記負荷に分配し、前記電圧検出部は、複数の前記電源ボックスの各々に設けられ、前記電源ボックス内の経路の電圧を検出する〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【0019】
この構成によれば、電源ボックスごとに監視する電圧に基づいて停止負荷を選択することができる。
【0020】
〔6〕前記検出電圧が前記基準電圧以下に低下した後、前記検出電圧が安定状態となった場合に、前記重要度に基づき、前記選択部によって選択された前記停止負荷のうち電力の供給を復帰させる復帰負荷を選択する復帰負荷選択部を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【0021】
検出電圧が基準電圧以下に低下した後、検出電圧が安定状態となった場合に、電力供給を遮断した負荷を一度に全て復帰させると、急激に電圧が低下するおそれがある。この点、この構成によれば、重要度に基づき、選択部によって選択された停止負荷のうち電力の供給を復帰させる復帰負荷を選択することができる。したがって、急激な電圧低下を抑制しつつ、重要度を加味して電力供給が遮断された遮断対象負荷を復帰させることができる。
【0022】
<第1実施形態>
図1及び
図2で示す車載システム100は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に搭載されるシステムである。車載システム100は、
図2に示すように、電源部90と、保護対象負荷91A,91Bと、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eと、非保護対象負荷93と、電源ボックス94A,94Bと、車載用制御装置1と、を有する。
【0023】
保護対象負荷91A,91B、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92E、非保護対象負荷93、及び車載用制御装置1は、電源部90からの電力が供給される電力供給対象である。電源部90から供給された電力は、電源ボックス94A,94Bによって、電力供給対象の各々に分配される。電源部90と電力供給対象の各々との間にはヒューズ95が設けられている。
【0024】
電源部90は、例えば鉛バッテリ等のバッテリ、DCDCコンバータ、オルタネータなどである。
【0025】
保護対象負荷91A,91Bは、保護対象として予め定められた負荷である。
【0026】
遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eは、遮断対象として予め定められた負荷である。遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eは、重要度に基づいて予めランク付けされている。
【0027】
非保護対象負荷93は、保護対象負荷91A,91B及び遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eのいずれでもない負荷である。
【0028】
電源ボックス94A,94Bは、電源部90から供給された電力を電力供給対象の各々に分配する機能を有する。
図1に示すように、電源ボックス94A内には、電源部90からの電力が供給される分配路80Aが設けられている。電源ボックス94Aは、分配路80Aを介して、電源部90から供給された電力を、保護対象負荷91Aと、遮断対象負荷92A,92B,92Cと、非保護対象負荷93と、後述する第1ECU11と、後述する第2ECU12B,12Cと、に分配する。電源ボックス94B内には、電源部90からの電力が供給される分配路80Bが設けられている。電源ボックス94Bは、分配路80Bを介して、電源部90から供給された電力を、保護対象負荷91Bと、遮断対象負荷92D,92Eと、後述する第2ECU12D,12Eと、に分配する。
【0029】
車載用制御装置1は、車載システム100に用いられる装置である。車載用制御装置1は、
図2に示すように、電圧検出部10A,10Bと、第1ECU11と、第2ECU12B,12C,12D,12Eと、を備える。
【0030】
電圧検出部10A,10Bは、例えば公知の電圧検出回路として構成される。電圧検出部10A,10Bは、電源部90に基づく電力が伝送される経路において電圧を検出する。具体的には、電圧検出部10Aは、電源ボックス94A内に配置され、分配路80Aの電圧を検出する。電圧検出部10Bは、電源ボックス94B内に配置され、分配路80Bの電圧を検出する。電圧検出部10A、10Bの検出値は、第1ECU11に入力される。
【0031】
第1ECU11は、第1リレー21を有し、第1リレー21を制御しうる。第1リレー21は、半導体リレーであってもよいし、機械式リレーであってもよい。第1リレー21は、電源ボックス94Aと遮断対象負荷92Aとの間に介在し、電源部90から遮断対象負荷92Aへの電力供給を許容する許容状態と、遮断する遮断状態とに切り替わる。第1リレー21は、オン状態となることで許容状態となり、オフ状態となることで遮断状態となる。第1ECU11は、第2ECU12B,12C,12D,12Eを制御しうる。
【0032】
第2ECU12B,12C,12D,12Eは、それぞれ第2リレー22B,22C,22D,22Eを有し、第2リレー22B,22C,22D,22Eを制御しうる。第2リレー22B,22C,22D,22Eは、半導体リレーであってもよいし、機械式リレーであってもよい。第2リレー22B,22C,22D,22Eは、それぞれ電源ボックス94Aと遮断対象負荷92B,92C,92D,92Eとの間に介在し、電源部90から遮断対象負荷92B,92C,92D,92Eへの電力供給を許容する許容状態と、遮断する遮断状態とに切り替わる。第1リレー21は、オン状態となることで許容状態となり、オフ状態となることで遮断状態となる。
【0033】
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、第1リレー21又は第2リレー22B,22C,22D,22Eを制御することで、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eへの電力供給を遮断する遮断制御部として機能する。また、第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、第1リレー21又は第2リレー22B,22C,22D,22Eを制御することで、電力供給が遮断された遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eへの電力供給を復帰させる復帰制御部として機能する。
【0034】
第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bによって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、検出電圧に基づいて遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択する。つまり、第1ECU11は、選択部の一例に相当する。「電圧検出部10A,10Bによって検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合」としては、例えば電動ステアリング装置に対して一時的に大きな負荷がかかるようなケースが想定される。
【0035】
第1ECU11は、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けて定められた重要度に基づき、重要度の低い負荷を優先させて停止負荷を選択する。
図3に示すように、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々は、重要度に基づきランク付けされている。具体的には、遮断対象負荷92B,92D,92E,92A,92Cの順で、重要度が低くランク付けされている。第1ECU11は、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eを重要度に基づいてランク付けしたデータを予め記憶している。第1ECU11は、このデータに基づき、重要度の低い負荷から順に停止負荷として選択する。
【0036】
更に、
図3に示すように、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けて、各々を停止させた場合の電圧上昇効果を示す電圧値が定められている。
図3に示す例では、遮断対象負荷92B,92D,92E,92A,92Cを停止させた場合の電圧上昇効果を示す電圧値は、それぞれ0.4V、0.2V、0.2V、0.5V、0.1Vとなっている。第1ECU11は、基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いと、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eに対応付けられた電圧値とに基づいて停止負荷を選択する。第1ECU11は、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対し、各々を停止させた場合の電圧情報効果を示す電圧値を対応付けた対応関係データを予め記憶している。第1ECU11は、「各々を停止させた場合の電圧情報効果を示す電圧値」を、製造段階で記憶する構成であってもよいし、製造後に実測値に基づく値を記憶する構成であってもよい。第1ECU11は、基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いと、対応関係データと、に基づいて停止負荷を選択する。「基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合い」は、本実施形態では、基準電圧から検出電圧を差し引いた値であり、「基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合い」=「基準電圧」-「検出電圧」の演算式によって求められる。
【0037】
第1ECU11は、電圧上昇効果の加算値が基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いを上回るように遮断対象負荷を選択する。本実施形態では、第1ECU11は、重要度の低い遮断対象負荷から順に選択し、選択した遮断対象負荷に対応する電圧上昇効果の加算値が検出電圧の低下度合いを上回った時点で選択を終了する。
【0038】
第1ECU11は、車両内の複数の検出位置で電圧を検出し、いずれかの検出位置で検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、基準電圧以下に低下した検出位置で得られた検出電圧に基づいて停止負荷を選択する。具体的には、第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bから入力された検出値に基づいて分配路80A,80Bの電圧を検出し、いずれかの検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、基準電圧以下に低下した検出電圧に基づいて停止負荷を選択する。第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれもが基準電圧以下となった場合、より低い方の検出電圧に基づいて停止負荷を選択する。
【0039】
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、第1リレー21又は第2リレー22B,22C,22D,22Eを制御することで、第1ECU11が選択した停止負荷への電力供給を遮断させる。
【0040】
第1ECU11は、検出電圧が基準電圧以下に低下した後、検出電圧が安定状態となった場合に、複数の遮断対象負荷の各々に対応付けて定められた重要度に基づき、第1ECU11によって選択された停止負荷のうち電力の供給を復帰させる復帰負荷を選択する。つまり、第1ECU11は、復帰負荷選択部の一例に相当する。安定状態は、例えば、検出電圧が第2基準電圧よりも高くなった状態である。第2基準電圧は、基準電圧と同じであってもよいし、基準電圧よりも大きい値であってもよい。第1ECU11は、複数の遮断対象負荷の各々に対応付けて定められた重要度に基づき、重要度の高い負荷を優先させて復帰負荷を選択する。
【0041】
(遮断用処理)
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、協働して
図4に示す遮断用処理を実行する。第1ECU11は、遮断用処理開始条件が成立した場合に、遮断用処理を開始する。遮断用処理開始条件は、例えば図示しない車両の始動スイッチがオン状態に切り替わったことであってもよいし、別の条件であってもよい。第1ECU11は、例えば始動スイッチのオンオフ状態を示すオンオフ信号が外部ECUから入力される構成とされ、オンオフ信号に基づいて始動スイッチがオン状態に切り替わったことを判定することができる。
【0042】
第1ECU11は、遮断用処理が開始されると、ステップS10にて、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が予め定められた基準電圧以下であるか否かを判定する。第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれも基準電圧以下でない場合(ステップS10にてNoの場合)、ステップS10に戻る。つまり、第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれかが基準電圧以下となるまで、ステップS10を繰り返す。
【0043】
第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が基準電圧以下となった場合(ステップS10にてYesの場合)、ステップS11にて、検出電圧の低下度合いを算出する。
【0044】
第1ECU11は、ステップS12にて、次に重要度が低い遮断対象負荷を停止負荷として選択する。第1ECU11は、最初は、最も重要度が低い遮断対象負荷92Bを選択する。但し、遮断対象負荷92Bへの電力供給が既に遮断されている場合には、次に重要度が低い遮断対象負荷92Dを選択する。つまり、第1ECU11は、電力供給が許容されている遮断対象負荷のうち最も重要度が低い遮断対象負荷を選択する。
【0045】
第1ECU11は、ステップS13にて、低下残を算出する。低下残とは、低下度合いから停止負荷の電圧上昇効果を示す電圧値を差し引いた値のことであり、「低下残」=「低下度合い」-「停止負荷の電圧上昇効果を示す電圧値」の演算式によって求められる。
【0046】
第1ECU11は、ステップS14にて、ステップS13で算出した低下残が、0Vよりも大きいか否かを判定する。第1ECU11は、低下残が0Vよりも大きい場合(ステップS14にてYesの場合)、ステップS12に戻る。つまり、第1ECU11は、低下残が0V以下となるまで、重要度が低い順に遮断対象負荷を停止負荷として選択する。
【0047】
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、低下残が0Vよりも大きくない場合(ステップS14にてNoの場合)、ステップS15にて、選択した遮断対象負荷(つまり、停止負荷)への電力供給を遮断する。具体的には、遮断対象負荷92Aが停止負荷として選択された場合、第1ECU11が第1リレー21を遮断状態に切り替えることで、遮断対象負荷92Aへの電力供給を遮断させる。遮断対象負荷92B,92C,92D,92Eが停止負荷として選択された場合、第1ECU11は、停止負荷に対応する第2ECU12B,12C,12D,12Eに対して遮断指示を行う。遮断指示を受けた第2ECU12B,12C,12D,12Eは、第2リレー22B,22C,22D,22Eを遮断状態に切り替えることで、遮断対象負荷92B,92C,92D,92Eへの電力供給を遮断させる。これにより、第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、電圧上昇効果の加算値が検出電圧の低下度合いを上回るように遮断対象負荷を選択し、選択した遮断対象負荷への電力供給を遮断することができる。第1ECU11は、ステップS15の後、ステップS10に戻る。
【0048】
(復帰用処理)
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、協働して
図5に示す復帰用処理を実行する。第1ECU11は、復帰用処理開始条件が成立した場合に、復帰用処理を開始する。復帰用処理開始条件は、例えば電圧検出部10A,10Bの検出電圧が基準電圧以下となったことであってもよいし、別の条件であってもよい。
【0049】
第1ECU11は、復帰用処理が開始されると、まずステップS20にて、検出電圧が安定状態となったか否かを判定する。第1ECU11は、検出電圧が安定状態となっていない場合(ステップS20にてNoの場合)、ステップS20に戻る。つまり、第1ECU11は、検出電圧が安定状態になるまでステップS20を繰り返す。
【0050】
第1ECU11は、検出電圧が安定状態となった場合(ステップS20にてYesの場合)、ステップS21にて、停止負荷として選択された遮断対象負荷の中から次に重要度が高い遮断対象負荷を復帰負荷として選択する。
【0051】
第1ECU11又は第2ECU12B,12C,12D,12Eは、ステップS22にて、選択された遮断対象負荷(復帰負荷)を復帰させる。具体的には、遮断対象負荷92Aが復帰負荷として選択された場合、第1ECU11が第1リレー21を許容状態に切り替えることで、遮断対象負荷92Aへの電力供給を復帰させる。遮断対象負荷92B,92C,92D,92Eが復帰負荷として選択された場合、第1ECU11は、復帰負荷に対応する第2ECU12B,12C,12D,12Eに対して復帰指示を行う。復帰指示を受けた第2ECU12B,12C,12D,12Eは、第2リレー22B,22C,22D,22Eを許容状態に切り替えることで、遮断対象負荷92B,92C,92D,92Eへの電力供給を復帰させる。但し、停止負荷に選択されておらず、もともと電力供給が遮断されていた遮断対象負荷は復帰負荷として選択されない。
【0052】
第1ECU11は、ステップS23にて、全ての停止負荷を復帰負荷として選択したか否かを判定する。第1ECU11は、全ての停止負荷を復帰負荷として選択していないと判定した場合(ステップS23にてNoの場合)、ステップS20に戻る。つまり、第1ECU11又は第2ECU12B,12C,12D,12Eは、検出電圧が安定状態となる毎に、重要度が高い停止負荷から順に復帰負荷として選択し、復帰負荷として選択された遮断対象負荷への電力供給を復帰させる。これにより、復帰させたときの電圧降下を抑え、保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制しつつ、遮断対象負荷への電力供給を復帰させることができる。
【0053】
第1ECU11は、全ての停止負荷を復帰負荷として選択したと判定した場合(ステップS23にてYes)、復帰用処理を終了する。
【0054】
(第1実施形態の作用及び効果)
車載システム100は、電源部90と、複数の負荷と、を有する。複数の負荷は、保護対象負荷91A,91Bと、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eと、を含む。車載用制御装置1は、電圧検出部10A,10Bと、第1ECU11(選択部)と、を備える。電圧検出部10Aは、分配路80Aにおいて電圧を検出する。電圧検出部10Bは、分配路80Bにおいて電圧を検出する。第1ECU11は、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けて定められた重要度に基づき、重要度の低い負荷を優先させて停止負荷を選択する。
この車載用制御装置1は、電圧検出部10A,10Bによって検出される検出電圧のいずれかが基準電圧以下に低下した場合に、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの中から電力の供給を遮断する停止負荷を選択することで、電圧低下時に保護対象負荷91A,91Bへの電力供給が不足することを抑制することができる。しかも、この車載用制御装置1は、電圧低下が生じた場合に、保護対象負荷91A,91Bへの電力が低下することを抑えるために、重要度の低い負荷を優先的に停止させることができる。よって、電圧低下時に保護対象負荷91A,91Bへの電力供給が不足することを抑制するための動作を、重要度の高い負荷への影響を抑えつつ実行しうる。
【0055】
更に、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けて、各々を停止させた場合の電圧上昇効果を示す電圧値がそれぞれ定められている。そして、第1ECU11は、基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いと、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けられた電圧値とに基づいて停止負荷を選択する。
この構成によれば、検出電圧の低下度合いに見合った停止負荷の選択を演算によって導き出すことができるため、検出電圧の低下度合いに見合った停止負荷の選択を迅速に行うことができる。
【0056】
更に、第1ECU11は、電圧上昇効果の加算値が基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いを上回るように遮断対象負荷を選択する。
この構成によれば、検出電圧の低下度合いを上回る電圧上昇効果を得るための停止負荷の選択を迅速に行うことができる。
【0057】
更に、第1ECU11は、車両内の複数の検出位置で電圧を検出し、いずれかの検出位置で検出される検出電圧が基準電圧以下に低下した場合に、基準電圧以下に低下した検出位置で得られた検出電圧に基づいて停止負荷を選択する。
この構成によれば、電圧低下の原因により近い位置で検出した電圧に基づいて停止負荷を選択することができるため、検出電圧の実際の低下度合いと演算によって導き出した低下度合いとで誤差が生じにくい。したがって、選択する停止負荷が不足すること、及び選択する停止負荷が過剰となることを抑制することができる。
【0058】
更に、車載システム100は、電源ボックス94A,94Bを有する。電源ボックス94A,94Bの各々は、電源部90から供給された電力を複数の負荷に分配する。電圧検出部10Aは、電源ボックス94A内に設けられている。電圧検出部10Aは、電源ボックス94A内に設けられた分配路80Aの電圧を検出する。電圧検出部10Bは、電源ボックス94B内に設けられている、電圧検出部10Bは、電源ボックス94B内に設けられた分配路80Bの電圧を検出する。
この構成によれば、電源ボックス94A,94Bごとに監視する電圧に基づいて停止負荷を選択することができる。
【0059】
更に、車載用制御装置1は、検出電圧が基準電圧以下に低下した後、検出電圧が安定状態となった場合に、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けて定められた重要度に基づき、第1ECU11によって選択された停止負荷のうち電力の供給を復帰させる復帰負荷を選択する復帰負荷選択部を備える。
検出電圧が基準電圧以下に低下した後、検出電圧が安定状態となった場合に、電力供給を遮断した負荷を一度に全て復帰させると、急激に電圧が低下するおそれがある。この点、この構成によれば、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対応付けて定められた重要度に基づき、第1ECU11によって選択された停止負荷のうち電力の供給を復帰させる復帰負荷を選択することができる。したがって、急激な電圧低下を抑制しつつ、重要度を加味して電力供給が遮断された遮断対象負荷を復帰させることができる。
【0060】
<第2実施形態>
第1実施形態では、停止負荷となる遮断対象負荷を全て選択した後に、停止負荷への電力供給を遮断させる構成とした。これに対し、第2実施形態では、停止負荷となる遮断対象負荷を選択する毎に、選択された停止負荷への電力供給を遮断する構成としている。第2実施形態の車載システム100のハード構成は、第1実施形態と同じである。なお、以下の第2実施形態の説明は、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0061】
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、協働して
図6に示す遮断用処理を実行する。第1ECU11は、遮断用処理開始条件が成立した場合に、遮断用処理を開始する。遮断用処理開始条件は、第1実施形態の遮断用処理開始条件と同様である。
【0062】
第1ECU11は、遮断用処理が開始されると、ステップS210にて、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が予め定められた基準電圧を以下であるか否かを判定する。第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれも基準電圧以下でない場合(ステップS210にてNoの場合)、ステップS210に戻る。つまり、第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれかが基準電圧以下となるまで、ステップS210を繰り返す。
【0063】
第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が基準電圧以下となった場合(ステップS210にてYesの場合)、ステップS211にて、基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いを算出する。
【0064】
第1ECU11は、ステップS212にて、次に重要度が低い遮断対象負荷を停止負荷として選択する。停止負荷の選択は、第1実施形態のステップS12と同様に行われる。第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、選択された遮断対象負荷への電力供給を遮断する。選択された遮断対象負荷への電力供給を遮断は、第1実施形態のステップS15と同様に行われる。
【0065】
第1ECU11は、ステップS213にて、低下残を算出する。第1ECU11は、ステップS214にて、ステップS213で算出した低下残が、0Vよりも大きいか否かを判定する。第1ECU11は、低下残が0Vよりも大きい場合(ステップS214にてYesの場合)、ステップS212に戻る。つまり、第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、低下残が0V以下となるまで、重要度が低い順に遮断対象負荷を停止負荷として選択し、選択された遮断対象負荷への電力供給を遮断させる処理が繰り返される。
【0066】
第1ECU11は、低下残が0Vよりも大きくないと判定した場合(ステップS214にてNo)、ステップS210に戻る。
【0067】
以上のように、第2実施形態の車載用制御装置1は、停止負荷となる遮断対象負荷を選択する毎に、選択された停止負荷への電力供給を遮断する構成となっている。このため、この構成によれば、停止負荷への電力供給の遮断の開始をより迅速に実行することができる。
【0068】
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eの各々に対し、各々を停止させた場合の電圧上昇効果を示す電圧値を対応付けた対応関係データを用いる構成であった。これに対し、第3実施形態では、対応関係データを用いない構成としている。第3実施形態の車載システム100のハード構成は、第1実施形態と同じである。なお、以下の第3実施形態の説明は、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0069】
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、協働して
図7に示す遮断用処理を実行する。第1ECU11は、遮断用処理開始条件が成立した場合に、遮断用処理を開始する。遮断用処理開始条件は、第1実施形態の遮断用処理開始条件と同様である。
【0070】
第1ECU11は、遮断用処理が開始されると、ステップS310にて、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が予め定められた基準電圧を以下であるか否かを判定する。第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれも基準電圧以下でない場合(ステップS310にてNoの場合)、ステップS310に戻る。つまり、第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧のいずれかが基準電圧以下となるまで、ステップS310を繰り返す。
【0071】
第1ECU11は、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が基準電圧以下となった場合(ステップS310にてYesの場合)、ステップS311にて、次に重要度が低い遮断対象負荷を停止負荷として選択する。停止負荷の選択は、第1実施形態のステップS12と同様に行われる。また、第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、停止負荷として選択された遮断対象負荷への電力供給を遮断させる。選択された遮断対象負荷への電力供給を遮断は、第1実施形態のステップS15と同様に行われる。
【0072】
第1ECU11は、ステップS312にて、電圧検出部10A,10Bの検出電圧が基準電圧よりも大きい値になったか否かを判定する。つまり、第1ECU11は、ステップS311で停止負荷への電力供給を遮断したことによって、検出電圧が基準電圧よりも大きい値になったか否かを判定する。第1ECU11は、検出電圧が基準電圧よりも大きい値になっていないと判定した場合(ステップS312にてNoの場合)、ステップS311に戻る。つまり、第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、検出電圧が基準電圧よりも大きくなるまで、重要度が低い遮断対象負荷から順に選択し、電力供給を遮断する。
【0073】
第1ECU11は、検出電圧が基準電圧よりも大きくなった場合(ステップS312にてYesの場合)、ステップS310に戻る。
【0074】
以上のように、第3実施形態の車載用制御装置1は、検出電圧が基準電圧よりも大きくなるまで、重要度が低い遮断対象負荷から順に選択し、選択した遮断対象負荷への電力供給を遮断する処理を繰り返す。このため、この構成によれば、対応関係データを用いることなく、電圧低下時に保護対象負荷への電力供給が不足することを抑制するための動作を、重要度の高い負荷への影響を抑えつつ実行しうる。したがって、遮断対象負荷の各々に対応する電圧上昇効果を示す電圧値を把握しておく必要がなく、構成が簡素化される。
【0075】
<第4実施形態>
第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態では、停止負荷を1つずつ選択する構成としたが、一度に複数の停止負荷を選択する構成としてもよい。第4実施形態では、複数の遮断対象負荷を予めグループ化しておき、グループ単位で選択する構成としている。第4実施形態の車載システム100のハード構成は、第1実施形態と同じである。なお、以下の第4実施形態の説明は、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0076】
第1ECU11は、
図8に示すように、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eをグループ分けしたデータを予め記憶している。遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eは、重要度に基づいてグループ分けされている。具体的には、遮断対象負荷92B,92Dは、最も重要度が低い第1グループに分類されている。遮断対象負荷92E,92Aは、次に重要度が低い第2グループに分類されている。遮断対象負荷92Cは、次に重要度が低い第3グループに分類されている。
【0077】
第1ECU11は、遮断対象負荷92A,92B,92C,92D,92Eをグループ分けしたデータに基づいて、グループ単位で停止負荷を選択することができる。例えば第1実施形態では、遮断用処理のステップS12にて、「次に重要度が低い遮断対象負荷を停止負荷として選択」する構成であったが、これに代えて、「次に重要度が低いグループの遮断対象負荷を停止負荷として選択する」構成とすることができる。
【0078】
以上のように第4実施形態の車載用制御装置1によれば、停止負荷をグループ単位で選択することができるため、停止負荷の選択を効率的且つ迅速に行うことができる。
【0079】
<第5実施形態>
第4実施形態では、停止負荷を常にグループ単位で選択する構成としたが、検出電圧の低下度合いが大きい場合には停止負荷をグループ単位で選択し、小さい場合には、停止負荷を1つずつ選択するようにしてもよい。第5実施形態では、その一例について説明する。第5実施形態の車載システム100のハード構成は、第1実施形態と同じである。なお、以下の第5実施形態の説明は、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0080】
第1ECU11は、
図9に示すように、各グループに対応したグループ閾値を予め記憶しておく。各グループ閾値は、例えば各グループに含まれる遮断対象負荷に対応する電圧値の合計値である。具体的には、第1グループ閾値は、遮断対象負荷92Bに対応する電圧値0.4Vと、遮断対象負荷92Dに対応する電圧値0.2Vと、の合計値である0.6Vである。第2グループ閾値は、遮断対象負荷92Eに対応する電圧値0.2Vと、遮断対象負荷92Aに対応する電圧値0.5Vと、の合計値である0.7Vである。
【0081】
第1実施形態に適用させる例を説明すると、第1ECU11は、遮断用処理のステップS11で低下度合いを算出した後、低下度合いが第1グループ閾値以上であるか否かを判定する。そして、第1ECU11は、低下度合いが第1グループ閾値以上であると判定した場合には、第1グループの全ての遮断対象負荷を停止負荷として選択する。これに対し、第1ECU11は、低下度合いが第1グループ閾値以上でないと判定した場合、低下残が0V以下となるまで、重要度が低い遮断対象負荷から順に1つずつ停止負荷として選択する。
【0082】
また、第1ECU11は、第1グループの全ての遮断対象負荷を停止負荷として選択した場合、低下残が第2グループ閾値以上であるか否かを判定する。そして、第1ECU11は、低下残が第2グループ閾値以上であると判定した場合には、第2グループの全ての遮断対象負荷を停止負荷として選択する。これに対し、第1ECU11は、低下残が第2グループ閾値以上でないと判定した場合、低下残が0V以下となるまで、第2グループの遮断対象負荷のうち重要度が低い遮断対象負荷から順に停止負荷として選択する。
【0083】
また、第1ECU11は、第2グループの全ての遮断対象負荷を停止負荷として選択した場合、低下残が0Vよりも大きいか否かを判定する。そして、第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、低下残が0Vよりも大きい場合には、第3グループの遮断対象負荷92Cを停止負荷として選択する。
【0084】
第1ECU11及び第2ECU12B,12C,12D,12Eは、このようにして選択された停止負荷への電力供給を遮断させる。
【0085】
以上のように、第5実施形態の車載用制御装置1は、基準電圧を基準とした検出電圧の低下度合いが大きい場合には停止負荷をグループ単位で選択し、小さい場合には、停止負荷を1つずつ選択することができる。このため、遮断対象負荷が多く存在する場合に効率的且つ迅速に停止負荷を選択することができる。
【0086】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0087】
上記各実施形態では、遮断対象負荷の重要度に基づくランクが予め定められた構成であったが、状況に応じて設定される構成であってもよいし、状況に応じて変更される構成であってもよい。
【0088】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1…車載用制御装置
10A…電圧検出部
10B…電圧検出部
11…第1ECU(選択部)
12B…第2ECU
12C…第2ECU
12D…第2ECU
12E…第2ECU
21…第1リレー
22B…第2リレー
22C…第2リレー
22D…第2リレー
22E…第2リレー
80A…分配路
80B…分配路
90…電源部
91A…保護対象負荷
91B…保護対象負荷
92A…遮断対象負荷
92B…遮断対象負荷
92C…遮断対象負荷
92D…遮断対象負荷
92E…遮断対象負荷
93…非保護対象負荷
94A…電源ボックス
94B…電源ボックス
95…ヒューズ
100…車載システム