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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165091
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ベルヌーイ式グリッパ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B25J15/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070287
(22)【出願日】2021-04-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年5月27日にロボティクス・メカトロニクス 講演会 2020にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】馬 書根
(72)【発明者】
【氏名】田 陽
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貫太
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707FS04
3C707FT08
3C707NS13
(57)【要約】
【課題】全体として簡潔な構造であり、グリッパと対象物とが完全非接触であるベルヌーイ式グリッパを提供すること。
【解決手段】平滑な被把持面SFを有する円形の対象物Sを把持するためのグリッパであって、前記被把持面SFよりも面積が大きく平滑な把持面7を有する略円形状のパッド2と、把持面7の中央Cから被把持面SFに対して垂直に流体を噴出する把持噴出口3と、把持面7の外周8に均等な間隔で3箇所以上具備し、対象物Sの外側から対象物Sに対して流体を噴出する位置調整噴出口4と、を有することを特徴としたこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑な被把持面を有する円形の対象物を把持するためのグリッパであって、
前記被把持面よりも面積が大きく平滑な把持面を有する略円形状のパッドと、
前記把持面の中心から前記被把持面に対して垂直に流体を噴出する把持噴出口と、
前記把持面の外周に均等な間隔で3箇所以上具備し、前記対象物の外側から前記対象物に対して流体を噴出する位置調整噴出口と、
を有することを特徴とするベルヌーイ式グリッパ。
【請求項2】
前記位置調整噴出口は、前記把持面に対して下方向を向くように所定の噴射口傾斜角度をなしていることを特徴とする請求項1に記載のベルヌーイ式グリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームのエンドエフェクタ等に用いられる完全非接触のベルヌーイ式グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子機器に用いられる半導体部品である極薄製品をプラントで生産等するとき、極薄製品は壊れやすく、傷や汚れが製品にとって致命的な欠陥を生む原因となり得るため、極薄製品の把持時、搬送時には接触面積が少なく物体を吸着するベルヌーイ式グリッパが用いられている。
【0003】
しかし、従来のベルヌーイ式グリッパは、対象物に対して把持方向である垂直方向には非接触により持ち上げて把持することができるが、対象物の水平方向へは拘束がなく、空気噴流の流れの大きさの差異によって、グリッパと対象物との間で横ずれが生ずるため、対象物を把持して移動することが困難であった。
【0004】
そこで、横ずれを防ぐために、特許文献1のベルヌーイ・グリッパからなるグリッパは、ゴム引きされた支持面を接触させて、グリップされるウエハとグリッパのグリッパ・フェイスの間に摩擦を生じさせることで横ずれを防止している。
【0005】
また、特許文献2のウエハ状の物品用のグリッパは、グリッパフックを対象物の外周面の脇にある位置に移動させ接触させることで、横ずれを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010-527805
【特許文献2】特開平11-91949
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のベルヌーイ・グリッパは、ゴム引きされた支持面を対象物に接触させているため、グリッパと対象物との間で完全非接触ではなかった。
【0008】
また、特許文献2に記載のウエハ状の物品用のグリッパも、グリッパフックを対象物の外周面の脇にある位置に移動させ、グリッパと対象物とを接触させているため、グリッパと対象物との間で完全非接触ではなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を鑑みて、全体として簡潔な構造であり、グリッパと対象物とが完全非接触であるベルヌーイ式グリッパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るベルヌーイ式グリッパは、平滑な被把持面を有する対象物を把持するためのグリッパであって、被把持面よりも面積が大きく平滑な把持面を有する略円形状のパッドと、把持面の中心から被把持面に対して垂直に流体を噴出する把持噴出口と、把持面の外周に均等な間隔で3箇所以上具備し、対象物の外側から対象物に対して流体を噴出する位置調整噴出口と、を有することを特徴としたことにある。
【0011】
好ましくは、位置調整噴出口は、把持面に対して下方向を向くように所定の噴射口傾斜角度をなしていることを特徴としたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の特徴によれば、位置調整噴出口を把持面の外周に均等な間隔で3箇所以上具備し、位置調整噴出口が対象物の外側から対象物に対して流体を噴出することで、完全非接触で対象物の水平方向の拘束を制御して、横ずれを防止することができる。
【0013】
本発明の特徴によれば、位置調整噴出口は、把持面に対して下方向を向くように所定の噴射口傾斜角度をなしていることによって、対象物に働く水平方向の力の大きさをコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るベルヌーイ式グリッパを示す概略斜視図である。
図2図1の概略底面図である。
図3】本発明に係るベルヌーイ式グリッパの空気圧回路を示す概略図である。
図4】把持噴出口から噴出される圧縮空気によって対象物に働く力を示す概略断面図である。
図5】(a)位置調整噴出口が4箇所あるベルヌーイ式グリッパを示す概略斜視図である。(b)図5(a)の概略底面図である。
図6】本発明に係るベルヌーイ式グリッパが対象物上に下降する様子を示す概略斜視図である。
図7】本発明に係るベルヌーイ式グリッパが把持噴出口から圧縮空気を噴出する様子を示す概略斜視図である。
図8】本発明に係るベルヌーイ式グリッパが把持噴出口及び位置調整噴出口から圧縮空気を噴出する様子を示す概略斜視図である。
図9】(a)把持時における把持面の中央で対象物に働く力を示す概略断面図である。(b)把持時における把持面の外側で対象物に働く力を示す概略断面図である。
図10】管に流体が流れる場合における流体の運動量と力を示す概略模式図である。
図11】位置調整噴出口から噴出される圧縮空気によって対象物に働く力を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態について)
以下、図面を参照して本発明に係るベルヌーイ式グリッパ1の説明を行う。図面において太矢印線は圧縮空気といった流体の流れを示しており、太線は物体に働く力の向きを示している。
【0016】
図1、2に示すように、ベルヌーイ式グリッパ1は、パッド2、把持噴出口3、位置調整噴出口4と、を主な構成要件としており、全体として簡潔な構造となっている。また、図3に示すように、把持噴出口3及び位置調整噴出口4には、チューブ5を介して流量調節弁6が接続されており、また、流量調節弁6はチューブ5を介してコンプレッサPが接続されている。把持される対象は、主に、ウエハ等といった平滑な把持される面である被把持面SFを有した二次元形状の対象物S、または少なくとも一部に一定の大きさの被把持面SFを有し、質量が重すぎない三次元形状の対象物Sである。
【0017】
ベルヌーイ式グリッパ1は、把持噴出口3から垂直方向に対象物Sの被把持面SFに対して流体である圧縮空気を噴出させることでベルヌーイの定理に基づきパッド2の把持面7と被把持面SFとの間の隙間の圧力が低下して対象物Sを把持することができる。コンプレッサPは、チューブ5を介して圧縮空気を送出して、流量調節弁6において把持噴出口3及び各位置調整噴出口4の圧縮空気の流量を調節し、チューブ5に接続された把持噴出口3または位置調整噴出口4にそれぞれ所望の圧力の圧縮空気を流すことができる。
【0018】
パッド2は、略円形状であって、パッド2に対象物S側の面である把持面7の中央Cには把持噴出口3が設けられており、また、把持面7の外周8には均等な間隔で位置調整噴出口4が一例として3箇所設けられている。把持噴出口3及び位置調整噴出口4以外の把持面7は凹凸のない平滑な面である。把持面7を平滑な面とし、対象物Sの被把持面SFも平滑な面であるため、把持面7と被把持面SFとの間を流れる圧縮空気は、乱れることなく一定の方向へ均一に流れる。したがって、流体のエネルギーの損失を最低限に抑えることができ、効率よく対象物Sを把持することができる。また、パッド2の把持面7の素材は銅やアルミなどの金属や合成樹脂であることが好ましく、平滑するために把持面7は研磨加工されていてもよい。
【0019】
また、パッド2の把持面7の面積の大きさは、少なくとも対象物Sの被把持面SFの面積よりも大きい構成としている。把持面7の面積の大きさを被把持面SFよりも大きくすることで、把持面7の外周8に設けられた位置調整噴出口4が、対象物Sの外側から対象物Sに対して圧縮空気を噴出させることができる。
【0020】
把持噴出口3は、把持面7の中央Cに設けられており、チューブ5を介してコンプレッサP及び流量調節弁6に接続されている。把持面7の中央Cから対象物Sの被把持面SFに圧縮空気を噴出することで、把持面7と被把持面SFとの間の隙間Gに圧縮空気を流し、隙間Gの圧力降下により吸着力を発生させ、対象物Sの垂直方向に働く力をコントロールすることができる。
【0021】
位置調整噴出口4は、前述したように、対象物Sの外側から圧縮空気を噴出するために把持面7の外周8に設けられており、チューブ5を介してコンプレッサP及び流量調節弁6に接続されている。対象物Sの外側から圧縮空気を噴出することで牽引力を発生させ、対象物Sの水平方向に働く力をコントロールすることができる。グリッパフックやガイド等を用いないため、対象物Sに対して完全非接触で対象物Sに働く水平方向に働く力をコントロールすることができる。したがって、対象物Sに傷や汚れがつく可能性を完全に排除して対象物Sを安定して把持することができる。。
【0022】
また位置調整噴出口4は、図8図9に示すように、把持面7の外周8から対象物Sに対して圧縮空気を噴出するために、把持面7の中央Cを向くように設けられており、また、把持面7に対して下方向を向くように所定の噴射口傾斜角度θをなしている。噴射口傾斜角度θが大きければ大きいほど、圧縮空気が垂直下方向に向くため、圧縮空気の垂直下方向の力成分が大きくなり、水平方向の力成分は小さくなり、対象物Sの水平方向に働く力は小さくなる。一方で、噴射口傾斜角度θが小さければ小さいほど、圧縮空気が水平方向に向くため、圧縮空気の垂直下方向の力成分が小さくなり、水平方向の力成分は大きくなり、対象物Sの水平方向に働く力は大きくなる。このように噴射口傾斜角度θを変化させることによって、対象物Sの水平方向に働く力をコントロールすることができる。また、位置調整噴出口4は、3箇所以上設けれていることが好ましく、数が多ければ多いほど安定的に対象物Sの水平方向に働く力をコントロールすることができる。例えば、図5に示すように、位置調整噴出口4が均等な間隔で4箇所設けられていてもよい。各位置調整噴出口4が外周8において均等な間隔で設けられることで、均等に力を対象物Sが受けるため、横ずれが起きにくく把持面7の中央Cで把持しやすくなる。
【0023】
(実施例について)
ベルヌーイ式グリッパ1を用いた対象物Sの移動手順について説明する。
【0024】
図6に示すように、ロボットアームの先端に取り付けられたベルヌーイ式グリッパ1が、対象物Sの真上にくるよう降下してきており、対象物Sから隙間Gをあけて停止する。その後、図7に示すように把持噴出口3から圧縮空気を対象物Sに噴出させて吸着力を発生させる。その後、図8に示すように、位置調整噴出口4からも圧縮空気を噴出させて対象物Sを把持する。この際、ベルヌーイ式グリッパ1が斜めに傾いていた場合、対象物Sは横ずれが生ずる。また、ベルヌーイ式グリッパ1と対象物Sとは接触していないため両者の間には摩擦力が生じないが、対象物Sの水平方向には、隙間Gに存在する圧縮空気の粘性による粘性せん断力FSτ1、FSτ2が働く。粘性せん断力FSτ1、FSτ2は、把持面7の中央Cにある把持噴出口3から噴出された圧縮空気が隙間Gを通って把持面7の外周8方向に向かうことによって生ずる力である。したがって、対象物Sにおいて図9(a)に示すように、対象物Sに横ずれが生じたときに何らかの外力によって左右方向への粘性せん断応力FSτ1、FSτ2の違いで対象物Sが外方向に移動するが、位置調整噴出口4から圧縮空気を噴出させることで牽引力を発生させて対象物Sを横ずれによって対象物Sが飛び出さないように把持する。把持後、ベルヌーイ式グリッパ1自体を上方向に持ち上げて所定の場所に移動させる。把持時は把持噴出口3及び各位置調整噴出口4の両方から常に圧縮空気が噴出される。
【0025】
図4に示すように、対象物Sを把持した状態でベルヌーイ式グリッパ1を水平方向に移動させる際、前述したようにベルヌーイ式グリッパ1と対象物Sとは接触していないため両者の間には摩擦力が働かないため、ベルヌーイ式グリッパ1が移動しても対象物Sはついていかないことになる。したがって、対象物Sがついていかないので横ずれが生ずるが、位置調整噴出口4から圧縮空気を噴出させることで対象物Sが飛び出さないように把持する。
【0026】
図9(b)に示すように、対象物Sが横ずれして把持面7の外周8付近に到達した場合、近辺の位置調整噴出口4から噴出される圧縮空気が対象物Sに当たり、その噴出力により対象物Sが移動される。位置調整噴出口4は把持面7の中央Cに向くように設けられているので、圧縮空気に当たった対象物Sは把持面7の中央Cに向かうように移動される。対象物Sが中央Cを通り越して、また外周8付近に到達した場合であっても、別の位置調整噴出口4によって圧縮空気が噴出されて中央Cに移動されることで、常に対象物Sは把持面7の中央C付近に配置されるように維持される。位置調整噴出口4は把持面7の外周8に3箇所以上設けられているので、対象物Sはそれぞれ位置調整噴出口4の間から横ずれで飛びだすことなく安定して把持される。
【0027】
目的地の上方まで対象物Sを移動させた後は、ベルヌーイ式グリッパ1自体を下方に下げて、対象物Sを目的地に置く。その後、コンプレッサPによる圧縮空気の送出を停止させるか、または流量調節弁6を用いて圧縮空気の送出を止める。流量調節弁6を用いて送出を止める際は、横ずれによる飛び出しを防ぐために、把持噴出口3の圧縮空気の送出を止めて対象物Sを目的地に置いてから、位置調整噴出口4の圧縮空気の送出を止めるのが好ましい。これにより対象物Sの移動の一連の流れが終了する。
【0028】
(圧縮空気の制御について)
把持時における把持噴出口3及び位置調整噴出口4から噴出される圧縮空気の力と、圧縮空気によって対象物Sが受ける反発力との関係について説明する。
【0029】
初めに、図10に示すような、拡がり管(流入)から狭まり管(流出)に定常流れで流体が流れる場合を想定する。一般的に、物体(流体)に作用する力F[N]は、物体の運動量P[kg・m/s]の時間tの変化率であることが知られており、下記に示す式(1)が成り立つ。
【0030】
【数1】
【0031】
流体の質量流量m[kg/s]は、菅の断面を微小時間dtの通過した体積流量Q[m/s]に密度を乗じたものであるから、断面積をA[m]とし、流速をu[m/s]とし、密度をρ[kg/m]とすると、質量流量m[kg/s]及び体積流量Q[m/s]は以下の式(2)、(3)で示される。
【0032】
【数2】
【0033】
【数3】
【0034】
よって、図10における式(1)は、以下の式(4)のように示される。
【0035】
【数4】
【0036】
式(4)に式(2)を代入すると、式(4)は、以下の式(5)で表される。
【0037】
【数5】
【0038】
このとき流れる流体が管にf与えるとすると、流体はその反作用を受けるのでF=―fとなる。したがって、流体が管に与える力fは、以下の式(6)で表される。
【0039】
【数6】
【0040】
また、流体は定常流れであるため、体積流量Q[m/s]は時間tに依らず一定であるため、以下の条件式(7)が成り立つ。
【0041】
【数7】
【0042】
したがって、式(6)に式(7)を代入すると、以下の式(8)に示される。
【0043】
【数8】
【0044】
以上の前提を踏まえて、本実施例に当てはめる。図11に示すように、位置調整噴出口4から噴出される圧縮空気の体積流量をQ[m/s]とし、密度をρ[kg/m]とし、流速をu[m/s]とする。位置調整噴出口4から図面右方向(Y軸方向)の断面積をA[m]とし、位置調整噴出口4から図面左方向(―Y軸方向)の断面積をA[m]とする。また、隙間Gで図面右方向(Y軸方向)に流れる圧縮空気の体積流量をQ[m/s]とし、流速をu[m/s]とし、隙間Gで図面左方向(―Y軸方向)に流れる圧縮空気の体積流量をQ[m/s]とし、流速をu[m/s]とすると、Z´軸及びY´軸における圧縮空気に作用する力Fy´[N]及びFz´[N]は、以下の式(9)、(10)で表される。
【0045】
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】
圧縮空気は対象物Sに与えた力の反作用を受けるためZ´軸及びY´軸の圧縮空気が対象物Sに与える力fy´[N]及びfz´[N]は、以下の式(11)、(12)で表される。
【0048】
【数11】
【0049】
【数12】
【0050】
対象物SがY軸方向に受ける力fy[N]は、以下の式(13)で表される。
【0051】
【数13】
【0052】
fy´[N]及びfz´[N]の式(11)、(12)を代入すると、式(13)は以下の式(14)で表される。
【0053】
【数14】
【0054】
さらに、隙間Gの断面積A、Aは一定であることから以下の条件式(15)が成り立つ。
【0055】
【数15】
【0056】
また、圧縮空気は位置調整噴出口4から隙間Gまで連続しているため、以下の条件式(16)、(17)(18)が成り立つ。
【0057】
【数16】
【0058】
【数17】
【0059】
【数18】
【0060】
式(15)から式(18)までの条件式を式(14)に代入すると、以下の式(19)が導かれる。
【0061】
【数19】
【0062】
したがって、u=uと仮定したとき、位置調整噴出口4から噴出される圧縮空気が対象物Sに与える水平方向(Y軸方向)の力は以下のように示される。
【0063】
【数20】
【0064】
このようにして、図11に示すときの位置調整噴出口4から噴出される圧縮空気が対象物Sに与える力を求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、ロボットアーム先端のエンドエフェクタにおいて把持面7を有した対象物Sを把持するのに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0066】
1 ベルヌーイ式グリッパ
2 パッド
3 把持噴出口
4 位置調整噴出口
5 チューブ
6 流量調節弁
7 把持面
8 外周
S 対象物
SF 被把持面
C 中央
G 隙間
P コンプレッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11