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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165146
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/18 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B65H31/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070381
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】田村 賢一
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AA04
3F054AC02
3F054AC03
3F054AC05
3F054BA04
3F054BD02
3F054BH17
3F054DA13
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】排出台に排出された媒体をより良好に揃えることが可能な媒体排出装置を提供する。
【解決手段】媒体排出装置100は、媒体を排出する排出部119、120と、傾斜を有し、上下に移動可能に設けられ、且つ、排出部により排出された媒体を載置する排出台104、404と、排出台に載置された媒体の傾斜の下方側の端部が突き当てられる突き当て部101bと、排出台の上下の移動と連動して排出台に振動を付与する振動付与機構101c、201c、301c、404h、104e、401jと、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出する排出部と、
傾斜を有し、上下に移動可能に設けられ、且つ、前記排出部により排出された媒体を載置する排出台と、
前記排出台に載置された媒体の前記傾斜の下方側の端部が突き当てられる突き当て部と、
前記排出台の上下の移動と連動して前記排出台に振動を付与する振動付与機構と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記振動付与機構は、上下に並べられた複数の歯を有するラックと、前記ラックに当接して前記排出台に振動を付与する当接部とを含む、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記複数の歯は、のこぎり波形状又は矩形波形状を有し、且つ、相互に隣り合う歯が離間するように配置される、請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記複数の歯は、三角波形状を有し、且つ、相互に隣り合う歯が接触するように配置される、請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記複数の歯は、正弦波形状を有する、請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
前記当接部は、一方向にのみ回転可能に設けられたギアである、請求項2~5の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
前記ギアは、前記排出台が上方向に向かって移動する場合は回転せずに前記排出台に振動を付与し、且つ、前記排出台が下方向に向かって移動する場合は回転して前記排出台に振動を付与しないように設けられる、請求項6に記載の媒体排出装置。
【請求項8】
前記当接部は、前記排出台が上方向に向かって移動する場合は前記ラックと当接して前記排出台に振動を付与し、且つ、前記排出台が下方向に向かって移動する場合は前記ラックから離間して前記排出台に振動を付与しないように設けられる、請求項2~5の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出された媒体を載置する排出トレイを有する媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体排出装置は、媒体を搬送しながら撮像し、排出台に排出する。このような媒体排出装置において、排出台に排出された複数の媒体がばらついている場合、利用者は、ばらついた媒体を揃える必要がある。
【0003】
画像形成装置で記録された用紙を受け入れて排紙トレイ上に積載する用紙積載装置が開示されている(特許文献1)。この用紙積載装置は、排紙トレイの排紙面を所定位置にして昇降する昇降手段と、用紙の後端を当接して用紙の後端揃えの基準となる第1のエンドフェンスと、排紙トレイを排紙方向と直交する方向に移動する移動手段とを有する。
【0004】
排紙ローラにより用紙を排紙方向側の前端を先頭にして鉛直方向に対して所定の角度傾斜させた排紙トレイ上に順次排紙して積載し、且つ、排紙された用紙の後端側を傾斜させた排紙トレイ上に沿って自重落下させる排紙装置が開示されている(特許文献2)。この排紙装置は、用紙の後端を用紙後端突き当てフェンスに突き当てて、積載された用紙の後端を整合させる際に、用紙後端突き当てフェンスに取り付けられた振動発生手段で発生させた用紙の前後方向に向かう振動波を用紙後端突き当てフェンスに印加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-18214号公報
【特許文献2】特開2012-126544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
媒体排出装置では、排出台に排出された媒体をより良好に揃えることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、排出台に排出された媒体をより良好に揃えることが可能な媒体排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出部と、傾斜を有し、上下に移動可能に設けられ、且つ、排出部により排出された媒体を載置する排出台と、排出台に載置された媒体の傾斜の下方側の端部が突き当てられる突き当て部と、排出台の上下の移動と連動して排出台に振動を付与する振動付与機構と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体排出装置は、排出台に排出された媒体をより良好に揃えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】媒体排出装置100を示す斜視図である。
図2】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】(A)、(B)は排出台104について説明するための模式図である。
図4】排出台104について説明するための模式図である。
図5】(A)、(B)は排出台104の動作について説明するための模式図である。
図6】媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
図7】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
図8】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図9】排出台制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
図10】(A)、(B)は他の第2ラック201cについて説明するための模式図である。
図11】(A)、(B)は他の第2ラック301cについて説明するための模式図である。
図12】(A)、(B)は他の排出台404等について説明するための模式図である。
図13】他の実施形態に係る処理回路550の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像し、排出する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。
【0013】
媒体排出装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0014】
第1筐体101は、媒体排出装置100の上側に配置され、媒体つまり時、媒体排出装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第2筐体102に係合している。
【0015】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第2筐体102に係合している。載置台103は、第2筐体102の媒体供給側の側面に、不図示のモータによって略鉛直方向(高さ方向)A1に移動可能に設けられる。排出台104は、排出口107から排出された媒体を保持可能に第1筐体101上に形成され、排出された媒体を積載するトレイである。排出台104は、排出された媒体を載置する載置面104aを有する。
【0016】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0017】
図1において矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0018】
図2は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、第1~第7従動ローラ116a~g、第2媒体センサ117、撮像装置118、排出ローラ119、対向ローラ120及び高さセンサ121等を有している。
【0020】
なお、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、第1~第7従動ローラ116a~g、排出ローラ119及び/又は対向ローラ120のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、第1~第7従動ローラ116a~g、排出ローラ119及び/又は対向ローラ120は、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0021】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体の搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0022】
第1媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及びブレーキローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0023】
ピックローラ112は、第1筐体101に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0024】
給送ローラ113は、第1筐体101内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、載置台103に載置されてピックローラ112により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。ブレーキローラ114は、第2筐体102内に、給送ローラ113と対向して配置される。給送ローラ113及びブレーキローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は、ブレーキローラ114に対して上側に配置されており、媒体排出装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0025】
第1~第7搬送ローラ115a~g及び第1~第7従動ローラ116a~gは、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側に設けられ、給送ローラ113及びブレーキローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。
【0026】
第2媒体センサ117は、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側且つ撮像装置118より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ117は、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側であれば、搬送経路内の何れの位置に配置されてもよい。第2媒体センサ117は、媒体搬送路に対して一方の側(第1筐体101)に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置(第2筐体102)に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光する。第2媒体センサ117と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ117の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0027】
なお、反射部材の代わりに、導光管が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ117は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0028】
撮像装置118は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを含む。第1撮像装置118aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置118aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置118aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0029】
同様に、第2撮像装置118bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置118bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置118bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0030】
媒体排出装置100は、第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0031】
排出ローラ119及び対向ローラ120は、排出部の一例である。排出ローラ119は、第1筐体101内に、第1~第7搬送ローラ115a~gより下流側に設けられる。対向ローラ120は、第2筐体102内に、排出ローラ119と対向して配置される。排出ローラ119及び対向ローラ120は、給送ローラ113によって給送され、第1~第7搬送ローラ115a~g及び第1~第7従動ローラ116a~gによって搬送された媒体を排出台104に排出する。排出ローラ119はモータからの駆動力に従って回転し、対向ローラ120は排出ローラ119の回転に従って従動回転する。
【0032】
高さセンサ121は、排出台104に配置され、排出台104に載置された媒体の高さを検出する。高さセンサ121は、高さ方向A1において所定の高さに、且つ、幅方向A4において排出台104の両端に、相互に対向するように配置された発光器及び受光器を含む。発光器は、LED等であり、受光器に向けて光(赤外光)を照射する。一方、受光器は、発光器により照射された光を受光する。高さセンサ121と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、高さセンサ121の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する高さ信号を生成して出力する。
【0033】
なお、高さセンサ121として、高さ方向A1において所定の高さに配置され、且つ、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサが用いられてもよい。その場合、高さセンサ121は、媒体が接触検出センサに接触しているか否かを示す電気信号を高さ信号として生成する。
【0034】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。一方、ブレーキローラ114が媒体給送方向の反対方向A7に回転することによって、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ113と接触している媒体のみが分離される。
【0035】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ115a~bが矢印A8~A9の方向に回転することによって、撮像装置118の撮像位置に送り込まれ、撮像装置118によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第7搬送ローラ115c~g及び排出ローラ119がそれぞれ矢印A10~A15の方向に回転することによって排出口107から排出台104上に排出される。排出台104は、排出ローラ119及び対向ローラ120により排出された媒体を載置する。
【0036】
図3(A)、(B)及び図4は、排出台104について説明するための模式図である。図3(A)、(B)は、排出台104の周辺を側方から見た模式図である。図4は、排出台104を媒体排出装置100から取り外した状態で上方から見た模式図である。図3(A)は、最も高い位置に配置された排出台104を示し、図3(B)は、最も低い位置に配置された排出台104を示す。
【0037】
図3(A)、(B)及び図4に示すように、媒体排出装置100は、移動機構122を有する。移動機構122は、排出台104を上下に平行移動させる。移動機構122は、第1モータ122a、複数の第1ピニオン122b及び複数の第1ラック122c等を有する。各第1ピニオン122b及び各第1ラック122cは、幅方向A4において排出台104の両端に配置される。
【0038】
第1モータ122aは、後述する処理回路からの制御に従って、正方向B1及び逆方向B2に回転し、排出台104を上下に平行移動させるための駆動力を発生する。第1モータ122aの回転軸には、排出台104の両端に配置された各第1ピニオン122bが取り付けられ、各第1ピニオン122bは、対応する第1ラック122cと歯合される。各第1ラック122cは、高さ方向A1に沿って形成された不図示のレール等の案内部に沿って、上下に移動可能に設けられる。各第1ラック122cの上端には排出台104が取り付けられ、排出台104は、第1ピニオン122bの回転に従って上下に、即ち高さ方向A1に沿って移動可能に設けられる。
【0039】
排出台104の載置面104aは、上流側の端部が下方に配置され、下流側の端部が上方に配置されるように傾斜を有する。排出台104は、第1軸部材104b、ばね104c、第2軸部材104d、及び、一又は複数の第2ピニオン104e等をさらに有する。
【0040】
第1軸部材104bは、シャフト等であり、第1ラック122cの上端部に設けられる。第1軸部材104bには、排出台104が回転(揺動)可能に取り付けられ、第1軸部材104bは、排出台104の回転(揺動)軸として機能する。ばね104cは、ねじりコイルばねであり、第1軸部材104bに取り付けられ、排出台104に対して、載置面104aが水平になる方向(矢印B3の方向)に力を印加する。即ち、ばね104cは、排出台104の下流側の端部に下方に向かう力を印加し、排出台104の上流側且つ下側の端部に上流側に向かう力を印加する。なお、ばね104cは省略され、排出台104の自重により、排出台104の下流側の端部に下方に向かう力が印加され、排出台104の上流側且つ下側の端部に上流側に向かう力が印加されてもよい。
【0041】
第2軸部材104dは、シャフト等であり、排出台104の上流側且つ下側の端部104fに設けられる。第2軸部材104dには、幅方向A4の両端に、二つの第2ピニオン104eが回転可能に取り付けられ、第2軸部材104dは、第2ピニオン104eの回転軸として機能する。第2ピニオン104eは、第1筐体101の媒体排出方向A3の下流側の端部と対向する位置に配置される。
【0042】
第1筐体101は、突き当て部101b、及び、一又は複数の第2ラック101c等をさらに有する。突き当て部101bは、第1筐体101の媒体排出方向A3の下流側の端部に設けられた壁である。突き当て部101bは、排出台104の載置面104aに載置された媒体の、載置面104aの傾斜の下方側(上流側)の端部が突き当てられるように設けられる。なお、突き当て部101bは、第1筐体101の壁でなく、排出台104上に設けられてもよい。
【0043】
第2ラック101cは、ラックの一例であり、第1筐体101の媒体排出方向A3の下流側の壁の端部に、各第2ピニオン104eと対向するように、固定して配置される。第2ラック101cは、上下に、即ち高さ方向A1に沿って並べられた複数の歯を有する。第2ラック101cが有する複数の歯は、三角波形状を有し、且つ、相互に隣り合う歯が接触するように配置される。上記した第2ピニオン104eは、当接部の一例であり、第2ラック101cに当接し、第2ラック101cと歯合される。第2ピニオン104eは、ワンウェイクラッチ104gを有し、一方向にのみ回転可能に設けられたギアである。ワンウェイクラッチ104gは、第2ピニオン104eの矢印B4の方向の回転を許容し、第2ピニオン104eが第2ラック101cに沿って下方向に向かって移動する際には、第2ラック101cによる第2ピニオン104eの回転を許容する。一方、ワンウェイクラッチ104gは、第2ピニオン104eの矢印B4と反対方向の回転を阻止し、第2ピニオン104eが第2ラック101cに沿って上方向に向かって移動する際には、第2ラック101cによる第2ピニオン104eの回転を阻止する。
【0044】
以下、排出台104の動作について説明する。
【0045】
排出台104は、媒体搬送開始前のように、排出台104に媒体が載置されていない場合、図3(A)に示す初期位置(最も高い位置)に配置される。図3(B)に示すように、媒体排出装置100において媒体が搬送された場合、搬送された媒体は排出台104上に排出される。排出台104上に排出された媒体は、排出台104が傾斜を有することにより、自重によって上流側にすべり落ち、突き当て部101bに突き当てられる。但し、新たに排出された媒体と、排出済みの媒体又は載置面104aとの間の摩擦力により、新たに排出された媒体は、突き当て部101bに当接する位置まですべり落ちない可能性がある。そのため、図3(B)に示すように、排出台104に積載された各媒体の後端が揃わない可能性がある。
【0046】
排出台104に所定数の媒体が積載されると、第1モータ122aは処理回路からの制御に従って正方向B1に回転する。第1モータ122aが正方向B1に回転した場合、第1ピニオン122bが正方向B1に回転し、第1ラック122cが下方向に向かって移動する。第1ラック122cの移動に伴って、排出台104は下方向に向かって水平移動する。これにより、排出台104上で最も上側に載置された媒体は、排出口107より十分に低い位置に配置される。したがって、媒体排出装置100は、排出台104に積載済みの媒体と排出される媒体との間の空間を確保し、排出台104での媒体の座屈の発生を抑制できる。
【0047】
第2ピニオン104eは、ばね104cにより第2ラック101cと歯合するように押さえられながら、排出台104とともに下方向に向かって移動する。ワンウェイクラッチ104gは、第2ピニオン104eが下方向に向かって移動する際の第2ピニオン104eの回転を許容するため、第2ピニオン104eは、第2ラック101cと歯合しながら回転する。これにより、排出台104は振動することなくスムーズに水平移動する。したがって、媒体排出装置100は、複数の媒体を連続的に搬送して撮像する場合に、媒体搬送中に排出台104の振動によって装置全体が振動し、入力画像にぶれが発生することを抑制できる。
【0048】
図5(A)、(B)は、排出台104が上方向に水平移動する場合の動作について説明するための模式図である。図5(A)、(B)は、排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
【0049】
媒体排出装置100において、載置台103にまとめて載置された全ての媒体が搬送されて排出されると、第1モータ122aは処理回路からの制御に従って逆方向B2に回転する。第1モータ122aが逆方向B2に回転した場合、第1ピニオン122bが逆方向B2に回転し、第1ラック122cが上方向に向かって移動する。第1ラック122cの移動に伴って、排出台104は上方向に向かって水平移動する。これにより、排出台104は初期位置に戻り、利用者は、排出台104に排出された媒体を容易に取り出すことができる。したがって、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0050】
第2ピニオン104eは、ばね104cにより第2ラック101cと歯合するように押さえられながら、排出台104とともに上方向に向かって移動する。但し、ワンウェイクラッチ104gの働きにより、第2ピニオン104eの回転は阻止される。図5(A)に示すように、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック101cの歯の頂点と当接する際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力を押し返し、下流側に移動する。これにより、排出台104は、第1軸部材104bを中心に、載置面104aの傾斜が大きくなる方向(矢印B3と反対方向)に揺動する。一方、図5(B)に示すように、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック101cの歯の頂点を越えた際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力により、再度上流側に移動する。これにより、排出台104は、第1軸部材104bを中心に、載置面104aの傾斜が小さくなる方向(矢印B3の方向)に揺動する。
【0051】
即ち、第2ピニオン104eは、排出台104の上下の移動と連動して排出台104に振動を付与する。第2ピニオン104e及び第2ラック101cは、振動付与機構の一例である。排出台104に積載された各媒体は、図3(B)に示すように後端が揃っていなかった場合でも、図5(A)、(B)に示すように、第2ピニオン104e及び第2ラック101cによる振動により、上流側にすべり落ち、突き当て部101bに突き当てられる。したがって、媒体排出装置100は、排出台104に積載された媒体の後端を良好に揃えることが可能となる。
【0052】
特に、媒体排出装置100は、上下に並べられた複数の歯を有する第2ラック101cを用いて、排出台104に振動を付与する。これにより、媒体排出装置100は、振動発生装置等の高価な装置を利用することなく、排出台104に振動を付与することが可能となり、装置コストの増大を抑制しつつ、排出台104に積載された媒体を良好に揃えることが可能となる。
【0053】
また、第2ラック101cが有する複数の歯は、三角波形状を有し、且つ、相互に隣り合う歯が接触するように配置される。これにより、第2ピニオン104eの歯の頂点は、常に第2ラック101cの歯の斜面に沿って移動し、排出台104に適度な速度で振動を付与し続けることが可能となる。
【0054】
また、第2ピニオン104eは、排出台104が上方向に向かって移動する場合は回転せずに排出台104に振動を付与し、且つ、排出台104が下方向に向かって移動する場合は回転して排出台104に振動を付与しないように設けられる。これにより、媒体排出装置100は、媒体搬送中は、装置の振動の発生を防止して媒体を良好に撮像しつつ、媒体搬送後に、排出台104に良好に振動を付与して、排出台104に積載された媒体を良好に揃えることができる。
【0055】
なお、第2ピニオン104eと第2ラック101cの位置関係は上記した例に限定されない。例えば、第2ピニオン104eが第1筐体101に配置され、第2ラック101cが排出台104に配置されてもよい。
【0056】
図6は、媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0057】
媒体排出装置100は、前述した構成に加えて、第2モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0058】
第2モータ131は、一又は複数のモータを含み、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g及び排出ローラ119を回転させて媒体を搬送及び排出させる。なお、第1~第7従動ローラ116a~g又は対向ローラ120は、各搬送ローラの回転に従って従動回転するのでなく、モータからの駆動力によって回転するように設けられてもよい。
【0059】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0060】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体排出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0061】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0062】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ117、撮像装置118、高さセンサ121、第1モータ122a、第2モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、第2モータ131を制御して媒体を搬送し、撮像装置118を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、高さセンサ121から高さ信号を受信し、高さ信号に基づいて第1モータ122aを駆動して移動機構122を制御する。
【0063】
図7は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0064】
図7に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び検出プログラム142等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151及び検出部152として機能する。
【0065】
図8は、媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0066】
以下、図8に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。なお、このフローチャートが実行される前に、排出台104は初期位置に配置される。
【0067】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0068】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0069】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、載置台103を移動させるためのモータを駆動し、載置台103を媒体とピックローラ112が当接する位置に移動させる。制御部151は、第2モータ131を駆動し、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、排出ローラ119を回転させ、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。
【0070】
次に、制御部151は、媒体の後端が撮像装置118の撮像位置を通過するまで待機する(ステップS104)。制御部151は、第2媒体センサ117から第2媒体信号を定期的に受信し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過したと判定してから第1所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。第1所定時間は、媒体が第2媒体センサ117から撮像位置まで移動するまでに要する時間にマージンを加えた値に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定してもよい。
【0071】
次に、制御部151は、撮像装置118から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信することにより出力する(ステップS105)。
【0072】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS106)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S106の処理を繰り返す。
【0073】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、第2モータ131を停止し、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、排出ローラ119を停止させる(ステップS107)。
【0074】
次に、制御部151は、第1モータ122aを駆動し、排出台104を上方向に移動させるように移動機構122を制御し(ステップS108)、一連のステップを終了する。排出台104は、媒体読取処理の実行中に、後述する排出台制御処理により下方向に移動している。なお、排出台104が初期位置から移動していない場合、制御部151は、排出台104を、一旦下方向に移動させてから、上方向に移動させてもよい。制御部151は、予め設定された量だけ排出台104を上方向に移動させる。これにより、制御部151は、排出台104に積載された媒体の後端を揃えることができる。
【0075】
図9は、排出台制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0076】
以下、図9に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の排出台制御処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。なお、排出台制御処理は、媒体読取処理の実行中に、媒体読取処理と並列に実行される。
【0077】
最初に、検出部152は、高さセンサ121から高さ信号を受信する(ステップS201)。
【0078】
次に、検出部152は、受信した高さ信号に基づいて、排出台104に積載された媒体の高さが所定高さ以上であるか否かを判定する(ステップS202)。検出部152は、高さ信号の信号値が高さセンサ121の位置に媒体が存在することを示す場合、媒体の高さが所定高さ以上であると判定し、その信号値が高さセンサ121の位置に媒体が存在しないことを示す場合、媒体の高さが所定高さ未満であると判定する。媒体の高さが所定高さ未満である場合、検出部152は、特に処理を実行せずに、ステップS201へ処理を戻す。
【0079】
一方、媒体の高さが所定高さ以上である場合、制御部151は、第1モータ122aを駆動し、排出台104を下方向に移動させるように移動機構122を制御し(ステップS203)、ステップS201へ処理を戻す。制御部151は、予め設定された量だけ排出台104を下方向に移動させる。
【0080】
以上詳述したように、媒体排出装置100は、排出台104の上下の移動と連動して排出台104に振動を付与する振動付与機構を設けて、排出台104を上方向に向かって移動させる際に、排出台104に振動を付与して載置された媒体を揃える。これにより、媒体排出装置100は、排出台104に排出された媒体をより良好に揃えることが可能となった。利用者は、排出台104に排出された媒体を揃える必要がなくなり、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0081】
図10(A)、(B)は、他の第2ラック201cについて説明するための模式図である。図10(A)、(B)は、第2ラック201cの周辺を側方から見た模式図である。
【0082】
図10(A)、(B)に示す第2ラック201cは、第2ラック101cの代わりに用いられる。第2ラック201cは、第2ラック101cと同様に、上下に並べられた複数の歯を有する。第2ラック201cが有する複数の歯は、のこぎり波形状を有し、且つ、相互に隣り合う歯が離間するように配置される。排出台104が下方向に向かって移動する場合、第2ピニオン104eは、ばね104cにより押さえられ、第2ラック201cと歯合しながら回転する。一方、排出台104が上方向に向かって移動する場合、第2ピニオン104eの回転は阻止される。
【0083】
図10(A)に示すように、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック201cの歯の頂点と当接する際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力を押し返し、下流側に移動する。一方、図10(B)に示すように、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック201cの歯の頂点を越えた際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力により、再度上流側に移動する。第2ラック201cの歯の上面は傾斜を有しておらず且つ相互に隣り合う歯は離間している。そのため、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック201cの歯の頂点を越えた際、第2ピニオン104eの歯の頂点は、第2ラック201cの底部と直交する方向に移動し、その底部と衝突する。したがって、第2ピニオン104eは、排出台104に付与する振動の変化速度(一定期間における動き量)を大きくすることができ、排出台104に積載された媒体をより確実に揃えることが可能となる。
【0084】
なお、第2ラック201cが有する複数の歯は、矩形波形状を有し、且つ、相互に隣り合う歯が離間するように配置されてもよい。その場合、第2ラック201cの歯の下面も傾斜を有していないため、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック201cの歯の頂点を越える際にも、第2ピニオン104eの歯の頂点は、第2ラック201cの延伸方向と直交する方向に移動する。したがって、第2ピニオン104eは、排出台104に付与する振動の変化速度をより大きくすることができ、排出台104に積載された媒体をより確実に揃えることが可能となる。
【0085】
以上詳述したように、媒体排出装置は、第2ラック201cがのこぎり波形状又は矩形波形状を有する場合も、排出台104に排出された媒体をより良好に揃えることが可能となった。
【0086】
図11(A)、(B)は、さらに他の第2ラック301cについて説明するための模式図である。図11(A)、(B)は、第2ラック301cの周辺を側方から見た模式図である。
【0087】
図11(A)、(B)に示す第2ラック301cは、第2ラック101cの代わりに用いられる。第2ラック301cは、第2ラック101cと同様に、上下に並べられた複数の歯を有する。第2ラック301cが有する複数の歯は、正弦波形状を有する。排出台104が下方向に向かって移動する場合、第2ピニオン104eは、ばね104cにより押さえられ、第2ラック301cと歯合しながら回転する。一方、排出台104が上方向に向かって移動する場合、第2ピニオン104eの回転は阻止される。
【0088】
図11(A)に示すように、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック301cの歯の頂点と当接する際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力を押し返し、下流側に移動する。一方、図11(B)に示すように、第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック301cの歯の頂点を越えた際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力により、再度上流側に移動する。第2ラック301cの歯は緩やかな曲面を有しているため、第2ピニオン104eの歯の頂点は、第2ラック301cの歯に沿って緩やかに移動する。したがって、第2ピニオン104eは、排出台104に付与する振動の変化速度を小さくすることができ、排出台104を緩やか(なめらか)に振動させ、排出台104の振動音を低減させることが可能となる。
【0089】
以上詳述したように、媒体排出装置は、第2ラック301cが正弦波形状を有する場合も、排出台104に排出された媒体をより良好に揃えることが可能となった。
【0090】
図12(A)、(B)は、他の移動機構422、排出台404及び第1筐体401について説明するための模式図である。図12(A)、(B)は、排出台404の周辺を側方から見た模式図である。
【0091】
図12(A)、(B)に示す移動機構422、排出台404及び第1筐体401は、それぞれ移動機構122、排出台104及び第1筐体101と同様の構成を有する。但し、移動機構422は、移動機構122が有する各部に加えて、プーリ422dを有する。プーリ422dは、第1ピニオン122bとともに、第1モータ122aの回転軸に取り付けられる。排出台404は、第2軸部材104d及び第2ピニオン104eを有さず、代わりに、第2ラック404hを有する。第2ラック404hは、ラックの一例であり、第2ラック101c、201c又は301cと同様の構造を有し、排出台404の上流側且つ下側の端部404fに固定して配置される。
【0092】
また、第1筐体401は、第2ラック101cを有さず、代わりに、当接ユニット401dを有する。当接ユニット401dは、ベルト401e、プーリ401f、第3ピニオン401g、第3ラック401h、二つのストッパ401i及び突起部401jを有する。
【0093】
ベルト401eは、移動機構422のプーリ422dとプーリ401fとの間に張架される。第3ピニオン401gは、プーリ401fと一体に回転するように、プーリ401fと同一の回転軸上に設けられ、第3ラック401hと歯合される。第3ピニオン401gは、第3ラック401hがストッパ401iと当接している場合に空転するように設けられたトルクリミッタを有する。第3ラック401hは、下方に向けて且つ媒体排出方向A3に並べられた複数の歯を有し、第3ピニオン401gと歯合される。第3ラック401hは、媒体排出方向A3に沿って形成された不図示のレール等の案内部に沿って、二つのストッパ401iの間で媒体排出方向A3に移動可能に設けられる。二つのストッパ401iは、第3ラック401hを係止させる係止部であり、媒体排出方向A3に間隔を空けて配置される。突起部401jは、第3ラック401hの下流側の端部に、排出台404に配置された第2ラック404hと対向するように配置される。突起部401jは、当接部の一例であり、第3ラック401hが最も下流側に配置された場合に、第2ラック404hに当接する。
【0094】
図12(A)に示すように、排出台404に所定数の媒体が積載されると、第1モータ122a及び第1ピニオン122bが矢印B1の方向に回転し、第1ラック122c及び排出台404が下方向に向かって移動する。また、第1ピニオン122bが正方向B1に回転することにより、プーリ422d、ベルト401e及びプーリ401fが正方向B1に回転し、第3ラック401hは上流側に向かって水平移動し、突起部401jは第2ラック404hから離間する。これにより、排出台104は振動することなくスムーズに水平移動し、媒体排出装置100は、複数の媒体を連続的に搬送して撮像する場合に、媒体搬送中に排出台104の振動によって装置全体が振動し、入力画像にぶれが発生することを抑制できる。
【0095】
一方、図12(B)に示すように、媒体の搬送が完了すると、第1モータ122a及び第1ピニオン122bが逆方向B2に回転し、第1ラック122c及び排出台404が上方向に向かって移動する。また、第1ピニオン122bが逆方向B2に回転することにより、プーリ422d、ベルト401e及びプーリ401fが逆方向B2に回転し、第3ラック401hは下流側に向かって水平移動し、突起部401jは第2ラック404hに当接する。これにより、突起部401jは、排出台104の上下の移動と連動して、第2ラック404hを介して排出台104に振動を付与する。
【0096】
即ち、突起部401jは、排出台404が上方向に向かって移動する場合は第2ラック404hと当接して排出台404に振動を付与し、且つ、排出台404が下方向に向かって移動する場合は第2ラック404hから離間して排出台404に振動を付与しないように設けられる。突起部401j及び第2ラック404hは、振動付与機構の一例である。排出台404に積載された各媒体は、後端が揃っていなかった場合でも、突起部401j及び第2ラック404hによる振動により、上流側にすべり落ち、突き当て部101bに突き当てられる。したがって、媒体排出装置100は、排出台404に積載された媒体の後端を良好に揃えることが可能となる。
【0097】
なお、突起部401j及び第2ラック404hの位置関係は上記した例に限定されない。例えば、突起部401jが排出台404に配置され、第2ラック404hが第1筐体401に配置されてもよい。また、突起部401jとして、回転しないように固定されたギア等が用いられてもよい。
【0098】
以上詳述したように、媒体排出装置は、突起部401jが当接部として用いられる場合も、排出台404に排出された媒体をより良好に揃えることが可能となった。
【0099】
図13は、他の実施形態に係る媒体排出装置の処理回路550の概略構成を示す図である。
【0100】
処理回路550は、媒体排出装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理及び排出台制御処理等を実行する。処理回路550は、制御回路551及び検出回路552等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0101】
制御回路551は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路551は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ117から第2媒体信号を、検出回路552から媒体の高さの検出結果を受信する。制御回路551は、受信した各情報に基づいて、第1モータ122a及び第2モータ131を制御する。また、制御回路551は、撮像装置118から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0102】
検出回路552は、検出部の一例であり、検出部152と同様の機能を有する。検出回路552は、高さセンサ121から高さ信号を受信し、受信した高さ信号に基づいて媒体の高さを検出し、検出結果を制御回路551に出力する。
【0103】
以上詳述したように、媒体排出装置は、処理回路550によって媒体読取処理及び排出台制御処理を実行する場合も、排出台に排出された媒体をより良好に揃えることが可能となった。
【0104】
上述した各実施形態では、排出台が下方向に移動する場合に排出台に振動が付与されないように、第2ピニオン104eとして一方向にのみ回転可能に設けられたギアが用いられ、又は、突起部401j及び第2ラック404hが離間可能に設けられた。しかしながら、第2ピニオン104eとして固定部材が用いられ、又は、突起部401j及び第2ラック404hが常時当接するように設けられて、排出台が下方向に移動させる場合にも排出台に振動が付与されてもよい。
【0105】
また、上述した各実施形態では、排出台の載置面は、上流側の端部が下方に配置され且つ下流側の端部が上方に配置されるように傾斜を有していた。しかしながら、排出台の載置面は、下流側の端部が下方に配置され且つ上流側の端部が上方に配置されるように傾斜を有してもよい。その場合、突き当て部は、排出台に載置された媒体の傾斜の下方側(下流側)の端部が突き当てられるように配置される。
【0106】
また、上述した各実施形態では、排出台は、第1軸部材104bを中心に揺動可能に設けられていた。しかしながら、排出台は、媒体排出方向A3に沿って水平移動可能に設けられてもよい。その場合、排出台及び第1ラックの一方には、媒体排出方向A3に沿って延伸するレール等の案内部が設けられ、排出台及び第1ラックの他方には、その案内部と係合する係合部が設けられる。また、排出台には、ばね104cの代わりに、排出台に媒体排出方向A3の上流側に向かう力を印加する圧縮コイルばね等のばねが設けられる。これにより、図5(A)に示したように第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック101cの歯の頂点と当接する際、第2ピニオン104eは、ばねによる力を押し返して下流側に移動し、排出台104は、案内部に沿って下流側に水平移動する。一方、図5(B)に示したように第2ピニオン104eの歯の頂点が第2ラック101cの歯の頂点を越える際、第2ピニオン104eは、ばね104cによる力により再度上流側に移動し、排出台104は、案内部に沿って上流側に水平移動する。
【符号の説明】
【0107】
100 媒体排出装置、104、404 排出台、119 排出ローラ、120 対向ローラ、101b 突き当て部、101c、201c、301c、404h、第2ラック、104e 第2ピニオン、401j 突起部
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