(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165057
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20221024BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20221024BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20221024BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G03G15/01 J
G03G9/08 391
G03G9/09
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070238
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123375
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平出 麻苗美
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
2H500
【Fターム(参考)】
2H270KA68
2H270KA72
2H270LA90
2H270LC03
2H270LD03
2H270LD08
2H270MA08
2H270MA14
2H270MA24
2H270MB04
2H270MC01
2H270MH09
2H270PA14
2H270PA51
2H270ZC04
2H300EA14
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300ED01
2H300ED07
2H300ED13
2H300EF17
2H300EH32
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EJ24
2H300EJ25
2H300EJ39
2H300EJ43
2H300EJ48
2H300EJ50
2H300EK06
2H300FF01
2H300GG17
2H300QQ02
2H300QQ12
2H300RR21
2H300RR22
2H300TT04
2H500AA06
2H500AA14
2H500CA29
2H500EA21A
2H500EA21C
2H500EA52C
(57)【要約】
【課題】印刷に光輝性トナーを用いる、電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体の色によっては適切なメタリック性(光輝性)が得られない場合があった。
【解決手段】光輝性トナー画像を記録用紙71上に形成する画像形成部(66、30、47)と、この記録用紙71が白色か、又は有色かを決定する用紙色決定部211と、画像形成部(66、30、47)を制御する画像形成制御部(205、206、209)とを有し、この画像形成制御部(205、206、209)は、用紙色決定部211が印刷する記録用紙71を有色と決定した場合、記録用紙71が白色の場合よりも光輝性トナー画像の形成量を増やす。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性トナー画像を記録媒体上に形成する画像形成部と、
前記記録媒体が白色か、又は有色かを決定する媒体色決定部と、
前記画像形成部を制御する画像形成制御部と
を有し、
前記画像形成制御部は、前記媒体色決定部が前記記録媒体を有色と決定した場合、前記記録媒体が白色の場合よりも前記光輝性トナー画像の形成量を増やすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記媒体色決定部は前記記録媒体のFI値により白色又は有色を決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記媒体色決定部により、前記記録媒体のFI値が7.0以上と決定された場合、前記画像形成制御部は、前記光輝性トナー画像の形成量を所定値以上にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記媒体色決定部により、前記記録媒体のFI値が5.6以下と決定された場合、前記光輝性トナー画像の形成量を所定値未満にすることを特徴とする請求項1から3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記FI値は、前記画像形成装置に設けられた媒体色算出手段によって得ることを特長とする請求項2から4までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光輝性トナーに含まれる光輝性顔料の体積中位径が5.4[μm]以下であることを特徴とする請求項1から5までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷速度設定部を備え、該印刷速度設定部は、前記媒体色決定部が、前記記録媒体の色を白色と決定した場合、有色と決定した場合よりも印刷速度を遅くすることを特徴とする請求項1から6までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
光輝性トナー画像を記録媒体上に形成する画像形成部と、
前記画像形成部を制御する画像形成制御部と
を有し、
前記記録媒体が有色であるとき、前記画像形成制御部は、前記記録媒体が白色のときよりも前記光輝性トナー画像の形成量を増やすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
光輝性トナー画像を記録媒体上に形成する画像形成部と、
前記画像形成部を制御する画像形成制御部と
を有し、
前記画像形成制御部は、前記記録媒体が第1のFI値である第1の媒体のとき、
前記記録媒体が前記第1のFI値よりも小さいFI値である第2の媒体のときよりも、
前記光輝性トナー画像の形成量を増やすことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷に光輝性顔料を含む光輝性トナーを用いる、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光輝性トナーを用いた画像形成装置においては、光輝性トナーに含まれる光輝性顔料を規定することで、印刷時のメタリック性(光輝性)を良化させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-84677号公報(第3頁、
図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光輝性顔料を規定するのみでは、記録媒体の色によっては適切な光輝性が得られない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による画像形成装置は、光輝性トナー画像を記録媒体上に形成する画像形成部と、前記記録媒体が白色か、又は有色かを決定する媒体色決定部と、前記画像形成部を制御する画像形成制御部とを有し、
前記画像形成制御部は、前記媒体色決定部が前記記録媒体を有色と決定した場合、前記記録媒体が白色の場合よりも前記光輝性トナー画像の形成量を増やすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、記録媒体が白色と有色の何れの場合であっても、良好な光輝性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示による実施の形態1の画像形成装置としてのプリンタの要部構成を示す要部構成図である。
【
図2】IDユニットの内部構成を示す内部構成図である。
【
図3】現像剤収容器の内部を概略的に示す外観斜視図であり、外筐の一部を除いた状態で示している。
【
図4】本実施の形態のプリンタのシステムのうち、本開示とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。
【
図6】表2に示した印刷光輝性評価値ΔFIの各数値をグラフ化したグラフである。
【
図7】表3に示した印刷光輝性評価値ΔFIの各数値をグラフ化したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本開示による実施の形態1の画像形成装置としてのプリンタ1の要部構成を示す要部構成図である。
【0009】
プリンタ1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、特色(S)の5色を印刷可能な中間転写方式のカラー用電子写真プリンタとしての構成を備えている。尚、特色(S)は、例えば金色や銀色のように、金属光沢を呈する、すなわち光輝性を有する特殊な色である。この特色は、単独で使用される場合の他、通常色に重ねて使用される場合がある。本開示による実施の形態では、特色として銀色(シルバー)を使用する場合を例に説明する。
【0010】
同図に示すように、第1給紙カセット11は、内部に積層された記録媒体としての記録用紙71aを収容し、ピックアップローラ31及び給紙ローラ対12は、第1給紙カセット11から記録用紙71aを一枚ずつ取り出して順次搬送路に送出する。記録用紙71aの搬送方向を示す矢印A方向における、給紙ローラ対12の下流側には、順に記録用紙71aを経路に沿って搬送する搬送ローラ対13、記録用紙71aの斜行を矯正するレジストローラ対14、所定のタイミングで二次転写部47に記録用紙71aを送り込むタイミングローラ対15が配設されている。尚、第1給紙カセット11、ピックアップローラ31、及び給紙ローラ対12により第1給紙部10を構成している。
【0011】
またレジストローラ対14の上流側には、第2給紙カセット36、ピックアップローラ37、及び給紙ローラ対38からなる第2給紙部35が用意され、第2給紙カセット36は、内部に積層された記録媒体としての記録用紙71bを収容し、ピックアップローラ37及び給紙ローラ対38は、第2給紙カセット36から記録用紙71bを一枚ずつ取り出して順次レジストローラ対14に送出する。
【0012】
これらの第1給紙部10及び第2給紙部35からは、記録用紙71a或いは記録用紙71bのどちらか一方が選択的にレジストローラ対14に送り出される。以後、記録用紙71a,71bにおいて、特に区別する必要がない場合には記録用紙71と記す。
【0013】
現像形成部66は、特色(S)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色の現像剤画像を各々に形成する5つのイメージドラムユニット(以下、IDユニットと称す)61S,61C,61M,61Y,61K(区別する必要がない場合には単に61を付す)と5つのLEDヘッド67S~67K(区別する必要がない場合には単に67を付す)とを有する。
【0014】
5つのIDユニット61S~61Kは、後述する中間転写ベルトユニット30の中間転写ベルト44が、中間転写ベルトユニット30の上部で移動する移動方向を示す矢印B方向に沿って、その上流側から順に配置され、5つのLEDヘッド67S~67Kは、後述するように、IDユニット61に備えられた感光体ドラム136の所定部に光を照射すべく、各IDユニット61S~61Kに対向して配置されている。
【0015】
尚、
図1中のX、Y、Zの各軸は、中間転写ベルト44が、中間転写ベルトユニット30の上部で移動する移動方向にX軸をとり、感光体ドラム136の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のX、Y、Z軸は、各図の描写部分が、
図1に示すプリンタ1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0016】
IDユニット61の内部構成は共通しているため、例えばブラック(K)のIDユニット61Kを例にとり、これらの内部構成を説明する。
図2は、IDユニット61の内部構成を示す内部構成図である。尚、
図1では、IDユニット61Sの現像剤収容器112(
図2)の一部形状のみが異なって示されている。
【0017】
同図に示すように、IDユニット61は、大きく分けて画像形成本体部111、現像剤収容器112、現像剤供給部113及びLED(Light Emitting Diode)ヘッド67により構成されている。因みにIDユニット61及びこれを構成する各部品は、記録用紙71のY軸方向の長さに応じて、同方向に十分な長さを有している。このため多くの部品は、X軸方向やZ軸方向の長さに対してY軸方向の長さが比較的長くなっており、Y軸方向に沿って細長い形状に形成されている。
【0018】
現像剤収容器112は、内部に現像剤を収容しており、IDユニット61本体に対して着脱可能に構成されている。この現像剤収容器112は、IDユニット61本体に装着される場合、現像剤供給部113を介して画像形成本体部111に取り付けられる。
【0019】
図3は、この現像剤収容器112の内部を概略的に示す外観斜視図であり、このため外筐の一部を除いた状態で示している。同図に示すように、現像剤収容器112は、Y軸方向に長い収容器筐体120の内部に、Y軸方向に長い円筒状の空間でなる収容室121が形成されており、この収容室121に現像剤が収容される。以後、
図3に示す矢印B方向(X軸方向のマイナス側)からみて、左右、前後、上下を特定する場合がある。
【0020】
収容室121の底部における左右の略中央には、この収容室121内の空間と外部の空間とを連通させる供給孔122が穿設されると共に、この供給孔122を開放又は閉塞するシャッタ123が設けられている。このシャッタ123は、レバー124と接続されており、このレバー124の回動に伴って供給孔122を開放又は閉塞する。レバー124は、現像剤収容器112がIDユニット61に対して着脱される際に、ユーザにより操作される。
【0021】
例えば現像剤収容器112は、IDユニット61(
図2)に装着される前の状態において、予めシャッタ123により供給孔122を閉塞しており、収容室121内の内部に収容している現像剤が外部に漏れることを防止している。現像剤収容器112は、IDユニット61に装着される場合、レバー124が所定の開放方向へ回動されることにより、シャッタ123を移動させて供給孔122を開放する。
【0022】
これにより現像剤収容器112は、収容室121内の空間を現像剤供給部113内の空間と連通させ、収容室121内の現像剤を現像剤供給部113経由で画像形成本体部111へ供給する。また現像剤収容器112は、IDユニット61から取り外される際、レバー124が所定の閉塞方向へ回動されることにより、シャッタ123を移動させて供給孔122を閉塞する。
【0023】
また収容室121の内部には、撹拌部材125が設けられている。撹拌部材125は、左右方向に沿った仮想的な中心軸の周囲に細長い部材を螺旋状に周回させたような形状に形成されており、収容室121内において、この仮想的な中心軸を中心として回転し得るようになっている。収容器筐体120の端部には、撹拌駆動部126が設けられている。
【0024】
撹拌駆動部126は、撹拌部材125と連結されており、筐体2(
図1)内に設けられた所定の駆動力源から駆動力が供給されると、この駆動力を撹拌部材125に伝達して回転させる。これにより現像剤収容器112は、収容室121内に収容している現像剤を撹拌し、現像剤の凝集を防止すると共に、この現像剤を供給孔122へ送ることができる。
【0025】
画像形成本体部111(
図2)には、画像形成筐体130、現像剤収容空間131、第1供給ローラ132、第2供給ローラ133、現像ローラ134、現像ブレード135、感光体ドラム136、帯電ローラ137、及びクリーニングブレード138が組み込まれている。このうち第1供給ローラ132、第2供給ローラ133、現像ローラ134、感光体ドラム136及び帯電ローラ137は、それぞれ中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されており、それぞれ画像形成筐体130により回転可能に支持されている。
【0026】
因みに特色(S)のIDユニット61Sでは、予めユーザに選択された現像剤、ここでは後述する光輝性トナーが収容された現像剤収容器112が、現像剤供給部113を介して画像形成本体部111に装着される。
【0027】
現像剤収容空間131は、現像剤収容器112から現像剤供給部113を介して供給される現像剤を収容する。第1供給ローラ132、第2供給ローラ133は、それぞれ周側面に導電性ウレタンゴム発泡体等でなる弾性層が形成されている。現像ローラ134は、周側面に弾性を有する弾性層や導電性を有する表面層等が形成されている。現像ブレード135は、例えば所定厚さのステンレス鋼板でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を現像ローラ134の周側面に当接させている。
【0028】
感光体ドラム136は、周側面に薄膜状の電荷発生層及び電荷輸送層が順次形成され、帯電し得るようになっている。帯電ローラ137は、周側面に導電性の弾性体が被覆されており、この周側面を感光体ドラム136の周側面に当接させている。クリーニングブレード138は、例えば薄板状の樹脂でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を感光体ドラム136の周側面に当接させている。
【0029】
LEDヘッド67は、画像形成本体部111における感光体ドラム136の上側に位置している。このLEDヘッド67は、複数の発光素子チップが左右方向に沿って直線状に配置されており、後述する画像形成制御部205(
図4)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで各発光素子を発光させる。
【0030】
画像形成本体部111は、図示しないモータから駆動力が供給されることにより、第1供給ローラ132、第2供給ローラ133、現像ローラ134及び帯電ローラ137を矢印方向(図中の時計回り)へ回転させると共に、感光体ドラム136を矢印方向(図中の反時計回り)へ回転させる。更に画像形成本体部111は、後述する画像形成制御部205(
図4)から供給される所定のバイアス電圧を、第1供給ローラ132、第2供給ローラ133、現像ローラ134、現像ブレード135及び帯電ローラ137にそれぞれ印加して帯電させる。
【0031】
第1供給ローラ132及び第2供給ローラ133は、帯電により、現像剤収容空間131内の現像剤を周側面に付着させ、回転によりこの現像剤を現像ローラ134の周側面に付着させる。現像ローラ134は、現像ブレード135によって周側面から余分な現像剤が除去され、この現像剤が薄膜状に付着した状態として、この周側面を感光体ドラム136の周側面に当接させる。
【0032】
一方、帯電ローラ137は、帯電した状態で感光体ドラム136と当接することにより、感光体ドラム136の周側面を一様に帯電させる。LEDヘッド67は、画像形成制御部205(
図4)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで、所定の時間間隔毎に発光することにより、感光体ドラム136を順次露光する。これにより感光体ドラム136は、その上端近傍において周側面に静電潜像が順次形成されていく。
【0033】
続いて感光体ドラム136は、矢印方向へ回転することにより、この静電潜像が形成された箇所を現像ローラ134と当接させる。これにより感光体ドラム136の周側面には、静電潜像を基に現像剤が付着し、画像データに基づいた現像剤像が現像される。感光体ドラム136は、さらに矢印方向へ回転することにより、この現像剤像を感光体ドラム136の下端近傍に到達させる。
【0034】
図1に示すように、筐体2内における各IDユニット61の下側には、中間転写ベルトユニット30が配置されている。中間転写ベルトユニット30は、図示しない駆動源より駆動されるドライブローラ41、中間転写ベルト44に張力を付与するテンションローラ43、逆屈曲ローラ対63、二次転写ローラ46と対向して配置されて二次転写部47を構成する二次転写バックアップローラ42、及びそれらローラに張架された中間転写ベルト44を備える。
【0035】
更に中間転写ベルトユニット30は、各IDユニット61S~61Kの感光体ドラム136に対向して配置された5つの1次転写ローラ45S~45K(区別する必要がない場合には単に45を付す)を備える。これ等の各1次転写ローラ45は、それぞれが対向する感光体ドラム136上に形成された現像剤像を、中間転写ベルト44上に一次転写する。
【0036】
この中間転写ベルトユニット30は、上述したように、現像形成部66により形成された現像剤像を中間転写ベルト44に一次転写し、更に一次転写された現像剤像を二次転写部47まで搬送する。二次転写部47では、二次転写ローラ46によって、中間転写ベルト44に一次転写された現像剤像をタイミングローラ対15から送り出される記録用紙71に二次転写する。
【0037】
定着器62は、図示しない駆動源によって矢印方向に回転駆動される加熱用のアッパローラ62aと、アッパローラ62aに圧接して従動回転する加圧用のロワローラ62bからなり、二次転写部47より送り出された記録用紙71をニップ部で挟持して所定の搬送速度で搬送し、その搬送過程で、記録用紙71上の現像剤像に熱と圧力を印加してこれを融解し、融解したこの現像剤像を記録用紙71に定着させる。
【0038】
第1のセパレータ51は、定着器62から排出され、排出ローラ対16によって搬送される記録用紙71を、排出ローラ対17~20に導く排出ポジションと、再印刷搬送部32に導く再印刷ポジションとに設定される。排出ローラ対17,18,19,20は、第1のセパレータ51によって導かれてくる記録用紙71をフェイスダウンスタッカ72へと排出する。
【0039】
再印刷搬送部32は、再印刷ポジションに設定された第1のセパレータ51によって導かれてくる記録用紙71の進路を決める第2のセパレータ52、必要に応じて記録用紙71を前後にスイッチバック搬送する正反転ローラ対21、記録用紙71の進路を決める第3のセパレータ53、2パス印刷する記録用紙71を搬送する2パス用搬送ローラ対22、両面印刷する記録用紙71を搬送する両面印刷用搬送ローラ対23、これらから送られてきた記録用紙71を再びタイミングローラ対15に搬送する再印刷搬送ローラ対24,25,26、両面印刷時に一時的に記録用紙71を収容する退避部27を備える。再印刷搬送部32は、ユニットに構成してもよい。
【0040】
尚、各ローラ対は、図示されない搬送駆動モータから図示されない駆動伝達手段を経由して動力が伝達され、各セパレータは、図示されないソレノイドから稼動伝達手段を経由して回動ポジション設定のための動力が伝達される。
【0041】
以上のように構成された再印刷搬送部32において、先ず2パス印刷時の記録用紙71の搬送について説明する。
【0042】
このとき、定着器62によって1回目の定着動作がなされる、いわゆる1パス印刷(一回目の印刷)された記録用紙71は、導入ポジションに設定された第2のセパレータ52、2パス印刷ポジションに設定された第3のセパレータ53、及び正転搬送する正反転ローラ対21によって、2パス印刷用経路28に導かれる。
【0043】
2パス印刷用経路28に搬送された記録用紙71は、2パス用搬送ローラ対22、再印刷搬送ローラ対24,25,26によって矢印C方向に搬送され、1パス印刷で印刷された面(表面)が上面(印刷面)となって再びタイミングローラ対15に至り、2パス印刷(同じ記録用紙の同一面への2回目の印刷)が実行される。このとき、第1のセパレータ51は、排出ポジションに設定され、2パス印刷が完了した記録用紙71は、排出ローラ対16~20によって搬送され、やがてフェイスダウンスタッカ72へと排出される。
【0044】
上記した2パス印刷では、例えば、1パス印刷で、IDユニット61Y,61M,61C,61Kによってそれぞれ形成された現像剤画像を順次重ねて形成したカラー現像剤画像よるカラー画像印刷が行われ、2パス印刷では、IDユニット61Sによって形成されたクリア画像をカラー画像の上に印刷する特色画像印刷が行われる。
【0045】
尚、本実施の形態では、光輝性トナーを収容するIDユニット61S及び他のIDユニット61Y,61M,61C,61Kをいっしょに印刷処理する1パス印刷で説明しているが、特に限定は無く2パス印刷で印刷処理を行っても良い。
【0046】
次に、両面印刷時の、再印刷搬送部32における記録用紙71の搬送について説明する。
【0047】
このとき、片面印刷された記録用紙71は、導入ポジションに設定された第2のセパレータ52、両面印刷ポジションに設定された第3のセパレータ53、及び正転搬送する正反転ローラ対21によって、先端部から順に退避部27に収容される。
【0048】
そして記録用紙71の後端部が第2のセパレータ52を通過し、例えばこの第2のセパレータ52によってこの後端部の通過が検出されると、記録用紙71の後端部を挟持したままの正反転ローラ対21が反転して導出方向に回転すると共に、第2のセパレータ52が導出ポジションに設定される。
【0049】
これにより、大部分が退避部27に一旦収容された記録用紙71は、前後が逆になって両面印刷用経路29に導かれ、両面印刷用搬送ローラ対23、再印刷搬送ローラ対24,25,26によって矢印C方向に搬送され、まだ印刷されていない面(裏面)が上面(印刷面)となって再びタイミングローラ対15に至り、表面の印刷時と同様にして裏面への印刷が実行される。このとき第1のセパレータ51は排出ポジションに設定され、両面印刷が完了した記録用紙71は、排出ローラ対16~20によって搬送され、やがてフェイスダウンスタッカ72へと排出される。
【0050】
図4は、本実施の形態のプリンタ1のシステムのうち、本開示とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。以下、
図1を参照しながら説明する。
【0051】
同図に示すように、プリンタ1は、外部のホストコンピュータ250から印刷情報を受信し且つ受信した印刷情報の解析を行う画像生成部201、エンジン動作の制御を行うエンジン制御部203、及び画像生成部201からエンジン制御に必要な情報を受信してエンジン制御部203と交信するインターフェース部202を備える。
【0052】
エンジン制御部203は、インターフェース部202から送信される情報を基に画像形成のための動作処理を指示する主制御部204、画像形成を行うための動作を駆動制御する画像形成制御部205、形成した画像の搬送を駆動制御する画像搬送制御部206、定着温度の制御などを行う定着制御部207、記録用紙71の、位置の監視及び搬送を駆動制御する用紙搬送制御部208、二次転写制御を行う二次転写制御部209、第1~第3のセパレータ51~53のポジション移動を駆動制御する印刷順路制御部210、及び記録用紙71の色の種類を決定する用紙色決定部211によって構成されている。
【0053】
画像生成部201は、ホストコンピュータ250から印刷情報を受信して印刷画像を生成し、インターフェース部202を介してエンジン制御部203へ送信する。印刷速度設定部でもある主制御部204は、画像形成制御部205、画像搬送制御部206、定着制御部207、用紙搬送制御部208、二次転写制御部209、及び印刷順路制御部210に対して、印刷速度を含む、画像形成のための動作処理を指示する。
【0054】
画像形成制御部205は、現像形成部66のIDユニット61、LEDヘッド67等を制御して感光体ドラム136上にトナー画像を形成し、画像搬送制御部206は、中間転写ベルトユニット30を制御し、画像形成制御部205で形成したトナー画像を中間転写ベルト44に転写して二次転写部47まで搬送し、用紙搬送制御部208は、全てのローラ対及び定着器62による記録用紙71の搬送及びその速度を制御する。
【0055】
また、画像形成制御部205は、特色IDユニット61Sによる光輝性トナーの形成量を変えることが可能に構成されている。この時の形成量変化は、例えば、LEDヘッド67Sの露光量、現像ローラ134への印加電圧、第1及び第2供給ローラ132,133への印加電圧、及び転写ローラ45Sへの印加電圧などを調整して行うことが出来る。本実施の形態においては、後述するように、媒体色算出手段に基づいて特色IDユニット61Sによる光輝性トナーの形成量を変化させている。
【0056】
二次転写制御部209は、用紙搬送制御部208に制御されて搬送される記録用紙71と、画像搬送制御部206に制御されて搬送されるトナー画像とが二次転写部47まで到達した際に、二次転写部47を制御して記録用紙71にトナー画像を二次転写する。定着制御部207は、定着器62を制御して記録用紙71上のトナー像に熱と圧力を印加してトナー像を融解し、この像を記録用紙71に定着させる。
【0057】
尚、現像形成部66、中間転写ベルトユニット30、二次転写部47が画像形成部に相当し、画像形成制御部205、画像搬送制御部206、二次転写制御部209が画像形成制御部に相当する。
【0058】
また、本実施の形態においては中間転写方式を用いた画像形成装置で説明しているため、画像形成部の構成として中間転写ベルトユニット30が画像形成部に含まれているが、直接転写方式による画像形成装置の場合は、中間転写ベルトユニットがないため、光輝性トナー画像を形成する画像形成部及び該光輝性トナー画像を用紙上に転写する転写部が、画像形成部の構成に相当する。
【0059】
印刷順路制御部210は、第1~第3のセパレータ51~53を制御して、2パス印刷時及び両面印刷時における記録用紙71の搬送順路を設定し、媒体色決定部としての用紙色決定部211は、記録用紙71の色を決定する。
【0060】
尚、用紙色決定部211は、ここでは、図示しないプリンタパネルに配設された用紙色選択ボタンを、ユーザが選択的に操作するのを感知して用紙色を決定するものとするが、媒体色算出手段として、図示しない記憶部に、媒体名と記録媒体のFI値(FI0)が対応した表1の対応表を記憶し、図示しないプリンタパネルに配設された媒体種類選択ボタンで記録媒体を選択した場合に、表1の対応表に基づいて記録媒体のFI値(FI0)が決定される構成としても良い。
【0061】
更に、給紙カセット11内に媒体色算出手段としての用紙色計測部11a(
図1参照)を設け、記録用紙71の後述するFI値を求めて用紙色を決定するようにすることもできる。更にはユーザが、プリンタパネルから直接入力するFI値に基づいて印刷する記録用紙71の用紙色を決定する構成としても良い。
【0062】
次に、特色IDユニット61Sの現像剤収容器112に収容される、印刷画像に光輝性を施すための光輝性トナーの製造について説明する。
【0063】
まず、無機分散剤を分散させた水性媒体を得る工程として、純水27000[重量部]に工業用リン酸三ナトリウム十二水和物920[重量部]を混合し、液温60[℃]で溶解させた後、pH調整用の希硝酸を添加する。そこへ純水4500[重量部]に工業用塩化カルシウム無水物440[重量部]を溶解させた塩化カルシウム水溶液を投入し、ラインミル(プライミクス株式会社)にて3566[回転/分]で液温を60[℃]に保ちながら34分間高速撹拌させて懸濁安定剤(無機分散剤)を含む水相を調製する。
【0064】
一方、顔料分散油性媒体を得る工程として、顔料分散液を酢酸エチル7430[重量部]に光輝性顔料(体積中位径5.4[μm])を680[重量部]、帯電制御剤(BONTRON E-84:オリエント社製)を30[重量部]混合する。その後、液温55[℃]に加熱撹拌し、エステルワックス(WE-4:日油社製)を260[重量部]、ポリエステル樹脂2430[重量部]を投入し、固形物がなくなるまで撹拌して油相を調製する。液温を55[℃]に下げた水相に、油相を投入し、1000[回転/分]にて5分撹拌することによって懸濁させ、粒子を形成した。その後減圧蒸留にて酢酸エチルを除去した。
【0065】
トナーを含むスラリーに硝酸を加えてpHを1.6以下にして撹拌し、懸濁安定剤であるリン酸三カルシウムを溶解させ、脱水する。脱水したトナーを純水に再分散させ、撹拌し、水洗浄を行う。その後、脱水、乾燥、分級し、トナー母粒子を生成した。分級工程により、トナー母粒子を回収した。
【0066】
次に外添工程として、回収したトナー母粒子に対して小シリカ(RY200:アエロジル社製)を1.0[wt%]、コロイダルシリカ(X24-9163A:信越化学社製)を1.5[wt%]入れ、混合し、体積中位径12.79[μm]の光輝性トナーAを得た。
【0067】
尚、体積中位径(Dv50)とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体の個数又は質量の50%を占めるときの粒子径をいう。ここでは、精密粒度分布測定装置マルチサイザー(Multisizer)3(ベックマン・コールター社製)を使用し、以下の測定条件の下で測定した。
・アパチャー径 100[μm]
・電解液 アイソトン2 (ベックマン・コールター株式会社製)
・分散液 ネオゲンS-20F(第一工業製薬株式会社製)を前記電解液に溶解し、濃度5%に調整
【0068】
ベックマン・コールター社のマルチサイザー3は、コールター原理による粒度分布測定装置であり、コールター原理とは、細孔電気抵抗法と呼ばれ、電解質溶液中の細孔(アパチャー)に一定の電流を流し、その細孔を粒子が通過するときの細孔の電気抵抗の変化を計測することにより、粒子の体積を測定する方法である。
【0069】
ここでは、上記分散液5[mL]に測定試料10~20[mg]を添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25[mL]を添加し、更に5分間超音波分散機で分散し、目開き75[μm]のメッシュを通して凝集物を取り除き、試料分散液を調製した。試料分散液を前記電解液100[mL]に加え、3万個の粒子を測定し、その体積粒度分布から体積中位径を求めた。
【0070】
上記した光輝性トナーAの製造方法に準ずるものの、光輝性顔料を体積中位径8.7[μm]に変更することにより、比較例1としての体積中位径13.45[μm]の光輝性トナーBを作製した。
【0071】
次に、光輝性トナーA及び光輝性トナーBを試験試料として、複数色の記録媒体に対して行った光輝性印刷試験について説明する。
【0072】
試験印刷に使用した試験印刷機(C941dn:株式会社沖データ製)は、ここでの印刷評価に必要な要部構成が
図1に示すプリンタ1と同構成であるため、
図1のプリンタ1を参照しながら試験印刷について説明する。尚、
図1では記録用紙71とした媒体を、ここでの評価試験の説明では記録媒体と称す。
【0073】
特色(S)用のIDユニット61Sの現像剤収容器112に光輝性トナーAを収容し、定着器62による定着前の記録媒体上における光輝性トナー画像の形成量が、後述する表2に示す各量になるように調整された状態で、下記する各色の記録媒体に100[%]ベタ画像(印刷画像密度100%ともいう)を印刷した。この印刷時において、記録媒体の搬送速度(即ち印刷速度)は18[ppm](A4横置き)とし、定着器62による定着温度は160[℃]とした。
【0074】
尚、ここでの光輝性印刷試験時には、IDユニット61S以外のIDユニット61は使用しないため、プリンタ1本体から外すか、中間転写ベルト44から離間した状態とする。
【0075】
同様に、比較例として、特色(S)用のIDユニット61Sの現像剤収容器112に光輝性トナーBを収容し、定着器62による定着前の記録媒体上における光輝性トナー画像の形成量が、後述する表3に示す各量になるように調整された状態で、100[%]ベタ画像を印刷した。
【0076】
試験に使用した記録媒体は、
白紙:(OSコート紙W、127[g/m2]:富士ゼロックス株式会社製)、
黒紙:(色上質 黒 厚口、90[g/m2]:北越コーポレーション株式会社製)、
青紙:(色上質 ブルー 厚口、90[g/m2]:北越コーポレーション株式会社製)、
赤紙:(色上質 赤 厚口、90[g/m2]:北越コーポレーション株式会社製)
である。
【0077】
印刷前の記録媒体、及び印刷した100[%]ベタ画像の光輝性(金属光沢性)を、変角光度計(GC-5000L: 日本電色工業社製)にて測定した。具体的には、
図5に示すように、変角光度計によって、記録媒体の表面に対して45[°]の方向から光線Cを放射して記録媒体を照射し、垂直方向に対して0[°]の方向で受光して明度指数L
*
0を算出し、垂直方向に対して30[°]の方向で受光して明度指数L
*
30を算出し、更に垂直方向に対して-65[°]の方向で受光して明度指数L
*
-65を算出した。そして、画像の光輝性を、それぞれの明度指数を下式に代入して算出される、フロップインデックス値(FI値)によって求めた。
FI=2.69×(L
*
30-L
*
-65)
1.11/(L
*
o)
0.86
【0078】
印刷による光輝性増加の評価は、ベタ画像のFI値から印刷前の記録媒体のFI値(FI0)を引いたΔFI値(ここでは印刷光輝性評価値と称す)を用いて行った。この印刷光輝性評価値ΔFI値が大きいほど印刷によって光輝性が向上し、ΔFI値が7.0以上の場合、印刷による光輝性向上の効果が良好であると判断した。
【0079】
また、印刷前の記録媒体のFI値(FI0)と正反射率との比較のため、表面光沢測定器(マイクログロス75°:BYK‐Gardner社製)で正反射率(グロス)を測定した。
【0080】
尚、白色の記録媒体については、FI0と正反射率の差を確認するため、光輝性印刷試験には使用していない以下の記録媒体についても正反射率(グロス)を測定し、比較した。
エクセレントグロス(128[g/m2]:株式会社沖データ製)、
ColorCopy(250[g/m2]:mondi社製)、
エクセレントホワイト(80[g/m2]:株式会社沖データ製)
【0081】
印刷前の各色の記録媒体のFI値(FI0)及び正反射率を表1に示す。
【0082】
【0083】
前記したように、各色の記録媒体に、それぞれ光輝性トナーAの画像形成量を複数段階に設定して100[%]ベタ画像を印刷して得た印刷光輝性評価値ΔFIを表2に示し、その各数値をグラフ化したグラフを
図6に示す。
【0084】
【0085】
また、各色の記録媒体に、それぞれ光輝性トナーB(比較例1)の画像形成量を複数段階に設定して100[%]ベタ画像を印刷して得た印刷光輝性評価値ΔFIを表3に示し、その各数値をグラフ化したグラフを
図7に示す。
【0086】
【0087】
表1に示すように、白色の記録媒体は、正反射率の高いものは69.8[%]であるが、低いものでは4.4[%]であり、その差が大きい。一方で、白色の記録媒体同士のFI0に大きな差はなく、色に依存していることが分かる。従って、正反射率とFI0は全く別のパラメータであると考えられる。
【0088】
また、表1の試験結果から、FI
0が、7.0以上の場合、記録媒体が有色であると決定し、5.6以下の場合、記録媒体が白色であると決定できる。従って、用紙色決定部211(
図4)は、前記したように図示しないプリンタパネルから入力される記録用紙71のFI値が、或は前記したように用紙色計測部11aが給紙カセット11内に設けられている場合、ここで計測した記録用紙71のFI情報によって得たFI値が、7.0以上の場合には給紙カセット11内に収用された記録用紙71の色が有色であると決定し、5.6以下の場合には給紙カセット11内に収用された記録用紙の色が白色であると決定する。
【0089】
尚、本実施の形態においてはFI値が5.6以下の場合は記録媒体を白色と判断し、7.0以上の場合は有色と判断しているが、所定のFI値を境界にして記録媒体が白色又は有色であると判断しても良い。例えばFI値5.6と7.0の中間値である6.3を所定のFI値として、記録媒体を白色または有色であると判断しても良い。
【0090】
表2及び
図6に示すように、粒径の小さな光輝性顔料の光輝性トナーAを使用した場合、白色の記録媒体では、光輝性トナー画像の形成量が、所定量以下ではΔFI値が7.0以上の高い領域で安定し、所定量以上になると光輝性トナー画像の形成量が増加するのに伴ってΔFI値が低下する傾向を示した。
【0091】
一方、黒、青、赤の有色の各記録媒体では、光輝性トナー画像の形成量が所定量以上ではΔFI値が7.0以上の高い領域で安定し、所定量以下になるとトナー量が減少するのに伴ってΔFI値が低下する傾向を示した。
【0092】
記録媒体上の光輝性トナー画像の形成量が少ないと、定着後の印字表面は光輝性顔料の隙間が大きく、記録媒体の色が透けて見える。白色の記録媒体は、白色光をほぼ反射するため、顔料の隙間から記録媒体が透けて見えていても光輝性が高い。
【0093】
また白色の記録媒体は、印刷前のFI値が4.0と低いので、光輝性トナー画像の形成量が少なくても記録媒体のFI値よりも光輝性が良く見える。一方、光輝性トナー画像の形成量が増えると光輝性顔料の量が増えて隙間が減り、光輝性顔料が凝集することで照射光の反射が減るため光輝性が悪くなる。
【0094】
黒、青、赤の有色の各記録媒体は、白色光を照射すると記録媒体の色の光は吸収されるため反射光が少なくなる。このため、光輝性顔料の隙間から記録媒体が見える光輝性トナー画像の形成量が少ない状態では光輝性が低い。一方、光輝性トナー画像の形成量が増えると顔料の凝集は増えるが、光輝性顔料の隙間が減るため記録媒体に白色光が吸収されなくなり、光輝性が高くなる。また、印刷前の記録媒体のFI値は高いので、光輝性顔料を多くしないと記録媒体よりも光輝性が高くならない。
【0095】
比較例として光輝性印刷試験に用いた光輝性トナーBは、光輝性顔料の粒径は大きいが、トナー自体の粒径は光輝性トナーAとほぼ同じである。このためトナー粒子内に取り込む光輝性顔料の数は光輝性トナーAよりも少なくなる。
【0096】
従って、記録媒体上の光輝性トナー画像の形成量を光輝性トナーAと同じにした場合でも、記録媒体上の光輝性顔料の量は光輝性トナーAよりも少なくなる。そのため光輝性トナーBは、表3と
図6に示したように、特に青や赤の記録媒体において、光輝性トナー画像の形成量を増やしても光輝性顔料の隙間から記録媒体が見えるため、光輝性が良化しない。
【0097】
尚、本実施の形態では、光輝性顔料の体積中位径が5.4μmの光輝性トナーAを用いたが、体積中位径が5.4μmより小さい光輝性トナーでも同様の効果が得られると考えられる。しかしながら体積中位径が5.4μmより小さいと、光輝性顔料の製造時の歩留まりが悪くなるため、量産には適さない。
【0098】
以上の試験結果から、適当な体積中位径(ここでは5.4μm)の光輝性顔料を含む光輝性トナーを用いて印刷した場合において、良好なΔFI値(ここでは7.0以上)を得るためには、記録媒体が白の場合には光輝性トナー画像の形成量を所定値(0.36[mg/cm2])以下とし、白色以外の有色(ここでは黒、青、赤)の場合には光輝性トナー画像の形成量を所定値(0.36[mg/cm2])以上とすることが好ましい。
【0099】
また、白色の記録媒体を印刷するときより、有色の記録媒体を印刷するときに、光輝性トナー画像の形成量を増量することで、良好なΔFI値が得られる傾向があることがわかる。
【0100】
次に、印刷速度[ppm](A4横置き)に応じて、各色(白、黒、青、赤)の記録媒体の印刷後のFI値がどのように変化するかについて試験した。
【0101】
試験条件としては、光輝性トナー画像の形成量を調整するための濃度調整を一定、例えば
図2に示す、現像ローラ134に印加する印加電圧を-200Vに、また第1と第2の各供給ローラ132,133に印加する印加電圧を-360Vに設定し、各色の記録媒体に、種々の印刷速度で100[%]ベタ画像を印刷した。
【0102】
尚、この時の印刷は、前記した光輝性印刷試験と同様に、光輝性トナーAを用いて試験印刷機(C941dn:株式会社沖データ製)によって行った。
【0103】
この時の印刷速度[ppm](A4横置き)は、表4に示すように18,22,27,32,40であり、各印刷速度で印刷した後の記録媒体のFI値を測定した。表4にその試験結果を示す。
【0104】
【0105】
同表に示すように、白色の記録媒体では印刷速度を遅くするほど印刷後のFI値が高くなり、一方、有色(黒、青、赤)の記録媒体では、印刷速度を変えても印刷後のFI値はほとんど変化しなかった。
【0106】
以上の各試験結果を踏まえ、本実施の形態のプリンタ1では、用紙色決定部211によって、印刷する記録用紙71が、有色(白以外)であると決定した場合、白色の記録用紙71を印刷するときよりも、光輝性トナー画像の形成量を増やすように設定するものであるが、更には、有色(白以外)であると決定した場合、光輝性トナー画像の形成量を所定値(ここでは0.36[mg/cm2])以上とし、白色であると決定した場合には光輝性トナー画像の形成量を所定値(ここでは0.36[mg/cm2])未満とすることも可能である。
【0107】
また、用紙色決定部211によって、印刷する記録用紙71が、白色であると決定した場合、印刷速度をより遅くすることによって印刷後のFI値をより高く(良化)することが可能となる。従って本実施の形態のプリンタ1では、印刷速度変化でFI値があまり変わらない有色の記録用紙71を印刷するときに設定した印刷速度に対して、白色の記録用紙71を印刷するときの印刷速度をより遅く設定する。これにより、白色の記録用紙71の印刷後のFI値をより高く(良化)する。
【0108】
以上のように、本実施の形態1のプリンタ1によれば、光輝性トナーを用いて印刷する場合、記録媒体が白色と有色の何れの場合であっても、良好な光輝性を得ることが可能となる。
【0109】
尚、本実施の形態において、記録媒体が有色か白色かを決定する媒体色決定部をプリンタに設けた内容で説明したが、変形例として、上位装置であるパソコンにインストールされたプリンタドライバ上に媒体色決定部を設けて、印刷指示と併せて媒体色をプリンタに送信して、その送信結果に基づいて、光輝性トナー画像の形成量を変更してもよい。
具体的には、前記記録媒体が第1の媒体である有色であるとき、前記画像形成制御部は前記記録媒体が第2の媒体である白色のときよりも前記光輝性トナー画像の形成量を増やしても良い。
【0110】
例えばプリンタに送信された媒体色の送信結果が有色であった場合、画像形成制御部が現像ローラ134に印加する印加電圧を-290Vに、また第1と第2の各供給ローラ132,133に印加する印加電圧を-450Vにすることで、光輝性トナー画像の形成量が0.60[mg/cm2]程度になる。一方で、媒体色の送信結果が白色であった場合、画像形成制御部が現像ローラ134に印加する印加電圧を-110Vに、また第1と第2の各供給ローラ132,133に印加する印加電圧を-270Vにすることで、光輝性トナー画像の形成量が0.20[mg/cm2]程度になる。
【0111】
その結果、記録媒体が有色であるとき、前記画像形成制御部は前記記録媒体が白色のときよりも前記光輝性トナー画像の形成量が増えるので、良好な光輝性を得ることが出来る。
【0112】
更なる変形例として、プリンタと通信可能なサーバを設けてサーバ上に媒体色決定部を設けても良い。プリンタのプリンタパネルに配設された媒体種類選択ボタンで記録媒体を選択した場合、その選択結果をサーバに送信して、サーバ上に設けられた媒体色決定部により記録媒体の媒体色を決定し、その決定結果をプリンタ上に送信して、その送信結果に基づいて光輝性トナー画像の形成量を変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
上記した実施の形態では、本開示を、カラー電子写真プリンタを例にして説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、電子写真方式を利用して記録材上に画像を形成する複写機、ファクシミリ、MFP等の画像形成装置にも利用可能である。またカラープリンタに関して説明したが、単色プリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 プリンタ、 2 筐体、 3 制御部、 10 第1給紙部、 11 給紙カセット、 11a 用紙色計測部、 12 給紙ローラ対、 13 搬送ローラ対、 14 レジストローラ対、 15 タイミングローラ対、 16 排出ローラ対、 17 排出ローラ対、 18 排出ローラ対、 19 排出ローラ対、 20 排出ローラ対、 21 正反転ローラ対、 22 2パス用搬送ローラ、 23 両面印刷用搬送ローラ対、 24 再印刷搬送ローラ対、 25 再印刷搬送ローラ対、 26 再印刷搬送ローラ対、 27 退避部、 28 2パス印刷用経路、 29 両面印刷用経路、 30 中間転写ベルトユニット、 31 ピックアップローラ、 32 再印刷搬送部、 35 第2給紙部、 36 第2給紙カセット、 37 ピックアップローラ、 38 給紙ローラ対、 41 ドライブローラ、 42 二次転写バックアップローラ、 43 テンションローラ、 44 中間転写ベルト、 45 1次転写ローラ、 46 二次転写ローラ、 47 二次転写部、 51 第1のセパレータ、 52 第2のセパレータ、 53 第3のセパレータ、 61 IDユニット、 62 定着器、 62a アッパローラ、 62b ロワローラ、 63 逆屈曲ローラ対、 66 現像形成部、 67 LEDヘッド、 71 記録用紙、 72 フェイスダウンスタッカ、 111 画像形成本体部、 112 現像剤収容器、 113 現像剤供給部、 120 収容器筐体、 121 収容室、 122 供給孔、 123 シャッタ、 124 レバー、 125 撹拌部材、 126 撹拌駆動部、 130 画像形成筐体、 131 現像剤収容空間、 132 第1供給ローラ、 133 第2供給ローラ、 134 現像ローラ、 135 現像ブレード、 136 感光体ドラム、 137 帯電ローラ、 138 クリーニングブレード、 201 画像生成部、 202 インターフェース部、 203 エンジン制御部、 204 主制御部、 205 画像形成制御部、 206 画像搬送制御部、 207 定着制御部、 208 用紙搬送制御部、 209 二次転写制御部、 210 印刷順路制御部、 211 用紙色決定部、 250 ホストコンピュータ。