特開 2022-165059 病院

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022165059

(43)【公開日】2022-10-31

(54)【発明の名称】病院

(51)【国際特許分類】

   E04H 3/08 20060101AFI20221024BHJP

【ＦＩ】

E04H3/08 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021070241

(22)【出願日】2021-04-19

(71)【出願人】

【識別番号】000002299

【氏名又は名称】清水建設株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100149548

【弁理士】

【氏名又は名称】松沼 泰史

(74)【代理人】

【識別番号】100161506

【弁理士】

【氏名又は名称】川渕 健一

(74)【代理人】

【識別番号】100161207

【弁理士】

【氏名又は名称】西澤 和純

(72)【発明者】

【氏名】端野 亮一

(72)【発明者】

【氏名】石川 芙紗子

(72)【発明者】

【氏名】堀 伸光

(72)【発明者】

【氏名】榎並 和人

(72)【発明者】

【氏名】辻 裕次

(72)【発明者】

【氏名】寺島 大

(72)【発明者】

【氏名】中村 友久

(72)【発明者】

【氏名】笹部 和代

(57)【要約】

【課題】通路となるスペースを有効活用することができる病院を提供する。
【解決手段】診療を行う診療室３と、診療室３と他の部屋を接続する通路となるコネクティングストリート２と、を有し、診療室３は、コネクティングストリート２に沿って設けられ、コネクティングストリート２には、物品を保管する保管スペース２２、診療室における臨床の準備および片付けを行う作業スペース２３、および打ち合わせを行う打ち合わせスペース２４の少なくとも１つが設けられている。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

診療を行う診療室と、
前記診療室と他の部屋を接続する通路となるコネクティングストリートと、を有し、
前記診療室は、前記コネクティングストリートに沿って設けられ、
前記コネクティングストリートには、
物品を保管する保管スペース、前記診療室における臨床の準備および片付けを行う作業スペース、および打ち合わせを行う打ち合わせスペースの少なくとも１つが設けられている病院。

【請求項2】

前記診療室から前記コネクティングストリート、および前記コネクティングストリートから前記診療室が視認可能である請求項１に記載の病院。

【請求項3】

前記コネクティングストリートに隣接するコネクティングストリート隣接室が設けられ、
前記コネクティングストリート隣接室は、
物品を保管する保管室、前記診療室における臨床の準備を行うための準備室、診療に関わる作業を行う作業室、医療の実習を行う実習室、医療の指導を行う指導室、打ち合わせを行う打ち合わせ室の少なくとも１つである請求項１または２のいずれか一項に記載の病院。

【請求項4】

前記コネクティングストリート隣接室から前記コネクティングストリート、および前記コネクティングストリートから前記コネクティングストリート隣接室が視認可能である請求項３に記載の病院。

【請求項5】

前記コネクティングストリート隣接室は、前記コネクティングストリートに対して開放された空間である請求項３または４に記載の病院。

【請求項6】

前記コネクティングストリート隣接室と前記コネクティングストリートとの間には、物品を保管可能な保管庫が設けられ、
前記保管庫には、前記コネクティングストリート隣接室および前記コネクティングストリートのいずれからも使用可能な保管空間が設けられている請求項３から５のいずれか一項に記載の病院。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、病院に関する。

【背景技術】

【0002】

病院では、診療室、準備室、待合室などそれぞれの用途に使用される部屋が壁やパーティションなどで仕切られ、通路を介して部屋間の移動を行っている（例えば、特許文献１参照）。

【0003】

大学病院などのように、診察や治療の臨床の他に医療の研究や教育の機能も有する病院では、機能毎に部屋が分けて設けられおり、それぞれの部屋が通路で接続されている。臨床を行う領域には、診療室や治療室など実際の臨床を行う部屋の他に準備室や倉庫など多くの部屋が設けられるため、これらの部屋を接続する通路が設けられている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１３－１０８２１２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

臨床の場では、通路を介した部屋間の往来が多く行われることが想定される。また、臨床を行う領域には、医療の教育を受ける学生や医療の研究を行う研究者が実習や研究のために訪れることも多い。このため、臨床を行う領域の通路は、多くの往来がある。

【0006】

そこで、本発明は、通路となるスペースを有効活用することができる病院を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記目的を達成するため、本発明に係る病院は、診療を行う診療室と、前記診療室と他の部屋を接続する通路となるコネクティングストリートと、を有し、前記診療室は、前記コネクティングストリートに沿って設けられ、前記コネクティングストリートには、物品を保管する保管スペース、前記診療室における臨床の準備および片付けを行う作業スペース、および打ち合わせを行う打ち合わせスペースの少なくとも１つが設けられている。

【0008】

本発明では、診療室と他の部屋を接続する通路となるコネクティングストリートを、通路以外の用途としても利用することができ、有効活用することができる。診療室と接続されるコネクティングストリートを物品の保管、診療室における臨床の準備および片付け、および打ち合わせに利用することができることにより、診療室からコネクティングストリートにアクセスすることにより、物品の保安や取り出し、臨床の準備および片付けなどの作業や打ち合わせを容易に行うことができる。このため、診療室と離れた他の部屋で作業や打ち合わせを行う場合と比べて、移動が少なく、効率よく業務を行うことができる。また、コネクティングストリートに打ち合わせスペースが設けられている場合は、臨床の場（診療室）で医療の教育を受ける学生や医療の研究を行う研究者がこの打ち合わせスペースを利用して、臨床を行う病院関係者などとコミュニケーションをとることができる。

【0009】

また、本発明に係る病院では、前記診療室から前記コネクティングストリート、および前記コネクティングストリートから前記診療室が視認可能であってもよい。

【0010】

このような構成とすることにより、診療室の内部を視認しながら、コネクティングストリートで作業や打ち合わせを行うことができる。また、診療室の中から、コネクティングストリートで行われている作業や打ち合わせを視認することができる。

【0011】

また、本発明に係る病院では、前記コネクティングストリートに隣接するコネクティングストリート隣接室が設けられ、前記コネクティングストリート隣接室は、物品を保管する保管室、前記診療室における臨床の準備を行うための準備室、診療に関わる作業を行う作業室、医療の実習を行う実習室、医療の指導を行う指導室、打ち合わせを行う打ち合わせ室の少なくとも１つであってもよい。

【0012】

このような構成とすることにより、コネクティングストリートおよびコネクティングストリート隣接室の両方において、物品の保安や取り出し、臨床の準備および片付けなどの作業や打ち合わせを行うことができる。例えば、コネクティングストリートで使用する保物品は、コネクティングストリートの保管スペースに保管し、その他の物品は保管室となるコネクティングストリート隣接室に保管するようにしてもよい。また、短時間の準備やミーティング、指導はコネクティングストリートの作業スペースや打ち合わせスペースで行い、長時間の準備やミーティング、指導は準備室、作業室、指導室、打ち合わせ室となるコネクティングストリート隣接室で行うようにしてもよい。このように用途や作業内容に合わせて、場所を選択することができる。

【0013】

また、本発明に係る病院では、前記コネクティングストリート隣接室から前記コネクティングストリート、および前記コネクティングストリートから前記コネクティングストリート隣接室が視認可能であってもよい。

【0014】

このような構成とすることにより、コネクティングストリート隣接室の内部を視認しながら、コネクティングストリートで作業や打ち合わせを行うことができる。また、コネクティングストリート隣接室の中から、コネクティングストリートで行われている作業や打ち合わせを視認することができる。

【0015】

また、本発明に係る病院では、前記コネクティングストリート隣接室は、前記コネクティングストリートに対して開放された空間であってもよい。

【0016】

このような構成とすることにより、コネクティングストリートを視認しながら、コネクティングストリート隣接室で作業や打ち合わせを行うことができる。

【0017】

また、本発明に係る病院では、前記コネクティングストリート隣接室と前記コネクティングストリートとの間には、物品を保管可能な保管庫が設けられ、前記保管庫には、前記コネクティングストリート隣接室および前記コネクティングストリートのいずれからも使用可能な保管空間が設けられていてもよい。

【0018】

このような構成とすることにより、コネクティングストリート隣接室で保管されたり、作成されたり、準備されたりした物品などを、保管庫を介してコネクティングストリートで受け取ることができる。また、診療室やコネクティングストリートで使用され、コネクティングストリート隣接室で保管したり、処理されたりする物品などを、保管庫を介してコネクティングストリート隣接室で受け取ることができる。

【発明の効果】

【0019】

本発明によれば、通路となるスペースを有効活用することができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】本発明の実施形態による病院の一例を示す平面図である。

【図2】図１のＣ方向矢視図である。

【図3】図１のＤ方向矢視図である。

【図4】図１のＥ方向矢視図である。

【図5】図１のＦ方向矢視図である。

【図6】図１のＧ方向矢視図である。

【図7】図１のＨ方向矢視図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、本発明の実施形態による病院について、図１－図７に基づいて説明する。
図１に示す本実施形態による病院１は、歯科の大学病院で、臨床を行う臨床機能と、医療の研究と行う研究機能と、医療の教育を行う教育機能と、を有している。なお、本発明の病院とは、少なくとも、臨床機能および教育機能を有していれば、歯科の大学病院以外の大学病院や病院、医療設備も含まれる。

【0022】

病院１には、臨床機能を行う臨床領域１１と、医療の研究を行う研究領域（不図示）と、医療の教育を行う教育領域（不図示）がそれぞれ分けられて設けられている。例えば、臨床領域１１、研究領域および教育領域は、同じ建物の同じ階に分けられて設けられていたり、同じ建物の別の階に設けられていたり、同じ敷地内の別の建物に設けられていたりしている。

【0023】

臨床領域１１には、通路となるコネクティングストリート２が設けられている。コネクティングストリート２の一方側に沿って複数の診療ブース３１を備える診療室３が設けられ、コネクティングストリート２の他方側に沿って診察室以外のコネクティングストリート隣接室４が設けられている。
コネクティングストリート隣接室４は、歯科技工室、薬品や器具を保管する保管室、診療室３における臨床の準備を行うための準備室、医療の教育を受ける学生が実習を行う実習室、医療の指導を行う指導室、医療の研究を行う研究室、打ち合わせを行う打ち合わせ室などである。
コネクティングストリート２およびコネクティングストリート隣接室４は、通常、病院関係者が立ち入るスペースとして設定されている。

【0024】

コネクティングストリート２に沿った長さ方向（矢印Ａの方向）をコネクティングストリート長さ方向または長さ方向とし、コネクティングストリート長さ方向に直交する幅方向（図の矢印Ｂの方向）をコネクティングストリート幅方向または幅方向とする。図１では、コネクティングストリート２は、直線状に延びているが、途中で曲がったり、湾曲していたりしてもよい。また、交差する２以上のコネクティングストリート２が設けられていてもよい。

【0025】

診療室３の複数の診療ブース３１は、コネクティングストリート長さ方向およびコネクティングストリート幅方向の両方向に沿って複数配列されている。コネクティングストリート長さ方向に隣り合う診療ブース３１の間には、コネクティングストリート２に直交する診療室通路５が設けられている。すなわち、診療ブース３１のコネクティングストリート長さ方向の両側には、診療室通路５が設けられている。
コネクティングストリート幅方向に隣り合う診療ブース３１の間には、通路が設けられておらず、診療ブース３１を仕切る第１パーティション６１が設けられている。

【0026】

診療室通路５は、病院関係者が通行する第１診療室通路５１と、主に患者が通行する第２診療室通路５２とに分けられている。第１診療室通路５１と第２診療室通路５２は、コネクティングストリート長さ方向に交互に配列されている。これにより、診療ブース３１のコネクティングストリート長さ方向の一方側には、第１診療室通路５１が設けられ、他方側には、第２診療室通路５２が設けられている。診療ブース３１には、第１診療室通路５１および第２診療室通路５２それぞれに面して出入口が設けられている。

【0027】

病院関係者は、第１診療室通路５１を通って診療ブース３１に入り、患者は、第２診療室通路５２を通って診療ブース３１に入るように設定されている。なお、第２診療室通路５２は、患者の乗った車いすやストレッチャーなどを押す病院関係者や、患者を介助する病院関係者、清掃など第２診療室通路５２で作業する病院関係者も通行する。第１診療室通路５１と、第２診療室通路５２とは直接往来できないように配置されている。このように第１診療室通路５１と第２診療室通路５２とを配置することにより、病院関係者の動線と患者の動線とを分けている。第１診療室通路５１から第２診療室通路５２へアクセスするには、コネクティングストリート２を通るか、診療ブース３１の内部を通るように設計されている。なお、診療室３には、第１診療室通路５１と、第２診療室通路５２とをつなぐ通路が設けられていてもよい。

【0028】

診療ブース３１は、患者が着座する診察台が設置される患者領域３１１と、診療を行う歯科医師などの診療者が使用する机や椅子、電子機器などが設置される診療者領域３１２と、に分けられる。なお、患者領域３１１と診療者領域３１２は完全に区分されておらず、連通している。患者領域３１１は、第２診療室通路５２と隣接する側に設けられ、診療者領域３１２は、第１診療室通路５１と隣接する側に設けられている。

【0029】

本実施形態では、第１診療室通路５１の床の色と第２診療室通路５２の床の色とは、異なる色に設定されている。第１診療室通路５１の床の色は、コネクティングストリート２の床の色と同じ色に設定されている。
第２診療室通路５２は、車いすやストレッチャーが通行できる幅に設定されている。第２診療室通路５２は、第１診療室通路５１よりも幅が広く設計されている。

【0030】

図１および図２に示すように、第１診療室通路５１と診療ブース３１との間には、第２パーティション６２が設けられている。第２パーティション６２は、床からの高さが１５００ｍｍ程度である。第２パーティション６２は、床から１２００ｍｍ以上の部分に透明なパネル６２１（図２参照。以下、透明パネル６２１とする）が設けられている。透明パネル６２１は、ガラスやアクリル板などのパネルで、一方の面側と他方の面側とでは、互いを見通せるように構成されている。
病院関係者が通行する第１診療室通路５１と診療ブース３１とは、起立状態の人が透明パネル６２１を通して見通せるように設計されている。

【0031】

図１および図３に示すように、第２診療室通路５２と診療ブース３１との間には、第３パーティション６３が設けられている。第３パーティション６３は、床からの高さが１５００ｍｍ程度である。第３パーティション６３は、床から１２００ｍｍ以上の部分に半透明なパネル６３１（図３参照。以下、半透明パネル６３１とする）が設けられている。半透明パネル６３１は、ガラスやアクリル板などのパネルで、一方の面側と他方の面側とでは、互いに光や人の影が確認できるが、はっきりとは視認できないように構成されている。半透明パネル６３１は、半透明となるように製造されたガラスやアクリル板などでもよいし、透明なガラスやアクリル板などの表面に半透明となるシートを貼って製作されたパネルであってもよい。
主に患者が通行する第２診療室通路５２と診療ブース３１とは、見通せないように設計されている。なお、第３パーティション６３の半透明パネルを通して、光や人の影を視認することは可能である。

【0032】

図１および図４に示すように、コネクティングストリート２に隣接して配置される診療ブース３１と、コネクティングストリート２との間には、第４パーティション６４が設けられている。第４パーティション６４は、床からの高さが１５００ｍｍ程度である。第４パーティション６４は、床から１２００ｍｍ以上の部分に透明から半透明となるグラデーションが施されたパネル６４１（以下、グラデーションパネル６４１とする）が設けられている。グラデーションパネル６４１には、第１診療室通路５１と隣接する側から第２診療室通路５２に隣接する側に向かって漸次透明から半透明となるグラデーションが施されている。グラデーションパネル６４１の透明の部分では、一方の面側と他方の面側とでは、互いを見通せるように構成されている。グラデーションパネル６４１の半透明の部分では、一方の面側と他方の面側とでは、互いに光や人の影が確認できるが、はっきりとは視認できないように構成されている。

【0033】

図１、２に示すように、診療ブース３１は、患者が着座する診察台が設置される患者領域３１１と、診療を行う歯科医師などの診療者が使用する机や椅子、電子機器などが設置される診療者領域３１２と、に分けられる。なお、患者領域３１１と診療者領域３１２は完全に区分されておらず、連通している。患者領域３１１は、第２診療室通路５２と隣接する側に設けられ、診療者領域３１２は、第１診療室通路５１と隣接する側に設けられている。患者領域３１１を患者が通行する第２診療室通路５２に近い位置に配置し、診療者領域３１２を病院関係者が通行する第１診療室通路５１に近い位置に配置することにより、患者および診療者の動線を短くすることができる。

【0034】

上述しているように、本実施形態の診療ブース３１は、患者領域３１１が第２診療室通路５２と隣接する側に設けられ、診療者領域３１２が第１診療室通路５１と隣接する側に設けられている。これにより、グラデーションパネル６４１における患者領域３１１とコネクティングストリート２との間の部分は半透明となり、診療者領域３１２とコネクティングストリート２との間の部分は透明となる。
診療室３からコネクティングストリート２、および、コネクティングストリート２から診療室３は、第４パーティション６４のグラデーションパネル６４１の透明の部分を介して視認可能となる。

【0035】

コネクティングストリート２は、人が通行する通行スペース２１以外に、物品を保管する保管スペース２２、診療室３における臨床の準備および片付けを行うための作業スペース２３、および打ち合わせを行うための打ち合わせスペース２４が設けられている。

【0036】

図１、図５に示すように、保管スペース２２は、コネクティングストリート２の幅方向の側部に位置し、薬品や器具などを保管できる保管庫２８が設けられている。

【0037】

図１、図５－７に示すように、作業スペース２３は、コネクティングストリート２の幅方向の中間部分および側部に位置している。コネクティングストリート２の幅方向の中間部分に位置する作業スペース２３には、作業台２５が設けられている。
コネクティングストリート２の幅方向の側部に位置する作業スペース２３には、流し台２６や手洗い器２７などが設けられている。
作業台２５や流し台２６は、清潔なものを扱う清潔作業台、清潔流し台と、使用済みの器具など不潔なものを扱う不潔作業台、不潔流し台と、が設けられている。清潔作業台および清潔流し台と、不潔作業台および不潔流し台とは所定の間隔をあけて配置される。

【0038】

流し台２６は、下部にゴミ箱を置くゴミ置きスペース２６１が設けられている。ゴミ置きスペース２６１には、奥側に排気口２６２が設けられ、吸い込まれた空気が床下のダクトを通って外部へ廃棄されるように構成されている。

【0039】

打ち合わせスペース２４は、コネクティングストリート２の幅方向の中間部分に設けられている。打ち合わせスペース２４には、打ち合わせ用のテーブル２４１が設けられている。打ち合わせスペース２４は、治療の計画の打ち合わせや、実習を行う学生への指導や、臨床領域１１での研究を行う研究者の打ち合わせなどに使用可能である。打ち合わせスペース２４は、打ち合わせの目的ごとに設けられていてもよい。

【0040】

各スペースは、仕切られておらず、保管スペース２２、作業スペース２３、打ち合わせスペース２４の間が通行スペース２１となっている。

【0041】

コネクティングストリート隣接室４は、コネクティングストリート２との間に壁やパーティションなどが設けられず、コネクティングストリート２に対して開放された空間であってもよい。
また、コネクティングストリート隣接室４は、コネクティングストリート２との間に壁やパーティションが設けられ、コネクティングストリート２と区分された空間であってもよい。コネクティングストリート隣接室４とコネクティングストリート２との間に壁やパーティションが設けられる場合は、コネクティングストリート隣接室４とコネクティングストリート２と往来するための出入口が設けられている。

【0042】

壁やパーティションは、移動しないように固定式の壁やパーティションであってもよいし、可動式の壁やパーティションであってもよい。壁やパーティションの高さも任意に設定されてよい。壁やパーティション、出入口には、コネクティングストリート隣接室４とコネクティングストリート２との間で見通すことが可能な開口が設けられていてもよい。このようにすることにより、コネクティングストリート隣接室４からコネクティングストリート２、およびコネクティングストリート２からコネクティングストリート隣接室４が視認可能となる。

【0043】

コネクティングストリート隣接室４をコネクティングストリート２に対して開放された空間とするか、閉鎖された空間とするかどうかは、コネクティングストリート隣接室４の用途に応じて適宜設定されてよい。
例えば、コネクティングストリート隣接室４が、歯科技工室、保管室、準備室などの場合は、コネクティングストリート２との間に壁やパーティションを設け、打ち合わせ室や指導室などの場合は、コネクティングストリート２に開放されたオープンスペースとしてもよい。

【0044】

本実施形態では、保管室や歯科技工室、準備室などのコネクティングストリート隣接室４と、コネクティングストリート２との間に壁が設けられ、この壁に沿ってコネクティングストリート２に保管スペース２２が設けられている。保管スペース２２には壁に沿って保管庫２８が設けられている。これにより、保管庫２８とコネクティングストリート隣接室４とは壁を挟んで隣接している。壁には、保管庫２８に面する位置に開口が設けられている。
保管庫２８は、コネクティングストリート２からのみでなく、コネクティングストリート隣接室４からも開口を介して物品を収納できる保管空間が設けられている。これにより、コネクティングストリート隣接室４から保管庫２８に収納した物品を、コネクティングストリート２から取り出すことが可能である。また、コネクティングストリート２から保管庫２８に収納した物品を、コネクティングストリート隣接室４から取り出すことが可能である。
例えば、コネクティングストリート２に設けられた保管庫２８に物品を補充する際に、保管室（コネクティングストリート隣接室４）から保管庫２８に直接補充することができる。また、歯科技工室（コネクティングストリート隣接室４）で製作された義歯など診療に必要となるものを、歯科技工室にいる人が保管庫２８に直接保管し、コネクティングストリート２にいる他の人が、この義歯などをコネクティングストリート２から受け取ることができる。

【0045】

次に、上記の本実施形態による病院１の作用・効果について説明する。
上記の本実施形態による病院１では、診療室３と他の部屋を接続する通路となるコネクティングストリート２を、通路以外の用途としても利用することができ、有効活用することができる。診療室３と接続されるコネクティングストリート２を物品の保管、診療室３における臨床の準備および片付け、および打ち合わせに利用することができることにより、診療室３からコネクティングストリート２にアクセスすることにより、物品の保安や取り出し、臨床の準備および片付けなどの作業や打ち合わせを行うことができる。このため、診療室３と離れた他の部屋で作業や打ち合わせを行う場合と比べて、移動が少なく、効率よく業務を行うことができる。また、コネクティングストリート２に打ち合わせスペース２４が設けられている場合は、臨床の場（診療室３）で医療の教育を受ける学生や医療の研究を行う研究者がこの打ち合わせスペース２４を利用して、臨床を行う病院関係者などとコミュニケーションをとることができる。

【0046】

また、本実施形態による病院１では、診療室３からコネクティングストリート２、およびコネクティングストリート２から診療室３が視認可能である。
このような構成とすることにより、診療室３の内部を視認しながら、コネクティングストリート２で作業や打ち合わせを行うことができる。また、診療室３の中から、コネクティングストリート２で行われている作業や打ち合わせを視認することができる。

【0047】

また、本実施形態による病院１では、コネクティングストリート２に隣接するコネクティングストリート隣接室４が設けられ、コネクティングストリート隣接室４は、物品を保管する保管室、診療室３における臨床の準備を行うための準備室、診療に関わる作業を行う作業室、医療の実習を行う実習室、医療の指導を行う指導室、打ち合わせを行う打ち合わせ室である。
このような構成とすることにより、物品の保安や取り出し、臨床の準備および片付けなどの作業や打ち合わせとは別に、コネクティングストーリとの近くで作業や打ち合わせを行うことができる。

【0048】

また、本実施形態による病院１では、コネクティングストリート隣接室４からコネクティングストリート２、およびコネクティングストリート２からコネクティングストリート隣接室４が視認可能である。
このような構成とすることにより、コネクティングストリート隣接室４の内部を視認しながら、コネクティングストリート２で作業や打ち合わせを行うことができる。また、コネクティングストリート隣接室４の中から、コネクティングストリート２で行われている作業や打ち合わせを視認することができる。

【0049】

また、本実施形態によるでは、コネクティングストリート隣接室４は、コネクティングストリート２に対して開放された空間である。
このような構成とすることにより、コネクティングストリート２を視認しながら、コネクティングストリート隣接室４で作業や打ち合わせを行うことができる。

【0050】

また、本実施形態による病院１では、コネクティングストリート隣接室４とコネクティングストリート２との間には、物品を保管可能な保管庫２８が設けられ、保管庫２８には、コネクティングストリート隣接室４およびコネクティングストリート２のいずれからも使用可能な保管空間が設けられている。
このような構成とすることにより、コネクティングストリート隣接室４で保管されたり、作成されたり、準備されたりした物品などを、保管庫２８を介してコネクティングストリート２で受け取ることができる。また、診療室３やコネクティングストリート２で使用され、コネクティングストリート隣接室４で保管したり、処理されたりする物品などを、保管庫２８を介してコネクティングストリート隣接室４で受け取ることができる。

【0051】

以上、本発明による病院の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、コネクティングストリート２に隣接するコネクティングストリート隣接室４が設けられ、コネクティングストリート隣接室４は、物品を保管する保管室、診療室３における臨床の準備を行うための準備室、診療に関わる作業を行う作業室、医療の実習を行う実習室、医療の指導を行う指導室、打ち合わせを行う打ち合わせ室である。これに対して、コネクティングストリート２に隣接するコネクティングストリート隣接室４が設けられていなくてもよい。

【0052】

また、上記の実施形態では、コネクティングストリート隣接室４からコネクティングストリート２、およびコネクティングストリート２からコネクティングストリート隣接室４が視認可能である。これに対して、コネクティングストリート隣接室４からコネクティングストリート２、およびコネクティングストリート２からコネクティングストリート隣接室４のいずれかまたは両方が視認できないようになっていてもよい。例えば、壁などで仕切られていてもよい。

【0053】

また、上記の実施形態では、コネクティングストリート隣接室４とコネクティングストリート２との間には、物品を保管可能な保管庫２８が設けられ、保管庫２８には、コネクティングストリート隣接室４およびコネクティングストリート２のいずれからも使用可能な保管空間が設けられているが、このような保管庫２８が設けられていなくてもよい。

【0054】

また、上記の実施形態では、診療室３には、複数の診療ブース３１が配列され、第病院関係者が通行する第１診療室通路５１、および主に患者が通行する第２診療室通路５２が設けられているが、診療ブース３１の数や配置、通路は、上記以外であってもよい。また、第１－第４パーティション６１－６４の形態は上記以外であってもよい。

【符号の説明】

【0055】

１ 病院
２ コネクティングストリート
３ 診療室
４ コネクティングストリート隣接室
２２ 保管スペース
２３ 作業スペース
２４ 打ち合わせスペース
２８ 保管庫

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】