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特開2022-165137ストーマ装具用面板、ストーマ装具セット及びストーマ装具
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  • 特開-ストーマ装具用面板、ストーマ装具セット及びストーマ装具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165137
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ストーマ装具用面板、ストーマ装具セット及びストーマ装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
A61F5/445
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070371
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 詩乃
(72)【発明者】
【氏名】浅野 元彦
(72)【発明者】
【氏名】福井 雄大
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC18
4C098CE02
4C098CE14
(57)【要約】
【課題】ストーマへの位置合わせを容易に行うことができるストーマ装具用面板を提供する。
【解決手段】本発明に係るストーマ装具用面板は、粘着剤層と、鏡面層とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層と、鏡面層とを備える、ストーマ装具用面板。
【請求項2】
基材を備え、
前記粘着剤層と、前記鏡面層と、前記基材とがこの順に配置されている、請求項1に記載のストーマ装具用面板。
【請求項3】
前記鏡面層が、金属層である、請求項1又は2に記載のストーマ装具用面板。
【請求項4】
前記鏡面層が、アルミニウム層又はチタン層である、請求項1~3のいずれか1項に記載のストーマ装具用面板。
【請求項5】
前記鏡面層が、金属のスパッタリング層又は金属の蒸着層である、請求項1~4のいずれか1項に記載のストーマ装具用面板。
【請求項6】
前記鏡面層の厚みが、30nm以上10μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のストーマ装具用面板。
【請求項7】
鏡面保護層を備え、
前記粘着剤層と、前記鏡面保護層と、前記鏡面層とがこの順に配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のストーマ装具用面板。
【請求項8】
前記鏡面保護層が、酸化被膜層である、請求項7に記載のストーマ装具用面板。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のストーマ装具用面板と、
ストーマパウチとを有する、ストーマ装具セット。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のストーマ装具用面板と、
ストーマパウチとを備え、
前記ストーマ装具用面板と前記ストーマパウチとが一体化している、ストーマ装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーマ装具用面板に関する。また、本発明は、上記ストーマ装具用面板を用いたストーマ装具セット及びストーマ装具に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患等により、ストーマ(人工肛門及び人工膀胱等)を腹部に造設することがある。ストーマ保有者は、自身の意思により排泄を制御できないため、ストーマ装具を装着する必要がある。ストーマ装具は、一般に、ストーマを囲むように皮膚に装着される面板と、ストーマからの排泄物を受けるストーマパウチとを備える(例えば下記の特許文献1)。
【0003】
また、下記の特許文献2には、ストーマ装具を装着しやすくするための補助具が記載されている。この補助具は、拡大鏡を有し、大腿部に取り付けて用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-064107号公報
【特許文献2】特開2015-126847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
面板の腹部への装着は、ストーマ保有者自身が行うことが一般的である。しかしながら、ストーマ周辺には凹凸があり、また、ストーマの下部は見にくいため、面板とストーマとの位置合わせが困難なことがある。WOCナースにより、鏡を用いるなどして面板を適切な位置に装着することが指導されているものの、ストーマ保有者は高齢者も多く、指導通りの手順で面板がストーマへ装着されることは少ない。また、上記特許文献2の補助具では、使用時に、該補助具を大腿部に取り付ける必要があるため煩雑である。
【0006】
適切な位置に面板が装着されない場合には、排泄物に起因する皮膚トラブルが生じたり、排泄物が漏れるなどのトラブルが生じたりする。さらに、ストーマ造設後、ストーマ保有者が自身でストーマ装具を適切に装着できず、トレーニングのために入院日数が延びるという問題も生じている。
【0007】
本発明の目的は、ストーマへの位置合わせを容易に行うことができるストーマ装具用面板を提供することである。また、本発明の目的は、上記ストーマ装具用面板を用いたストーマ装具セット及びストーマ装具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広い局面によれば、粘着剤層と、鏡面層とを備える、ストーマ装具用面板(以下、面板と略記することがある)が提供される。
【0009】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記面板は、基材を備え、前記粘着剤層と、前記鏡面層と、前記基材とがこの順に配置されている。
【0010】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記鏡面層が、金属層である。
【0011】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記鏡面層が、アルミニウム層又はチタン層である。
【0012】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記鏡面層が、金属のスパッタリング層又は金属の蒸着層である。
【0013】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記鏡面層の厚みが、30nm以上10μm以下である。
【0014】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記面板は、鏡面保護層を備え、前記粘着剤層と、前記鏡面保護層と、前記鏡面層とがこの順に配置されている。
【0015】
本発明に係る面板のある特定の局面では、前記鏡面保護層が、酸化被膜層である。
【0016】
本発明の広い局面によれば、上述したストーマ装具用面板と、ストーマパウチとを有する、ストーマ装具セットが提供される。
【0017】
本発明の広い局面によれば、上述したストーマ装具用面板と、ストーマパウチとを備え、前記ストーマ装具用面板と前記ストーマパウチとが一体化している、ストーマ装具が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るストーマ装具用面板は、粘着剤層と、鏡面層とを備えるので、ストーマへの位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る面板を模式的に示す平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0021】
(ストーマ装具用面板)
本発明に係るストーマ装具用面板(以下、面板と略記することがある)は、粘着剤層と、鏡面層とを備える。
【0022】
本発明に係る面板では、面板にストーマ及びその周辺を映すことができるので、ストーマへの位置合わせを容易に行うことができる。したがって、本発明に係る面板では、適切な位置に面板を装着することができ、その結果、排泄物に起因する皮膚トラブル及び排泄物の漏れを生じにくくすることができる。
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
【0024】
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る面板を模式的に示す平面図及び断面図である。図1(b)は、図1(a)のI-I線に沿う断面図である。
【0025】
図1に示す面板10は、粘着剤層1と、鏡面保護層4と、鏡面層2と、基材3とをこの順に有する。また、面板10は、ストーマ孔10aを有する。
【0026】
粘着剤層1は、第1の表面1aと、第2の表面1bとを有する。第1の表面1aと第2の表面1bとは互いに対向する表面である。粘着剤層1の第1の表面1aは、皮膚に貼り付けられる側の表面である。
【0027】
鏡面層2は、鏡面を有する層である。鏡面層2は、第1の表面2aと、第2の表面2bとを有する。第1の表面2aと第2の表面2bとは互いに対向する表面である。面板10では、鏡面層2の第1の表面2aが、鏡面である。
【0028】
鏡面保護層4は、鏡面層2の鏡面(第1の表面2a)を保護するための層である。
【0029】
粘着剤層1の第2の表面1b側に、鏡面保護層4が配置されており、積層されている。鏡面層2の第1の表面2a側に、鏡面保護層4が配置されており、積層されている。鏡面保護層4は、粘着剤層1と鏡面層2との間に配置されている。
【0030】
鏡面層2の第2の表面2b側に、基材3が配置されており、積層されている。
【0031】
面板10では、ストーマ保有者が粘着剤層1の第1の表面1a側を見たときに、鏡面に映るストーマ及びその周辺を視認可能である。そのため、ストーマへの位置合わせを容易に行うことができ、適切な位置に面板10を装着することができる。
【0032】
上記面板は、粘着剤層と、鏡面層とを備える。上記面板では、上記鏡面層の第1の表面側に、上記粘着剤層が配置されている。上記面板では、上記鏡面層の上記第1の表面(粘着剤層側の表面)が鏡面であることが好ましい。この場合には、ストーマへの位置合わせをより一層容易に行うことができる。なお、上記鏡面層の上記第1の表面とは反対側の第2の表面は、鏡面であってもよく、鏡面でなくてもよい。
【0033】
以下、面板を構成する各層について更に説明する。
【0034】
(粘着剤層)
上記面板は、粘着剤層を備える。上記粘着剤層と皮膚とを接着することにより、上記面板を装着することができる。
【0035】
上記粘着剤層は、粘着剤を含む。上記粘着剤として、面板に用いられている従来公知の粘着剤を使用可能である。上記粘着剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記粘着剤は、親水性ポリマーであってもよく、疎水性ポリマーであってもよく、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの混合物であってもよい。
【0037】
上記親水性ポリマーとしては、カラヤガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びコットンファイバー等が挙げられる。
【0038】
上記疎水性ポリマーとしては、ポリイソブチレン(PIB)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、エチレン・酢酸・ビニル・コポリマー(EVA)、マイクロファイバー、及び水素添加スチレン等が挙げられる。
【0039】
本発明の効果を効果的に発揮する観点から、上記粘着剤層は、透明粘着剤層であることが好ましい。
【0040】
上記粘着剤層の可視光線透過率は、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。上記可視光線透過率が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記粘着剤層の可視光線透過率は、95%以下であってもよく、90%以下であってもよく、85%以下であってもよい。
【0041】
上記粘着剤層の可視光線透過率は、粘着剤層単体での可視光線透過率である。上記可視光線透過率を測定するためのサンプルは、面板から粘着剤層を剥離して得ることができる。なお、粘着剤層の材料を用いて面板における粘着剤層と同一の厚みを有するサンプルを作製して可視光線透過率を測定してもよい。上記粘着剤層の可視光線透過率は、分光測色計(例えば、日本分光社製「分光光度計 V-670、積分球測定ユニット ISN-723」)を用い、かつ、ハロゲンランプを光源として用いて得られる透過スペクトルにより測定される。
【0042】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されない。上記粘着剤層の厚みは、100μm以上であってもよく、200μm以上であってもよく、2mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
【0043】
(鏡面層)
上記面板は、鏡面層を備える。上記鏡面層は、鏡面を有する層である。上記鏡面層において、上記粘着剤層側の表面が鏡面であることが好ましい。
【0044】
上記鏡面層は、金属層であることが好ましい。上記鏡面層は、鏡面を有する金属層であることが好ましい。上記金属層は金属を含む。上記金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
上記金属としては、アルミニウム、銀、チタン、鉄、白金及び金等が挙げられる。
【0046】
反射率が高く、本発明の効果がより一層効果的に発揮されることから、上記金属は、アルミニウム又はチタンであることが好ましく、アルミニウムであることがより好ましい。上記鏡面層は、アルミニウム層又はチタン層であることが好ましく、アルミニウム層であることがより好ましい。
【0047】
上記鏡面層100重量%中、金属の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より一層好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。上記金属の含有量が上記下限以上であると、反射率をより一層高めることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記鏡面層100重量%中、金属の含有量は、100重量%以下であってもよく、100重量%未満であってもよく、99重量%以下であってもよく、98重量%以下であってもよい。
【0048】
上記鏡面層がアルミニウムを含む場合に、上記鏡面層100重量%中、アルミニウムの含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より一層好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。上記アルミニウムの含有量が上記下限以上であると、反射率をより一層高めることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記鏡面層100重量%中、アルミニウムの含有量は、100重量%以下であってもよく、100重量%未満であってもよく、99重量%以下であってもよく、98重量%以下であってもよい。
【0049】
上記鏡面層がチタンを含む場合に、上記鏡面層100重量%中、チタンの含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より一層好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。上記チタンの含有量が上記下限以上であると、反射率をより一層高めることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記鏡面層100重量%中、チタンの含有量は、100重量%以下であってもよく、100重量%未満であってもよく、99重量%以下であってもよく、98重量%以下であってもよい。
【0050】
上記鏡面層は、例えば、基材上に、鏡面層の材料をスパッタリングしたり、蒸着したりすることより形成することができる。上記鏡面層は、金属のスパッタリング層又は金属の蒸着層であることが好ましく、金属のスパッタリング層であることがより好ましい。この場合には、上記鏡面層の厚みをより一層薄くすることができる。
【0051】
上記鏡面層の厚みは、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記鏡面層の厚みが上記下限以上であると、反射によるストーマ及びその周辺の視認性を向上させることができる。上記鏡面層の厚みが上記上限以下であると、面板の柔軟性を高めることができ、また、面板の重量を軽くすることができる。
【0052】
上記鏡面層の厚みは、面板の断面を電子顕微鏡で観察し、任意の10箇所における鏡面層の厚みを求め、それらの平均値を求めることにより算出することができる。
【0053】
(基材)
上記面板は、基材を備えることが好ましい。
【0054】
上記面板では、上記粘着剤層と、上記鏡面層と、上記基材とがこの順に配置されていることが好ましい。上記面板では、上記鏡面層の上記第2の表面側、すなわち、上記鏡面層の上記粘着剤層側とは反対の表面側に、上記基材が配置されていることが好ましい。
【0055】
ただし、上記基材が透明基材である場合に、上記基材(透明基材)は、上記鏡面層の上記第1の表面側に配置されていてもよい。上記基材が透明基材である場合に、上記粘着剤層と、上記基材(透明基材)と、上記鏡面層とがこの順に配置されていてもよい。この場合でも、ストーマ保有者が粘着剤層の上記第1の表面側を見たときに、鏡面に映るストーマ及びその周辺を視認可能であるため、ストーマへの位置合わせを容易に行うことができる。
【0056】
上記基材が透明基材である場合に、上記基材(透明基材)の可視光線透過率は、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。上記可視光線透過率が上記下限以上であると、上記鏡面層と上記基材と上記鏡面層とがこの順に配置されていた場合でも、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記基材(透明基材)の可視光線透過率は、95%以下であってもよく、90%以下であってもよく、85%以下であってもよい。
【0057】
上記基材の可視光線透過率は、基材単体での可視光線透過率である。上記可視光線透過率を測定するためのサンプルは、面板から基材を剥離して得ることができる。また、上記可視光線透過率を測定するためのサンプルとして、面板作製前の基材を用いてもよい。上記基材の可視光線透過率は、分光測色計(例えば、日本分光社製「分光光度計 V-670、積分球測定ユニット ISN-723」)を用い、かつ、ハロゲンランプを光源として用いて得られる透過スペクトルにより測定される。
【0058】
上記基材として、面板に用いられている従来公知の基材を使用可能である。上記基材の材料としては、合成樹脂及び金属等が挙げられる。上記基材の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
上記基材の厚みは、好ましくは100μm以上、より好ましくは300μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下である。上記基材の厚みが上記下限以上であると、面板の強度をより一層高めることができる。上記面板の厚みが上記上限以下であると、面板の柔軟性を高めることができる。
【0060】
(鏡面保護層)
上記面板は、鏡面保護層を備えることが好ましい。ただし、上記面板は、鏡面保護層を備えていなくてもよい。上記鏡面保護層は、上記鏡面を保護するための層である。上記面板では、上記粘着剤層と上記鏡面保護層と上記鏡面層とがこの順に配置されていることが好ましく、上記粘着剤層と上記鏡面保護層と上記鏡面層と上記基材とがこの順に配置されていることがより好ましい。上記鏡面保護層の第1の表面上に上記粘着剤層が積層されており、上記鏡面保護層の第1の表面とは反対側の第2の表面上に上記鏡面層が積層されていることが好ましい。上記面板が上記鏡面保護層を備えることにより、鏡面層中の金属成分が皮膚側(粘着剤層側)に移行し、移行した金属成分と皮膚とが接触することを効果的に防ぐこともできる。
【0061】
上記鏡面保護層の材料としては、金属酸化物、酸化ケイ素及び樹脂等が挙げられる。上記鏡面保護層の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
透過率を高める観点から、上記鏡面保護層は、酸化被膜層であることが好ましく、金属酸化被膜層であることがより好ましく、酸化アルミニウム層又は酸化ケイ素層であることが更に好ましく、酸化ケイ素層であることが特に好ましい。上記鏡面層がアルミニウム層である場合には、上記鏡面保護層は、酸化アルミニウム層又は酸化ケイ素層であることが好ましい。上記鏡面層が銀層又はチタン層である場合には、上記鏡面保護層は、金属酸化被膜層であることが好ましく、酸化ケイ素層であることがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0063】
上記鏡面保護層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記鏡面保護層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、金属成分と皮膚とが接触することを効果的に防ぐことができ、かつ面板の柔軟性を高めることができる。
【0064】
上記鏡面保護層の厚みは、面板の断面を電子顕微鏡で観察し、任意の10箇所における鏡面保護層の厚みを求め、それらの平均値を求めることにより算出することができる。
【0065】
(面板の他の詳細)
上記面板の形状は特に限定されない。上記面板の形状は、平板であってもよく、凸型であってもよい。
【0066】
上記面板は、厚み方向において、粘着剤層を有する部分と、粘着剤層を有さない部分とを有していてもよい。上記面板は、厚み方向において、鏡面層を有する部分と、鏡面層を有さない部分とを有していてもよい。上記面板は、厚み方向において、粘着剤層を有しかつ鏡面層を有さない部分を有していてもよく、粘着剤層を有さずかつ鏡面層を有する部分を有していてもよい。
【0067】
上記面板は、ストーマ孔を有していてもよく、有していなくてもよい。上記面板では、使用時に、ハサミ等でストーマ孔を作製するタイプの面板であってもよい。
【0068】
上記面板の製造方法は特に限定されない。上記粘着剤層と、上記鏡面保護層と、上記鏡面層と、上記基材とがこの順に配置された上記面板は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0069】
上記基材上に、金属スパッタリング又は金属蒸着により金属層(鏡面層)を形成する。金属スパッタリング又は金属蒸着で形成された金属層の表面は、通常、鏡面である。次いで、鏡面保護層を形成する。次いで、鏡面保護層の表面上に、塗布等により粘着剤を配置して粘着剤層を形成する。
【0070】
(ストーマ装具セット)
本発明に係るストーマ装具セットは、上述したストーマ装具用面板と、ストーマパウチとを有する。上記ストーマ装具セットにおいて、上記面板と上記ストーマパウチとは、分離している。上記ストーマ装具セットにおいて、上記ストーマパウチは、上記面板に取り付けられていない。上記ストーマ装具セットは、例えば、二品系装具等の多品系装具である。
【0071】
(ストーマ装具)
本発明に係るストーマ装具は、上述したストーマ装具用面板と、ストーマパウチとを備え、上記ストーマ装具用面板と上記ストーマパウチとが一体化している。上記ストーマ装具では、上記ストーマパウチは、上記面板に取り付けられている。上記ストーマ装具は、上記ストーマ装具セットにおける上記面板と上記ストーマパウチとを用いて作製されるストーマ装具であってもよい。また、上記ストーマ装具は、例えば、単品系装具である。
【0072】
上記ストーマ装具セット及び上記ストーマ装具における上記ストーマパウチとして、ストーマ装具に用いられている従来公知のストーマパウチを使用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…粘着剤層
1a…第1の表面
1b…第2の表面
2…鏡面層
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…基材
4…鏡面保護層
10…面板
10a…ストーマ孔
図1