(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165028
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20221024BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20221024BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20221024BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20221024BHJP
B60L 58/33 20190101ALI20221024BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60K11/04 H ZHV
B60K1/04 Z
B60K8/00
B60L50/70
B60L58/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070199
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川崎 大也
(72)【発明者】
【氏名】沢田 豊
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA10
3D038AB03
3D038AC03
3D038AC12
3D038AC14
3D038AC22
3D038AC23
3D235AA06
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC15
3D235CC23
3D235CC24
3D235DD11
3D235DD16
3D235DD37
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC07
5H125FF26
(57)【要約】
【課題】冷却装置の小型化を図りつつ冷却性能を向上させる。
【解決手段】
一態様の冷却装置は、曲面を有する車両部品を備える車両に搭載される。この冷却装置は、車両の一対の側面のうち一方の側面に車両部品の曲面に対向して配置されたラジエータと、ラジエータと車両部品との間に配置され、ラジエータから曲面に外気を送風するラジエータファンと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面を有する車両部品を備える車両に搭載される冷却装置であって、
前記車両の一対の側面のうち一方の側面に前記車両部品の前記曲面に対向して配置されたラジエータと、
前記ラジエータと前記車両部品との間に配置され、前記ラジエータから前記曲面に外気を送風するラジエータファンと、
を備える、冷却装置。
【請求項2】
前記ラジエータを含む複数のラジエータと、
前記ラジエータファンを含む複数のラジエータファンであり、前記複数のラジエータと前記車両部品との間にそれぞれ配置された、該複数のラジエータファンと、
を更に備え、
前記複数のラジエータは、前記一方の側面に配置され、冷媒が流れる冷媒流路によって互いに直列に接続されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記一対の側面が、前記車両の前後方向に延在し、車幅方向に対向する一対のサイドカバーであり、
前記一対のサイドカバーのうち一方のサイドカバーには外気を導入するための開口が形成され、
前記ラジエータは前記開口を覆うように配置されている、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記車両部品が、円筒形状を有する水素タンクである、請求項1~3の何れか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車等の電動自動車に搭載された電装部品を冷却する冷却装置が知られている。例えば、特許文献1には、車体を前後方向に貫通するダクトと、ダクトに設けられた複数の熱交換器とを備え、車両後部に配置されたインバータと当該複数の熱交換器との間で冷媒を循環させてインバータを冷却することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電装部品の高性能化に伴って電装部品の発熱量が増加しており、冷却装置の冷却性能の向上が求められている。一方で、車両寸法の制約上、冷却装置の搭載スペースには限りがある。特許文献1に記載の装置では、車体を前後方向に貫通するダクトによって外気を車両後部まで導いているため大きな搭載スペースが要求される。
【0005】
そこで本開示は、冷却装置の小型化を図りつつ冷却性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、曲面を有する車両部品を備える車両に搭載される冷却装置が提供される。この冷却装置は、車両の一対の側面のうち一方の側面に車両部品の曲面に対向して配置されたラジエータと、ラジエータと車両部品との間に配置され、ラジエータから曲面に外気を送風するラジエータファンと、を備える。
【0007】
本態様の冷却装置では、ラジエータが車両の一方の側面に配置されているので、外気を車両の前部から後部まで導くダクトが不要となり、冷却装置の小型化を図ることができる。また、この冷却装置では、ラジエータが車両部品の曲面に対向して配置され、ラジエータファンによって外気がラジエータから曲面に送風される。これにより、ラジエータを通過した外気は車両部品の曲面に沿って流れることとなり、外気の流れ抵抗が減少する。その結果、ラジエータへの外気の導入効率が改善することとなり、冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0008】
一実施形態の冷却装置は、ラジエータを含む複数のラジエータと、ラジエータファンを含む複数のラジエータファンであり、複数のラジエータと車両部品との間にそれぞれ配置された、該複数のラジエータファンと、を更に備え、複数のラジエータは、一方の側面に配置され、冷媒が流れる冷媒流路によって互いに直列に接続されていてもよい。複数のラジエータを一方の側面に配置することにより、複数のラジエータを両方の側面に配置した場合と比較して冷媒流路を短くすることできので、冷却装置の小型化を図ることができる。また、複数のラジエータを直列に接続することにより、冷却性能を向上させることができる。
【0009】
一実施形態では、一対の側面が、車両の前後方向に延在し、車幅方向に対向する一対のサイドカバーであり、一対のサイドカバーのうち一方のサイドカバーには外気を導入するための開口が形成され、ラジエータは開口を覆うように配置されていてもよい。サイドカバーに形成された開口を覆うようにラジエータを配置することによって、サイドカバーに沿って流れる外気をラジエータに導入することができる。
【0010】
一実施形態では、車両部品が、円筒形状を有する水素タンクであってもよい。ラジエータを通過した外気を水素タンクの湾曲した側面に沿って流すことにより、外気の流れ抵抗を小さくすることができる。その結果、冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の種々の態様によれば、冷却装置の小型化を図りつつ冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る冷却装置を備える車両を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0014】
図1は、一実施形態に係る冷却装置が搭載される車両を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す車両1の構成を概略的に示す平面図であり、
図3は、車両1の構成を概略的に示す側面図である。なお、説明の便宜上、
図2では車両1の荷台3を省略して図示しており、
図3では車両1の荷台3及びサイドカバー12を省略して図示している。
【0015】
車両1は、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車等、電力によってモータを駆動して走行する電動車両である。以下では、車両1は、モータ7、インバータ8、バッテリ9及び水素タンク10を備え、不図示の燃料電池によって発電された電力によってモータ7を駆動する燃料電池自動車であるものとして説明する。以下の説明では、車両1の前進方向及び後退方向を車両1の前後方向といい、車両1を後方から見たときの車幅方向を左右方向という。
【0016】
図1及び
図2に示すように、車両1は、積載物を搭載可能なトラックであり、キャブ2、荷台3、車体フレーム4及び一対のサイドカバー12を備えている。キャブ2は、車両1の運転席が配置される部分である。荷台3は、積載物を搭載する部分であり、キャブ2の後方に配置されている。キャブ2及び荷台3は、車体フレーム4上に支持されている。
【0017】
図2に示すように、車体フレーム4は、車両1の前後方向に延在する一対のサイドレール4aと、車両1の左右方向に延在し、一対のサイドレール4aを互いに連結する複数のクロスメンバ4bとを含む。一対のサイドレール4a及び複数のクロスメンバ4bは、例えばI字鋼によって構成される。
【0018】
一対のサイドレール4aには、フロントアクスル介して左右一対の前輪5が取り付けられる共に、リアアクスルを介して左右一対の後輪6が取り付けられている。後輪6は、左右のそれぞれに2輪のタイヤが連結された、いわゆるダブルタイヤであってもよい。車両1は、2組のダブルタイヤを後輪6として備えている。
【0019】
車体フレーム4には、モータ7、インバータ8及びバッテリ9が固定されている。モータ7、インバータ8及びバッテリ9は、車両1を駆動する電装部品であり、例えば荷台3の下方において一対のサイドレール4aに固定されている。すなわち、これらの電装部品は、車両1の後部に配置されている。モータ7、インバータ8及びバッテリ9は、作動時に高温となって発熱する発熱体である。
【0020】
また、車体フレーム4には、水素タンク10が固定されている。水素タンク10は、電力を生成するための水素を燃料電池に供給する電力供給源(車両部品)である。水素タンク10は、円筒形状を有し、その側面は曲面10aを構成している。
図2に示す実施形態では、車両1は、一対のサイドレール4aの外側に4つの水素タンク10を搭載している。なお、水素タンク10は、一対のサイドレール4aの両側に搭載されていてもよいし、一対のサイドレール4aの一方側のみに搭載されていてもよい。
図4は、水素タンク10周辺の構造を示す斜視図である。
図4に示すように、水素タンク10は、例えば一対のサイドレール4aの外側に締結された水素タンクブラケット14に支持されている。
【0021】
図1に示すように、一対のサイドカバー12は、一対のサイドレール4aの側方を覆うように配置されており、荷台3の側面と共に車両1の側面を構成する。一対のサイドカバー12は、例えば矩形板状をなしており、荷台3の下方に配置されている。
図1に示すように、一対のサイドカバー12は、前輪5と後輪6との間に配置された一対の第1のサイドカバー12aと、後輪6の後方に配置された一対の第2のサイドカバー12bを含む。一対のサイドカバー12は、車両1の下部への物体の巻き込みを防止すると共に、車両1の側方の空気の流れを整えて空気抵抗を小さくする機能を有する。
【0022】
図1に示すように、一対の第1のサイドカバー12aには、1又は複数の開口12sが形成されている。
図1に示す例では、車両1の右側の第1のサイドカバー12aに前後方向に沿って配列された4つの開口12sが形成されている。一方、左側の第1のサイドカバー12aには開口12sは形成されていない。すなわち、複数の開口12sは、一対のサイドカバー12のうち一方のサイドカバー12のみに形成されている。これら複数の開口12sは、一対のサイドレール4aの右側に配置された水素タンク10に対向する位置に形成されている。車両1の走行時に、複数の開口12sは外気を導入する外気導入口として機能する。
【0023】
車両1には、冷却装置20が搭載されている。冷却装置20は、ラジエータ22及びラジエータファン24を含み、ラジエータ22と電装部品との間で冷媒を循環させることで電装部品を冷却する。一実施形態では、
図2及び
図3に示すように、冷却装置20は、複数のラジエータ22及び複数のラジエータファン24を備えていてもよい。複数のラジエータ22は、一方のサイドカバー12に形成された複数の開口12sをそれぞれ覆うように配置されている。すなわち、複数のラジエータ22は、キャブ2の後方において車両1の一対のサイドカバー12のうち一方のサイドカバー12に水素タンク10に対向するように配置される。
【0024】
より詳細には、
図4に示すように、複数のラジエータ22は、水素タンク10に対向する位置においてラジエータブラケット16に支持されている。ラジエータブラケット16は、水素タンクブラケット14を介して一対のサイドレール4aに固定されている。複数のラジエータ22は、複数の開口12sから導入された外気が通過する際に、その内部を流れる冷媒の熱を外気に放熱して当該冷媒を冷却する。
【0025】
図5は、冷媒の循環経路の一例を示している。
図5に示すように、一実施形態では、複数のラジエータ22と、電装部品であるモータ7、インバータ8及びバッテリ9とは、冷媒を循環させる流路である冷媒流路26を介して互いに接続されている。冷媒流路26には、冷媒が冷媒流路26を循環するように冷媒を圧送するポンプ28が接続されている。
図5に示すように、複数のラジエータ22は、冷媒流路26を介して互いに直列に接続されていてもよい。複数のラジエータ22が直列に接続されるとは、複数のラジエータ22のうち一のラジエータ22の出口と、複数のラジエータ22のうち別のラジエータ22の入口とが冷媒流路26によって互いに接続された状態を意味する。複数のラジエータ22を直列に接続することにより、一のラジエータ22で冷却された冷媒が別のラジエータ22で更に冷却される。その結果、冷媒の冷却性能が向上する。
【0026】
上記のように、複数のラジエータ22は、導入された外気と冷媒との間の熱交換によって冷媒を冷却する。複数のラジエータ22によって冷却された冷媒は、冷媒流路26を通ってモータ7、インバータ8及びバッテリ9に供給され、これらの電装部品を冷却する。モータ7、インバータ8及びバッテリ9の熱によって加熱された冷媒は、複数のラジエータ22に戻され、再び冷却される。このようにして、冷却装置20は、車両1に搭載された電装部品を冷却する。
【0027】
複数のラジエータファン24は、複数のラジエータ22と水素タンク10との間にそれぞれ配置され、ラジエータ22から水素タンク10の曲面10aへ向けて送風する。これら複数のラジエータファン24の送風によって、複数のラジエータ22から水素タンク10へ向かう気流が生成され、複数の開口12sから複数のラジエータ22への外気の導入が促進される。
【0028】
複数のラジエータ22を通過して冷媒と熱交換した外気は、水素タンク10の曲面10aに沿って流れ、車体フレーム4の隙間を通過して車外に排出される。このとき、外気が水素タンク10の曲面10aに沿って流れることにより、例えば一対のサイドレール4a等の曲面を有さない部品に沿って流れた場合よりも、外気が複数のラジエータ22に導入されてから車外に排出されるまでの外気の流れ抵抗が小さくなる。すなわち、外気の導入箇所から排出箇所まで外気が流れやすくなり、これに伴って複数のラジエータ22への外気の導入効率が改善する。その結果、冷却装置20の冷却性能が向上する。
【0029】
上述した冷却装置20では、複数のラジエータ22が車両1の一対のサイドカバー12に配置されているので、ダクト等によって外気を車両の前部から後部まで導かずに、車両1の後部に配置されたモータ7、インバータ8及びバッテリ9といった電装部品を冷却することができる。したがって、冷却装置20の小型化を図ることが可能となる。また、冷却装置20では、複数のラジエータ22が直列に接続されているので、圧力損失による冷媒の流速低下を抑制することができ、その結果、冷却性能を高めることができる。また、複数のラジエータ22を直列に接続することによって、冷媒流路26の分岐に起因する圧力損失の差の発生を防止することができ、その結果、冷却性能の不均一性を抑制することができる。
【0030】
さらに、上述した冷却装置20では、複数のラジエータ22が一対のサイドカバー12のうち一方(右側)にのみ配置されている。複数のラジエータ22を一対のサイドカバー12の一方に集約することによって、複数のラジエータ22を一対のサイドカバー12の両側に配置した場合と比較して、冷媒流路26を短くすることできる。
【0031】
さらに、この冷却装置20では、複数のラジエータ22が水素タンク10の曲面10aに対向して配置され、ラジエータファン24によって外気が複数のラジエータ22から曲面10aに向けて送風される。これにより、外気の流れ抵抗が減少し、複数のラジエータ22への外気の導入効率を改善することができる。その結果、冷却装置20の冷却性能を向上させることができる。
【0032】
以上、種々の実施形態に係る冷却装置について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態では、冷却装置20が複数のラジエータ22及び複数のラジエータファン24を備えているが、冷却装置20は、少なくとも1つのラジエータ22及び少なくとも1つのラジエータファン24を備えていればよい。
【0034】
また、上記実施形態では、ラジエータ22が水素タンク10の曲面10aに対向するように配置されているが、ラジエータ22は、曲面を有する車両部品であれば水素タンク以外の車両部品に対向して配置されていてもよい。例えば、バッテリ又は燃料電池が曲面を有している場合には、ラジエータ22は、これらバッテリ又は燃料電池の曲面に対向するように配置されてもよい。ラジエータに対向する車両部品がバッテリ又は燃料電池であっても、外気がバッテリ又は燃料電池の曲面に沿って流れることで、外気の流れ抵抗を小さくすることができるので、冷却装置20の冷却性能を向上させることができる。
【0035】
上記実施形態では、車両1が燃料電池自動車であるが、車両は、ハイブリッド車や電気自動車等の任意の電動自動車であってもよい。また、車両の種類は、トラックに限定されず、例えばトレーラー、バン、バス又は乗用車であってもよい。
【0036】
ラジエータ22は、車両1の一対の側面のうち一方の側面に設けられていればよく、必ずしもサイドカバー12に配置されていなくてもよい。上記実施形態では、冷却装置20の冷却対象物として、モータ7、インバータ8及びバッテリ9を冷却する例について説明したが、冷却対象物はこれらの電装部品に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1…車両、10…水素タンク、10a…曲面、12…サイドカバー、12s…開口、20…冷却装置、22…ラジエータ、24…ラジエータファン、26…冷媒流路。