(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165082
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20221024BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221024BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221024BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20221024BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/92
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070267
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】鐺 桃香
(72)【発明者】
【氏名】松田 崇志
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC542
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD281
4C083AD282
4C083BB11
4C083CC02
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】良好なみずみずしさと、良好な乳化安定性とを実現できる化粧料を提供する。
【解決手段】(A)ニコチン酸またはその誘導体と、(B)疎水変性アルキルセルロースと、(C)微細セルロース繊維と、(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、(E)油分とを含有する化粧料であって、前記(A)ニコチン酸またはその誘導体の配合量が、化粧料の全量に対して、1~10質量%である化粧料を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ニコチン酸またはその誘導体と、
(B)疎水変性アルキルセルロースと、
(C)微細セルロース繊維と、
(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、
(E)油分と
を含有する化粧料であって、前記(A)ニコチン酸またはその誘導体の配合量が、化粧料の全量に対して、1~10質量%である、化粧料。
【請求項2】
前記(A)ニコチン酸またはその誘導体が、ニコチン酸アミドである、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記(B)疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(B)疎水変性アルキルセルロースの配合量が、化粧料の全量に対して、0.07~0.8質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記(C)微細セルロース繊維が、最大繊維径が1000nm以下であり、数平均繊維径が2~100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースがI型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、前記カルボキシル基量が0.6~2.2mmol/gの範囲であるものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記(C)微細セルロース繊維が結晶セルロースを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項7】
前記(C)微細セルロース繊維の配合量が、化粧料の全量に対して、0.01~1質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーが、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項9】
前記(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーの配合量が、化粧料の全量に対して、0.001~0.6質量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項10】
前記(E)油分の配合量が、化粧料の全量に対して、10質量%以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン酸アミドはシミやシワの改善に有効な成分であることが知られている。しかしながら、例えば、微細セルロース繊維とアルキル変性カルボキシビニルポリマーとを組み合わせた基剤に、ニコチン酸アミドを加えるとみずみずしさや、乳化安定性が著しく低下する。
【0003】
これまでに、繊維状セルロースと、殺菌剤、抗炎症剤およびビタミン類からなる群から選択される一種または二種以上を含む皮膚化粧料が、皮膚に適用した際の耐汗性、耐摩擦性および有効成分の効果の持続性に優れることが知られているが(特許文献1参照)、当該皮膚化粧料にはニコチン酸アミドが配合されている具体的な例については全く記載されておらず、またそのみずみずしさや、乳化安定性についても何ら記載されていない。
【0004】
従って、ニコチン酸アミドまたはその誘導体を含有しつつ、みずみずしく、乳化安定性を向上できる化粧料について希求されているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、化粧料にニコチン酸またはその誘導体を含有させた場合であっても、化粧料に疎水変性アルキルセルロースと、微細セルロース繊維と、アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、油分とを含有させることにより、良好なみずみずしさと、良好な乳化安定性とを有する化粧料とすることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)(A)ニコチン酸またはその誘導体と、
(B)疎水変性アルキルセルロースと、
(C)微細セルロース繊維と、
(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、
(E)油分と
を含有する化粧料であって、前記(A)ニコチン酸またはその誘導体の配合量が、化粧料の全量に対して、1~10質量%である、化粧料。
(2)前記(A)ニコチン酸またはその誘導体が、ニコチン酸アミドである、(1)に記載の化粧料。
(3)前記(B)疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、(1)または(2)に記載の化粧料。
(4)前記(B)疎水変性アルキルセルロースの配合量が、化粧料の全量に対して、0.07~0.8質量%である、(1)~(3)のいずれかに記載の化粧料。
(5)前記(C)微細セルロース繊維が、最大繊維径が1000nm以下であり、数平均繊維径が2~100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースがI型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、前記カルボキシル基量が0.6~2.2mmol/gの範囲であるものである、(1)~(4)のいずれかに記載の化粧料。
(6)前記(C)微細セルロース繊維が結晶セルロースを含む、(1)~(5)のいずれかに記載の化粧料。
(7)前記(C)微細セルロース繊維の配合量が、化粧料の全量に対して、0.01~1質量%である、(1)~(6)のいずれかに記載の化粧料。
(8)前記(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーが、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを含む、(1)~(7)のいずれかに記載の化粧料。
(9)前記(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーの配合量が、化粧料の全量に対して、0.001~0.6質量%である、(1)~(8)のいずれかに記載の化粧料。
(10)前記(E)油分の配合量が、化粧料の全量に対して、10質量%以下である、(1)~(9)のいずれかに記載の化粧料。
【0008】
本発明の化粧料を用いることにより、化粧料にニコチン酸またはその誘導体を含有させた場合であっても、良好なみずみずしさと、良好な乳化安定性とを実現できる点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0009】
本発明は、
(A)ニコチン酸またはその誘導体と、
(B)疎水変性アルキルセルロースと、
(C)微細セルロース繊維と、
(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、
(E)油分と
を含有する化粧料であって、前記(A)ニコチン酸またはその誘導体の配合量が、化粧料の全量に対して、1~10質量%である、化粧料が提供される。
【0010】
<ニコチン酸またはその誘導体>
本発明の化粧料にはニコチン酸またはその誘導体が含まれる。ニコチン酸の誘導体としては、例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β-ブトキシエステルが挙げられ、これらの中でもニコチン酸アミドが特に好ましい。ここで、ニコチン酸アミドは、ニコチンアミド、ナイアシンアミドともよばれ、ニコチン酸の誘導体であり、ニコチン酸(ビタミンB3/ナイアシン)のアミド化合物である。ニコチン酸アミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである公知の物質であり、天然物(米ぬかなど)から抽出されてもよく、または公知の方法によって合成することができる。例えば、第十八改正日本薬局方に収載されているものを用いることができる。
【0011】
本発明の化粧料に含まれるニコチン酸またはその誘導体の配合量は、化粧料の全量に対して、1~10質量%であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、2~8質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、3~7質量%である。この範囲とすることで、ニコチン酸またはその誘導体による効果、特にシワ改善効果を十分に発揮させた上で、乳化安定性も保つことができ、塗布後のべたつきも抑制することができる。
【0012】
<疎水変性アルキルセルロース>
本発明の化粧料に含まれる疎水変性アルキルセルロースは、下記式(I)で示されるものが好ましい。
【0013】
【0014】
上記式(I)において、Rは、結合基R1-R2であり、R1は、分子内で同一でも異なってもよく、-[CH2CH(CH3)O]r-、-[CH2CH2O]r-、および、-[CH2CH(OH)CH2O]r-から選ばれる基(式中、rは、0~4の整数である)であり、R2は、炭素原子数が12~28の炭化水素基(好ましくは炭素原子数が1~4のアルキル基)、および水素原子から選ばれる1種以上の基であり、1分子中のR2の少なくとも1つは、炭素原子数が12~28の炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基)である。Aは、基-(CH2)t-(tは、1~3の整数)であり、sは、100~10000の数である。
【0015】
上記式(I)の疎水変性アルキルセルロースは、水溶性セルロースエーテル誘導体に、ポリオキシアルキレン鎖を介して疎水性基である長鎖アルキル基を導入した構造を有する。分子の基となる水溶性セルロースエーテル誘導体は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等であり、それらと長鎖アルキルグリシジルエーテル(例えば、下記式(I’)で表されるもの)とを反応させて得ることができる。
【0016】
【化2】
上記式(I’)において、R’は、炭素原子数が10~28、好適には12~22のアルキル基である。
【0017】
上記の水溶性セルロースエーテル誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースが好ましく、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを選択することが好適である。さらに、長鎖アルキルグリシジルエーテル(I’)のR’は、ステアリル基(-C18H37)またはセチル基(-C16H33)であることが好適である(これらの場合、-CH2CH(OH)CH2OR’は、-CH2CH(OH)CH2O-C18H37または-CH2CH(OH)CH2O-C16H33となる)。
【0018】
疎水変性アルキルセルロースの最も好適な態様は、式(I’)における疎水基R’をステアリル基としたステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、「サンジェロース」という商品名で大同化成工業株式会社から市販されている製品を用いることも可能である。(商品名:サンジェロース90L、90M、90H、60L、60M、および60H等)。
【0019】
本発明の化粧料に含まれる疎水変性アルキルセルロースの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、0.07~0.8質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、0.09~0.5質量%である。この範囲とすることで、乳化安定性を向上しつつ、塗布時のみずみずしさを保つことができる。
【0020】
<微細セルロース繊維>
本発明の化粧料に含まれる微細セルロース繊維は、植物由来のセルロースからなるナノファイバー(ミクロフィブリル)であって、ミクロフィブリル同士が実質的に1本ずつにまで分散されたもの(セルロールシングルナノファイバー:CSNFとも呼ばれる)であり、好ましくは、結晶セルロースを含むものである。
【0021】
前記の微細セルロール繊維(セルロースシングルナノファーバー)は、水に対する高い増粘作用を有し、例えば、ポリビニルピロリドンと組み合わせて配合することによって強固なゲル状でありながら透明度の高い組成物となることが知られている(特許第5243371号公報参照)。また、微細セルロース繊維が、表面疎水化処理した粉末の水中での分散性を向上させる作用が見出され、微細セルロース繊維と撥水化処理した特定の固体とを配合した化粧料組成物も知られている(特許第5626828号公報参照)。かかる微細セルロール繊維は、「レオクリスタ」という商品名で第一工業製薬株式会社から市販されている。例えば、「レオクリスタC-2SP」(商品名)は、2質量%の微細セルロース繊維、1質量%のフェノキシエタノールを97質量%の水中に含む製品である。
【0022】
本発明にあっては、前記の市販品(レオクリスタ)等を使用することができる。本発明で好ましく用いられる微細セルロール繊維の詳細について、特許第5243371号公報の記載を参照しつつ以下に説明する。
【0023】
本発明における微細セルロース繊維としては、最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2~100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6~2.2mmol/gの範囲であるものが好ましい。
【0024】
この微細セルロース繊維は、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料を表面酸化し、微細化した繊維である。天然セルロースの生合成の過程においては、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構成するが、本発明で用いる微細セルロール繊維は、上記ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めるために、その水酸基の一部が酸化され、アルデヒド基およびカルボキシル基に変換されている。
【0025】
ここで、上記微細セルロース繊維を構成するセルロースがI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14~17°付近と、2シータ=22~23°付近の2つの位置に典型的なピークを持つことから同定することができる。
【0026】
上記微細セルロース繊維は、最大繊維径が1000nm以下、かつ数平均繊維径が2~100nmであり、分散安定性の点から、最大繊維径が500nm以下、かつ数平均繊維径が3~80nmであるのが好ましい。
【0027】
上記微細セルロース繊維の数平均繊維径および最大繊維径は、例えば、次のようにして測定することができる。すなわち、セルロース繊維に水を加え、セルロースの固形分を1重量%とする。これを、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、回転速度15,000rpm以上の能力を有するブレンダー等を用いて分散させた後、水を加えて希釈し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)等により観察し、得られた画像からセルロース繊維の数平均繊維径、最大繊維径を測定および算出することができる。
【0028】
また、上記微細セルロース繊維は、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、カルボキシル基量が0.6~2.2mmol/gであり、保形性能、分散安定性の点から、好ましくは0.6~2.0mmol/gの範囲である。
【0029】
また、上記微細セルロース繊維は、アルデヒド基量が0.03~0.3mmol/gの範囲が好ましく、特に好ましくは0.10~0.25mmol/gの範囲である。微細セルロース繊維に含まれるカルボキシル基量およびアルデヒド基量の測定は、微細セルロース繊維を分散させた水の電位差滴定により行うことができる。詳細は特許第5243371号公報を参照されたい。
【0030】
微細セルロース繊維におけるカルボキシル基量およびアルデヒド基量の調整は、セルロース繊維の酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより行うことができる。また、微細セルロース繊維にアルデヒド基あるいはカルボキシル基が導入されていることは、全反射式赤外分光スペクトル(ATR)解析により確認できる。詳細は特許第5243371号公報を参照されたい。
【0031】
本発明の化粧料に含まれる微細セルロース繊維の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、0.01~1質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、0.05~0.5質量%である。この範囲とすることで、塗布後のみずみずしさを向上させることができる。
【0032】
<アルキル変性カルボキシビニルポリマー>
本発明の化粧料に含まれるアルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、良好な乳化安定性とみずみずしい使用感を有するという観点から、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマーを好適に挙げることができる。(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマーは市販品を用いてもよく、「PemulenTR-1 Polymeric Emulsifier」、「PemulenTR-2 Polymeric Emulsifier」(Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)を挙げることができる。
【0033】
本発明の化粧料に含まれるアルキル変性カルボキシビニルポリマーの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、0.001~0.6質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、0.005~0.35質量%である。この範囲とすることで、乳化安定性を向上しつつ、塗布時のみずみずしさを保つことができる。
【0034】
<油分>
本発明の化粧料に含まれる油分としては、特に限定されるものではなく、化粧料に用いられている炭化水素油、エステル油、シリコーン油、油脂、香料、油溶性紫外線吸収剤等から選択することができる。
【0035】
炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、イソドデカン、イソヘキサデカン、オゾケライト、プリスタン、ワセリン等が例示される。
【0036】
エステル油としては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリイソステアリン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、パルミチン酸イソプロピル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が例示でき、これらの中でも、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルが好ましい。
【0037】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられ、これらの中でも、ジメチルポリシロキサンおよびジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが好ましい。
【0038】
液体油脂としては、アマニ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ナタネ油、大豆油、落花生油、トリグリセリン、タートル油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、綿実油、エノ油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油等が挙げられる。また、固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0039】
香料としては、動物または植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、およびそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。香料を配合することで、香りの持続性に優れた化粧料を得ることができる。香料としては、具体的には、アセチベノール、アニスアルデヒド、アネトール、アミルアセテート、アミルサリシレート、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アルデヒドC6~20、アンブレットライド、アンブレットリド、アンブロキサン、イオノン、イソイースーパー、オイゲノール、オウランチオール、ガラクソリド、カローン、クマリン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、サンダロア、サンタロール、サンデラ、シクラメンアルデヒド、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセノール、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネロール、シネオール、ジハイドロミルセノール、ジャスモラクトン、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、スチラリルアセテート、セドリルアセテート、セドロール、ダマスコン、ダマセノン、デカラクトン、テルピニルアセテート、テルピネオール、トナリッド、トナリド、トリプラール、ネロール、バクダノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルサリシレート、ベチベリルアセテート、ヘディオン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ペンタリッド、ボルニルアセテート、マイオール、ムスクケトン、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、ヤラヤラ、ライムオキサイド、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズオキサイド、ロジノール、アンジェリカオイル、アニスオイル、アルモアゼオイル、バジルオイル、ベイオイル、ベルガモットオイル、カラムスオイル、カンファーオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カッシアオイル、セダーウッドオイル、セロリオイル、カモミールオイル、シナモンオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、クミンオイル、ディルオイル、エレミオイル、エストラゴンオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、フェヌグリークオイル、ガルバナムオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ガヤックウッドオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ジュニパーベリーオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ジラムオイル、モミザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ミルオイル、ミルトルオイル、ナツメグオイル、オークモスオイル、オリバナムオイル、オポポナックスオイル、オレンジオイル、パセリオイル、パチュリオイル、ペッパーオイル、ペリラオイル、プチグレンオイル、ネロリオイル、オレンジフラワーオイル、ピメントオイル、オールスパイスオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、クラリセージオイル、セージオイル、サンダルウッドオイル、スチラックスオイル、タジェオイル、タイムオイル、チュベローズオイル、バレリアンオイル、ベチバーオイル、バイオレットリーフオイル、ウィンターグリーンオイル、ワームウッドオイル、イランイランオイル、ユズオイル、カッシーアブソリュート、ジュネアブソリュート、ヒヤシンスアブソリュート、インモルテルアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、ローズアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ベンゾイン等が挙げられる。
【0040】
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、オクトクリレン等が例示される。
【0041】
本発明の化粧料に含まれる油分の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、10質量%以下であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、0.5~5質量%である。この範囲とすることで、塗布後のしっとりさなどの使用感を向上させることができ、同時に乳化安定性も保つことができる。
【0042】
本発明の化粧料には、上記の成分以外に、例えば、粉末成分、紫外線吸収剤、各種水性溶媒、金属イオン封鎖剤、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、アルコール類、pH調整剤、分散剤、酸化防止剤、防腐剤、安定化剤等を必要に応じて適宜配合してよい。
【0043】
本発明の化粧料の形態は特に限定されるものではないが、例えば、化粧水、乳液、クリーム、洗顔料、ジェル、エッセンス(美容液)、パック等の基礎化粧品、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、サンスクリーン等のメーキャップ化粧品、口腔化粧品、芳香化粧品、毛髪化粧品、ボディ化粧品等、従来化粧料に用いるものであればいずれの形態でも広く適用可能である。
【実施例0044】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。配合量は特記しない限り、質量%で示す。
【0045】
試験例1
下記の参考例、実施例1~5、および比較例1~6の化粧料(表1および2参照)について、「経時安定性」および「みずみずしさ」について評価を行った。各評価の評価方法は下記の通りに行った。また、各評価結果を下記表1および2に示す。
【0046】
(1)経時安定性
作成した組成物を50℃で1か月間保管し、その保管前後での乳化粒子のサイズを観察した。評価基準は下記のとおりである。
<評価基準>
A:乳化粒子サイズにほぼ変化がない。
B:保管後に乳化粒子の肥大化または乳化破壊が起きている
【0047】
(2)みずみずしさ
実施例および比較例の化粧料について、10名の専門パネラーに各実施例および比較例の化粧料を肌へ塗布した際のみずみずしさについて評価を行った。各評価の評価基準は以下である。
<評価基準>
A:パネラーの9名以上がみずみずしさを感じたと回答した。
B:パネラーの6~8名がみずみずしさを感じたと回答した。
C:パネラーの5名以下がみずみずしさを感じたと回答した。
【0048】
【0049】
【表2】
※表1および2中の数値は質量%を表す。
※表1および2中の(C)結晶セルロースは、最大繊維径が1000nm以下である微細繊維状セルロース(「レオクリスタC-2SP」(商品名)、第一工業製薬株式会社製)である。なお、「レオクリスタC-2SP」は、2質量%の微細繊維状セルロース、1質量%のフェノキシエタノール(防腐剤)を97質量%の水中に含む製品であり、本明細書および表に記載している質量%は微細繊維状セルロースのみを指し、商品に含まれる水、防腐剤は含まれない。