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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165121
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】金型清掃装置及び曲げ加工機
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/01 20060101AFI20221024BHJP
   B21D 37/00 20060101ALI20221024BHJP
   B21D 5/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B21D5/01 B
B21D37/00 A
B21D5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070338
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小泉 典久
(72)【発明者】
【氏名】二見 富士彦
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BA01
4E063BA07
4E063CA01
4E063LA20
(57)【要約】
【課題】大型のダイを自動で清掃可能な金型清掃装置を提供する。
【解決手段】金型清掃装置(1)は、曲げ加工機(92)に取り付けられたV溝部(87V)を有するダイ(87)における第1肩部(87a)及び第2肩部(87b)のうちの第1肩部(87a)に回転接触して清掃する第1ブラシ(123)と第2肩部(87b)に回転接触して清掃する第2ブラシ(133)とを有し、第1ブラシ(123)の第1回転軸線(CL12)と第2ブラシ(133)の第2回転軸線(CL13)は、V溝部(87V)の延在方向に直交かつ離隔している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工機に取り付けられたV溝部を有するダイにおける第1肩部及び第2肩部のうちの前記第1肩部に回転接触して清掃する第1ブラシと前記第2肩部に回転接触して清掃する第2ブラシとを備え、
前記第1ブラシの第1回転軸線と前記第2ブラシの第2回転軸線は、前記V溝部の延在方向に直交かつ離隔している金型清掃装置。
【請求項2】
前記第1ブラシ及び前記第2ブラシは、外径が等しい円柱形状である請求項1記載の金型清掃装置。
【請求項3】
吸引管を有し前記吸引管の吸引口から空気を吸引する吸引装置を備え、前記吸引口は、前記V溝部の延在方向における前記第1回転軸線と前記第2回転軸線との間の区間の上方に位置している請求項1又は請求項2記載の金型清掃装置。
【請求項4】
前記第1ブラシ及び前記第2ブラシの回転方向は逆であり、各回転方向は、それぞれ他方のブラシ側の回転面が上方に向け回転する方向である請求項3記載の金型清掃装置。
【請求項5】
前記V溝部の溝底部に接触するチャンネルブラシを備えた請求項1~4のいずれか1項に記載の金型清掃装置。
【請求項6】
下部テーブルと、
V溝部を有し前記下部テーブルの上部に取り付けられたダイと、
前記下部テーブルにおいて、前記V溝部の延在方向に移動可能に取り付けられた請求項1~4のいずれか1項に記載された金型清掃装置と、
を備えた曲げ加工機。
【請求項7】
下部テーブルと、
V溝部を有し前記下部テーブルの上部に取り付けられたダイと、
前記下部テーブルにおいて、前記V溝部の延在方向に移動可能に取り付けられた請求項5記載の金型清掃装置と、
前記ダイにおける前記V溝部の延在方向の両端部それぞれの外側に、前記チャンネルブラシで掃き出された前記溝底部のダストを収容するダストボックスを備えた曲げ加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型清掃装置及び曲げ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、曲げ加工機に備えられ、曲げ加工に用いられる下金型であるダイの清掃を自動で行う金型清掃装置が記載されている。
特許文献1に記載された金型清掃装置は、ダイの長手方向に直交する方向に回転する円錐台形状のブラシを有し、この回転するブラシをダイのV溝肩部に接触させながらダイの長手方向に移動させることでダイのV溝肩部の清掃を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-237165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された金型清掃装置は、V溝の幅が大きくなるほど外径の大きなブラシが必要となる。例えば、板厚が6mmを超える板金の曲げ加工に用いられるようなV溝の幅が40mmを超える大型のダイを清掃可能なブラシは、外径が大きすぎてパンチとダイの間に入らず使用できない。
そのため、従来、大型のダイの清掃は人手で行っており、大型のダイを自動で清掃できる金型清掃装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は次の1),2)の構成を有する。
1)曲げ加工機に取り付けられたV溝部を有するダイにおける第1肩部及び第2肩部のうちの前記第1肩部に回転接触して清掃する第1ブラシと前記第2肩部に回転接触して清掃する第2ブラシとを備え、
前記第1ブラシの第1回転軸線と前記第2ブラシの第2回転軸線は、前記V溝部の延在方向に直交かつ離隔している金型清掃装置である。
この本発明の金型清掃装置の一態様は、第1肩部及び第2肩部のうちの第1肩部に回転接触して清掃する第1ブラシと第2肩部に回転接触して清掃する第2ブラシとを有し、第1ブラシの第1回転軸線と第2ブラシの第2回転軸線がV溝部の延在方向に直交かつ離隔しているので、V溝部の幅が大きくても第1ブラシ及び第2ブラシの外径は大きくならず、大型のダイを自動で清掃できる。
2)下部テーブルと、
V溝部を有し前記下部テーブルの上部に取り付けられたダイと、
前記下部テーブルにおいて、前記V溝部の延在方向に移動可能に取り付けられ、1)に記載され、かつ前記V溝部の溝底部に接触するチャンネルブラシを有する金型清掃装置と、
前記ダイにおける前記V溝部の延在方向の両端部それぞれの外側に、前記チャンネルブラシで掃き出された前記溝底部のダストを収容するダストボックスを備えた曲げ加工機である。
この本発明の曲げ加工機の一態様は、第1肩部及び第2肩部のうちの第1肩部に回転接触して清掃する第1ブラシと第2肩部に回転接触して清掃する第2ブラシとを有し、第1ブラシの第1回転軸線と第2ブラシの第2回転軸線がV溝部の延在方向に直交かつ離隔しているので、V溝部の幅が大きくても第1ブラシ及び第2ブラシの外径は大きくならず、大型のダイを自動で清掃できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、大型のダイを自動で清掃可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る金型清掃装置の実施例である金型清掃装置1とそれを備えた曲げ加工機92とを示す斜視図である。
図2図2は、金型清掃装置1を左後斜め上方から見た斜視図である。
図3図3は、図2に示される金型清掃装置1のハウジング11を一部除いた状態を示す斜視図である。
図4図4は、金型清掃装置1の第1ブラシ部12及び第2ブラシ部13とダイ87との前後方向の位置関係を示す側面図である。
図5図5は、曲げ加工機92における金型清掃装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
図6図6は、第1ブラシ部12及び第2ブラシ部13と大小のダイ87との前後方向の位置関係を示す側面図である。
図7図7は、金型清掃装置1によるダイ87の清掃態様を示す後面図である。
図8図8は、金型清掃装置1が備える吸引装置15の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施の形態に係る金型清掃装置の実施例である金型清掃装置1とそれを備えた曲げ加工機92とを示す斜視図である。
上下左右前後の各方向を、説明の便宜上、図1に矢印で示す方向に規定する。
板金の曲げ加工では、曲げ加工によって被曲げ部材であるワークWの黒皮或いはめっきなどが剥がれて、ダイ87のV溝部87Vの脇の肩部に付着する場合がある。ダイ87の肩部に剥離した黒皮やめっき層などの付着物が残存すると、次の曲げ加工での加工精度に影響が生じるため、肩部の付着物は清掃動作により除去しておくことが望まれる。以下、剥離してダイ87に付着した或いは蓄積した黒皮やめっき層などを便宜的にダストと称する。
【0009】
図1に示されるように、曲げ加工機92は、下部テーブル81と、下部テーブル81の上方に配置された上部テーブル82と、制御部83とを有する。
制御部83は、中央処理装置(CPU)831及び記憶部832と、入力部84とを有する。
【0010】
上部テーブル82及び下部テーブル81の一方は、昇降駆動部(不図示)によって他方に対し上下方向に離隔及び接近するように昇降する(図1の矢印DR1参照)。昇降駆動部の動作は、制御部83によって制御される。
【0011】
下部テーブル81の上端部には、ダイホルダ811が取り付けられている。ダイホルダ811には、下部曲げ金型であるダイ87が着脱自由に取り付けられている。ダイ87の左右両端部の外側には、それぞれ上部が開口した箱状のダストボックス814及びダストボックス813が設置されている。
上部テーブル82の下端部には、パンチホルダ821が取り付けられている。パンチホルダ821には、ダイ87と組になる上部曲げ金型であるパンチ822が着脱自由に取り付けられている。
【0012】
ダイ87は、左右方向に延びるV溝部87Vを有する。V溝部87Vの延在方向は左右方向であり、ダイ87の長手方向である。
ダイ87の上面における、V溝部87Vの前側の脇の部分が第1肩部87bであり後側の脇の部分が第2肩部87aである。V溝部87Vの底は溝底部87eである。
【0013】
曲げ加工機92の前方には、ロボットハンド装置7が配置されている。ロボットハンド装置7は、制御部83の制御により、板金のワークWを吸着などによって任意の姿勢で保持する。例えば、曲げ加工において、ロボットハンド装置7は、ワークWを所定の向きの水平姿勢でパンチ822とダイ87の間に挿入する(矢印DR12参照)。
【0014】
曲げ加工機92は、ロボットハンド装置7によってダイ87とパンチ822との間に挿入されたワークWに対し、上部テーブル82と下部テーブル81とを相対的に接近させてダイ87とパンチ822との組み合わせに応じた曲げ形状となるよう曲げ加工を行う。
【0015】
図1に示されるように、下部テーブル81の前面の上部には、ガイド部材85が取り付けられている。ガイド部材85は、左右に延びるレール状の部材である。金型清掃装置1はガイド部材85に支持されると共に、アクチュエータ86の動作により、ベルトなどの動力伝達部材を介してガイド部材85上を左右に移動可能となっている(矢印DR2参照)。
【0016】
金型清掃装置1は、ガイド部材85に支持される支持部16と、支持部16の上部に連結された本体部17とを有する。本体部17の上面からは吸引装置15の吸引管151が延出し吸引部152に接続されている。吸引部152は本体部17の外面に取り付けられている。
【0017】
図2は、金型清掃装置1を左後斜め上方から見た斜視図である。図2において、金型清掃装置1はダイ87を清掃中の状態で示されている。
図2に示されるように、本体部17は、ダイ87の上方において後方側に張り出した突出部17aを有する。突出部17aは、ダイ87の上部の一部を覆うように張り出している。
【0018】
金型清掃装置1は、チャンネルブラシ部14を有する。チャンネルブラシ部14は、ブラケット143,ブラシホルダ142,及びチャンネルブラシ141を有する。
ブラケット143はL字状に形成され、突出部17aの左側面に固定具144によって取り付けられている。ブラケット143は、固定具144に固定される基部143aと、基部143aから直角に折れ曲がり左方に延出する腕板部143bとを有する。
腕板部143bの左端部には、蝶ねじ145によってブラシホルダ142が取り付けられている。
【0019】
ブラシホルダ142は、左右上下方向に延在し上下に長い板状部材であり、上部に上下に長い長孔146が形成されている。
蝶ねじ145は、長孔146に挿通しブラケット143に形成された不図示の雌ねじ部に螺着する。
これにより、ブラシホルダ142は、ブラケット143に対する取り付け位置を、長孔146の形成範囲で手作業で上下に調整可能となっている(矢印DR3参照)。
【0020】
ブラシホルダ142の下端部には、下方に延びるチャンネルブラシ141が取り付けられている。
チャンネルブラシ141の前後方向の位置は、ダイ87の溝底部87eの位置となっている。
吸引管151は突出部17aの上面から延出し、前方に屈曲して吸引部152に接続されている。吸引管151の前後方向の位置は、ダイ87の溝底部87eの上方である。
【0021】
次に、本体部17の内部構造について図3図5も参照して説明する。
図3は、図2に示される金型清掃装置1のハウジング11を一部除いた状態を示す斜視図である。図4は、金型清掃装置1の第1ブラシ部12及び第2ブラシ部13とダイ87との前後方向の位置関係を示す側面図である。図5は、曲げ加工機92における金型清掃装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0022】
本体部17は、内部に第1ブラシ部12と第2ブラシ部13とを有する。
第1ブラシ部12と第2ブラシ部13とは、同じ構造を有し、第2ブラシ部13は、第1ブラシ部12に対し、右前方に平行移動した位置に配置されている。
【0023】
第1ブラシ部12は、第1ブラケット124と、第1シャフト122を駆動軸として有する第1モータ121と、第1ブラシ123とを含んで構成されている。
第1ブラケット124は、本体部17のフレーム(不図示)に固定され、第1シャフト122が挿通して第1モータ121を支持している。第1モータ121は、回転軸線CL12が前後方向に水平に延びるよう配置されている。
第1シャフト122の先端には、円柱状の第1ブラシ123が同芯で取り付けられている。
【0024】
図4に示されるように、第1ブラシ部12の第1ブラシ123は、前後方向においてダイ87の第1肩部87aに掛かる位置にあり、上下方向には第1肩部87aに適度に干渉する位置にある。
【0025】
第2ブラシ部13は、第2ブラケット134と、第2シャフト132を駆動軸として有する第2モータ131と、第2ブラシ133とを含んで構成されている。
第2ブラケット134は、本体部17のフレーム(不図示)に固定され、第2シャフト132が挿通して第2モータ131を支持している。第2モータ131は、回転軸線CL13が前後方向に水平に延びるよう配置されている。
すなわち、第1モータ121の第1回転軸線である回転軸線CL12と第2モータ131の第2回転軸線である回転軸線CL13とは左右方向に平行にずれて配置されている。
第2シャフト132の先端には、円柱状の第2ブラシ133が同芯で取り付けられている。
【0026】
図4に示されるように、第2ブラシ部13の第2ブラシ133は、前後方向においてダイ87の第2肩部87bに掛かる位置にあり、上下方向には第2肩部87bに適度に干渉する位置にある。
第1ブラシ123及び第2ブラシ133は、同じ外径と軸方向長さを有し、回転軸線CL12と回転軸線CL13との左右方向の距離は、第1ブラシ123と第2ブラシ133とが干渉しないように離隔して設定されている。
第1ブラシ123及び第2ブラシ133は、材質や構造は限定されるものではなく、ダイ87の表面に回転接触した際に、その表面に付着したダストを除去できるものであればよい。
【0027】
第1モータ121及び第2モータ131は、例えばエアモータであり、制御部83の制御により、回転有無,回転方向,及び回転速度を含む回転動作(図3:矢印DR41,42参照)が制御される。
【0028】
第1ブラシ123及び第2ブラシ133の前後方向の位置及び軸方向の長さは、曲げ加工機92で使用が想定されるダイ87における、V溝部87Vの最大の幅での第1肩部87aと最小の幅での第1肩部87aとの前後方向位置と、その間の範囲をすべて含むように設定される。
図6は、第1ブラシ部12及び第2ブラシ部13と大小のダイ87との前後方向の位置関係を示す側面図である。図6において、ダイ87は、曲げ加工機92で使用が想定されるV溝部87Vの幅が最大のダイである場合が一点鎖線で示され、使用が想定されるV溝部87Vの幅が最小のダイである場合が実線で示されている。区別のため、後者のダイをダイ87Aと称する。
図6において、ダイ87の前後方向の中心位置Pcは中心線CL87で示されている。
【0029】
図6において、最大幅となるV溝部87Vを有するダイ87における第1肩部87aの後縁位置Paと中心位置Pcとの間の距離を距離La1とし、最小幅となるV溝部87Vを有するダイ87Aにおける第1肩部87Aaの前縁位置PAaと中心位置Pcとの間の距離を距離La2とする。
また、最大幅となるV溝部87Vを有するダイ87における第2肩部87bの前縁位置Pbと中心位置Pcとの間の距離を距離Lb1とし、最小幅となるV溝部87AVを有するダイ87Aにおける第2肩部87Abの後縁位置PAbと中心位置Pcとの間の距離を距離Lb2とする。
【0030】
図6に示されるように、第1ブラシ123の前後方向の位置及び長さは、少なくとも、後縁位置Paと前縁位置PAaとの間の距離La3の範囲を含むようになっている。
また、第2ブラシ133の前後方向の位置及び長さは、少なくとも、前縁位置Pbと後縁位置PAbとの間の距離Lb3の範囲を含むようになっている。
【0031】
図4に示されるように、吸引部152の吸引管151の先端は、上下方向に延び下端が吸引口151aとして開口している。吸引口151aの中心位置は、前後方向はダイ87の溝底部87eの位置と同じであり、左右方向は、回転軸線CL12と回転軸線CL13との間の区間の中央位置である。
【0032】
チャンネルブラシ141の上下方向位置は、先端となる下端が、ダイ87の溝底部87eに対しある程度干渉して接触し、ダストTa(図7参照)を良好に掃き出せるように作業者によって調整される。
【0033】
金型清掃装置1は、図7に示される清掃態様でダイ87の清掃を行う。
図7は、金型清掃装置1によるダイ87の清掃態様を示す後面図である。
金型清掃装置1は、制御部83の制御によって、ダイ87とパンチ822とが上下方向に離隔された状態でダイ87の清掃を実行する。制御部83は、金型清掃装置1による清掃を、作業者による入力部84からの清掃実行指示の入力又は記憶部832に記憶された清掃プログラムに基づいて行う。
【0034】
制御部83は、第1モータ121及び第2モータ131(図3参照)を動作させて第1ブラシ123及び第2ブラシ133を回転させる。回転方向は、例えば図7に示されるように互いに逆方向であって第1ブラシ123は図7の時計回り方向(矢印DR5参照)、第2ブラシ133は図7の反時計回り方向(矢印DR6参照)である。
また、制御部83は、吸引モータ153(図1及び図5参照)を動作させて吸引口151aからの空気の吸引を開始する(矢印DR8参照)。
【0035】
制御部83は、吸引口151aからの空気の吸引動作を実行し、第1ブラシ123及び第2ブラシ133を回転させた状態で、アクチュエータ86(図1及び図5参照)を動作させて金型清掃装置1をダイ87の右方側から左方側に移動する(矢印DR71参照)。
これにより、チャンネルブラシ141は、V溝部87Vの溝底部87eに蓄積したダストTaを左方に移動させ、第1ブラシ123及び第2ブラシ133は、それぞれ第1肩部87a及び第2肩部87bを擦って付着したダストTbを剥がし巻き上げる。
【0036】
チャンネルブラシ141がダイ87の左端(図7の右端)に移動すると、ダストTaはチャンネルブラシ141によって溝底部87eから掃き出されて落下しダストボックス814に収容される。
第1ブラシ123及び第2ブラシ133に巻き上げられたダストTbは、吸引口151aから吸引管151内に吸引され、吸引部152のダスト収容ボックス(不図示)に回収収容される。制御部83は、必要に応じて金型清掃装置1をダイ87の左右端間で往復移動させる(矢印DR7参照)。金型清掃装置1を右方(図7の左方)に移動した際には、チャンネルブラシ141に掃き出されたダストTaはダストボックス813に落下して収容される。
【0037】
このように、金型清掃装置1により、溝底部87eに蓄積したダストTa及び第1肩部87a及び第2肩部87bに付着したダストTbは良好に除去される。
また、除去されたダストTaはダストボックス814又はダストボックス813に収容され、ダストTbは吸引部152に収容される。
作業者は、ダストボックス813,814及び吸引部152に収容されたダストTa及びTbを、適宜回収して廃棄する。
【0038】
以上詳述のように、金型清掃装置1は、第1肩部87aと第2肩部87bのそれぞれを清掃する第1ブラシ123及び第2ブラシ133を有する。第1ブラシ123及び第2ブラシ133は、ダイ87のV溝部87Vの延在方向に直交する互いに平行な回転軸線をもつようにV溝部87Vの延在方向に離隔して配置されている。第1ブラシ123及び第2ブラシ133は、同径の円柱形状とされ、制御部83の制御の下、回転しながらそれぞれ第1肩部87a及び第2肩部87bを擦ってV溝部87Vの延在方向に移動し、付着したダストTbを剥いで清掃する。
【0039】
上述の構成及び動作によって、金型清掃装置1は、ダイ87の大きさに伴いV溝部87Vの幅が異なっていても第1肩部87a及び第2肩部87bの清掃が可能であり、大型のダイ87も自動的に清掃できる。
金型清掃装置1は、ダイ87の溝底部87eを掃くチャンネルブラシ141を有する。これにより、金型清掃装置1のV溝部87Vの延在方向への移動により溝底部87eのダストTaを溝底部87eから外部に掃き出すことができ、ダイ87をより良好に清掃できる。
【0040】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0041】
第1ブラシ123及び第2ブラシ133の回転方向は限定されないが、金型清掃装置1が吸引装置15を備える場合は、上述のように、第1ブラシ123及び第2ブラシ133の互いの他方のブラシ側の回転面が上方に向け移動する回転方向とするとよい。これにより、ダストTbは、第1ブラシ123及び第2ブラシ133に擦られて第1ブラシ123と第2ブラシ133との間の位置で上方に巻き上げられるので、その上方に配置された吸引口151aに良好に吸引される。
【0042】
吸引口151aは、第1ブラシ部12及び第2ブラシ部13との間に一か所設置する例を説明したが、図8に示されるように、第1肩部87aと第2肩部87bとのそれぞれに対応して二つ備えてもよい。図8は、金型清掃装置1が備える吸引装置15の変形例を示す斜視図である。
図8に示されるように、吸引管151の先端部は、第1肩部87aの上方に開口する分岐管151bと第2肩部87bの上方に開口する分岐管151cとに分岐している。
これにより、第1肩部87aから巻き上げられたダストTaは直上の分岐管151bに吸引され、第2肩部87bから巻き上げられたダストTaは直上の分岐管151cから吸引されるので、ダストTaの吸引は良好に実行される。
【符号の説明】
【0043】
1 金型清掃装置
11 ハウジング
12 第1ブラシ部
121 第1モータ
122 第1シャフト
123 第1ブラシ
124 第1ブラケット
13 第2ブラシ部
131 第2モータ
132 第2シャフト
133 第2ブラシ
134 第2ブラケット
14 チャンネルブラシ部
141 チャンネルブラシ
142 ブラシホルダ
143 ブラケット
143a 基部
143b 腕板部
144 固定具
145 蝶ねじ
146 長孔
15 吸引装置
151 吸引管
151a 吸引口
151b,151c 分岐管
152 吸引部
153 吸引モータ
16 支持部
17 本体部
17a 突出部
7 ロボットハンド装置
81 下部テーブル
811 ダイホルダ
813,814 ダストボックス
82 上部テーブル
821 パンチホルダ
822 パンチ(上部曲げ金型)
83 制御部
831 中央処理装置(CPU)
832 記憶部
84 入力部
85 ガイド部材
86 アクチュエータ
87,87A ダイ(下部曲げ金型)
87a,87Aa 第1肩部
87b,87Ab 第2肩部
87e 溝底部
87V,87AV V溝部
92 曲げ加工機
CL12,CL13 回転軸線
CL87 中心線
La1,La2,Lb1,Lb2,La3,Lb3 距離
PAa,Pb 前縁位置
Pa,PAb 後縁位置
Pc 中心位置
Ta,Tb ダスト
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8