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特開2022-165117データ分析装置、データ分析方法、プログラムおよびデータ分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165117
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】データ分析装置、データ分析方法、プログラムおよびデータ分析システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221024BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20221024BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070333
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 孔司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】居住者の実施行動をより正確に推定する。
【解決手段】住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、を備える、データ分析装置。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、
前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、
前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、
を備える、データ分析装置。
【請求項2】
前記データ分析部は、前記居住者の実施行動を分析することとして、前記居住者の実施行動が複数の候補行動の各々である確率を算出する、請求項1に記載のデータ分析装置。
【請求項3】
前記データ分析部は、前記複数の候補行動の各々について用意された、前記住宅内データと前記居住者の実施行動が候補行動である確率との関係についての第1規則、および前記端末データと前記居住者の実施行動が候補行動である確率との関係についての第2規則に基づいて、前記居住者の実施行動が前記複数の候補行動の各々である確率を算出する、請求項2に記載のデータ分析装置。
【請求項4】
前記データ分析部は、さらに、前記住宅の他の居住者が携帯する携帯端末において得られた他の端末データを用いて、前記居住者の実施行動が前記複数の候補行動の各々である確率を算出する、請求項3に記載のデータ分析装置。
【請求項5】
前記データ分析部は、前記他の端末データが、ある候補行動について用意された前記第2規則においてより低い確率に対応するデータであるほど、前記居住者の実施行動が当該候補行動である確率を大きくする、請求項4に記載のデータ分析装置。
【請求項6】
前記居住者の行動特性を示す行動特性情報を記憶する行動特性記憶部をさらに備え、
前記データ分析部は、さらに前記行動特性情報に基づいて前記居住者の実施行動が前記複数の候補行動の各々である確率を算出する、請求項3~5のいずれか一項に記載のデータ分析装置。
【請求項7】
前記データ分析装置は、
前記居住者の実施行動を問う質問データを生成する質問部をさらに備え、
前記データ分析部は、前記質問データに対する回答に基づいて少なくともいずれかの候補行動について算出された確率を修正する、請求項6に記載のデータ分析装置。
【請求項8】
前記質問部は、ある候補行動について前記データ分析部により算出された確率が0.5を含む所定範囲内である場合に、前記質問データを生成する、請求項7に記載のデータ分析装置。
【請求項9】
前記データ分析装置は、前記居住者の実施行動の分析結果である時系列データを、複数の日を含むグループごとに集計する集計部をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のデータ分析装置。
【請求項10】
前記データ分析装置は、
現在日が属するグループについて前記集計部により集計された結果に基づいて、前記現在日における前記居住者の行動を助言する助言データを生成する助言部をさらに備える、請求項9に記載のデータ分析装置。
【請求項11】
前記住宅内データは、前記住宅内の設備または機器ごとの生活インフラの使用量を示すデータである、請求項1~10のいずれか一項に記載のデータ分析装置。
【請求項12】
前記生活インフラは、電気、ガスまたは水道を含む、請求項11に記載のデータ分析装置。
【請求項13】
前記端末データは、前記携帯端末の動きを示すデータ、または前記携帯端末の使用状況を示すデータを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のデータ分析装置。
【請求項14】
住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得することと、
前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得することと、
前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析することと、
を含む、コンピュータにより実行されるデータ分析方法。
【請求項15】
コンピュータを、
住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、
前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、
前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、
として機能させるための、プログラム。
【請求項16】
住宅での生活インフラの使用量を検出するセンサ、前記住宅の居住者が携帯する携帯端末、およびデータ分析装置を有するデータ分析システムであって、
前記データ分析装置は、
前記センサから前記生活インフラの使用量を示す使用量データを受信し、当該生活インフラの使用量データに基づいて前記住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、
前記携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、
前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、
を備える、データ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ分析装置、データ分析方法、プログラムおよびデータ分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の居住者の生活支援のために、住宅における各電気機器の使用電力情報の日々の変化を検知し、検知の結果を居住者に通知する方法が知られている。例えば、特許文献1には、各電気機器の使用電力情報を定期的に取得し、時間帯毎に通常使用され得る電気機器の組み合わせを特定しておく方法が開示されている。当該方法は、さらに、各時間帯の終了時に、当該時間帯に取得された使用電力情報に基づき、実際に使用された電気機器の組み合わせを検出し、検出された電気機器の組み合わせが、当該時間帯について事前に特定した電気機器の組み合わせと剥離しているか否かを判定し、乖離している場合には居住者の関係者に異常を通知する。
【0003】
このような特許文献1に開示された方法によれば、住居内で1人の居住者のみが存在する場合に、各時間帯で使用される電気機器の組み合わせにより、居住者がどの時間帯にどのような行動を実施するかという生活習慣を把握することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-91294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された方法では、住居に複数の居住者がいる場合、使用された電気機器がどの居住者によって使用されたかの判定が行われないので、各居住者の実施行動を正確に推定することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、居住者の実施行動をより正確に推定することが可能な、新規かつ改良されたデータ分析装置、データ分析方法、プログラムおよびデータ分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、を備える、データ分析装置が提供される。
【0008】
前記データ分析部は、前記居住者の実施行動を分析することとして、前記居住者の実施行動が複数の候補行動の各々である確率を算出してもよい。
【0009】
前記データ分析部は、前記複数の候補行動の各々について用意された、前記住宅内データと前記居住者の実施行動が候補行動である確率との関係についての第1規則、および前記端末データと前記居住者の実施行動が候補行動である確率との関係についての第2規則に基づいて、前記居住者の実施行動が前記複数の候補行動の各々である確率を算出してもよい。
【0010】
前記データ分析部は、さらに、前記住宅の他の居住者が携帯する携帯端末において得られた他の端末データを用いて、前記居住者の実施行動が前記複数の候補行動の各々である確率を算出してもよい。
【0011】
前記データ分析部は、前記他の端末データが、ある候補行動について用意された前記第2規則においてより低い確率に対応するデータであるほど、前記居住者の実施行動が当該候補行動である確率を大きくしてもよい。
【0012】
前記居住者の行動特性を示す行動特性情報を記憶する行動特性記憶部をさらに備え、
前記データ分析部は、さらに前記行動特性情報に基づいて前記居住者の実施行動が前記複数の候補行動の各々である確率を算出してもよい。
【0013】
前記データ分析装置は、前記居住者の実施行動を問う質問データを生成する質問部をさらに備え、前記データ分析部は、前記質問データに対する回答に基づいて少なくともいずれかの候補行動について算出された確率を修正してもよい。
【0014】
前記質問部は、ある候補行動について前記データ分析部により算出された確率が0.5を含む所定範囲内である場合に、前記質問データを生成してもよい。
【0015】
前記データ分析装置は、前記居住者の実施行動の分析結果である時系列データを、複数の日を含むグループごとに集計する集計部をさらに備えてもよい。
【0016】
前記データ分析装置は、現在日が属するグループについて前記集計部により集計された結果に基づいて、前記現在日における前記居住者の行動を助言する助言データを生成する助言部をさらに備えてもよい。
【0017】
前記住宅内データは、前記住宅内の設備または機器ごとの生活インフラの使用量を示すデータであってもよい。
【0018】
前記生活インフラは、電気、ガスまたは水道を含んでもよい。
【0019】
前記端末データは、前記携帯端末の動きを示すデータ、または前記携帯端末の使用状況を示すデータを含んでもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得することと、前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得することと、前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析することと、を含む、コンピュータにより実行されるデータ分析方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、前記住宅の居住者が携帯する携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、住宅での生活インフラの使用量を検出するセンサ、前記住宅の居住者が携帯する携帯端末、およびデータ分析装置を有するデータ分析システムであって、前記データ分析装置は、前記センサから前記生活インフラの使用量を示す使用量データ受信し、当該生活インフラの使用量データに基づいて前記住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部と、前記携帯端末において得られた端末データを取得する端末データ取得部と、前記住宅内データおよび前記端末データに基づいて、前記居住者の実施行動を分析するデータ分析部と、を備える、データ分析システムが提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した本発明によれば、居住者の実施行動をより正確に推定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態によるデータ分析システムの構成を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の構成を示す説明図である。
図3】住宅での総電力量および各機器の使用電力量を示す時系列波形である。
図4】行動特性情報の具体例を示す説明図である。
図5】端末データ、総電力量データ、および機器ごとの使用電力量データの具体例を示す説明図である。
図6】時系列確率データの具体例を示す説明図である。
図7】質問画面の具体例を示す説明図である。
図8】助言画面の具体例を示す説明図である。
図9】本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の動作を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20における助言データの生成に関する動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて携帯端末30Aおよび30Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。例えば、携帯端末30Aおよび30Bを特に区別する必要が無い場合には、各携帯端末を単に携帯端末30と称する。
【0027】
<データ分析システムの概要>
本発明の一実施形態は、住宅の居住者の実施行動を分析するデータ分析システムに関する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるデータ分析システムの概要を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態によるデータ分析システムの構成を示す説明図である。図1に示したように、本発明の一実施形態によるデータ分析システムは、データ分析サーバ20と、複数の携帯端末30と、電力センサ40と、を有する。
【0029】
複数の携帯端末30および電力センサ40は、ネットワーク12を介してデータ分析サーバ20と接続されている。ネットワーク12は、ネットワーク12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク12は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0030】
(携帯端末30)
携帯端末30は、住宅の居住者により携帯される情報処理装置である。図1に示した例では、住宅の居住者が居住者Aおよび居住者Bであり、居住者Aにより携帯端末30Aが携帯され、居住者Bにより携帯端末30Bが携帯される。なお、図1においては住宅の居住者が2人である例を示しているが、住宅の居住者はより多くてもよい。また、住宅の居住者は1人であり、来客などにより住宅に複数の人が存在することがあってもよい。
【0031】
携帯端末30は、多様な機能を有する。例えば、携帯端末30は、携帯端末30の動きを検出する加速度センサおよびジャイロセンサなどの動きセンサを有する。また、携帯端末30は、表示画面を表示する表示部、居住者による操作を検出する操作部、携帯端末30の動作全般を制御する制御部、およびデータ分析サーバ20と通信する通信部を有する。
【0032】
例えば、携帯端末30は、動きセンサにより検出された携帯端末30の動きを示すデータ、および、携帯端末30の使用状況を示すデータを含む端末データを携帯端末30に送信する。携帯端末30の使用状況を示すデータは、携帯端末30の表示部のON/OFFを示すデータであってもよい。また、携帯端末30は、データ分析サーバ20から後述する質問データおよび助言データを受信し、質問データに基づいて質問画面を表示し、助言データに基づいて助言画面を表示する。
【0033】
なお、携帯端末30は、スマートフォンであってもよいし、居住者に装着されるウェアラブル端末であってもよい。
【0034】
(電力センサ)
電力センサ40は、住宅での生活インフラの使用量を検出するセンサの一例である。電力センサ40は、住宅で使用されている総電力量を検出し、検出した総電力量を示す総電力量データをデータ分析サーバ20に送信する。
【0035】
(データ分析サーバ20)
データ分析サーバ20は、住宅の居住者の実施行動を分析するデータ分析装置である。データ分析サーバ20は、住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得し、当該住宅内データに基づいて各居住者の実施行動を分析する。さらに、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20は、住宅内データに加えて、各携帯端末30から受信される端末データに基づいて各居住者の実施行動を分析する。かかる構成によれば、住宅内で実施された行動が、どの居住者により実施されたかをより正確に分析することが可能である。
【0036】
なお、住宅内の設備としては、例えば、風呂、キッチンおよびトイレなどが挙げられる。機器としては、掃除機、電子レンジ、アイロンおよび洗濯機などが挙げられる。データ分析サーバ20は、例えば、電力センサ40から受信される総電力量データを分析することで、このような設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得することが可能である。
【0037】
以上、本発明の一実施形態によるデータ分析システムの概要を説明した。続いて、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の構成および動作を順次詳細に説明する。
【0038】
<データ分析サーバの構成>
図2は、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の構成を示す説明図である。図2に示したように、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20は、通信部220、電力分離部224、データ記憶部228、質問部232、行動特性記憶部236、データ分析部240、分析結果記憶部244、集計部248、集計結果記憶部252および助言部256を有する。
【0039】
(通信部220)
通信部220は、携帯端末30および電力センサ40と多様なデータを通信する。例えば、通信部220は、携帯端末30において得られた端末データを携帯端末30から取得する端末データ取得部として機能する。また、通信部220は、電力センサ40から総電力量データを受信する。また、通信部220は、後述する質問データまたは助言データを携帯端末30に送信し、質問に対する回答を示す回答データを携帯端末30から受信する。
【0040】
(電力分離部224)
電力分離部224は、住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データを取得する住宅内データ取得部の一例である。住宅内データは、機器ごとの使用電力量データであってもよい。電力分離部224は、電力センサ40から受信される総電力量データを分析して、機器ごとの使用電力量データを算出し得る。以下、図3を参照して、機器ごとの使用電力量データを算出する方法を説明する。
【0041】
図3は、住宅での総電力量および各機器の使用電力量を示す時系列波形である。図3においては、説明の簡略化のために、住宅内の機器が電子レンジ、掃除機、洗濯機、テレビの4機であるものとしている。
【0042】
図3において、総電力量は、住宅内の全ての機器で使用された電力の総量である。電力分離部224は、図3に示したように、ディスアグリゲーション技術を用いて総電力量の時系列波形を機器ごとの波形に分離することにより、機器ごとの使用電力量データを算出する。
【0043】
(データ記憶部228)
データ記憶部228は、データ分析部240による分析で用いられるデータを記憶する。具体的には、データ記憶部228は、通信部220により受信された端末データおよび総電力量データ、電力分離部224により算出された機器ごとの使用電力量データを記憶する。なお、端末データには、加速度、住宅内外の識別、画面ON/OFFの識別が含まれ、いずれも時系列のデータとして表現される。このうち、加速度は、携帯端末30に内蔵される加速度センサにより計測される。住宅内外の識別は、携帯端末30が住宅内の無線アクセスポイントを発見しているか否かで判定される。画面ON/OFFの識別は、携帯端末30内で画面が表示されているか否かで判定される。
【0044】
(質問部232)
質問部232は、居住者への質問データを生成する。質問部232により生成された質問データは、通信部220から携帯端末30へ送信される。質問部232は、各居住者が最初にデータ分析システムを利用する場合、および、一定期間毎(例えば3か月毎)に、居住者の行動特性を問う質問データを生成する。このような質問データは、例えば、「家の中でどの程度携帯端末を使いますか」、「自分で掃除機をどの程度利用しますか」、「家で食事をどの程度作りますか」、「いつも何時ごろに起きますか」、など、住宅内での行動に関する質問、および複数の回答選択肢を含む。例えば、「自分で掃除機をどの程度利用しますか」の質問に対しては、「毎日使う」、「たまに使う」、「ほとんど使わない」、などの回答選択肢が用意される。
【0045】
また、データ分析部240により算出された居住者の候補行動ごとの時系列確率データにおいて、特定の候補行動の特定の時間帯での確率データが0.5付近であった場合、質問部232は、当該居住者が当該候補行動を実施したか否かを問う質問データを生成する。このような質問データは、例えば、「今日は掃除をしましたか」という質問、および、回答選択肢として「はい」、および「いいえ」を含む。
【0046】
(行動特性記憶部236)
行動特性記憶部236は、居住者の行動特性を問う質問データに対する回答を含む行動特性情報を記憶する。行動特性記憶部236は、例えば図4に示すように、居住者ごとに、質問および回答からなる複数の行動特性情報を記憶する。図4に示した例では、「自分で掃除機をどの程度利用しますか」という質問に対し、居住者Aの回答は「毎日」であり、居住者Bの回答は「使用しない」である。
【0047】
(データ分析部240)
データ分析部240は、データ記憶部228から端末データ、総電力量データ、および機器ごとの使用電力量データを読み出し、これらデータに基づいて、各居住者の実施行動を分析する。より具体的には、データ分析部240は、各居住者の実施行動が複数の候補行動の各々である確率(尤もらしさ)を算出する。これにより、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データが得られる。
【0048】
例えば、データ分析部240は、複数の候補行動の各々について用意された、住宅内データと居住者の実施行動が候補行動である確率との関係についての第1規則、および端末データと居住者の実施行動が候補行動である確率との関係についての第2規則に基づいて、居住者の実施行動が複数の候補行動の各々である確率を算出する。
【0049】
以下、図5および図6を参照して、このようなデータ分析部240による時系列確率データの算出の具体例を説明する。以下では、確率データが0~1の実数で表現され、候補行動が調理、掃除および睡眠の3種であるものとする。
【0050】
図5は、端末データ、総電力量データ、および機器ごとの使用電力量データの具体例を示す説明図である。図5の上段から順に、総電力量データ、掃除機の使用電力量データ、電子レンジの使用電力量データ、居住者Aが携帯する携帯端末30Aの加速度データ、居住者Bが携帯する携帯端末30Bの画面ON/OFFの時系列データが示されている。
【0051】
データ分析部240は、候補行動「掃除」について、例えば、「掃除機の使用電力量が大きいほど、各居住者の候補行動「掃除」の確率を大きくする」という第1規則、「居住者の携帯端末30の加速度が大きいほど当該居住者の候補行動「掃除」の確率を大きくする」という第2規則を有する。図5の時間帯T1において、掃除機の使用電力量が大きく、携帯端末30Aの加速度が大きい。従って、データ分析部240は、図6の上段に示したように、居住者Aの候補行動「掃除」について、時間帯T1において確率が高くなる時系列確率データを算出する。
【0052】
データ分析部240は、候補行動「調理」について、例えば、「電子レンジの使用電力量が大きいほど、各居住者の候補行動「調理」の確率を大きくする」という第1規則、「電子レンジの使用電力量が大きくなった前後の時刻において、居住者の携帯端末30の加速度が大きいほど当該居住者の候補行動「調理」の確率を大きくする」という第2規則を有する。図5の時間帯T2において、電子レンジの使用電力量が大きく、携帯端末30Aの加速度が大きい。従って、データ分析部240は、図6の中段に示したように、居住者Aの候補行動「調理」について、時間帯T2において確率が高くなる時系列確率データを算出する。
【0053】
データ分析部240は、候補行動「睡眠」について、例えば、「総電力量が小さいほど各居住者の候補行動「睡眠」の確率を大きくする」という規則、「居住者の携帯端末30の画面がOFFである場合に当該居住者の候補行動「睡眠」の確率を大きくする」という第2規則を有する。図5の時間帯T3において、総電力量が小さく、居住者Bが携帯する携帯端末30Bの画面がOFFである。従って、データ分析部240は、図6の下段に示したように、居住者Bの候補行動「睡眠」について、時間帯T3において確率が高くなる時系列確率データを算出する。
【0054】
いずれの例においても、データ分析部240は、住宅の他の居住者が携帯する携帯端末30において得られた他の端末データを用いて、居住者の実施行動が複数の候補行動の各々である確率を算出してもよい。例えば、携帯端末30Bの端末データが、ある候補行動について用意された第2規則においてより低い確率に対応するデータであるほど、データ分析部240は、居住者Aの実施行動が当該候補行動である確率を大きい値に算出してもよい。具体例として、図5に示した時間帯T3において、居住者Aが携帯する携帯端末30Aの端末データが第2規則に適合しない場合、すなわち、携帯端末30Aの画面がONである場合には、データ分析部240は、居住者Bの候補行動「睡眠」の確率をより高い値に算出してもよい。
【0055】
また、データ分析部240は、行動特性記憶部236に記憶されている各居住者の行動特性情報に基づいて、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを修正してもよい。例えば、「家の中でどの程度携帯端末を使いますか」という質問に対して「ほとんど使わない」と回答した居住者については、データ分析部240は、加速度または画面ON/OFFを使って算出された確率を0.5に近づくよう修正してもよい。反対に、「家の中でどの程度携帯端末を使いますか」という質問に対して「常に使う」と回答した居住者については、データ分析部240は、加速度または画面ON/OFFを使って算出された確率を0.5から離れるよう修正してもよい。
【0056】
他の例として、「自分で掃除機をどの程度利用しますか」という質問に対して「ほとんど使わない」と回答した居住者については、データ分析部240は、候補行動「掃除」の確率を全般的に低い値に修正してもよい。逆に、「自分で掃除機をどの程度利用しますか」という質問に対して「毎日使う」と回答した居住者については、データ分析部240は、候補行動「掃除」の確率を全般的に高い値に修正してもよい。このような端末データの信用度に基づく確率の修正により、正確性のより高い時系列確率データを得ることができる。
【0057】
また、データ分析部240は、特定の候補行動を実施したか否かをある居住者に問う質問データに対する回答が得られた場合、当該居住者の当該候補行動の時系列確率データを回答の内容に基づいて修正する。例えば、居住者Aが携帯する携帯端末30Aが質問部232により生成された質問データに基づき図7に示したように「今日、掃除を行いましたか」という質問、および回答選択肢「はい」「いいえ」を含む質問画面を表示する。当該質問画面において「はい」が選択された場合、データ分析部240は、居住者Aの候補行動「掃除」の該当時間帯における確率を高い値に修正し、居住者Bの候補行動「掃除」の同時間帯における確率を低い値に修正する。または、データ分析部240は、居住者Aの候補行動「掃除」の確率を一日に亘って高い値に修正してもよい。
【0058】
(分析結果記憶部244)
分析結果記憶部244は、データ分析部240による分析の結果を記憶する。具体的には、分析結果記憶部244は、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを記憶する。
【0059】
(集計部248)
集計部248は、各居住者の実施行動の分析結果である時系列確率データを、複数の日を含むグループごとに集計する。例えば、各グループは、同じ曜日の日を含むグループであってもよい。この場合、集計部248は、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを、曜日別に集計する。集計の方法は、過去の同じ曜日の候補行動ごとの24時間の時系列確率データを加重平均する方法であってもよい。加重平均においては、より新しい日付の時系列確率データにより大きな重みが付されてもよい。かかる構成により、居住者の生活習慣の変化を集計結果に早期に反映させることが可能となる。
【0060】
(集計結果記憶部252)
集計結果記憶部252は、集計部248により得られた集計結果を記憶する。具体的には、集計結果記憶部252は、各居住者の候補行動ごとの曜日別の時系列確率データを記憶する。例えば、集計結果記憶部252は、居住者Aの候補行動「掃除」について得られた各曜日の時系列確率データを記憶する。
【0061】
(助言部256)
助言部256は、現在日が属するグループについての集計結果に基づいて、現在日における居住者の行動を助言する助言データを生成する。例えば、助言部256は、各曜日の時系列確率データに関する所定の条件、および当該所定の条件が満たされた場合にどのような助言を行うと判定するかの規則を有する。この場合、助言部256は、現在日が属する曜日の時系列確率データが所定の条件を満たす場合に、当該居住者に上記規則に従った助言を行うための助言データを生成する。
【0062】
例えば、所定の条件は、「土曜日の候補行動「掃除」についての時系列確率データにおいて、ある居住者が掃除を行う確率が閾値を上回っている」という条件であり、規則は、「他の居住者に掃除を行うことを土曜の朝の時間帯に助言する」という規則であってもよい。この場合、助言部256は、土曜の朝の時間帯に「土曜の朝は掃除して家族を驚かしてみませんか」という助言を含む助言データを生成し、通信部220が当該助言データを居住者Bが携帯する携帯端末30Bに送信し得る
【0063】
また、所定の条件は、「現在曜日の候補行動「調理」についての時系列確率データにおいて、ある居住者が21時以降に調理を行う確率が閾値を上回っている」という条件であり、規則は、「調理が行われる時間帯の直前に当該居住者に夜食を控えることを助言する」という規則であってもよい。この場合、助言部256は、21時頃に「健康のために夜食は控えましょう。」という助言を含む助言データを生成し、通信部220が当該助言データを居住者Aが携帯する携帯端末30Aに送信し得る。結果、図8に示すように、「健康のために夜食は控えましょう。」という助言を含む助言画面が携帯端末30Aに表示される。
【0064】
また、所定の条件は、「各曜日の候補行動「睡眠」についての時系列確率データにおいて、ある居住者の平日と休日の睡眠サイクル(就寝時刻と起床時刻)が所定時間以上ずれている」という条件であり、規則は、「休日の夕方に当該居住者に就寝時刻を助言する」という規則であってもよい。この場合、助言部256は、休日の夕方に「休み明けにすっきり目覚めるために、できるだけXX時前後に寝るようにしましょう」(XX時は平日に計測された就寝時刻)という助言を含む助言データを生成し、通信部220が当該助言データを居住者Aが携帯する携帯端末30Aに送信し得る。
【0065】
<データ分析サーバの動作>
以上、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の構成を説明した。続いて、図9および図10を参照して、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の動作を整理する。
【0066】
図9は、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20の動作を示すフローチャートである。まず、データ分析サーバ20の質問部232が居住者の行動特性を問う質問データを生成し、通信部220が当該質問データを居住者の携帯端末30に送信し、携帯端末30から質問データに対する回答を取得する(S304)。
【0067】
さらに、通信部220が、各居住者の携帯端末30から端末データを取得し、電力センサ40から住宅の総電力量データを取得する(S308)。そして、電力分離部224が、住宅の総電力量データを分析して、機器ごとの使用電力量データを算出する(S312)。データ記憶部228は、通信部220により取得された端末データおよび総電力量データ、電力分離部224により算出された機器ごとの使用電力量データを記憶する(S316)。
【0068】
続いて、データ分析部240は、データ記憶部228から端末データ、総電力量データ、および機器ごとの使用電力量データを読み出し、これらデータに基づいて、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを算出する(S320)。
【0069】
質問部232は、算出された各居住者の候補行動ごとの時系列確率データの中に、確率が0.5付近(例えば、0.4~0.6)である時間帯を有する時系列確率データがあるか否かを判断する(S324)。ある居住者のある候補行動についての時系列確率データに確率が0.5付近である時間帯が含まれる場合(S324/Yes)、質問部232は、当該居住者が当該候補行動を実施したか否かを問う質問データを生成し、通信部220が当該質問データを居住者の携帯端末30に送信し、携帯端末30から質問データに対する回答を取得する(S328)。
【0070】
そして、データ分析部240は、取得された回答に基づいて、上記居住者の少なくとも上記候補行動についての時系列確率データを修正する(S332)。さらに、集計部248は、データ分析部240により算出または修正された各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを、曜日ごとに集計する(S336)。集計により得られた各居住者の候補行動ごとの曜日別の時系列確率データは集計結果記憶部252に記憶される。
【0071】
その後、居住者の行動特性に関する質問データを前回取得したタイミングから一定期間(例えば、3カ月)が経過した場合など、所定の条件が満たされる場合には、データ分析サーバ20はS304からの処理を繰り返す(S340/Yes)。一方、所定の条件が満たされない場合には、データ分析サーバ20はS308からの処理を繰り返す(S340/No)。
【0072】
図10は、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20における助言データの生成に関する動作を示すフローチャートである。まず、データ分析サーバ20の助言部256が現在の曜日と時間帯を検出する(S352)。そして、助言部256が、各居住者の候補行動ごとの現在の曜日の時系列確率データを集計結果記憶部252から読み出す(S356)。
【0073】
助言部256は、読み出した時系列確率データに、助言を実行する条件が満たされる時系列確率データがあるか否かを判断する(S360)。ある居住者のある候補行動についての時系列確率データにおいて助言を実行する条件が満たされる場合(S360/Yes)、助言部256は、当該候補行動に関する助言を含む助言データを生成し、通信部220が当該助言データを当該居住者の携帯端末30へ送信する(S364)。居住者の携帯端末30は、受信した助言データに基づいて助言を含む助言画面を表示する。その後、データ分析サーバ20は、S352からの処理を繰り返す。
【0074】
<作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20は、住宅内での設備または機器ごとの使用を示す住宅内データに加えて、各携帯端末30から受信される端末データに基づいて各居住者の実施行動を分析する。かかる構成によれば、住宅内で実施された行動が、どの居住者により実施されたかをより正確に分析することが可能である。
【0075】
また、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20は、住宅の他の居住者が携帯する携帯端末30において得られた他の端末データを用いて、居住者の候補行動ごとの時系列確率データを算出する。例えば、携帯端末30Bの端末データが、ある候補行動についてより低い確率に対応するデータであるほど、データ分析部240は、居住者Aの実施行動が当該候補行動である確率を大きい値に算出してもよい。かかる構成によれば、居住者の候補行動ごとの時系列確率データの正確性を向上することが可能である。
【0076】
また、本発明の一実施形態によるデータ分析サーバ20は、行動特性記憶部236に記憶されている各居住者の行動特性情報に基づいて、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを修正する。かかる構成によれば、居住者の候補行動ごとの時系列確率データの正確性を一層向上することが可能である。
【0077】
また、本発明の一実施形態によるデータ分析部240は、特定の候補行動を実施したか否かをある居住者に問う質問データに対する回答が得られた場合、当該居住者の当該候補行動の時系列確率データを回答の内容に基づいて修正する。かかる構成によれば、より確実な時系列確率データを得ることが可能である。
【0078】
ここで、質問部232は、特定の候補行動の特定の時間帯での確率データが0.5付近であった場合に、居住者が当該候補行動を実施したか否かを問う質問データを生成してもよい。かかる構成によれば、居住者への質問の頻度を抑制しつつ、時系列確率データの正確性を向上することが可能である。
【0079】
また、本発明の一実施形態による集計部248は、各居住者の実施行動の分析結果である時系列確率データを、複数の日を含むグループごとに集計する。例えば、各グループは、同じ曜日の日を含むグループであってもよい。主活動が月曜日から金曜日までの仕事であり、土曜日と日曜日が休暇である居住者は、曜日ごとに生活リズムが異なるので、曜日ごとに時系列確率データを集計することに妥当性がある。かかる構成により、各居住者の実施行動の傾向、すなわち、生活リズムを示す時系列確率データを得ることが可能である。
【0080】
さらに、助言部256は、各居住者の候補行動ごとの曜日別の時系列確率データに基づいて、現在日における居住者の行動を助言する助言データを生成する。かかる構成によれば、居住者が助言を受けることで行動が変容することが期待される。
【0081】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上述した実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上述した実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上述した実施形態の構成に代えて適用されてもよいし、上述した実施形態の構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0082】
例えば、上記の実施形態では、データ分析部240が各機器の使用電力量データに基づいて各居住者の行動を分析する例を説明したが、データ分析部240は他のデータを用いて各居住者の行動を分析することも可能である。例えば、ガスおよび水道などの他の生活インフラの使用量データが得られる場合には、データ分析部240はこれら他の生活インフラの使用量データを用いて各居住者の行動を分析してもよい。さらに、各機器とデータ分析サーバ20が接続され、各機器の使用状況を示す情報が各機器からデータ分析サーバ20に送信される場合、データ分析部240は当該情報に基づいて各居住者の行動を分析することも可能である。
【0083】
また、上記の実施形態では、データ分析サーバ20がある居住者の行動を助言する助言データを当該居住者に送信する例を説明したが、データ分析サーバ20は居住者本人以外の第三者に助言データを送信してもよい。例えば、居住者が高齢者である場合、データ分析サーバ20は当該居住者の支援者に助言データを送信してもよい。
【0084】
また、上記の実施形態では、データ分析サーバ20がある居住者の行動特性および実施行動を問う質問データを当該居住者が携帯する携帯端末30に送信する例を説明したが、データ分析サーバ20は居住者本人以外の第三者に質問データを送信してもよい。例えば、居住者が高齢者である場合、データ分析サーバ20は当該居住者の支援者に質問データを送信してもよい。
【0085】
また、上記の実施形態では、助言データが居住者の生活習慣を改善することを意図した内容である例を説明したが、助言データの内容はこれに限定されない。例えば、データ分析部240が、居住者の生活リズムが通常と異なること(例えば、日常的に利用している電子レンジの利用がない、エアコンの連続動作時間が長い、等)を検知した場合、助言部256は、当該検知に基づき、居住者本人または第三者に注意を促す助言データを生成してもよい。また、助言データは、居住者の生活リズムを示す時系列確率データを可視化するデータであってもよい。
【0086】
また、上記の実施形態では、候補行動が調理、掃除、睡眠の3つである例を説明したが、候補行動はこれらに限定されない。候補行動の他の例としては、食事、洗濯、入浴、くつろぎ、などが挙げられる。
【0087】
また、上記の実施形態では、集計部248が各居住者の候補行動ごとの時系列確率データを曜日ごとに集計する例を説明したが、集計方法は他の方法であってもよい。例えば、集計部248は、平日または休日ごとに集計を行ってもよいし、気象条件(天気、気温)により区分されるグループごとに集計を行ってもよい。また、助言部256は、集計前の各居住者の候補行動ごとの時系列確率データに基づいて助言データを生成してもよい。この場合、助言部256は、即時性の高い助言データを生成することが可能である。また、集計部248は、過去の集計結果と現在の各居住者の候補行動ごとの時系列確率データとの差分が閾値を上回る場合にのみ、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データの集計を行ってもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、各居住者の候補行動ごとの時系列確率データの中に、確率が0.5付近(例えば、0.4~0.6)である時間帯を有する時系列確率データがある場合に、質問データに対する回答に基づいてデータ分析部240が時系列確率データを修正する例を説明した。これに関連し、データ分析部240は、質問データに対する回答により居住者の実施行動を確認できた時間帯の使用電力量データおよび端末データに基づいて、確率を算出する規則を人工知能技法により学習し、それまでの規則を学習後の規則に置き換えてもよい。
【0089】
また、上記の実施形態では、集計部248により集計された、各居住者の候補行動ごとの曜日別の時系列確率データに基づいて助言部256が助言を行う例を説明した。この点に関し、各機器の使用電力量データがリアルタイムに得られる場合には、助言部256は、分析部240により得られた、各居住者の候補行動ごとのリアルタイムの確率に基づいて助言データを生成してもよい。例えば、居住者Aが夜更かしをしている場合には、居住者Aに睡眠を推奨する助言データを生成してもよい。
【0090】
<ハードウェア構成>
以上、本発明の各実施形態を説明した。上述したデータの分析および助言データの生成などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するデータ分析サーバ20のハードウェアとの協働により実現される。
【0091】
図11は、データ分析サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。データ分析サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、を備える。また、データ分析サーバ20は、ブリッジ205と、外部バス206と、インターフェース207と、入力装置208と、表示装置209と、音声出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、ネットワークインターフェース215とを備える。
【0092】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってデータ分析サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。これらCPU201、ROM202およびRAM203とソフトウェアとの協働により、上述した電力分離部224、質問部232、データ分析部240、集計部248および助言部256などの機能が実現され得る。
【0093】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0094】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサ、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。データ分析サーバ20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、データ分析サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0095】
表示装置209は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。また、音声出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0096】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかるデータ分析サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置211は、ストレージを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0097】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、データ分析サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203またはストレージ装置211に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0098】
ネットワークインターフェース215は、例えば、ネットワーク12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0099】
なお、上述したデータ分析サーバ20のハードウェア構成は携帯端末30にも適用可能である。
【0100】
<補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
例えば、本明細書のデータ分析サーバ20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、データ分析サーバ20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0102】
また、データ分析サーバ20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述したデータ分析サーバ20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0103】
20 データ分析サーバ
220 通信部
224 電力分離部
228 データ記憶部
232 質問部
236 行動特性記憶部
240 データ分析部
244 分析結果記憶部
248 集計部
252 集計結果記憶部
256 助言部
30 携帯端末
40 電力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11