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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165178
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】電池温度管理システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20221024BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221024BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221024BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221024BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20221024BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20221024BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20221024BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20221024BHJP
【FI】
B60K11/06
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6556
H01M10/633
H01M10/6566
B60K1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070419
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】三国 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】大路 潔
(72)【発明者】
【氏名】増田 渉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 敏貴
(72)【発明者】
【氏名】小池 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】種平 貴文
(72)【発明者】
【氏名】山口 寛一
(72)【発明者】
【氏名】谷中 克年
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC14
3D038AC16
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC01
3D235CC15
3D235CC32
3D235DD02
3D235DD33
3D235FF25
3D235FF42
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】車両のコンパートメント内に搭載された電池を高効率に温度管理することができる電池温度管理システムを提供する。
【解決手段】電池温度管理システム101は、コンパートメント内に搭載された電池15の温度管理を行うシステムである。第1熱交換器13は、第2熱交換器12の上方に隣接配置されており、第1熱交換器12での熱交換により加温される空気の温度は、第2熱交換器での熱交換により加温される空気の温度よりも高い。プロペラファン14は、回転方向およびブレードのピッチ角が可変できる。電池15は、車幅方向の右側にオフセット配置されている。コントローラは、電池15の冷却時には第2熱交換器13で加温された空気が電池15に向けて導かれ、電池15の加温時には第1熱交換器12で加温された空気が電池15に向けて導かれるように、プロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のコンパートメントに搭載された電池の温度を管理する電池温度管理システムであって、
前記コンパートメントは、前記車両の外方から空気を取り入れる空気取入部を有し、
該電池温度管理システムは、
前記コンパートメント内における前記空気取入部に隣接した位置に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させる第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させる第2熱交換器と、
前記空気取入部に対して前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を挟んだ反対側に、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器に隣接し、且つ、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なる位置に配置され、回転方向が左右で切り替え可能であり、ブレードのピッチ角が変更可能であるプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも前記空気取入部から離れた位置に配置された前記電池と、
前記プロペラファンにおける前記回転方向と前記ブレードのピッチ角とを制御するコントローラと、
を備え、
前記第1熱交換器での熱交換により加温される前記空気の温度は、前記第2熱交換器での熱交換により加温される前記空気の温度よりも高く、
前記電池は、車幅方向における一方側にオフセット配置されており、
前記コントローラは、
前記電池の冷却時に、前記第2熱交換器での熱交換で加温された前記空気を前記電池が配された前記一方側に導き、
前記電池の加温時に、前記第1熱交換器での熱交換で加温された前記空気を前記電池が配された前記一方側に導くように、
前記プロペラファンの前記回転方向および前記ピッチ角を制御する、
電池温度管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記コントローラは、
前記回転方向が右回転とされるとともに、当該右回転での回転時に前記第1熱交換器および前記第2熱交換器から取り込んだ前記空気を、当該取込側とは反対側に向けて導出するように前記ピッチ角が第1ピッチ角とされる第1条件と、
前記回転方向が左回転とされるとともに、当該左回転での回転時に前記第1熱交換器および前記第2熱交換器から取り込んだ前記空気を、当該取込側とは反対側に向けて導出するように前記ピッチ角が第2ピッチ角とされる第2条件と、
の切り替えにより、前記電池の冷却または前記電池の加温の制御を実行する、
電池温度管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の上方に配置され、
前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、
前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第1条件で、前記電池の加温時には前記第2条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、
電池温度管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の上方に配置され、
前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、
前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第2条件で、前記電池の加温時には前記第1条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、
電池温度管理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の下方に配置され、
前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、
前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第2条件で、前記電池の加温時には前記第1条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、
電池温度管理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の下方に配置され、
前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、
前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第1条件で、前記電池の加温時には前記第2条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、
電池温度管理システム。
【請求項7】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器に対して車幅方向の右方に配置され、
前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、
前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第2条件で、前記電池の加温時には前記第1条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、
電池温度管理システム。
【請求項8】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器に対して車幅方向の左方に配置され、
前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、
前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第1条件で、前記電池の加温時には前記第2条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、
電池温度管理システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の電池温度管理システムにおいて、
前記コンパートメントは、前記車両の前部に設けられ、
前記空気取入部は、前記コンパートメントの前部に設けられており、
前記電池は、コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に配置されている、
電池温度管理システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れかに記載の電池温度管理システムにおいて、
前記電池は、非水電解質電池である、
電池温度管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池温度管理システムに関し、特に車両のコンパートメントに搭載された電池の温度管理を行う電池温度管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、エンジンの始動や補器の駆動のために電池が搭載されている。電池は、エンジンやモータを冷却するための熱交換器(ラジエータ)などとともに車両のコンパートメント内に搭載されている。
【0003】
電池は、電気化学反応により電力を生成するため、電池の温度が所定温度域内となるように温度管理することが重要となる。仮に電池の温度が所定温度域から外れてしまった場合には、性能の低下や寿命の劣化といった問題を生じる。
【0004】
電池の温度が所定温度を超えないように冷却する手段としては、同じコンパートメント内に搭載された熱交換器を冷却するためのファンによる送風を用いることが考えられる。熱交換器を冷却するためのファンについての構成が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
なお、特許文献1に開示の車両では、ファンとして可変ピッチプロペラファンが用いられている。特許文献1に開示の車両では、ファンにおけるブレードのピッチ角を変化させることで、熱交換器を通してコンパートメント内に外気を導入する状態と、熱交換器を通してコンパートメント内から外方に空気を導出する状態とが切り替え可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-009317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、ハイブリッド電気自動車が広く普及し、また、車両で電力を消費する機器が増加している。このため、車両においては、電池への負荷が増大している。よって、車両においては、さらに高効率に電池の温度管理を行うことが求められているが、上記特許文献1に開示の技術を始めとする従来技術では、このような要望に十分に応えることができない。
【0008】
なお、車両に搭載される電池としては、従来から鉛電池が採用されてきたが、近年では、エネルギー効率が鉛電池に比べて高いリチウムイオン電池等の非水電解質電池への置き換えが検討されている。非水電解質電池は、エネルギー効率が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両全体の小型・軽量化や車両設計の自由度を高くすることができる。ただし、非水電解質電池では、性能および寿命の観点から、電池の温度が所定温度域内で維持されるように温度管理することが鉛電池よりも重要となる。
【0009】
ここで、電池の温度管理のために専用のファンやヒータなどの温調設備を設けることも考えられるが、車両の製造コストの上昇やコンパートメントのサイズ増大、さらには電力の消費量の増大などに繋がるため、採用することは困難である。
【0010】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、車両のコンパートメント内に搭載された電池を高効率に温度管理することができる電池温度管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に一態様に係る電池温度管理システムは、車両のコンパートメントに搭載された電池の温度を管理するシステムである。前記コンパートメントは、前記車両の外方から空気を取り入れる空気取入部を有する。本態様に係る電池温度管理システムは、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、前記電池と、コントローラとを備える。
【0012】
前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内における前記空気取入部に隣接した位置に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させる。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させる。前記プロペラファンは、前記空気取入部に対して前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を挟んだ反対側に、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器に隣接し、且つ、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なる位置に配置され、回転方向が左右で切り替え可能であり、ブレードのピッチ角が変更可能である。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも前記空気取入部から離れた位置に配置されている。前記コントローラは、前記プロペラファンにおける前記回転方向と前記ブレードのピッチ角とを制御する。
【0013】
前記第1熱交換器での熱交換により加温される前記空気の温度は、前記第2熱交換器での熱交換により加温される前記空気の温度よりも高い。前記電池は、車幅方向における一方側にオフセット配置されている。そして、本態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記コントローラは、前記電池の冷却時に、前記第2熱交換器での熱交換で加温された前記空気を前記電池が配された前記一方側に導き、前記電池の加温時に、前記第1熱交換器での熱交換で加温された前記空気を前記電池が配された前記一方側に導くように、前記プロペラファンの前記回転方向および前記ピッチ角を制御する。
【0014】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、コントローラがプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することにより、電池の冷却時には第2熱交換器から相対的に温度が低い空気を電池に向けて導き、電池の加温時には第1熱交換器から相対的に温度が高い空気を電池に導く。よって、上記態様に係る電池温度管理システムでは、コンパートメント内に搭載された電池を冷却することも加温することもでき、電池の性能の低下および寿命の劣化を効果的に抑制することができる。
【0015】
なお、上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器および第2熱交換器に隣接配置されたプロペラファンの回転方向およびピッチ角の制御を行うことで電池の冷却および加温を行うことが可能であるので、電池の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0016】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記コントローラは、前記回転方向が右回転とされるとともに、当該右回転での回転時に前記第1熱交換器および前記第2熱交換器から取り込んだ前記空気を、当該取込側とは反対側に向けて導出するように前記ピッチ角が第1ピッチ角とされる第1条件と、前記回転方向が左回転とされるとともに、当該左回転での回転時に前記第1熱交換器および前記第2熱交換器から取り込んだ前記空気を、当該取込側とは反対側に向けて導出するように前記ピッチ角が第2ピッチ角とされる第2条件と、の切り替えにより、前記電池の冷却または前記電池の加温の制御を実行する、とすることも可能である。
【0017】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、プロペラファンの回転方向とピッチ角とを、第1条件と第2条件との2つの条件で切り替えて電池の冷却と電池の加温との制御を実行することとしている。このため、上記態様に係る電池温度管理システムでは、プロペラファンの制御に係る構成を簡易なものとすることができ、製造コストの上昇を抑えるのに優位である。
【0018】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の上方に配置され、前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第1条件で、前記電池の加温時には前記第2条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、とすることも可能である。
【0019】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器が第2熱交換器の上方に配置され、電池が右側にオフセット配置された構成において、電池の冷却時には第1条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御し、電池の加温時には第2条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することとしている。このような制御を実行することで、電池の冷却時には、第2熱交換器での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池に導かれる。一方、電池の加温時には、第1熱交換器での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池に導かれる。よって、上記態様のような、第1熱交換器、第2熱交換器、および電池の具体的な配置態様の電池温度管理システムでは、電池の加温および冷却を行うことができる。
【0020】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の上方に配置され、前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第2条件で、前記電池の加温時には前記第1条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、とすることも可能である。
【0021】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器が第2熱交換器の上方に配置され、電池が左側にオフセット配置された構成において、電池の冷却時には第2条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御し、電池の加温時には第1条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することとしている。このような制御を実行することで、電池の冷却時には、第2熱交換器での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池に導かれる。一方、電池の加温時には、第1熱交換器での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池に導かれる。よって、上記態様のような、第1熱交換器、第2熱交換器、および電池の具体的な配置態様の電池温度管理システムでは、電池の加温および冷却を行うことができる。
【0022】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の下方に配置され、前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第2条件で、前記電池の加温時には前記第1条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、とすることも可能である。
【0023】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器が第2熱交換器の下方に配置され、電池が右側にオフセット配置された構成において、電池の冷却時には第2条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御し、電池の加温時には第1条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することとしている。このような制御を実行することで、電池の冷却時には、第2熱交換器での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池に導かれる。一方、電池の加温時には、第1熱交換器での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池に導かれる。よって、上記態様のような、第1熱交換器、第2熱交換器、および電池の具体的な配置態様の電池温度管理システムでは、電池の加温および冷却を行うことができる。
【0024】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器の下方に配置され、前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第1条件で、前記電池の加温時には前記第2条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、とすることも可能である。
【0025】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器が第2熱交換器の下方に配置され、電池が左側にオフセット配置された構成において、電池の冷却時には第1条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御し、電池の加温時には第2条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することとしている。このような制御を実行することで、電池の冷却時には、第2熱交換器での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池に導かれる。一方、電池の加温時には、第1熱交換器での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池に導かれる。よって、上記態様のような、第1熱交換器、第2熱交換器、および電池の具体的な配置態様の電池温度管理システムでは、電池の加温および冷却を行うことができる。
【0026】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器に対して車幅方向の右方に配置され、前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第2条件で、前記電池の加温時には前記第1条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、とすることも可能である。
【0027】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器が第2熱交換器の右方に配置され、電池が右側にオフセット配置された構成において、電池の冷却時には第2条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御し、電池の加温時には第1条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することとしている。このような制御を実行することで、電池の冷却時には、第2熱交換器での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池に導かれる。一方、電池の加温時には、第1熱交換器での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池に導かれる。よって、上記態様のような、第1熱交換器、第2熱交換器、および電池の具体的な配置態様の電池温度管理システムでは、電池の加温および冷却を行うことができる。
【0028】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器に対して車幅方向の左方に配置され、前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、前記コントローラは、前記電池の冷却時には前記第1条件で、前記電池の加温時には前記第2条件で前記プロペラファンの前記回転方向と前記ピッチ角とを制御する、とすることも可能である。
【0029】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1熱交換器が第2熱交換器の左方に配置され、電池が左側にオフセット配置された構成において、電池の冷却時には第1条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御し、電池の加温時には第2条件でプロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御することとしている。このような制御を実行することで、電池の冷却時には、第2熱交換器での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池に導かれる。一方、電池の加温時には、第1熱交換器での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池に導かれる。よって、上記態様のような、第1熱交換器、第2熱交換器、および電池の具体的な配置態様の電池温度管理システムでは、電池の加温および冷却を行うことができる。
【0030】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記コンパートメントは、前記車両の前部に設けられ、前記空気取入部は、前記コンパートメントの前部に設けられており、前記電池は、コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に配置されている、とすることも可能である。
【0031】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、電池がプロペラファンよりも後方に配置されているが、車幅方向の一方側にオフセット配置されているので、車両の走行時に第1熱交換器や第2熱交換器での熱交換により加温された空気が電池に向けて不所望に導かれるのを抑制することができる。そして、上記のように、プロペラファンの回転方向とピッチ角とを制御した上で当該プロペラファンを回転させることにより、電池を冷却する場合には第2熱交換器で熱交換された比較的低温の空気を電池に導き、電池を加温する場合には第1熱交換器で熱交換された比較的高温の空気を電池に導くことで、確実に電池の温度管理を行うことができる。
【0032】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記電池は、非水電解質電池である、とすることも可能である。
【0033】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、電池として非水電解質電池を採用する。非水電解質電池は、電池温度が所定の温度域から外れた場合に性能の低下や寿命の劣化といった問題を生じ易いが、上記のように冷却時には第2熱交換器で熱交換された比較的低温の空気が電池に導かれ、加温時には第1熱交換器で熱交換された比較的高温の空気が電池に導かれることにより、電池の温度を所定の温度域に維持することが容易であり、電池の性能の低下や寿命の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0034】
上記の各態様に係る電池温度管理システムでは、車両のコンパートメント内に搭載された電池を高効率に温度管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構造を示す平面図である。
図2】電池温度管理システムにおける第1熱交換器と第2熱交換器との配置形態とプロペラファンの回転方向とを示す正面図であって、(a)はプロペラファンが右回転している状態、(b)はプロペラファンが左回転している状態をそれぞれ示す。
図3】プロペラファンの構成を示す斜視図である。
図4】(a)はプロペラファンのブレードのピッチ角が第1ピッチ角である当該ブレードの姿勢を示す側面図、(b)はプロペラファンのブレードのピッチ角が第2ピッチ角である当該ブレードの姿勢を示す側面図である。
図5】第1熱交換器とエンジンとの接続形態、および第2熱交換器とモータとの接続形態を示す模式図である。
図6】電池温度管理システムにおける制御に係る構成を示すブロック図である。
図7】コントローラが実行する電池温度管理方法を示すフローチャートである。
図8】コンパートメント内における空気の流れを示す模式図であって、(a)は電池冷却時、(b)は電池加温時をそれぞれ示す。
図9】本発明の第2実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構造を示す平面図である。
図10】コントローラが実行する電池温度管理方法を示すフローチャートである。
図11】コンパートメント内における空気の流れを示す模式図であって、(a)は電池冷却時、(b)は電池加温時をそれぞれ示す。
図12】本発明の第3実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構造を示す平面図である。
図13】電池温度管理システムにおける第1熱交換器と第2熱交換器との配置形態を示す正面図である。
図14】コンパートメント内における空気の流れを示す模式図であって、(a)は電池冷却時、(b)は電池加温時をそれぞれ示す。
図15】本発明の第4実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構造を示す平面図である。
図16】コンパートメント内における空気の流れを示す模式図であって、(a)は電池冷却時、(b)は電池加温時をそれぞれ示す。
図17】本発明の第5実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構造を示す平面図である。
図18】コンパートメント内における空気の流れを示す模式図であって、(a)は電池冷却時、(b)は電池加温時をそれぞれ示す。
図19】本発明の第6実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構造を示す平面図である。
図20】コンパートメント内における空気の流れを示す模式図であって、(a)は電池冷却時、(b)は電池加温時をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0037】
以下の説明で用いる図において、「Up」は車両上方、「Lo」は車両下方、「Fr」は車両前方、「Re」は車両後方、「Le」は車両左方(車幅方向の左方)、「Ri」は車両右方(車幅方向の右方)をそれぞれ示す。
【0038】
[第1実施形態]
1.電池温度管理システム101の構成
本発明の第1実施形態に係る電池温度管理システム101の構成について、図1から図5を用いて説明する。なお、以下の説明で用いる図は、構成を模式的に図示したものであって、各部のレイアウトやサイズについては実際とは異なる部分がある。
【0039】
図1に示すように、車両1は、前部にコンパートメント1aを有する。また、車両1は、コンパートメント1aに対してダッシュパネル1cを挟んだ後方に車室1bを有する。コンパートメント1aは、前部に空気取入部1dを有する。コンパートメント1aには、空気取入部1dを通して車両1の前方から空気が取り入れられる。車室1bには、左側にステアリングホイール16が配されている。即ち、車両1は、所謂、左ハンドル車である。
【0040】
コンパートメント1a内の空気取入部1dの後方には、第1熱交換器12が配されている。また、図2(a)、(b)に示すように、第1熱交換器12の下方には、当該第1熱交換器12に隣接するように第2熱交換器13が配されている。
【0041】
図1に示すように、第1熱交換器12および第2熱交換器13(図2(a)、(b)を参照。)の後方には、プロペラファン14が配されている。図2(a)、(b)に示すように、プロペラファン14を車両1の前方から正面視する場合に、プロペラファン14は、第1熱交換器12および第2熱交換器13の双方に重なるように構成されている。
【0042】
また、図2(a)に示すように、本実施形態に係る電池温度管理システム101が備えるプロペラファン14は、回転軸Ax14周りを右回転Rotすることも、図2(b)に示すように、回転軸Ax14周りを左回転Rotすることも可能である。プロペラファン14の回転方向は、後述するコントローラにより制御される。
【0043】
さらに、図3に示すように、プロペラファン14は、略円筒形状を有するハブ14aと、ハブ14aの径方向外側に取り付けられた複数のブレード14bとを有する。また、図示を省略しているが、プロペラファン14は、当該プロペラファン14を回転駆動させるファンモータも有する。図4(a)、(b)に示すように、プロペラファン14は、ブレード14bのピッチ角が変更できる構成を有する。具体的に、ブレード14bは、図4(a)に示すように、回転面Rs14に対して第1ピッチ角θ1をなす姿勢と、図4(b)に示すように、回転面Rs14に対して第2ピッチ角θ2をなす姿勢との間で変更可能となっている。図4(a)に示すように、プロペラファン14を右回転Rotさせる場合には、ブレード14bのピッチ角を第1ピッチ角θ1とすることで、前方から取り込まれた空気を矢印A1で示すように後方に送ることができる(第1条件)。これに対して、図4(b)に示すように、プロペラファン14を左回転Rotさせる場合には、ブレード14bのピッチ角を第2ピッチ角とすることで、前方から取り込まれた空気を矢印A2で示すように後方に送ることができる(第2条件)。
【0044】
なお、ブレード14bのピッチ角の変更は、図示を省略するピッチ角変更アクチュエータを用いて実行される。そして、ピッチ角変更アクチュエータは、後述するコントローラによって制御される。
【0045】
図1に戻って、コンパートメント1a内には、プロペラファン14の後方に、エンジン10、モータ11、および電池15が配されている。エンジン10およびモータ11は、車両1が走行するための駆動力を発生する。即ち、車両1は、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0046】
ここで、本実施形態に係る電池温度管理システム101では、電池15としてリチウムイオン電池等の非水電解質電池が採用されている。非水電解質電池は、鉛電池に比べてエネルギー密度が高く、小型・軽量化を図ることができる。電池15は、コンパートメント1a内において、右側にオフセット配置(コンパートメント1aにおける車幅方向の中心よりも右方に寄った状態で配置)されている。
【0047】
なお、図1に示すコンパートメント1a内に搭載の部材のうち、第1熱交換器12、第2熱交換器13、プロペラファン14、および電池15が本実施形態に係る電池温度管理システム101に属する部材である。
【0048】
図5に示すように、第1熱交換器12は、エンジン10と循環路L1で接続されており、第2熱交換器13は、モータ11と循環路L2で接続されている。エンジン10の駆動時に発生する熱は、循環路L1を循環する冷却液を介して第1熱交換器12で空気と熱交換される。モータ11の駆動時に発生する熱は、循環路L2を循環する熱媒体を介して第2熱交換器13で空気と熱交換される。
【0049】
第1熱交換器12での熱交換により加温される空気の温度は、第2熱交換器13での熱交換により加温される空気の温度よりも高い。
【0050】
2.電池温度管理システム101の制御に係る構成
本実施形態に係る電池温度管理システム101の制御に係る構成について、図6を用いて説明する。
【0051】
図6に示すように、電池温度管理システム101は、コントローラ17、電池温度検出部18、ファンモータ19、およびピッチ角変更アクチュエータ20をさらに備える。コントローラ17は、MPU/CPU、ASIC、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサと、メモリとを有し構成されている。コントローラ17は、電池温度検出部18から取得した電池15の温度情報を基に、メモリに予め格納されたファームウェアを実行することにより、ファンモータ19およびピッチ角変更アクチュエータ20を駆動制御する。
【0052】
3.電池温度管理システム101のコントローラ17が実行する電池15の温度管理方法
本実施形態に係る電池温度管理システム101のコントローラ17が実行する電池15の温度管理方法について、図7および図8を用いて説明する。
【0053】
図7に示すように、コントローラ17は、電池温度検出部18から電池15の電池温度Tbに関する情報を取得する(ステップS1)。なお、コントローラ17による電池温度Tbに関する情報取得は、車両1がキーオン状態の間は連続的または断続的に継続してなされる。
【0054】
次に、コントローラ17は、取得した電池温度Tbが予め設定された所定温度Tth1よりも高いか否かを判断する(ステップS2)。なお、上記所定温度Tth1は、例えば、65℃とすることができる。
【0055】
コントローラ17は、電池温度Tbが所定温度Tth1よりも高いと判断した場合には(ステップS2:YES)、プロペラファン14におけるブレード14bのピッチ角を第1ピッチ角θ1とするようにピッチ角変更アクチュエータ20に指令を発し(ステップS3)、プロペラファン14が右回転Rotで回転するようにファンモータ19に指令を発する(ステップS4)。
【0056】
コントローラ17がステップS3およびステップS4を実行することにより、電池温度管理システム101では、図8(a)に示すように、ブレード14bのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることにより、空気取入部1dから取り入れられた空気B1は、第2熱交換器13での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント1aの後方へと送られる(矢印B2)。上述のように、第2熱交換器13での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器12での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器13を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0057】
第1熱交換器12の下方に配置された第2熱交換器13を通過した空気は、右回転Rotするプロペラファン14の回転方向成分と回転軸Ax14に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント1a内における右後方向へと導かれる。そして、コンパートメント1aの右後には、電池15が配されており、第2熱交換器13を通過した比較的低い温度の空気は、電池15に吹き付けられる。電池15は、比較的低い温度の空気が吹き付けられることにより、効率的に冷却される。
【0058】
図7に戻って、コントローラ17は、電池温度Tbが所定温度Tth1以下であると判断した場合には(ステップS2:NO)、電池温度Tbが予め設定された所定温度Tth2よりも低いか否かを判断する(ステップS5)。なお、上記所定温度Tth2は、例えば、0℃とすることができる。
【0059】
コントローラ17は、電池温度Tbが所定温度Tth2よりも低いと判断した場合には(ステップS5:YES)、プロペラファン14におけるブレード14bのピッチ角を第2ピッチ角θ2とするようにピッチ角変更アクチュエータ20に指令を発し(ステップS6)、プロペラファン14が左回転Rotで回転するようにファンモータ19に指令を発する(ステップS7)。
【0060】
コントローラ17がステップS6およびステップS7を実行することにより、電池温度管理システム101では、図8(b)に示すように、ブレード14bのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることにより、空気取入部1dから取り入れられた空気B3は、第1熱交換器12での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント1aの後方へと送られる(矢印B4)。上述のように、第1熱交換器12での熱交換により加温される空気の温度は、第2熱交換器13での熱交換により加温される空気の温度よりも高い。このため、第1熱交換器12を通過した空気は、相対的に高い温度を有する。
【0061】
第2熱交換器13の上方に配置された第1熱交換器12を通過した空気は、左回転Rotするプロペラファン14の回転方向成分と回転軸Ax14に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント1a内における右後方向へと導かれる。そして、コンパートメント1aの右後には、電池15が配されており、第1熱交換器12を通過した比較的高い温度の空気は、電池15に吹き付けられる。電池15は、比較的高い温度の空気が吹き付けられることにより、効率的に加温される。
【0062】
図7に戻って、コントローラ17は、電池温度Tbが所定温度Tth2以上であると判断した場合には(ステップS5:NO)、プロペラファン14の回転駆動を停止するようにファンモータ19に指令を発する(ステップS8)。この状態においては、プロペラファン14の回転駆動による電池15の冷却も加温もなされないこととなる。
【0063】
なお、本実施形態では、電池15の温度Tbに基づく制御だけを取り出して説明しているが、エンジン10やモータ11の温度が所定温度を超える場合には、プロペラファン14を回転駆動することもある。
【0064】
4.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム101では、コントローラ17がプロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御することにより、コンパートメント1aの後方において車幅方向の右側にオフセット配置された電池15の冷却および加温が可能である。具体的には、電池15の冷却時においては、ブレード14bのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることで(第1条件)、第2熱交換器13での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池15に向けて導かれる。これにより、電池15は、冷却される。
【0065】
一方、電池15の加温時においては、ブレード14bのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることで(第2条件)、第1熱交換器12での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池15に向けて導かれる。これにより、電池15は、加温される。
【0066】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム101では、第1熱交換器12および第2熱交換器13に隣接配置されたプロペラファン14の回転方向およびピッチ角の制御を行うことで電池15の冷却および加温を行うことが可能であるので、電池15の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム101では、車両1のコンパートメント1a内に搭載された電池15を高効率に温度管理することができる。
【0068】
[第2実施形態]
1.電池温度管理システム102の構成
本発明の第2実施形態に係る電池温度管理システム102の構成について、図9を用いて説明する。なお、以下では、上記第1実施形態との差異点を主に説明する。以下で説明を省略する構成については、上記第1実施形態と同じである。
【0069】
図9に示すように、本実施形態に係る電池温度管理システム102は、車両2の前部に設けられたコンパートメント2a内において、第1熱交換器12、第2熱交換器13(図9では、図示を省略。)、プロペラファン14、および電池25を備える。第1熱交換器12、第2熱交換器13、およびプロペラファン14は、上記第1実施形態と同じである。なお、図9では、第2熱交換器13の図示を省略しているが、上記第1実施形態と同様に、第1熱交換器12の下方に隣接配置されている。
【0070】
電池25は、リチウムイオン電池等の非水電解質電池であって、コンパートメント2a内において、左側にオフセット配置されている。
【0071】
コンパートメント2aに対してダッシュパネル2cを挟んだ後方には、車室2bが設けられている。車室2bにおける右方には、ステアリングホイール26が設けられている。即ち、車両2は、所謂、右ハンドル車である。
【0072】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム102も、上記第1実施形態に係る電池温度管理システム101と同様の、制御に係る構成を備える。
【0073】
2.電池温度管理システム102のコントローラが実行する電池25の温度管理方法
本実施形態に係る電池温度管理システム102のコントローラが実行する電池25の温度管理方法について、図10および図11を用いて説明する。
【0074】
図10に示すように、コントローラは、電池温度検出部から電池25の電池温度Tbに関する情報を取得し(ステップS11)、取得した電池温度Tbが予め設定された所定温度Tth1よりも高いか否かを判断する(ステップS12)。
【0075】
コントローラは、電池温度Tbが所定温度Tth1よりも高いと判断した場合には(ステップS12:YES)、プロペラファン14におけるブレード14bのピッチ角を第2ピッチ角θ2とするようにピッチ角変更アクチュエータに指令を発し(ステップS13)、プロペラファン14が左回転Rotで回転するようにファンモータに指令を発する(ステップS14)。これにより、電池温度管理システム102では、図11(a)に示すように、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることにより、空気取入部2dから取り入れられた空気C1は、第2熱交換器13での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント2aの左後方へと送られる(矢印C2)。よって、第2熱交換器13を通過した比較的低い温度の空気が、電池25に吹き付けられる。電池25は、比較的低い温度の空気が吹き付けられることにより、効率的に冷却される。
【0076】
図10に戻って、コントローラは、電池温度Tbが所定温度Tth1以下であると判断した場合には(ステップS12:NO)、電池温度Tbが予め設定された所定温度Tth2よりも低いか否かを判断する(ステップS15)。
【0077】
コントローラは、電池温度Tbが所定温度Tth2よりも低いと判断した場合には(ステップS15:YES)、プロペラファン14におけるブレード14bのピッチ角を第1ピッチ角θ1とするようにピッチ角変更アクチュエータに指令を発し(ステップS16)、プロペラファン14が右回転Rotで回転するようにファンモータに指令を発する(ステップS17)。これにより、電池温度管理システム102では、図11(b)に示すように、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることにより、空気取入部2dから取り入れられた空気C3は、第1熱交換器12での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント2aの左後方へと送られる(矢印C4)。よって、第1熱交換器12を通過した比較的高い温度の空気が、電池25に吹き付けられる。電池25は、比較的高い温度の空気が吹き付けられることにより、効率的に加温される。
【0078】
図10に戻って、コントローラは、電池温度Tbが所定温度Tth2以上であると判断した場合には(ステップS15:NO)、プロペラファン14の回転駆動を停止するようにファンモータに指令を発する(ステップS18)。この状態においては、プロペラファン14の回転駆動による電池25の冷却も加温もなされないこととなる。
【0079】
なお、本実施形態でも、エンジン10やモータ11の温度が所定温度を超える場合には、プロペラファン14を回転駆動することもある。
【0080】
3.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム102でも、コントローラがプロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御することにより、コンパートメント2aの後方において車幅方向の左側にオフセット配置された電池25の冷却および加温が可能である。具体的には、電池25の冷却時においては、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることで(第2条件)、第2熱交換器13での熱交換により加温された比較的低温の空気が電池25に向けて導かれる。これにより、電池25は、冷却される。
【0081】
一方、電池25の加温時においては、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることで(第1条件)、第1熱交換器12での熱交換により加温された比較的高温の空気が電池25に向けて導かれる。これにより、電池25は、加温される。
【0082】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム102でも、第1熱交換器12および第2熱交換器13に隣接配置されたプロペラファン14の回転方向およびピッチ角の制御を行うことで電池25の冷却および加温を行うことが可能であるので、電池25の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム102では、車両2のコンパートメント2a内に搭載された電池25を高効率に温度管理することができる。
【0084】
[第3実施形態]
1.電池温度管理システム103の構成
本発明の第3実施形態に係る電池温度管理システム103の構成について、図12および図13を用いて説明する。なお、以下では、上記第1実施形態および上記第2実施形態との差異点を主に説明する。以下で説明を省略する構成については、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じである。
【0085】
図10および図11に示すように、本実施形態に係る電池温度管理システム103は、車両3の前部に設けられたコンパートメント3a内において、第1熱交換器32、第2熱交換器33、プロペラファン14、および電池15を備える。図11に示すように、第2熱交換器33は、第1熱交換器32の上方に隣接配置されている。
【0086】
電池15は、リチウムイオン電池等の非水電解質電池であって、上記第1実施形態と同様に、コンパートメント3a内において、右側にオフセット配置されている。
【0087】
コンパートメント3aに対してダッシュパネル3cを挟んだ後方には、車室3bが設けられている。車室3bにおける左方には、ステアリングホイール16が設けられている。
【0088】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム103も、上記第1実施形態に係る電池温度管理システム101と同様の、制御に係る構成を備える。
【0089】
2.電池温度管理システム103のコントローラが実行する電池15の温度管理方法
本実施形態に係る電池温度管理システム103のコントローラが実行する電池15の温度管理方法について、図14を用いて説明する。なお、コントローラが実行する電池15の温度管理方法を示すフローチャートについては、図10に示したフローチャートが適用される。
【0090】
コントローラは、電池15の温度Tbが所定温度Tth1よりも高いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせる。これにより、図14(a)に示すように、空気取入部3dから取り入れられた空気D1は、第2熱交換器33での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント3aの右後方へと送られる(矢印D2)。よって、第2熱交換器33を通過した比較的低い温度の空気が、電池15に吹き付けられ、電池15は、効率的に冷却される。
【0091】
一方、コントローラは、電池15の温度Tbが所定温度Tth2よりも低いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせる。これにより、図14(b)に示すように、空気取入部3dから取り入れられた空気D3は、第1熱交換器32での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント3aの右後方へと送られる(矢印D4)。よって、第1熱交換器32を通過した比較的高い温度の空気が、電池15に吹き付けられ、電池15は、効率的に加温される。
【0092】
3.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム103でも、コントローラがプロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御することにより、コンパートメント3aの後方において車幅方向の右側にオフセット配置された電池15の冷却および加温が可能である。具体的には、電池15の冷却時においては、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることで(第2条件)、第2熱交換器33での熱交換により加温された比較的低温の空気により電池15が冷却される。
【0093】
一方、電池15の加温時においては、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることで(第1条件)、第1熱交換器32での熱交換により加温された比較的高温の空気により電池15が加温される。
【0094】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム103でも、電池15の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム103では、車両3のコンパートメント3a内に搭載された電池15を高効率に温度管理することができる。
【0096】
[第4実施形態]
1.電池温度管理システム104の構成
本発明の第4実施形態に係る電池温度管理システム104の構成について、図15を用いて説明する。なお、以下では、上記第3実施形態との差異点を主に説明する。以下で説明を省略する構成については、上記第3実施形態と同じである。
【0097】
図15に示すように、本実施形態に係る電池温度管理システム104は、車両4の前部に設けられたコンパートメント4a内において、第1熱交換器32(図15では、図示を省略。)、第2熱交換器33、プロペラファン14、および電池25を備える。第1熱交換器32は、上記第3実施形態と同様に、第2熱交換器33の下方に隣接配置されている。
【0098】
電池25は、リチウムイオン電池等の非水電解質電池であって、上記第2実施形態と同様に、コンパートメント4a内において、左側にオフセット配置されている。
【0099】
コンパートメント4aに対してダッシュパネル4cを挟んだ後方には、車室4bが設けられている。車室4bにおける右方には、ステアリングホイール26が設けられている。
【0100】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム104も、上記第1実施形態に係る電池温度管理システム101と同様の、制御に係る構成を備える。
【0101】
2.電池温度管理システム104のコントローラが実行する電池25の温度管理方法
本実施形態に係る電池温度管理システム104のコントローラが実行する電池25の温度管理方法について、図16を用いて説明する。なお、コントローラが実行する電池25の温度管理方法を示すフローチャートについては、図7に示したフローチャートが適用される。
【0102】
コントローラは、電池25の温度Tbが所定温度Tth1よりも高いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせる。これにより、図16(a)に示すように、空気取入部4dから取り入れられた空気E1は、第2熱交換器33での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント4aの左後方へと送られる(矢印E2)。よって、第2熱交換器33を通過した比較的低い温度の空気が、電池25に吹き付けられ、電池25は、効率的に冷却される。
【0103】
一方、コントローラは、電池25の温度Tbが所定温度Tth2よりも低いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせる。これにより、図16(b)に示すように、空気取入部4dから取り入れられた空気E3は、第1熱交換器32での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント4aの左後方へと送られる(矢印E4)。よって、第1熱交換器32を通過した比較的高い温度の空気が、電池25に吹き付けられ、電池25は、効率的に加温される。
【0104】
3.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム104でも、コントローラがプロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御することにより、コンパートメント4aの後方において車幅方向の左側にオフセット配置された電池25の冷却および加温が可能である。具体的には、電池25の冷却時においては、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることで(第1条件)、第2熱交換器33での熱交換により加温された比較的低温の空気により電池25が冷却される。
【0105】
一方、電池25の加温時においては、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることで(第2条件)、第1熱交換器32での熱交換により加温された比較的高温の空気により電池15が加温される。
【0106】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム104でも、電池25の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム104では、車両4のコンパートメント4a内に搭載された電池25を高効率に温度管理することができる。
【0108】
[第5実施形態]
1.電池温度管理システム105の構成
本発明の第5実施形態に係る電池温度管理システム105の構成について、図17を用いて説明する。なお、以下では、上記第1実施形態との差異点を主に説明する。以下で説明を省略する構成については、上記第1実施形態と同じである。
【0109】
図17に示すように、本実施形態に係る電池温度管理システム105は、車両5の前部に設けられたコンパートメント5a内において、第1熱交換器52、第2熱交換器53、プロペラファン14、および電池15を備える。図17に示すように、第1熱交換器52は、第2熱交換器53の右方に隣接配置されている。
【0110】
電池15は、リチウムイオン電池等の非水電解質電池であって、上記第1実施形態と同様に、コンパートメント5a内において、右側にオフセット配置されている。
【0111】
コンパートメント5aに対してダッシュパネル5cを挟んだ後方には、車室5bが設けられている。車室5bにおける左方には、ステアリングホイール16が設けられている。
【0112】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム105も、上記第1実施形態に係る電池温度管理システム101と同様の、制御に係る構成を備える。
【0113】
2.電池温度管理システム105のコントローラが実行する電池15の温度管理方法
本実施形態に係る電池温度管理システム103のコントローラが実行する電池15の温度管理方法について、図18を用いて説明する。なお、コントローラが実行する電池15の温度管理方法を示すフローチャートについては、図10に示したフローチャートが適用される。
【0114】
コントローラは、電池15の温度Tbが所定温度Tth1よりも高いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせる。これにより、図18(a)に示すように、空気取入部5dから第2熱交換器53に取り入れられた空気F1は、第2熱交換器53での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント5aの右後方へと送られる(矢印F2)。よって、第2熱交換器53を通過した比較的低い温度の空気が、電池15に吹き付けられ、電池15は、効率的に冷却される。
【0115】
一方、コントローラは、電池15の温度Tbが所定温度Tth2よりも低いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせる。これにより、図18(b)に示すように、空気取入部5dから第1熱交換器52に取り入れられた空気F3は、第1熱交換器52での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント5aの右後方へと送られる(矢印F4)。よって、第1熱交換器52を通過した比較的高い温度の空気が、電池15に吹き付けられ、電池15は、効率的に加温される。
【0116】
3.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム105でも、コントローラがプロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御することにより、コンパートメント5aの後方において車幅方向の右側にオフセット配置された電池15の冷却および加温が可能である。具体的には、電池15の冷却時においては、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることで(第2条件)、第2熱交換器53での熱交換により加温された比較的低温の空気により電池15が冷却される。
【0117】
一方、電池15の加温時においては、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることで(第1条件)、第1熱交換器52での熱交換により加温された比較的高温の空気により電池15が加温される。
【0118】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム105でも、電池15の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0119】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム105では、車両5のコンパートメント5a内に搭載された電池15を高効率に温度管理することができる。
【0120】
[第6実施形態]
1.電池温度管理システム106の構成
本発明の第6実施形態に係る電池温度管理システム106の構成について、図19を用いて説明する。なお、以下では、上記第5実施形態との差異点を主に説明する。以下で説明を省略する構成については、上記第5実施形態と同じである。
【0121】
図19に示すように、本実施形態に係る電池温度管理システム106は、車両6の前部に設けられたコンパートメント6a内において、第1熱交換器62、第2熱交換器63、プロペラファン14、および電池25を備える。図19に示すように、第1熱交換器62は、第2熱交換器53の左方に隣接配置されている。
【0122】
電池25は、リチウムイオン電池等の非水電解質電池であって、上記第2実施形態等と同様に、コンパートメント6a内において、左側にオフセット配置されている。
【0123】
コンパートメント6aに対してダッシュパネル6cを挟んだ後方には、車室6bが設けられている。車室6bにおける右方には、ステアリングホイール26が設けられている。
【0124】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム106も、上記第1実施形態に係る電池温度管理システム101と同様の、制御に係る構成を備える。
【0125】
2.電池温度管理システム106のコントローラが実行する電池25の温度管理方法
本実施形態に係る電池温度管理システム106のコントローラが実行する電池25の温度管理方法について、図20を用いて説明する。なお、コントローラが実行する電池25の温度管理方法を示すフローチャートについては、図7に示したフローチャートが適用される。
【0126】
コントローラは、電池25の温度Tbが所定温度Tth1よりも高いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせる。これにより、図20(a)に示すように、空気取入部6dから第2熱交換器63に取り入れられた空気G1は、第2熱交換器63での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント6aの左後方へと送られる(矢印G2)。よって、第2熱交換器63を通過した比較的低い温度の空気が、電池25に吹き付けられ、電池25は、効率的に冷却される。
【0127】
一方、コントローラは、電池25の温度Tbが所定温度Tth2よりも低いと判断した場合には、、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせる。これにより、図20(b)に示すように、空気取入部6dから第1熱交換器62に取り入れられた空気G3は、第1熱交換器62での熱媒体との熱交換の後、コンパートメント6aの右後方へと送られる(矢印G4)。よって、第1熱交換器62を通過した比較的高い温度の空気が、電池25に吹き付けられ、電池25は、効率的に加温される。
【0128】
3.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム106でも、コントローラがプロペラファン14の回転方向とピッチ角とを制御することにより、コンパートメント6aの後方において車幅方向の左側にオフセット配置された電池25の冷却および加温が可能である。具体的には、電池25の冷却時においては、ブレードのピッチ角を第1ピッチ角θ1とした上でプロペラファン14を右回転Rotさせることで(第1条件)、第2熱交換器63での熱交換により加温された比較的低温の空気により電池25が冷却される。
【0129】
一方、電池25の加温時においては、ブレードのピッチ角を第2ピッチ角θ2とした上でプロペラファン14を左回転Rotさせることで(第2条件)、第1熱交換器62での熱交換により加温された比較的高温の空気により電池25が加温される。
【0130】
なお、本実施形態に係る電池温度管理システム106でも、電池25の温度管理のための別途のファンやヒータなどを設ける必要がなく、製造コストの上昇や電力消費を抑えることができる。
【0131】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム106では、車両6のコンパートメント6a内に搭載された電池25を高効率に温度管理することができる。
【0132】
[変形例]
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、第1熱交換器12,32,52,62がエンジン10の冷却用として設けられ、第2熱交換器13,33,53,63がモータ11の冷却用として設けられた構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、第1熱交換器をエンジンまたはモータの冷却用として設け、第2熱交換器をその他の補機(例えば、エバポレータやインバータ)に接続された構成を採用することもできる。
【0133】
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、車両1~6の前部のコンパートメント1a,2a,3a,4a,5a,6aにエンジン10およびモータ11が搭載されている構造を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車両前部のコンパートメントにエンジンだけが搭載された構造やモータだけが搭載された構造、さらには、車両前部のコンパートメントにエンジンもモータも搭載されていない構造を採用することも可能である。
【0134】
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、電池15,25として非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、鉛電池や全固体二次電池などを採用することも可能である。
【0135】
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、コンパートメント1a,2a,3a,4a,5a,6aの候補に車室1b,2b,3b,4b,5b,6bが配された車両1~6を採用したが、本発明は、例えば、キャブオーバータイプの車両に適用することも可能である。
【0136】
上記第1実施形態、上記第3実施形態、および上記第5実施形態では、左ハンドル車を一例と趾、電池15がコンパートメント1a,3a,5aの右側にオフセット配置された構造を採用したが、本発明は、ステアリングホイールの位置と電池の位置との関係について、これに限定を受けるものではない。同様に、上記第2実施形態、上記第4実施形態、および上記第6実施形態では、右ハンドル車を一例と趾、電池25がコンパートメント2a,4a,6aの左側にオフセット配置された構造を採用したが、本発明は、ステアリングホイールの位置と電池の位置との関係について、これに限定を受けるものではない。例えば、左ハンドル車における車両前部のコンパートメントにおいて、電池を左側にオフセット配置してもよいし、右ハンドル車における車両前部のコンパートメントにおいて、電池を右側にオフセット配置してもよい。そして、この場合には、電池の配置形態に基づいて、プロペラファンにおけるブレードのピッチ角とプロペラファンの回転方向とを規定すればよい。
【符号の説明】
【0137】
1~6 車両
1a,2a,3a,4a,5a,6a コンパートメント
1d,2d,3d,4d,5d,6d 空気取入部
12,32,52,62 第1熱交換器
13,33,53,63 第2熱交換器
14 プロペラファン
14b ブレード
15,25 電池
16,26 ステアリングホイール
17 コントローラ
19 ファンモータ
20 ピッチ角変更アクチュエータ
101~106 電池温度管理システム
θ1 第1ピッチ角
θ2 第2ピッチ角
Rot 右回転
Rot 左回転
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20