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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165123
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】水路補修方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/02 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
E02B5/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070341
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】521167084
【氏名又は名称】共和コンクリート工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515249422
【氏名又は名称】プラフォームサンブレス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591273281
【氏名又は名称】株式会社アドヴァンス
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正之
(72)【発明者】
【氏名】西 清彦
(72)【発明者】
【氏名】細野 義則
(57)【要約】
【課題】水路強度を補強できるとともに撤去解体などをともなわないため施工性にも優れ、また水漏れ(止水)耐久性にも優れ、しかも並設するコンクリートブロックの肉厚を薄くできるため、施工も一層容易となりコスト高にもならず運搬も容易となり水路内空容積が減じることも抑制できる極めて実用性に優れた水路補修方法を提供すること。
【解決手段】既設水路1の水路形成壁部2の内側に、肉厚の薄いL形またはU形のコンクリートブロック3をこの水路形成壁部2に沿って順次水路長さ方向に並設し、この重合間隙4および突合せ目地部5に充填剤6を充填するとともに、連結手段7で連結して既設水路1とコンクリートブロック3とを一体化させて、新水路を既設水路1内側に形成する水路補修方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設水路の水路形成壁部の内側に、この水路壁部に重合するようにしてコンクリートブロックをこの水路形成壁部に沿って順次水路長さ方向に並設して、この既設水路を補修する水路補修方法であって、
一体形成されているL形の前記コンクリートブロック、または対向するL形部の底部が連設され一体形成されているU形の前記コンクリートブロックを、前記補修が必要な既設水路の前記水路形成壁部に前記コンクリートブロックの立設部が沿うようにしてこの順次水路長さ方向に並設し、このコンクリートブロックと前記水路壁部との重合間隙およびこのコンクリートブロック同士の突合せ目地部に接着連結させるための充填剤を充填するとともに、このコンクリートブロック同士を連結手段で連結して前記既設水路と前記コンクリートブロックとを一体化させて、土圧は前記既存水路の前記水路形成壁部で支持させることでその分肉厚を薄くまたは剛性を低く設定した一体形成品の前記コンクリートブロックで、この既設水路の水路形成壁部の内側に新水路壁部を形成して、水路強度および水路内空容積が減じることが抑制され漏水が生じない新水路を既設水路内側に形成することを特徴とする水路補修方法。
【請求項2】
前記既設水路の底部に敷材を敷設して補修底部を形成し、この補修底部上に前記コンクリートブロックの底部を配設して前記水路形成壁部に沿って並設することを特徴とする請求項1記載の水路補修方法。
【請求項3】
前記既設水路に沿って並設する前記コンクリートブロック同士の突き合わせ間に圧接して水漏れを阻止する弾性を有する弾性シーリング材を介存したことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の水路補修方法。
【請求項4】
前記コンクリートブロックの突き合わせ縁部に前記連結手段としての連結具をインサート成形により設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水路補修方法。
【請求項5】
前記コンクリートブロックの突き合わせ縁部に前記連結手段としての連結具を配設する連結具配設用凹部を設け、この凹部内に設けた前記連結具同士を係止連結することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水路補修方法。
【請求項6】
前記コンクリートブロックの前記立設部の高さは、前記水路形成壁部の高さより高く設定したことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水路補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽・劣化した水路を補修・補強する水路補修方法であって、既設水路、たとえば土圧を支持する水路形成壁部をコンクリートブロックで形成した水路、石積したあるいはブロック積した水路、または土を固めるなどした土側溝などの既設水路の水路形成壁部の内側に、この水路形成壁部に沿う(重合する)ようにしてコンクリートブロックを順次水路長さ方向に並設して、この既設水路内側に新たな水路を形成することで既設水路を補修・補強する水路補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水路の老朽・劣化(機能低下)の要因として、コンクリートブロックで形成した水路では、コンクリートの摩耗、凍害、アルカリ骨材反応、水路内の転石による衝撃、移動、外力による破壊などがあり、石積みあるいはブロック積みの水路では、湧水による石などによる脱落、土塊変形による変形、沈下・漏水などがあり、その補修方法としては、改修(壊して作り直し)、無機素材あるいは有機素材による塗装、パネル貼り付け補修などが行われている。
【0003】
すなわち、老朽・劣化し水路機能が低下した側壁部・渠底部を補修・補強するための水路補修方法としては、これまで様々な工法が提案され施工されてきているが、いずれも広範囲に補修するにはその施工作業がやっかいであったり、大がかりな補強工事や止水作業が必要であったり、これまで水路保持強度や水漏れ止水耐久性に優れ、水路内空容積を大きく減じさせない新水路に容易に補修施工できる工法はなかった。
【0004】
たとえば、前述のように、無機素材や有機素材を被覆する補修方法が提案されているが、いずれも現場施工で天候や施工条件に影響を受けやすく、品質管理が不十分な施工が多かった。
【0005】
また、パネル系を重合被覆する補修方法では、既設水路形成に即した重合形状をとっていないため、隅角部では突合せ構造となり水路機能回復が十分になされない。
【0006】
またさらに説明すれば、水路形成壁部の内側に補修縦パネルと補修底パネルを連結しこれらを水路方向に順次並設し、水路形成壁部との重合間隙に接着剤(モルタルなどの充填剤)を充填させたり、底部の一部にL形の補修パネルを固定しその内側の重合間隙にモルタルを充填する工法などが提案されているが、このパネルの現場への運搬は容易であっても水路強度は補強されないし、既設水路の水路形成壁部にアンカーボルトなどで確固に固定しなければならず、施工は容易でない、特に水路に沿って広範囲に補修する場合はその施工は非常にやっかいである。また止水も十分に行えず強度も水漏れ(止水)耐久性も結局既存水路にほぼ完全に頼る補修工法であり、水路機能回復には至らず一部の損傷部分や凹凸部分を修復する工法であって逐次各個に修復するに適した工法にすぎず、コストもかかる工法である。(特許文献1特開2011-94441号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-94441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を見出し、これを解決するもので、補修パーツであるコンクリートブロックは一体成形品で、これを水路形成壁部内側に並設するため補強作用を奏しまた量産可能であり、さらにこれを並設する施工も容易で、またこれを連結固定する充填作業も連結手段による連結作業も容易であるため、施工性に優れるとともに強度や水漏れ(止水)耐久性にも優れ、しかも既設水路で土圧を受けつつその内側にコンクリートブロックを設置して補強しこの内側に新水路を形成する補修方法であるため、このコンクリートブロックはたとえば全く新たに水路を構築する場合のコンクリートブロックに比べて薄く設定可能であることから、施工も一層容易でコスト高にもならず運搬も容易となり水路内空容積が減じることも抑制できるなど極めて実用性に優れた画期的な水路補修方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
既設水路1の水路形成壁部2の内側に、この水路壁部2に重合するようにしてコンクリートブロック3をこの水路形成壁部2に沿って順次水路長さ方向に並設して、この既設水路1を補修する水路補修方法であって、一体形成されているL形の前記コンクリートブロック3、または対向するL形部の底部が連設され一体形成されているU形の前記コンクリートブロック3を、前記補修が必要な既設水路1の前記水路形成壁部2に前記コンクリートブロック3の立設部が沿うようにしてこの順次水路長さ方向に並設し、このコンクリートブロック3と前記水路壁部2との重合間隙4およびこのコンクリートブロック3同士の突合せ目地部5に接着連結させるための充填剤6を充填するとともに、このコンクリートブロック3同士を連結手段7で連結して前記既設水路1と前記コンクリートブロック3とを一体化させて、土圧は前記既存水路1の前記水路形成壁部2で支持させることでその分肉厚を薄くまたは剛性を低く設定した一体形成品の前記コンクリートブロック3で、この既設水路1の水路形成壁部2の内側に新水路壁部を形成して、水路強度および水路内空容積が減じることが抑制され漏水が生じない新水路を既設水路1内側に形成することを特徴とする水路補修方法に係るものである。
【0011】
また前記既設水路1の底部に敷材を敷設して補修底部8を形成し、この補修底部8上に前記コンクリートブロック3の底部を配設して前記水路形成壁部2に沿って並設することを特徴とする請求項1記載の水路補修方法に係るものである。
【0012】
また前記既設水路1に沿って並設する前記コンクリートブロック3同士の突き合わせ間に圧接して水漏れを阻止する弾性を有する弾性シーリング材10を介存したことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の水路補修方法に係るものである。
【0013】
また前記コンクリートブロック3の突き合わせ縁部に前記連結手段7としての連結具7をインサート成形により設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水路補修方法に係るものである。
【0014】
また前記コンクリートブロック3の突き合わせ縁部に前記連結手段7としての連結具7を配設する連結具配設用凹部9を設け、この凹部9内に設けた前記連結具7同士を係止連結することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水路補修方法に係るものである。
【0015】
また前記コンクリートブロック3の前記立設部の高さは、前記水路形成壁部2の高さより高く設定したことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水路補修方法に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、補修パーツであるコンクリートブロックは一体成形品で、これを水路形成壁部内側に並設するため補強作用を奏しまた量産可能であり、さらにこれを並設する施工も容易で、またこれを連結固定する充填作業も連結手段による連結作業も容易であるため、施工性に優れるとともに強度や水漏れ(止水)耐久性にも優れ、しかも既設水路で土圧を受けつつその内側にコンクリートブロックを設置して補強しこの内側に新水路を形成する補修方法であるため、このコンクリートブロックはたとえば全く新たに水路を構築する場合のコンクリートブロックに比べて薄く設定可能であることから、施工も一層容易でコスト高にもならず運搬も容易となり水路内空容積が減じることも抑制できるなど極めて実用性に優れた画期的な水路補修方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例(実施例1)の説明斜視図である。
図2】本実施例のL形コンクリートブロックの説明斜視図である。
図3】本実施例の充填剤注入前の説明正面図である。
図4】本実施例の並設工程の説明平面図である。
図5】本実施例の並設工程の要部の拡大説明平面図と拡大説明側断面図である。
図6】別例(実施例2)のU形のコンクリートブロックの説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0019】
既設水路1の水路形成壁部2の内側に、一体成形されていて量産が容易なL形またはU形のコンクリートブロック3をこの水路形成壁部2に沿って順次水路長さ方向に並設して、補修する。
【0020】
すなわち、一体形成されているたとえば肉厚の薄いL形のコンクリートブロック3、または水路幅が狭ければ、対向するL形部の底部が連設され一体形成されている肉厚の薄いU形のコンクリートブロック3(の立設部)を、補修が必要な既設水路1の水路形成壁部2に沿う(重合する)ようにして順次水路長さ方向に並設する。
【0021】
そして、このコンクリートブロック3(立設部背面)と前記水路形成壁部2との重合間隙4およびこのコンクリートブロック3同士の突合せ目地部5に、接着連結させるための充填剤6(モルタルなどの充填グラウト)を充填するとともに、このコンクリートブロック3同士を連結手段7で連結して前記既設水路1と前記コンクリートブロック3とを一体化させる。
【0022】
したがって、この既設水路1の水路形成壁部2の内側に順次並設し連結固定された前記コンクリートブロック3により新水路形成壁部が形成され新水路が形成される。すなわち、水路強度および水路内空容積が減じることが抑制され漏水が生じない新水路が既設水路1内側に形成され、既設水路1は補修されることとなる。
【0023】
すなわち、一体成形されたL形やU形のコンクリートブロック3を、既設水路1の水路形成壁部2の内側に並べ、重合隙間4および突合せ目地部5に充填剤6を充填するとともに連結手段7で連結止めすることで、簡易な施工により既設水路1をコンクリートブロック3で強固に補強できるとともに、漏水なく止水耐久性にも優れ、しかも既設水路1周辺の土圧はこの既存水路1の水路形成壁部2で支持されるので、さらに補強するこのコンクリートブロック3はその厚さを薄くまたは剛性を低く設定した一体形成品とすることができるため、このような肉厚の薄いコンクリートブロック3で水路強度を補強できるため、一層施工も運搬も量産も容易となり、またその分コスト高にもならず水路内空容積が大きく減じることも抑制できることとなる。
【0024】
言い換えると、既設水路1で土圧を受けその内側に補強するコンクリートブロック3を設置して新水路を形成する補修工法であるため、全く新たに水路を構築する場合に用いるコンクリートブロック(一般の汎用水路コンクリート製品)に比べてたとえば肉厚を薄く設定可能であることから、肉厚を薄く設定した一体形成品の前記コンクリートブロック3で水路強度を増強できることとなる。そのため、成形品であるコンクリートブロック3を順次並べ、充填剤6と連結手段7で連結固定するため施工が容易でさらにこのコンクリートブロック3は比較的軽量にもできることにもなるから、その生産性、運搬容易性も含めて一層施工は容易となり、またコスト高にもならず、また水路内空容積が減じることも抑制できることとなる。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0026】
たとえば土圧を支持する水路形成壁部2をコンクリートブロックで形成した水路、石積みしたあるいはブロック積みした水路、または土を固めるなどした土側溝など様々水路があるが、老朽・劣化し水路機能が低下したこのような水路の水路形成壁部2に沿う(重合)するように、この水路形状に即したコンクリートブロック3を敷き並べ設置し、漏水・劣化部被覆・線形補正などの機能改善を図る補修方法であって、本実施例では、たとえば土圧を支持する比較的厚いコンクリートブロックで水路形成壁部2が形成されている既設水路1のこのコンクリートブロック製の水路形成壁部2の内側に、新規に量産した肉厚の薄いコンクリートブロック3を、すなわち一体成形されていて量産が容易なL形で薄いコンクリートブロック3を、水路幅が大きいため対向状態にして、且つ対向する双方の水路形成壁部2に沿うようにして、順次水路長さ方向に並設し補修する工法としている。
【0027】
具体的には、既設水路1の肉厚のコンクリートブロック製の水路形成壁部2を清掃し、既設水路1底部に敷材を敷設して(たとえば敷モルタルを打設して)補修底部8を形成し、補修が必要な既設水路1のこの水路形成壁部2の内側に、一体形成されている肉厚の薄いL形のコンクリートブロック3(一般の水路コンクリートブロック製品に比べて肉厚が薄いL形のコンクリートブロック3)をこのコンクリートブロック3の立設部を重合させる(沿う)ようにして順次水路長さ方向に並設している。
【0028】
そしてこのコンクリートブロック3の肉厚の薄い立設部の背面と前記水路壁部2との重合間隙4およびこのコンクリートブロック3同士の突合せ目地部5に、接着連結させるための充填剤6(充填グラウト)を充填するとともに、このコンクリートブロック3同士を連結手段7で連結して前記既設水路1と前記コンクリートブロック3とを一体化させて、この既設水路1の古い水路形成壁部2の内側に前記コンクリートブロック3による新水路形成壁部を形成して、水路強度が補強され水路内空容積が減じることが抑制され、漏水も生じない新水路をこの既設水路1内側に形成し補修する水路補修方法としている。
【0029】
また、本実施例では、このように既設水路1の水路形成壁部2でこれまでどおり土圧を受けつつその内側に新しく肉厚の薄いコンクリートブロック3を設置して新水路を形成する補修工法であるため、全く新たに水路を構築する場合に用いるコンクリートブロックに比べて肉厚を薄く設定できる(たとえば1/2以下の厚さ、たとえば立設部の厚さ50~70mm、底部の厚さ50~70mmに設定できる)。
【0030】
すなわち、水路を新設する場合に土圧に対応しなければならない厚さや剛性を有せずともよいので、本実施例では、これを踏まえて材質は同じまま肉厚を薄く設定した薄形の一体形成品の前記コンクリートブロック3を採用し、これを量産して現場へ運搬し、既設水路1内に並べる工法として、コンクリートブロック3で強固に補強できる工法としている。そしてこのように、成形品であるコンクリートブロック3を順次並べて既設水路1を補強し、充填剤6と連結手段7で連結する工法のため施工も容易で、さらにこのコンクリートブロック3は前述のように肉厚が薄く比較的軽量にもできることとなるから、その生産性、運搬容易性も含めて一層施工は容易となり、コスト高にもならず、また比較的薄いため水路内空容積を減じることも抑制できることとなる。
【0031】
言い換えると、補修補強パーツであるコンクリートブロック3は量産可能で、これを並設する施工も容易で、これを連結固定する充填作業も連結手段7による連結作業も容易であるため、施工性に優れるとともに既設水路1を補強でき、水漏れ(止水)耐久性にも優れ、しかも前述のように既設水路1で土圧を受けつつその内側にコンクリートブロック3を設置して補強補修して新水路を形成する補修方法であるため、水路強度が補強される上、全く新たに水路を構築する場合のコンクリートブロックに比べて薄く設定可能であることから、施工も一層容易でコスト高にもならず運搬も容易となり水路内空容積が減じることも抑制できるなど極めて実用性に優れた画期的な水路補修方法となる。
【0032】
またたとえば、対象水路形状に沿うように工場生産された(品質管理された)コンクリートブロック3を一体化または分割して搬入据付しクリアランスには同系(コンクリート系)の充填剤6で接合するため、調達コスト、品質は安定し、前述のように施工は容易である。またこの既設水路1と同形状を基本とするので、渠底部でクリアランスを確保すれば水路天端部も担保できる。
【0033】
また機械施工が可能であるので、施工性が向上しこの補修のための共用停止期間を短縮できる。
【0034】
またこのように本実施例では、既設水路1が外力に抵抗しているので、コンクリートブロック3は薄くてよく、既設水路1の素材劣化に対する機能低下の改善回復を目的とした施工となり、この意味でも施工性を向上できることとなる。
【0035】
また、石積みあるいはブロック積みして土留めされている既設水路1で土圧などの外力が掛かっていない水路において、水路幅が上下流で異なっていた場合には、新規の薄型コンクリートブロック3を両側に設置し渠底中央部をコンクリートで後打ち施工して不揃いであった水路幅も適合でき修復することもできる。
【0036】
また本実施例では、前述のように前記既設水路1の底部に敷材を敷設して(たとえば敷モルタルを打設して)補修底部8を形成して水路の縦断勾配調整なども行い、この補修底部8上に前記コンクリートブロック3の底部を配設してさらに勾配微調整なども行って前記水路形成壁部2に沿って並設している。
【0037】
また、たとえば既設水路1の幅が狭くU形のコンクリートブロック3を用いる場合は、さらに施工が容易となるが、この場合(別例の実施例2)もこの肉厚が薄いU形コンクリートブロック3をこの補修底部8上に設置し水路方向に並設する。
【0038】
また本実施例のL形のコンクリートブロック3の場合、この対向するL形のコンクリートブロック3の対向底部間に、底部コンクリートブロック11(床板)を介存状態にしてこの補修底部8上に設置し、さらにこれらを左右のコンクリートブロック3に連結するように(この目地部にも充填剤6を充填して連結し)施工してもよい。
【0039】
また、本実施例では、前記既設水路1に沿って並設する前記コンクリートブロック3同士の突き合わせ目地部5間と、前記水路形成壁部2と立設部との間の重合間隙4とに充填剤6(モルタルなどの充填グラウト)を充填し一体化して接着連結するが、本実施例ではこの突合せ目地部5の表面に間隙を生じさせる形状にコンクリートブロック3を形成し、これに充填している。すなわち、間隙が生じないように突き合わせてもこの表面(内表面)に目地凹部を一体形成しておき、この突き合わせ目地部5の内表面に形成される目地凹部に充填剤6を注入するようにしている。
【0040】
また本実施例では、コンクリートブロック3の突き合わせ縁部(突合せ端面)間に、このコンクリートブロック3が前述のように突き合わせ目地部5内の間隙がほとんど生じないように引き寄せられて突き合わる際に、潰され圧接する弾性棒材を採用した弾性シーリング材10を介存し止水性を高めた工法としている。
【0041】
具体的には、コンクリートブロック3の立設部および底部の並設突合せ面の端面に、この弾性シーリング材10をやや突出状態に係合配設する係合凹部を設け、これに弾性シーリング材10を付設しておき、このコンクリートブロック3に対して並設するコンクリートブロック3を引き寄せ具などを用いて引き寄せることでこのシーリング材10を潰して弾性圧接し、さらに前述のようにこの突合せ目地部5の内表面の目地凹部内に充填剤6を充填することで、この充填剤6による止水だけでなく前記シーリング材10の圧接により止水性が極めて向上し水漏れのない新水路が形成される工法としている。
【0042】
また本実施例では、前記コンクリートブロック3の突き合わせ縁部に突き合わせたコンクリートブロック3が離反することを阻止する連結手段7としての連結具7をインサート成形により設けている。
【0043】
具体的には、コンクリートブロック3の突き合わせ縁部に前記連結手段7としての連結具7を配設する連結具配設用凹部9を設け、連結具7の基部はインサート成形によりコンクリートブロック3内に埋設され、この先端部がこの凹部9内に突出状態に露出するとともにコンクリートブロック3の底内面に対しては凹部9内に収まり突出しないように配設し、この凹部9内の連結具7同士を係止連結する工法としている。
【0044】
さらに具体的に説明すると本実施例では、この連結具7同士の連結をコンクリートブロック3を突合せ並設した後に係止連結できるように、前記凹部9内で露出し互いに近接した連結具7に係止部を設け、この各係止部に係合連結する別パーツの係止連結具7を重合係止連結して、突き合わせたコンクリートブロック3を係止連結する構成としている。
【0045】
この点さらに説明すると、被覆するコンクリートブロック3を並設する場合、突合せ面の漏水が問題となるが、本実施例では、これを防止する構造として、1弾性シーリング10を介存しこれを圧縮接合することで効果を発揮させている。2この弾性シーリング材10はある程度の圧縮変形を与えて防水機能を向上させている。3連結手段7(連結具)は引き寄せ係止金具として、弾性シーリング材10の圧縮変形状態を保持させるように構成している。4この連結具7は引き寄せ動作機能と間隔保持機能を兼ね備えた構成としている。5コンクリートブロック3は薄いので、既存のコンクリートブロック同士を連結する金具は採用できず、6前述のような機能を果たす金具を開発し採用しているが、この連結金具7は並設方向の離れ止め力は大きいが、上下、左右の止め力は小さい。上記1~6の点を考慮して漏水を確固に抑制している。
【0046】
また本実施例では、前記コンクリートブロック3の肉厚の薄い立設部の高さを、前記既設水路1の前記水路形成壁部2の高さよりやや高く設定し、この高さ分水路内空容積を稼ぎ水路内空容積が減じることをさらに抑制している。
【0047】
すなわち、コンクリートブロック3の肉厚は薄く設定してはいるが、その分水路内空容積が減じてしまうことになる。しかし、たとえばこの既存水路1の容積減率が大きい場合には、このように立設部の高さを既設水路1よりやや高くして水路内空容積を保持または増大できるように構成している。
【0048】
またたとえ水路内空容積が減じても、コンクリートブロック3について、水路形成壁部(立設部)などの粗度(内空粗度)を低下できる材質のコンクリートブロック3を採用することで、水路内空容積が減じても流下能力が減じることのないようにするあるいはこれにより流下能力を向上させることも可能である。
【0049】
すなわち、水路機能として水路内空容積と流下能力の関係があるが、本実施例では、既設水路内空にコンクリートブロック3を設けるので、水路内空容積は減少するその分高さ方向で容積が確保される。また流下能力は、水路内空容積と、内空粗度、流下勾配などの要因を持つが、本実施例では、既設水路1を使用する補修方法であるので、流下勾配は既存のまま粗度の向上と水路内空容積の確保で向上させることができる。
【0050】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0051】
1 既設水路
2 水路形成壁部
3 コンクリートブロック(L形またはU型)
4 重合間隙
5 突合せ目地部
6 充填剤
7 連結手段(連結具)
8 補修底部
9 連結具配設用凹部
10 弾性シーリング材
図1
図2
図3
図4
図5
図6