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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165140
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】複合共振器および集合体
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/12 20060101AFI20221024BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01Q15/12
H01Q15/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070374
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博道
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA06
5J020AA07
5J020AA08
5J020BA01
5J020BB00
(57)【要約】
【課題】設計自由度の高い集合体を構成することができる複合共振器および集合体を提供すること。
【解決手段】複合共振器は、第1面方向に広がる第1共振器と、第1共振器と第1方向に離れており、第1面方向に広がる第2共振器と、第1方向において第1共振器および第2共振器の間に位置し、第1共振器および第2共振器の各々に、磁気的もしくは容量的に接続するように構成され、または電気的に接続する第3共振器と、第1面方向に広がり、第1方向において第1共振器および第2共振器の間に位置し、第1共振器および第2共振器の電位基準となる基準導体と、を含む。基準導体は、第1面方向において第3共振器の少なくとも一部を囲むように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面方向に広がる第1共振器と、
前記第1共振器と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2共振器と、
前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器の間に位置し、第1共振器および第2共振器の各々に、磁気的もしくは容量的に接続するように構成され、または電気的に接続する第3共振器と、
前記第1面方向に広がり、前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器の間に位置し、前記第1共振器および前記第2共振器の電位基準となる基準導体と、を含み、
前記基準導体は、前記第1面方向において前記第3共振器の少なくとも一部を囲むように構成されている、
複合共振器。
【請求項2】
前記第3共振器は、複数の副共振器を含み、
前記複数の副共振器は、少なくとも他のいずれかの副共振器に、磁気的もしくは容量的に接続するように構成され、または電気的に接続する、
請求項1に記載の複合共振器。
【請求項3】
前記第3共振器の全ては、前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器で被われている、
請求項1または2に記載の複合共振器。
【請求項4】
前記基準導体は、貫通孔を有し、
前記第3共振器は、前記貫通孔を通じて、前記第1共振器および前記第2共振器の各々に、磁気的もしくは容量的に接続するように構成され、または電気的に接続する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項5】
前記第1共振器は、第1方向の順方向からの電磁波の受信によって共振するように構成されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項6】
前記第2共振器は、共振する際に、電磁波を放射するように構成されている、
請求項5に記載の複合共振器。
【請求項7】
前記第2共振器は、共振する際に、電磁波を第1方向の逆方向に放射するように構成されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項8】
前記第2共振器は、第1方向の逆方向からの電磁波の受信によって共振するように構成されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項9】
前記第1共振器は、共振する際に、電磁波を放射するように構成されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項10】
前記第1共振器は、共振する際に、電磁波を第1方向の順方向に放射するように構成されている、
請求項9に記載の複合共振器。
【請求項11】
前記第2共振器は、前記第1共振器と異なる位相で共振するように構成されている、
請求項8から10のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項12】
前記第2共振器は、前記第1面方向において、前記第1共振器と異なる面内方向に共振するように構成されている、
請求項8から11のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項13】
前記第2共振器の共振方向は、前記第1面方向において、前記第1共振器の共振方向に対して経時変化するように構成されている、
請求項8から12のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項14】
前記第2共振器は、前記第1共振器が受信した電磁波を、第1周波数帯を減衰させて放射するように構成されている、
請求項8から13のいずれか1項に記載の複合共振器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の複合共振器を複数含み、
複数の前記複合共振器は、前記第1面方向に並んでいる、
集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合共振器および集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体レンズを用いずに、電磁波を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、共振器素子を配列した構造において、各素子のパラメータを変化させることで、電波を屈折させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-231182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような共振器素子では、各素子のパラメータを変化させても位相の変化量は180°が最大となる。設計自由度の高い集合体を構成することのできる、共振器素子が求められている。
【0005】
本開示は、設計自由度の高い集合体を構成することのできる複合共振器および集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る複合共振器は、第1面方向に広がる第1共振器と、前記第1共振器と第1方向 に離れており、前記第1面方向に広がる第2共振器と、前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器の間に位置し、第1共振器および第2共振器の各々に、磁気的もしくは容量的に接続するように構成され、または電気的に接続する第3共振器と、前記第1面方向に広がり、前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器の間に位置し、前記第1共振器および前記第2共振器の電位基準となる基準導体と、を含み、前記基準導体は、前記第1面方向において前記第3共振器の少なくとも一部を囲むように構成されている。
【0007】
本開示に係る集合体は、本開示に係る複合共振器を複数含み、複数の前記複合共振器は、前記第1面方向に並んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、設計自由度の高い集合体を構成することができる複合共振器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、各実施形態に係る集合体の概要を説明するための図である。
図2図2は、第1実施形態に係る単位構造の構成例を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
図4図4は、第1実施形態に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
図5図5は、第2実施形態に係る単位構造の構成例を模式的に示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
図7図7は、第2実施形態に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
図8図8は、第3実施形態に係る単位構造の構成例を模式的に示す図である。
図9図9は、第3実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
図10図10は、第3実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
図11図11は、第4実施形態に係る単位構造の構成を示す図である。
図12図12は、第4実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
図13図13は、第4実施形態に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
図14図14は、第4実施形態の変形例に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
図15図15は、第4実施形態の変形例に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下に説明する実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0011】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、X軸およびY軸を含む平面を適宜XY平面と称し、X軸およびZ軸を含む平面を適宜XZ平面と称し、Y軸およびZ軸を含む平面を適宜YZ平面と称する。XY平面は、水平面と平行である。XY平面とXZ平面とYZ平面とは直交する。
【0012】
[概要]
図1は、複数の複合共振器が周期的に並ぶ集合体を示す。集合体は、周期的に並ぶ複数の複合共振器が集合として機能を有している。例えば、集合体は、平面波に対する空間フィルタ板として機能する。例えば、集合体は、複数の複合共振器に位相差を生じさせることで電波屈折板として機能する。
【0013】
図1に示すように、集合体1は、複数の単位構造10と、基板12と、を含む。
【0014】
複数の単位構造10は、XY面方向に並んでいる。XY面方向は、第1面方向とも呼ばれ得る。すなわち、複数の単位構造10は、2次元的に並んでいる。複数の単位構造10は、それぞれ、共振構造を有する。単位構造10の構造については、後述する。単位構造10は、複合共振器とも呼ばれ得る。基板12は、例えば、誘電体で形成された誘電体基板であり得る。集合体1は、誘電体から構成された基板12に、共振構造を有する複数の単位構造10を2次元的に並ぶことで構成されている。
【0015】
本開示では、以下の各実施形態の複合共振器を図1に示すように配列することで、集合体を構成することができる。
【0016】
[第1実施形態]
[単位構造の構成]
図2を用いて、第1実施形態に係る単位構造の構成例について説明する。図2は、第1実施形態に係る単位構造の構成例を模式的に示す図である。
【0017】
図2に示すように、単位構造10は、第1共振器14と、第2共振器16は、基準導体18と、接続線路20と、を備える。
【0018】
第1共振器14は、基板12において、XY平面に広がるように並び得る。第1共振器14は、導体で形成され得る。第1共振器14は、例えば、矩形に形成されたパッチ導体であり得る。図2に示す例では、第1共振器14は、矩形のパッチ導体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第1共振器14の形状は、例えば、線状、円状、ループ形状、矩形を除く多角形状であってもよい。すなわち、第1共振器14の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。第1共振器14は、+Z軸方向から受信した電磁波によって共振するように構成されている。
【0019】
第1共振器14は、共振する際に、電磁波を放射するように構成されている。第1共振器14は、共振する際に、電磁波を+Z軸方向側に放射するように構成されている。
【0020】
第2共振器16は、基板12において、第1共振器14からZ軸方向の離れた位置で、XY平面に広がるように並び得る。第2共振器16は、例えば、矩形に形成されたパッチ導体であり得る。図2に示す例では、第2共振器16は、矩形のパッチ導体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第2共振器16の形状は、例えば、線状、円状、ループ形状、矩形を除く多角形状であってもよい。すなわち、第2共振器16の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。第2共振器16の形状は、第1共振器14の形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2共振器16の面積は、第1共振器14と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
第2共振器16は、共振する際に、電磁波を放射するように構成されている。第2共振器16は、例えば、-Z軸方向側に電磁波を放射するように構成されている。第2共振器16は、共振する際に、電磁波を-Z軸方向に放射するように構成されている。第2共振器16は、-Z軸方向からの電磁波の受信によって共振するように構成されている。
【0022】
第2共振器16は、第1共振器14と異なる位相で共振するように構成されてもよい。第2共振器16は、XY平面方向において、第1共振器14の共振方向と異なる方向に共振するように構成されてもよい。第2共振器16は、例えば、第1共振器14がX軸方向に共振するように構成されている場合には、Y軸方向に共振するように構成されてもよい。第2共振器16の共振方向は、XY平面方向において、第1共振器14の共振方向の経時変化に対応して経時変化するように構成されてもよい。第2共振器16は、第1共振器14が受信した電磁波を、第1周波数帯が減衰した電磁波を放射するように構成されてもよい。
【0023】
基準導体18は、基板12において、第1共振器14と、第2共振器16との間に並び得る。基準導体18は、例えば、基板12において、第1共振器14と、第2共振器16との中心にあり得るが、本開示はこれに限定されない。基準導体18は、例えば、第1共振器14との距離と、第2共振器16との距離が異なる位置にあってよい。基準導体18は、接続線路20が通過するスルーホール18aを有する。基準導体18は、接続線路20の少なくとも一部を囲うように構成されている。
【0024】
接続線路20は、導体で形成され得る。接続線路20は、Z軸方向において、第1共振器14と、第2共振器16との間に位置する。Z軸方向は、例えば、第1方向とも呼ばれ得る。接続線路20は、第1共振器14と、第2共振器16との各々に接続され得る。接続線路20は、スルーホール18aを通過するが、基準導体18には接触していない。接続線路20は、例えば、第1共振器14および第2共振器16の各々に磁気的もしくは容量的に接続するように構成され得る。接続線路20は、例えば、第1共振器14および第2共振器16の各々に電気的に接続するように構成されてもよい。接続線路20は、第1共振器14のX軸方向に平行な辺に接続され、第2共振器16のX軸方向に平行な辺に接続される。接続線路20は、Z軸方向に平行な経路であり得る。接続線路20は、第3共振器とし得る。
【0025】
単位構造10は、第1共振器14および第2共振器16を、磁気的もしくは容量的に接続、または電気的に接続されて複合するように構成されている。3つの共振器が複合化することで、単位構造10は、第1共振器14に入射した電磁波によって励振された高周波が複合共振器を伝送するように構成されている。単位構造10は、単位構造の伝送特性によって位相シフト、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、およびロウパスフィルタのいずれか1つ、または複数の機能を奏しうる。
【0026】
単位構造10は、第1共振器14に入射した電磁波の位相を変化させて、第2共振器16から出射するように構成されている。位相変化量は、接続線路20の長さによって変化する。位相変化量は、第1共振器14または第2共振器16の面積によっても変化する。
【0027】
図3を用いて、第1実施形態に係る単位構造の周波数特性について説明する。図3は、第1実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
【0028】
図3において、横軸は周波数[GHz(Giga Hertz)]、縦軸は利得[dB(deci Bel)]を示す。図3には、グラフG1と、グラフG2とが示されている。グラフG1は、透過係数を示す。グラフG2は、反射係数を示す。グラフG1は、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の挿入損失が-3dB以上であり、良好な透過特性を示している。グラフG2は、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の反射係数が低いことを示している。すなわち、図1に示す単位構造10は、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍のように幅広い良好な透過特性を有している。
【0029】
図4を用いて、第1実施形態に係る単位構造の位相変化量について説明する。図4は、第1実施形態に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
【0030】
図4において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は位相変化量[deg]を示す。図4には、グラフG3が示されている。グラフG3は、第1共振器14に入射した電磁波を第2共振器16から出射する際の電磁波の位相のシフト量を示す。例えば、単位構造10は、周波数が22.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約-38°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。例えば、単位構造10は、周波数が24.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約-130°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。例えば、単位構造10は、周波数が28.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約135°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。単位構造10は、空間フィルタとして使用することができる。単位構造10は、空間フィルタの中心周波数の設計値をシフトすることで、素子間で所望の位相差を得ることができる。
【0031】
集合体1において単位構造10が並ぶことで、集合体1を透過する電磁波がシフトするように構成される。例えば、集合体1を通過する電磁波は、周波数22.00GHzにおいて、約22°シフトするように構成される。例えば、集合体1を通過する電磁波は、周波数24.00GHzにおいて、約-130°シフトするように構成される。例えば、集合体1を通過する電磁波は、周波数28GHzにおいて、約135°シフトするように構成される。
【0032】
[第2実施形態]
[単位構造の構成]
図5を用いて、第2実施形態に係る単位構造の構成例について説明する。図5は、第2実施形態に係る単位構造の構成例を模式的に示す図である。
【0033】
図5に示すように、単位構造10Aは、接続線路20がZ軸方向に平行な直線状の経路でない点で、図2に示す単位構造10とは異なる。具体的には、単位構造10Aの接続線路20は、第1経路部20aと、第2経路部20bと、第3経路部20cと、第4経路部20dと、第5経路部20eとを備える点で、図2に示す単位構造10とは異なる。
【0034】
第1経路部20aは、一端が第1共振器14に接続され、他端が第1共振器14と、基準導体18との間に位置するZ軸方向に平行な経路であり得る。第2経路部20bは、一端が第1経路部20aの他端に接続され、他端が第1共振器14と、基準導体18との間に位置するXY平面に平行な経路であり得る。第3経路部20cは、一端が第2経路部20bの他端に接続され、他端が第2共振器16と、基準導体18との間に位置するZ軸方向に平行な経路であり得る。第3経路部20cは、基準導体18のスルーホール18aを通過する。第3経路部20cは、基準導体18に接触していない。第4経路部20dは、一端が第3経路部20cの他端に接続され、他端が第2共振器16と、基準導体18との間に位置するXY平面に平行な経路であり得る。第5経路部20eは、一端が第4経路部20dに接続され、他端が第5経路部20eに接続された、Z軸方向に平行な経路であり得る。
【0035】
図5では、接続線路20は、第1経路部20aから第5経路部20eの5個の経路を含むものとして説明したが、これは例示であり、本開示を限定するものではない。接続線路20が含む経路の数は5よりも多くてもよいし、少なくてもよい。複数の経路部は、副共振器とも呼ばれ得る。接続線路20は、例えば、曲線状に曲がった屈曲部を有していてもよい。
【0036】
単位構造10Aは、第1共振器14に入射した電磁波の位相を変化させて、第2共振器16から出射するように構成されている。位相変化量は、接続線路20の長さによって変化する。位相変化量は、第1共振器14または第2共振器16の面積によっても変化する。
【0037】
図6を用いて、第2実施形態に係る単位構造の周波数特性について説明する。図6は、第2実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
【0038】
図6において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図6には、グラフG4と、グラフG5とが示されている。グラフG4は、透過係数を示す。グラフG5は、反射係数を示す。グラフG4は、22.00GHz近傍から31.40GHz近傍の領域の挿入損失が-3dB以上であり、良好な透過特性を示している。グラフG5は、22.00GHz近傍から31.40GHz近傍の領域の反射係数が低いことを示している。すなわち、図5に示す単位構造10Aは、22.00GHz近傍から31.40GHz近傍のように幅広い良好な透過特性を有している。
【0039】
図7を用いて、第2実施形態に係る単位構造の位相変化量について説明する。図7は、第2実施形態に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
【0040】
図7において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は位相変化量[deg]を示す。図7には、グラフG6が示されている。グラフG6は、第1共振器14に入射した電磁波を第2共振器16から出射する際の電磁波の位相のシフト量を示す。例えば、単位構造10Aは、周波数が22.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約-65°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。例えば、単位構造10は、周波数が24.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約-140°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。例えば、単位構造10は、周波数が28.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約110°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。すなわち、単位構造10Aは、電磁波の位相を変化させる電磁波の位相を変化させる空間フィルタとして使用することができる。
【0041】
集合体1において単位構造10Aが並ぶことで、集合体1を透過する電磁波がシフトするように構成される。例えば、集合体1を通過する電磁波は、周波数22.00GHzにおいて、約-65°シフトするように構成される。例えば、集合体1を通過する電磁波は、周波数24.00GHzにおいて、約-140°シフトするように構成される。例えば、集合体1を通過する電磁波は、周波数28GHzにおいて、約110°シフトするように構成される。
【0042】
単位構造10は、空間フィルタの中心周波数の設計値をシフトした素子を並べることで、素子間で所望の位相差を得ることができる。集合体1において単位構造10と単位構造10Aとが並ぶことで、それぞれの単位構造10,10Aを透過する電磁波がシフトする位相に差異が生じる。例えば、周波数22.00GHzにおいて、2つの単位構造10,10Aを透過する電磁波の位相は約22°と約-65°とそれぞれがシフトし、位相差は85°となる。例えば、周波数24.00GHzにおいて、2つの単位構造10,10Aを透過する電磁波の位相は約-130°と約-140°とそれぞれがシフトし、位相差は10°となる。例えば、周波数28.00GHzにおいて、2つの単位構造10,10Aを透過する電磁波の位相は約135°と110°とそれぞれがシフトし、位相差は25°となる。
【0043】
[第3実施形態]
[単位構造の構成]
図8を用いて、第3実施形態に係る単位構造の構成例について説明する。図8は、第3実施形態に係る単位構造の構成例を模式的に示す図である。
【0044】
図8に示すように、単位構造10Bは、接続線路20Aと、接続線路20Bとを備える点で、図2に示す単位構造10と異なっている。
【0045】
単位構造10Bにおいて、基準導体18は、スルーホール18aと、スルーホール18bとを有する。スルーホール18aは、接続線路20Aが通過するスルーホールである。スルーホール18bは、接続線路20Bが通過するスルーホールである。
【0046】
接続線路20Aは、導体で形成され得る。接続線路20Aは、Z軸方向において、第1共振器14と、第2共振器16との間に位置する。接続線路20Aは、第1共振器14と、第2共振器16との各々に接続される。具体的には、接続線路20Aは、一端が第1共振器14のY軸方向に平行な辺に接続され、他端が第2共振器16のY軸方向に平行な辺に接続されている。接続線路20Aは、スルーホール18aを通過するが、基準導体18には接触していない。
【0047】
接続線路20Bは、導体で形成され得る。接続線路20Bは、Z軸方向において、第1共振器14と、第2共振器16との間に位置する。接続線路20Bは、第1共振器14と、第2共振器16との各々に接続される。具体的には、接続線路20Bは、一端が第1共振器14のX軸方向に平行な辺に接続され、他端が第2共振器16のX軸方向に平行な辺に接続されている。接続線路20Bは、スルーホール18bを通過するが、基準導体18には接触していない。
【0048】
図9と、図10とを用いて、第3実施形態に係る単位構造の周波数特性について説明する。図9と、図10とは、第3実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
【0049】
図9において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図9には、グラフG7と、グラフG8とが示されている。グラフG7は、X軸方向から入射した電磁波のX軸方向へ出射するときの透過係数を示す。グラフG88は、反射係数を示す。グラフG16は、21.00GHz近傍から28.00Hz近傍の領域の挿入損失が-3dB程度以上であり、良好な透過特性を示している。グラフG8は、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の反射係数が低いことを示している。すなわち、図8に示す単位構造10Bは、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍のように幅広い良好な透過特性を有している。
【0050】
図10において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図10には、グラフG9が示されている。グラフG9は、X軸方向から入射した電磁波のY軸方向へ出射するときの透過係数を示す。グラフG9に示すように、X軸方向から入射した電磁波のY軸方向へ出射するときの透過係数は、21.00GHz近傍から28.00Hz近傍の領域の挿入損失が-3dB程度以上であり、良好な透過特性を示している。
【0051】
単位構造10Bは、電磁波のX軸方向からX軸方向への透過係数と、X軸方向からY軸方向への透過係数が良好である。すなわち、単位構造10Bは、空間フィルタとしての機能と、偏波する機能との両方の性質を持つ。
【0052】
[第4実施形態]
[単位構造の構成]
図11を用いて、第4実施形態に係る単位構造の構成について説明する。図11は、第4実施形態に係る単位構造の構成を示す図である。
【0053】
図11に示すように、単位構造10Cは、基板12と、第1共振器14と、第2共振器16と、基準導体18と、接続線路20と、第3共振器22とを備える。単位構造10Cは、第3共振器22を備える点で、図2に示す単位構造10とは異なる。単位構造10Cでは、基準導体18は、第3共振器22を囲う開口部18cを有する。
【0054】
第3共振器22は、Z軸方向において、第1共振器14と、第2共振器16との間にあり得る。第3共振器22は、基準導体18の開口部18c内にあり得る。第3共振器22は、基準導体18と接触しないように、開口部18c内にあり得る。すなわち、第3共振器22は、基準導体18に囲われている。第3共振器22は、基準導体18と容量的に接続されている。
【0055】
本実施形態では、到来する電磁波の基本波の波長をλとすると、第1共振器14の少なくとも一辺の長さはλ/2、第2共振器16の少なくとも一辺の長さはλ/2、第3共振器22の少なくとも一辺の長さはλ/4に設定されている。
【0056】
図12を用いて、第4実施形態に係る単位構造の周波数特性について説明する。図12は、第4実施形態に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
【0057】
図12において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図12には、グラフG10と、グラフG11とが示されている。グラフG10は、X軸方向からX軸方向への透過係数を示す。グラフG11は、X軸方向に入射した電磁波の反射係数を示す。グラフG10は、18.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の挿入損失が-2dB以上であり、良好な透過特性を示している。グラフG11は、18.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の反射係数が低いことを示している。グラフG10に示すように、単位構造10Cは、図2に示す単位構造10よりも高周波数帯域において、急峻な減衰特性を有するように構成されている。すなわち、図11に示す単位構造10Cは、18.00GHz近傍から28.00GHz近傍のように幅広い良好な透過特性を有している。
【0058】
図13を用いて、第4実施形態に係る単位構造の位相変化量について説明する。図13は、第4実施形態に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
【0059】
図13において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図13には、グラフG12が示されている。グラフG12は、第1共振器14に入射した電磁波を第2共振器16から出射する際の電磁波の位相のシフト量を示す。例えば、単位構造10Cは、周波数が18.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約―37°シフトさせて第2共振器16から出射する。例えば、単位構造10Cは、周波数が27.50GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約-40°シフトさせて第2共振器16から出射する。すなわち、単位構造10Cのように共振器を複数備えていても、到来した電磁波をシフトするように構成することができる。
【0060】
[第4実施形態の変形例]
単位構造10Cにおいては、第1共振器14、第2共振器16、および第3共振器22の設計を変えることで、位相変化量および位相を変化させる周波数帯域を変更することができる。
【0061】
図14を用いて、第4実施形態の変形例に係る単位構造の周波数特性について説明する。図14は、第4実施形態の変形例に係る単位構造の周波数特性を示すグラフである。
【0062】
図14において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図14には、グラフG13と、グラフG14とが示されている。グラフG13は、X軸方向からX軸方向への透過係数を示す。グラフG13は、X軸方向に入射した電磁波の反射係数を示す。グラフG22は、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の挿入損失が-2dB以上であり、良好な透過特性を示している。グラフG13は、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍の領域の反射係数が低いことを示している。すなわち、図11に示す単位構造10Cは、21.00GHz近傍から28.00GHz近傍のように幅広い良好な透過特性を有している。
【0063】
図15を用いて、第4実施形態の変形例に係る単位構造の位相変化量について説明する。図15は、第4実施形態の変形例に係る単位構造の位相変化量を示すグラフである。
【0064】
図15において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は利得[dB]を示す。図15には、グラフG15が示されている。グラフG15は、第1共振器14に入射した電磁波を第2共振器16から出射する際の電磁波の位相のシフト量を示す。例えば、単位構造10Cは、周波数が21.00GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約-55°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。例えば、単位構造10Cは、周波数が27.50GHz近傍の電磁波が第1共振器14に入射すると、電磁波の位相を約117°シフトさせて第2共振器16から出射するように構成されている。すなわち、単位構造10Cのように共振器を複数備えていても、到来した電磁波をシフトするように構成することができる。
【0065】
図11に示す例では、単位構造10Cは、3個の共振器を備えるが、本開示はこれに限定されない。本開示では、複合共振器は、3個以上の共振器を備えていてもよい。本開示では、共振器の数を増やすことで、高周波帯域でより急峻な減衰特性を持つように構成することができる。
【0066】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 集合体
10 単位構造
12 基板
14 第1共振器
16 第2共振器
18 基準導体
20 接続線路
22 第3共振器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15