(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165047
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】飛行体及び無線中継システム
(51)【国際特許分類】
B64F 3/02 20060101AFI20221024BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221024BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B64F3/02
B64C39/02
B64D27/24
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070222
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】藤井 輝也
(57)【要約】
【課題】何らかの原因で係留線(給電線)が切断したときに電波の送信を停止できるとともに安全に運用を停止することができる有線給電型の無線中継システムを提供する。
【解決手段】無線中継システムは、上空に移動可能な飛行体に無線中継装置が搭載され、地上又は海上から上空に延びた給電線を係留線とみなして係留され、飛行体を駆動する飛行駆動部と、給電線が接続された電源部と、予備バッテリーと、係留線が切断していないときは、電源部から飛行駆動部へ電力を供給するとともに電源部から無線中継装置へ電力を供給して電波を送信し、係留線が切断したときは、予備バッテリーから飛行駆動部へ電力を供給するとともに無線中継装置からの電波の送信を停止する手段と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体であって、
飛行駆動部と、
前記飛行駆動部を制御する制御部と、
前記給電線から前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源部と、
予備バッテリーと、
前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替える切替部と、を備え、
前記制御部は、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように前記飛行駆動部を制御する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1の飛行体において、
前記制御部は、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記飛行駆動部に降下・着陸信号を送信し、
前記飛行駆動部は、前記降下・着陸信号を受信したとき、前記所定の着地点まで自律飛行して着陸するように動作する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1又は2の飛行体において、
前記電源部の出力を検出する検出部を備え、
前記切替部は、前記検出部が前記電源部の出力の停止又は低下を検出したときに、前記係留線からの電力供給に異常が発生したと判断する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項1又は2の飛行体において、
前記係留線からの電力供給に異常が発生したことを示す異常発生信号を、無線通信を介して受信する受信部を備え、
前記切替部は、前記受信部が前記異常発生信号を受信したときに、前記係留線からの電力供給に異常が発生したと判断する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記電源部又は前記予備バッテリーにより電力供給される無線中継装置と、
前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止させる手段とを備える、ことを特徴とする飛行体。
【請求項6】
請求項5に記載の飛行体において、
前記手段として、前記電源部から前記切替部を介さずに前記無線中継装置へ電力を供給する通信用電源供給経路と、前記電源部から前記切替部を介して前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する駆動用電源供給経路とを備える、ことを特徴とする飛行体。
【請求項7】
請求項5に記載の飛行体において、
前記電源部から前記切替部を介して前記無線中継装置、前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源供給経路を備え、
前記切替部は、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替え、
前記手段として、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止するための送信制御信号を前記無線中継装置に送信する送信制御部を備える、ことを特徴とする飛行体。
【請求項8】
無線中継装置を搭載した飛行体が、地上又は海上から上空に延びた給電線を係留線とみなして係留された有線給電型の無線中継システムであって、
前記係留線とみなされる前記給電線が接続された地上又は海上の給電装置、及び、前記飛行体に搭載された前記無線中継装置と通信する地上又は海上の中継元の無線中継装置のうちの少なくとも一方の装置を備え、
前記飛行体として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の飛行体を用いる、ことを特徴とする無線中継システム。
【請求項9】
請求項8に記載の無線中継システムにおいて、
前記給電装置は、前記係留線から前記飛行体への電力供給に異常が発生したことを検出する検出部と、前記検出部が前記異常が発生したことを検出したとき、異常発生信号を無線通信を介して前記飛行体へ送信する送信部とを備える、ことを特徴とする無線中継システム。
【請求項10】
地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体のコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように飛行駆動部を制御する制御部として、前記コンピュータを機能させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体、無線中継システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線中継システムとして有線給電ドローン無線中継システムが知られている(例えば、非特許文献1参照)。有線給電ドローン無線中継システムでは、上空で停止飛行(ホバリング)可能な飛行体としてのドローン(無人航空機)に無線中継装置(中継局)が搭載され、係留線としてみなされる給電線を介して地上給電装置から無線中継装置に電力が供給される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“有線給電ドローン無線中継システムの実証実験に成功”,[online],令和2年7月9日,ソフトバンク株式会社,ニュース,プレスリリース2020,[令和2年12月24日検索],インターネット<URL:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200709_01/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有線給電ドローン無線中継システムなどに利用される飛行体は、何らかの原因で係留線(給電線)が切断されるなどして係留線(給電線)からの電力供給に異常が発生しても、予備バッテリーからの電力供給により飛行を継続することが可能である。しかしながら、異常が解消されるまでの間、予備バッテリーの電力供給で飛行を継続するためには、大容量の予備バッテリーが必要となり、飛行体の大型化、重量化が問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る飛行体は、地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体であって、飛行駆動部と、前記飛行駆動部を制御する制御部と、前記給電線から前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源部と、予備バッテリーと、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替える切替部と、を備え、前記制御部は、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように前記飛行駆動部を制御する。
前記飛行体において、前記制御部は、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記飛行駆動部に降下・着陸信号を送信してもよく、前記飛行駆動部は、前記降下・着陸信号を受信したとき、前記所定の着地点まで自律飛行して着陸するように動作してもよい。
また、前記飛行体において、前記電源部の出力を検出する検出部を備えてもよく、前記切替部は、前記検出部が前記電源部の出力の停止又は低下を検出したときに、前記係留線からの電力供給に異常が発生したと判断してもよい。
また前記飛行体において、前記係留線からの電力供給に異常が発生したことを示す異常発生信号を、無線通信を介して受信する受信部を備えてもよく、前記切替部は、前記受信部が前記異常発生信号を受信したときに、前記係留線からの電力供給に異常が発生したと判断してもよい。
また、前記飛行体において、前記電源部又は前記予備バッテリーにより電力供給される無線中継装置と、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止させる手段とを備えてもよい。
また、前記飛行体において、前記手段として、前記電源部から前記切替部を介さずに前記無線中継装置へ電力を供給する通信用電源供給経路と、前記電源部から前記切替部を介して前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する駆動用電源供給経路とを備えてもよい。
また、前記飛行体において、前記電源部から前記切替部を介して前記無線中継装置、前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源供給経路を備えてもよく、前記切替部は、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替えてもよく、前記手段として、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止するための送信制御信号を前記無線中継装置に送信する送信制御部を備えてもよい。
【0006】
本発明の他の態様に係る無線中継システムは、無線中継装置を搭載した飛行体が、地上又は海上から上空に延びた給電線を係留線とみなして係留された有線給電型の無線中継システムであって、前記係留線とみなされる前記給電線が接続された地上又は海上の給電装置、及び、前記飛行体に搭載された前記無線中継装置と通信する地上又は海上の中継元の無線中継装置のうちの少なくとも一方の装置を備え、前記飛行体として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の飛行体を用いる。
前記無線中継システムにおいて、前記給電装置は、前記係留線から前記飛行体への電力供給に異常が発生したことを検出する検出部と、前記検出部が前記異常が発生したことを検出したとき、異常発生信号を無線通信を介して前記飛行体へ送信する送信部とを備えてもよい。
【0007】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記係留線からの電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように飛行駆動部を制御する制御部として、前記コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、何らかの原因で係留線(給電線)が切断されるなどして係留線(給電線)からの電力供給に異常が発生したとき、短時間のうちに飛行体を所定の着地点に着陸させることができるので、予備バッテリーを小容量化でき、飛行体の小型化、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るドローン無線中継システムを含む通信システムの全体構成の一例を示す説明図。
【
図2】比較参考例に係るドローン無線中継システムにおけるドローンの電装部の主要部構成を示すブロック図。
【
図3】構成例1に係るドローン無線中継システムにおけるドローンの電装部の主要部構成を示すブロック図。
【
図4】構成例2に係るドローン無線中継システムにおけるドローンの電装部の主要部構成を示すブロック図。
【
図5】構成例3に係るドローン無線中継システムにおけるドローンの電装部の主要部構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、地上又は海上の地上給電装置として兼用される係留装置(以下「係留装置」、「地上給電装置」又は「係留装置(地上給電装置)」という。)に係留されたドローン(無人航空機)等の飛行体に搭載された無線通信装置(通信中継局)を備え、係留線とみなされる給電線(以下「係留線(給電線)」という。)を介して飛行体への給電が行われる無線中継システムである。このような無線中継システムは、例えば、災害時や山岳や森林などの遭難者の捜索時に固定基地局の圏外エリアに対して無線中継を実施する場合に利用することができる。特に、本実施形態の無線中継システムは、係留線(給電線)が何らかの原因で切断するなどして係留線(給電線)からの電力供給に異常が発生したときに、無線中継装置からの電波の送信を停止できるとともに、飛行体を安全に着陸させて運用を停止することのできる有線給電型のドローン無線中継システムである。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るドローン無線中継システムを含む通信システムの全体構成の一例を示す説明図である。
本実施形態のドローン無線中継システムは、ドローン60に搭載された子機20のほか、係留装置(地上給電装置)95及び係留線(給電線)95を含んでもよく、また、親機10を含んでもよい。
【0012】
図1において、本実施形態に係るドローン無線中継システムは、地上に位置する中継元の無線中継装置(以下「親機」という。)10及び上空に位置する中継先の無線中継装置(以下「子機」という。)20を備える。親機10及び子機20は、通信オペレータ(通信事業者)の移動通信網80のコアネットワークに接続されたeNodeB、gNodeBなどの固定基地局(以下「基地局」という。)30と、通信オペレータの無線中継エリア(子機20のセル200A)内に位置する単一又は複数の端末装置(ユーザ装置)としての移動局40との間の下り回線及び上り回線の無線通信を中継する。
【0013】
なお、同一の通信オペレータで使用される互いに周波数が異なる下り回線の複数の無線信号を中継し、同一の通信オペレータで使用される互いに周波数が異なる上り回線の複数の無線信号を中継してもよい。また、本実施形態の無線中継システムは、複数の通信オペレータで使用される互いに周波数が異なる下り回線の複数の無線信号を中継し、前記複数の通信オペレータで使用される互いに周波数が異なる上り回線の複数の無線信号を中継してもよい。
【0014】
移動通信網80には遠隔制御装置81(遠隔制御元)を設けてもよい。遠隔制御装置81は、例えば親機10及び子機20の情報を保持し、親機10及び子機20の少なくとも一方に制御情報を送信することができる。また、遠隔制御装置81は、情報の送信先として機能し、親機10及び子機20の少なくとも一方から情報を受信してもよい。なお、遠隔制御装置81は、親機10や子機20と通信可能な場所であれば、移動通信網80以外に設けてもよい。
【0015】
移動通信網80には、子機20が搭載された飛行体としてのドローン60を遠隔的に操縦する遠隔ドローン操縦装置を設けてもよい。
【0016】
遠隔制御装置81は、例えば親機10を介して子機20と通信可能な、サーバ、PC若しくはタブレット端末であってもよい。また、遠隔ドローン操縦装置は、例えば親機10を介してドローン60の制御系と通信可能な、サーバ、PC若しくはタブレット端末であってもよい。
【0017】
親機10は、基地局30のアンテナ31に向いた指向性を有するアンテナ(対基地局向けアンテナ)101を介して、基地局30との間で中継対象周波数(基地局側周波数)のf0d(下り信号)及びf0u(上り信号)の無線信号を送受信する。また、親機10は、子機20のアンテナ201に向いた指向性を有するアンテナ(対子機向けアンテナ)102を介して、中継用周波数のf1d(下り信号)及びf1u(上り信号)の無線信号を送受信する。親機10は、基地局30との間で送受信されるf0d(下り信号)及びf0u(上り信号)の無線信号と、子機20との間で送受信される中継用周波数f1d(下り信号)及びf1u(上り信号)の無線信号とを変換する周波数変換機能を有する。
【0018】
親機10は、移動体としての車両である自動車50に搭載されることにより地上の目標位置に移動することができる。自動車50は、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車など、親機10に長時間にわたって電力を供給可能な予備バッテリーや発電機などを備えているものであってもよい。自動車50は、ドローン60が離発着可能な離発着部を備えてもよい。また、
図1の構成例は、親機10が自動車50に組み込まれた場合の例であるが、親機10が組み込まれる移動体は、道路を走行する自動車以外の車両、線路上を走行する鉄道車両、航空機、又は、河川上若しくは海上の船舶などであってもよい。
【0019】
子機20は、親機10のアンテナ102に向いた指向性を有するアンテナ(対親機向けアンテナ)201を介して、中継用周波数のf1d(下り信号)及びf1u(上り信号)の無線信号を送受信する。また、子機20は、移動局向けのアンテナ202を介して、中継対象周波数(移動局側周波数)のf0d(下り信号)及びf0u(上り信号)の無線信号を送受信する。子機20は、親機10との間で送受信される中継用周波数f1d(下り信号)及びf1u(上り信号)の無線信号と、移動局40との間で送受信されるf0d(下り信号)及びf0u(上り信号)の無線信号とを変換する周波数変換機能を有する。
【0020】
なお、親機10と子機20との通信は、光ファイバーを用いたROF(Radio on Fiber)で行ってもよい。
【0021】
子機20は、自律制御により又は外部からの制御により上空で移動可能なドローン60に搭載されている。子機20が搭載されたドローン60は、自動車(無線中継車)50により地上の目標位置に運搬され、地上から所定高度(例えば100~150m)の上空に滞在するように制御される。
【0022】
本実施形態の無線中継システムにおいて、中継先の無線中継装置である子機20と、ドローン60のプロペラを駆動するモータ及びその制御装置(フライトコントローラ)などを有するドローン飛行駆動部には、係留線(給電線)95を介して係留装置(地上給電装置)90から電力が供給される。係留線(給電線)95を介してドローン60の飛行駆動部に電力を供給することにより、長時間にわたって子機20を上空に滞在させることができ、無線中継システムの要である子機20の長時間の運用が可能になる。また、何らかの原因で係留線(給電線)75が切断するなどして係留線(給電線)からの電力供給に異常が発生したときは、ドローン飛行駆動部には、無線中継システムに内蔵の予備バッテリーから電力が供給されるため、ドローン60を安全に着陸させて安全に運用を停止することができる。なお、係留装置(地上給電装置)90は、バッテリーや発電機が搭載された地上の自動車50や海上の船舶などに搭載してもよい。
【0023】
図2は、比較参考例に係る無線中継システムにおけるドローン60の電装部600の主要部構成を示すブロック図である。
図2において、比較参考例に係るドローン60の電装部600は、子機20のほか、ドローン飛行駆動部610と、予備バッテリー620と、電源装置630と、電圧検出装置640と、スイッチ650とを有する。以下、係留線(給電線)75からの電力供給の異常が係留線の切断である場合を例に挙げて説明する。
【0024】
電源装置630には、係留装置(地上給電装置)90から係留線(給電線)95を介して電力が供給される。電源装置630と子機20及びドローン飛行駆動部610との間に、電圧検出装置640とスイッチ650がある。電圧検出装置640は、電源装置630の出力電圧が所定値よりも下がったことを検知すると、係留線(給電線)95が切断した(異常が発生した)と判断し、子機20及びドローン飛行駆動部610への電源供給経路を予備バッテリー620に切り替えるようにスイッチ650を制御する。予備バッテリー620は、スイッチ650を介して子機20及びドローン飛行駆動部610に接続され、その両方に電力を供給する。
【0025】
このとき、ドローン飛行駆動部610は、予備バッテリー620から電力が供給されているので、ドローン60の飛行は継続される。また、予備バッテリー620から子機20にも電力が供給されているので、子機20からの電波の送信も継続される。このように本比較参考例では係留線95が切断しても、そのまま飛行を継続し、子機20からの電波の送信も継続される。
【0026】
〔構成例1〕
図3は、実施形態に係るドローン無線中継システムにおけるドローン60の電装部600の主要部構成の一例(以下、本例を「構成例1」という。)を示すブロック図である。
図3において、本構成例1に係るドローン60の電装部600は、子機20と、ドローン飛行駆動部610と、予備バッテリー620と、係留線(給電線)95に接続された電源部としての電源装置630と、制御部660と、を備える。
【0027】
更に、ドローン60の電装部600は、通信用電源供給経路631と、駆動用電源供給経路632と、検出部としての電圧検出装置640と、切替部としてのスイッチ650とを備える。通信用電源供給経路631は、電源装置630と子機20との間を直結するように設けられ、電源装置630から子機20へ電力を供給する。駆動用電源供給経路632は、電圧検出装置640及びスイッチ650を介して電源装置630とドローン飛行駆動部610及び制御部660との間を接続するように設けられ、電源装置630からドローン飛行駆動部610及び制御部660へ電力を供給する。
【0028】
電圧検出装置640は、子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660に向けて出力される電源装置630の出力を検出する。電圧検出装置640は、電源装置630の出力の停止又は低下を検出したとき、係留線(給電線)95が切断したと判断し、電源装置630からドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給を予備バッテリー620からドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給に切り替えるための切替制御信号を生成してスイッチ650に出力する。
【0029】
スイッチ650は、外部から入力された切替制御信号により、駆動用電源供給経路を切り替える切替動作を行う。スイッチ650は、電圧検出装置640からの切替制御信号に基づいて、電源装置630からドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給を予備バッテリー620からドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給に切り替える。
【0030】
また、電圧検出装置640は、電源装置630の出力の停止又は低下を検出したとき、その検出信号(電源停止信号又は電圧低下信号)を制御部660に出力する。制御部660は、電圧検出装置640から検出信号を受信すると、係留線(給電線)95が切断したと判断し、ドローン60を所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)まで飛行するように、ドローン飛行駆動部610に降下・着陸信号(go home信号)を送信する。ドローン飛行駆動部610は、この降下・着陸信号を受信すると、予め決められた降下・着陸プログラムを実行し、所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)に向けて自律的に移動を開始し、下降して着陸する。
【0031】
以上示したように、
図3のドローン無線中継システムは、予備バッテリー620がドローン飛行駆動部610及び制御部660だけに接続され、子機20には接続されない構成である。また、電源装置630からの電源供給経路(電源線)は、電圧検出装置640及びスイッチ650よりも前の電源装置630の直後で分岐され、通信用電源供給経路631を介して電源装置630から子機20へ電力供給が行われる。なお、電源装置630からの電源供給経路(電源線)は、スイッチ650よりも前の電圧検出装置640の直後で分岐して子機20へ電力供給が行われるようにしてもよい。
【0032】
図3のドローン無線中継システムにおいては、係留線(給電線)95が切断された場合、電源装置630から子機20への電力供給が停止する。しかも、予備バッテリー620からはドローン飛行駆動部610及び制御部660だけに給電され、子機20には給電されない。そのため、子機20は動作停止となり、子機20からの電波の送信は停止される。
【0033】
また、係留線(給電線)95が切断された場合、予備バッテリー620は、スイッチ650を介してドローン飛行駆動部610及び制御部660に電力を供給するため、電力が供給されているドローン飛行駆動部及び制御部660により、ドローン60は所定の着地点に向けて安全に着陸するように制御されるので、安全に運用を停止することができる。
【0034】
特に、
図3のドローン無線中継システムでは、前述の
図2の構成から子機20への電力供給の経路(配線)を替え、制御部660を追加するだけで実現でき、前述の
図2の構成からの変更は少なくて済む。ただし、
図3のドローン無線中継システムでは、係留線(給電線)95が切断されたときに子機20への電力供給が瞬時に途絶えるため、子機20の故障を回避するために電源保護回路等を設けてもよい。
【0035】
〔構成例2〕
図4は、実施形態に係る無線中継システムにおけるドローン60の電装部600の主要部構成の他の例(以下、本例を「構成例2」という。)を示すブロック図である。
図4において、本構成例1に係るドローン60の電装部600は、
図3の構成と同様に、子機20と、ドローン飛行駆動部610と、予備バッテリー620と、電源装置630と、制御部660とを備える。
【0036】
更に、ドローン60の電装部600は、電源装置630から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660へ電力を供給する電源供給経路633と、電圧検出装置640と、スイッチ650とを備える。
【0037】
電圧検出装置640は、子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660に向けて出力される電源装置630の出力を検出する。電圧検出装置640は、電源装置630の出力の停止又は低下を検出したとき、係留線(給電線)95が切断したと判断し、電源装置630から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給を、予備バッテリー620から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給に切り替えるための切替制御信号を生成してスイッチ650に出力する。
【0038】
スイッチ650は、電圧検出装置640からの切替制御信号に基づいて、電源装置630から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給を、予備バッテリー620から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給に切り替える。
【0039】
また、電圧検出装置640は、電源装置630の出力の停止又は低下を検出したとき、その検出信号(電源停止信号又は電圧低下信号)を制御部660に出力する。制御部660は、電圧検出装置640から検出信号を受信すると、係留線(給電線)95が切断したと判断し、送信制御部として機能して、子機20からの電波の送信を停止するための送信制御信号を生成して子機20に出力する。子機20は、制御部660からの送信制御信号に基づいて、子機20からの電波の送信を停止する。
【0040】
更に、制御部660は、電圧検出装置640から検出信号を受信して、係留線(給電線)95が切断したと判断したら、ドローン60を所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)まで飛行するように、ドローン飛行駆動部610に降下・着陸信号(go home信号)を送信する。ドローン飛行駆動部610は、この降下・着陸信号を受信すると、予め決められた降下・着陸プログラムを実行し、所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)に向けて自律的に移動を開始し、下降して着陸する。
【0041】
以上示したように、
図4のドローン無線中継システムは、前述の
図2の構成と同様に、予備バッテリー620がドローン飛行駆動部610及び制御部660のほか、子機20にも接続された構成である。従って、係留線(給電線)95が切断された場合も、子機20へは予備バッテリー620から電力が供給されるので、子機20は動作したままの状態である。この状態で、制御部660は、送信制御部として機能し、電圧検出装置640が電源装置630の出力の停止又は低下を検出した検出信号に基づいて、係留線(給電線)95が切断されたと判断したとき、子機20に送信制御信号を送信する。この送信制御信号を受信した子機20は電波の送信を停止する。
【0042】
子機20には、一般的に設けられる制御監視機能の一つとして送信ON・OFF制御を外部から実行可能な機能が備わっている。
図4のドローン無線中継システムでは、この既存の送信ON・OFF制御の機能を利用できることから、システム構成は簡易である。また、子機20への電力供給は継続されることから、係留線(給電線)95が切断されても子機20における通常の送信ON/OFF制御と変らないため、子機20の装置故障を回避できる。
【0043】
〔構成例3〕
図5は、実施形態に係る無線中継システムにおけるドローン60の電装部600の主要部構成の更に他の例(以下、本例を「構成例3」という。)を示すブロック図である。
図5において、本構成例3に係るドローン60の電装部600は、
図4の構成と同様に、子機20と、ドローン飛行駆動部610と、予備バッテリー620と、電源装置630と、電源供給経路633と、電圧検出装置640と、スイッチ650と、制御部660とを備える。
【0044】
電圧検出装置640は、子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660に向けて出力される電源装置630の出力を検出する。電圧検出装置640は、電源装置630の出力の停止又は低下を検出したとき、係留線(給電線)95が切断したと判断し、電源装置630から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給を、予備バッテリー620から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給に切り替えるための切替制御信号を生成してスイッチ650に出力する。
【0045】
スイッチ650は、電圧検出装置640からの切替制御信号に基づいて、電源装置630から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給を、予備バッテリー620から子機20、ドローン飛行駆動部610及び制御部660への電力供給に切り替える。
【0046】
また、ドローン60の電装部600は、受信部としての無線通信装置(例えば、移動通信システムの端末装置である携帯通信モジュール)680を備える。無線通信装置680は、係留線(給電線)95が接続された係留装置(地上給電装置)90から例えば移動通信システムの無線通信を介して送信停止信号を受信する。制御部660は、係留線(給電線)95の切断を検知した係留装置(地上給電装置)90から前記送信停止信号を無線通信装置680から受信したとき、送信制御部として機能して、子機20からの電波の送信を停止するための送信制御信号を生成して子機20に出力する。子機20は、制御部660からの送信制御信号に基づいて、子機20からの電波の送信を停止する。
【0047】
更に、制御部660は、無線通信装置680から送信停止信号を受信して、係留線(給電線)95が切断したと判断したら、ドローン60を所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)まで飛行するように、ドローン飛行駆動部610に降下・着陸信号(go home信号)を送信する。ドローン飛行駆動部610は、この降下・着陸信号を受信すると、予め決められた降下・着陸プログラムを実行し、所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)に向けて自律的に移動を開始し、下降して着陸する。
【0048】
係留装置(地上給電装置)90は、検出部としての電力検出装置(電力センサ)910と、送信部としての無線通信装置(例えば携帯通信モジュール)930とを備える。電力検出装置(電力センサ)910は、係留線(給電線)95を介してドローン60に供給する電力(電圧、電流又はその両方)を検出し、電力供給の停止又は供給電力の低下を検出したとき、送信停止信号を生成する。無線通信装置930は、電力検出装置(電力センサ)910で生成した送信停止信号を、例えば移動通信システムの無線通信を介して、ドローン60の電装部600に設けられた無線通信装置680に送信する。
【0049】
以上示したように、
図5のドローン無線中継システムは、前述の
図2の構成と同様に、予備バッテリー620がドローン飛行駆動部610及び制御部660のほか、子機20にも接続された構成である。従って、係留線(給電線)95が切断された場合も、子機20へは予備バッテリー620から電力が供給されるので、子機20は動作したままの状態である。この状態で、係留装置(地上給電装置)90が、ドローン60への電力供給の停止又は供給電力の低下を検出したとき、ドローン60に送信停止信号を送信し、この送信停止信号を受信したドローン60の制御部660が、送信制御部として機能して、子機20に送信制御信号を送信する。この送信制御信号を受信した子機20は電波の送信を停止する。
【0050】
特に、
図5のドローン無線中継システムでは、係留装置(地上給電装置)90に一般的に設けられる電力検出装置(電力センサ)910により係留線(給電線)95の切断の有無を検知することができ、また、子機20側も子機20の監視制御を行うために一般的に設けられている無線通信装置(例えば、移動通信システムの端末装置である携帯通信モジュール)を介して送信停止信号の送受信を行うことができる。更に、子機20には、一般的に設けられる制御監視機能の一つとして送信ON・OFF制御を外部から実行可能な機能も備わっている。これらの構成を利用できることから、システム構成は簡易である。また、子機20への電力供給は継続されることから、係留線(給電線)95が切断されても子機20における通常の送信ON/OFF制御と変らないため、子機20の装置故障を回避できる。
【0051】
以上、本実施形態においては、有線給電型のドローン無線中継システムにおいて、何らかの原因で係留線(給電線)95が切断されるなどして、係留線(給電線)からドローン60への電力供給に異常が発生しても、予備バッテリー620からの電力供給により飛行を継続することが可能である。そして、本実施形態では、この異常が発生したら、制御部660によりドローン飛行駆動部610へ降下・着陸信号(go home信号)が送信され、ドローン60は所定の着地点(例えば、自動車50の離発着部)まで自律的に飛行し、着陸することができる。このように、係留線(給電線)からドローン60への電力供給に異常が発生したら、ドローン60は速やかに所定の着地点まで自律飛行して着陸するので、ドローン60に搭載される予備バッテリー620としては、この自律飛行分の電力供給が賄える程度の小容量のバッテリーを採用できる。よって、本実施形態によれば、ドローン60に搭載される予備バッテリー620の小型化、軽量化を実現できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、リピータ型の無線中継システムであり、子機20はベースバンド信号の符号化及びベースバンド信号への復号化などの基地局(eNodeB、gNodeB)に特有の処理を行う必要がないことから、子機20の装置構成が簡易・軽量になる。
【0053】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線中継システムを含む通信システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0054】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0055】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0056】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0057】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0058】
10 :親機
20 :子機
30 :基地局
31 :アンテナ
40 :移動局
50 :自動車
60 :ドローン
80 :移動通信網
81 :遠隔制御装置
90 :係留装置(地上給電装置)
95 :係留線(給電線)
102 :アンテナ
200A :セル
201 :アンテナ
202 :アンテナ
600 :電装部
610 :ドローン飛行駆動部
620 :予備バッテリー
630 :電源装置
631 :通信用電源供給経路
632 :駆動用電源供給経路
633 :電源供給経路
640 :電圧検出装置
650 :スイッチ
660 :制御部
680 :無線通信装置
910 :電力検出装置
930 :無線通信装置
【手続補正書】
【提出日】2022-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体であって、
飛行駆動部と、
前記飛行駆動部を制御する制御部と、
前記給電線から前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源部と、
前記電源部の出力を検出する検出部と、
予備バッテリーと、
前記検出部が前記電源部の出力の停止又は低下を検出したときに前記給電線を介した電力供給に異常が発生したと判断し、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替える切替部と、を備え、
前記制御部は、前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように前記飛行駆動部を制御する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体であって、
飛行駆動部と、
前記飛行駆動部を制御する制御部と、
前記給電線から前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源部と、
予備バッテリーと、
前記給電線を介した電力供給に異常が発生したことを示す異常発生信号を、無線通信を介して受信する受信部と、
前記受信部が前記異常発生信号を受信したときに前記給電線を介した電力供給に異常が発生したと判断し、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替える切替部と、を備え、
前記制御部は、前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように前記飛行駆動部を制御する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飛行体において、
前記電源部又は前記予備バッテリーにより電力供給される無線中継装置と、
前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止させる手段とを備える、ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
地上又は海上から上空に延びる給電線を係留線とみなして係留される有線給電型の飛行体であって、
飛行駆動部と、
前記飛行駆動部を制御する制御部と、
前記給電線から前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源部と、
予備バッテリーと、
前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替える切替部と、
前記電源部又は前記予備バッテリーにより電力供給される無線中継装置と、
前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止させる手段と、を備え、
前記制御部は、前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、所定の着地点まで自律飛行するように前記飛行駆動部を制御する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の飛行体において、
前記手段として、前記電源部から前記切替部を介さずに前記無線中継装置へ電力を供給する通信用電源供給経路と、前記電源部から前記切替部を介して前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する駆動用電源供給経路とを備える、ことを特徴とする飛行体。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の飛行体において、
前記電源部から前記切替部を介して前記無線中継装置、前記飛行駆動部及び前記制御部へ電力を供給する電源供給経路を備え、
前記切替部は、前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置、前記飛行駆動部及び前記制御部への電力供給元を前記電源部から前記予備バッテリーへと切り替え、
前記手段として、前記給電線を介した電力供給に異常が発生したとき、前記無線中継装置からの電波の送信を停止するための送信制御信号を前記無線中継装置に送信する送信制御部を備える、ことを特徴とする飛行体。
【請求項7】
無線中継装置を搭載した飛行体が、地上又は海上から上空に延びた給電線を係留線とみなして係留された有線給電型の無線中継システムであって、
前記給電線とみなされる前記給電線が接続された地上又は海上の給電装置、及び、前記飛行体に搭載された前記無線中継装置と通信する地上又は海上の中継元の無線中継装置のうちの少なくとも一方の装置を備え、
前記飛行体として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の飛行体を用いる、ことを特徴とする無線中継システム。
【請求項8】
請求項7に記載の無線中継システムにおいて、
前記給電装置は、前記給電線を介した前記飛行体への電力供給に異常が発生したことを検出する検出部と、前記検出部が前記異常が発生したことを検出したとき、異常発生信号を無線通信を介して前記飛行体へ送信する送信部とを備える、ことを特徴とする無線中継システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、飛行体及び無線中継システムに関するものである。