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特開2022-165118会議管理装置、方法、プログラムおよび会議管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165118
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】会議管理装置、方法、プログラムおよび会議管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20221024BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070334
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 孔司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA12
(57)【要約】
【課題】各参加者の会議への感じ方を改善する。
【解決手段】会議に参加する複数の参加者の言動データを取得する言動データ取得部と、前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、を備える、会議管理装置。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議に参加する複数の参加者の言動データを取得する言動データ取得部と、
前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、
前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、
前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、
前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、
を備える、会議管理装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出することとして、前記複数の参加者が有する前記会議への心理的安全性を検出する、請求項1に記載の会議管理装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記複数の参加者間の発言の均等性、各参加者の他者の発言に対する受容性、前記会議の結論に対する前記複数の参加者の納得感、または前記複数の参加者の体動のうちの少なくともいずれかに基づいて前記心理的安全性を検出する、請求項2に記載の会議管理装置。
【請求項4】
前記1または2以上の助言ルールの各々は、閾値パラメータを含む条件、および当該条件が満たされた場合の助言内容を含み、
前記学習部は、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールに含まれる前記閾値パラメータと前記検出部による検出の結果との関係を学習し、
前記設定部は、各助言ルールに新たな閾値パラメータを設定することにより、前記1または2以上の新たな助言ルールを設定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の会議管理装置。
【請求項5】
前記学習部は、前記閾値パラメータに加え、前記会議の参加人数を示す人数パラメータ、および前記会議の開始前に前記複数の参加者が前記会議をどのように感じているかを示す開始前パラメータを含むパラメータ群と、前記検出部による検出の結果との関係を学習し、
前記設定部は、新たな会議についての前記人数パラメータおよび前記開始前パラメータを前記関係に適用し、当該適用後の関係において、前記検出部による検出の結果が前記開始前パラメータよりも改善されるように、各助言ルールに新たな閾値パラメータを設定する、請求項4に記載の会議管理装置。
【請求項6】
前記言動データは、参加者が行った発言の発言種別を示すデータ、および、他の参加者が行った発言に対する反応の種別を示すデータを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の会議管理装置。
【請求項7】
前記会議管理装置は、
発言種別を選択するための発言種別選択表示、および反応の種別を選択するための反応種別選択表示を含む会議画面を生成する会議画面制御部と、
前記会議画面を前記複数の参加者が利用する会議端末に送信する通信部と、
をさらに備え、
前記言動データ取得部は、前記会議画面において選択された発言種別を示す言動データ、および、前記会議画面において選択された反応種別を示す言動データを取得する、請求項6に記載の会議管理装置。
【請求項8】
会議に参加する複数の参加者の言動データを取得することと、
前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定することと、
前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出することと、
前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと、前記前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかの検出の結果との関係を学習することと、
前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定することと、
を含む、コンピュータにより実行される方法。
【請求項9】
コンピュータを、
会議に参加する複数の参加者の言動データを取得する言動データ取得部と、
前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、
前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、
前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、
前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、
として機能させるための、プログラム。
【請求項10】
会議に参加する複数の参加者が利用する1または2以上の会議端末と、会議管理装置を有する会議管理システムであって、
前記会議管理装置は、
複数の参加者の言動データを前記1または2以上の会議端末から取得する言動データ取得部と、
前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、
前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、
前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、
前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、
を備える、会議管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議管理装置、方法、プログラムおよび会議管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議では、予定された時間の中で納得感の高い結論が得られることが望ましい。そのためには、会議の参加者が、会議に対して心理的安全性を有していることが重要である。参加者が心理的安全性を有する状態は、例えば、参加者が発言したことにより当該参加者が不利益を受けることや不快な思いをすることがないという認識を各参加者が有している状態である。参加者が心理的安全性を有していれば、情報やアイデアの共有が盛んに行われるので、会議の成果が高くなることが期待される。
【0003】
また、会議の成果を高めるためには、会議の円滑な進行も重要である。例えば、特許文献1には、会議の円滑な進行を実現するための方法が開示されている。具体的には、当該方法は、会議参加者のスキルと議題の一致度、発言数、イライラ度、理解度、の少なくとも一つに基づいて、発言者を決定する。当該方法によれば、議題に関連したスキルを持った参加者、発言の少ない参加者、発言したくてイライラしている参加者、または会議の内容を理解していない参加者などに発言を促し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-42720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された方法では、各参加者の発言量を調整することができるが、各参加者の会議への感じ方を改善すること、例えば、各参加者の会議への心理的安全性を高める効果は期待されない。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、各参加者の会議への感じ方を改善することが可能な、新規かつ改良された会議管理装置、方法、プログラムおよび会議管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、会議に参加する複数の参加者の言動データを取得する言動データ取得部と、前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、を備える、会議管理装置が提供される。
【0008】
前記検出部は、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出することとして、前記複数の参加者が有する前記会議への心理的安全性を検出してもよい。
【0009】
前記検出部は、前記複数の参加者間の発言の均等性、各参加者の他者の発言に対する受容性、前記会議の結論に対する前記複数の参加者の納得感、または前記複数の参加者の体動のうちの少なくともいずれかに基づいて前記心理的安全性を検出してもよい。
【0010】
前記1または2以上の助言ルールの各々は、閾値パラメータを含む条件、および当該条件が満たされた場合の助言内容を含み、前記学習部は、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールに含まれる前記閾値パラメータと前記検出部による検出の結果との関係を学習し、前記設定部は、各助言ルールに新たな閾値パラメータを設定することにより、前記1または2以上の新たな助言ルールを設定してもよい。
【0011】
前記学習部は、前記閾値パラメータに加え、前記会議の参加人数を示す人数パラメータ、および前記会議の開始前に前記複数の参加者が前記会議をどのように感じているかを示す開始前パラメータを含むパラメータ群と、前記検出部による検出の結果との関係を学習し、前記設定部は、新たな会議についての前記人数パラメータおよび前記開始前パラメータを前記関係に適用し、当該適用後の関係において、前記検出部による検出の結果が前記開始前パラメータよりも改善されるように、各助言ルールに新たな閾値パラメータを設定してもよい。
【0012】
前記言動データは、参加者が行った発言の発言種別を示すデータ、および、他の参加者が行った発言に対する反応の種別を示すデータを含んでもよい。
【0013】
前記会議管理装置は、発言種別を選択するための発言種別選択表示、および反応の種別を選択するための反応種別選択表示を含む会議画面を生成する会議画面制御部と、前記会議画面を前記複数の参加者が利用する会議端末に送信する通信部と、をさらに備え、前記言動データ取得部は、前記会議画面において選択された発言種別を示す言動データ、および、前記会議画面において選択された反応種別を示す言動データを取得してもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、会議に参加する複数の参加者の言動データを取得することと、前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定することと、前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出することと、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと、前記前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかの検出の結果との関係を学習することと、前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定することと、を含む、コンピュータにより実行される方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、会議に参加する複数の参加者の言動データを取得する言動データ取得部と、前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、会議に参加する複数の参加者が利用する1または2以上の会議端末と、会議管理装置を有する会議管理システムであって、前記会議管理装置は、複数の参加者の言動データを前記1または2以上の会議端末から取得する言動データ取得部と、前記言動データおよび1または2以上の助言ルールに従って、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する助言部と、前記言動データの分析により、前記複数の参加者が前記会議をどのように感じたかを検出する検出部と、前記会議を含む1または2以上の会議における前記助言ルールと前記検出部による検出の結果との関係を学習する学習部と、前記学習により得られた関係に基づいて、1または2以上の新たな助言ルールを設定する設定部と、を備える、会議管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、各参加者の会議への感じ方を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による会議管理システムの構成を示す説明図である。
図2】会議画面の具体例を説明する。
図3】本発明の一実施形態による会議管理サーバ20の構成を示す説明図である。
図4】会議設定データに含まれるデータ例を示す説明図である。
図5】助言ルールの具体例を示す説明図である。
図6】記憶部240によるパラメータと心理的安全性の記憶構造を示す説明図である。
図7】会議の開始準備として会議設定データを設定するまでの動作を示すフローチャートである。
図8】会議中および会議後の動作を示すフローチャートである。
図9】会議管理サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて会議端末10A、10Bおよび10Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。例えば、会議端末10A、10Bおよび10Cを特に区別する必要が無い場合には、各会議端末を単に会議端末10と称する。
【0021】
<会議管理システムの概要>
本発明の一実施形態は、複数の参加者が参加する会議を管理する会議管理システムに関する。以下、図1を参照し、本発明の一実施形態による会議管理システムの概要を説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による会議管理システムの構成を示す説明図である。図1に示したように、本発明の一実施形態による会議管理システムは、複数の会議端末10A~20Eおよび会議管理サーバ30を有する。
【0023】
これら会議端末10A~10Eおよび会議管理サーバ30はネットワーク12を介して接続されている。ネットワーク12は、ネットワーク12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク12は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0024】
図1に示した例では、参加者Aが会議端末10Aを利用し、参加者Bが会議端末10Bを利用し、参加者Cが会議端末10Cを利用し、参加者Dが会議端末10Dを利用し、参加者Eが会議端末10Eを利用している。ただし、会議管理システムを構成する会議端末10の数、および会議管理システムを利用する参加者(ユーザ)の数は、より少なくてもよいし、より多くてもよい。
【0025】
(会議端末10)
会議端末10は、各参加者が利用する情報処理装置である。会議端末10には、参加者が装着するヘッドセット11が接続されている。ヘッドセット11は、参加者が発した音声の音声データを取得し、当該音声データを有線または無線で会議端末10に送信する。会議端末10は、当該音声データを会議管理サーバ20に送信する。また、会議端末10は、会議管理サーバ20から他の参加者の音声データを受信し、当該音声データをヘッドセット11に送信する。ヘッドセット11は、会議端末10から受信した音声データに基づき、他の参加者の音声を出力する。これにより、複数の参加者間で音声を介した遠隔会議を行うことが可能となる。
【0026】
また、会議端末10は、会議端末10を利用する参加者の言動データを取得し、言動データを会議管理サーバ20に送信する。言動データは、会議端末10を利用する参加者が発言した場合には、当該発言の種別、当該発言の内容を示すテキストデータを含む。また、言動データは、会議端末10を利用する参加者が他の参加者の発言に対して反応した場合には、反応の種別および体動を示す体動データを含む。体動データは、例えば、ヘッドセット11に内蔵される加速度センサーによる加速度の検出に基づいて得られるデータであってもよい。
【0027】
また、上述した発言の種別および反応の種別は、例えば、会議端末10に表示される会議画面に対する参加者の操作により取得可能である。会議画面は、会議管理サーバ20によって生成され、会議管理サーバ20から会議端末10に送信される。以下、図2を参照して、会議端末10に表示される会議画面の具体例を説明する。
【0028】
図2は、会議画面の具体例を説明する。図2に示したように、会議画面は、目的表示領域41、経過時間表示領域42、進行状況表示領域43、発言状況表示領域44、助言表示領域45、発言種別選択領域46、および反応種別選択領域47を含む。
【0029】
目的表示領域41は、会議の目的を表示する領域である。会議の目的は、会議の開始前に例えば主催者により設定される会議設定データに含まれる。経過時間表示領域42は、会議の開始からの経過時間を表示する領域である。進行状況表示領域43は、会議の開始からの経過時間および会議の進行表(時間割)に基づき、現在会議の議題にすべき事項を表示する領域である。会議の進行表(時間割)は、会議設定データに含まれる。
【0030】
発言状況表示領域44は、参加者ごとの発言時間の合計値、および現在の発言の発言時間を表示する領域である。助言表示領域45は、会議管理サーバ20により決定された助言を表示する領域である。
【0031】
発言種別選択領域46は、複数の発言種別選択表示を含む領域である。図2には、複数の発言種別選択表示として、報告、連絡、相談、挑戦、応援、異論、質問、感想、他、の各々に対応する発言種別選択表示を例示している。参加者は、発言に際して、発言種別に対応する発言種別選択表示を発言種別選択領域46から選択する。会議端末10は、参加者による発言種別選択表示の選択に基づき、会議管理サーバ20に発言種別を送信する。
【0032】
反応種別選択領域47は、複数の反応種別選択表示を含む領域である。図2には、複数の反応種別選択表示として、納得、賛成、反対、ナイスフォロー、ナイスチャレンジ、ユニークアイデア、脱線中、話が長い、他、の各々に対応する反応種別選択表示を例示している。参加者は、他の参加者の発言への自身の反応に対応する反応種別選択表示を反応種別選択領域47から選択する。会議端末10は、参加者による反応種別選択表示の選択に基づき、会議管理サーバ20に反応種別を送信する。
【0033】
なお、全ての参加者の会議端末10には同一の会議画面が表示されてもよいし、会議端末10によって異なる会議画面が表示されてもよい。例えば、会議の主催者でもある参加者の会議端末10には発言状況表示領域44を含む会議画面が表示され、他の参加者の会議端末10には発言状況表示領域44を含まない会議画面が表示されてもよい。また、助言の対象の参加者の会議端末10でのみ助言表示領域45に助言の内容が表示されてもよいし、会議の主催者でもある参加者の会議端末10でのみ助言表示領域45に助言の内容が表示されてもよい。
【0034】
また、会議端末10は各参加者の映像データを取得する撮像部を有してもよい。この場合、各会議端末10が参加者の映像データを会議管理サーバ20に送信し、会議管理サーバ20が各参加者の映像データを含む会議画面を生成することも可能である。かかる構成によれば、各参加者は、音声に加えて映像を介した遠隔会議を行うことが可能となる。また、各参加者の体動を各参加者の映像データから検出することも可能である。
【0035】
(会議管理サーバ20)
会議管理サーバ20は、複数の会議端末10を用いた遠隔会議を管理する会議管理装置である。会議管理サーバ20は、各会議端末10から音声データを受信し、各会議端末10に当該音声データを送信する。また、会議管理サーバ20は、各会議端末10から参加者の言動データを受信し、当該言動データに基づいて、各参加者が会議に対して感じる心理的安全性を高めるための助言を会議画面に配置する。心理的安全性が高い状態は、例えば、参加者が発言したことにより当該参加者が不利益を受けることや不快な思いをすることがないという認識を各参加者が強く有している状態である。参加者が心理的安全性を有していれば、情報やアイデアの共有が盛んに行われるので、会議の成果が高くなることが期待される。以下、このような会議管理サーバ20の詳細な構成および動作を順次詳細に説明する。
【0036】
<会議管理サーバ20の構成>
図3は、本発明の一実施形態による会議管理サーバ20の構成を示す説明図である。図3に示したように、本発明の一実施形態による会議管理サーバ20は、通信部220、設定部224、助言部228、会議画面制御部232、心理的安全性算出部236および記憶部240を有する。
【0037】
(通信部220)
通信部220は、各会議端末10と多様なデータを通信する。例えば、通信部220は、各会議端末10と参加者の音声データを送受信する音声データ通信部、各会議端末10から参加者の言動データを受信する言動データ取得部、会議設定データを各会議端末10と送受信する設定データ通信部、会議画面を各会議端末10に送信する会議画面送信部として機能する。
【0038】
(設定部224)
設定部224は、会議の開始前に、会議の進行を支援するための会議設定データを設定する。会議設定データには、例えば、図4に示す10種類のデータが含まれる。
【0039】
図4は、会議設定データに含まれるデータ例を示す説明図である。図4に示したように、会議設定データの種類としては、#1の目的、#2の進行表、#3の人数、#4の会議前の心理的安全性、#5の意思決定方法、#6のナイスチャレンジの称賛、#7の体動の推奨、#8の発言時間の上限、#9の参加者ごとの発言総量の基準、#10のp2が0.5以下の場合の反応レベル、が挙げられる。
【0040】
#1の目的は、会議の議題とゴールを記述するデータである。#2の進行表は、会議の進行内容とタイムスケジュールを記述するデータである。#3の人数は、会議の参加者数を示すデータであり、人数パラメータとしてパラメータp1で表現される。#4の会議前の心理的安全性は、会議開始前に複数の参加者が会議をどのように感じているかを示す開始前パラメータの一例である。より具体的には、#4の会議前の心理的安全性は、会議開始前に各参加者が会議に対して感じている心理的安全性を示すデータであり、パラメータp2で表現される。
【0041】
#5の意思決定方法は、会議の結論を決定する方法を記述するデータである。#5の意思決定方法では、リーダーが結論を決定するのか、多数決で結論を決めるのか、全会一致で結論を決めるのかを、意思決定に必要な人数を示すパラメータp3が定義される。
【0042】
#6~#10のデータは、参加者に求める行動規範となるデータである。#6のナイスチャレンジの称賛は、他の参加者の発言が挑戦的要素に富んでいる場合に積極的に称賛することが望ましいとされる他の参加者の割合を記述するデータであり、パラメータp4で表現される。
【0043】
#7の体動の推奨は、他の参加者の発言に納得したり賛成したりする場合に参加者に推奨するうなずきなどの体動の大きさ(反応体動レベル)を示すデータであり、パラメータp5で表現される。
【0044】
#8の発言時間の上限は、報告および連絡以外の一回の発言の上限時間を規定するデータであり、報告および連絡を除く発言上限時間を示すパラメータp6と、発言を抑制するか否かを判断するための、発言が長いという意思表示をする参加者数の割合を示すパラメータp7で表現される。
【0045】
#9の参加者ごとの発言総量の基準は、参加者間で求められる発言の均等性を記述するデータであり、参加者ごとの発言総量(時間)の参加者平均値に対する最低限確保すべき発言総量の割合を示すパラメータp8で表現される。
【0046】
#10のp2が0.5以下の場合の反応レベルは、心理的安全性が低いチームが会議を行う場合に推奨される各参加者の反応レベルを示すデータであり、パラメータp9で表現される。反応レベルは、図2を参照して会議画面で参加者が選択した一部の発言種別(「応援」、「異論」、「質問」、「感想」)と一部の反応種別(「脱線中」と「発言が長い」を除く反応)の発生頻度、および反応体動レベルに基づいて0~1の値で表現される。
【0047】
このような会議設定データのうち、#1~#3のデータを会議の開始前に参加者が会議端末10に入力し、会議端末10が会議管理サーバ20に#1~#3のデータを送信し、設定部224が当該データを設定する。また、設定部224は、同じ参加者で会議が行われたことがある場合、同じ参加者で行われた会議について算出されて記憶部240に記憶された心理的安全性を、#4の会議前の心理的安全性を示すパラメータp2として設定する。
【0048】
一方、同じ参加者で会議が行われたことがない場合、記憶部240は、参加者にアンケート調査を実施し、アンケートに対する回答に基づいて#4の会議前の心理的安全性を示すパラメータp2を算出する。
【0049】
例えば、アンケート調査は、「このチームは、特定の人が一方的に話すことなく、均等に発言できる関係ですか」(発言均等性)、「このチームは、助け合ったり、自分とは違った価値観を受け入れて、前向きに話ができる関係ですか」(他者受容性)、「このチームは、話し合いの結論について全員が納得することが多いと思いますか」(結論納得感)、「このチームは、相手に共感できる時には、感想を述べたりうなずくなど、気兼ねなく態度を示せる関係ですか」(体動)、「このチームのメンバーは、自分の発言が相手にどのように影響を及ぼすのかを理解し、相手の表情や言動から本当に伝えたい想いを読み取ることができますか」(社会的感受性)、などのアンケートを含んでもよい。
【0050】
さらに、設定部224は、パラメータp1およびパラメータp2に基づいて、#5~#10を示すパラメータp3~p9を設定する。後述するように、各会議が行われると、当該会議に適用されたパラメータ群(パラメータp1~p9)と、当該会議後の心理的安全性が関連付けて記憶部240に記憶される。さらに、学習部244が、複数の会議でのパラメータ群と会議後の心理的安全性との関係を学習し、学習により得られた関係を示すデータを記憶部240が記憶する。設定部224は、この関係を用いて、既に設定されたパラメータp1およびパラメータp2に加えて、どのようなパラメータp3~p9を設定すれば会議後の心理的安全性が会議前の心理的安全性(パラメータp2)よりも高まるかを特定し、そのようなパラメータp3~p9を設定する。
【0051】
なお、設定部224は、設定したパラメータ群を通信部220を介して会議端末10に送信し、会議端末10がパラメータ群の確認画面を表示してもよい。そして、確認画面に対する操作により参加者がパラメータ群に変更を加えた場合、変更内容を示す情報を会議端末10が会議管理サーバ20に送信し、設定部224がパラメータ群を更新してもよい。
【0052】
さらに、設定部224は、1または2以上の助言ルールを設定し、設定した助言ルールを助言部228に出力する。各助言ルールは、閾値パラメータを含む条件、および当該条件が満たされた場合の助言内容を含む。例えば、閾値パラメータとして、上述したパラメータp3~p9が用いられ得る。この場合、パラメータp3~p9を設定することは、助言ルールを設定することであるとも言える。以下、図5を参照して、助言ルールの具体例を説明する。
【0053】
図5は、助言ルールの具体例を示す説明図である。図5には、#1~#7の7種類の助言ルールを示している。
【0054】
#1の助言ルールは、会議開始後x分経過という条件、および、結論を出すことを促すという助言内容を含む。xは、会議設定データの#2の進行表として設定されたスケジュールに応じた値となる。
【0055】
#2の助言ルールは、#1の助言ルールによる助言が行われた後の「納得」の反応数がパラメータp3未満であるという条件、および、議論を続けること、またはリーダーに決定を一任することを促すという助言内容を含む。
【0056】
#3の助言ルールは、ある参加者の発言に対する「ナイスチャレンジ」(挑戦を称える)の反応数がパラメータp4を上回るという条件、および、発言者の行動を称賛するという助言内容を含む。
【0057】
#4の助言ルールは、ある参加者Aが賛成の反応を示しており、かつ、反応体動レベルがパラメータp5未満であるという条件、および、当該参加者Aに賛成をより大げさな態度で示すことを勧めるという助言内容を含む。
【0058】
#5の助言ルールは、ある参加者Aの発言時間がパラメータp6を上回り、かつ、発言が長いという反応を示す他の参加者の数がパラメータp7を上回るという条件、および、当該参加者Aの発言量を抑えることを勧める助言内容を含む。
【0059】
#6の助言ルールは、ある参加者Aの発言時間の総量がパラメータp8未満であるという条件、および、当該参加者Aの発言量を増やすことを促すという助言内容を含む。
【0060】
#7の助言ルールは、パラメータp2が0.5未満であり、かつ、参加者が発言した後の他の参加者の反応体動レベルがパラメータp9未満であるという条件、および、各参加者に反応を増やすことを促すという助言内容を含む。
【0061】
(助言部228)
助言部228は、通信部220により各会議端末10から受信される言動データ、および設定部224により設定された助言ルールに従い、少なくともいずれかの参加者への助言を含む助言データを決定する。助言部228は、決定した助言データを会議画面制御部232に出力する。
【0062】
例えば、通信部220により各会議端末10から受信される言動データに基づき、参加者Bの発言時間の総量がパラメータp8未満である場合、助言部228は、図5に示した#6の助言ルールに従い、例えば「Bさんの発言が少ないようです。Bさんの発言を増やしてはどうでしょうか。」という助言を含む助言データを決定する
【0063】
(会議画面制御部232)
会議画面制御部232は、通信部220により各会議端末10から受信される言動データ、および助言部228から入力される助言データなどに基づいて会議画面を生成する。会議画面の構成は図2を参照して説明した通りである。会議画面制御部232は、助言部228から入力された助言データに基づいて、助言表示領域45に助言の内容を挿入する。
【0064】
(心理的安全性算出部236)
心理的安全性算出部236は、検出部の一例であり、通信部220により各会議端末10から受信された言動データの分析により、会議の終了後に、参加者が当該会議に対してどの程度の心理的安全性を有していたかを検出する。例えば、心理的安全性算出部236は、複数の参加者間の発言の均等性(指標A)、各参加者の他者の発言に対する受容性(指標B)、会議の結論に対する複数の参加者の納得感(指標C)、または複数の参加者の体動(指標D)、のうちの少なくともいずれかに基づいて心理的安全性を検出する。各指標は0~1の範囲内に正規化されており、心理的安全性算出部236は、各指標の平均値、または重み付け平均値などを心理的安全性として算出してもよい。以下、各指標を補足する。
【0065】
指標Aは、参加者間の発言時間の標準偏差に基づいて計算される。指標Aは、発言時間が均等であるほど1に近づき、発言が一人に集中するほど0に近づくよう計算される。
【0066】
指標Bは、他者を受容する発言や反応に該当する種別に基づいて計算される。指標Bは、肯定的な発言や反応が多いほど1に近づき、少ないほど0に近づくよう計算される。
【0067】
指標Cは、参加者の結論に対する納得感の反応に基づいて計算される。指標Cは、納得感が高いほど1に近づき、低いほど0に近づくよう計算される。なお、心理的安全性算出部236は、各参加者の発言内容を示すテキストデータから各参加者の感情を推定し、感情の推定結果に基づいて指標Cを計算してもよい。
【0068】
指標Dは、参加者の体動の量に基づいて計算される。指標Dは、体動が多いほど1に近づき、少ないほど0に近づくよう計算される。
【0069】
(記憶部240)
記憶部240は、会議管理サーバ20の動作に用いられる多様なデータを記憶する。例えば、記憶部240は、会議設定データまたは助言ルールとして適用されたパラメータp1~p9と心理的安全性算出部236により算出された心理的安全性を関連付けて記憶する。
【0070】
図6は、記憶部240によるパラメータと心理的安全性の記憶構造を示す説明図である。図6においてkは各会議のIDである。各会議に適用されたパラメータ群がp1~p9であり、会議の終了後に心理的安全性算出部236により算出された心理的安全性がyである。このように、記憶部240は、複数の会議についてパラメータp1~p9と心理的安全性yを関連付けて記憶する。
【0071】
(学習部244)
学習部244は、記憶部240に記憶されている複数の会議についてパラメータp1~p9と心理的安全性yとの関係を学習する。例えば、学習部244は、統計学習または機械学習などの手法によりパラメータp1~p9と心理的安全性yとの関係を学習することも、回帰分析により学習することも可能である。以下では、一例として学習部244が回帰分析によりパラメータp1~p9と心理的安全性yとの関係を学習する例を説明する。
【0072】
まず、心理的安全性yは、下記の線形回帰モデルで表現される。
【0073】
【数1】
【0074】
当該線形回帰モデルで計算される心理的安全性と実際の心理的安全性との誤差は下記の式(2)で表現される。式(2)において、pikは会議IDがkである会議に適用されたパラメータpiを示す。また、yは、会議IDがkである会議について算出された心理的安全性を示す。
【0075】
【数2】
【0076】
そして、学習部244は、最小二乗法により、σE/σβ=0(i=0、1、・・・9)を解くことで、β(i=0、1、・・・9)を、パラメータp1~p9と心理的安全性yとの関係を示すデータとして算出することができる。記憶部240は、学習部244に算出または更新されたβ(i=0、1、・・・9)を記憶しておく。これにより、設定部224が、当該β(i=0、1、・・・9)を用いて、新たな会議に適用されるパラメータp3~p9を設定することが可能となる。
【0077】
<会議管理サーバ20の動作>
以上、本発明の一実施形態による会議管理サーバ20の構成を説明した。続いて、図7および図8を参照し、本発明の一実施形態による会議管理サーバ20の動作を整理する。
【0078】
(会議開始前)
図7は、会議開始前の動作を示すフローチャートである。図7に示したように、予定されている会議が同じ参加者で行われたことがある場合(S304/Yes)、参加者が会議端末10に会議設定データ#1~#3を入力し、会議管理サーバ20が会議端末10から会議設定データ#1~#3を受信する(S308)。また、設定部224は、過去に同じ参加者で行われた会議の後に当該会議について算出された心理的安全性を記憶部240から読み出す(S312)。
【0079】
一方、予定されている会議が同じ参加者で行われたことがない場合(S304/No)、会議管理サーバ20は会議端末10に心理的安全性に関するアンケートを送信する(S316)。そして、参加者が会議端末10に会議設定データ#1~#3およびアンケート回答を入力し、会議管理サーバ20が会議端末10から会議設定データ#1~#3およびアンケート回答を受信する(S320)。設定部224は、受信したアンケート回答に基づいて、会議開始前の当該会議についての心理的安全性を算出する(S324)。
【0080】
そして、設定部224は、会議設定データ#3であるパラメータp1、S312またはS324で心理的安全性として得られたパラメータp2、および上述したβ(i=0、1、・・・9)に基づき、パラメータp3~p9を算出する(S328)。
【0081】
その後、通信部220が会議端末10に各パラメータを送信する(S332)。そして、会議端末10においてパラメータが変更された場合(S336)、通信部220が変更内容を示す情報を会議端末10から受信し、設定部224が当該情報に従ってパラメータを更新する(S340)。これにより、各パラメータを条件に含む助言ルールが設定される。
【0082】
(会議中および会議後の動作)
図8は、会議中および会議後の動作を示すフローチャートである。図8に示したように、会議が開始すると、通信部220が各会議端末10から音声データおよび言動データを受信する(S352)。
【0083】
そして、助言部228は、通信部220から受信される言動データに基づき、いずれかの助言ルールの条件が満たされるか否かを判断する(S356)。いずれかの助言ルールの条件が満たされ場合(S356/Yes)、助言部228は、条件が満たされた助言ルールに従って助言データを生成し、助言データを会議画面制御部232に出力する(S360)。そして、会議画面制御部232が助言データに基づいて助言表示を含む会議画面を生成し、通信部220が当該会議画面を各会議端末10に送信する(S364)。
【0084】
一方、いずれの助言ルールの条件も満たされない場合(S356/No)、会議画面制御部232は助言表示を含まない会議画面を生成し、通信部220が当該会議画面を各会議端末10に送信する(S368)。会議が終了するまで、S352~S368の処理が繰り返される(S372)。
【0085】
会議が終了すると(S372/Yes)、心理的安全性算出部236が、会議中に通信部220により各会議端末10から受信された言動データを分析することにより、会議の終了後に、参加者が当該会議に対してどの程度の心理的安全性を有していたかを算出する(S376)。そして、記憶部240が、会議設定データまたは助言ルールとして適用されたパラメータp1~p9と心理的安全性算出部236により算出された心理的安全性を関連付けて記憶する(S380)。
【0086】
さらに、学習部244は、記憶部240に記憶されている複数の会議についてパラメータp1~p9と心理的安全性yとの関係を学習し、当該関係を示すデータを記憶部240に記憶させる(S384)。当該関係を示すデータは、例えば上述した式(1)に含まれるβ(i=0、1、・・・9)であってもよい。
【0087】
<作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によれば、設定部224が、パラメータp1~p9と心理的安全性yとの事前に算出された関係を用いて、どのようなパラメータp3~p9を設定すれば会議後の心理的安全性が会議前の心理的安全性(パラメータp2)よりも高まるかを特定し、そのようなパラメータp3~p9を条件に含む助言ルールを設定する。従って、会議中に、心理的安全性を高める助言が行われることが期待される。すなわち、各参加者の会議への感じ方を改善すること、より具体的には心理的安全性を高めることが期待される。
【0088】
また、本発明の一実施形態によれば、心理的安全性算出部236は、複数の参加者間の発言の均等性(指標A)、各参加者の他者の発言に対する受容性(指標B)、会議の結論に対する複数の参加者の納得感(指標C)、または複数の参加者の体動(指標D)、のうちの少なくともいずれかに基づいて心理的安全性を検出する。従って、妥当性のある心理的安全性を得ることが可能である。
【0089】
また、本発明の一実施形態によれば、会議画面が図2に示したように発言種別選択領域46および反応種別選択領域47を含む。従って、会議の参加者が当該会議画面において発言種別および反応種別などを明示的に選択できる。これにより、信頼性の高い発言種別および反応種別に基づいて助言ルールの条件が満たされたか否かの判断が可能となるので、より適切な助言を実現し得る。
【0090】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上述した実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上述した実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上述した実施形態の構成に代えて適用されてもよいし、上述した実施形態の構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0091】
例えば、上記では会議ごとに助言ルールの設定および心理的安全性の検出などを行う例を説明したが、会議管理サーバ20は、助言ルールの設定および心理的安全性の検出を会議の途中で実行してもよい。この場合、会議の間に助言ルールを動的に変化させることが可能である。
【0092】
また、上記では各参加者が物理的に分散した環境にいることを想定して実施形態を説明したが、各参加者は同一空間に存在していてもよい。各参加者は同一空間に存在する場合にも上述した実施形態と同等の効果を得ることが可能である。
【0093】
また、上記では会議設定データとして#1~#10のデータを説明したが、会議設定データの種類は10種類に限定されない。同様に、上記では助言ルールとして#1~#7のルールを説明したが、助言ルールの種類は7種類に限定されない。
【0094】
また、上記では、心理的安全性算出部236が4つの指標に基づいて心理的安全性を算出する例を説明したが、心理的安全性算出部236は他の指標に基づいて心理的安全性を算出してもよい。
【0095】
また、上記では、会議前の心理的安全性を算出するためのアンケート調査が、発言均等性、他者受容性、結論納得感、体動、社会的感受性、の5つの観点によるアンケート調査である例を説明したが、他の観点によるアンケート調査が行われてもよい。
【0096】
<ハードウェア構成>
以上、本発明の各実施形態を説明した。上述した助言データの決定および心理的安全性の検出などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明する会議管理サーバ20のハードウェアとの協働により実現される。
【0097】
図9は、会議管理サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。会議管理サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、を備える。また、会議管理サーバ20は、ブリッジ205と、外部バス206と、インターフェース207と、入力装置208と、表示装置209と、音声出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、ネットワークインターフェース215とを備える。
【0098】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って会議管理サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。これらCPU201、ROM202およびRAM203とソフトウェアとの協働により、図3に示した設定部224、助言部228、会議画面制御部232、心理的安全性算出部236および学習部244などの機能が実現され得る。
【0099】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0100】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサー、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。会議管理サーバ20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、会議管理サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0101】
表示装置209は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。また、音声出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0102】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる会議管理サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置211は、ストレージを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0103】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、会議管理サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203またはストレージ装置211に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0104】
ネットワークインターフェース215は、例えば、ネットワーク12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0105】
なお、上述した会議管理サーバ20のハードウェア構成は会議端末10にも適用可能である。
【0106】
<補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
例えば、本明細書の会議管理サーバ20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、会議管理サーバ20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0108】
また、会議端末10および会議管理サーバ20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した会議端末10および会議管理サーバ20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0109】
10 会議端末
20 会議管理サーバ
220 通信部
224 設定部
228 助言部
232 会議画面制御部
236 心理的安全性算出部
240 記憶部
244 学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9