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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165060
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】病院
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/08 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
E04H3/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070242
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】端野 亮一
(72)【発明者】
【氏名】石川 芙紗子
(72)【発明者】
【氏名】堀 伸光
(72)【発明者】
【氏名】榎並 和人
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕次
(72)【発明者】
【氏名】寺島 大
(72)【発明者】
【氏名】中村 友久
(72)【発明者】
【氏名】笹部 和代
(57)【要約】
【課題】病院関係者の動線と患者の動線とを分けることができる病院を提供する。
【解決手段】診療室3と、診療室3に隣接し病院関係者が通行する第1診療室通路51(第1通路)と、診療室3に隣接し患者が通行する第2診療室通路52(第2通路)と、を有し、第1診療室通路51と、第2診療室通路52とは、直接往来できないように配置されている。第1診療室通路51と、第2診療室通路52とは、床の色が異なる。第1診療室通路51と診療室3との間には、第2パーティション62(第1仕切り部材)が設けられ、第2診療室通路52と診療室3との間には、第3パーティション63(第2仕切り部材)が設けられ、第2パーティション62には、透明のパネルが設けられ、第3パーティション63には、半透明のパネルが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療室と、
前記診療室に隣接し病院関係者が通行する第1通路と、
前記診療室に隣接し患者が通行する第2通路と、を有し、
前記第1通路と、前記第2通路とは、直接往来できないように配置されている病院。
【請求項2】
前記第1通路と、前記第2通路とは、床の色が異なる請求項1に記載の病院。
【請求項3】
前記第1通路と前記診療室との間には、第1仕切り部材が設けられ、
前記第2通路と前記診療室との間には、第2仕切り部材が設けられ、
前記第1仕切り部材には、透明のパネルが設けられ、
前記第2仕切り部材には、半透明のパネルが設けられている請求項1又は2に記載の病院。
【請求項4】
前記第1通路および前記第2通路がそれぞれ接続される第3通路を有し、
前記診療室は、前記第1通路、前記第2通路および前記第3通路に囲まれて、
前記第3通路と前記診療室との間には、第3仕切り部材が設けられ、
前記診療室は、前記患者が滞在する患者領域と、
前記患者領域と隣接して設けられ前記患者が立ち入らず診療を行う病院関係者が立ち入る診療者領域と、を有し、
前記患者領域および前記診療者領域は、それぞれ第3仕切り部材に沿って設けられ、前記患者領域が前記第2通路に近接する側、前記診療者領域が前記第1通路に隣接する側に配置され、
前記第3仕切り部材には、前記診療者領域と隣接する側から前記患者領域と隣接する側に向かって漸次透明から半透明となるグラデーションが施されたパネルが設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の病院。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院に関する。
【背景技術】
【0002】
病院では、診療室、準備室、待合室などそれぞれの用途に使用される部屋が壁やパーティションなどで仕切られ、通路を介して部屋間の移動を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-108212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
診療室には、医師などの病院関係者と患者とが出入りするため、診療室につながる通路は、病院関係者および患者の両者が通行する。病院関係者は、薬品や使用済みの器具などを運ぶ際には、特に患者と接触しないように注意する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、病院関係者の動線と患者の動線とを分けることができる病院を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る病院は、診療室と、前記診療室に隣接し病院関係者が通行する第1通路と、前記診療室に隣接し患者が通行する第2通路と、を有し、前記第1通路と、前記第2通路とは、直接往来できないように配置されている。
【0007】
本発明では、病院関係者が通行する第1通路と、患者が通行する第2通路とが直接往来できないように配置されていることにより、病院関係者の動線と患者の動線とを分けることができる。
【0008】
また、本発明に係る病院では、前記第1通路と、前記第2通路とは、床の色が異なっていてもよい。
【0009】
このような構成とすることにより、第1通路と第2通路とを区別しやすくすることができる。これにより、病院関係者が誤って患者の通路を通行したり、患者が誤って病院関係者の通路を通行したりすることを防止できる。
【0010】
また、本発明に係る病院では、前記第1通路と前記診療室との間には、第1仕切り部材が設けられ、前記第2通路と前記診療室との間には、第2仕切り部材が設けられ、前記第1仕切り部材には、透明のパネルが設けられ、前記第2仕切り部材には、半透明のパネルが設けられていてもよい。
【0011】
このような構成とすることにより、第1通路の病院関係者から診療室の内部を視認することができる。第2通路の患者が診療室の内部を見通すことを防止できる。
【0012】
また、本発明に係る病院では、前記第1通路および前記第2通路がそれぞれ接続される第3通路を有し、前記診療室は、前記第1通路、前記第2通路および前記第3通路に囲まれて、前記第3通路と前記診療室との間には、第3仕切り部材が設けられ、前記診療室は、前記患者が滞在する患者領域と、前記患者領域と隣接して設けられ前記患者が立ち入らず診療を行う病院関係者が立ち入る診療者領域と、を有し、前記患者領域および前記診療者領域は、それぞれ第3仕切り部材に沿って設けられ、前記患者領域が前記第2通路に近接する側、前記診療者領域が前記第1通路に隣接する側に配置され、前記第3仕切り部材には、前記診療者領域と隣接する側から前記患者領域と隣接する側に向かって漸次透明から半透明となるグラデーションが施されたパネルが設けられていてもよい。
【0013】
このような構成とすることにより、診療室にいる病院関係者は、第3通路を視認することができるが、診療室にいる患者は、第3通路を視認しにくい構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、病院関係者の動線と患者の動線とを分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による病院の一例を示す平面図である。
図2図1のC方向矢視図である。
図3図1のD方向矢視図である。
図4図1のE方向矢視図である。
図5図1のF方向矢視図である。
図6図1のG方向矢視図である。
図7図1のH方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による病院について、図1図7に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態による病院は、歯科の大学病院で、臨床を行う臨床機能と、医療の研究と行う研究機能と、医療の教育を行う教育機能と、を有している。なお、本発明の病院とは、少なくとも、臨床機能を有していれば、歯科の大学病院以外の大学病院や病院、医療設備も含まれる。
【0017】
病院1には、臨床機能を行う臨床領域11と、医療の研究を行う研究領域(不図示)と、医療の教育を行う教育領域(不図示)がそれぞれ分けられて設けられている。例えば、臨床領域11、研究領域および教育領域は、同じ建物の同じ階に分けられて設けられていたり、同じ建物の別の階に設けられていたり、同じ敷地内の別の建物に設けられていたりしている。
【0018】
臨床領域11には、通路となるコネクティングストリート2(第3通路)が設けられている。コネクティングストリート2の一方側に沿って複数の診療ブース31を備える診療室3が設けられ、コネクティングストリート2の他方側に沿って診察室以外のコネクティングストリート隣接室4が設けられている。
コネクティングストリート隣接室4は、歯科技工室、薬品や器具を保管する保管室、診療室3における臨床の準備を行うための準備室、医療の教育を受ける学生が実習を行う実習室、医療の指導を行う指導室、医療の研究を行う研究室、打ち合わせを行う打ち合わせ室などである。
コネクティングストリート2およびコネクティングストリート隣接室4は、通常、病院関係者が立ち入るスペースとして設定されている。
【0019】
コネクティングストリート2に沿った長さ方向(矢印Aの方向)をコネクティングストリート長さ方向または長さ方向とし、コネクティングストリート長さ方向に直交する幅方向(図の矢印Bの方向)をコネクティングストリート幅方向または幅方向とする。図1では、コネクティングストリート2は、直線状に延びているが、途中で曲がったり、湾曲していたりしてもよい。また、交差する2以上のコネクティングストリート2が設けられていてもよい。
【0020】
診療室3の複数の診療ブース31は、コネクティングストリート長さ方向およびコネクティングストリート幅方向の両方向に沿って複数配列されている。コネクティングストリート長さ方向に隣り合う診療ブース31の間には、コネクティングストリート2に直交する診療室通路5が設けられている。すなわち、診療ブース31のコネクティングストリート長さ方向の両側には、診療室通路5が設けられている。
コネクティングストリート幅方向に隣り合う診療ブース31の間には、通路が設けられておらず、診療ブース31を仕切る第1パーティション61が設けられている。
【0021】
診療室通路5は、病院関係者が通行する第1診療室通路51(第1通路)と、主に患者が通行する第2診療室通路52(第2通路)とに分けられている。第1診療室通路51と第2診療室通路52は、コネクティングストリート長さ方向に交互に配列されている。これにより、診療ブース31のコネクティングストリート長さ方向の一方側には、第1診療室通路51が設けられ、他方側には、第2診療室通路52が設けられている。診療ブース31には、第1診療室通路51および第2診療室通路52それぞれに面して出入口が設けられている。
【0022】
病院関係者は、第1診療室通路51を通って診療ブース31に入り、患者は、第2診療室通路52を通って診療ブース31に入るように設定されている。なお、第2診療室通路52は、患者の乗った車いすやストレッチャーなどを押す病院関係者や、患者を介助する病院関係者、清掃など第2診療室通路52で作業する病院関係者も通行する。第1診療室通路51と、第2診療室通路52とは直接往来できないように配置されている。このように第1診療室通路51と第2診療室通路52とを配置することにより、病院関係者の動線と患者の動線とを分けている。第1診療室通路51から第2診療室通路52へアクセスするには、コネクティングストリート2を通るか、診療ブース31の内部を通るように設計されている。なお、診療室3には、第1診療室通路51と、第2診療室通路52とをつなぐ通路が設けられていてもよい。
【0023】
診療ブース31は、患者が着座する診察台が設置される患者領域311と、診療を行う歯科医師などの診療者が使用する机や椅子、電子機器などが設置される診療者領域312と、に分けられる。なお、患者領域311と診療者領域312は完全に区分されておらず、連通している。患者領域311は、第2診療室通路52と隣接する側に設けられ、診療者領域312は、第1診療室通路51と隣接する側に設けられている。
【0024】
本実施形態では、第1診療室通路51の床の色と第2診療室通路52の床の色とは、異なる色に設定されている。第1診療室通路51の床の色は、コネクティングストリート2の床の色と同じ色に設定されている。
第2診療室通路52は、車いすやストレッチャーが通行できる幅に設定されている。第2診療室通路52は、第1診療室通路51よりも幅が広く設計されている。
【0025】
図1および図2に示すように、第1診療室通路51と診療ブース31との間には、第2パーティション62(第1仕切り部材)が設けられている。第2パーティション62は、床からの高さが1500mm程度である。第2パーティション62は、床から1200mm以上の部分に透明なパネル621(図2参照。以下、透明パネル621とする)が設けられている。透明パネル621は、ガラスやアクリル板などのパネルで、一方の面側と他方の面側とでは、互いを見通せるように構成されている。
病院関係者が通行する第1診療室通路51と診療ブース31とは、起立状態の人が透明パネル621を通して見通せるように設計されている。
【0026】
図1および図3に示すように、第2診療室通路52と診療ブース31との間には、第3パーティション63(第2仕切り部材)が設けられている。第3パーティション63は、床からの高さが1500mm程度である。第3パーティション63は、床から1200mm以上の部分に半透明なパネル631(図3参照。以下、半透明パネル631とする)が設けられている。半透明パネル631は、ガラスやアクリル板などのパネルで、一方の面側と他方の面側とでは、互いに光や人の影が確認できるが、はっきりとは視認できないように構成されている。半透明パネル631は、半透明となるように製造されたガラスやアクリル板などでもよいし、透明なガラスやアクリル板などの表面に半透明となるシートを貼って製作されたパネルであってもよい。
主に患者が通行する第2診療室通路52と診療ブース31とは、見通せないように設計されている。なお、第3パーティション63の半透明パネルを通して、光や人の影を視認することは可能である。
【0027】
図1および図4に示すように、コネクティングストリート2に隣接して配置される診療ブース31と、コネクティングストリート2との間には、第4パーティション64(第3仕切り部材)が設けられている。第4パーティション64は、床からの高さが1500mm程度である。第4パーティション64は、床から1200mm以上の部分に透明から半透明となるグラデーションが施されたパネル641(以下、グラデーションパネル641とする)が設けられている。グラデーションパネル641には、第1診療室通路51と隣接する側から第2診療室通路52に隣接する側に向かって漸次透明から半透明となるグラデーションが施されている。グラデーションパネル641の透明の部分では、一方の面側と他方の面側とでは、互いを見通せるように構成されている。グラデーションパネル641の半透明の部分では、一方の面側と他方の面側とでは、互いに光や人の影が確認できるが、はっきりとは視認できないように構成されている。
【0028】
図1、2に示すように、診療ブース31は、患者が着座する診察台が設置される患者領域311と、診療を行う歯科医師などの診療者が使用する机や椅子、電子機器などが設置される診療者領域312と、に分けられる。なお、患者領域311と診療者領域312は完全に区分されておらず、連通している。患者領域311は、第2診療室通路52と隣接する側に設けられ、診療者領域312は、第1診療室通路51と隣接する側に設けられている。患者領域311を患者が通行する第2診療室通路52に近い位置に配置し、診療者領域312を病院関係者が通行する第1診療室通路51に近い位置に配置することにより、患者および診療者の動線を短くすることができる。
【0029】
上述しているように、本実施形態の診療ブース31は、患者領域311が第2診療室通路52と隣接する側に設けられ、診療者領域312が第1診療室通路51と隣接する側に設けられている。これにより、グラデーションパネル641における患者領域311とコネクティングストリート2との間の部分は半透明となり、診療者領域312とコネクティングストリート2との間の部分は透明となる。
診療室3からコネクティングストリート2、および、コネクティングストリート2から診療室3は、第4パーティション64のグラデーションパネル641の透明の部分を介して視認可能となる。
【0030】
コネクティングストリート2は、人が通行する通行スペース21以外に、物品を保管する保管スペース22、診療室3における臨床の準備および片付けを行うための作業スペース23、および打ち合わせを行うための打ち合わせスペース24が設けられている。
【0031】
図1図5に示すように、保管スペース22は、コネクティングストリート2の幅方向の側部に位置し、薬品や器具などを保管できる保管庫28が設けられている。
【0032】
図1図5-7に示すように、作業スペース23は、コネクティングストリート2の幅方向の中間部分および側部に位置している。コネクティングストリート2の幅方向の中間部分に位置する作業スペース23には、作業台25が設けられている。
コネクティングストリート2の幅方向の側部に位置する作業スペース23には、流し台26や手洗い器27などが設けられている。
作業台25や流し台26は、清潔なものを扱う清潔作業台、清潔流し台と、使用済みの器具など不潔なものを扱う不潔作業台、不潔流し台と、が設けられている。清潔作業台および清潔流し台と、不潔作業台および不潔流し台とは所定の間隔をあけて配置される。
【0033】
流し台26は、下部にゴミ箱を置くゴミ置きスペース261が設けられている。ゴミ置きスペース261には、奥側に排気口262が設けられ、吸い込まれた空気が床下のダクトを通って外部へ廃棄されるように構成されている。
【0034】
打ち合わせスペース24は、コネクティングストリート2の幅方向の中間部分に設けられている。打ち合わせスペース24には、打ち合わせ用のテーブル241が設けられている。打ち合わせスペース24は、治療の計画の打ち合わせや、実習を行う学生への指導や、臨床領域11での研究を行う研究者の打ち合わせなどに使用可能である。打ち合わせスペース24は、打ち合わせの目的ごとに設けられていてもよい。
【0035】
各スペースは、仕切られておらず、保管スペース22、作業スペース23、打ち合わせスペース24の間が通行スペース21となっている。
【0036】
コネクティングストリート隣接室4は、コネクティングストリート2との間に壁やパーティションなどが設けられず、コネクティングストリート2に対して開放された空間であってもよい。
また、コネクティングストリート隣接室4は、コネクティングストリート2との間に壁やパーティションが設けられ、コネクティングストリート2と区分された空間であってもよい。コネクティングストリート隣接室4とコネクティングストリート2との間に壁やパーティションが設けられる場合は、コネクティングストリート隣接室4とコネクティングストリート2と往来するための出入口が設けられている。
【0037】
壁やパーティションは、移動しないように固定式の壁やパーティションであってもよいし、可動式の壁やパーティションであってもよい。壁やパーティションの高さも任意に設定されてよい。壁やパーティション、出入口には、コネクティングストリート隣接室4とコネクティングストリート2との間で見通すことが可能な開口が設けられていてもよい。このようにすることにより、コネクティングストリート隣接室4からコネクティングストリート2、およびコネクティングストリート2からコネクティングストリート隣接室4が視認可能となる。
【0038】
コネクティングストリート隣接室4をコネクティングストリート2に対して開放された空間とするか、閉鎖された空間とするかどうかは、コネクティングストリート隣接室4の用途に応じて適宜設定されてよい。
例えば、コネクティングストリート隣接室4が、歯科技工室、保管室、準備室などの場合は、コネクティングストリート2との間に壁やパーティションを設け、打ち合わせ室や指導室などの場合は、コネクティングストリート2に開放されたオープンスペースとしてもよい。
【0039】
本実施形態では、保管室や歯科技工室、準備室などのコネクティングストリート隣接室4と、コネクティングストリート2との間に壁が設けられ、この壁に沿ってコネクティングストリート2に保管スペース22が設けられている。保管スペース22には壁に沿って保管庫28が設けられている。これにより、保管庫28とコネクティングストリート隣接室4とは壁を挟んで隣接している。壁には、保管庫28に面する位置に開口が設けられている。
保管庫28は、コネクティングストリート2からのみでなく、コネクティングストリート隣接室4からも開口を介して物品を収納できる保管空間が設けられている。これにより、コネクティングストリート隣接室4から保管庫28に収納した物品を、コネクティングストリート2から取り出すことが可能である。また、コネクティングストリート2から保管庫28に収納した物品を、コネクティングストリート隣接室4から取り出すことが可能である。
例えば、コネクティングストリート2に設けられた保管庫28に物品を補充する際に、保管室(コネクティングストリート隣接室4)から保管庫28に直接補充することができる。また、歯科技工室(コネクティングストリート隣接室4)で製作された義歯など診療に必要となるものを、歯科技工室にいる人が保管庫28に直接保管し、コネクティングストリート2にいる他の人が、この義歯などをコネクティングストリート2から受け取ることができる。
【0040】
次に、上記の本実施形態による病院の作用・効果について説明する。
上記の本実施形態による病院1では、病院関係者が通行する第1診療室通路51(第1通路)と、患者が通行する第2診療室通路52(第2通路)とが直接往来できないように配置されていることにより、病院関係者の動線と患者の動線とを分けることができる。
【0041】
また、本実施形態による病院では、第1診療室通路51と、第2診療室通路52とは、床の色が異なっている。
このような構成とすることにより、第1診療室通路51と第2診療室通路52とを区別しやすくすることができる。これにより、病院関係者が誤って患者の通路を通行したり、患者が誤って病院関係者の通路を通行したりすることを防止できる。
【0042】
また、本実施形態による病院では、第1診療室通路51と診療室3との間には、第2パーティション62(第1仕切り部材)が設けられ、第2診療室通路52と診療室3との間には、第3パーティション63(第2仕切り部材)が設けられ、第2パーティション62には、透明パネル621が設けられ、第3パーティション63には、半透明パネル631が設けられている。
このような構成とすることにより、第1診療室通路51の病院関係者から診療室3の内部を視認することができる。第2診療室通路52の患者が診療室3の内部を見通すことを防止できる。
【0043】
また、本実施形態による病院では、第1診療室通路51および第2診療室通路52がそれぞれ接続されるコネクティングストリート2(第3通路)を有し、診療室3は、第1診療室通路51、第2診療室通路52およびコネクティングストリート2に囲まれて、コネクティングストリート2と診療室3との間には、第4パーティション64(第3仕切り部材)が設けられ、診療室3は、患者が滞在する患者領域311と、患者領域311と隣接して設けられ患者が立ち入らず診療を行う病院関係者が立ち入る診療者領域312と、を有し、患者領域311および診療者領域312は、それぞれ第4パーティション64に沿って設けられ、患者領域311が第2診療室通路52に近接する側、診療者領域312が第1診療室通路51に隣接する側に配置され、第4パーティション64には、診療者領域312と隣接する側から患者領域311と隣接する側に向かって漸次透明から半透明となるグラデーションが施されたグラデーションパネル641が設けられている。
このような構成とすることにより、診療室3にいる病院関係者は、第2診療室通路52を視認することができるが、診療室3にいる患者は、第2診療室通路52を視認しにくい構成とすることができる。
【0044】
以上、本発明による病院の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1診療室通路51と、第2診療室通路52とは、床の色が異なっている。これに対し、第1診療室通路51と第2診療室通路52とは床の色が同じであってもよい。また、第1診療室通路51と、第2診療室通路52とは、壁の色や床や壁の模様などが異なるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態による病院では、第1診療室通路51と診療室3との間には、第2パーティション62が設けられ、第2診療室通路52と診療室3との間には、第3パーティション63が設けられ、第2パーティション62には、透明のパネル621が設けられ、第3パーティション63には、半透明のパネル631が設けられている。これに対し、第2パーティション62および第3パーティション63の形態は上記以外であってもよい。第2パーティション62および第3パーティション63の寸法や、透明のパネル621や半透明のパネル631の有無、透明のパネル621や半透明のパネル631が設けられる位置は適宜設定されてよい。
【0046】
また、本実施形態による病院では、コネクティングストリート2と診療室3との間には、第4パーティション64(第3仕切り部材)が設けられ、第4パーティション64には、診療者領域312と隣接する側から患者領域311と隣接する側に向かって漸次透明から半透明となるグラデーションが施されたグラデーションパネル641が設けられている。これに対し、第3パーティション63の形態は、上記以外であってもよい。
第4パーティション64には、透明のパネルが設けられていてもよいし、半透明のパネルが設けられていてもよいし、診療室3とコネクティングストリート2とが互いに見通せないように設計されていてもよい。第4パーティション64に透明のパネルが設けられ、診療室3とコネクティングストリート2とが互いに見通せるようにすることにより、コネクティングストリート2から診療室3の内部を確認することができるとともに、診療室3の内部からコネクティングストリート2を確認することができる。
例えば、診療室3の患者がコネクティングストリート2の打ち合わせスペース24で行われている打ち合わせや指導などの様子を見ることができ患者が病院1の様子を知ることができる。
【0047】
また、上記の実施形態では、通行以外の機能を有するコネクティングストリート2が設けられているが、コネクティングストリート2に代わって通行を目的とした通路が設けられていてもよい。また、コネクティングストリート2に隣接するコネクティングストリート隣接室4の有無やその機能は、上記以外であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 病院
2 コネクティングストリート(第3通路)
3 診療室
51 第1診療室通路(第1通路)
52 第2診療室通路(第2通路)
62 第2パーティション(第1仕切り部材)
63 第3パーティション(第2仕切り部材)
64 第4パーティション(第3仕切り部材)
311 患者領域
312 診療者領域
621 透明パネル(透明のパネル)
631 半透明パネル(半透明のパネル)
641 グラデーションパネル(グラデーションが施されたパネル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7