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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165174
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B65D33/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070415
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新田 茉奈海
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA24
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC14
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA04
3E064FA05
3E064GA04
3E064HD01
3E064HE02
3E064HJ03
3E064HK01
3E064HM01
3E064HN06
3E064HP10
(57)【要約】
【課題】前部積層体と後部積層体の周縁部のシールにより収納部と注ぎ口を形成してなる包装袋であり、片方の手のみを用いての注ぎ口の容易な開封、及び内容物の注ぎ出しが可能な包装袋の提供を課題とする。
【解決手段】包装袋は、前部積層体と後部積層体の周縁部のシールにより収納部を形成してなる胴部と、前部積層体が上部から連続する積層体と下部から連続する積層体のシーラント層同士を対向させ、その周縁部をシールし、胴部から分岐する分岐部を有し、分岐部は胴部に対して上下方向に折り曲げ可能、先端部には開口可能な注ぎ口が形成され、分岐部の内部は収納部に連通し、注ぎ口は他のシールの剥離強度よりも小さい剥離強度でシールしてなる易剥離部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムとシーラント層を有する前部積層体と後部積層体のシーラント層同士を対向させて、その周縁部のシールにより収納部を形成してなる胴部を有する包装袋であって、
前記前部積層体が上部から連続する積層体と下部から連続する積層体からなり、これら積層体のシーラント層同士を対向させ、その周縁部をシールし、前記胴部から分岐する分岐部を有し、
前記分岐部は、前記胴部に対して上下方向に折り曲げ可能で、その先端部には開口可能な注ぎ口が形成され、前記分岐部の内部は前記収納部に連通しており、前記注ぎ口は他のシールの剥離強度よりも小さい剥離強度でシールしてなる易剥離部を有する、包装袋。
【請求項2】
前記胴部下部において、前部積層体と後部積層体との間にプラスチックフィルムとシーラント層を有する積層体からなる底フィルムが挿入されシールにより底部を形成し、自立可能としてなる、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記易剥離部は、対向する積層体との間にイージーピールフィルムを備え、前記シーラント層とシールしてなる、請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記易剥離部の剥離強度が15N/15mm以下である、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記易剥離部は、前記分岐部の内側から外側に向かうにしたがって、剥離強度が大きい、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
手で把持するためのくびれを有する、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関するものである。特に、プラスチックフィルムを基材としてなり、液体をはじめとする流動体を内容物として収納することが可能で、注ぎ口を有する包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体をはじめとする流動体を収納することのできる包装袋は、プラスチックフィルムを基材とするフィルム単体または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、人々の生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
たとえば食品分野でも、飲料のほか調理済み食品、調味料やレトルト食品など、液体やペースト状などの内容物に広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。このように食品分野に限らず、液体容器として様々な用途展開がなされている。
【0004】
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前および流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。また包装袋は、廃棄物を減らすという観点からは環境適応型であるといえる。
【0005】
また表面から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通管理やマーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
包装袋の中には、自立性を持たせたものも商品化されており、一般にスタンディングパウチとも呼ばれている。自立性を持たせることにより、商品の陳列も容易になり、包装袋の容量を大きくすることが可能であり、また内容物の取り出しにおいても、利便性に優れたものとすることができる。
【0007】
液体容器にはもうひとつの形態として、ガラス瓶やプラスチックボトルがあって、たとえば洗剤やシャンプーなどのトイレタリー分野では一般的に用いられている。しかしながら、昨今の環境問題への意識の高まりを背景として、廃棄量や焼却量を減じようという動きも活発であり、内容物を取り出したあとの廃棄や焼却についても問題が提起されている。
【0008】
それに対応して、包装袋をガラス瓶やプラスチックボトルへの詰め替え用の容器として用いることが考案され、すでに商品化され市場に浸透している。
【0009】
しかしながら、内容物を取り出そうとして包装袋を開封する際には、包装袋の一部を引き裂いて開封口を設ける必要があり、この引き裂きには刃物を用いて切り裂いたり、手指を用いて引き裂くことが行われており、これらの場合には両手を用いて作業を行う必要があり、利便性は十分なものではない。また、引き裂いたのちには、包装袋の一部が分離され、ごみとなって散乱することが避けられない。
【0010】
特許文献1には、包装袋の一形態として、シーラント層を有する基材を、シーラント層
同士を対向させて重ね、胴部の周縁部をシールするほか、胴部表側から張り出した分岐を形成し、分岐には注ぎ口が設けられている包装袋の提案がなされているが、開封に際しては注ぎ口の先端部分を切り裂いて開封口を設ける必要があり、煩雑さが避けられなかった。また、切り離された先端部分が散乱する問題は解決しておらず、さらにこれらの作業によって、手指のみならず周囲にも内容物が飛散、付着する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2018-052592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、前部積層体と後部積層体の周縁部のシールにより収納部と注ぎ口を形成してなる包装袋であり、片方の手のみを用いての注ぎ口の容易な開封、及び内容物の注ぎ出しが可能な包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムとシーラント層を有する前部積層体と後部積層体のシーラント層同士を対向させて、その周縁部のシールにより収納部を形成してなる胴部を有する包装袋であって、
前記前部積層体が上部から連続する積層体と下部から連続する積層体からなり、これら積層体のシーラント層同士を対向させ、その周縁部をシールし、前記胴部から分岐する分岐部を有し、
前記分岐部は、前記胴部に対して上下方向に折り曲げ可能で、その先端部には開口可能な注ぎ口が形成され、前記分岐部の内部は前記収納部に連通しており、前記注ぎ口は他のシールの剥離強度よりも小さい剥離強度でシールしてなる易剥離部を有する、包装袋である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、
前記胴部下部において、前部積層体と後部積層体との間にプラスチックフィルムとシーラント層を有する積層体からなる底フィルムが挿入されシールにより底部を形成し、自立可能としてなる、請求項1に記載の包装袋である。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、
前記易剥離部は、対向する積層体との間にイージーピールフィルムを備え、前記シーラント層とシールしてなる、請求項1または請求項2に記載の包装袋である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、
前記易剥離部の剥離強度が15N/15mm以下である、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋である。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、
前記易剥離部は、前記分岐部の内側から外側に向かうにしたがって、剥離強度が大きい、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋である。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、
手で把持するためのくびれを有する、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前部積層体と後部積層体の周縁部のシールにより収納部と注ぎ口を形成してなる包装袋であり、片方の手のみを用いての注ぎ口の容易な開封、及び内容物の注ぎ出しが可能な包装袋の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、内容物が充填された未開封の状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
図2図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、開封のために胴部上部を折曲げ、分岐部を直立させた状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
図3図3は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、分岐の先端の注ぎ口を開封する状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
図4図4は、は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、開封ののち、内容物の注ぎ出しの状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
図5図5は、本発明に係る包装袋の他の実施態様を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図1図5を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0022】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、内容物が充填された未開封の状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
【0023】
本発明は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から構成される包装袋(100)である。したがって、液体をはじめとする流動体を内容物(30)として収納することが可能で、注ぎ口(22)を有する。
【0024】
包装袋(100)は、胴部(10)、および底部(2)、および分岐部(20)から構成されている。また、包装袋(100)は、胴部表側(5)、胴部裏側(6)の周縁部を、積層体のシーラント層同士を対向させてシールしてシール部(1)を形成して、内容物(30)を胴部表側(5)と胴部裏側(6)との間の空間に収納可能に、包装袋(100)として製袋されている。図1に示す例において、内容物(30)は包装袋(100)の底部(2)から、液面(31)までの部分に収納されている。
【0025】
また図1に示す例は包装袋(100)が自立性を有する場合であって、底部(2)において、胴部表側(5)と胴部裏側(6)との間には、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から構成される、底フィルム(3)が挿入されシールされて包装袋(100)の底部(2)に底面(4)を形成し、包装部(100)を自立可能にしている。底フィルム(3)の挿入は、折り線(7)を折りたたんだ状態で行うことができる。
【0026】
すなわち、包装袋(100)は、底フィルム(3)の拡張によって、包装袋(100)の底部(2)に底面(4)が形成され、包装袋(100)に自立性を付与することが可能である。
【0027】
底フィルム(3)が挿入されシールされて包装袋(100)の底面(4)を形成し、包装袋(100)を自立可能にしていることによって、商品の陳列も容易になり、包装袋(
100)の容量を大きくすることが可能であり、また内容物(30)の取り出しにおいても、利便性に優れたものとすることができる。
【0028】
底フィルム(3)の拡張は、例えば充填した内容物(30)の自重によるものであってもよい。底フィルム(3)は、底部(2)が密封され、かつ拡張可能で包装袋(100)を自立可能にすることができることを考慮すれば、その形態に特段の制約は設けるものではない。
【0029】
また、胴部(10)の上辺は、内容物(30)を充填する充填口であって、両側端部、及び底部(2)をシールした後、内容物(30)の充填後に、上辺のシール部(1)をシールして、包装袋(100)全体を密封することができる。
【0030】
本発明による包装袋(100)は、プラスチックフィルムを基材とする積層体から構成されるのであって、プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途や目的に応じて適宜選択される。
【0031】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか積層体中に延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0032】
またプラスチックフィルムは、溶融した樹脂を成膜して直接積層するほか、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。したがって積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装袋(100)に対する要求品質に応じて、適宜設計することができる。
【0033】
本発明による包装袋(100)は、特に分岐部(20)に特徴を有する。そこで分岐部(20)について詳細な説明を加える。
【0034】
胴部表側(5)には、胴部表側(5)の上部から連続する積層体と、胴部表側(5)下部から連続する積層体とが包装袋(100)の中央より上の位置で突き当たって、シーラント層同士が対向して重なり合い、左右両側のサイドシール部(21)、および先端に注ぎ口のシール部(23)をシールされて、分岐部(20)を形成している。包装袋(100)の中央より上の位置は、図1に示す例において、分岐の高さ位置(A)で示されている。
【0035】
分岐部(20)に設けられた注ぎ口(22)は、胴部表側(5)と胴部裏側(6)との間の内容物(30)を収納可能な空間から連続しており、分岐部(20)は、胴部表側(5)から張り出して上下方向に折曲げ可能であり、図1に示す例では、分岐の高さ位置(A)で上方向に折り曲げた状態である。
【0036】
したがって、図1に示す例では、分岐部(20)の表裏2面のうち、胴部表側(5)下部から連続する積層体が可視となっており、胴部表側(5)の上部から連続する積層体はその裏側となって不可視である。
【0037】
分岐部(20)の先端の注ぎ口(22)のシール部(23)は、胴部(10)周縁のシール部(1)および分岐部(20)のサイドシール部(21)と比較して、シールの剥離強度が小さい易剥離部である。
【0038】
この部分が易剥離部であることによって、内容物(30)が充填された状態で、包装袋(100)の外側から、例えば手指などを用いて押加圧した時に、内容物(30)は包装袋(100)を内側から押す内圧として作用し、このとき脆弱部である注ぎ口のシール部(23)が、分岐部(20)の内側から破壊されて開口部となり開封が行われる。この包装袋(100)内側からの圧力による開封、内容物(30)の注ぎ出しの詳細については後述する。
【0039】
また、分岐(30)は包装袋(100)の胴部(10)から分かれて、すなわち分岐して配置され、また内容物(30)は胴部(10)の下方に充填されており、胴部(10)の上部(11)もしくは分岐部(20)の先端に空間を有している。
【0040】
したがって包装袋(100)に対して、外部から偶発的に押加圧や衝撃があった場合においても、この空間が押加圧の衝撃を和らげることに有効であり、外力が脆弱部である注ぎ口のシール部(23)に直接作用することを和らげ、注ぎ口(22)の予期しない開封を回避することに効果的である。
【0041】
また、たとえば内容物(30)の保存性を向上させることなどを目的として、必要な場合には、積層体中に着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層体中にガスバリア層を設けることができる。また、たとえばプラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなる、ガスバリアフィルムを用いることができる。
【0042】
包装袋(100)を構成する積層体のシーラント層は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、シールすることが可能である。例えば加熱、押加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(100)に製袋、密封することを可能にする。
【0043】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0044】
シーラント層の形成には、例えば押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、直接積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してあるシーラントの材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0045】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、開封のために胴部上部を折曲げ、分岐部を直立させた状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
【0046】
本発明による包装袋(100)の開封は、包装袋(100)の外部から押加圧して開封を行うことができる。この外部からの押加圧は、それに先立って包装袋(100)の胴部(10)の上部(11)を、図中破線矢印の折り込み方向(50)の方向に、包装袋(1
00)の胴部裏側(6)側に折込んでから行うことができる。
【0047】
また、図2に示すように、包装袋(100)を天地逆さにして、包装袋(100)の外部から押加圧して開封を行うことができる。この場合には、例えば内容物(30)を他の容器に詰め替えるなどの場合で、包装袋(100)の注ぎ口(22)を、詰め替え先の容器の開口部に合わせて、開封してそのまま内容物(30)を注ぎ出して、詰め替えを行うことができる。
【0048】
図3は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、分岐の先端の注ぎ口を開封する状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
【0049】
前述のように、本発明による包装袋(100)の開封は、包装袋(100)の外部から押加圧して開封を行うことができる。すなわち図中矢印の押圧方向(51)に示すように、包装袋の外部から、例えば胴部(10)の両側側辺を押圧して、内容物(30)の液圧を高めることができる。
【0050】
高められた液圧は、包装袋(100)を内部から等しく押圧するが、分岐部(20)の先端の注ぎ口のシール部(23)は、胴部(10)周縁のシール部(1)および分岐部(20)のサイドシール部(21)より、シールの剥離強度が小さい易剥離部であることから、この脆弱部分が破壊されて、包装袋(100)内部から外部に通じる開口部が形成され、開封が行われる。開封した後はここを注ぎ口(22)として、内容物の注ぎ出しが可能となる。
【0051】
また、本発明による包装袋(100)において、注ぎ口(22)の易剥離部は、対向する積層体の間にイージーピールフィルムを配置して、シーラント層とシールして構成することができる。
【0052】
このようにして脆弱部分を構成する場合には、シール条件の変動、ばらつきを排除することができるため、より安定した脆弱部分を構成することができ、易剥離部として安定した剥離強度とすることができる。
【0053】
また、本発明による包装袋(100)において、注ぎ口(22)の易剥離部は、剥離強度が15N/15mm以下とすることができ、これは、易剥離部の開封が、片方の手による包装袋(100)の胴部(10)への押加圧で、容易に開封が可能となる範囲である。例えば、老人や握力の弱い人においても、包装袋(100)の容易な開封が可能になり、利便性が高い開封機構とすることができる。
【0054】
またさらに、注ぎ口(22)の易剥離部は、包装袋(100)の内側から外側に向かうにしたがって、剥離強度が大きくなるように設計することができる。
【0055】
このように設計する場合には、易剥離部すなわち脆弱部分の破壊による開封は、瞬間的、あるいは爆発的ではなく、包装袋(100)の内側から外側に向かって、順次円滑に行われ、開封による内容物の飛び散りの恐れをなくすことに有効である。
【0056】
図4は、は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、開封ののち、内容物の注ぎ出しの状態を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
【0057】
図4に示す包装袋(100)の例は、包装袋(100)が詰め替え用のものであって、内容物(30)を詰め替え先の容器(40)へ詰め替えをする様子である。
【0058】
このように、包装袋(100)の内部からの液圧によって形成された開口部(24)を経由して、内容物(30)は外部への注ぎ出しが可能であり、注ぎ口(22)は詰め替え先容器(40)の開口部(41)に向けて、配置されている。
【0059】
注ぎ出しは、内容物(30)の自重と、包装袋(100)にかかる外気圧によって注ぎ方向(52)の方向に自然落下するが、包装袋(100)の胴部を、例えば図中矢印の押圧方向(51)に押加圧して、注ぎ出しを加速することも可能である。
【0060】
このようにして、本発明による包装袋(100)は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から構成される包装袋において、片手の手指のみを用いての容易な開封、及び内容物の注ぎ出しが可能な包装袋の提供が可能である。
【0061】
すなわち、この包装袋(100)は、片方の手で把持して開封し、そのまま注ぎ出しが可能であり、したがって、例えば詰め替え先の容器(40)の開口部(41)に配置してそのまま注ぎ出しを行うことができ、さらに手で押加圧して注ぎ出しを加速することも可能である。
【0062】
図5は、本発明に係る包装袋の他の実施態様を説明するための、胴部表側から見た斜視(一部透視)模式図である。
【0063】
図5に示す例は、包装袋(100)の胴部(10)が、片手の手指で握りやすい形に形成された例である。すなわち、把持しやすくするために掌で握って、押加圧しやすいよう、胴部(10)にはくびれ(8)が形成されている例である。
【0064】
分岐部(20)は図1に示す包装袋(100)の例と同様に、胴部表側(5)の上部から連続する積層体と、胴部表側(5)下部から連続する積層体とが、包装袋(100)の中央より上で突き当たって、シーラント層同士が対向して重なり合い、左右両側のサイドシール部(21)、および分岐部(20)先端の、注ぎ口のシール部(23)をシールされている。
【0065】
また、図1に示す例と同様に、分岐部(20)の注ぎ口(22)は、胴部表側(5)と胴部裏側(6)との間の空間から連続しており、分岐部(20)は、胴部表側(5)から張り出して上下方向に折曲げ可能であり、分岐部(20)の先端の注ぎ口のシール部(23)は、胴部周縁のシール部(1)および分岐部(20)のサイドシール部(21)より、シールの剥離強度が小さい易剥離部である。
【0066】
本発明による包装袋(100)において、底部(2)は底フィルム(3)を設けて、それを拡張することによって、底面(4)を形成して、包装袋(100)に自立性を付与することが可能である。底フィルム(3)の拡張は、例えば充填した内容物(30)の自重によるものであってもよい。
【0067】
また、胴部表側(5)と胴部裏側(6)との間には、胴部(10)の底部(2)において、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から構成される、底フィルム(3)が挿入されシールされて、包装袋(100)の底部(2)を密閉して形成することができるものであって、包装袋(100)を自立可能にすることができることを考慮すれば、その形態に特段の制約を設けるものではない。
【0068】
図5に示す包装袋(100)の例においても、包装袋(100)の開封は、包装袋(100)の外部から押加圧して開封を行うことができる。この外部からの押加圧は、それに先立って包装袋(100)の胴部の上部(11)を、図中破線矢印折り込み方向(53)
の方向に、包装袋(100)の胴部裏側(6)側に折込んでから行うことができる。
【0069】
また、例えば内容物(30)を他の容器に詰め替えるなどの場合で、包装袋(100)の注ぎ口(22)を詰め替え先の容器(40)の開口部(41)に合わせて、開封してそのまま内容物(30)を注ぎ出すことができる。
【0070】
このように、包装袋(100)の胴部(10)の形態を、片方の手による把持に、より適切な形状にする場合には、包装袋(100)の把持、開封、内容物(30)の取り出しを、より容易かつ安定して行うことが可能となり、利便性のさらなる向上に効果的である。
【0071】
すなわち、図5に示す例においても、包装袋(100)は、片方の手で把持して開封することが可能であって、胴部(10)の形状がより掌によって胴部を握り持つ作業に適した形状であるために、開封のための押加圧も効果的に行うことができる。
【0072】
また、開封に引き続いてそのまま注ぎ出しが可能であり、したがって、例えば詰め替え先の容器(40)の開口部(41)に配置して開封、注ぎ出しを行うことができ、さらに手指で押加圧して注ぎ出しを加速することも可能である。
【0073】
このようにして、本発明による包装袋は、前部積層体と後部積層体の周縁部のシールにより収納部と注ぎ口を形成してなる包装袋であり、片方の手のみを用いての注ぎ口の容易な開封、及び内容物の注ぎ出しが可能な包装袋の提供が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・シール部
2・・・底部
3・・・底フィルム
4・・・底面
5・・・胴部表側
6・・・胴部裏側
7・・・折り線
8・・・くびれ
10・・・胴部
11・・・上部
20・・・分岐部
21・・・サイドシール部
22・・・注ぎ口
23・・・注ぎ口のシール部
24・・・開口部
30・・・内容物
31・・・液面
40・・・詰め替え先容器
41・・・開口部
50・・・折り込み方向
51・・・押圧方向
52・・・注ぎ方向
53・・・折り込み方向
100・・・包装袋
A・・・分岐の高さ位置
図1
図2
図3
図4
図5