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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165081
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20221024BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G01D11/24 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070265
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石田 千晶
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA14
5G435BB12
5G435EE47
5G435LL17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組付け性を向上した車両用表示装置を提供する。
【解決手段】第一面20aと第二面20bと挿通孔30を有する平板状の回路基板20と、第一面20aに実装されるコネクタ21と、第二面20bの垂直方向に位置するディスプレイ10と、基部がディスプレイ10から回路基板と平行な第一方向へ延出し、先端が挿通孔30を介してコネクタ21に接続されるFPC13と、を備え、挿通孔30は、第一方向に位置する平坦部と、平坦部に向かって狭まるガイド部と、を含む形状である車両用表示装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面と第二面と挿通孔を有する平板状の回路基板と、
前記第一面に実装されるコネクタと、
前記第二面の垂直方向に位置するディスプレイと、
基部が前記ディスプレイから前記回路基板と平行な第一方向へ延出し、先端が前記挿通孔を介して前記コネクタに接続される平板状配線と、
を備え、
前記挿通孔は、前記第一方向に位置する平坦部と、前記平坦部に向かって狭まるガイド部と、を含む形状である
車両用表示装置。
【請求項2】
前記挿通孔は、台形形状を含む孔であり、
前記平坦部は、前記台形形状の上底であり、
前記ガイド部は、前記台形形状の斜辺である
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記平板状配線は、
幅が第一幅長のフレキシブルフラットケーブルであり、
第二幅長の幅で幅広に突出したタブを更に有し
前記挿通孔は、
前記ガイド部が成す最も広い幅は第二幅長より広さであり、
前記平坦部が成す幅は、第一幅長以上であって第二幅長未満の広さである
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記コネクタは、前記挿通孔に対して前記第一方向とは逆の第二方向に位置する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、光源と、液晶表示素子とを有し、
前記平板状配線は、前記光源と前記回路基板を電気的に接続する
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置としては、特許文献1が開示するような構成が開示されている。特許文献1には、車両用計器(D)に搭載されるフレキシブル配線板(F)が開示されている。表示モニター部(100)と配線基板(50)を接続するフレキシブル配線板(F)は貫通孔(53)に挿通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-179741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、配線基板の表と裏を接続する配線(例えばフレキシブル配線板など)が相通される貫通孔は、長方形形状が一般的であった。しかしながら、貫通孔が長方形であると、配線のたゆみに因って、配線の姿勢が一定とならず、組付け性に改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述課題に着目し、組付け性を改善した車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、
第一面と第二面と挿通孔を有する平板状の回路基板と、
前記第一面に実装されるコネクタと、
前記第二面の垂直方向に位置するディスプレイと、
基部が前記ディスプレイから前記回路基板と平行な第一方向へ延出し、先端が前記挿通孔を介して前記コネクタに接続される平板状配線と、
を備え、
前記挿通孔は、前記第一方向に位置する平坦部と、前記平坦部に向かって狭まるガイド部と、を含む形状である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態における車両用表示装置1の外観を示す図。
図2】車両用表示装置1のII-II断面を示す図。
図3】回路基板20の第一面20aを示す図
図4】挿通孔30の周囲を示す拡大図。
図5】FPC13がコネクタ21へ装着される前の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。なお、図3図5等では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0009】
図1は、本開示の車両用表示装置1の外観の一例を示す図である。本開示の車両用表示装置は、例えば図1が示すように車両に搭載されたメータのように構成されることを好適な適用形態の1つとする。
【0010】
車両は、自動車や自動二輪車などの車両であり、例えば動力と動力伝達系を備えることでユーザー(乗員や利用者)や積載された貨物などを移動できる。ユーザーは、操作部(スイッチやタッチパネルなど)を操作することで、電気信号としての操作情報を車両の制御手段(マイコンなど)へ入力する。制御手段は、入力された操作情報に基づいて、車両に搭載された電装部品を制御し動作させる事ができる。
【0011】
図1から図5に示されるように、車両用表示装置1は、ケースと、ディスプレイ10と、FPC13と、回路基板20と、コネクタ21を備える。
【0012】
ディスプレイ10は、入力された電気信号に応じて、種々の表示を行う電子ディスプレイで構成されるとよい。電子ディスプレイは、TFT(Thin Film Transistor)液晶や有機EL(Electro-Luminescence)などを含む。本開示では、TFTとLED光源が用いられる液晶モジュールが適用された例が示されている。
【0013】
ディスプレイ10は、例えばメータが搭載されている車両に関する情報を表示する。車両に関する情報は、ナビゲーションなどに関する車両運行情報や、スピードやエンジン出力など車両の走行に関する車両走行情報、他車両や道路に関する走行環境情報、車両装備の整備状態に関する車体情報などを表示する。ディスプレイ10は、動画や音楽といった娯楽情報を表示してもよい。ディスプレイ10は、警告灯やギアポジションなどのインジケータを表示しても良い。
【0014】
図2は、図1に示される車両用表示装置1の断面II-IIを示す。
【0015】
ディスプレイ10の裏面からは、第一方向D1に向かって平板状配線の一例であるFPC13(フレキシブルプリント基板)が延出している。FPCは、複数の電子部品を互いに電気的に接続する。本実施形態では一例として、FPC13の基部がディスプレイ10へ、FPC13の先端がコネクタ21へ接続される態様が示されている。平板状配線としては、FPCのみならず、FFC(フレキシブルフラットケーブル)などであってもよい。平板状配線は、ディスプレイとコネクタ以外の電子部品を接続してもよい。
【0016】
回路基板20は、第一面20aと第二面20bと、コネクタ21と、挿通孔30を有する。
回路基板20は、種々の電気電子部品が実装され、それらが適宜電気的に接続されるように配線された、平板状の回路基板である。回路基板20は、その一例としてFR4(ガラスエポキシ)を適用した基材の表面や内層に銅箔パターンを配線し、表面に電気電子素子が実装された態様が示されている。
回路基板20は、ディスプレイ10を制御する制御部を実装していても良い。制御部は、車両用表示装置1の外部から入力された信号に基づいてディスプレイ10の表示を制御する。制御部は、例えば所定プログラムや各種データの格納や演算時のデータ保持などに用いるROMやRAM等の記憶部と、所定プログラムに従って演算処理するためのCPUと、入出力インターフェース等を設けたマイクロコンピュータが適用され得る
【0017】
コネクタ21は、回路基板20の第一面20aに実装されている。コネクタ21は、FPC13と回路基板20を、ひいてはディスプレイ10と制御部を電気的に接続している。
【0018】
挿通孔30は、回路基板20を挟む様に存在する電気電子素子(例えばディスプレイ10とコネクタ21)を平板状配線(例えばFPC13)が電気的に接続できるように設けられた孔である。図3に示されるように、挿通孔30は、回路基板20の面内に設けられた孔であり、FPC13が挿通されている。
【0019】
図4図5を用いて、FPC13と挿通孔30の詳細な形状について説明する。
図4は、第一面の挿通孔30の周囲を示す拡大図である。FPC13が挿通孔30を介してコネクタ21に挿入された状態が示されている。
【0020】
FPC13は、タブ13a、配線部13b、補強板13cを有する。
タブ13aは、平板状配線から幅方向に突出した形状である。タブ13aは、組立作業者が組立時にこの部分を幅方向から把持することで、コネクタ21への挿入を容易にしたり、他方、脱着時にもタブ13aが指に引っかかることで脱着を用意にする。また、コネクタ21へFPC13が正しく装着されていることを示す目安にもなる。
また、配線部13bを幅方向に挟むように両端に存在する。
【0021】
配線部13bは、FPC13の主要部にあたり、端子間(基部と先端の間)の一様な配線区間を示す。配線部13bにおいては、電気電子素子は特に実装されず、配線幅が一定であると良い。
【0022】
補強板13cは、FPC13の端部(先端)の強度を向上するために、ポリイミド等によって形成される板部材である。補強板13cがあることで、コネクタ21への装着脱着が容易になる。補強板13cの外形は、タブ13aと同じ形状をなしていても良い。
【0023】
挿通孔30は、平坦部30a、ガイド部30b、折りしろ部30cを含む形状を成す。
【0024】
平坦部30aは、挿通孔30が成す形状のうち、第一方向に位置する平坦な形状である。図5に示されるように、第一方向へ延出するFPC13は、コネクタ21へ装着する前の状態では平坦部30aにもたれかかるような姿勢を取る。詳細な平坦部30aが成す幅の条件は、後述する。
【0025】
ガイド部30bは、挿通孔30が成す形状のうち、平坦部30aへ向かって狭まる形状である。
【0026】
折りしろ部30cは、ガイド部30bが成す最も広い幅の箇所から、第一方向とは反対の第二方向へ伸びる形状である。ここの設けることで、FPC13は折返しを行いつつも、ガイド部30bが不必要に幅広になることを防いでいる。
【0027】
図4に示されるように、ここで各箇所の寸法名称を定義する。
長さa:ガイド部30bが成す最も広い幅
長さb:第二幅長(タブ13aが成す全幅長)
長さc:平坦部30aが成す幅
長さd:第一幅長(配線部13bが成す全幅長)
以下に、組付け性が向上する各長さの大小関係条件を説明する。
【0028】
(第一条件:長さd<長さc<長さa)
第一条件を満たすとき、装着前のFPC13は、ガイド部30bが成す狭まる形状により、左右へ傾くこと無く、第一方向に対して、すなわち、平坦部30aに対してもたれかかるようになるため、組立作業者や、自動組立機がFPC13の位置を容易に認識でき、組付け性を向上することができる。
【0029】
(第二条件:長さd<長さc<長さb<長さa)
第二条件を満たすとき、FPC13を挿通孔30へ挿入する際に、タブ13aが挿通孔30より幅が狭いおかげで挿通を容易に行うことができ、組付け性を向上できる。なおかつ第一条件の効果も満たしており、その面においても組付け性を向上できている。
【0030】
これら条件を満たすために、本実施形態のように平坦部30aを上底、ガイド部30bを斜辺とする台形形状を含む孔であると、すべての辺を直線で形成するこ
とができ、製造が容易となる。
【0031】
[変形性]
本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに表示の変更が可能なことは勿論である。
【0032】
例えば、コネクタ21は、挿通孔30に対して第二方向に設けられた状態を例にとって説明したが、コネクタは平坦部30a側(第一方向側)に設けられていても良い。しかしながら、第二方向にあることで、装着時にFPC13の両面の外観を確認することができる利点がある。すなわち、図5のように、FPC13がもたれかかっている状態では一方の面、コネクタ21へ装着するときには他方の面が作業者にとって視認可能になるから、外観確認が容易となる。
【0033】
また、平板状配線は他の電気電子素子を電気的に接続する配線であってもよい。しかしながら、液晶表示素子とLED光源を有する液晶表示モジュールであるディスプレイ10と、コネクタ21を接続する配線である場合、平板状配線としてはLED光源とコネクタ21を接続する配線を適用すると、より好適である。一般に、ディスプレイ10の映像信号を送受信するFPCは非常に太く、左右に傾いてもたれかかることが少ないが、LED光源用配線は非常に細いFPCで構成されることが多いため、平板状配線はLED光源用配線に用いられることが好適である。
【0034】
また、液晶表示モジュールは、製品ごとに専用設計されることが少なく、FPCの長さは余裕を持って長く設定されていることが多い。このように長いFPCは左右に傾いてもたれかかることが多いため、本発明を適用すると、より効果的である。
【0035】
また、折りしろ部30cがガイド部30bの最も幅広な箇所を延長するような形状を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、折りしろ部30cは、第二方向に向かって狭まるように形成されても良い。また、折りしろ部30cが省略され、平坦部とガイド部とガイド部の端部同士を直線で結んだ形状であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 車両用表示装置
10 ディスプレイ
13 FPC(平板状配線の一例)
13a タブ
13b 配線
13c 補強板

20 回路基板
20a 第一面
20b 第二面
21 コネクタ

30 挿通孔
30a 平坦部
30b ガイド部
30c 折りしろ部
図1
図2
図3
図4
図5