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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165180
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/46 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B66B1/46 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070421
(22)【出願日】2021-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(72)【発明者】
【氏名】大野 佑輔
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HB02
3F502HB20
3F502MA01
3F502MA15
(57)【要約】
【課題】 乗りかごの扉の戸開閉を非接触で操作可能であって、安全性を向上させたエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータは、乗りかごの扉の戸開閉を非接触で操作可能であって、扉の戸開操作を非接触で検出する戸開センサと、扉の戸閉操作を非接触で検出する戸閉センサと、戸開センサと戸閉センサの操作の検出に基づいて、戸開閉に関するモードを実行する制御部と、を備え、制御部は、戸開センサと戸閉センサが同時に操作を検出した場合には、扉を戸開させる戸開モードを実行することを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごの扉の戸開閉を非接触で操作可能なエレベータであって、
前記扉の戸開操作を非接触で検出する戸開センサと、
前記扉の戸閉操作を非接触で検出する戸閉センサと、
前記戸開センサと前記戸閉センサの操作の検出に基づいて、戸開閉に関するモードを実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記戸開センサと前記戸閉センサが同時に操作を検出した場合には、前記扉を戸開させる戸開モードを実行する
ことを特徴とする、エレベータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記戸開センサと前記戸閉センサが所定時間以上、同時に操作を検出した状態が継続した場合には、前記扉を戸閉させる第1戸閉モードを実行する
ことを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1戸閉モードの実行中に前記戸閉センサの操作の検出が解除された場合には、前記戸開センサの操作の検出の有無にかかわらず、前記戸開モードを実行する
ことを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記戸開モードの実行中に、前記戸閉センサのみ操作を検出した場合には、前記扉を戸閉させる第2戸閉モードを実行し、
前記第2戸閉モードは、前記第1戸閉モードよりも前記扉の戸閉動作が速い
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のエレベータ。
【請求項5】
同時に操作を検出した前記戸開センサと前記戸閉センサは、隣接している
ことを特徴とする、請求項1乃至4に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、非接触式操作盤を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、非接触式操作盤を備えたエレベータは、利用者が手でセンサを遮光することにより、乗りかごの扉の戸開閉操作をする(例えば、特許文献1)。ところで、特許文献1のようなエレベータは、戸開操作用のセンサと戸閉操作用のセンサが同時に操作された場合、利用者が予期しない扉の動作が発生する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-124166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、乗りかごの扉の戸開閉を非接触で操作可能であって、安全性を向上させたエレベータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータは、乗りかごの扉の戸開閉を非接触で操作可能なエレベータであって、前記扉の戸開操作を非接触で検出する戸開センサと、前記扉の戸閉操作を非接触で検出する戸閉センサと、前記戸開センサと前記戸閉センサの操作の検出に基づいて、戸開閉に関するモードを実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記戸開センサと前記戸閉センサが同時に操作を検出した場合には、前記扉を戸開させる戸開モードを実行することを特徴とする。
【0006】
また、エレベータは、前記制御部は、前記戸開センサと前記戸閉センサが所定時間以上、同時に操作を検出した状態が継続した場合には、前記扉を戸閉させる第1戸閉モードを実行する、という構成でもよい。
【0007】
また、エレベータは、前記制御部は、前記第1戸閉モードの実行中に前記戸閉センサの操作の検出が解除された場合には、前記戸開センサの操作の検出の有無にかかわらず、前記戸開モードを実行する、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータは、前記制御部は、前記戸開モードの実行中に、前記戸閉センサのみ操作を検出した場合には、前記扉を戸閉させる第2戸閉モードを実行し、前記第2戸閉モードは、前記第1戸閉モードよりも前記扉の戸閉動作が速い、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータは、同時に操作を検出した前記戸開センサと前記戸閉センサは、隣接している、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される操作盤の構成を示す図である。
図3図3は、図2に示す戸開センサと同センサの検出領域の位置関係を示す模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される制御ブロック図である。
図5図5は、本発明の一実施形態であるエレベータの制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は扉22Aに垂直な水平方向Xを示し、「Y」は上下方向Yを示し、「Z」は水平方向X,および上下方向Yに各々直交する水平方向Zを示すものとする。
【0012】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、エレベータ10の乗りかご22は、乗降口27と、乗降口27に隣接する袖壁22-1,22-2を備える。また、乗降口27には、扉22Aが設置される。さらに、図1の2点鎖線で示す位置、すなわち、袖壁22-1に操作盤28が、袖壁22-2に操作盤29がそれぞれ設けられている。
【0014】
エレベータ10の利用者は、操作盤28,29を操作することにより、乗りかご22の行先階を登録する。また、エレベータ10の利用者は、操作盤28,29を操作することにより、扉22Aの戸開閉に関する操作を入力する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される操作盤の構成を示す図である。
【0016】
なお、操作盤28と操作盤29は同様の構成であることから、以下では、操作盤28の構成について説明し、操作盤29の構成については省略する。
【0017】
図2に示すように、操作盤28は、扉22Aの戸開閉操作を行う戸開閉操作部40が設けられている。
【0018】
ここで、戸開閉操作部40はさらに、扉22Aの戸開操作を行う戸開操作部41と、扉22Aの戸閉操作を行う戸閉操作部42とが、上下に並設されている。
【0019】
また、戸開操作部41はさらに、戸開操作を接触式で行う戸開釦41Aと、戸開操作を非接触により行う戸開センサ41Bと、戸開操作の受付状態を報知する戸開報知部41Cが設けられている。
【0020】
戸閉操作部42も同様に、戸閉操作を接触式で行う戸閉釦42Aと、戸閉操作を非接触により行う戸閉センサ42Bと、戸閉操作の受付状態を報知する戸閉報知部42Cが設けられている。
【0021】
ここで、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bは上下に隣接している。このような構成によれば、利用者が誤って一方を操作した場合であっても、直ちに意図した他方の操作に変更することができる。
【0022】
なお、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bはこのような構成に限られず、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが左右に隣接してもよい。
【0023】
戸開操作部41と戸閉操作部42は同様の構成であることから、以下では、戸開操作部41の構成について説明し、戸閉操作部42の構成については省略する。
【0024】
戸開釦41Aは、従来公知の押釦であるが、このような構成に限られず、他の接触操作を検出する装置、例えばタッチセンサにより構成されてもよい。
【0025】
また、戸開センサ41Bは、矩形状の孔が設けられ、各孔の奥側には、投光器と受光器が一体になった反射型光電センサがそれぞれ格納される。反射型光電センサは、投光器から光を照射し、受光器が受光する物体からの反射光の受光量の変化に基づいて物体の有無を検出する。また、各矩形孔は、透光性を有する保護プレート36によって各々覆われている。なお、戸開センサ41Bはこのような構成に限られず、他の非接触操作を検出する装置、例えば超音波センサや、静電容量センサにより構成されてもよい。
【0026】
本実施形態では、受光器側の受光量(センサの感度)を調整し、予め設定されている検出領域Pの物体を検出可能に構成されている。ここで、図3は、戸開センサ41Bと検出領域Pの位置関係を示す模式図である。図3では、戸開センサ41Bおよび検出領域P以外の構成については適宜省略して示している。また、図3では、ハッチングを付して検出領域Pを図示している。
【0027】
図3に示すように、検出領域Pは、戸開センサ41Bから水平方向Xに第1所定距離L1だけ離れた位置から水平方向Xに第2所定距離L2だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される。
【0028】
第1所定距離L1としては、2cm≦L1≦3cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、視覚障がいのある利用者が押釦の位置を手探りで探すような場合や利用者が不意に戸開センサ41Bに触れてしまったような場合において、利用者の指などに戸開センサ41Bが反応して誤って戸開操作されるのを抑制できる。
【0029】
また、第2所定距離L2としては、4cm≦L2≦10cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、検出領域Pが操作盤28付近に限られるため、乗りかご22内が混雑しているときなどに利用者の身体の一部や持ち物などを戸開センサ41Bが誤検知し難くできる。この結果、乗りかご22内が混雑しているときなどに利用者の身体の一部や持ち物などが戸開センサ41Bに近接し、戸開操作が誤って継続してしまうことを抑制できる。
【0030】
なお、検出領域Pはこのような構成に限られず、例えば、戸開センサ41Bから水平方向Xに第2所定距離L2だけ離れた位置までの空間領域に設定されてもよい。
【0031】
図2に示すように、検出領域Pに利用者が手Uをかざすなどの所定操作を行うことで、戸開センサ41Bが予め設定された時間(例えば、0.3秒)だけ遮光を検知すると、後述する制御装置46に検出信号が送信され、戸開に関するモードが実行される。
【0032】
なお、戸開センサ41Bは、このような構成に限られず、例えば、戸開センサ41Bが遮光を検知すると、直ちに制御装置46に検出信号が送信される、という構成でもよい。
【0033】
さらに、戸開報知部41Cは、戸開釦41Aの中央に設けられ、戸開を示すマークの形をした透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。
【0034】
戸開報知部41Cは、開釦41Aを押下する操作や、戸開センサ41Bに手をかざす動作などの操作により、戸開操作が受け付けられると、点灯又は点滅するように構成される。このような構成によれば、戸開釦41Aや戸開センサ41Bを介して操作を行った際に、戸開操作が受け付けられているか否かを利用者が目視確認することができる。図2では、戸開報知部41Cにハッチングを付して点灯状態を模式的に示している。
【0035】
戸開閉操作部40の上部には、乗りかご22の行先階を登録する入力操作を行う機能を有する行先階操作部30が設けられている。行先階操作部30は、行先階に対応した押釦と非接触式のセンサを複数備え、押釦が押下されたこと、又はセンサが所定時間以上遮光したことをもって、行先階が登録される、という機能を有する。
【0036】
また、行先階操作部30の上部には、外部との連絡を行うための連絡釦43が設けられている。なお、連絡釦43は、従来公知の押釦であるが、戸開操作部41や戸閉操作部42と同様に、押釦と非接触操作を検出するセンサとを備える、という構成を採用することとしても構わない。
【0037】
操作盤28は、さらに、表示部44を有する。表示部44は、例えば、液晶ディスプレイからなり、例えば、乗りかご22の移動方向や、乗りかご22の通過階、扉22Aの動作に関する情報、その他利用者に報知する情報を表示する。表示部44は、行先階操作部30よりもさらに上方の利用者から見やすい位置に設けられている。操作盤28には、また、音声を出力するスピーカー(不図示)が内蔵されている。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される制御ブロック図である。
【0039】
制御装置46は、エレベータ10の運転制御全般を統括して行うコンピュータであり、CPUなどの制御部46aと、メモリ、HDDなどの記憶部46bを備える。記憶部46bには、例えば、巻上機(不図示)の駆動制御、行先階の登録制御などを行うための各種制御プログラムが格納されている。制御部46aが、これらのプログラムを読み出して実行することにより、制御装置46によるエレベータ10の円滑な運転が実現される。
【0040】
本実施形態のエレベータ10では、後述する扉22Aの開閉制御も制御装置46によって行われる。制御装置46の記憶部46bには、開閉制御プログラムが格納されており、制御部46aが当該制御プログラムを読み出し、後述する制御において実行される戸開モード、第1戸閉モード、第2戸閉モード等の戸開閉に関するモードに従って、従来公知の開閉機構を駆動する。なお、各モードの詳細は、後述する。
【0041】
乗りかご22に設けられる操作盤28は、制御装置46と電気的に接続されている。操作盤28は、戸開釦41A、戸閉釦42A、戸開センサ41B、戸閉センサ42B、戸開報知部41C、戸閉報知部42Cを備える。
【0042】
戸開釦41A、戸閉釦42A、戸開センサ41B、戸閉センサ42Bは、制御部46aに操作検出信号を送信し、戸開報知部41C、戸閉報知部42Cは、制御部46aからの指令に基づいて、点灯又は点滅する。
【0043】
2.動作
図5は、本発明の一実施形態であるエレベータの制御を示すフロー図である。以下、エレベータ10における制御について、図5を参照しながら説明する。
【0044】
図5に示すフローは、本実施形態においては、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作されたことを検出すると、開始し(ステップS1)、戸開モードを実行する(ステップS2)。
【0045】
ここで、「戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された」とは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に遮光され、予め設定された時間(例えば、0.3秒)だけ同時に遮光された状態が継続したことを指す。なお、このような構成に限られず、例えば、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に遮光されたことをもって、「戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された」としてもよい。また、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bのうち、一方が遮光された状態で、他方が遮光を開始した場合においても、「戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された」としてもよい。
【0046】
加えて、同時に操作された戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが、同一の操作盤28又は操作盤29上で隣接することをもって、「戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された」としてもよい。より具体的には、例えば、操作盤28,29のうち、一方の戸開センサ41Bと、他方の戸閉センサ42Bが同時に操作された場合には、図5に示すフローを開始しないこととしてもよい。このような構成によれば、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bを同時に操作した利用者が同一人物であって、意図しない操作がされている可能性が高い場合に限定することができる。
【0047】
また、「戸開モード」とは、扉22Aを戸開方向に移動させるとともに、扉22Aを戸開状態で保持するためのモードである。さらに、戸開モードを実行した場合は、戸開報知部41Cを点灯又は点滅させてもよい。
【0048】
なお、戸開釦41Aが押下された場合や、戸開センサ41Bが単独で操作を検出した場合にも、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された場合に実行される戸開モードと同じ戸開モードを実行してもよい。また、戸開釦41Aが押下された場合や、戸開センサ41Bが単独で操作を検出した場合には、戸開モード実行時に戸開報知部41Cを点灯させ、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された場合には、戸開モード実行時に戸開報知部41Cを点滅させるなど、戸開閉操作部40で検出した操作に応じて、戸開モード実行時の戸開報知部41Cの報知態様を異ならせてもよい。
【0049】
図5に戻り、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された状態が、解除されているか否かを判定する(ステップS3)。戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された状態が、解除されている場合(ステップS3でYES)は、ステップS4へ進む。戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された状態が、解除されていない場合(ステップS3でNO)は、ステップS7へ進む。
【0050】
次に、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bのどちらが操作を検出しているかを判定する(ステップS4)。戸開センサ41Bが操作を検出している場合(ステップS4で「戸開」)は、戸開モードを実行し(ステップS5)、フローを終了する。戸閉センサ42Bが操作を検出している場合(ステップS4で「戸閉」)は、第2戸閉モードを実行し(ステップS6)、フローを終了する。
【0051】
ここで、「第2戸閉モード」とは、扉22Aを戸閉方向、換言すると、全閉状態となる方向に移動させるためのモードである。さらに、「第2戸閉モード」を実行した場合は、戸閉報知部42Cを点灯又は点滅させてもよい。なお、第1戸閉モードについては後述する。
【0052】
さらに、戸閉釦42Aが押下された場合や、戸閉センサ42Bが単独で操作を検出した場合にも、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bの同時操作が解除された後に、戸閉センサ42Bが操作を検出している場合に実行される第2戸閉モードと同じ第2戸閉モードを実行してもよい。また、戸閉釦42Aが押下された場合や、戸閉センサ42Bが単独で操作を検出した場合には、第2戸閉モード実行時に戸閉報知部42Cを点灯させ、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bの同時操作が解除された後に、戸閉センサ42Bが操作を検出している場合には、第2戸閉モード実行時に戸閉報知部42Cを点滅させるなど、戸開閉操作部40で検出した操作に応じて、第2戸閉モード実行時の戸閉報知部42Cの報知態様を異ならせてもよい。
【0053】
図5に戻り、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作された状態が所定時間(例えば、30秒)以上継続しているか否かを判定する(ステップS7)。所定時間以上継続していない場合(ステップS7でNO)は、ステップS2に戻り、戸開モードの実行を継続する。所定時間以上継続した場合(ステップS7でYES)は、第1戸閉モードを実行し(ステップS8)、ステップS9へ進む。
【0054】
ここで、「第1戸閉モード」とは、扉22Aを戸閉方向、換言すると、全閉状態となる方向に移動させるためのモードである。ただし、第1戸閉モードでは、第2戸閉モードよりも遅い戸閉速度で、扉22Aを戸閉方向に移動させる。換言すると、第2戸閉モードは、第1戸閉モードよりも速い戸閉速度で、扉22Aを戸閉方向に移動させる。具体的には、第1戸閉モードは、第2戸閉モードの扉22Aの速度の半分以下の速度で、扉22Aを戸閉方向に移動させる。
【0055】
なお、第1戸閉モードと第2戸閉モードとで、戸閉報知部42Cの報知態様が異なってもよい。具体的には、第1戸閉モードと第2戸閉モードにおいて、戸閉報知部42Cの点滅周期が異なる、としてもよい。このような構成によれば、第1戸閉モードにおいて、利用者に対し、扉22Aが戸閉動作していることについて注意喚起を行うことができる。
【0056】
図5に戻り、制御部46aは、戸開センサ41Bの操作の有無にかかわらず、戸閉センサ42Bの操作の検出が継続しているか否かを判定する(ステップS9)。戸閉センサ42Bの操作の検出が継続していない場合(ステップS9でNO)、つまり、戸開センサ41Bの操作の有無にかかわらず、戸閉センサ42Bの操作が解除された場合、戸開モードを実行し(ステップS5)、フローを終了する。戸閉センサ42Bの操作の検出が継続している場合(ステップS9でYES)、ステップS10へ進む。
【0057】
次に、制御部46aは、扉22Aの戸閉が完了したか否かを判定する(ステップS10)。戸開が完了していない場合(ステップS10でNO)は、ステップS8へ戻り、第1戸閉モードの実行を継続する。戸開が完了している場合(ステップS10でYES)は、フローを終了する。
【0058】
3.本実施形態のまとめ
以上により、本実施形態に係るエレベータ10は、乗りかご22の扉22Aの戸開閉を非接触で操作可能なエレベータ10であって、扉22Aの戸開操作を非接触で検出する戸開センサ41Bと、扉22Aの戸閉操作を非接触で検出する戸閉センサ42Bと、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bの操作の検出に基づいて、戸開閉に関するモードを実行する制御部46aと、を備え、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作を検出した場合には、扉22Aを戸開させる戸開モードを実行する。
【0059】
本実施形態の構成によれば、乗りかごの扉22Aの戸開閉を非接触で操作可能なエレベータにおいて、予期しない戸閉動作によって生じる、利用者と扉22Aの衝突を抑制し、安全性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが所定時間以上、同時に操作を検出した状態が継続した場合には、扉22Aを戸閉させる第1戸閉モードを実行する、という構成である。
【0061】
本実施形態の構成によれば、意図せず戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bを同時に操作してしまった場合において、戸開モードが継続し続け、運行効率が低下することを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、制御部46aは、第1戸閉モードの実行中に戸閉センサ42Bの操作の検出が解除された場合には、戸開センサ41Bの操作の検出の有無にかかわらず、戸開モードを実行する、という構成である。
【0063】
本実施形態の構成によれば、第1戸閉モード中であっても、戸閉センサ42Bから手を離すことで、直ちに戸開モードに移行することから、予期しない戸閉動作によって生じる、利用者と扉22Aの衝突を抑制し、安全性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、制御部46aは、戸開モードの実行中に、戸閉センサ42Bのみ操作を検出した場合には、扉22Aを戸閉させる第2戸閉モードを実行し、第2戸閉モードは、第1戸閉モードよりも扉22Aの戸閉動作が速い、という構成である。
【0065】
本実施形態の構成によれば、第1戸閉モードにおいて予期しない戸閉動作が生じている場合であっても、第2戸閉モードと比較して、戸閉完了までの時間が長いことから、利用者は扉22Aとの衝突を回避することができるか、又は戸開モードへ移行する操作を行うことができ、安全性を向上させることができる。また、本実施形態の構成によれば、第2戸閉モードでは、第1戸閉モード実行時と比較して、意図した戸閉操作がなされている可能性が高く、第1戸閉モードと比較して、戸閉完了までの時間を短くすることで、運行効率が低下することを抑制することができる。
【0066】
本実施形態に係るエレベータ10は、同時に操作を検出した戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bは、隣接している、という構成である。
【0067】
本実施形態の構成によれば、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bを同時に操作した利用者が同一人物であって、意図しない操作がされている可能性が高い場合に限定することができる。
【0068】
なお、エレベータ10は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、修正、又は変形が可能である。例えば、下記の変形例の構成を選択し、上記の実施形態の構成に採用することも可能である。
【0069】
4.変形例
(1)上記の実施例に係るエレベータ10においては、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが所定時間以上、同時に操作を検出した状態が継続した場合には、扉22Aを戸閉させる第1戸閉モードを実行する、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0070】
例えば、第1変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作を検出した状態が継続した場合には、継続した時間にかかわらず、戸開モードを継続して実行する、という構成でもよい。
【0071】
第1変形例の構成によれば、予期しない戸閉動作によって生じる、利用者と扉22Aの衝突を抑制し、安全性を向上させることができる。
【0072】
なお、利用者が戸開モードの継続を希望しておらず、誤操作が生じている可能性があるため、スピーカーにより、戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが同時に操作を検出している旨を、アナウンスしてもよい。
【0073】
(2)上記の実施例に係るエレベータ10においては、制御部46aは、第1戸閉モードの実行中に戸閉センサ42Bの操作の検出が解除された場合には、戸開センサ41Bの操作の検出の有無にかかわらず、戸開モードを実行する、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0074】
例えば、第2変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、第1戸閉モードの実行中に戸閉センサ42Bの操作の検出が解除され、戸開センサ41Bの操作が検出された場合には、戸開モードを実行する、という構成でもよい。
【0075】
第2変形例の構成によれば、戸開センサ41Bの操作が検出されない場合には、第1戸閉モードが継続することから、再度戸開モードが実行されることで、運行効率が低下することを抑制することができる。
【0076】
(3)上記の実施例に係るエレベータ10においては、制御部46aは、戸開モードの実行中に、戸閉センサ42Bのみ操作を検出した場合には、扉22Aを戸閉させる第2戸閉モードを実行し、第2戸閉モードは、第1戸閉モードよりも扉22Aの戸閉動作が速い、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0077】
例えば、第3変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、戸開モードの実行中に、戸閉センサ42Bのみ操作を検出した場合には、扉22Aを戸閉させる第2戸閉モードを実行し、第2戸閉モードは、第1戸閉モードと戸閉動作が同じ速度である、という構成でもよい。
【0078】
第3変形例の構成によれば、例えば、第1戸閉モードと第2戸閉モードは、共に、戸閉釦42Aが押下された場合と、戸閉動作が同じ速度である、という構成であれば、運行効率が低下することを抑制することができる。また、例えば、第1戸閉モードと第2戸閉モードは、戸閉動作が同じ速度であって、戸閉釦42Aが押下された場合より、戸閉動作が遅い、という構成であれば、非接触操作による予期しない戸閉動作が生じている場合であっても、利用者は扉22Aとの衝突を回避することができるか、又は戸開モードへ移行する操作を行うことができ、安全性を向上させることができる。
【0079】
(4)上記の実施例に係るエレベータ10においては、同時に操作を検出した戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bは、隣接している、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0080】
例えば、第4変形例に係るエレベータ10は、同時に操作を検出した戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bは、それぞれ異なる操作盤28,29に設けられている、つまり、隣接していない、という構成でもよい。
【0081】
第4変形例の構成によれば、離間した戸開センサ41Bと戸閉センサ42Bが、異なる利用者によって操作された場合であっても、予期しない戸閉動作によって生じる、利用者と扉22Aの衝突を抑制し、安全性を向上させることができる。
【0082】
(5)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、戸開報知部41Cは、戸開釦41Aの中央に設けられ、戸開を示すマークの形をした透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0083】
例えば、戸開報知部41Cは、表示部44であって、文字やイラスト、色などを表示することによって報知することができる。また、戸開報知部41Cは、スピーカーであって、音声や「ピッ、ピッ、・・・」という断続音、「ピ―」という連続音などを発することによって報知することができる。さらにまた、戸開報知部41Cは、ランプ、表示部44、スピーカーの種々の組合せにより構成することができる。
【0084】
なお、戸閉報知部42Cも同様に、ランプ、表示部44、スピーカー、又はこれらの種々の組合せにより構成することができる。
【0085】
(6)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、操作盤28は、乗りかご22の袖壁22-1に設けられている。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。例えば、操作盤28は、乗りかご22の側壁に設けることができる。
【0086】
(7)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、戸開操作部41は、戸開釦41Aと戸開センサ41Bがそれぞれ設けられている。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。例えば、戸開釦41Aと戸開センサ41Bとが、一体で構成されてもよい。さらに、戸開釦41Aと戸開センサ41Bのうち、戸開センサ41Bのみを備える構成であってもよい。
【0087】
加えて、戸閉操作部41も同様に、戸閉釦42Aと戸閉センサ42Bとが、一体で構成されてもよいし、戸閉センサ42Bのみを備える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 エレベータ
22 乗りかご
22A 扉
28,29 操作盤
30 行先階操作部
40 戸開閉操作部
41 戸開操作部
41A 戸開釦
41B 戸開センサ
41C 戸開報知部
42 戸閉操作部
42A 戸閉釦
42B 戸閉センサ
42C 戸閉報知部
43 連絡釦
46 制御装置
L1 第1距離
L2 第2距離
P 検出領域
U 手
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごの扉の戸開閉を非接触で操作可能なエレベータであって、
前記扉の戸開操作を非接触で検出する戸開センサと、
前記扉の戸閉操作を非接触で検出する戸閉センサと、
前記戸開センサと前記戸閉センサの操作の検出に基づいて、戸開閉に関するモードを実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記戸開センサと前記戸閉センサが同時に操作を検出した場合には、前記扉を戸開させる戸開モードを実行し、前記戸開センサと前記戸閉センサが所定時間以上、同時に操作を検出した状態が継続した場合には、前記扉を戸閉させる第1戸閉モードを実行する
ことを特徴とする、エレベータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1戸閉モードの実行中に前記戸閉センサの操作の検出が解除された場合には、前記戸開センサの操作の検出の有無にかかわらず、前記戸開モードを実行する
ことを特徴とする、請求項に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御部は、前記戸開モードの実行中に、前記戸閉センサのみ操作を検出した場合には、前記扉を戸閉させる第2戸閉モードを実行し、
前記第2戸閉モードは、前記第1戸閉モードよりも前記扉の戸閉動作が速い
ことを特徴とする、請求項又はに記載のエレベータ。
【請求項4】
同時に操作を検出した前記戸開センサと前記戸閉センサは、隣接している
ことを特徴とする、請求項1乃至に記載のエレベータ。