(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165080
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び操作パネル設置方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070264
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 靖夫
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601KK45
4C601LL27
(57)【要約】
【課題】超音波診断装置において操作パネルを容易にカスタマイズできるようにする。
【解決手段】操作パネル18は、複合パネル20及びカバーユニット22により構成される。複合パネル20は、ディスプレイパネル及びマルチタッチパネルを含む。カバーユニット22は、カバーベース及び操作子群により構成される。用意された複数のカバーユニットの中から、実際に使用するカバーユニット22を選択し得る。複合パネル20を単体で使用することも可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、前記タッチパネル上に取り外し可能に配置されるユニットであって操作子群を備えるカバーユニットと、を有する操作パネルと、
前記操作子群を構成する各操作子の位置及び機能を定義した管理テーブルが格納される記憶部と、
前記管理テーブルに基づいて、前記操作子群の中でユーザー操作の対象となった対象操作子を特定すると共に当該対象操作子に対応した入力処理を実行する制御部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記タッチパネル上に前記カバーユニットが設置された設置状態及び前記タッチパネル上から前記カバーユニットが取り外された非設置状態を選択的に生じさせる機構を含む、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の超音波診断装置において、
前記非設置状態において前記タッチパネルを直接的に操作し得る、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の超音波診断装置において、
互いに異なる操作子群レイアウトを有する複数のカバーユニットの中から特定のカバーユニットが選択され、
前記特定のカバーユニットが前記タッチパネル上に配置され、
前記複数のカバーユニットに対応する複数の管理テーブルの中から前記特定のカバーユニットに対応する特定の管理テーブルが選択され、
前記特定の管理テーブルが前記制御部により参照される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記操作子群には光透過性操作子が含まれ、
前記カバーユニットの下側に前記タッチパネルと共にディスプレイパネルが設けられ、
背景画像を生成し前記背景画像を前記ディスプレイパネルへ出力する背景画像生成部が設けられ、
前記背景画像には前記光透過性操作子に対応した発光部分が含まれる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項5記載の超音波診断装置において、
前記背景画像生成部は前記光透過性操作子の操作に応じて前記発光部分の発光態様を変更する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記操作子群の中には、プッシュ型操作子、回転型操作子、及び、スライド型操作子の内の少なくとも1つが含まれる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
超音波診断装置において操作パネルを設置する方法であって、
互いに異なる操作子レイアウトを有する複数のカバーユニットの中から特定のカバーユニットを選択する工程と、
ディスプレイパネル及びタッチパネルからなる積層体の上側に前記特定のカバーユニットを設置し、又は、前記積層体の上側に前記特定のカバーユニットを載せる機構に対して前記特定のカバーユニットを設置する工程と、
を含むことを特徴とする操作パネル設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波診断装置及び操作パネル設置方法に関し、特に、操作パネルの構成をカスタマイズする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カート式の超音波診断装置は、複数のキャスタを有する本体、本体に支持された操作パネル、等を有する。操作パネルには、通常、複数のボタン、複数のつまみ、複数のスライダ等が設けられている。それらの操作子は、いずれも三次元形態を有する物理的な要素(実操作子)である。操作パネル上の操作子群のレイアウトは固定されており、そのレイアウトを変更することはできない。超音波検査中において、検査者は、通常、プローブの操作を行いながら、超音波画像を観察している。そのような状態では、各操作子がブラインドで操作される。
【0003】
小型又は携帯型の超音波診断装置の中には、操作パネルとして機能するタッチスクリーンパネルを備えたものがある。タッチスクリーンパネルは、平坦な操作面(表示面)を有するユーザーインターフェイスである。操作面には、複数の仮想操作子が表示される。そのような操作パネルにおいて、仮想操作子群のレイアウトを変更することは比較的に容易である。
【0004】
特許文献1には、操作パネルを備えた超音波診断装置が開示されている。操作パネルはタッチレイヤ及びそれを覆う封止レイヤを有する。封止レイヤには複数の操作子(複数の実操作子)が設けられている。特許文献1に開示された操作パネルは、その構成を容易に変更できないものである。
【0005】
特許文献2には、スマートフォンやタブレット端末における入力部が開示されている。その入力部は、タッチセンシティブ面とそれを覆うカバー状部材とを有する。カバー部材は、複数の操作子(複数の実操作子)を備えている。特許文献2には、カバー状部材のカスタマイズやそれをサポートする仕組みについては記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2020-514906号公報
【特許文献2】特表2019-525749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超音波検査が行われる診療科目に応じて、超音波検査を行う検査者に応じて、あるいは、別の理由から、操作パネルの構成を変更したいというニーズがある。具体例として、操作子群のレイアウトを変更したいというニーズ、操作パネルの形式を変更したいというニーズ、が挙げられる。従来の超音波診断装置における操作パネルはそのようなニーズを満たすものではない。
【0008】
本開示の目的は、操作パネルの構成を容易に変更できるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、操作子群のレイアウトを変更できるようにし且つその変更をサポートする仕組みを提供することにある。あるいは、本開示の目的は、カスタマイズされた操作パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る超音波診断装置は、タッチパネルと、前記タッチパネル上に取り外し可能に配置されるユニットであって操作子群を備えるカバーユニットと、を有する操作パネルと、前記操作子群を構成する各操作子の位置及び機能を定義した管理テーブルが格納される記憶部と、前記管理テーブルに基づいて、前記操作子群の中でユーザー操作の対象となった対象操作子を特定すると共に当該対象操作子に対応した入力処理を実行する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本開示に係る操作パネル設置方法は、超音波診断装置において操作パネルを設置する方法であって、互いに異なる操作子レイアウトを有する複数のカバーユニットの中から特定のカバーユニットを選択する工程と、ディスプレイパネル及びタッチパネルからなる積層体の上側に前記特定のカバーユニットを設置し、又は、前記積層体の上側に前記特定のカバーユニットを載せる機構に対して前記特定のカバーユニットを設置する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、状況に応じて操作パネルの構成を容易に変更し得る。あるいは、本開示によれば、操作子群のレイアウトを変更でき、また、その変更をサポートする仕組みを提供できる。あるいは、本開示によれば、カスタマイズされた操作パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
【
図16】トラックボールユニットの第1設置例を示す図である。
【
図17】トラックボールユニットの第2設置例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る超音波診断装置のブロック図である。
【
図21】操作パネル組立方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断装置は、操作パネル、記憶部、及び、制御部を有する。操作パネルは、タッチパネルと、タッチパネル上に取り外し可能に配置されるユニットであって操作子群を備えるカバーユニットと、を有する。記憶部には、操作子群を構成する各操作子の位置及び機能を定義した管理テーブルが格納される。制御部は、管理テーブルに基づいて、操作子群の中でユーザー操作の対象となった対象操作子を特定すると共に当該対象操作子に対応した入力処理を実行する。
【0015】
上記構成によれば、タッチパネル上に取り外し可能にカバーユニットが設けられる。使用するカバーユニットの選択により、操作子群のレイアウトを容易に変更し得る。あるいは、カバーユニットの配置の有無により、操作パネルの形式を変更し得る。記憶部には、使用するカバーユニットに対応した管理テーブルが格納され、それが制御部により参照される。カバーユニットが変更された場合、記憶部に記憶される管理テーブルも変更される。これにより操作パネルの変更が電気的にサポートされる。
【0016】
タッチパネルは、操作子への操作行為を直接的に又は間接的に検出する二次元検出面を備えた入力デバイスである。実施形態においては、タッチパネルとして、多点同時検出を行えるマルチタッチパネルが用いられる。カバーユニットは、操作子群及びそれを搭載又は保持した部材を含む物理的カバーに相当する。
【0017】
実施形態に係る超音波診断装置は、更に、タッチパネル上にカバーユニットが設置された設置状態及びタッチパネル上からカバーユニットが取り外された非設置状態を選択的に生じさせる機構を含む。その機構として、スライド機構、係合機構、等を設けてもよい。実施形態では、非設置状態においてタッチパネルを直接的に操作し得る。すなわち、実施形態では、操作子群の使用(タッチパネルの間接的使用)及びタッチパネルの直接的使用を選択し得る。
【0018】
実施形態においては、互いに異なる操作子群レイアウトを有する複数のカバーユニットの中から特定のカバーユニットが選択される。特定のカバーユニットがタッチパネル上に配置される。複数のカバーユニットに対応する複数の管理テーブルの中から特定のカバーユニットに対応する特定の管理テーブルが選択される。特定の管理テーブルが制御部により参照される。
【0019】
装置組立工場内において、超音波診断装置が設置された医療機関内において、超音波検査室内において、又は、他の場所において、カバーユニットの選択が行われてもよい。複数のカバーユニットに対応する複数の管理テーブルを事前に用意しておけば、カバーユニットの選択に際して管理テーブルも選択でき、選択されたカバーユニットを直ぐに使用することが可能となる。
【0020】
実施形態において、操作子群には光透過性操作子が含まれる。カバーユニットの下側にはタッチパネルと共にディスプレイパネルが設けられる。背景画像生成部は、背景画像を生成し背景画像をディスプレイパネルへ出力する。背景画像には光透過性操作子に対応した発光部分が含まれる。この構成によれば、操作子の視認性を向上でき、あるいは、操作子の操作状態を容易に確認できる。
【0021】
実施形態において、背景画像生成部は、光透過性操作子の操作に応じて発光部分の発光態様を変更する。例えば、オン操作状態においては発光部分が第1色で発光し、オフ操作状態においては発光部分が第2色で発光するように制御してもよい。発光と非発光、連続発光と点滅発光、等を切り替えてもよい。操作子群における全部の又は多数の発光素子を光透過性発光素子で構成してもよい。その場合、背景画像中における複数の発光部分はそれぞれ独立して動作又は機能する。ディスプレイパネルが多素子型バックライトとして機能するので、操作子ごとに発光態様を容易に変更できる。
【0022】
実施形態において、操作子群の中には、プッシュ型操作子、回転型操作子、及び、スライド型操作子の内の少なくとも1つが含まれる。回転型操作子は回転量を入力し得るものである。スライド型操作子はスライド量を入力し得るものである。
【0023】
実施形態に係る操作パネル設置方法は、超音波診断装置において操作パネルを設置する方法であって、第1工程、及び、第2工程を含む。第1工程では、互いに異なる操作子レイアウトを有する複数のカバーユニットの中から特定のカバーユニットが選択される。第2工程では、ディスプレイパネル及びタッチパネルからなる積層体の上側に特定のカバーユニットが設置され、又は、積層体の上側に特定のカバーユニットを載せる機構に対して特定のカバーユニットが設置される。
【0024】
上記組立方法によれば、カスタマイズされた操作パネルを提供できる。例えば、型式の異なる複数の超音波診断装置において、カバーユニット以外の操作パネルの仕様を共通化してもよい。
【0025】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断装置10が示されている。超音波診断装置10は、医療機関に設置され、被検者への超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する医用装置である。
【0026】
超音波診断装置10は、具体的には、カート式の超音波診断装置である。ボックス状の本体12は複数のキャスタを有している。本体12の内部には複数の電子基板や電源等が収容されている。本体12によりアーム14を介して表示器16が支持されている。表示器16は、LCD又は有機ELデバイス等により構成される。本体12上に操作パネル18が搭載されている。操作パネル18がアーム14によって支持されてもよい。
【0027】
操作パネル18は、下部又は固定部としての複合パネル20と、上部又は可動部としてのカバーユニット22と、を有する。複合パネル20は、後述するように、ディスプレイパネル及びマルチタッチパネルを含む積層体つまりタッチスクリーンパネルである。
【0028】
カバーユニット22は、スライド機構24に保持されており、装置奥行方向(装置前後方向)にスライド運動し得る。カバーユニット22が前進端に位置した状態で、複合パネル20上にカバーユニット22が載せられ、それらの重合状態が形成される。その状態はカバーユニット配置状態とも言い得る。重合状態がスライド機構24により維持される。
【0029】
一方、カバーユニット22が後進端に位置した状態では、カバーユニット22の全部又は大部分がフード26内に収容される。その状態では、複合パネル20の上面が露出し、それに対して直接的な入力操作を行える。その状態はカバーユニット非配置状態とも言い得る。
【0030】
スライド機構24に代えて、他の機構が設けられてもよい。他の機構として、複合パネル20に対してカバーユニット22を着脱可能に結合させる係合構造が設けられてもよい。スライド機構24に取り付けられたカバーユニット22の種類を特定するために、カバーユニット22にRFタグやバーコードを設けてもよい。
【0031】
図2は、操作パネル18の拡大図である。操作パネル18は、上記のように、複合パネル20及びカバーユニット22により構成される。複合パネル20及びカバーユニット22は、いずれも、装置左右方向及び装置前後方向に広がった形態を有する。カバーユニット22がスライド機構24により保持されている。スライド機構24は、装置左右方向に並んだ2つのレール部材30,32により構成され、2つのレール部材30,32がカバーユニット22の2つの側面を保持している。スライド機構24により、操作パネル18は装置奥行方向にスライド運動し得る。
【0032】
カバーユニット22は、カバーベース34とそれに設けられた操作子群36とにより構成される。操作子群36は、所定のレイアウトをもって配置された複数の操作子(複数の実操作子)により構成される。それらには、プッシュ型操作子、回転型操作子、スライド型操作子等が含まれる。実施形態においては、カバーユニット22に対し、独立して動作するトラックボールユニットが組み込まれている。トラックボールユニットを組み込むことなく、複合パネル20の上面の一部を露出させ、そこをタッチパッドとして機能させてもよい。
【0033】
図3には、操作パネルの構成が模式的に示されている。複合パネル20は、ディスプレイパネル38、マルチタッチパネル40及び保護シート42からなる積層体である。ディスプレイパネル38及びマルチタッチパネル40は、いずれも、装置左右方向及び装置奥行方向に広がった面状又はプレート状の形態を有する。
【0034】
ディスプレイパネル38は、カラー表示器であり、それは、例えば、LCD、有機ELデバイス、等で構成される。マルチタッチパネル40は、例えば、静電容量型のタッチパネルにより構成される。他の方式のタッチパネルを用いることも可能である。実施形態に係るマルチタッチパネル40は、同時に8点又は10点のタッチ位置を識別することが可能なものである。
【0035】
静電容量変化を生じさせる操作体(指、操作子)をマルチタッチパネルに実際に接触させることによる入力操作の他、その操作体をマルチタッチパネルに近接させることによる入力操作も考えられる。本願明細書において、タッチという用語は、実際の接触を必ずしも意味せず、タッチ検知を生じさせる操作行為を意味する。
【0036】
カバーユニット22は、カバーベース34及び操作子群36で構成される。カバーベース34は、樹脂、金属等により構成され、個々の操作子を保持又は案内している。操作子群36は、数十個の操作子により構成され、個々の操作子は検査者の操作行為に応じて運動する可動部品を備える。可動部品の運動により、静電容量の変化が生じる。その変化として、静電容量の局所的な変化、静電容量分布の変化、等が挙げられる。各操作子は、透明性を有している。すなわち、各操作子それ全体が導光部材で構成され、あるいは、各操作子の一部が透明性する導光部材で構成される。操作パネルの内部から外部へ光を放出できる限りにおいて、透明度は低くてもよく、例えば、導光部材として半透明を有する又は乳白色を呈する部材を用いてもよい。
【0037】
実施形態において、マルチタッチパネル40及び保護シート42はいずれも透明性を有する。これによりディスプレイパネル38で生じた光がマルチタッチパネル40等を介して上方へ放射される。その光が各操作子を通じて外界へ放射される。つまり、検査者から見て各操作子が発光する。操作子ごとに、操作子に対応する機能の状態に応じて、発光態様が制御される。これについては後に詳述する。
【0038】
図4には、カバーユニットの選択が示されている。複合パネル上に配置可能な操作パネルとして、互いに異なる操作子群レイアウトを有する複数の操作パネル22-1~22-nが用意されている。複数の操作パネル22-1~22-nに対応して、複数の管理テーブル44-1~44-nも用意されている。例えば、符号46で示すように、特定のカバーユニット22-2が選択される。そのカバーユニット22-2がスライド機構に設置される。複合パネル上にカバーユニット22-2が着脱可能に直接的に配置されてもよい。
【0039】
選択されたカバーユニット22-2に対応する管理テーブル44-2が選択され、それが超音波診断装置にインストールされる。あるいは、超音波診断装置にインストールされている複数の管理テーブル44-1~44-nの中から、選択されたカバーユニット22-2に対応する管理テーブル44-2が選択され、それが制御部の参照先として指定される。各管理テーブル44-1~44-nは、操作子群を構成する各操作子の位置、機能等を管理するためのデータセットである。これについては後述する。
【0040】
カバーユニットの選択及び管理テーブルの選択は、装置組立工場内において、納品後の医療機関内において、あるいは、検査室内において、行い得る。装置メーカーの作業者又は検査者(ユーザー)により、カバーユニットの選択及び設置を行い得る。
【0041】
図5には、カバーユニット22の一例が示されている。
図5は、カバーユニット22の模式的な上面図である。
図5において、符号46が付された図形はプッシュ型操作子(ボタン、スイッチ)を示している。符号48が付された図形は回転型操作子(つまみ)を示している。符号50が付された図形はスライド型操作子(スライダ)を示している。符号52は、プッシュ型操作子46及び回転型操作子48を備える複合操作子を示している。
【0042】
符号54はトラックボールユニットを示している。それはポインティングデバイスであり、例えば、操作されるボールの3軸回りの回転量を検出するものである。その意味において、トラックボールユニット54は、マルチタッチパネルを利用することなく、独立して機能する入力デバイスである。トラックボールユニット54に代えて、タッチパッドを設けてもよい。その場合、例えば、複合パネルの一部分を露出させ、その露出部分をタッチパッドとして機能させてもよい。その場合、露出部分に対して検査者の指先が当てられる。
【0043】
次に、幾つかの操作子について具体例を説明する。なお、各図において各部材は模式的に大まかに表現されている。
【0044】
図6~
図8には、プッシュ型操作子が示されている。
図6において、カバーベース34は、下層34A及び上層34Bにより構成される。下層34Aを硬質樹脂等により構成してもよい。上層34層は表面層であり、それを塗膜等により構成してもよい。
図6においては、プッシュ型操作子46の本体56(具体的にはキートップ)が示されている。
【0045】
図7には、プッシュ型操作子46の構造が示されている。本体56は軸部を有し、軸部の下端に接触子58が固定されている。符号60は環状の弾性体を示しており、符号62は環状の底部を示している。それらの内部を軸部が挿通している。
【0046】
下層34A及び上層34Bにはそれぞれ開口64,66が形成されている。開口64,66の中に底部62及び弾性体60が収容される。弾性体60に対して下方への押圧力が及ぶと、それが圧縮変形する。接触子58は大きな誘電率を有する材料で構成される。一方、下層34Aや底部62は小さな誘電率を有する材料で構成される。それらがマルチタッチパネルに接触しても誤検知が生じない。
【0047】
図8には、プッシュ型操作子の動作が誇張して示されている。ここでは、弾性体及び底部の図示が省略されている。(A)は押下操作前の状態を示している。本体56は、キートップ56a及び軸体56bを有し、軸体56bの下端に接触子58が設けられている。本体56の下側には、ディスプレイパネル38及びマルチタッチパネル40が設けられている。(B)は押下操作時の状態を示している。本体56が下方へ移動し、これにより接触子58がマルチタッチパネル40に接触する。その接触(又はそれ以前の近接)がマルチタッチパネル40において検知される。具体的には接触イベントの発生及び接触座標が検知される。その後の非接触イベントの発生も検知され得る。
【0048】
図9~
図11には、回転型操作子の具体例が示されている。
図9において、回転型操作子48は、カバーベース34に取り付けられている。
図10において、回転型操作子48は、本体68、弾性体70、接触子72及び底部74を有している。本体68は、キートップ68A、軸体68B及びアーム68Cを有する。キートップ68Aからその下方へ軸体68Bが突出しており、その途中からアーム68Cが分岐している。アーム68Cは図示の例においてL字形状を有し、その下端に弾性体70が固定されており、弾性体70の下面に接触子72固定されている。軸体68Bの下端には底部74が固定されている。接触子72は、大きな誘電率を有する材料により構成される。底部74は、小さな誘電率を有する材料により構成される。
【0049】
図11には、回転型操作子48の断面が示されている。下層34A及び上層34Bには開口部が形成されている。図示の例では、開口部を覆うようにキートップ68Aが回転可能に設けられている。底部74は、マルチタッチパネル40の上面に接触しているが、それによる誤検知は生じない。キートップ68Aを回転させると、それに伴ってアーム68Cが旋回運動する。同時に、接触子72がマルチタッチパネル40上を旋回運動する。その旋回運動がマルチタッチパネル40において検出される。具体的には、旋回運動イベントが検出され、その際における旋回量として移動量又は移動角度が検出される。開口部内の隙間を埋める部材を配置してもよい。
【0050】
図12及び
図13には、スライド型操作子の具体例が示されている。
図12において、カバーベース34にはスリット76が形成されている。スライド型操作子50は、直線運動可能なスライダを有し、それがスリット76の上側に存在している。
【0051】
図13には、スライド型操作子50の構成が示されている。カバーベースは、下層34A及び上層34Bにより構成され、それらにはスリット76A,76Bが形成されている。スライド型操作子50は、スライダ78、連結板80、弾性体84、及び、接触子86を有する。連結板80の上端がスライダ78に固定されており、連結板80の下端に水平板82が連結されている。水平板82の下面には弾性体84及び接触子86が固定されている。
【0052】
スリット76A,76Bを連結板80が通過しており、カバーベース34の下側に弾性体84及び接触子86が位置している。スライダ78が直線運動すると、それに伴って接触子86が直線運動する。その直線運動がマルチタッチパネルにより検出される。具体的には、接触子の座標が逐次的に検出されており、これにより直線運動量も検出されている。
【0053】
以上説明した操作子の具体例はいずれも例示に過ぎず、多様な構造をもった操作子を採用し得る。
【0054】
図14には、ディスプレイパネルに表示される背景画像の一例が示されている。背景画像38Aは、各操作子の動作状態(各機能の実行状態)を発光により表示するものである。背景画像38Aには、操作子群に対応した発光領域群90を有している。操作子群のレイアウトに従って、発光領域群90のレイアウトが定められている。発光領域群90は複数の発光領域92により構成される。
【0055】
個々の発光領域92の発光態様は独立的に個別的に制御される。例えば、発光色、発光輝度(オンオフを含む)、発光態様(連続、点滅等)が制御される。例えば、各状況において、操作可能な操作子が緑色で発光し、その操作子が実際に操作されてオン状態となった場合にその操作子がオレンジ色で発光するように、発光制御を行ってもよい。その場合、操作可能でない操作子については非発光状態とされる。操作アシスト機能が実行されている状態において、次に操作すべき操作子が点滅するように発光制御を行ってもよい。超音波検査室内は通常、薄暗い状態となるので、個々の操作子を発光させて、個々の操作子の視認性を高めるようにしてもよい。図示の例ではトラックボールの周囲も発光している。
【0056】
背景画像は容易に生成できるので、多様な発光制御を容易に行える。カバーユニットの切換え時に背景画像を切り換えるのも容易である。管理テーブルの参照により、個々の操作子の座標や種別が特定されてもよいし、複数の背景画像タイプを登録しておきその中から使用する背景画像タイプを選択してもよい。検査者において、背景画像をカスタマイズできるように構成してもよい。それも操作パネルのカスタマイズの一態様と言える。
【0057】
図15には、操作子の発光が模式的に示されている。カバーベースは下層34A及び上層34Bで構成される。操作子の本体56それ全体が導光部材で構成され、あるいは、その一部が導光部材で構成される。ディスプレイパネル38には背景画像が表示される。背景画像には、操作子に対応する発光領域92が含まれる。発光領域92で生じた光は、操作子の本体56の内部を通じて外界へ放出される。検査者から見て、操作子の本体56が発光体のように見える。操作子の本体56とそれを挿通している孔の隙間から光が放出されてもよいし、そのような隙間からの光の漏洩を防止する部材を設けてもよい。
【0058】
なお、図示の構成例では、カバーベースが遮光板として機能する。カバーベースは不透明な部材で構成される。操作子群とは別に、カバーベースに透明部を形成し、そこを発光させてもよい。透明部をインジケータとして機能させてもよい。例えば、選択されている動作モードに対応するインジケータが発光するように構成してもよい。
【0059】
図16及び
図17には、ポインティング操作を実現する方式が示されている.
図16において、カバーベース34には開口部96が形成されており、その開口部96にトラックボールユニット94が組み込まれる。
図17において、カバーベース34には切り欠き98が形成されており、その切り欠き98を介して検査者がタッチパネルを直接タッチし、露出部をタッチパッドとして機能させる。
【0060】
図18には、実施形態に係る超音波診断装置の構成がブロック図として示されている。本体12には、表示器16及び操作パネル18が接続されている。超音波プローブ100が生体102に当接される。超音波プローブ100は、超音波ビーム104を形成する振動素子アレイを有する。超音波ビーム104が電子走査される。これによりビーム走査面106が形成される。
【0061】
送受信部108は、超音波プローブ100に対して送信信号を出力し、超音波プローブからの受信信号を処理する。画像形成部110は、送受信部から出力された信号に基づいて超音波画像を形成する。その画像データが処理部112へ送られる。
【0062】
処理部112は、プログラムを構成するプロッサにより構成され、それは例えばCPUである。本体12は、処理部112及び記憶部を有している。記憶部には管理テーブル114が格納される。処理部112は、背景画像生成部116、制御部118、及び、表示処理部120として機能する。
【0063】
背景画像生成部116は、制御部118の制御の下、背景画像を生成し、それをディスプレイパネル38へ出力する。背景画像の生成に際しては、管理テーブル114が参照される。制御部118は、超音波診断装置内の各要素の動作を制御するものである。制御部118は、マルチタッチパネル40の出力信号に基づいて、検査者の操作行為を特定し、それに対応する機能を実行し、又は実行中の機能を停止させる。その際には、管理テーブル114が参照される。表示処理部120は、表示器16に表示される画像を生成するものであり、それは画像合成機能、カラー処理機能等を有する。
【0064】
操作パネル18は、複合パネル20、及び、カバーユニット22を有する。複合パネル20は、ディスプレイパネル38及びマルチタッチパネル40を含む。カバーユニット22は、カバーベース34及び操作子群36を有する。
【0065】
上記のように、ディスプレイパネル38には背景画像が表示される。但し、複合パネル20が単体で使用される場合、ディスプレイパネル38には、複数の仮想操作子を含む操作画像が表示される。装置状態の変化に応じて操作画像の内容が変化する。
【0066】
図19には、管理テーブルの一例が示されている。図示された管理テーブル114は、複数の操作子に対応した複数のレコード130を有する。各レコード130は、検出領域を定義する情報132、操作子タイプを定義する情報134、操作子機能を定義する情報136、イベントコード138等を有している。ある検出領域においてイベントが発生した場合、その検出領域が特定され、それに対応するイベントコードが識別される。そのイベントコードに対応付けられている機能が実行される。操作子タイプが回転型やスライド型の場合、イベント発生時に、接触子の移動量(旋回運動量、直線運動量)も特定され、それに基づく制御が実行される。管理テーブル114は一例であり、それ以外の管理テーブルを採用してもよい。管理テーブル114において、各発光領域が定義されてもよく、各発光領域の発光タイプが定義されてもよい。
【0067】
図20には、制御部における入力制御が示されている。S10では、マルチタッチパネルの出力信号に基づいて、いずれかの操作子に対する操作行為の有無が判定される。操作行為が検出された場合、S12において、操作対象となった操作子の位置つまり座標情報が取得される。S14では、座標情報に基づいて操作対象となった操作子が特定され、具体的にはイベントコードが特定される。S16では、イベントコードに基づいて装置動作が制御され、つまり入力処理が実行される。その際には、個々の発光領域の発光も制御される。S18において終了が判定されるまで、S10~S18が繰り返し実行される。
【0068】
なお、カバーユニットを用いず、複合パネルを操作パネルとしてそのまま用いる場合、その状態が制御部により判定され、複合パネルに対して操作画像が供給され、複合パネルへの直接的な入力操作が検知される。実施形態においては、スライド機構により、カバーユニットの使用の有無を容易に選択でき、つまりカバーユニット配置状態とカバーユニット非配置状態とを容易に選択できる。
【0069】
図21には、操作パネル設置方法が示されている。S20では、互いに異なる操作子群レイアウトを有する複数のカバーユニットの中から、特定のカバーユニットが選択される。S22では、特定のカバーユニットがスライド機構に設置される。あるいは、特定のカバーユニットが着脱可能に複合パネル上に設置される。
【0070】
図22及び
図23を用いて変形例を説明する。
図22において、カバーユニット140は、複数のピース144の結合体142を含む。ピース144同士が結合するように各ピース144の外形が定められている。個々のピース144が1つの操作子を構成してもよいし、複数のピース144により1つの操作子が構成されてもよい。隙間を埋めるピースが用意されてもよい。結合体142は枠体内に配置され、あるいは、ベース面上に配列される。結合体142は、マルチタッチパネルの上側に配置され、結合体142を介して検査者の操作力がマルチタッチパネルへ伝達される。
【0071】
図23には、ピース集合146が示されている。ピース集合146から所望のピースを順次選択して、上記結合体を構成し得る。図示の例では、ピース集合146には、大きなプッシュ型操作子を備えるピース148、小さな回転型操作子を備えるピース150、複数のスライド型操作子を備えるピース152、等が含まれる。
【0072】
実施形態によれば、状況に応じて操作パネルの構成を容易に変更し得る。特に、操作子群のレイアウトを容易に変更でき、また、その変更をサポートする仕組みを提供できる。実施形態に係る組立方法によれば、カスタマイズされた操作パネルを提供できる。
【符号の説明】
【0073】
10 超音波診断装置、12 本体、18 操作パネル、20 タッチスクリーンパネル(下部、固定部)、22 カバーユニット(上部、可動部)、24 スライド機構、34 カバーベース、36 操作子群、38 ディスプレイパネル、40 マルチタッチパネル、42 保護層。